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The use of th3 Folcy balloon catheter in the treatment of a zygomatico−maxillary fracture:Report

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岩手歯誌 1:107−113 1976

107

導尿用balloon catheterを用いた   頬骨・上顎骨骨折の1治験例

関山 三郎

岩手医科大学歯学部

水野 明夫  森    豊 松本  断

ロ腔外科学第2講座(主任:関山三郎教授)

〔受付:1976年5月21日〕

 抄録:顎骨骨折の治療に関しては種々なる方法があるが,私達は左側頬骨部の陥没を伴う上顎骨骨折に対 して導尿用balloon catheterを用いた症例を経験したので報告した。

 症例は23才の男性で,球技中に選手と激突受傷した。顔貌所見,口腔内所見およびX線所見より骨折線は 眼窩下縁から上顎洞前側壁,頬骨眼窩側壁部に至り頬骨が内下方に変位した,いわゆる頬骨陥没型骨折と診 断された。治療法は受傷後14日目に全麻下にて骨片除去とともに開洞し鈍的に整復,さらに鼻腔側に対孔を 形成しFoley 30号のballoon catheterを挿入し整復固定した。固定期間は21日間であったが, catheter抜 去後も骨の変位は認められず,経過良好にて現在に至っている。

 結論:本法は術式が簡便でかつ術後の合併症が少ないことが利点であり,本症例の如き眼窩下底部を含む 頬骨,上顎骨骨折新鮮例にきわめて有効な方法であると思われた。

 顎顔面部の骨折は,近年著しく増加している が,特に上顎骨ならびに頬骨部は,骨の菲薄な 部分や縫合部を多数有しているため,骨折は複 雑かつ重症となり著しい顔貌の変形をきたしや すく,その治療は機能的審美的要件から,臨床 上問題となる場合が多い↑〜4}。

 また頬骨陥没型では,上顎洞の前側壁と眼窩 下底部が挫滅骨折となり,頬骨が内下方に変位 するため眼球陥没,複視,眼窩下神経麻痺,上 顎洞血腫,上顎洞感染,開口障害などの合併症 を伴うことが多いとされている5〜10)。

 私達は今回,左側頬骨部の陥没を伴う上顎骨 骨折に対して,導尿用balloon catheterを用い

て整復固定を行ない,良好な結果を示した1症 例を経験したのでその概要について報告する。

 患者:23才,男性,高校教師。

 初診:昭和50年9月23日。

 家族歴・既往歴:特記事項なし。

 現病歴:昭和50年9月23日午後3時頃,ソフ トボールを行い飛球を追っているうち外野の選 手の頭部が左側頬部に激突受傷した。意識消失 はなかったが開口障害があり,鼻出血が継続し ていたため近くの整形外科を受診した。同医院 にて止血,抗生剤などの処置を受け直ちに当科 に紹介入院した。

 現症:全身所見;体格大,栄養良,体温37.0

The use of th3 Folcy balloon catheter in the treatment of a zygomatico−maxillary fracture:Report

of a case、

  Saburo SEKIYAMA, Akio MlzuNo, Yutaka MoRI, Dan MATsuMoTo(Department of Oral Surgery II,

  Iwate Medical University School of Dentistry, Morioka O20)

米岩手県盛岡市中央通り1−3−27(〒020)       Z)ε砿.」.∫ぴατθMθ4.ση初,1:107−113,1976,

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図1 初診時顔貌所見

C。四肢体幹に異常所見はなかった。

 口腔外所見;左側頬部より顎角部にかけ境界 不明瞭な中等度の腫脹を認め,中央部に長さ1 CInの裂創があった。左側下眼瞼は全体に浮腫状

の腫脹があり,暗赤色を呈し,また左側眼球結 膜には暗赤色の出血斑を認めた(図1)。

 触診により左側裂創部に軽度の圧痛と熱感が あり,左側上口唇部に知覚麻痺を認めた。顎下

リンパ節は左右小指頭大1個で,圧痛は認めら れなかった。

 口腔内所見;咬合状態は.比較的良好であ.)た が,開口障害があり上下中切歯部にて1横指で あった。触診により11−1唇側歯肉部には知覚麻 痺を認めたが,電気歯髄診ではU二1は陽性で

あった(図2)。

 X線所見:P−AおよびWater s viewでは 左側上顎洞側壁部,眼窩下縁および側壁部に骨 折線が認められ,上顎洞は暗くなっていた(図 3,4)。断層所見では上顎洞側壁部の粉砕骨折

岩手歯誌 1:107−113, 1976

図2 初診時口腔内所見

   図3 初診時X線所見

左側上顎洞側壁部の骨折線および洞陰影像

と上顎洞への陥没像が明らかに認められた(図

5)。

 検査所見:全身的諸検査および血液一般,尿 検査などでは異常所見は認められなかった。限 科的所見については本学眼科に精査を依頼した が,左側の眼球結膜下出血のみで,眼底像その 他には異常は認められないとの報告があった。

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¥1;手怯「6ξ  1 :107−113  1976

   図4 初診時X線所見 左側上顎洞側壁および限窩側縁の骨折線

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     図5 断層X線所見

上顎洞側壁部の粉砕骨折と陥没像(皮下45mm)

 診断および治療方針:臨床所見およびX線所 見を総合すると,骨折線は眼窩下縁より上顎洞 の前側壁,頬骨眼窩側壁部ならびに頬骨弓に認 められ,結果的に頬骨が内下方に変位した状態 と診断された。新鮮症例であることから,導尿 用balloon catheterによる整復固定を施行する こととした。

 手術および経過二消炎療法ののち,受傷後14 日日に気管内全身麻酔下で整復手術を施行し た。手術は13二7歯肉頬移行部に切開を加え,

上顎洞側壁部の粘膜骨膜弁を剥離すると,同部 に大豆大から小指頭大の数個の非薄な小骨片の 洞内陥没,および洞粘膜の一部断裂を認めた。

小骨片を除去し,同部より骨膜起子にて骨体骨 折部を押し可動性としたのち(図6)上外方へ の整復をはかったところ開口障害はなくなり,

顔貌は対称性を示した。しかし外方から力が加

わると容易に術前の状態に戻ってしまうため, 図6 術中の模式図

(4)

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図7 catheter固定中の所見

図9 退院時X線所見

フ」丁了…[斗寸議と  1 : 107−113  1976

図8 退院時顔貌所見

図10 退院時X線所見

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岩手歯誌 1:107−113 1976

balloon catheterを挿入すべく上顎洞側壁を削 除し,断裂していた洞粘膜を除去し鼻腔側に15

×20mmの対孔を形成した。対孔よりFoley 30号 のcatheterを上顎洞内に挿入し,空気を30ml注 入したところ,balloonは上顎洞内に充満し,

上顎洞側壁開拡部より外方に半球状の膨隆を呈 すると同時に,頬骨体部も良好な整復状態を示 した。口腔内の切開部は縫合し手術を終了し

た。

 術後の経過は良好で患部の浮腫や疹痛は全く 認められなく (図7),術後14日目に試験的に balloon内より空気を除去し,同量の空気を再 注入しようとしたが,疹痛を訴えたため注入量 は8mlにとどめた。以後1週間同様の操作を行 ない,術後21日目にcatheterを鼻孔より抜管 した。抜管は容易で出血落痛などは認められな かった。術後約1ケ月には開口度も40mmと良好 で,術前にみられた左側上口唇部の知覚麻痺も 回復していた(図8)。X線写真においても上顎 骨,頬骨各部ともその解剖学的位置を保ってお り,整復固定が良好であったことを示していた

(図9,10)。

 骨折の治療にあたってballoon catheterを用 いるいわゆるballoon methodは,1952年AI1・

thony11)により眼窩骨折について最初に報告さ れて以来,次々に本法による治験例の報告をみ

ている12〜17)。

 本法の利点として,顔面皮膚に手術侵襲を加 えないこと,術式が簡便であること,整復後 balloOnがそのまま固定源となること,上顎洞 よりの浸出液を吸引出来ること,さらに術後の 浮腫が少ないことが挙げられる11〜1318)。しかし 整復力が弱いため陳旧性の骨折には適応出来な いこと,頬骨陥没型骨折以外には用いられない

ことが欠点とされている18)。

 本法はcatheterの挿入法により経鼻法1L12・}4・

15・18)と,経口法}3」7)に大別される。しかし経鼻 法でも,AIlthony11), Jackson12)は盲目挿管であ りこの欠点をおぎなうためJarabユk13)は経口法

111

をとり,直視下でcatheterを使用したが,患老 の不快感が強かった。これらの点を考慮して,

Mark(1961)[4)やGutman(1965)15)は,上顎洞 を開洞し凝血や骨片除去を行ない,のち対孔を 形成し経鼻的にcatheterを挿入することでその 位置が正確に,また整復の状態を確かめつつ操 作をし好結果を得ている。

 整復にはballoonの圧力によってのみでは,

困難であるときもあり,鈍的操作や,徒手など

を併用している11112 14 18)。

 開洞することについては,その適応をClark20)

が述べているが,一般には上顎洞の前壁または 側壁部が粉砕骨折となっていたり,また大きく 穿孔をきたしていることが多いのでω,そのま ま整復することが可能な症例は限られていると 思われる。

 麻酔法は局麻でも可能であるが,対孔形成時 に多量の出血をみることがあるので,全麻が好

まれている。

 今回,私達の症例は口腔内切開による,いわ ゆるCaldwell−hc法で行ない16),凝血,小骨折 片を完全に除去14),対孔を形成し経鼻的にcathe・

terを保持した。開口制限は行なわなかった。

 本法による固定期間は6〜10日】2・13・↑5・18),7〜

14日17)と比較的短期間であるが,Anthony11)は 1〜3週間であった。小宮ら18)はballoonの圧 迫による洞粘膜の血流,栄養状態を軽減するた め,1日数回以上の空気の除去と再注入を行な っている。

 Balloon内に注入する量については,上顎洞 の容量が目安とされ,一般的に洞容量は成人男 子で15〜20ml,成人女子で10〜15mlと言われて いる11」㌧本症例では整復の状態をみながら空 気を注入したところ30mlであったが,特に合併 症は認められなかった。また,balloon内注入 物に関しては空気のみならず,滅菌水や生食水

が比較的好まれている様である11・14 15)。

 本法による術後合併症の報告はなく,臨床結 果もすぐれている方法である。

(6)

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岩手歯誌 1:107−113 1976

  本論文の要旨は昭和51年2月 学会例会において発表した。

,第1回岩手.歯

  私達は頬骨部の陥没を伴った上顎骨骨折に対 して,導尿用balloon catheterを用いて整復固 定術を施行し,良好な結果を得た1症例を経験

したので報告した。

   Abstract l To many other methods of treatment for zygomalico・maxillary fractures,1he antral

balloon method seems to be superior in our hands.

   A23 year old man recieved a collision on the left side of the face while he was engaged in

abase ball. Physical examination showed moderate swelling over the left side of face, ecchymosis

of the left orbital tissues, subconjunctival hemorrhage of the eye and trismus. Muhiple roentgeno−

grams of the skull and facial bones revealed a fracture of the zygomatic bone from the anterior

border into the maxillary sinus.

   Two weeks later, under endotracheal anesthesia, fractures were reduced by lhe pressure with blunt instruments. The Foley catheter inserted into the sinus by way of a modified Caldwell−Luc approach. The balloon pressure for fixation was maintained for three weeks. The patient was

discharged from the hospital 30 days later with no complaints.

   The simplicity of reduction and excellent results obtained wilh the balloon technic warrant

its use in the selectcd cases.

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参照

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