労働需要のメカニズム
その他のタイトル Some Considerations on the Mechanism of Labour‑Demand
著者 浜田 文雅
雑誌名 關西大學經済論集
巻 8
号 2‑3
ページ 156‑175
発行年 1958‑11‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/15626
156
従っ
て︑
対価格と看倣することは完全な誤ちであろう︒
労佑と資本の相対価格において考慮される資本の価格とはーも 資本設備は一生産期間で減耗し尺すものではなく︑その引合期間
いる
︒ 企業の理論の中核をなすものは生産要素選択の理論である︒そこから企業の決意形成過を通して各生生要素につ
いての需要方式が誘導される︒本論文では︑
たように労佑需要の構造がそれだけ独立して考えられるものではないので︑企業の理論全体が分析の対象となって
従来この種の研究において最大の難点とされているものに労佑と資本の相対価格の問題がある︒すなわち︑資本
の価格とは何か⁝︑また資本とは何か⁝という疑問がその大きな原因となっている︒単に資本財一単位の価格と形
式的にいうことはできようが︑資本財の共通単位そのものが不明である上に︑既存設備と新たに加設されたものと
の換算に至っては全く処理方法を見出すことができない︒更に︑設備全体についての単価と労佑賃金との比率を相
(p ay
, o
ff p er io d)
は遥かに永いであろう︒
し︑それがあるとすれば!一生産期間において費用化される部分に対するものでなければならない︒右のような考 ~ ヽ序論
その中で特に労佑需方程式に焦点を合せて議論を進めるが︑右に述べ
労 働 需 要 の メ カ
ズ ム
浜田文
四四
雅
一
︑ 概 念 規 定
が︑理論の核心だけをここにまとめた次第である︒ 小論は全く実験的な試みの域をでず︑従って今後の研究に残された不完全な部分が非常に多い
勿論
︑
四五
察の結果︑資本費用︵減価償却費と長期借入金利︶は一生産期間における期間費用として扱うことにする︒
出磁に対する共通単位としては︑労佑者所定内時間に対して支払われる賃金で修正された労佑単位を用いる︒これ
次に︑もうーつの重要な問題として所定外労佑時間の需要と労佑者数の需要との対応関係が分析される︒従来︑
この問題が陽表的に導入され︑分析された例を筆者は知らないが︑ここではこの両者の選択が資本設備需要とも関
連し︑また︑所定内賃金と所定外賃金︵超過勤務手当︶との比率に関連して行われる場合の考案を試みた︒生産性の
上昇が賃金の上昇を伴う場合︑それが所定外労佑時間需要と労佑者数需要にどのような影響を与えるかは興味のあ
る問題である︒
次に︑企業の規模がその長期借入資金によって制約される湯合が論じられる︒ここでは︑先に述べた労佑と資本
の相対価格はその影響力を失い︑労仇需要を規制するものは労佑と資本との生産の弾力性と労佑賃金および長期借
入金であることが解る︒
全体を通じて︑ 企業規模を制約するものはこの他に企業の自己資本および内部蓄積が考えられる
が︑ここでは︑そこまで考察の範囲を拡げることができなかった︒
仮説を設定するのに先立ってそれを構成する諸概念を明らかにしておくことが便利であろう︒設定される仮説の
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶
らの点については次節で説明が行われるのでここではこれ以上触れないことにする︒
資本
︑ 産
I .58
ふ資本設備︵金額表示︶ x l ・
労佑雇用者数
叫・労仇者一人一時間当りの所定外平掏賃金 W i
.労佑者一人当りの所定内平均賃金
労仇
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶ 性格はそれを溝成する概念によって方向づけられるからである︒しかし︑
も︑仮説という言葉に対するわれわれの解釈を簡単に説明しておくことにする︒
現実に生起する現象を説明するために幾組かの仮説を立てることができよう︒しかし︑その中で︑現象を最もよ
..
..
..
.
く説明できる仮説こそ最も有効なものであるといえよう︒現象そのもののバックにある真のメカーーズムを知ること は理想であって実際にこれを摺むことは恐らく不可能に近いであろうから︑われわれは一応真のメカニズムは知ら ないという状況のもとで現象解明のための仮想的な模型を考え︑
を高めようとするわけである︒この仮想的な模型は︑
的知識が人間の頭脳を通して再生されたものに過ぎないであろうがーにもとづいて構成され︑
をなすものがいわゆる﹁仮説﹂であると考えられる︒従って問題は現象解明のための﹁仮説﹂の有効性を論ずるこ とにあることはいうまでもないであろう︒仮説を右のように解釈することによって︑われわれは企業者行動に関す
K・一生産期間当りの総費用
h ・ 労佑者一人当りの所定外労佑時間
る諸概念を次のように規定する︒
その前に至極当然のことではあるけれど これを動かすことによって実際の現象との類似性
いわめるアプリオリ・インフォメー・ションーこれも実は経験
この構成手続の基準 四六
費およびその関連費に限定されたものを指している︒ 9p ま ︑
'
ることにする︒ 8
・資本設備の減価償却率
四七
一応は一年間
︑\ ーー
/
B
.労働者数に換算された長期借入金互
W l
︵
i.l
生産期間当りの長期借入金利子率
9 X o
.一生産期間に実現された附加価値 加・労働者数に換算された一生産期間当りの附加価値
' x O ‑
W l
︵
これらの諸概念については右の簡単な記述では不充分なので︑次にそれらの個々についてもう少し詳しく説明ず
まづ
K
であ
るが
︑ これは企業経営の立場からみた一生産期間の固定費と変動費の和としての期間費用である︒企業 一生産期間の期首において生産計画を立て︑それに必要な費用計算を行うであろうが︑その場合︑実際には当
( 1 )
然不確実性の要素も入ってくる筈である︒しかし︑ここではあくまでも小論の主題に焦点を合わせるためにそのよ うな問題を導入することは避けることにする︒更に︑企業会計上の期間を一生産期間にとる代りに︑
を問題にする︒また︑変動費のうち原材料等の生産量に比例する費用は直接には・総費用極小化の対象とならない
( 2 )
して特定の値に収飯する費用と資本設備 のでこれを無視する︒従ってここにいう総費用とはその極小化の過程にお︑
所定内とはたとえば一日八詩間
次に
は労働者一人当りの所定内労働時間に対して支払われる平均賃金であり︑W l
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム
0
伝田︶
B•
金融機関からの長期借入金
︑¥
̲/
知労仇者数に換算された資本設備量'5‑Wi
•(
160
︱ ヶ 月 ︑
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶
労働等定められた範囲をいう︒従って︑この賃金は短期的な労働時間の変化とは独立なものであり︑労働者を一人
冠用すればこれだけは必らず支払われる訳である︒これに対して叫はは所定外労仇時間一時間当り支払われる賃金
であり︑従って︑実際に労働者が受取る賃金はこの両者の和
( W
+ 1
w u )
となるわけである︒但し︑
をそれぞれ一日当りとしても︑ ここでは
Wl
5
一年等々としても分析の方向︑結論に対して重要な影響を与えるものとは
考えられないのでそこまでは規定しないことにする︒
両者は長期的には先の
W l と5との比率の変化に対応して代替関係におかれるものと考えられる︒
らは資本設備金額である︒資本設備を金額表示とすることには相当の議論があろうが︑われわれは次のような解
釈を根拠としている︒すなわち︑資本設備と一言でいわれるものは周知のように実は多数の機械︑装置の結合組織
であり︑決して特定の物理的な単位で測れるものではない︒勿論︑従来でもスピンドルの数P︵
紡織
業等
︶や
実動
馬力
( 3 )
数等を資本設備の指標として用い︑相当程度の成功を修めてはいるが︑それらは特定の極く限られた産業にしか適
当しないものと考えられる︒金額表示の側にも問題がないわけではない︒物価変動の影響︑評価基準の是非等が資
本設備の正当な価値を歪める危険は充分予想される︒そこで︑われわれは金額表示をそのまAの形で導入すること
( 4 )
は避け︑これを5︵労佑者一人当りの所定内平均賃金︶で割ることによって労働者数に換算する︒このことは︑労働と
︑ \ ー ノ
資本との相対価格が1‑5であることを意味する︒資本設備の価格︵単価︶は非常に漠然とした概念であるからわれ
'
われはこのような曖昧な概念の使用を避けることにする︒従って︑ここでの相対価格という概念は通常のそれとは
働者何人︵資本設備量から換算された︶との代替関係におき代えられることになる︒ 明瞭に異っている︒資本設備量を労働者数に換算することによって︑労働と資本との代替関係は︑労働者一人と労
このようにして労佑者数に換算さ
X l h
はそれぞれ労働雇用者数︑所定外労働時間であり︑
四八
この
借入金に対する比率である︒従って金利負担の増大はiの上昇を生ぜしめることになる︒
むは一生産期間において実現する附加価値であり︑その期間に実現した生産金額より発生した期間費用ー要因費
用を除くーを除いたものである︒物理的な生産量をとらなかった理由は資本設備の場合と同様であり︑現代の企業
において単一の生産物を生産する企業は殆んどありえないからである︒勿論︑
が︑分析の手段としてこれをNOUx ︑
O/ W1
によって表わすことにする︒
労佑
需要
のメ
カニ
ズム
︵浜
田︶
て表わされる︒長期借入金利子率は︑通常のそれとは異り︑
四九
一生産期間において支払われる長期借入金利額の長期
B 1 1 B
︾/ w
に1
よっ
一生産期間における減価償却費は︑ ヽ0は減価償却率を示すが︑実際問題としてはこれを一個の︒ハラメーターとして規定することには非常に多くの困
難がある︒実際に行われている償却法には定額法と定率法があることは周知のとおりであるが︑更に︑加速償却の
られることはいうまでもない︒しかし︑ 問題がある︒すなわち︑設備投資が行われた後︑比較的早い期間に多額の償却を行うことによって企業の安全性を高め︑次の投資条件を有利に導こうとするが︑このようなことを実現できる企業はその市場条件の有利なものに限
ここでは第一次接近として8を一定︵一産業内で︶と考えるに留め︑これに
よって生ずると予想される問題点は後に論ずることにする︒従って︑
金額表示ーまたは(8ほ)—労佑者数換算ーによって表わされる。 (8汽
2)
│
Bは金融機関からの長期借入金である︒企業の資本設備はその自己資本による他に他人資本に対しては利子支払
が伴うので︑外部資金金利は︱つの企業にとって大きな制約となり得るであろう︒そこで︑金利iによって実現さ
れる長期借入金需要としてBを定義することができる︒3はこれも同様に労佑者数に換算され︑
この場合にも多くの問題が残される
( 5 )
れたものである︒
162
ま た は お
1 1 1 1 +
︵ 直 `
h︶
X 1 +9+
i B
を試 みる
︒ 前節に述べた諸概念を用いて︑
5 4 3 2 註1
K=
き(
+き
h)X 1
+ 0 X '
2 +
i B '
三 ︑
われわれはまづ︑
仮 説 の 設 定
労佑需要のメカニズム
次にこれらの諸概念を基として仮説設定の問題に入ることにする︒
説明で不充分な点はその時々の必要に応じて更に補足されることになろう︒
L.R•
Kl e
in
:
Ec
on
om
ic
Fl
u c
t u
a t
i o
n s
i n
t h
e U
. S .
19 50 ,
P .
15
原材料費等は生産黛が決定すれば一義的に定まるので︑これらの変数は費用極小条件式では消えてしまう︒
鈴木諒一・﹁国民所得の理論と実際﹂昭和
2 6 年
P.
7583
々
・
﹁ 限 界 生 産 力 説 に お け る 若 千 の 問 題 点
﹂ 三 田 学 会 雑 誌
第4 6
巻第3号
尾 綺 巌
・
﹁ 産 業 生 産 性 の 計 測
﹂ 三 田 学 会 雑 誌 第 4 7 巻第
号1 2
J.
Ro
bi
ns
on
: T
he Ra
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of I n t e r e s t
a
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Ot
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s r e p r i n t e d
1 954 P
72
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f o C a p i t a l
Re
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Ec
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S t u d i e s
1955
6
P.
86
ロピッン女史の場合には︑労佑者一人一時間当りの平均賃金で割った資本を^
r e a
1 c a
p i t a
l '
と呼んでいるが︑
合の資本には設備の他に労佑以外のあらゆる生産要素が含まれ.
t
いる
︒
J.
Ro
bi
ns
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: T
he c A
cu
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la
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on
of C a p ! t a l ,
1956
P .
121
生産函数の一変数として導入される資本設備量はこの
X2 であ り︑ くる︒次節を参照︒
以上において大体の概念規定をおわり︑
︵浜 田︶
企業の合理的行動を説明する手懸として次に示すような定式化
(3
. l
)
この点で生産函数の性格も通常のものとは異つて
五0
この場 右の
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶
の手続きに従って︑求める総費用極小化の必要条件式は︑ 分構造
(3 .3 )
を条件として総費用
(3 .1 )
を極小化するように
五
ふゃぉよび
Bが決定されるものと考える︒周知 そこで︑企業の決意形成過程を次のように仮定する︒すなわち︑ 機関からの借入によって賄う関係を示している︒ 構において重要な意味を持つであろうと考えられる︒ その場合にも陰伏的に労佑者一人当りの労佑時間が一定で
(3 .2
)は企業の生産函数であるが︑
けれ
ばな
らな
い︒
Ro
ll
Ro
(X
1,
X2 ,
° h ) B1 1B (X 2)
あることを仮定しているものと考える︒
(3 .2 ) (3 .3 )
( 3
. 1
)
は期間費用方程式であり︑︐Jは総費用kを'で修正したものである︒この方程式の右辺の意味は︑企業の
期間的総費用ー極小化に直接関係のない項目は除かれているーが労務費と減価償却費と借入金︵長期︶利子払の和
であることを示している︒従って通常資本費用といわれているのは︑この方程式の右辺の第二項と第三項の和でな
通常の生産函数と違うところは所定外労仇時間︵超過勤務または残業︶を陽表
的に仮説に導入することによって操業時間の変化を考慮したことである︒すなわち︑通常の生産函数では︑総労仇
時間
︵労
佑者
数x
労佑時間︶を問題とする場合が多いが︑
われわれの生産函数では︑このような一定した労佑時間を所定内労佑時
間︑それを超過する労仇時間として分離して考察することを試みる︒これは︑労仇雇用数︵労佑者数︶を決定する機
(3 .3 )
は長期借入金需要を示す部分構造であり︑資本設備需要が企業の自己資本のみでは充たせない部分を金融
企業の生産函数
(3 .2
)と長期借入金需要の部
164
B1 1b X2
苔l l
g 1 a
i x 2 c t , 2 h e 1 , a
m次同次ーダグラス型の対数線型も含むーとすれば︑ で
ある
︒ ここ に︑
a i s a a
およびb
は生産函数
(3 .2 )
こ ;
a1
︑d2︑R8︑
b)
U ) 2
ヽ
W1
B
B( XO ,
労佑 需要 のメ カー ーズ ム︵ 浜田
︶
ぽ
h ) 9 l l ︵ 息
︶ 尽
11(8ミ
1)
翌
U + [ 0
1
8 x
o
W1
t X
︑0
m o 9
筍
(3 .4 )
は限界労佑者屈用費と限界労仇時間屈用費と限界資本設備費
(3 .4 )
から求められる三つの方程式と企業の生産函数
(3 .2 )
との合計四つ方程式を
X i x z
h
およびB
の四つの変
こ
;a 1, a2 ,a 3, b)
U2
︾き
X 1
x 1 ( x
o ,
こ
,・
a1
,a
︑a2
85 b‑
u l 2
ヽ
Wt
ほ
X 2 ( X
︑0
h←
︵ 翡
g s )
る︒すなわち︑
生産函数
(3 .2 )
と長期借入金についての関係式
(3 .3 )
を次のように表わす︒
この二つの式を用いることによって︑前記の誘導形
(3 .5
)ー
(3
.8
)
は次のように明示することができる︒
数について一義的に解くことができる︒
それらの解は︑ の和︶との均等を示している︒ で
ある
︒
(3 .5
ー)
(3
.
8) ((3. 7)
を除く︶は対数線型となることがわか
(3
.
2) '
(3 . 3 )'
における︒ハラメーターである︒そこで︑生産函数
(3 .2 )
を
(3 .5 ) (3 .6 )
(3
. 7)
(3 .8 )
(3 .4 )
︵限界減価償却費と限界長期借入金利費と
五
(3 . 5 )'
A1
1a
ぼで﹁ー
t
ー
・ 巨
1 8 8
[ c
o +
i b
) C
a 1
ーg
3 )
a 1
‑a
3
w2
1 1
X2
11
cs
+s
X o
a 1i +
s ( 3 .
6) '
cょ[9ib)~11s)]s[s□
] a 8
a 2
a 1
ーa8W2
a 3
W1
n 1 1
│ー
.
│
a 1
‑a
3
W2
1 1
B 1
1 bC-~1
+ a g
ざ0 8 1
十8 2
これまでに述ぺてきた構造方程式系においては︱つの重要な問題が残されている︒それは︑生産函数
(3 .2
ま)
た
(3
. 2
)'
における変数
X l
.ふについての問題である︒すなわち︑
量とがそれぞれ等質的な変数として取扱われてきた︒しかし・理論をより現実に近づけるためにはこれらの二変量
についての企業規模の経済性を考廊する必要がある︒そこで︑われわれは次にこの点についての仮説の修正を試み
規 模 の 経 済 性
A
( 1 )
この問題を仮説の中に陽表的に導入した試みの代表的なものとしては
H.B
・チェナリーがまづ挙げられよう︒
そこで︑われわれの場合には左のような仮説を考慮してみよう︒
まづ労佑厖用について︑大規模な屈用の方が小規模のそれよりもより効率を高めるであろうことは常識的にも充
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶
ることにする︒
は
1 1
X 1 1
1A
81
+s
X o
a : i + R 2
(3,
7)
'
(3 . 8 )'
五
これまでの議論では︑労佑犀用数と資本設備
166
as
W1
h1
1
. ー ー
a1
ー
as
Wz
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶ 分考えられることである︒従って︑同じ一単位の労佑雇用をその賑用規模の大小を無視して等質的と考えることは
われわれの模型で
は︑資本設備はまづ金額表示で考えられ︑次にこれを労佑者数に換算するが︑前者の場合にも資本設備一単位︵仮 にこのように区分することができるとして︶が大規模の設備と小規模の設備とではその能力を異にすることはいうまで
( 2 )
もない︒そこで︑労佑厖用量
と資本設備量ふについて次のような修正を行う︒X i
( 3 )
は規模別等質化函数でありへ年︑*やは実際の労仇一雇用量︵需要羞︶および資本
( 4 )
設備雇用量︵需要羞︶である︒右の二つの規模函数は具体的には次のような形を与えることができる︒すなわち 右の二つの式を用いて先の誘導形
(3 .
5)'‑
(3 . 8 )'
は次のように修正される︒
ー11 ぷ=A
C a 1
1 十
S )
︵1
s 1 ) +
X
o (a
1 1 +も︵
1+
s 1 )
ー11 晶
= C
( t 1 1 1 +
R
i ; } (
l +
s 2 )
Xo
1 1 +も︵ (t1
1+
s 2 )
S l!
fi
9 ︵ 益 ︶
11
d2
4^ St
f邑1
︵ ぶ ︶
11
a1
4^
ここ
に︑
f5
︵ぶ
︶お
よび
fx
2 ︵ ぶ ︶
(3.5)︑ ︑
(3
.
6 ) 0
(3
. 7)︑ ぶ
l l
f ほ
︵品
︶品
X1 11 f5
︵ 品 ︶
4f 仮説の現実性を損う危険を侵すことになる︒また︑資本設備についても同様のことがいえる︒
五四
い ん の 係
数bの変化について
B*
11
[
l + s 9
<~1+ti;m C
+
s 2 )
X
o
(~1 + a 宕 +
Sa) (3,8)H
規模函数の導入については以上のとおりであるが︑その他若千の問題点が残されているのでそれらの個々につい
, ノ
B ︵ 規模の経済性の問題の他に︑この一連の仮説の設定において触れなかった点を列挙すれば次のよう℃なる︒すな
わち︑い長期借入金需要に関する
(3 .3
)式における石の係数bの変化︑⑨設備の減価償却率8
の変
化︑
⑧叫
︳
U J l
と
労佑者需要ー所定外労佑時間の関係︑④資本設備需要と減価償却費︵所謂る固定費︶経済理論的意味︑固長期借入金
利の本構造における役割︑⑥誘導形としての労佑需要方程式の意味等々⁝⁝がそれである︒
長期借入金需要に関連して導入された係数bはこれまでの議論では陰伏的に定数として扱われてきた︒このよう
な強い条件を仮説に課した理由は︑右に述べてきた仮説の構造の意味をなるぺく明瞭に示したかった筆者の意図に
よるものである︒この係数bは一見して解るように資本設備のうち借入金に依存する割合を示すものである︒従っ
て実際にはbの変動は充分予想することができるが︑bの変動を8の函数として表わすと︑前記の誘導形
(3 .5 )︑ ー
(3 .8 )
`または
(3
5.
)"ー
(3
.
8)"は非常に複雑な形をとることになる︒従って︑
応定数と仮定している︒勿論︑
⑨ この点については︑経験的データーによる検証が必要であろう︒
五五
設備の減価債却率8の変化について
概念規定のところでも述べたように8は企業により︑すなわち︑その企業の経営政策によって大きく影響を受け
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶
て次に考察する︒
若千の問題点の考察
ここでは第一次接近としてbを
168
すな
わち
︑
ここに または
労佑
需要
のメ
カニ
ズム
︵浜
田︶
るであろう︒しかし︑注意しなければならないことは︑会計年度末の決算報告に表わされている数字によってこの
8を計算することは避けるべきである⁝⁝ということである︒決算報告に示された減価償却は税法上の規定に沿っ
て形式的に割付けられた数字であり︑期首において計画された債却率を求めることはこのようなデータからは望み
ここでは未知の定数として扱われている︒
︱つの要因であることは論をまたないであろうが︑
こ
2 1
w ‑ W
ー
かについて考えてみる︒
(3 .4
)ー限界費用掏等式ーに従って
翌
ーW2さ1
ー ー
翌1
翌
︒ 翌
゜
(W
1 +
W2 h)
恒
h 亘
1 1 恒
尽
=1
十 さ
1
翌︒き
X1
f}
゜ X
院 に
11
1 十
恒
h.0
芦
11
1 巨
X1
翌1
w 1 ' a h
w1
であ
る︒
その変動は全く恣意的であるという他ない︒
5 ‑ W l
が費用極小条件式においてどのような意味をもっ 労仇者雇用数と所定外労佑時間との限界代替率
S
は ︑
き +
U02h
W2 X1
宮
¥ 8 h 1 1
図
S1
翌 ︒ 1
によって表わすことができる︒換言すれば︑企業の費用極小の必要条件の︱つは︑労仇者雇用量と所定外労佑時間 との限界代替率が︑限界労佑者雇用に必要な労務費︵さ
1+ W2 h)
と所定外時間の限界一犀用に必要な労務費
(W 2X 1)
W i および如ーについては概念規定において既に述べたが︑
(3)
えないのである︒しかし︑
つ
し て
いづ
れに
して
も︑
8
が資本設備費を構成する
五六
ある
︒
がそれぞれ求められる︒右のプロセスを逆に産出量から始めれば︑
求められる︒そこで︑
(ii)
資本設備量の変化する長期の図式は︑右のプロセスから容易に類推することができるわけで
労佑
需要
のメ
カニ
ズム
︵浜
田︶
1 1
Xo
1 1
(A
︑)1
ー81 :
X 1
1 1 ( A
︑)a
1 、北11a~A`‘li(A、)(A、
‑ 1
)
を条件としてのを極小化する手続きにより
a 1
ぶ︒
1 1
a ̀
x g
Q2
( a
︑=
ax g)
K0
=W
1X
1十0(﹃
1 1
8 品
︑十
i B
0 ︑ )
無視
すれ
ば︑
④資本設備需要と資本設備費用との関係
(iii) ,...... ..... .....
、‑
( i )
五七 一方においてこれ
︑し
5 ノ Wl
そのものを労佑者雇用と所定外労佑時間雇用との相対佑格と
( 5 )
一︵
いうよりも︑むしろ相対価格の変化を規制する︒ハラメーターであると考えた方がよいように思われる︒
既に述べたようにわれわれの仮説においては︑減価償却率8は一応一定とされている︒そこで︑短期においては
償却額は一定であるから生産一単位当りの償却額は産出量の増加と共に減少する︵生産量単位当りの固定費の減少︶︒
従って︑固定費に関する限り︑産出量の増加すればする程企業にとつては有利になる︒しかし︑
は労務費の増加をもたらすから︑総費用極小の目的に沿うためには適当な水準で産出量を抑えなければならない︒
いま︑資本設備の一定量︒5についてこの点を求めると次のようになる︒単純化のために︑所定外労佑時間の問題を
企業者の短期計画表1
sh or t , ru n' sc he du le
ーが
との比率に等しいということである︒従って︑
170
であ
る︒
えるものと考えられている︒
c;r, 必 五ay
工0
又2=X2(I)
(6)
従っ
て︑ ゜
労佑
需要
のメ
カニ
ズム
︵浜
田︶
は論ぜられない︒それは︑本論文の試みがあくまでも企業の需要面の考察に限定されているからであり︑企業の計 画表の分析がその対象だからである︒長期借入金利子率は資本設備需要を通して労佑需要に対する︱つの制約を与
誘導形としての労仇需要方程式の意味 構造方程式系
(3 .2
︑ ︵ ) 3. 4)
の内部で決定される労佑需要量
x l の解が誘導形としての労佑需要方程式
(3 .5
︑)
ま
又~゜<ZJ Xo
固長期借入金利の本構造における役割
上図において︑縦軸に平均資本費用︑横軸に産出量︵定義によって i C o
は附
加価
値で
ある
が容
易に
産出
琵に
変換
でき
るの
で同
じ記
号を
用い
た︶
を
とると︑曲線恥︑
D l ︑広はそれぞれ設備を平︑竺3
年 に 固 定 し た と
、•ノ
きの平均資本費用曲線である︒点ゆ︑①︑②は前記の方程式出によ
︵
それらの点の軌跡が資本設備費用の長期
つて
定ま
り︵
短期
計画
表︶
︑ 平均費用曲線である︒この長期平均費用曲線に対応して︑労佑の需 用曲線が求められるわけであり︑
そのメカニズムについては既に述
( 6 )
べたのでここでは鰊れないことにする︒
長期借入金の利子率ー前記の定義に従うーは企業にとつて与えら れた条件と考えられている︒すなわち︑小論では利子率決定の問題 労佑と資本の相対価格の一部︵資本設備費の一部分として︶を構成しているの
五八
前節の議論では長期借入金需要が体系の内部で決定される内生変数として扱われている︒
外部からの長期資金の導入に一定の制約が課せられた場合にはどのようなことが起るか⁝について考察するのが本
6 5 4 3 2 註1
四 ︑
これと同時的にその他の決定される変数ー資本設備雇用咲所定外労佑時間
h︑
期借入金需要
B
ーの解が求められる︒方程式
(3
. 5)
︑︑をみて解るように︑労佑需要量らを決定する要因は︑労仇︑
Sおよび労佑と資本の相対価格︵引ご
5ふ麟から成つている︶
H . B .
C
he
ne
ry
: O
v e
r c
a p
a c
i t
y
am d A c c e l e r a t i o n p r i n c i p l E e
co
no
me
tr
ic
a
y a n .
1,
95
2
生産梅造の測定に直接規模函数を導入し︑それを測定した例としては︑
尾 崎 巌
﹁ 産 業 生 産 性 の 計 測
﹂ 三 田 学 会 雑 誌 第 四 七 巻 十 二 号 P.
3943
ここに行われた修正は︑愛応大学の尾崎氏の前掲論文における規模函数をそのまま利用させて戟いたものである︒尾崎 氏の場合には︑資本の指標として実動馬力数をとられているが︑規模函数そのものについては本文と同様の意団を持つ
ているものと考えられる︒
尾 崎 巌 前 掲 論 文 P.
3941
同右
P.
39
同右
P.
41
苫︳羞
X18h
11
只である︒
方程式(3.1)‑(3.8)
``
まで
参照
資金的制約による対立仮説
労佑
需要
のメ
カー
ーズ
ム︵
浜田
︶
に生産水準および規模係数である︒ 資本設備︑所定外労佑時間の生産弾力性
5 ︑
たは
(3 .5 )︑ ︑
である︒従って︑
≪,z
ヽ
五九
これに対して︑もし︑
更 長