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消防団員の配置に関する実証研究

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Academic year: 2021

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1

消防団員の配置に関する実証研究

政策研究大学院大学 まちづくりプログラム

MJU10061

三輪 徹

1.

はじめにはじめにはじめにはじめに

1-1.

背景背景背景背景とととと問題意識問題意識問題意識問題意識

消防団とは,消防組織法に基づき,市 町村が消防本部とともに設置を義務付け られている消防機関である.消防団には,

火災の鎮圧,火災の予防や警戒,災害の 予防・警戒など様々な役割がある.火災 発生時においては初期消火が主な役割で あることから,本稿では,消防団の火災 の鎮圧に注目した.また,全国的には消 防団員数の減少が大きな課題であること から,消防団員の効果を検証するため,

消防団員の配置に焦点を当て分析した.

現状の消防団の配置は,市区町村の条例 に基づき,算定方法で決められているが,

焼損の危険性が高い住宅密集地域におい ても,そうでない地域においても,等し く同じ数だけの消防団員が配置されてお り,非効率性を招いている可能性がある.

1-2.

先行研究先行研究先行研究先行研究とのとのとの位置との位置位置づけ位置づけづけ づけ

消防団に関する先行研究としては次の ようなものがある.小西

(1998)

1 におい ては,消防団は常備消防では完全には代 替できない地域防災力を担っているため,

大規模災害時においては中心的な意味づ けを強化する必要があるということを示

1小西砂千夫(1998)「公共財の私的供給システムと しての消防団の研究」産研論集(関西学院大学)25号

した.また,小林・関沢

(2004)

2 におい ては,重回帰分析の結果,消防団は可住 地面積と小学校数に相関が強いことを明 らかにして,地域と密着した消防団の存 在を示した.

このような先行研究はあるものの,消 防団による火災の鎮圧の効果を実証分析 するという内容の先行研究は見当たらな い.そのため,焼損棟数に対する消防団 員の効果を分析する.

2.

現状分析現状分析現状分析現状分析

2-1.

定員数定員数定員数定員数ののの算定方法の算定方法算定方法算定方法

消防力の整備指針によると,消防ポン プ自動車の算定方法は,市街地の人口な ど,地域における,地勢,道路事情,建 築物の構造等の事情「諸事情」を勘案し た数とされている.また,消防団の定員 数の算定方法は,通常の火災に対応する ために必要な団員数と大規模災害時等に 対応するために必要な団員数を合算して 得た数とされている.通常の火災に対応 するために必要な団員数としては,消防 団が管理する消防ポンプ自動車等の操作 に必要な人員【消防ポンプ自動車1台につ き5人,手引動力ポンプ又は小型動力ポン プ1台につき4人】の数を算定するとして いる.

2小林将之・関沢愛(2004)「地域特性と消防団員数 の関連性に関する考察」2004年度地域安全学会

(2)

2 以上のことから,現在の消防団員の算 定方法は,消防ポンプ自動車に強く依存 しているといえる.

2-2.

物理的検証物理的検証物理的検証物理的検証

実例として,海老名市の消防団の状況 について住宅密度と消防団との関連性を 検証する.消防団の位置及び管轄範囲を 示した図が【図1】である.住宅密集地 域との関係を示した図が【図2】である.

【図1】及び【図2】から,住宅密集 地域にも,住宅がまばらな市街化調整区 域においても,住宅密度に関係なく,消

防団が設置されていることがわかった.

3.

理論分析理論分析理論分析理論分析

3-1.

公共財公共財公共財公共財としてのとしてのとしての消防団としての消防団消防団消防団

消防団には,消防サービスの一部分と しての性質を持ち,正の外部性を持つ公 共財であると考えられる.したがって,

消防団についても,公共財としての供給 が最適な量よりも過小になってしまうと いう問題があげられる.しかし,本稿に おいては,消防団の定員数の配置につい て分析する.また,消防団員は住宅密集 地域の火災においては消防署員よりも役 に立つ存在と考え,単純化のため,消防 署とは別の公共財として考える.

前章でみた事例のように,住宅密集地 域も住宅が密集していない地域も等しく 同じ消防団員を割り当てられている制度 である場合,最適な消防団員数になって いない事が予想される.

3-2.

消防団消防団消防団の消防団のの配置の配置配置配置にに関にに関関関するするする理論分析する理論分析理論分析 理論分析 理論分析にあたっては,単純化して

2

つ の地域を考える.ある

1

つの市町村に,隣 接する

2

つの地域,住宅密集地域である地 域

A

と住宅が密集していない地域

B

が存 在するとする.

住宅密集度を考慮に入れた消防団への 需要を考えた場合,住宅密集地である地 域

A

については消防団への需要は高いと 考えられる【図3】 一方,地域

B

につい ては,住宅が密集していない地域である ため,消防団の需要は地域

A

と比較して低 いと考えられる【図4】

これら地域

A

と地域

B

を合わせたもの が【図5】である.

【図1】 消防団の器具置き場の位置及び管轄範囲

・・・消防署の位置

・・・消防団の器具置き場の位置

【図2】 住宅密集地域との関係

第1種低層住居専用地域 第2種低層住居専用地域 第1種中高層住居専用地域 第2種中高層住居専用地域 第1種住居地域 第2種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 市街化調整区域

(3)

3 社会的な余剰が最大になる最適な消防 団員数は

S*

で決まるが,現状は,政府が

S

で数量規制を行っているため,三角形の

面積部分に死荷重が発生しており,この 市町村においては消防団の配置が非効率 を招いているといえる.

以上の分析から,現状の消防団の定員 の配置は,燃え広がりやすい所に重点的 に配置されていないために非効率性を招 いており,災害の危険性のあるところに 手厚く配置すれば,非効率性は改善され ると考えられる.

4.

実証分析実証分析実証分析実証分析

4-1.

推推推推計計計方法計方法方法方法

平成

12

年から平成

20

年までの市町村別 のパネルデータを用いて,実証分析を行 う.消防団員が焼損棟数に与える影響を 検証するため,次のモデルを推計する.

β0 :定数項 β1

~ β

6:パラメータ

X

1

~ X

6:コントロール変数

i

:市町村

t

:年

実証分析に用いるデータは,東京消防 庁「東京消防庁統計書」,東京都「消防 年報」,総務省統計局「統計でみる市区 町村のすがた」のデータを採用した.主 要な説明変数を下記に示す.

ln

(消防団員数)

現在決められている消防団の定員数は,

焼損棟数の減少には影響を与えていない との仮説により,有意ではない係数にな ると予想される.

ln

(消防団員数)*

ln

(住宅密度)

住宅密度と消防団員の関連性を見るた め,交差項を用いた.住宅密度が高まる

【【

【図図33】】】】 地域地域A(地域地域A(A(住宅密集地域A(住宅密集地域住宅密集地域住宅密集地域)))

団員数 報酬

0

S

DA WU1

【【

【図図44】】】】 地域地域地域B(地域B(B(住宅B(住宅が住宅住宅が密集密集密集していない密集していないしていないしていない地域地域地域地域))) 団員数 報酬

0

S

DB WU2

【【

【図図55】】】】 地域地域地域A地域Aとと地域地域B地域地域Bをを合合わせたわせたわせたわせた図

団員数 報酬

0

S S*

DA DB WU1

W*

WU2

ln Y

it

= β

0

+ ln β

1

ln X

1 it

+ ln β

2

ln X

2 it

+ ln β

3

ln X

3it

+ ln β

4

ln X

4 it

+ ln β5 ln X5 it + ln β6 ln X 6 it + ε it

(4)

4 と消防団の必要性も増してくると考え,

住宅密度が高い地域に,重点的に消防団 員が配置されていれば,焼損棟数の減少 に影響があると思われるため,有意に負 の係数になると予想される.

基本統計量を【表1】に示す.

4-2.

推推推推計計計計結果結果結果結果

推計結果を【表2】に示す.

***、**、* は、それぞれ1%、5%、10%の水準で統計的に有意であることを示す

消防団員数の係数の符号は正であり,

統計的に有意ではないという結果が得ら れた.また,消防団員数*住宅密度の係 数の符号は負であり,

5

%の水準で統計的 に有意であるという結果が得られた.

現状の消防団員は焼損棟数の減少には 効果がないということと,住宅密度の高 い地域により手厚く消防団員を配置すれ ば,焼損棟数の減少に効果があるという ことが実証できた.

5.

考察考察考察考察

前章までの分析結果から,住宅密度の 高い地域への消防団員の増員という方向 性が考えられるため,社会的な余剰も踏 まえると,管轄エリア内の消防団員の配 置転換は有効な施策であると考えられる.

焼損棟数を減少させるためには,住宅 密度の高い地域に手厚く消防団員を割り 当てるべきであり,現在の消防団の定員 数の算定方法は,消防ポンプ自動車に依 存している傾向が強いので,住宅密度を 加味した定員数の算定方法に改善するべ きであると考える.

また,消防団員を多く配置したエリア については,団員数の比率に合わせて,

消防ポンプ自動車も増加させるなどの対 応も必要であると考える.

6.

まとめまとめまとめまとめ

消防団員の算定・配置方法は,住宅密 度を勘案した基準に見直すべきであると いうことを本稿の政策提言とする.

モデルのより一層の精緻化を図り,消 防署との役割分担を明確に研究した上で,

幅広く消防団の効果についての分析を行 うことを今後の検討課題としたい.

観測値 平均値 標準偏差 最小値 最大値 198 3.759 0.769 0.000 5.429 198 2.942 0.362 2.249 4.002 198 3.539 0.769 0.000 5.093 198 7.33 0.484 5.470 7.836 198 5.597 0.792 4.276 7.367 198 7.580 0.625 5.293 8.990 198 -0.142 0.189 -0.554 0.140 ln 水利数

ln 消防団員数 * ln 住宅密度       【       【       【

      【表表11】 】 】 基本統計量】 基本統計量基本統計量基本統計量

ln 焼損棟数 ln 木造割合 ln 火災件数 ln 住宅密度 ln 消防団員数

ln 焼損棟数 FE

0.129 [0.13]

0.959 ***

[0.05]

-0.519 [0.70]

0.579 [0.37]

0.138 [0.14]

-1.301 **

[0.54]

-0.684 [5.86]

72.23 0.7183

198 F 又は Wald X2

観測数 ln 火災件数 ln 住宅密度 ln 消防団員数

ln 水利数

ln 消防団員数 * ln 住宅密度 定数項

【 表表22】 】 】  推計結果】 推計結果推計結果推計結果 被説明変数

推計モデル

説明変数 係数 [標準誤差]

ln 木造割合

参照

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