宇宙環境に対する放射線耐性改善を図った ASIC プリアンプ内蔵型 サーチコイル磁力計の開発
徳永 祐也
†尾崎 光紀
†a)八木谷 聡
†糀 宏樹
†小嶋 浩嗣
††米徳 大輔
†Development of Search Coil Magnetometer with Built-in ASIC Preamplifier Improving High Radiation Tolerance In Space Environments
Yuya TOKUNAGA
†, Mitsunori OZAKI
†a), Satoshi YAGITANI
†, Hiroki KOJI
†, Hirotsugu KOJIMA
††, and Daisuke YONETOKU
†あらまし 科学衛星を用いた自然電磁波の一種であるプラズマ波動の交流磁界観測が行われている.この観測 は,サーチコイルとプリアンプを用いる.サーチコイルは,衛星本体からのノイズの影響を防ぐため,衛星から 数m離れたマスト先端に配置される.従来のプリアンプはディスクリート部品で構成され放射線耐性が低く,数 mm厚の重金属製放射線シールドが必要である.そのため,プリアンプは衛星内部に配置される.サーチコイル に検出された微弱信号(数mV)は,プリアンプにより増幅される前に数mのケーブルを通ることで雑音の影響 を受ける.この雑音はセンサ性能の劣化につながる.この問題に対し,本研究はプリアンプ一体型のサーチコイ ルを提案する.この方式は,従来のプリアンプをASIC化し,小型軽量化と同時に放射線対策を図ることが必須 である.ASICプリアンプはサーチコイル内部に配置され,サーチコイル自体を放射線シールドとして利用する.
そのため,質量リソース増大の原因である重金属製放射線シールドを使用しない.本論文は,ASICプリアンプ 内蔵型サーチコイルの電気特性と高放射線環境下における振る舞いを定量的に評価した結果について報告する.
キーワード ASIC,サーチコイル,交流磁界観測,プラズマ波動,放射線耐性
1.
ま え が き1. 1
宇宙プラズマ波動観測宇宙空間に存在するプラズマが地球の磁場に捉え られることで放射線帯を形成している
[1]
.この放射 線帯は,内帯(高度約6,000 km
以下)と外帯(高度 約13,000
〜40,000 km
)に分かれている.放射線帯か らの高いエネルギーをもつ粒子が飛び交う静止衛星 軌道上(高度約36,000 km
)に通信衛星や放送衛星な どの商用衛星が存在し,この放射線による衛星障害 の可能性が報告されている[2]
.この放射線は,プラ†金沢大学自然科学研究科,金沢市
Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University, Kakumamachi, Kanazawa-shi, 920–
1192 Japan
††京都大学生存圏研究所,宇治市
Research Institute for Sustainable Humanosphere (RISH), Kyoto University, Gokasho, Uji-shi, 611–0011 Japan a) E-mail: ozaki@is.t.kanazawa-u.ac.jp
DOI:10.14923/transcomj.2019JBP3004
ズマ波動と粒子が共鳴することで発生すると考えら れている.そこで,宇宙空間の安全な利用を目指すた め,放射線帯形成と密接に関係しているプラズマ波動 を観測し,そのメカニズムを解明する必要がある.従 来は,単一の衛星でプラズマ波動の観測が行われて いた.しかし,プラズマ波動は空間を伝搬するため単 一の衛星では,時間変動と空間変動との分離が困難 であった.そこで,複数衛星を用いた多点観測が行わ れるようになった.例を挙げると
ESA
のCluster
衛 星(1996
年4
機打上)[3]
,NASA
のTHEMIS (Time History of Events and Macroscale Interactions dur- ing Substorms)
衛星(2007
年5
機打上)[4]
やNASA
のMMS (Magnetospheric MultiScale)
衛星(2015
年4
機打上)[5]
等がある.しかし,これらの衛星は数機 しか軌道に投入できず,十分な空間分解能を得られて いないのが現状である.このため,科学衛星を小型化 し,多数打ち上げることが重要となっている.同様に,搭載科学機器の小型化も求められる.搭載科学機器に
表1 典型的なプラズマ波動の周波数範囲とスペクトル密 度[11]
Table 1 Frequency range and spectral density of typ- ical plasma waves [11].
Plasma wave Frequency Spectral density
range (T/Hz1/2)
EMIC waves 1∼10 Hz 100p∼10n
Magnetosonic waves 10∼500 Hz 10p∼100p Chorus waves 100 Hz∼10 kHz 1p∼10p Hiss waves 100 Hz∼10 kHz 1p∼10p
おける小型化技術の一つとして
ASIC
(Application Specific Integrated Circuit
:特定用途向け集積回路)技術がある.
ASIC
技術は特定用途向けにトランジス タレベルの設計が行えるため,科学要求を満たす電 気特性を実現可能である.このASIC
技術を用いた 宇宙用搭載科学機器の小型化が2000
年代後半より積 極的に用いられている.その例として,直流磁界観 測[6]
,交流磁界観測[7], [8]
やプラズマ波動観測用の 受信器[9], [10]
に応用されている.本研究は,プラズ マ波動における交流磁界成分観測の小型軽量化を図 る.表1
は,地球磁気圏における観測対象のプラズマ 波動(1 Hz ∼ 10 kHz)
を示す.これらのプラズマ波動 は,表1
のように1p ∼ 10n T / Hz
1/2の磁界スペクト ル密度分布を有する[11]
.また,地球周辺における温 度変化は,約−90∼+70
◦C
である[12]
.更に,本研 究で開発されたセンサを地球磁気圏における放射線帯 の内帯での運用を想定した場合,数百MeV
以上のプ ロトンに暴露されることが考えられる[13]
.惑星探査 での運用を想定すると,400 krad
以上の放射線耐性 が求められる[14]
.木星は,太陽系で一番放射線が強 い[12]
.そのため,木星における観測期間約1
年以上 の極軌道探査に使用されるもの[14]
より優れた放射線 耐性を有することで,その他の惑星でも使用できると 考えられる.1. 2
交流磁界観測三次元空間を伝搬するプラズマ波動ベクトルを観測 するため,交流磁界観測器は,衛星本体のマスト先端 に配置される三軸サーチコイルと三軸サーチコイルか ら数
m
のケーブルによって接続される三つのプリアン プ(衛星本体内部)で構成される.図1
は,従来(a)
と本研究(b)
における交流磁界観測一軸分の模式図を 示したものである.図1(a)
のようにプラズマ波動の 交流磁界成分を検出するためには,磁性体コアとソレ ノイドコイルで構成されるサーチコイルを使用する.図1 (a)従来と(b)本研究における交流磁界観測 Fig. 1 (a) Conventional and (b) new methods in AC
magnetic field measurements.
サーチコイル周囲における電位変化を防ぐため,サー チコイルは静電シールドで覆われる.サーチコイルの 誘導起電力は微弱(数
mV
)であるため,プリアンプ を用いて数V
まで増幅し,受信器で信号処理を行う.図
1(a)
に示すような従来の方式において,小型化を 困難にしている問題と観測精度の劣化問題が存在す る.従来のプリアンプはディスクリート部品で構成さ れており,単体では放射線耐性が低い.そのため,数mm
厚の重金属を用いた放射線シールド(約300 g
) を必要とし,質量リソースが増大する.また,衛星本 体は電子機器が密集しており観測に影響を及ぼすノイ ズが発生する.衛星からのノイズの影響を防ぐため伸 展機構により衛星から離れた場所にあるサーチコイル とプリンアンプを数m
のケーブルで接続する.本来 ならサーチコイルの直下にプリアンプを配置する必要 があるが,放射線シールドを必要とするプリアンプを 伸展機構の先端に配置するのは困難であるため,衛星 本体内部にプリアンプが配置されることがある.そし て,サーチコイルにより検出された微弱信号は,数m
のケーブルを用いて伝送される.微弱信号の伝送過程 で,ケーブルが電界センサとして働き,磁界成分の観 測が主目的であるにもかかわらず,電界成分を誤検出してしまう可能性がある.これらの問題を解決するた め,本論文は,従来のプリアンプを
ASIC
化すること で小型軽量化と同時に高い放射線耐性を付与し,サー チコイル内部にASIC
プリンアンプを内蔵することを 提案する(図1(b)
参照).この方式では,特殊なレイ アウト作法[8]
を用いて,ASIC
プリアンプに放射線 対策を図ることが必須となる.本論文の方式は,従来 のサーチコイル内部にある棒状の磁性体コアを分割す ることでASIC
プリアンプを配置する空間を設ける.放射線耐性に優れた
ASIC
プリアンプをサーチコイル に内蔵することで,銅の塊とみなせるサーチコイルを 等価的に放射線シールドとして利用し,放射線耐性の 強化を図る.従来の放射線シールドを使用しないため,質量リソースの大幅な削減が実現する.更に,サーチ コイルが検出した微弱信号を数
m
のケーブルで伝送 する前に増幅できるため,電界成分をプリアンプで増 幅することがなくなる.ASIC
プリアンプをサーチコ イルに内蔵する上で三つの点について検討をする必要 がある.一つは2.
で述べるコアの実効透磁率である.ASIC
プリアンプを配置する空間を確保するため従来 の棒状コアを四分割化する.そのため,磁性体コアの 分割前後で実効透磁率がどのように変化するかを調査 する必要がある.二つ目は,3.
で述べるサーチコイル にASIC
プリアンプを内蔵したときにおける電気特性 である.ASIC
プリアンプが配置される場所は,磁束 が集中するところであり,磁気結合の影響を強く受け る.そのため,ASIC
プリアンプをサーチコイルに内 蔵する前後で電気特性が変化しないかを確認する.三 つ目は,4.
で述べるサーチコイルを放射線シールドと して使用した場合のシールド性能と放射線が入射した 場合におけるサーチコイル内部のASIC
プリアンプへ の影響を評価する.最後に,5.
で2.
〜4.
の検討事項 を踏まえた上で試作したASIC
プリアンプ内蔵型サー チコイルの詳細な電気特性について述べる.ASIC
プ リアンプは,TSMC
社の0.25 μ m
プロセスを使用し て開発したものである.このASIC
プリアンプは宇宙 空間を模擬した温度試験とガンマ線を用いた放射線試 験を行い− 60
〜+100
◦C
の温度耐性と400 krad
以上 の放射線耐性を有することがこれまでの研究で分かっ ている[8]
.2.
磁性体コア分割に伴う実効透磁率の変化 一般的なサーチコイルは,内部に棒状の磁性体コア が内蔵されている.サーチコイル内部に磁性体コアを入れることで,磁束を収束させることができる.鎖交 する磁束の増加率が実効透磁率となる.この実効透磁 率
μ
effと比透磁率μ
sの関係は,μ
eff= 1
1
µs
+ N (1 −
µ1s) (1)
で表される.式
(1)
のN
は反磁界係数である[15]
. サーチコイル内部には,棒状の磁性体コアが内蔵され ているため,ASIC
プリアンプを配置する空間がない.そこで,サーチコイル内部に
ASIC
プリアンプを内蔵 するため,従来の棒状磁性体コアを分割し,ASIC
プリ アンプを配置する空間を確保する.そのため,分割す る前後で実効透磁率の変化を測定とシミュレーション を用いて評価を行う.測定ではヘルムホルツコイルとFFT
アナライザを使用して誘導起電力より実効透磁率 を測定する.実効透磁率のシミュレーションは,有限 要素法を用いる(株式会社フォトンのPHOTO-series (Eddy j ω )
).簡単のため,シミュレーションは磁性体 コアだけをモデリングし,1 nT
の一様磁界を印加し 求めた.磁性体コアは,90 mm
長の直方体で,材質は フェライトであり,比透磁率は1000
とした.図2
は 評価対象の磁性体コア(a)
とその磁性体コアに対応す る実効透磁率の測定とシミュレーション結果(b)
を示 したものである.棒状の磁性体コアを分割した場合に おける実効透磁率の変化傾向を調べるため,No.1
の磁 性体コアを二分割したNo.2
と四分割したNo.3
を用意 した.評価対象の磁性体コアNo.1
〜No.3
は,長さが90 mm
で材質がフェライトであり,体積が一定である.
No.1
は,一般的なサーチコイル内部に入っている 棒状の磁性体コアであり,断面は10 × 10 mm
である.No.2
とNo.3
は,ASIC
プリアンプを配置する空間を 確保するため,分割されている.No.2
はNo.1
を縦に 二分割したものであり,断面が10 × 5 mm
の磁性体 コアが4 mm
の間隔で二本配置されている.No.3
はNo.1
を四分割したものであり,断面が5 × 5 mm
の 磁性体コアが四本配置されている.各コア間は4 mm
離して配置されている.図2(b)
より,No.1
と比較し て断面を分割したNo.2
とNo.3
の方が,実効透磁率 が大きくなっていることが分かる.No.1
とNo.3
を比 較するとNo.3
の実効透磁率がNo.1
より1.76 dB
大 きい.そのため,本研究では,No.3
の四分割を採用し た.以上より,センサー内にASIC
プリアンプを配置 する空間を作ることで,実効透磁率は高くなり,磁界 センサの感度が向上する.磁性体コアは断面積が小さ くなることでより磁束を収束させやすくなるという性図2 (a)磁性体コアの概略図と(b)実効透磁率の測定と シミュレーション
Fig. 2 (a) Illustration of magnetic cores, (b) mea- surements and simulations of permeability.
質がある
[15]
.分割したコアの場合,分割されたコア を独立したコアとみなすことができる.No.1
の棒状 コアとNo.2
やNo.3
の分割されたコアと比較するとNo.1
より断面積が小さいコアが複数あることになる.そのため,分割したコアである
No.2
やNo.3
の方がNo.1
と比較して磁束が収束しやすいと考えられる.3. ASIC
プリアンプの配置による磁界ゲ インと磁界感度ASIC
プリアンプは,サーチコイル内部に内蔵する ため磁束が最も集中する場所に配置される.そこで,ASIC
プリアンプの内蔵前後で磁界ゲインと磁界感度 が変化しないかを測定を行い確認する.測定で使用する 円柱型のサーチコイルは,サイズが36 × 75 mm
(直径×
長さ)でコイルの巻き数は12000
回である.磁性体 コアの材質はフェライトであり,図2(a)
のNo.3
で示 したサイズである5 × 5 × 90 mm
ものを4
本使用する.このサーチコイルのインダクタンス
L
は10.9 H
,抵抗R
は2.1 kΩ
である.また,線間の寄生容量は25 pF
である. 図3
は,サーチコイルにおけるインピーダ ンス特性の測定と計算結果である.このサーチコイル は,9.4 kHz
に共振をもっており,30 kHz
付近に寄生 容量による複共振が見られる.図4
は,ASIC
プリア ンプを構成するオペアンプ1 (AMP1)
と2 (AMP2)
のレイアウトである.AMP1
は,サーチコイルと接続 され,サーチコイルが検出した微弱なプラズマ波動の 電気信号(数mV
)を増幅する.AMP2
はAMP1
の図3 サーチコイルのインピーダンス特性 Fig. 3 Impedance characteristic of search coil.
図4 オペアンプ1(AMP1)とオペアンプ2 (AMP2)の レイアウト
Fig. 4 Layouts of operational amplifier 1 (AMP1) and operational amplifier 2 (AMP2).
後段に接続され,ゲイン調節用である
[16]
.また,回 路シミュレーションを用いることで(メンター・グラ フィックス・ジャパン株式会社のTanner EDA
),素 子パラメータだけで計算される最適な条件下の磁界ゲ インと磁界感度をサーチコイル内部にASIC
プリアン プを配置した場合(図1(b)
参照)におけるそれらの 測定値と比較する.図5
は,ASIC
プリアンプ内蔵前 後の磁界ゲインの測定結果とシミュレーション結果を 示す.測定値における内蔵前後の内蔵前を基準とした 比は,0 . 32 dB (10 kHz)
となった.また,シミュレー ションを基準とした場合の比は−0.42 dB (100 Hz)
で あり,測定とシミュレーションの比は1 dB
以下であっ た.そのため,磁気結合による影響は十分小さいとい える.18
〜30 kHz
付近に存在する共振は,図3
で生 じていたハーネス等の寄生容量による複共振の影響で ある.この複共振は,1.1
の表1
で示した観測対象の 周波数帯域外であるため,プラズマ波動観測に影響し ない.図6
はASIC
プリアンプをサーチコイル内部に 内蔵前後の磁界感度を示す.測定値の内蔵前後におけ る,磁界感度の比は0.67 dB (10 kHz)
であり磁界ゲ図5 ASICプリアンプ内蔵前後における磁界ゲイン Fig. 5 Magnetic gain before and after the built-in
ASIC preamplifier.
図6 ASICプリアンプ内蔵前後における磁界感度 Fig. 6 Magnetic sensitivity before and after the
built-in ASIC preamplifier.
インと同様に許容範囲である.シミュレーションと測 定値では
1 Hz
で−10.93 dB
の比(シミュレーション 値を基準)がある.ASIC
チップ内に使用されるポリ シリコン抵抗は,周波数に依存するフリッカ雑音と熱 雑音を生じる.しかし,シミュレーションで使用され るSPICE
パラメータには,ポリシリコン抵抗のフリッ カ雑音が考慮されていないため1 Hz
で−10.93 dB
の 比が生じる.図6
において,内蔵前後の両方で確認さ れるスペクトル20
,30 Hz
付近と60 Hz
を基本波と した高調波は,測定環境由来の外来ノイズとハムノイ ズである.これらのノイズは,本研究におけるセンサ 固有の特性ではないため,プラズマ波動観測に影響は 及ばない.以上の図5
と図6
の測定結果より,ASIC
プリアンプ内蔵による磁界ゲインと磁界感度への影響 が十分に低いということが分かる.4.
放射線耐性4. 1
電子回路における放射線の影響ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイルは,従来の放 射線シールドを使用せずに,サーチコイルのソレノイ ドコイルを放射線シールドとして利用する.宇宙の放図7 放射線照射前と照射中における出力雑音の時間変化 Fig. 7 Time variation of output noise before irradia-
tion and during irradiation.
射線が
ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイルに与える 影響について評価する必要がある.放射線が電子回路 に入射した場合,電子回路に与える影響は大きく分け て,瞬間的な影響であるシングルイベント効果と長期 的な影響のトータルドーズ効果に分けられる.シング ルイベント効果は,電荷をもつ荷電粒子(アルファ線 やベータ線等)が電子回路に入射した場合である.荷 電粒子が電子回路に入射すると,電子回路に与えるエ ネルギーが大きいため,デジタル信号の1
と0
が反転 したり,瞬間的に異常な出力をすることがある.図7
は,220 MeV
のアルファ線を放射線対策がなされて いないASIC
で作られたオペアンプに照射したときの 照射前と照射中の出力雑音である.照射前と照射中を 比較すると異常な出力をしていることが分かる.図7
における照射中の異常な出力電圧は,アルファ線によ るシングルイベント効果によって生じ,アルファ線照 射間隔(2 sec)
と同期している.トータルドーズ効果 は,ガンマ線やエックス線等により引き起こされる.物質の透過力が強い電磁波が長期間に渡り電子回路に 入射した場合,電気特性の劣化が引き起こされる.惑 星探査を目的とした宇宙機器における放射線耐性の目 標値は,
400 krad
あれば十分な耐性を有しているとい える[14]
.4. 2
放射線シミュレーションASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイルにおいて,サー チコイルの放射線シールド性能を評価するため,放 射線シミュレーションする.また,放射線シミュレー ションと放射線試験結果からサーチコイルを貫通する 放射線が入射したときのASIC
プリアンプへの影響を 考察することが目的である.放射線シミュレーション には,モンテカルロ計算コードの一つであるPHITS
(Version 2.80) [17]
を使用する.各放射線シミュレー ションは,90%
以上の信頼度を許容できるとし,試 行回数を設定してシミュレーションを行う.ASIC
プ リアンプ内蔵型サーチコイルはサーチコイルを放射線 シールドとして使用する.サーチコイルのソレノイド コイルは銅線が密集した銅の塊としてみなせるため,シミュレーションでは
5 mm
厚の銅でコイルを模擬す る.ASIC
プリアンプにおける放射線による電気特性 への影響は,ASIC
プリアンプを構成するMOSFET
のゲート酸化膜に放射線が入射することが原因であ る.そのため,ASIC
プリアンプは5 × 5 mm
で厚さ1 mm
のSiO
2に置き換えてシミュレーションを行う.4. 3
サーチコイルの放射線シールド性能評価 アルファ線はHe
原子核であり,荷電粒子であるた め物質に与えるエネルギー量が大きいが,物質の透過 力は弱い.地球磁気圏を考えた場合,プロトンや電子 が多く占めている[13]
.アルファ粒子の質量は,プロ トンや電子と比較すると大きい.そのため,アルファ 線は物質に与えるエネルギーも大きくなる.アルファ 線の照射に対して耐性を確認できれば,プロトンや電 子による耐性も十分あることが確認できると考えられ る.アルファ線(ペンシルビーム)がサーチコイルの ソレノイドコイルを模擬した銅板5 mm
に入射した場 合,銅板が放射線シールドとして使用可能かをシミュ レーションにより評価を行った.その結果,5 mm
の 銅板は,240 MeV
未満のアルファ線を遮蔽することが 可能である.しかし,240 MeV
以上だと銅板5 mm
を貫通する.そこで,240 MeV
のアルファ線が5 mm
の銅板に与えるエネルギーをシミュレーションにより 導出した.その結果,240 MeV
のアルファ線は銅板5 mm
に対して181 MeV
(信頼度98.0%
以上)のエ ネルギーを付与することが分かった.そのため,ASIC
プリアンプには59 MeV
までエネルギーが減少した アルファ線が入射する.そこで,若狭湾エネルギー研 究センターで照射可能な最大値である220 MeV
のア ルファ線をASIC
プリアンプに直接入射する試験を 行った.試験では,ASIC
プリアンプを基板に実装し,ASIC
プリアンプを導通させた状態で行った.図8
は 放射線試験中のASIC
プリアンプを構成するAMP1
とAMP2
の出力雑音(a)
と出力雑音スペクトル(b)
の時間変化である.照射時間は13 : 10 ∼ 16 : 15
と17 : 50 ∼ 18 : 20
であり,途中のデータが抜けている のは放射線の照射と測定を止めていたからである.図
8
より,放射線照射中に図7
のような異常電圧や図8 アルファ線をASICプリアンプに照射していると きの(a)出力雑音と(b)出力雑音スペクトルの時間 変化
Fig. 8 Time variations of (a) output noise and (b) output noise spectrum during irradiation of alpha ray to the ASIC preamplifier.
異常なスペクトル等がみられなかった.また,照射 していない区間(
12 : 30 ∼ 13 : 10
,16 : 15 ∼ 17 : 50
と18 : 20 ∼ 19 : 00
)と照射中を比較しても出力雑音 と出力雑音スペクトルに変化がないことが分かる.ま た,放射線試験中に消費電力もモニタリングしていた が,照射前後で変化はなかった.更に,絶縁体(基板 やケーブルの被覆等)の荷電粒子蓄積による電位変化 も想定されるが,測定結果からはその影響はみられな かった.そのため,プラズマ波動観測への荷電粒子蓄 積による電位変化の影響は,低いと考えられる.これ らより,ASIC
プリアンプは220 MeV
のアルファ線 が入射しても電気特性に影響がないということが分か る.ASIC
プリアンプに特殊なレイアウトを施し,放 射線耐性の向上を図っているためである[8]
.そのた め,240 MeV
以上のアルファ線がASIC
プリアンプ 内蔵型サーチコイルに入射した場合,サーチコイルに よるアルファ線のエネルギーロスを考慮するとASIC
図9 吸収線量シミュレーションモデル Fig. 9 Simulation model of total dose rate.
プリアンプへの放射線の影響は極めて低いものと考え られる.
4. 4
内蔵されたASIC
プリアンプの放射線吸収線 量評価トータルドーズ効果の評価は,ガンマ線とアルファ 線を用いて行う.ガンマ線は電磁波の一種であり,物 質に与えるエネルギー量は小さいが,物質の透過力が 高く遮蔽が困難である.このガンマ線を遮蔽するため には数
m
厚の鉛が必要となる.そのため,サーチコ イル内部にあるASIC
プリアンプにガンマ線が入射す るのは避けられない.本論文では1 MeV
のガンマ線 を用いて,サーチコイル内部に配置されているASIC
プリアンプの放射線吸収線量をシミュレーションによ り評価する.線源はガンマ線のペンシルビームとし,一年間に渡り,
ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイル に照射した場合におけるASIC
プリアンプの吸収線量 をシミュレーションする.図9
にシミュレーションモ デルを示す.外径が30 mm
で内径が20 mm
である サーチコイルを模擬した銅の円筒に5 × 5 mm
で厚さが1 mm
のASIC
プリアンプを模擬したSiO
2を内蔵し,それらの周囲を真空としたモデルである.図
9
のよう に銅の円筒側面から放射線照射を行う.円筒上面・底 面からの照射の場合,円筒側面からの照射結果と比較 して,ASIC
プリアンプの放射線吸収が低くなること を放射線シミュレーションで確認している.円筒上面・底面からの照射において,
ASIC
表面より0.2
倍小さ いASIC
プリアンプ側面への照射となるため,ASIC
プリアンプと衝突する放射線が少ない.本論文では,ASIC
プリアンプに照射される最悪ケースの評価をす るため,円筒側面からの放射線照射を行う.図10(a)
はガンマ線のシミュレーション結果である.この結果図10 (a)ガンマ線と(b)アルファ線を用いた吸収線量 シミュレーション結果
Fig. 10 Simulation results of total dose rate using (a) gamma ray and (b) alpha ray.
は
− 15 ∼ − 10 mm
と10 ∼ 15 mm
がサーチコイルで あり,0 ∼ 1 mm
はASIC
プリアンプである.ASIC
プリアンプにおける年間吸収線量のシミュレーション 結果は0 . 052 rad / year
以下(信頼度99.2%
)で収ま ることを示した.同じシミュレーションを5 mm
の銅 板を貫通する240 MeV
のアルファ線で行った.その 結果が図10(b)
である.アルファ線のような荷電粒子 は,飛程が止まるときに急激にエネルギーを放出して 止まる性質があり,240 MeV
だと,ASIC
プリアンプ が存在する場所でエネルギーが急上昇して止まってい ることが分かる.そのため,10 ∼ 15 mm
に存在する 銅にはエネルギーを与えていない.アルファ線の場合,ASIC
プリアンプの最大吸収線量は1728 rad/year
(信 頼度99.9%
)である.しかし,ASIC
プリアンプは,コバルト
60
を線源とした放射線試験によりガンマ線 に対して400 krad
の耐性があることが確認されてい る[8]
.そのため,ガンマ線やアルファ線が長期間に渡 りASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイルに入射しても トータルドーズ効果による電気特性の劣化が起きる可 能性は低いことが考えられる.以上より,サーチコイ ルの放射線シールド性能は,荷電粒子である240 MeV
未満のアルファ線を遮蔽可能である.240 MeV
以上のアルファ線が
ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイル に入射した場合,サーチコイルにおけるアルファ線の エネルギーロスとASIC
プリアンプのアルファ線への 放射線耐性を考慮すると,ASIC
プリアンプへの放射 線の影響は,ほとんどない.また,電磁波であるガン マ線に関しては,物質の透過力が高いため,サーチコ イルでは遮蔽が不可能である.しかし,サーチコイル 内部のASIC
プリアンプは,ガンマ線への放射線耐性 があるため,ガンマ線によるASIC
プリアンプへの影 響は極めて小さい.5. ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイル2.
〜4.
までの検討をもとに開発したASIC
プリアン プをサーチコイル内部に配置したASIC
プリアンプ内 蔵型サーチコイルを試作した.図11(a)
は,サーチコ イルとASIC
プリアンプである.このサーチコイルは,3.
の測定で使用したサーチコイルと同様のものである.図
11(b)
はASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイルであ る.提示するセンサの試作モデルのサイズは42 × 105 mm
で質量は176 g
であり,消費電力は 約4 mW
で ある.サーチコイルは,静電シールドで静電界の検出 を防ぐ必要がある.従来は,アルミ製の静電シールド が使用されていたが,渦電流の影響を受ける[18]
.そ こで,本研究ではCFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastic)
を静電シールドに採用する.CFRP
はアルミ シールドと比較して電気伝導率が1000
倍大きく,渦 電流損を低減することが可能であり,渦電流の影響 を軽減できる.このASIC
プリアンプ内蔵型サーチ コイルとJAXA
のMMO (Mercury Magnetospheric Orbiter)
衛星(2018
年打上)に搭載されているサー チコイルの電気特性と比較を行う.MMO
衛星に搭載 されているサーチコイルは,マストの先端に配置され ており,サーチコイルに接続されるプリアンプはディス クリート部品で構成される[19], [20]
.図12
は,MMO
衛星のサーチコイル[19]
と本研究のサーチコイルにお ける磁界感度を示し,それらに観測対象のプラズマ波 動(1.
の1.1
表1
参照)における磁界スペクトル密度 分布を表したものである.微弱な自然電磁波であるプ ラズマ波動を検出するには,サーチコイルの磁界感度 特性が重要視される.図12
より,最小感度を比較す ると,本研究の場合は約20 fT/Hz
1/2(1 kHz)
であり,従来も同様に約
20 fT/Hz
1/2(3 kHz)
である.従来と ほぼ同等な性能を実現できており,プラズマ波動の交 流磁界成分観測に十分使用することが可能である.図図11 (a) ASICプリアンプ,サーチコイルと(b) ASIC プリアンプ内蔵型サーチコイルの写真
Fig. 11 Photographs of (a) ASIC preamplifier, search coil and (b) search coil with built-in ASIC preamplifier.
図12 プラズマ波動の磁界スペクトル密度分布(四角 枠)[11]に対するMMO衛星に搭載されている サーチコイル[19]とASICプリアンプ内蔵型サー チコイルの磁界感度
Fig. 12 Magnetic sensitivity of search coil onboard MMO satellite [19] and search coil with built- in ASIC preamplifier for distribution (Square frame) of magnetic spectral densities [11] in plasma waves.
12
の1 kHz
以降の特性が異なるのは,サーチコイル 固有の共振周波数に依存するためである.それに伴い,MMO
衛星のサーチコイルと本研究のものでは,磁界 感度の周波数特性が異なる.磁界感度の周波数特性は,図
12
のように各周波数帯域におけるプラズマ波動の 磁界スペクトル密度分布より低くなっていることが重要である.本研究の磁界感度は,約
±26 dB/dec
の傾 きで増減するが,MMO
衛星搭載用サーチコイルと同 様に本論文の磁界感度は,対象とするプラズマ波動の 磁界スペクトル密度分布より十分に低いため観測には 影響しない.MMO
衛星のサーチコイルにおける消費 電力と質量リソースは約200 mW
で約600 g
である.これらの物理的リソースと
ASIC
プリアンプ内蔵型 サーチコイルを比較すると消費電力に関しては約99%
の削減ができ,質量は約
30%
の軽量化が実現した.6.
む す び本研究は,宇宙の自然電磁波であるプラズマ波動観 測における交流磁界成分観測を対象に,小型軽量化を 行うため放射線耐性を改善させた.その方法は,
ASIC
化したプリアンプをサーチコイル内部に配置するとい うものである.ASIC
化したプリアンプに特殊なレイ アウト作法[8]
を用いることで,プリアンプに放射線 耐性を付与する.それと同時に,サーチコイル自体を 放射線シールドとして利用することで更に放射線耐性 を強化するという,これまでにない方式である.サー チコイル内部の棒状磁性体コアは,ASIC
プリアンプ を内蔵する空間を作るために四分割化される.この方 式を提案する上で,磁性体コアが分割されることによ る実効透磁率の変化,磁束が最も集中するサーチコイ ル内部に配置されるASIC
プリアンプへの磁気結合 の影響とサーチコイルを放射線シールドとして利用 した場合のシールド性能を定量的に評価した.磁性体 コアを分割することで実効透磁率は,分割前と比較し て大きくなるということが測定とシミュレーションか ら分かった.磁性体コアの分割は,サーチコイルの直 径が大きくなるというデメリットに対して,サーチコ イルの感度を向上させることが可能である.サーチコ イル内部のASIC
プリアンプは,ASIC
プリアンプ内 蔵前後の測定結果から磁気結合の影響がないことが 分かった.サーチコイルの放射線シールド性能は,放 射線シミュレーションより荷電粒子であるアルファ線240 MeV
未満を遮蔽可能であり,荷電粒子に対する放射線シールドとして利用可能である.しかし,物質 透過力が高い電磁波のガンマ線は遮蔽不可能である.
ASIC
プリアンプは,惑星探査を可能とする400 krad
以上[14]
のガンマ線入射による電気特性の劣化がない ことが確認されている[8]
.そのため,ガンマ線がサー チコイルを透過してASIC
プリアンプに入射しても,放射線による
ASIC
プリアンプの電気特性への影響は極めて低い.我々は,以上の検討事項を踏まえた上で,
ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイルを試作し,試作 したものと実際に運用されているMMO
衛星のサーチ コイルと性能比較を行った.その結果,試作したサー チコイルは,プラズマ波動観測に使用可能な十分な電 気特性を有している.それに加え,質量リソースと消 費電力は,MMO
衛星のものと比較して約30
%と約99
%の削減が実現した.これらのリソース削減は,衛 星の小型軽量化につながり今後の宇宙空間におけるよ り詳細な放射線帯形成メカニズムの解明に貢献できる のではないかと考えられる.以上より本研究は,従来 のサーチコイルにおいて困難とされていた質量リソー スの低減化に対して,ASIC
プリアンプ一体型サーチ コイルという新たな方式を提案し,その方式を定量的 に評価することで有用性を示した.今後の課題は,
ASIC
プリアンプ内蔵型サーチコイ ルにおける機械的強度の評価である.機械的強度に関 して,科学衛星などに本論文のセンサ搭載を考えた場 合,打上げ時の振動や衝撃への対策は重要である.そ のため,本論文のセンサに対して振動試験や衝撃試験 を行い,機械的強度を評価する.対策方法として,内 蔵されたASIC
プリアンプ,サーチコイルと磁性体コ アをポッティングし,ASIC
プリアンプへの振動や衝 撃を緩和することなどが挙げられる.謝辞 本研究を進めるにあたり,アルファ線試験と ガンマ線試験にご協力して頂いた若狭湾エネルギー 研究センターと東京工業大学放射線総合センター各 位に感謝いたします.本研究の一部は,
JSPS
科研費15K18076
,15H02136
,17K06456
並びに,京都大学 生存圏ミッション研究と金沢大学先魁プロジェクトの 助成を受けたものです.文 献
[1] I.R. Mann, L.G. Ozeke, K.R. Murphy, S.G.
Claudepierre, D.L. Turner, D.N. Baker, I.J. Rae, A.
Kale, D.K. Milling, A.J. Boyd, H.E. Spence, G.D.
Reeves, H.J. Singer, S. Dimitrakoudis, I.A. Daglis, and F. Honary, “Explaining the dynamics of the ultra-relativistic third Van Allen radiation belt,” Na- ture Physics, vol.12, pp.978–983, June 2016.
[2] H.C. Koons, J.E. Mazur, R.S. Selesnick, J.B. Blake, J.F. Fennell, J.L. Roeder, and P.C. Anderson, “The impact of the space environment on space systems,”
Proc. 6th Spacecraft Charging Technology Confer- ence, Air Force Research Laboratory, AFRL-VS-TR- 20001578, pp.7–11, Nov. 1998.
[3] G. Gustafsson, R. Bostr¨om, B. Holback, G.
Holmgren, A. Lundgren, K. Stasiewicz, L. ˚Ahl´en,
F.S. Mozer, D. Pankow, P. Harvey, P. Berg, R. Ulrich, A. Pedersen, R. Schmidt, A. Butler, A.W.C. Fransen, D. Klinge, M. Thomsen, C.-G. F¨althammar, P.-A.
Lindqvist, S. Christenson, J. Holtet, B. Lybekk, T.A.
Sten, P. Tanskanen, K. Lappalainen, and J. Wygant,
“The electric field and wave experiment for the Clus- ter mission,” Space Science Reviews, vol.79, pp.137–
156, Jan. 1997.
[4] V. Angelopoulos, “The THEMIS mission,” Space Sci- ence Reviews, Dec. 2008.
[5] R.B. Torbert, C.T. Russell, W. Magnes, R.E. Ergun, P.-A. Lindqvist, O. LeContel, H. Vaith, J. Macri, S.
Myers, D. Rau, J. Needell, B. King, M. Granoff, M.
Chutter, I. Dors, G. Olsson, Y.V. Khotyaintsev, A.
Eriksson, C.A. Kletzing, S. Bounds, B. Anderson, W. Baumjohann, M. Steller, K. Bromund, Guan Le, R. Nakamura, R.J. Strangeway, H.K. Leinweber, S. Tucker, J. Westfall, D. Fischer, F. Plaschke, J.
Porter, and K. Lappalainen, “The FIELDS Instru- ment Suite on MMS: Scientific objectives, measure- ments, and data products,” Space Science Reviews, vol.199, pp.105–135, March 2016.
[6] W. Magnes, M. Oberst, A. Valavanoglou, H. Hauer, C. Hagen, I. Jernej, H. Neubauer, W. Baumjohann, D. Pierce, J. Means, and P. Falkner, “Highly in- tegrated front-end electronics for spaceborne flux- gate sensors,” Measurement Science and Technology, vol.19, Sept. 2008.
[7] A. Rhouni, G. Sou, P. Leroy, and C. Coillot, “Very low 1/f noise and radiation-hardened CMOS pream- plifier for high-sensitivity search coil magnetome- ters,” IEEE Sensors Journal, vol.13, pp.159–166, Jan.
2013.
[8] M. Ozaki, S. Yagitani, H. Kojima, K. Takahashi, H. Kouji T. Zushi, and Y. Tokunaga, “Development of an ASIC preamplifier for electromagnetic sensor probes for monitoring space electromagnetic environ- ments,” Earth, Planets and Space, pp.68–91, May 2016.
[9] H. Fukuhara, H. Kojima, H. Ishii, S. Okada, and H.
Yamakawa, “Tiny waveform receiver with a dedicated system chip for observing plasma waves in space,”
Measurement Science and Technology, vol.23, Sept.
2012.
[10] T. Zushi, H. Kojima, K. Onishi, M. Ozaki, S.
Yagitani, S. Shimizu, and H. Yamakawa, “Small sen- sor probe for measuring plasma waves in space,”
Earth, Planets and Space, pp67–127, Aug. 2015.
[11] M. Ozaki, S. Yagitani, Y. Kasahara, H. Kojima, Y.
Kasaba, A. Kumamoto, F. Tsuchiya, S. Matsuda, A. Matsuoka, T. Sasaki, and T. Yumoto “Mag- netic Search Coil (MSC) of Plasma Wave Experiment (PWE) aboard the Arase (ERG) satellite,” Earth, Planets and Space, pp.70–76, May 2018.
[12] J.D. Cressler and H.A. Mantooth, “Extreme environ-
ment electronics,” CRC Press, Nov. 2012.
[13] R.M. Millan and D.N. Baker, “Acceleration of parti- cles to high energies in earth’s radiation belts,” Space Science Reviews, vol.173, pp.103–131, Nov. 2012.
[14] J.E.P. Connerney, M. Benn, J.B. Bjarno, T. Denver, J. Espley, J.L. Jorgensen, P.S. Jorgensen, P. Lawton, A. Malinnikova, J.M. Merayo, S. Murphy, J. Odom, R. Oliversen, R. Schnurr, D. Sheppard, and E.J.
Smith, “The Juno magnetic field investigation,”
Space Science Reviews, vol.213, pp.39–138, Nov.
2017.
[15] 山田 一,宮澤永次郎,別所一夫,基礎電磁気工学,学献 社,1975.
[16] M. Ozaki, S. Yagitani, H. Kojima, K. Takahashi, and A. Kitagawa, “Current-sensitive CMOS preamplifier for investigating space plasma waves by magnetic search coils,” IEEE Sensors Journal, vol.14, pp.421–
429, Feb. 2014.
[17] T. Sato, Y. Iwamoto, S. Hashimoto, T. Ogawa, T.
Furuta, S. Abe, T. Kai, P. Tsai, N. Matsuda, H.
Iwase, N. Shigyo, L. Sihver, and K. Niita, “Features of Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS) version 3.02,” J. Nuclear Science and Tech- nology, vol.55, pp.684–690, 2018.
[18] M. Ozaki, S. Yagitani, K. Takahashi, T. Imachi, H. Koji, and R. Higashi, “Equivalent circuit model for the electric field sensitivity of a magnetic search coil of space plasma,” IEEE Sensors Journal, vol.15, pp.1680–1689, March 2015.
[19] Y. Kasaba, J.-L. Bougeret, L.G. Blomberg, H.
Kojima, S. Yagitani, M. Moncuque, J.-G. Trotignon, G. Chanteur, A. Kumamoto, Y. Kasahara, J.
Lichtenberger, Y. Omura, K. Ishisaka, and H.
Matsumoto, “The Plasma Wave Investigation (PWI) onboard the BepiColombo/MMO: First measurement of electric fields, electromagnetic waves, and radio waves around Mercury,” Planetary and Space Sci- ence, vol.58, pp.238–278, Jan. 2010.
[20] H. Matsumoto, I. Nagano, R.R. Anderson, H.
Kojima, K. Hashimoto, M. Tsutsui, T. Okada, I.
Kimura, Y. Omura, and M. Okada, “Plasma wave observations with GEOTAIL spacecraft,” J. Geo- magnetism and Geoelectricity, vol.46, pp.59–95, Jan.
1994.
(2019年1月22日受付,4月24日再受付,
5月29日早期公開)
徳永 祐也 (学生員)
2016金沢大・理工・情報卒.2018同大 大学院修士課程了.現在,同博士課程に所 属.科学衛星搭載用磁界センサの開発に関 する研究に従事.2018日本惑星地球科学連 合大会学生優秀発表賞.地球電磁気・地球 惑星圏学会,日本地球惑星科学連合各会員.
尾崎 光紀 (正員)
2004金沢大・工・情報卒.2005同大大 学院修士課程了.2009同博士課程了.現在 同大理工研究域准教授.自然電磁波動伝搬 に関する研究に従事.博士(工学).2017 大林奨励賞.地球電磁気・地球惑星圏学会,
日本地球惑星科学連合,IEEE,米国地球 物理学会各会員.
八木谷 聡 (正員)
1988金沢大・工・電気・情報卒.1990 同大大学院修士課程了.1993同博士課程 了.同年同大電気・情報助手.現在,同大 理工研究域教授.1997〜1998米国ミネソ タ大客員研究員(文部省在外研究員).科学 衛星及びシミュレーションによる磁気圏プ ラズマ波動解析の研究,低周波電磁波源位置推定の研究に従事.
博士(工学).2001産学連携推進いしかわ賞(奨励賞)受賞.
地球電磁気・地球惑星圏学会,日本地球惑星科学連合,IEEE,
米国地球物理学会各会員.
糀 宏樹
2014金沢大・理工・情報卒.2016同大大学院修士課程了.
現在,株式会社パナソニックシステムネットワーク開発研究所 に所属.
小嶋 浩嗣 (正員)
1987京大・工・電気第二卒.1989同大大学院修士課程了.
同大生存圏研究所教授.科学衛星・ロケットを用いた宇宙空間 プラズマ波動の探査,科学衛星におけるEMC対策に従事.博 士(工学).地球電磁気・地球惑星圏学会,日本地球惑星科学連 合,IEEE,米国地球物理学会各会員.
米徳 大輔
1999東工大・理工・物理卒.2001同大基礎物理修士課程了.
2002金大・理工・物理助手.2004東工大・理工・基礎物理博 士課程了.2012金大・理工・数物准教授.現在,金大・理工・
数物教授.2014〜2017京大・客員准教授.高エネルギー天体 物理学,ガンマ線バーストを用いた観測的宇宙論・初期宇宙の 探求,人工衛星を用いた観測装置の開発,可視光・赤外線望遠 鏡を用いた初期宇宙探査に従事.博士(理学).2018文部科学 大臣表彰・科学技術賞(研究部門).日本天文学会,日本物理学 会,国際天文学会各会員.