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有機酸と無機酸を用いたベンズピナコール転位

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Academic year: 2021

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有機酸と無機酸を用いたベンズピナコール転位

卓 也 ・ 井 上 真 一

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本報は,ピナコーJレ転位の反応速度に関して述べたものである. 種々の温度で濃硫酸とトリフJレオル酢酸のベ、ンズピナコーノレ転位速度が測定された.転位速度の測定は, l' RスベクトJレによるベンズピナコールのカJレポニノレ吸収への定量lとより行なったものである.溶媒として 四塩化炭素と限定された温度範囲では, Arrhenius則が適用でき,そのプロットはほとんど直線関係を示す. 活性化エネルギは,約15~20kcal/moleそして頻度因子は,約1~3 X 109 sec-1と満足なものであった.

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緒 言 ピナコール及びその類似反応は,転位反応のうちでも っとも基本的なものの1つである

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が お59年ζlピ ナコーJレを発見し, 1860年にピナコーlレを冷濃硫酸で処 理した時ピナコロン (m巴thyl四t-butylketone)を生じ る事を報告して以来, ζれに関する多くの研究結果が報 告され,総説も数多く発表されておりその内容も多彩で ある.その内容を例としてあげれば, (1)ピナコーJレの 立体的性質の転位への影響

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対称二置換ベンズピナ コール転位におけるオJレト効果 (3)テトラアリーJレピナ コーノレにおける活性化エネlレギー及び活性化エントロピ ーへの置換基効果 (4)遷移状態の構造 (5)中間体として のエポキシドの役割などである.しかし,反応機構に関 しては,なお未解決の問題が残されている. 本報では, (3)に関連して問題を取りあげた.酸触媒で ピナローJレ転位が生じる事は明らかで,色々検討した結 果,無機酸(硫酸等)での研究は多く行なわれている が,有機酸での転位はまだ研究の余地がある.従って有 機酸のピナコーJレ転位を試みると同時に,無機酸との比 較検討を行なった.その結果を報告する.

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実 験

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試 料 使用ベンズピナコールは,炭酸銅から誘導される銅触

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ベンズピナコーJレの合成経路 100

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堀 卓 也 井 上 上 真 一 耕、の存在下で0-ベンゾイル安息香酸を脱炭酸し合成し たベンズフェノンを,イソプロピルアルコールを水系供 写体として,光還元反応を行ないべ、ンズピナコーノレを得 るという図Iの方法で合成し, Ivl.P.及び1.Rで同定 したものである.

2-2

測定装置及び;,~Ij定法 測定法は,転位したベンズピナコロンのカノレボニノレに 注目し, 1. Rスペク卜Jレによる定量法を使用した. 2-1で合成したベンズピナコールを溶媒四塩化炭素に治か し

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!とする(検量から得られた測定可能濃度 ) .次いで無機酸では濃硫酸,有機酸では卜リフオノレ酢 酸を各々0.1と

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加え,一定温度で各々の時聞に定量 する. トリフJレオJレ酢酸触媒では,触媒自体の吸収とカ ノレボニノレの吸収が重複しそのままの状態では測定が防害 されるので,反応停止もかね低温で溶媒とドリアノレオJレ 昨酸の減圧除去を行ない測定を行なった。 測定装置は,一定温度を保つために電子低温槽 TE-202 (シャープ電気 KK) を使用し, 1. R には日立赤外 分光光度計EPI-S2型で使用セJレは液体用気密セノレ (NaCl) • J宮厚0.5酬を使用したa

2-3

転位生成物の確認 測定における転位生成物は,酢酸とヨウ素でのピナコ ロン合成で得られたベンズピナコロンと比較し確認し た.確認は, M

P.及び 1,Rスペクトノレで行なったも のである.

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実時凍結果及び考察

3-1

無機設(濃硫酸)での転位における活性化工 ネルギーと頻度因子 乙の転位反応が,反応速度式 (Arrhenius式)に適応 出来るものと仮定し測定を行なったが,やはり予期され た様に温度範囲が大きくなると測定値にばらつきが目立 o.s ちArrhenius式の成立は不可能であった.従って,こ こに示す温度範囲 15~20'C が Arrhenius 式成立の最大 範囲といえる.又濃硫酸触媒では,不均一反応であるた め温度の他にぽ持の条件がはいってくるので,測定条件 が問題点となるが,我々が行なった範囲内では無視可能 であった. U.S

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有機酸と無機酸を用いたベソズピナコーjレ転位 表

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log k 表 111こ示される活性化エネノレギー 15~20kcal/

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と 頻度因子は,不適切であるといえない。ピナコーlレ転位 において,溶媒の選択,民

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半速度,温度,触媒濃度など の諸要因があるが,四塩化炭素・濃硫酸での転位は測定 可能である.反応機構については,いまだ疑問点が存在 し研究の余地が残されている. 無機酸における活性エネルギーと頻度因子 1 Ea (Kc且l/mo

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有機酸(トリフルオル酢酸)での転位におけ る活性化エネルギーと頻度因子 1.~) -1-8 l-i flog k I/T対 logk -l.(i

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3-3

無機酸と有機酸を用いるピナコール転位 以上の結果から,無機酸・有機酸共にその温度範囲に 限定はあるが Arrhenius式が適用でき一次反応をなす と考えられる.そしてこの Arrhenius式から,その反 応速度定数,活性化エネノレギー,頻度因子が求められた 結果ペンズピナコーJレの転位反応における活性化エネノレ ギーは, 15~20 kcaZ/moleと予測値に近似し満足なもの が得られたし,頻度因子についても同様な事がいえる. 但しその反応速度定数の違い (無機酸:2~7XI0-2 ,有 機 酸 :1 ~3 xl0-1)から, 反応機構的な事が考えられ る.まず従来の考え方は,疑問点はあるが図Xiζ示 す 様 1)1.+ ム ロ +(-OHl - "',-Ph2 ~~~ Ph2 ~ι一一 Phι一、C P h 2 --=:!:L→Ph C-CPh, OLI

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戦と有機酸の速度定数から, 二つの反応機構は違う経路を通る様iζ 考えられる(従来 のを含めて) .しかし本報では,反応機構の点にはふれ ず今後の課題のーっとしてとどめておく.さらに,他の 有機酸を使用し数多くのピナコール転位を検討するとい う課題も残している. -4.2 4.1 -4.0 -;),9 Ih対 logk -3.8 -3:I -3.6 図K 3.5 -3.1 2.8 3.3 文 献 Fitty, Ann, 110,17(185ヲ) ; 114, 54(1860) G目M.Bennet, A. w. Chhapmann, Ann R巴ports.,27, 114(1930) ; etc. T. F. Duncan旦ndK.R. Lynn,

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chem. soc., 3512(1956). William.B目Smith,RiChard. E. Bowman and

Thomas T. Kmet

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A m圃 Chem.Soc., 8,1997~ (1959) Louis Fieser, Org. Exp, P 201~204 実験化学講座 18下. 化学反応速度論, (1) キース・ J0レイドラ著 P 8へ-10 H. J.G巴bhost.Jt.etal. ]. A m目 Chem 76唱 3925~ (1954) . 2) Soc.

3) 4) ¥ } ノ ¥ 3 ノ ¥ } ノ F h u n U ウ i 8) 有機酸によるピナコーノレ転位も無機酸のJ具 合 と 同 様 ~c,温度範囲が大きくなると測定値にばらつきが生じ Arrhenius則にあわなくなる.従って,ここに示される 温度範悶が測定可能な最大値と言えるだろう.又

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機酸 (濃硫酸)の時と違い均一反応なので,無機酸の時考え られた諸要因はある程度無視して良いであろう. 次いで,表

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こ示される活性化エネルギーと頻度因子 であるが,その債は活性化エネルギー15へ20kcal/mol巴 と予測値とほぼ近似し満足出来る.同様の事が頻度因子 についてもいえる. 有機酸における活性化エネルギーと頻度因子

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図 E ベンズピナコー J レの M ・ P , と l 'R スペクト J レ

参照

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