• 検索結果がありません。

Microsoft Word - 00 本文騒音対策の参考資料(案)02

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Microsoft Word - 00 本文騒音対策の参考資料(案)02"

Copied!
100
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

道路交通騒音対策の参考資料(平成

24 年 6 月)

(2)

はじめに

道路交通騒音対策は騒音に関する理解を深めた上で進めることが大切です。

そこで、騒音対策を進めるにあたって、把握しておくことが望ましい知見等を

整理した参考資料を作成しました。

本資料が騒音対策の一助となることを期待します。

:特に把握しておくことが望ましい基本的な事項 (解説):理解を深めるための解説 :他の文献等からの引用部分 下線 :把握しておくことが望ましい部分 網掛 :特に把握しておくことが望ましい部分

(3)

目 次

1.道路交通騒音の現状 1 2.法律と基準 4 3.道路交通騒音の現況把握 14 4.道路交通騒音対策 19 4.1 発生源側での対策-自動車騒音単体規制 23 4.2 発生源側での対策-交通流対策 24 4.3 発生源側での対策-排水性舗装 31 4.4 伝搬経路での対策-遮音壁 33 4.5 伝搬経路での対策-その他 35 4.6 受音側での対策 39 4.7 道路構造による騒音対策の事例 41 [付属資料] 付属資料 A1 騒音の基礎知識 付属資料 A2 道路交通騒音の予測計算 付属資料 A3 遮音壁に関する技術の概要 付属資料 A4 自動車騒音の単体規制 付属資料 A5 建物防音 付属資料 A6 FAQ 付属資料 A7 用語 付属資料 A8 道路交通騒音関係の情報源

(4)

1 (解説) 環境基準は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件につい て、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望まし い基準として政府が定めたものである。道路に面する地域における騒音の環境基準の達成 状況は、以下で公開されている。 1) 環境省:平成 22 年度自動車交通騒音実態調査報告, http://www.env.go.jp/air/car/noise/noise_h22/index.html 1.道路交通騒音の現状 道路に面する地域において昼間または夜間に環境基準を超過した住居等は、平成 22 年度 において499 千戸(9%)と報告されている1)(図-1.1)。 なお、騒音の環境基準を超過した沿道に防音性能が優れた住居が建設された場合でも、こ れらの住居は非達成戸数に含まれる。 0% 20% 40% 60% 80% 100% 平成22年度 [5,759千戸] 平成17年度 [2,914千戸] 平成12年度 [523千戸] 達成戸数 非達成戸数 121千戸(23.1%) 456千戸(15.6%) 499千戸(8.7%) 5259.8千戸(91.3%) 2458千戸(84.4%) 402千戸(76.9%) 図-1.1 道路に面する地域における騒音の環境基準達成状況 ※評価延長:平成22 年度評価は、高速自動車国道(1,305km)、都市高速道路(114km)、一般国道(12,546km)、 都道府県道(20,307km)、4 車線以上の市区町村道(1,597km)、その他の道路(35km)に面する地域

(5)

2 環境基準の達成状況(平成 22 年度)1) 1.自動車騒音常時監視の実施状況について 平成22年度は、全国179 地方公共団体において、環境基準の達成状況の評価が実施さ れた。評価の対象は、延長35,903km の道路に面する地域の、5,759 千戸の住居等である。 平成21 年度に比べて評価の対象は、道路延長で 5,002km、住居等で 687 千戸増加してい る。なお評価の対象となる住居等は、道路端から50 m の範囲にあるものとしている。 2.環境基準達成状況 (1)全体の状況 全体で集計したところ、評価の対象とされた5,759.5 千戸のうち、昼間(6 時~22 時) 又は夜間(22 時~6 時)で環境基準を超過していたのは 498.7 千戸(8.7%)であり、昼 夜間とも環境基準を超過していたのは247.9 千戸(4.3%)であった(図-1.2)。 幹線交通を担う道路に近接する空間※1 の基準値が適用される地域における2,397.8 千 戸について、昼間又は夜間で環境基準を超過していたのは335.1 千戸(14.0%)、昼夜間 とも環境基準を超過していたのは161.9 千戸(6.8%)となっている。 一方、非近接空間※1 における3,360.7 千戸について、昼間又は夜間で環境基準を超過 していたのは163.5 千戸(5.0%)、昼夜間とも環境基準を超過していたのは 86.0 千戸 (2.6%)となっている。 (2)道路種類別の状況 全体を道路種類別に分けて集計したところ、昼間又は夜間で環境基準を超過していた 割合がもっとも高かったのは都市高速道路であり、46.6 千戸のうち 7.8 千戸(16.7%)で あった(図-1.3)。 ※1 「幹線交通を担う道路に近接する空間」 次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が 特定される。 ・2 車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路 15 メートル ・2 車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20 メートル 「非近接空間」 幹線交通を担う道路に面する地域のうち、幹線交通を担う道路に近接する空間を除 く地域。「幹線交通を担う道路に近接する空間」の背後地にあたる。

(6)

3

図-1.2 環境基準の達成状況の評価結果(全体)

(7)

4 2.法律と基準 道路交通騒音に係る法体系の概要を図-2.1 に示す。環境基本法において、環境の保全に ついての基本理念、および施策の基本となる事項が定められ、環境基本法に基づく告示に おいて環境基準が定められている。また、騒音規制法において、自動車単体から発生する 騒音の大きさの限度、および市町村長が都道府県公安委員会に道路交通規制等の措置を執 るべきことを要請する騒音の限度(いわゆる「要請限度」)が定められている。 図-2.1 道路交通騒音に係る法体系の概要 道路に近接する地域(空間または区域)における騒音の基準値等(環境基準および要請限 度)を表-2.1 に示す。 表-2.1 幹線交通を担う道路に近接する地域における騒音の基準値等 基準等 根拠法 測定位置 基準値等 昼間 6:00-22:00 夜間 22:00-6:00 幹線交通を担う道路 に近接する空間に係 る環境基準 環 境 基 本 法 に 基 づ く 告 示 住居等の建 物の騒音の 影響を受け やすい面 屋外 70 dB 以下 65 dB 以下 屋内 45 dB 以下 40 dB 以下 幹線交通を担う道路 に近接する区域に係 る要請限度 騒音規制法 に基づく省 令 道路の敷地の境界 線 75 dB 70 dB 幹線交通を担う道路:高速自動車国道、一般国道、都道府県道、および四車線以上の市町村道等 環 境 基 本 法 騒 音 規 制 法 [要請限度] 道路交通法の規定よる措置を要請 市町村長→公安委員会 道路構造改善等の意見具申 市町村長→道路管理者 [単体規制] 道路 運送車両法 道路運送車両の保安基準(国土交通省令) [単体規制] 自動車騒音の大きさの許容限度(環境省告示) 騒音に係る環境基準(環境省告示) 自 動 車騒音の限度( 総理府令) 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(国土交通省)

(8)

5 (解説:環境基準と要請限度) 環境基準値および要請限度値を定めた法令の抜粋を以下に記載する。この資料の読者が 把握することが望ましい箇所には下線および網掛を付している。(以下、同様) 環境基本法 (抜粋して部分的に加筆) (平成 5 年 11 月 19 日 法律第 91 号 最終改正:平成 20 年 6 月 18 日法律第 83 号) 第三節 環境基準 第十六条 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件 について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されること が望ましい基準を定めるものとする。 2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は 水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事 務は、二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるものにあっ ては政府が、それ以外の地域又は水域にあってはその地域又は水域が属する都道府県の 知事が、それぞれ行うものとする。 3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされ なければならない。 4 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防 止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が 確保されるように努めなければならない。

(9)

6 騒音に係る環境基準について(抜粋し、部分的に//・・//で加筆) (平成10年9月30日環告64 改正:平成17年5月26日環告45) 環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境 基準について次のとおり告示する。 環境基本法第16条第1項の規定に基づく、騒音に係る環境上の条件について生活環 境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準(以下「環境 基準」という。)は、別に定めるところによるほか、次のとおりとする。 第1 環境基準 1 環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりと し、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事が指定する。 地域の類型 基 準 値 昼 間 夜 間 AA 50デシベル以下 40デシベル以下 A及びB 55デシベル以下 45デシベル以下 C 60デシベル以下 50デシベル以下 (注) 1 時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、夜間を午後10時か ら翌日の午前6時までの間とする。 2 AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域な ど特に静穏を要する地域とする。 3 Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。 4 Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。 5 Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域と する。 ただし、次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という。)につ いては、上表によらず次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。 地 域 の 区 分 基 準 値 昼 間 夜 間 A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面 する地域 60デシベル以下 55デシベル以下 B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面 する地域及びC地域のうち車線を有する道路に面 する地域 65デシベル以下 60デシベル以下

(10)

7 備考 車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を 有する帯状の車道部分をいう。 この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空 間については、上表にかかわらず、特例として次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。 基 準 値 昼 間 夜 間 70デシベル以下 65デシベル以下 備考 個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれ ていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45デシ ベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)によることができる。 2 1の環境基準の基準値は、次の方法により評価した場合における値とする。 (1)評価は、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし、住居等 の用に供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価する ものとする。 この場合において屋内へ透過する騒音に係る基準については、建物の騒音の影響を受 けやすい面における騒音レベルから当該建物の防音性能値を差し引いて評価するものと する。 (2)騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとし、時間の区分ごとの全時間を 通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とする。 (3)評価の時期は、騒音が1年間を通じて平均的な状況を呈する日を選定するものと する。 (4)騒音の測定は、計量法(平成4年法律第51号)第71条の条件に合格した騒音 計を用いて行うものとする。この場合において、周波数補正回路はA特性を用いること とする。 (5)騒音の測定に関する方法は、原則として日本工業規格Z8731による。ただし、 時間の区分ごとに全時間を通じて連続して測定した場合と比べて統計的に十分な精度を 確保し得る範囲内で、騒音レベルの変動等の条件に応じて、実測時間を短縮することが できる。当該建物による反射の影響が無視できない場合にはこれを避けうる位置で測定 し、これが困難な場合には実測値を補正するなど適切な措置を行うこととする。また、 必要な実測時間が確保できない場合等においては、測定に代えて道路交通量等の条件か ら騒音レベルを推計する方法によることができる。 なお、著しい騒音を発生する工場及び事業場、建設作業の場所、飛行場並びに鉄道の 敷地内並びにこれらに準ずる場所は、測定場所から除外する。 3 環境基準の達成状況の地域としての評価は、次の方法により行うものとする。 (1)道路に面する地域以外の地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域

(11)

8 の騒音を代表すると思われる地点を選定して評価するものとする。 (2)道路に面する地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域内の全ての 住居等のうち1の環境基準の基準値を超過する戸数及び超過する割合を把握することに より評価するものとする。 第2 達成期間等 1 環境基準は、次に定める達成期間でその達成又は維持を図るものとする。 (1)道路に面する地域以外の地域については、環境基準の施行後直ちに達成され、又 は維持されるよう努めるものとする。 (2)既設の道路に面する地域については、関係行政機関及び関係地方公共団体の協力 の下に自動車単体対策、道路構造対策、交通流対策、沿道対策等を総合的に実施するこ とにより、環境基準の施行後10年以内を目途として達成され、又は維持されるよう努 めるものとする。 //解説:達成目標は H20 年度末(H21.3.31)であった。// ただし、幹線交通を担う道路に面する地域であって、道路交通量が多くその達成が著 しく困難な地域については、対策技術の大幅な進歩、都市構造の変革等とあいまって、 10年を超える期間で可及的速やかに達成されるよう努めるものとする。 (3)道路に面する地域以外の地域が、環境基準が施行された日以降計画された道路の 設置によって新たに道路に面することとなった場合にあっては(1)及び(2)にかか わらず当該道路の供用後直ちに達成され又は維持されるよう努めるものとし、環境基準 が施行された日より前に計画された道路の設置によって新たに道路に面することとなっ た場合にあっては(2)を準用するものとする。 2 道路に面する地域のうち幹線交通を担う道路に近接する空間の背後地に存する建物 の中高層部に位置する住居等において、当該道路の著しい騒音がその騒音の影響を受け やすい面に直接到達する場合は、その面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認 められ、かつ、屋内へ透過する騒音に係る基準が満たされたときは、環境基準が達成さ れたものとみなすものとする。 3 夜間の騒音レベルが73デシベルを超える住居等が存する地域における騒音対策を 優先的に実施するものとする。 第3 環境基準の適用除外について この環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音及び建設作業騒音には適用しないものとす る。 附 則 この告示は、平成11年4月1日から施行する。

(12)

9 騒音に係る環境基準の評価マニュアル2.1)は公開されている。 (注意) 道路に面する地域の範囲 当該マニュアルにおける評価範囲は道路端から50 m とされている。一方、道路に面する 地域とは、道路交通騒音が支配的な音源である地域であり、この評価範囲が「道路に面す る地域の環境基準を適用する範囲」を示すものではないとされている。 騒音に係る環境基準の評価マニュアル Ⅱ 地域評価編(道路に面する地域)2.1) (環境庁 平成 12 年 4 月) 道路構造条件や沿道条件が異なることから、道路に面する地域(道路交通騒音が支配的 な音源である地域)を一律に設定することはできない。その意味で、この評価範囲は「道 路に面する地域の環境基準を適用する範囲」を示すものではない。 評価区間における評価範囲等の概念図 2.1 ) 環境省: 騒音に係る環境基準の評価マニュアル, http://www.env.go.jp/air/noise/manual/index.html

(13)

10 騒音規制法 (昭和四十三年六月十日法律第九十八号 最終改正:平成一七年四月二七日法律第三三号) 第四章 自動車騒音に係る許容限度等 (許容限度) 第十六条 環境大臣は、自動車が一定の条件で運行する場合に発生する自動車騒音の大き さの許容限度を定めなければならない。 2 自動車騒音の防止を図るため、国土交通大臣は、道路運送車両法に基づく命令で、自動 車騒音に係る規制に関し必要な事項を定める場合には、前項の許容限度が確保されるよ うに考慮しなければならない。 (測定に基づく要請及び意見) 第十七条 市町村長は、第二十一条の二の測定を行った場合において、指定地域内におけ る自動車騒音が環境省令で定める限度を超えていることにより道路の周辺の生活環境が 著しく損なわれると認めるときは、都道府県公安委員会に対し、道路交通法 (昭和三十 五年法律第百五号)の規定による措置を執るべきことを要請するものとする。 2 環境大臣は、前項の環境省令を定めようとするときは、あらかじめ、国家公安委員会に 協議しなければならない。 3 市町村長は、第一項の規定により要請する場合を除くほか、第二十一条の二の測定を行 った場合において必要があると認めるときは、当該道路の部分の構造の改善その他自動 車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、道路管理者又は関係行政機関の長に意見を 述べることができる。 (常時監視) 第十八条 都道府県知事は、自動車騒音の状況を常時監視しなければならない。 2 都道府県知事は、前項の常時監視の結果を環境大臣に報告しなければならない。 (公表) 第十九条 都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る自動車騒音の状況を公表するもの とする。 (環境大臣の指示) 第十九条の二 環境大臣は、自動車騒音により人の健康に係る被害が生ずることを防止す るため緊急の必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める 事務に関し必要な指示をすることができる。 一 市町村長 第十七条第一項の規定による要請に関する事務及び同条第三項の規定に よる意見を述べることに関する事務 二 都道府県知事又は第二十五条の政令で定める市町村(特別区を含む。)の長 第二 十二条の規定による協力を求め、又は意見を述べることに関する事務

(14)

11 騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省 令(平成十二年三月二日総理府令第十五号 最終改正年月日:平成一二年一二月一五日総理府 令第一五〇号) 騒音規制法(昭和四十三年法律第九十八号)第十七条第一項の規定に基づき、騒音規制 法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令(昭 和四十六年総理府厚生省令第三号)の全部を次のように改正する。 (定義) 第一条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところ による。 一 車線 一縦列の自動車(二輪のものを除く。)が安全かつ円滑に走行するために必要 な幅員を有する帯状の車道の部分をいう。 二 幹線交通を担う道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三条に規定する高速 自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道(市町村道にあっては四車線以上の車線 を有する区間に限る。)並びに道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八 項に規定する一般自動車道であって都市計画法施行規則(昭和四十四年建設省令第四十九 号)第七条第一号に規定する自動車専用道路をいう。 三 昼間 午前六時から午後十時までの間をいう。 四 夜間 午後十時から翌日の午前六時までの間をいう。 五 デシベル 計量法(平成四年法律第五十一号)別表第二に定める音圧レベルの計量単 位をいう。 (自動車騒音の限度) 第二条 騒音規制法第十七条第一項の環境省令で定める限度(以下「限度」という。)は、別表 のとおりとする。 (幹線交通を担う道路に近接する区域に係る限度の特例) 第三条 別表に掲げる区域のうち幹線交通を担う道路に近接する区域(二車線以下の車線を有す る道路の場合は道路の敷地の境界線から十五メートル、二車線を超える車線を有する道路 の場合は道路の敷地の境界線から二十メートルまでの範囲をいう。)に係る限度は、前条 の規定にかかわらず、昼間においては七十五デシベル、夜間においては七十デシベルとす る。 (都道府県知事及び都道府県公安委員会が協議して定める限度) 第四条 前二条の規定にかかわらず、別表に掲げる区域のうち学校、病院等特に静穏を必要とす る施設が集合して設置されている区域又は幹線交通を担う道路の区間の全部又は一部に

(15)

12 面する区域に係る限度は、都道府県知事(騒音規制法施行令(昭和四十三年政令第三百二 十四号)第四条に規定する市にあっては、市長。以下同じ。)及び都道府県公安委員会が 協議して定める自動車騒音の大きさとすることができる。 (自動車騒音の測定方法等) 第五条 前三条に規定する限度は、次に掲げる方法により測定した場合における値によるものと する。 一 騒音の測定は、計量法第七十一条の条件に合格した騒音計を用いて行うものとする。 二 騒音の測定は、道路に接して住居、病院、学校等の用に供される建築物(以下「住居 等」という。)が存している場合には道路の敷地の境界線において行い、道路に沿って住 居等以外の用途の土地利用が行われているため道路から距離をおいて住居等が存してい る場合には住居等に到達する騒音の大きさを測定できる地点において行うものとする。こ れらの場合において、測定を行う高さは、当該地点の鉛直方向において生活環境の保全上 騒音が最も問題となる位置とする。 三 騒音の測定は、当該道路のうち原則として交差点を除く部分に係る自動車騒音を対象 とし、連続する七日間のうち当該自動車騒音の状況を代表すると認められる三日間につい て行うものとする。 四 騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとする。 五 騒音の測定方法は、原則として、日本工業規格Z八七三一に定める騒音レベルの測定 方法によるものとし、建築物による無視できない反射の影響を避けうる位置で測定するも のとする。ただし、建築物と道路との間(道路の敷地の境界線を含む。)の地点において 測定を行い、当該建築物による無視できない反射の影響を避けることができない場合にお いて、当該影響を勘案し実測値を補正するなど適切な措置を講ずるときは、この限りでな い。 六 自動車騒音以外の騒音又は当該道路以外の道路に係る自動車騒音による影響がある と認められる場合は、これらの影響を勘案し実測値を補正するものとする。 七 騒音の大きさは、測定した値を時間の区分ごとに三日間の原則として全時間を通じて エネルギー平均した値とする。

(16)

13 別表 区域の区分 時間の区分 昼間 夜間 一 a区域及びb区域のうち一車線を有 る道路に面する区域 六十五デ シベル 五十五デシ ベル 二 a区域のうち二車線以上の車線を有する道路に面する区域 七十デシ ベル 六十五デシ ル 三 b区域のうち二車線以上の車線を有する道路に面す 区域及びc区 域のうち車線を有する道路に面する区域 七十五デ シベル 七十デ ベル 備考 a区域、b区域及びc区域とは、それぞれ次の各号に掲げる区域として都道府県知 事が定めた区域をいう。 一 a区域 専ら住居の用に供される区域 二 b区域 主として住居の用に供される区域 三 c区域 相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される区域 附則 この府令は、平成十二年四月一日から施行する。 附則 (平成一二年一二月一五日総理府令第一五〇号) この府令は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の 日(平成十三年一月六日)から施行する。 都道府県及び市(特別区)が法定受託事務として行う自動車騒音の常時監視については、 平成23 年 9 月にマニュアル2.2)が作成されている。 2.2) 環境省: 自動車騒音常時監視マニュアル, http://www.env.go.jp/air/car/noise/note_kanshimanual.html

(17)

14 2.1) 再掲:環境省: 騒音に係る環境基準の評価マニュアル, http://www.env.go.jp/air/noise/manual/index.html 3.1) 国立環境研究所: 全国自動車交通騒音マップ, http://www.env.go.jp/air/car/noise.html 3.2) 環境省水・大気環境局長: 騒音規制法第 18 条の規定に基づく自動車騒音の状況の常時監視に係る事 務の処理基準, 平成 23 年 9 月 14 日 3.3) 環境庁大気保全局長: 騒音規制法第 17 条第 1 項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限 度を定める命令の改正について, 平成 12 年 7 月 17 日 3.道路交通騒音の現況把握 事業の計画・評価、環境問題への対応等では、自動車騒音常時監視の報告3.1)(環境省) または個別の騒音測定により道路交通騒音の現況把握が行われている。道路交通騒音は、 環境基準値または要請限度値で評価されている。主な評価方法は以下である。 (a) 住居等の用に供される建物の位置で測定した騒音レベルを環境基準値で評価。騒音は建 物から1~2 m 離れて騒音の影響を受けやすい面で測定。 (b) 環境基準の達成状況を住居等の割合または戸数で評価。道路端*1で測定した騒音の測定 値および建物の地理情報に基づいて住居等における騒音レベルを推計。 (c) 道路端で測定した騒音レベルを要請限度値で評価。測定日数は、騒音規制法の要請限度 を適用する場合は 3 日間とされているが、騒音の現況把握においては一般的に 1 日。測 定値を環境基準値と比較する場合もある。 法令、マニュアル等に記載されている測定方法を表-3.1 に示す。 表-3.1 道路交通騒音を測定する方法 環境基準での評価*2 要請限度での評価 建物の位置での測定 道路端での測定 測定日 騒音が 1 年を通じて平均的な状況を呈 する日 連続する 7 日間のうち当該自動車騒音の状 況を代表すると認められる 3 日間 時間の区分 昼間:午前6 時から午後 10 時 夜間:午後10 時から翌日の午前 6 時 測定位置 -水平方向 建物から 1~2 m で騒音の 影響を受けやすい面2.1) 道路端の1 側3.2) 道路に接して住居等が存している場合には 敷地の境界線、道路から距離をおいて住居 等が存している場合には住居等に到達する 騒音の大きさを測定できる地点 測定位置 -鉛直方向 住居等の平均的な高さで 地上1.2 m~5 m2.1) - 鉛直方向において生活環境の保全上騒音が 最も問題となる位置とし、一般的な平面道 路の場合は原則として地上1.2 m3.3) 測定方法等 JIS Z 8731 により等価騒音レベルを測定 除 外 音 の 処 理 航空機騒音、鉄道騒音、建設作業騒音、鳥の声、マフラー改造による音、パトカーの イレン等の自動車以外の音や平均的でない音は除外 その他 一般的な測定では、10 分間の測定を 1 時間ごとに 24 回行い、昼夜別の等価騒音レベ ルを算出する。 *1: 道路端とは、道路の敷地(敷地内に複数の道路の管理者が存在する場合は、各道路の管理者 が管理する敷地)の境界線をいう3.2) *2:騒音の測定位置は、建物の位置(上記の(a)の場合)または道路端(上記の(b)の場合)。

(18)

15 (解説) 3.1 自動車騒音常時監視の報告例 自動車騒音常時監視は、都道府県及び騒音規制法上の政令市が騒音規制法に基づく法定 受託事務として実施したものであり、調査結果はインターネットで公開されている。図-3.1 および図-3.2 は騒音の測定値および環境基準の達成状況の公表例3.1)である。 報告 年度 調査自 治体名 称 一連 番号 騒音 測定 地点 番号 測定地点の 住所 [1]路線 名 [1] 車線 数 [1]道 路種 別 環境 基準 類型 Leq 昼間 (dB) Leq 夜間 (dB) 緯度 経度 2008 札幌市 1042 1021 札幌市白石 区北郷3条1 丁目 北郷1 丁目線 4 5 B 67 59 43.065 141.4056 2008 札幌市 1043 3005 札幌市西区 宮の沢1条4 丁目15 一般国 道5号 4 3 C 71 68 43.0921 141.2669 2008 札幌市 1044 3011 札幌市北区 北32条西10 丁目 一般国 道5号 4 3 C 71 66 43.09991 141.3332 図-3.1 自動車騒音常時監視における騒音の測定値の公表例 報告 年度 調査自 治体名 称 一連番 号 評価区 間番号 評価区間開 始点住所 評価区間 終了点住 所 延長 [1]路線 [1] 車線 数 [1] 道 路 種 別 [ 2 ] 路 線 名 [ 2 ] 車 線 数 [ 2 ] 道 路 種 別 全体 評価 対象 戸数 (戸) 全体 昼夜 とも 基準 値以 下戸 数 (戸) 全体 昼夜 とも 基準 値以 下割 合 (%) 全体 昼の み基 準値 以下 戸数 (戸) 全体 昼の み基 準値 以下 割合 (%) 全体 夜の み基 準値 以下 戸数 (戸) 全体 夜の み基 準値 以下 割合 (%) 全体 昼夜 とも 基準 値超 過戸 数 (戸) 全体 昼夜 とも 基準 値超 過割 合 (%) 2006 札幌市 4751 40544 札幌市清田 区里塚3条 7丁目 札幌市清 田区平岡 公園 2.3道央自 動車道 4 1 67 66 98.5 0 0 1 1.49 0 0 2007 札幌市 5848 40544 札幌市清田 区里塚3条 7丁目 札幌市清 田区平岡 公園 2.3道央自 動車道 4 1 67 67 100 0 0 0 0 0 0 2008 札幌市 4713 40544 札幌市清田 区里塚3条 7丁目 札幌市清 田区平岡 公園 2.3道央自動車道 4 1 67 67 100 0 0 0 0 0 0 図-3.2 自動車交通騒音実態調査報告における騒音の測定結果の例 3.2 騒音測定 図-3.3 に騒音測定の事例を示す。測定位置は道路の敷地の境界線上の高さ 1.2m として いる。騒音計についている黒いスポンジのようなものは風雑音を防止するためのウインド スクリーンである。

(19)

16 道路の敷地の境界線で測定 騒音計 図-3.3 騒音測定の事例 3.3 騒音に係る環境基準での騒音の評価 騒音に係る環境基準の告示において、騒音を評価する位置、および環境基準の達成状況 を評価する方法を以下としている。 ・「評価は、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし、住居等の用に 供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価するものとす る。」 ・「道路に面する地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域内の全ての住居等 のうち環境基準の基準値を超過する戸数及び超過する割合を把握することにより評価する ものとする。」 面的評価(環境基準に係る道路に面する地域の評価)では、電子化された住宅地図および 道路端での騒音の測定値に基づいて図-3.4 のように建物ごとの騒音を計算する。環境省は 50m幅の区域ごとの環境基準達成率を図-3.5 のように環境 GIS3.1)として公表している。 図-3.4 建物ごとの騒音の計算事例 図-3.5 公表された面的評価の結果の事例

(20)

17 3.4 その他 必要に応じて 1)道路の状況、2)社会的状況を調査する。 1) 道路の状況 平面図、断面図により幅員構成、車線数、道路構造の種類(盛土、切土、トンネル、橋 若しくは高架、その他の構造の別)を把握するとともに、対象道路に係る道路の区分(道 路構造令(昭和45 年政令第 320 号)第三条に規定する道路の区分をいう)、設計速度、計 画交通量及び(道路交通センサスにより)交通量を把握する。 2) 社会的状況 土地の利用や法令による指定の状況等、以下に記載した社会的状況を把握する。表-3.3 は入手資料の一覧である(「道路環境影響評価の技術手法」(国土技術政策総合研究所)か ら転載)。 (1) 土地利用の状況 土地利用の現況、土地利用計画の状況 (2) 交通の状況 主要な道路の位置、交通量等の状況 (3) 学校、病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設の配置状況及び住 宅の配置概況 学校、病院、幼稚園、児童福祉法に基づく児童福祉施設(保育所等)、老人ホー ム、図書館等の配置の状況、集落の状況、住宅の配置の概況、将来の住宅地の面 整備計画の状況 (4) 環境の保全を目的として法令等により指定された地域その他の対象及び当該対象 に係る規制の内容その他の状況 ①幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和55 年法律第 34 号)第五条第一項の規 定により指定された沿道整備道路 ②環境基本法(平成 5 年法律第 91 号)第十六条第一項の規定により定められた騒音 に係る環境基準の類型の指定状況 ③騒音規制法(昭和 43 年法律第 98 号)第三条第一項及び第十七条第一項に基づく 指定地域内における自動車騒音の限度、地域指定状況、区域の区分、時間の区分 の状況

(21)

18 表-3.2 社会的状況を把握する資料 社会的状況の項目 文献・資料名 文献・資料から抽出する項目 発行者等 土地利用の状況 土地利用図 土地利用の現況 土地利用計画の状況 国土地理院 土地利用現況図 都道府県 土地利用基本計画図 土地利用動向調査 市町村 都道府県 都市計画図 市町村 交通の状況 道路交通センサス 主要な道路の位置 交通量等の状況 国土交通省 都道府県 学校、病院その他の 環境の保全について の配慮が特に必要な 施設の配置の状況及 び住宅の配置の概況 住宅地図 病院名簿 学校、病院、幼稚園、児童福 祉法に基づく児童福祉施設 (保育所等)、老人ホーム、 図書館等の配置の状況、集落 の状況、住宅の配置の概況、 将来の住宅地の面整備計画 の状況 民間 教育要覧 土地利用動向調査 社会福祉施設名簿 都道府県 環境の保全を目的と して法令等により指 定された地域その他 の対象の状況、当該 対象に係る規制の内 容の状況 例規集等 幹線道路の沿道の整備に関 する法律第五条第一項の規 定により指定された沿道整 備道路 都道府県等 都道府県環境白書 環境基本法第十六条第一項 の規定により定められた騒 音に係る環境基準の類型の 指定状況 都道府県 例規集等 都道府県等 都道府県環境白書 騒音規制法第三条第一項及 び第十七条第一項に基づく 指定地域内における自動車 騒音の限度、地域指定状況、 区域の区分、時間の区分の状 況 都道府県 例規集等 都道府県等

(22)

19 4.道路交通騒音対策 道路交通騒音対策は、騒音発生源での対策、伝搬経路での対策および受音側での対策に大 別できる。図-4.1 は道路構造物等による対策の模式図である。 建物防音 遮音壁 遮音壁 高架裏面吸音板 排水性舗装 受音点対策 建物防音 伝 搬 経 路 対 策 遮音壁, 高架裏面吸音板, 半地下道路 発生源対策 単体規制, 排水性舗装 排水性舗装 建物防音 遮音壁 環境施設帯 環境施設帯 図-4.1 道路交通騒音対策の模式図 備考:排水性舗装は、低騒音効果のある高機能舗装または低騒音舗装ともいわれる。

(23)

20 (解説) 騒音対策の体系を図-4.2に示す。多様な観点で騒音対策を検討する際の参考となる。 道路交通騒音対策の充実強化について(中間とりまとめ) (環境庁 平成 12 年 8 月) 物流合理化による 交通量抑制 道 路 交 通 騒 音 対 策 物流拠点の適正配置 ・流通業務団地の整備 ・トラックターミナルの整備 発生源対策 交通流対策 道路網の整備 物流の合理化 自動車構造の改善 ・輸送の共同化 旅客輸送の合理化 人流対策の推進 ・公共交通機関の整備促進 ・配送の効率化 ・在庫の適正化 ・道路の相互利用 ・許容限度の強化 ・技術開発の促進 ・車輌検査、点検整備の徹底 ・低公害車の開発及び利用の促進等 ・環状道路、バイパスの整備 ・中央卸売市場の移転・統合 ・交通結節点整備による公共交通機 関の利用促進 交通規制等 ・交通状況に即応した信号機の制御 ・交通管制システムの高度化 ・バス専用、優先レーンの設置 ・駐車対策の推進 ・速度超過車輌の取締りの徹底 ・エンジン音等を低く抑えるための最 高速度規制 ・大型車の中央寄り車線規制 ・消音器等の不法改造車両等の取締り 道路構造対策 基本構造 ・堀割構造等の採用 ・立体交差点化の推進 遮へい施設の設置 ・遮音壁・築堤の設置 ・低騒音舗装等の敷設 ・特殊吸音体の設置 環境施設帯の設置 ・環境施設帯の設置 路面の改良等 ・路面の舗装状態の改良 ・橋梁ジョイント部の劣化防止 ・連続桁の採用及び既設桁の連結 その他 ・2層構造道路の高架裏面吸音板設置 ・植樹 沿道対策 緩衝空間の設置 公園・緑地の配置 ・公園の配置 ・農地・緑地の配置 業務系空間の配置 ・用途地域・特別用途地区の指定における配慮 ・建築の用途・構造の指定 ・土地区画整理・再開発等の都市計画 及び計画事業 緩衝建築物の配置 緩衝建築物の立地誘導 ・建築物の高さ・間口率等の指定 ・建築物の建ペイ率・容積率等の指定 ・防火地域の指定 緩衝建築物の整備 ・建替・共同建替による緩衝建築物化 ・新築住宅の防音構造化の義務付け 環境教育・啓発 ・ドライバーに対するマナー教育等 ・公共施設の整備 ・緩衝建築物の建築費用一部負担 沿道住宅の防音化 ・既設住宅の防音工事助成 図-4.2 道路交通騒音対策の体系図

(24)

21 これらの騒音対策のおおまかな効果を表-4.1、図-4.3 に示す。表-4.1 の効果は現場条件に より大きく異なることに注意する必要がある。 騒音の評価手法のあり方について 報告 (中央環境審議会騒音振動部会 騒音評価手法専門委員会 平成 10 年 5 月 22 日) 表-4.1 各種騒音対策の効果

(25)

22

(26)

23 4.1 発生源側での対策-自動車騒音単体規制 自動車単体の騒音は、中央環境審議会答申を受けた道路運送車両法の保安基準により規 制されている。規制値および測定方法は、保安基準の細目を定める告示(自動車の騒音防 止装置)で定められている(図-4.1.1)。図-4.1.2 に示すように、これまでの規制により自 動車から発生する騒音は大きく低減された。規制値を10 dB 小さくすると発生する騒音のパ ワーは 1/10 に低減する。自動車単体規制については付属資料 A4 自動車騒音の単体規制に も記載している。 騒音規制法 ∟中央環境審議会答申 道路運送車両法 ∟道路運送車両の保安基準(国土交通省令) ∟道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(国土交通省告示) 図-4.1.1 自動車騒音単体規制の法体系 70 75 80 85 90 95 46 48 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 年 加 速 走 行 騒 音 規 制 値 ( d B ) 大型車(トラック) 中型車(トラック) 乗用車(乗車定員6人以下) 二輪自動車(小型) 原動機付自転車(第一種) 平 成 元 年 2   4    6    8   11  13  15 昭和 図-4.1.2 加速走行騒音規制値の推移

(27)

24 4.2 発生源側での対策-交通流対策 交通流対策として、バイパス整備等による交通の分散、大型車の通行規制、車両の速度 規制、および交通機関の利用促進が行われている。 4.2.1 バイパス整備等による交通の分散 バイパスが整備されて大型車の交通量が減少し、騒音値が下がった例は多い。環境ロー ドプライシングは、図-4.2.1 のように並行する有料道路の路線間に料金格差を設けること で、都心部の住宅地等を通過する交通を湾岸部等に転換させて、住宅地等の沿道環境の改 善を目指す政策である。大型車に高架橋の通行を促している例および有料 4 バイパスの夜 間無料化で沿道環境が大幅に改善した例を図-4.2.2および次頁に示す。 図-4.2.1 環境ロードプライシング (国土交通省の website より) 図-4.2.2 大型車に高架橋の通行を促している例

(28)

25 有料 4 バイパスの夜間無料化で沿道環境が大幅改善4.1) 進まなかった有料 4 バイパスへの交通転換 ・現道 1 号(有料 4 バイパスとの並行区間)沿線地域では、進まなかった有料 4 バイパス(藤 枝・掛川・磐田・浜名バイパス)への交通転換が問題に。 ・騒音の悪化が著しく、特に夜間における環境改善が急務。 夜間、有料 4 バイパスを無料化 ・平成 11 年 4 月 1 日に有料 4 バイパスの夜間(22 時~翌朝 6 時)無料化を実施。 ・夜間の現道交通が大幅に転換され、現道 1 号の沿道環境が改善。 4.1) 国土交通省: 有料 4 バイパスの夜間無料化で沿道環境が大幅改善, http://www.mlit.go.jp/road/koka4/8/8-37.html

(29)

26 4.2.2 大型貨物車の通行規制等 大型貨物車の通行を抑制する措置として、夜間において車両通行区分を指定し、大型 貨物車の通行帯を中央寄り車線とする規制や土曜日の夜間に大型貨物車の走行を禁止す る措置が講じられている例などがある。 1) 環状7号線等における大型貨物車の中央寄り車線規制 東京都内の環状7号線では、昭和48年3月から、騒音防止を目的とした車両通行区分の指 定が行われている。大型貨物車は、午前0時から5時までの夜間においては中央寄り車線を 通行しなければならない。 図-4.2.3 大型貨物車の中央寄り車線通行規制(車両通行区分の指定)の概念図4.2) 国道23号および国道1号の下表の区間においても、夜間の23時~5時の間で、大型貨物車 の中央寄り車線規制が行われている。 表-4.2.1 大型貨物車の中央寄り車線規制区間の例4.3) 路線名 区間 一般国道 23 号 名古屋市緑区大高町~港区神宮寺一丁目(約 9.0km) 一般国道1号 豊橋市瓦町~豊橋市飯村町(約 1.1km) 一般国道1号 岡崎市八帖北町~岡崎市菅生町(約 2km) 4.2) 昭和 49 年警察白書 4.3) 愛知県(2006),『あいち 環境学習ハンドブック』

(30)

27 2) 環状7号線以内、環状8号線の一部における大型貨物等の通行禁止 東京都内の環状7号線(環七通り)以内及び環状8号線(環八通り)の一部では、土曜日22 時から日曜日7時までの間は大型貨物等の通行が禁止されている。 ・環七通り以内都心全域(環七通りも含む) ・環八通りのうち、田園調布警察署前交差点から四面道交差点までの間 図-4.2.4 大型貨物等の都心部の通行禁止区域および標識の例4.4) 表-4.2.2 環状 7 号線以内及び環状 8 号線の規制車両4.5) 規制対象車両 ・特定中型貨物自動車(最大積載量 5 トン以上 6.5 トン未満又は車両総重量 8 トン以上 11 トン 未満の中型貨物自動車) ・大型貨物自動車(最大積載量 6.5 トン以上又は車両総重量 11 トン以上の貨物自動車) ・大型特殊自動車(ロードローラー、タイヤローラー等) 備考 ・首都高速道路は通行可能だが、規制区域内にある出口から一般道路へ出ることはできない。 ・湾岸道路(国道 357 号)は通行可能。 ・環八通りの規制区間では横断は可能。 4.4) 警視庁 交通規制,『大型貨物等の都心部の通行禁止について』 4.5) 警視庁 交通規制,『大型貨物等の都心部の通行禁止について』より作成

(31)

28 3) 国道 43 号における大型貨物自動車等の通行帯指定その他 国道43号の兵庫県内の一部区間では、平成10年4月16日から、環境対策を目的とした車両 通行区分の指定が行われている。大型貨物自動車等は、夜間22時~6時においては第3通行 帯を通行しなければならない。また、平成24年3月からは、歩道寄りの車線を「環境レーン」 と称し、大型車には中央寄り車線の通行を促す対策が講じられている。 図-4.2.5 国道 43 号における大型貨物自動車等の通行帯指定等4.6) 4.6) 国土交通省: 国道 43 号通行ルール(兵庫県域), http://www.kkr.mlit.go.jp/hyogo/43chousa/tukourule.pdf

(32)

29 4.2.3 車両の速度規制 加減速のない定常走行を仮定すると表-4.2.3 に示すように速度が低下すると騒音レベル が低下する*1。都道府県公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円 滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると 認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置、及び管理し、 交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることが できる(道路交通法第4 条)。図-4.2.6 は騒音対策を目的とした規制速度の例である。国道 43 号の兵庫県内の一部区間では、騒音対策を目的として、規制速度を昭和 48 年に 60km/h から 50km/h、平成元年に 50km/h から 40km/h に変更した。 表-4.2.3 走行速度の変化による騒音レベルの変化 走行速度(km/h) 減少量(dB) 100 → 80 約2 100 → 60 約4 80 → 60 約3 80 → 50 約4 60 → 50 約2 60 → 40 約4 50 → 40 約2 ※ASJ RTN-Model4.7)のパワーレベル式 (付属資料 A2 表-A2.1 参照)から算出できる。 *1 (備考 1) 加減速を伴う非定常走行を仮定すると速度が低下しても沿道における騒音レベルは 低下しない。非定常走行では、速度が低下することによる騒音の減少は小さく、通過に要する時 間が長くなることで相殺されるためである。 (備考 2)速度の低減は交通安全にも寄与する。WHO は、自動車と歩行者が衝突した際の自動車 の走行速度と歩行者が致命傷を負う確率との関係を図-4.2.7 で示している。 国道 19 号では、 騒音・振動の低減および交通事故の減少を目的とし、規制速度の順守を促す交通誘導の取り組み が木曽カメクラブと称して行われた。(図-4.2.8) 4.7) 日本音響学会道路交通騒音調査研究委員会:道路交通騒音の予測モデル“ASJ RTN-Model 2008”, 日本音響学会誌,Vol.65, No.4, pp.179-232, 2009. 国道 250 号 (夜間) 国道 2 号 図-4.2.6 騒音対策を目的とした速度 規制

(33)

30

図-4.2.7 衝突時の自動車の走行速度と歩行者が致命傷となる確率4.8)

図-4.2.8 木曽カメクラブのロゴと車両4.9)

4.8) WHO,Speed management- A road safety manual for decisio n-makers and practitioners,2008 4.9) 国土交通省, http://www.cbr.mlit.go.jp/iikoku/kisokameclub/html/gaiyo.htm より

(34)

31 4.3 発生源側での対策-排水性舗装 排水性舗装は雨天時の安全確保を目的として開発されたものであるが、図-4.3.1 のよう にタイヤと路面の間で空気が圧縮・膨張するのを空隙で緩和するとともに吸音することで 騒音を抑制する。 図-4.3.1 排水性舗装によるタイヤ/路面音の抑制 排 水 性 舗 装 に よ る 騒 音 低 減 量 は 道 路 の 種 別 、 車 種 、 走 行 速 度 に よ り 異 な る 。ASJ RTN-Model4.7)では排水性舗装の補正式を約40 km/h~140 km/h の定常走行データ(積雪地の データは除く)から(4.1)~(4.6)としている。図-4.3.2はこれらを図示したものである。排水 性舗装による平均的な騒音低減量は約3 dB(表-4.1)である。排水性舗装の減音効果は経 年変化で低下する。

(35)

32 [一般道路] 停止時 小型車類、大型車類 ΔLsurf =0 走行速度60 km/h まで

小型車類 ΔLsurf = -5.7 + 7.3log10(y+1) (4.1) 大型車類 ΔLsurf = -3.9 + 3.6log10(y+1) (4.2) ここで、y は施工後の経過時間[年]である.

[自動車専用道路]

走行速度60 km/h 未満

小型車類 ΔLsurf = -5.7 + 6.4log10(y+1) (4.3) 大型車類 ΔLsurf = -3.9 + 3.6log10(y+1) (4.4)

走行速度60 km/h 以上

小型車類 ΔLsurf = 3.2 -5log10V +6.4log10(y+1) (4.5) 大型車類 ΔLsurf = 5.0 -5log10V + 3.6log10(y+1) (4.6)

ここで、V:走行速度[km/h]、y:施工後の経過時間[年]

-9

-6

-3

0

20

40 60

80 100 120 140

V (km/h)

Δ

L

su rf

(d

B

)

大型車類 新設

大型車類 敷設後5年

自動車専用道路

小型車類 敷設後5年

小型車類 新設

一般道路 小型車類

敷設後5年

図-4.3.2 排水性舗装による騒音低減量

(36)

33 4.4 伝搬経路での対策-遮音壁 遮音壁は、自動車からの直達音を遮断して騒音を低減する( 図-4.4.1 )。環境影響評価 法に基づく環境影響評価では、約 7 割の事業において環境保全措置として遮音壁が計画さ れている。遮音壁は、図-4.4.2 に示すように様々な形式のものがある。遮音壁の設置にあ たっては、車の乗り入れ口、景観、日照、交通安全、および防犯等の検討および沿道住民 との調整等が行われている。遮音壁の設置コストは現場条件や遮音壁の仕様により異なる。 図-4.4.1 遮音壁による騒音の低減

(37)

34 透光性遮音壁 先端改良型遮音壁 植栽に覆われた遮音壁 先端改良型遮音壁 張り出し型 掘割構造と遮音壁 低層遮音壁 植栽と透光性遮音壁 図-4.4.2 様々な形式の遮音壁

(38)

35 4.5 伝搬経路での対策-その他 環境施設帯を整備することで騒音、振動、排出ガスが距離減衰する。環境施設帯は、植 樹帯、路肩、歩道、副道等で構成される。 道路構造令の解説と運用 ((社)日本道路協会 平成 16 年より) 2-11 環境施設帯 2-11-1 概 説 環境施設帯とは、「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準につい て」(昭和49 年 4 月 10 日都市局長・道路局長通達)に基づいて設けられる幹線道路の沿 道の生活環境を保全するための道路の部分をいい、植樹帯、路肩、歩道、副道等で構成さ れる。 2-11-2 環境施設帯の設置 第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域および 第2種中高層住居専用地域またはその他の地域であって、住居の立地状況その他土地利用 の実状を勘案し、良好な住居環境を保全する必要があると認められる地域を通過する幹線 道路については、当該幹線道路の各側の車道端から幅10 m の土地を道路用地として取得 するものとする。 ただし、幹線道路が自動車専用道路であって、次のi)または ii)のいずれか一つに該当 し、かつ夜間に相当の重交通が見込まれるものについては、当該幹線道路の各側の車道端 から幅20 m の土地を道路用地として取得するものとする。 なお、この場合において建築物の不燃堅牢化が進んでいる地域については、これを10 m とするものとする。 i) 当該幹線道路の構造が切土又は盛土であること ii) 当該幹線道路の構造が高架(他の道路の上部に設けられる場合に限る)であること また地形の状況その他の特別の理由により、やむを得ない場合においては、上記の値に よらないことができるものとする。

(39)

36 (参考)供用中の道路の沿道における環境施設帯の整備 ① 事業の進め方 環境施設帯の事業の進め方の例を図-4.5.1に図示する。 図-4.5.1 環境施設帯整備事業の進め方の例(中部地方整備局作成資料を一部修正)

(40)

37 環境施設帯の整備事例 [国道23 号品川町環境施設帯の整備] 図-4.5.2 環境施設帯整備事業の公表例4.10) 4.10) 国土交通省, http://www.cbr.mlit.go.jp/meikoku/kisha/pdf/20070706_kisya.pdf より

(41)

38 (参考)地表面効果による騒音の減衰 環境施設帯内の植栽により騒音が遮蔽される効果は見込めないが、地表面による騒音の 減衰は見込める。環境施設帯の地表面を草地とみなし、ASJ RTN-Model4.7)でユニットパタ ーンを考慮して減衰量を計算した例を図-4.5.3に示す。 r m 騒音測定点 高さ1.2 m アスファルト 10 m 基準点 r = 0 m 草地 計算条件 50 60 70 80 0 10 20 30 40 50 騒 音 レ ベ ル d B 車線からの距離 r m 幾何減衰のみ (アスファルト相当) 倍距離で- 3 dB 3 dB 草地の減衰 図-4.5.3 草地における騒音の減衰の計算例 (備考)点音源の幾何減衰は倍距離で -6 dB であるが、道路交通騒音のような線音源での 幾何減衰は倍距離で -3 dB となる。

(42)

39 4.6 受音側での対策 道路事業者による受音側の対策として、沿道法に基づく対策および高速自動車国道等の 周辺における防音助成について概要を述べる。 1) 沿道法に基づく対策 都市における幹線道路周辺において、道路交通騒音による障害を防止し、あわせて適正 かつ合理的な土地利用を図ることを目的として、「幹線道路の沿道の整備に関する法律」(沿 道法)S55 年法律第 34 号、平成 8 年改正が定められている。沿道法では知事が沿道整備道 路を指定すること、道路管理者及び都道府県公安委員会が道路交通騒音減少計画を作成し、 区市町村が沿道地区計画を策定すること、および以下の自動車騒音の諸対策を進めること を定めている。沿道法適用の流れの例を図-4.6.1に示す。 ① 土地の取得費用の一部を国が市町村に無利子で貸付できること。 ② 緩衝建築物の建築を促進するため、道路管理者が建築費の一部を負担すること。 ③ 市町村条例により新設住宅の防音構造化が義務づけられたとき、道路管理者が既存住宅 の防音工事費用を助成すること。 ④ 防音助成の住宅が老朽化し有効な防音工事の実施が困難な場合には、道路管理者が住宅 の移転・除去費用を助成できること。 沿道法による指定道路は、ほとんどが東京都内の道路である。沿道対策として建築基準 法に基づく建築制限条例を定めている区もあり、①建築物の用途の制限、②間口率の最低 限度、③建築物の高さの最低限度、④建築物の構造に関する遮音上の制限、⑤建築物の構 造に関する防音上の制限、⑥敷地面積の最低限度、⑦壁面の位置の制限などを規制してい る例もある。 沿道地区整備計画の決定 沿道整備協議会の設置 道路交通騒音減少計画の策定 区域及び整備の方針決定 建築制限条例 沿道地区計画 沿道整備道路の指定 ①沿道整備用地買入れの無利子貸付け ②緩衝建築物の費用一部負担(間口長 20m以上、高さ6m以上、間口率7/10以上) ③その他 ①防音工事助成(夜間Laeqで65dB以上) ②住宅の移転等に対する助成 図-4.6.1 沿道法適用の流れ4.11) 4.11) 阿部他:東京都における自動車騒音対策, 騒音制御, Vol.27, No.1, 2003

(43)

40 2) 高速自動車国道等の周辺における防音助成 「高速自動車国道等の周辺における自動車交通騒音に係る障害の防止について」(昭和51 年7 月 21 日建設省都市・道路局長通達、平成 11 年 7 月 1 日一部改正)に基づいて、高速自 動車国道および自動車専用道路の沿道の住居等に対する防音助成が行われている。助成の 要件は以下となっている。 ①夜間(22:00~6:00)の等価騒音レベルが 65 dB 以上。 ②基準日(昭和51 年 8 月 1 日。それ以降に供用された路線については供用開始日。)に居 住の用に供されていること。(いわゆる「先住者」を要件としている。) 防音助成以外にも移転の助成が行われている。

(44)

41 4.7 道路構造による騒音対策の事例 4.7.1 苦情・要望等への対応の事例 騒音に対する苦情・要望等に対しては、現場条件等に応じて臨機応変に対応する必要が ある。ここでは、様々な対応事例を示す。 a) すみやかに対策工事を施工した事例 夜間の騒音・振動が激しくて飛び起きることもあるとの苦情が電子メールと電話で道路 管理者に寄せられた。担当者は、ただちに現場に行き、原因が埋め戻しの跡やわだちぼれ による路面の不陸であることを把握した。日交通量は約2 万台である。道路管理者は、た だちに延長約 170 m の舗装の打ち換え工事を行った。年間契約している維持工事で行うた め、発注等の事務手続きに時間を要することもなかった。夜間工事となるために工事前に は沿道の住民にビラを配って周知した。対策後は騒音・振動が解消し、住民からもお礼が あった。なお、この事例においては騒音・振動の測定等は行っていない。 図-4.7.1 わだちぼれした路面のイメージ b) 新たな装置を設置した事例 橋梁ジョイント(伸縮装置)部を車両が通過する際に発生する「突発騒音」に対する改 善要望が住民からよせられた。道路管理者は、「橋梁ジョイント部における突発騒音吸収装 置」(図-4.7.2)を設置した。装置は「突発騒音」対策として新たに開発したものである。 ジョイント直下部での84 dB 以上の突発騒音の発生頻度は 36%から 2%に減少し、住民から も改善されたと評価された。 開閉構造 (点検が容易) 図-4.7.2 橋梁ジョイント部における突発騒音吸収装置の設置

(45)

42 c) 時間をかけて着実に改善した事例 住民の自治会から道路交通騒音の改善要望を受けた(起算時点A 年度)。道路は、高架部 4 車線、平面部 6 車線の二層構造であり、これまでに高さ3 ~ 5 m の遮音壁等の騒音対策は講 じられていた。 騒音対策は、環境施設帯の設置、遮音壁の嵩上げ、舗装の打ち換えの順で計画した。環 境施設帯の用地取得はA + 3 年度に完了したが、一部の商業施設で協力してもらえなかった。 この箇所では遮音壁も設置できなかった。A + 5 年度から A+8 年度に既設遮音壁( 高さ 3 ~ 5 m )を高さ 8 m にする嵩上げの工事、A + 7 年度から A + 8 年度にかけて舗装の打ち換え 工事を施工した。遮音壁を設置することができなかった箇所では、商業施設と住宅地の境 界に遮音壁を設置して課題を解消した。 対策の進捗状況や騒音の測定値は、住民説明および広報誌で住民にお知らせした。 d) 騒音対策を講じることができない旨を説明した事例 バイパスの供用後に単路部およびオンオフランプ付近双方の住民から遮音壁の設置要望 を受けた。道路の敷地の境界線での騒音レベルは環境基準値(幹線交通を担う道路に近接 する空間の基準値)を 5 dB 以上下回っていた。住民には、騒音が環境基準値以下なので遮 音壁を設置することができない旨を説明して理解を得た。 経緯を以下に示す。 起算時点 バイパスの全線を暫定的に供用開始。 単路部沿道の住民から遮音壁の設置要望。 1 ケ月後 騒音測定。昼夜ともに環境基準値以下であるため遮音壁を設置すること ができない旨を住民に説明。 5 ケ月後 立体交差のオンオフのランプ付近の住民の自治会から遮音壁およびカ ーブミラーの設置要望。立体交差の高架部が工事中であったため直進車 両もランプ部を通過していた。 6 ケ月後 立体交差の供用開始までの暫定措置として仮設の遮音シートを設置。 (高さ 1.8 m、全長 20 m + 110 m) 7 ケ月後 カーブミラーの設置。 12 ケ月後 交差点の立体化供用。仮設の遮音シートを撤去。 20 ケ月後 騒音測定。環境基準値以下であるため遮音壁を設置することができない 旨を単路部沿道の住民に説明。 24 ケ月後 立体交差のオンオフのランプ付近の住民の自治会に報告。 道路事務所および施工業者は住民対応で以下に配慮している。 ・電話があったら即対応する。 ・できることできないことを明らかにし、困難なことは回答を保留し持ち帰って検討する。 ・できること(おとしどころ)を見つける。

(46)

43 e) 騒音が環境基準値以下の沿道における騒音対策要望への対応事例 衝撃的な騒音等が発生する場合には、騒音が環境基準値以下の場合でも改善要望を受け て対策を講じることがある。表-4.7.1は騒音の対策要望の要因と対応の事例である。 表-4.7.1 騒音が環境基準値以下の沿道における騒音対策要望への対応事例 苦情・要望の内容・要因 対策対応 車道内に設置した情報BOX による段差通過音 対策済 下水道工事後の段差で振動(騒音) 高架ジョイント音 工事による施工継目による段差で騒音振動発生 大型車のエンジン音(勾配部) 未対応 排水性舗装の機能低下と車両の大型化 4.7.2 交差点近傍における騒音の測定値 交差点近傍では交差する双方の交通の影響を受けるため単路部よりも騒音は大きくなる が、距離減衰を確保できる箇所、遮音壁を設置した箇所、立体交差部、および掘割部では 騒音が抑制されている。ここでは騒音対策の検討に資することを目的とし、様々な交差点 近傍における騒音の測定値を示す。騒音の測定値は、交通量等の条件により変化するため、 異なる日時で測定した騒音値の差には、交通量等の条件の違いによる差が含まれ、真の騒 音値の差と異なる場合がある。そこで、複数の地点で同時に測定した等価騒音レベルLAeq の 差で騒音の低減量を示すこととした。

(47)

44 a) 距離減衰 距離減衰により騒音が低減していることを確認した例をに示す。 (a-1) 主道路:都道府県道、従道路:都道府県道 交差点の状況:遮音壁等がない平面交差。 等価騒音レベルLAeqの測定値 70dB(P2) 従道路の最近車 線中央から5.1m 離れた地点 67dB(P4) -5dB 主道路・従道路双 方から20m程度離 れた地点 68dB(P1) 主道路の最近車線 中央から5.1m離れ た地点 72dB(P3) 平面交差部。主道 路・従道路双方か ら10.5m離れた地点 低層の植栽 ※)調査地点P4(敷地の境界線)から交差点までの間には低木の植栽が施されている。 交通条件 大型車類 小型車類 主道路上り 74 382 16 50 排水性舗装(良好) 下り 69 324 18 50 排水性舗装(良好) 従道路上り 38 215 15 50 密粒舗装(良好) 下り 51 258 17 50 排水性舗装(良好) 道路 種別 進行 方向 時間換算交通量(台/h) 大型車混 入率(%) 規制速 度(km/h) 舗装種別

(48)

45 b) 遮音壁 遮音壁により騒音が低減している事例を二つ示す。なお、交差点近傍において遮音壁を 設置した場合のおおまかな騒音低減量および遮音壁の概要については 4.4 伝搬経路での対 策-遮音壁および A4 遮音壁関連資料に示す。 (b-1) 主道路:国道、従道路(測定側):市町村道 交差点の状況 ・主道路と従道路は平面交差で主道路の上部に高架道路が併設されている。 ・主道路および交差点部には遮音壁が設置されている。 等価騒音レベルLAeqの測定値 ©2009 ZENRIN CO.,LTD. (Z09EC第026号) 紙の資料 (Z09EC第027号) インターネット 67dB (P6) 主道路の最近接車線中央か ら23.0m、従道路の最近接 車線中央から4.5m 62dB (P4) -11dB 主道路の最近接車線中央か ら18.8m、遮音壁から14.9m 66dB (P7) 主道路の最近接車線 中央から32.8m、従道 路の最近接車線中央 から4.5m 72dB (P2) 主道路の最近接車線中央か ら6.2m 72dB (P1) 主道路の最近接車線中央か ら5.4m 73dB (P3) 主道路の最近接車線中央か ら4.2m 44dB (P8) -29dB 窓は単板ガラスの屋内。主 道路の最近接車線中央から 22.5m、遮音壁から18.6m 66dB (P5) 主道路の最近接車線中央 から19.4m、従道路の最近 接車線中央から7.9m、遮 音壁端部から4.1m 主道路の車道端付近 ( P1、P2、P3 )での LAeqは72~73 dB と大きいが、建物側では遮音壁中央部背後 ( P4 ) で62 dB、遮音壁端部背後 ( P5、P6、P7 )で 66~67 dB となっており、遮音壁中央部背後において大きく低 減していた。遮音壁中央部背後建物の室内 ( P8 ) の LAeqは44 dB に低減していた。 交通条件 大型車類 小型車類 主道路※1 北行 111 1,026 10 50 排水性舗装 南行 92 945 9 50 排水性舗装 従道路※1 西行 14 153 8 40 密粒舗装 東行 3 192 2 40 密粒舗装 高速道路※2 (高架部) ※1:交差点を挟む2つの断面交通量を実測し、平均して求めた。 ※2:交通量は道路交通センサスによる。 時間換算交通量(台/h) 5 -- 上下 計 47 大型車混 入率(%) 規制速 度(km/h)舗装種別 890 道路 種別 進行 方向

参照

関連したドキュメント

本審議会では、平成 29 年2月 23 日に「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開

東京都環境影響評価審議会 会長 柳 憲一郎..

第2章 環境影響評価の実施手順等 第1

水道施設(水道法(昭和 32 年法律第 177 号)第 3 条第 8 項に規定するものをい う。)、工業用水道施設(工業用水道事業法(昭和 33 年法律第 84 号)第

第1回 平成27年6月11日 第2回 平成28年4月26日 第3回 平成28年6月24日 第4回 平成28年8月29日

刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)以外の関税法(昭和29年法律第61号)等の特別

今般、8月27日以降については、新型インフルエンザ等対策特別措

本日、新型コロナウイルス感染症対策本部長が新型インフルエンザ等対策 特別措置法(平成 24 年法律第 31 号)第 32 条第