③結果の概要
・学習指導要領の領域別平均正答率、評価の観点の平均正答率では、各領域とも全国平均を上回っている。
・特に、学習指導要領の領域別平均正答率の「読むこと」で2.9ポイント、
「伝統的な言語文化と国語の特質
に関する事項」で4.1ポイント全国平均を上回っている。
・評価の観点では、
「言語についての知識・理解・技能」で、4.1ポイント全国平均を上回っている。
④課題と考えられる内容
●設問6
出題のねらい 複数の事柄を並列の関係で書くことができる。
結果 区全体正答率 74.0%は、全国平均 74.9%を 0.9 ポイント下回った。
対策 文や文章の構成を整えて書くためには、語句と語句との係り方に気付き、文と文とのつなが
りを意識させることが重要である。
そのためには、各学年の発達段階で指導していくことが大切である。
〔1・2年〕・・・複数の事柄を並べるときには、「と」「や」「~たり、…たり」という助
詞・助動詞の表現を正しく使えるように指導する。
〔3・4年〕・・・文と文とのつながりを意識させ、「また」「さらに」「しかも」などの接
続詞を正しく使えるようにする。
●設問2(2)
出題のねらい 分かったことや疑問に思ったことを整理し、それらを関連付けながらまとめて書くことができ
る。
結果 区全体の正答率 27.3%(全国平均 26.9%)
対策 資料などから必要な情報を取り出し、付箋などを使って事柄を書き出すことがまず大切であ
る。その上で、書き出した事柄を分類したり関係づけたりして、全体を通して分かったことや
考えたことをまとまった文章にして書くことが重要である。
文章をまとめる際には、自分のノートなどに書いた疑問に思ったことや分かったことを、接
続語である「~たち、…たり」「~や」「~も、…も」を使って二文を一文にまとめたり、「例
えば」という言葉を使って説明するような指導を行う。
●設問4(2)
出題のねらい 単位量当たりの大きさの求め方を理解している。
結果 区全体正答率 54.7%は、全国平均 60.8%を 6.1 ポイント下回った。
対策 5年「単位量当たりの大きさ」の単元で、混み具合について、単位量当たりの人数で比べる
際に、式を立てて1㎡当たりの人数を求める指導を十分に行うことが大切である。
指導に当たっては、具体的な操作を通して、「16÷8」というわり算の式の意味を考えさ
せ、16を8等分していることを理解させることが大切である。
例えば、問題場面を、テープ図や数直線図など図に表し単位量を判断して立式するようにす
る。また、1㎡当たりの人数を求めるために1㎡の区切りに16人を平均して配分した図から、
16÷8という式を立て、1㎡あたりに2人いることをとらえさえる。
●設問5(1)
出題のねらい 円周の長さを,直径の長さを用いて求めることができる。
結果 区全体正答率 79.4%は、全国平均 83.9%を 4.5 ポイント下回った。
対策 円周率の学習する際では、作業的・体験的な活動を通して、直径の長さと円周の長さの関係
を実感をともなって理解できるようにすることが大切である。
指導に当たっては、いくつかの円から円周率を実際に調べる活動が考えられる。具体的には、
円について円周や直径の長さを測定し、円周の直径に対する割合が一定であることを調べる活
動を行っていく。
その際、直径の長さと円周の長さの関係に着目させ、円周の長さが直径の長さの何倍になる
かについて見通しを立てさせることが大切である。
●設問6
出題のねらい 作図に用いられている図形の約束や性質を理解している
結果 区全体正答率43.7%は、全国平均 52.0%を 8.3 ポイント下回った。
対策 作図の操作とその意味を考えることで、作図は図形の約束や性質に基づいていることを理解
することが大切である。
例えば、コンパスを用いた作図においては、コンパスを用いて等しい長さを写し取っている
ことを、平行四辺形の性質である「向かい合う辺の長さが等しいこと」とつなげて理解させる
ことが大切である。
指導に当たっては、平行四辺形の作図においてコンパスを用いる理由を考えさせことが大切
である。コンパスを使って等しい長さを写し取り、平行四辺形の性質である「向かい合う辺の
長さが等しい」という性質を使った作図であると気付かせたい。
●設問1(1)
出題のねらい 示された場面から計算の結果の見通しをもち,(2位数)×(1位数)の筆算をすることがで
きる。
結果 区全体正答率 93.3%は、全国平均 94.6%を 1.3 ポイント下回った。
対策 計算の結果の見通しをもつことは、大きな誤りを防ぐ上で大切である。
例えば、設問では、かける数が3のときに積が111になり、かける数が6のときに積が2
22になることをもとにすると、かける数が3増えて9の場合には積が333になるという見
通しをもつことができる。この見通しにもとづいて、積が333になることを実際に37×9
の計算をすることで確かめることができる。
指導に当たっては低学年のうちから、「だいたいどれくらいになるのかな」というように計
算の見通しを立たせることが大切である。
●設問2(2)
出題のねらい 最大値に着目して,棒グラフの棒を枠の中に表すことができない理由を記述できるかどうかを
みる問題
結果 区全体正答率 66.6%は、全国平均 69.1%を 2.5 ポイント下回った。
対策 まず、3年生での棒グラフの読み方やかき方について理解することが大切である。資料を分
類整理し、表に表したものをグラフにかいたりグラフから読み取ったりする経験を通してグラ
フの読み取りに慣れるようにする。
指導に当たっては、本設問を用いて、「6・7月が一番多いから(6・7月の棒が枠に入ら
ない)」といった不十分な説明を示し、グループ活動などを通して理由を話し合わせ、最も多
いとなぜ入らないのかについて考えさせることが大切である。
●設問4(2)
出題のねらい 叙述の仕方などを確かめて,適切に書き換えることができる。
結果 区全体正答率 77.5%は、全国平均 80.5%を 3.0 ポイント下回った。
対策 中学校1年生の段階から、「~は、…していた。」「~が、…だった。」など主語と述語の
関係をとらえて、文章を書き換える指導を授業の中に取り入れていくことが大切である。
書いた文章を推敲する際には、伝えたい事柄が明確になるように、主語と述語の関係や修飾
語・被修飾語の関係などを文の構成に着目してさせる。その上で元の文章と書き直した文章が
どのような違いがあるのか比較させ、効果を検討するように指導していくことが大切である。
例えば、同じ事柄であっても主語を変えることにより内容の伝わり方が変わることなどを、
授業の中で実際に文章を書かせることで実感させていくことが効果的である。
●設問8(5)
出題のねらい 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直して読むことができる。
結果 区全体正答率 69.2%は、全国平均 80.3%を 11.1 ポイント下回った。
対策 古典に親しむ指導の工夫が必要である。古典の学習の際には、古典の音読や朗読を通して古
典特有のリズムを味わわせることが大切である。
指導に当たっては、音読のほか、身近な昔話を取り上げて、現代語訳を読んで興味をもった
部分について原文を読んだり、古典を解説した文章を読んだりするなどを授業に取り入れて指
導していくことが有効である。
●設問1(1)
出題のねらい 表現の技法について理解している。
結果 区全体正答率 61.0%は、全国平均 65.3%を 4.3 ポイント下回った。
対策 比喩や反復などの表現技法については、その名称を確認するとともに、具体的な表現と結び
付けて考えることが大切である。
例えば、「擬人法」や「反復法」など詩や短歌に用いられている表現の技法を取り上げ、意
味や用法を指導しながら、その効果についてグループなどで話し合う活動を授業で取り入れる
学習活動を行うことが効果的である。
●設問3(1)
出題のねらい 本や文章から,目的に応じて必要な情報を読み取ることができる。
結果 区全体正答率 50.3%は、全国平均 52.0%を 1.7 ポイント下回った。
対策 中学校における古典の指導は、生徒が古典に親しむことをねらいとしている。そのため、古
典を学習する際には、授業の中では古典の原文の音読に加えて、古典について解説した文章な
どを取り上げることが効果的である。
また、音声や映像メディアを活用して、落語や歌舞伎、狂言などの伝統芸能に触れて、演じ
方に興味をもったり、情景や人物について想像を広げたりすることも、古典に一層親しむこと
につながっていく。
●設問6(3)
出題のねらい n 角形の内角の和を求める式180゚×( n-2)における( n-2)の意味を理解している。
結果 区全体正答率 42.3%は、全国平均 47.8%を 5.5 ポイント下回った。
対策 多角形の内角の和を表す式が、多角形を三角形に分割することによって導き出されることを
理解できるように指導することが大切である。
そのために、様々な多角形を考察することを通して、多角形の内角の和を表す式を導いたり、
その式の意味を読み取ったりする場面を設定する。例えば、設問のように六角形を取り上げ、
式の( n-2)を分割してできる三角形の個数や六角形の構成要素と対応させて、その意味を捉
える活動を取り入れることが考えられる。
●設問10(4)
出題のねらい 反比例について,グラフと表を関連付けて理解している。
結果 区全体正答率 40.7%は、全国平均 45.7%を 5.0 ポイント下回った。
対策 反比例の特徴を、表、式、グラフを相互に関連付けて理解できるようにするために、表やグ
ラフから比例定数を読み取って式に表したり、比例定数の符号や絶対値の違いによる変化の様
子の違いを捉えたりする活動が考えられる。
授業では、グラフから比例定数の符号が判断できることや、比例定数は表の対応する x と y
の値の積になることを確認するとともに、そのグラフをかいたりする活動を取り入れることが
大切である。
●設問2(1)
出題のねらい 事柄が成り立つ理由を説明する場面において、与えられた説明の筋道を読み取り,式を適切に
変形することで,その説明を完成することができる。
結果 区全体正答率 57.8%は、全国平均 61.2%を 3.4 ポイント下回った。
対策 事柄が一般的に成り立つことを説明する際に、文字式や言葉を用いて根拠を明らかにするこ
とができるように指導することが大切である。また、2年生の「数と式」の領域で、文字を用
いた四則計算を確実にできるようにする。
授業で本問題を取り上げる際には、「2つの偶数の和は、偶数になる」ことを説明するため
に、「なぜ2×□の形にするのか」「なぜm+nは整数という説明が必要なのか」など、グル
ープで説明し合う場面を設定し、自分で考え説明できる活動を取り入れるなどの指導の工夫が
考えられる。
●設問5(2)
出題のねらい 不確定な事象の起こりやすさの傾向を捉え,判断の理由を説明することができるかどうかをみ
る問題
結果 区全体正答率 29.5%は、全国平均 32.1%を 2.6 ポイント下回った。
対策 確立の学習については、不確定な事象の起こりやすさを予想し、それを確かめる方法を考え
ることができるようにするために、試行を通して事象の特徴を把握し、起こりうる場合を分類
整理できるようにすることが大切である。
授業では、実際に「スティックゲーム」など不確定な事象についての観察や実験を行い、デ
ータを収集して求めた数値を用いる方法や、起こり得る全ての場合を数え上げて樹形図などに
まとめて求める方法を指導していくことが大切である。