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IEEJ Transactions on Industry Applications

Vol.135 No.12 pp.1153–1159 DOI: 10.1541/ieejias.135.1153

論 文

数理計画法に基づく全列車各駅停車の路線に

優等列車を取り入れることによる旅客総旅行時間の最小化

非会員

拓哉

∗a) 学生員

渡邉翔一郎

∗ 正 員

古関

隆章

Mathematical Programming for Minimizing Total Travelling

Time of Passengers by Partial Introduction of Rapid Trains

Takuya Mori∗a), Non-member, Shoichiro Watanabe∗, Student Member, Takafumi Koseki∗, Member (2014年12月3日受付,2015年7月22日再受付)

Smart timetabling optimization is a cost-effective way to improve the quality of railway service. Partial introduc-tion of rapid trains is one of the effective methods for improving passenger service quality. However, it is difficult to concretely perform smart train scheduling. In this paper, we apply mixed integer programming for minimizing the total travelling time of passengers to obtain optimal train scheduling for the combination of all-station and partially introduced rapid trains. This method requires higher computational time to obtain the optimal solution than other meta-heuristic methods; however, the solution guarantees to be an optimal one. We also propose an appropriate method to digitize the OD (Origin Destination)-patterns, i.e., the traffic demand inputs between two stations, which are suitable for the framework of the proposed mixed integer programming method. We apply the method to a case study of a commercial subway and demonstrate the advantages of the proposed train service with the partial introduction of rapid trains.

キーワード:混合整数計画法,列車ダイヤ,数理最適化,優等列車,旅客総旅行時間

Keywords: mixed integer programming, railway scheduling, mathematical optimization, rapid train, total travelling time of

passen-gers 1. はじめに 鉄道輸送における輸送サービスを改善する取組みとして, ハードウェア的アプローチとソフトウェア的アプローチの 2種類が考えられる。ハードウェア的アプローチとしては, 線路増設,ルート変更,車体傾斜制御の採用,車両の出力向 上による加速度・減速度・登坂速度の上昇がある(1)。しか し,これらの方法は莫大な費用を要する。そのため,ソフ トウェア的アプローチであるダイヤの改善により輸送サー ビスを改善することが低コストで有用であると報告されて いる(2) 一口にダイヤの改善と言っても,何を目的にして改善す

a) Correspondence to: Takuya Mori. E-mail: t [email protected]

東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻

〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1

Department of Electrical Engineering and Information Systems, School of Engineering, The University of Tokyo

7-3-1, Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8656, Japan

るのが良いか,というのは路線ごとに異なる。過去のダイ ヤ最適化の研究として,列車の混雑抑制を目的としてダイ ヤの最適化を行ったもの(3),路線が網目のように張り巡ら されている都市で,乗り換え時間抑制を目的にしてダイヤ の改善を図ったもの(4),日々の旅客のデマンドを反映した ダイヤを考えたもの(5)などの研究が報告されている。その 中でも,多くの鉄道会社で使われている手段として優等列 車の導入が挙げられる。 優等列車を導入することにより,旅客の総旅行時間を下 げようとする取り組みとしては,遺伝的アルゴリズム(6)や動 的計画法(7)を用いたものが先行研究として挙げられる。し かし,これらの研究では準最適解は得られるものの,原理 的に最適性の保証のある解は求まらない。計画時に列車ダ イヤを設計する作業は,数分後,数時間後に結果を求める ことは必ずしも要求されず,時間がかかっても真に最適な 解を導出できることが有用である。そこで本研究では,最 適性の保証のある旅客総旅行時間最小ダイヤを導出するた めの定式化を提案する。 また,本論文では「追い越し設備を持たない路線」でも

(2)

優等列車導入の効果があることを示す。優等列車に着目し た従来の研究では,計画ダイヤを考える研究(6) (7)や,運転整 理を扱った研究(8)双方で追い越し設備を持つことを前提と していた。日本に限らず,世界の大都市には地下鉄が普及 しているが,地下鉄は一部の路線を除いて全列車各駅停車 で運行されていることが多い。また,それらの線の多くで は追い越し設備を持たないことが多い。東京の地下鉄のよ うに常に人が多く乗車しており,混雑が激しい路線は全列 車各駅停車で走らせることが得策である。実際に混雑が激 しかった路線で快速運転を取りやめ,全て各駅停車で運行 し効果をあげた例がある(9)∼(11)。しかし,旅客利用が芳しく ないような路線では速達性を高めることが利用者増加のた めに重要である。本研究では,そのような全列車各駅停車 で運行されており,混雑が比較的緩やかな路線に着目する。 具体的には追い越し設備を持たない路線に,一部の駅を通 過する優等列車を走らせることにより,速達性を高め,待 ち時間を含めた旅客の総旅行時間を最小にする列車ダイヤ を求めることも目的の一つとする。 本論文では離散OD表について新しく提案する。従来の 鉄道ダイヤの研究ではODの扱いが連続的であることがほ とんどであり,またそもそも言及されていないものも多かっ た。そのため本論文では旅客を整数で扱い,またデータ削 減にもつながる可能性のある離散OD表の作成について提 案を行った。 2章で,旅客総旅行時間最小ダイヤ導出のための定式化に ついて具体的に記す。3章で,ODデータ(Origin-Destination データ:移動旅客数情報)を離散的に扱う方法について提 案する。最後に4章でケーススタディによって本提案の有 用性を示し,5章でまとめと今後の課題を述べる。 2. 優等列車運行のための仮定と定式化 列車ダイヤ作成問題を数理計画法として定式化する試み として,運転整理問題を定式化した先行研究(12)∼(14)がある。 本研究ではこれらの先行研究のうち,列車運行上の制約の 論理的制約を発展させて定式化を行った。なお,本研究で は定式化についての提案し,求解部は数理計画パッケージ であるCPLEX12.2(15)を用いた。21〉 目的関数 本研究では目的関数として旅客総 旅行時間を用いる。その式を(1)式に示す。この目的関数 を最小にすることが,本研究の目的である。この旅客総旅 行時間最小になるダイヤを本研究における最適なダイヤと よぶことにする。  Pko,d×t k o,d· · · (1) Pk o,d:駅od間を移動する旅客の時刻kにおける駅oの出 現人数 tk o,d:時刻kに現れた旅客が駅oからdに移動するのにかか る時間 〈22〉 列車運行上の制約 列車計画を作成する際に は,列車運行に関する各種の制約を守る必要がある。制約 Table 1. Nomenclature. には設備条件に起因する〈物理的制約〉と,列車運行業務 上の理由に起因する〈論理的制約〉の2種類が存在する(16) それぞれの制約について順番に説明していく。本節での定 式化で使用する記号についてTable 1に示す。 〈221〉 物理的制約 物理的制約に関わる式を(2)∼ (6)式に示す。 (A)全ての列車は基準運転時分以上の時間で駅間を走行 する asj+1− d s j≥ LR s− K × passs j ∀s ∈ S, ∀ j ∈ R· · · (2) (B)全ての列車は駅に停車する場合,最小停車時分以上 の時間停車する dsj− a s j≥ LS s 1− passsj  ∀s ∈ S, ∀ j ∈ R· · · (3) (C)駅での発発時隔は最小出発時隔以上 dsj+1− dsj≥ LD ∀s ∈ S, ∀ j ∈ R· · · (4)

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Fig. 1. The original timetable. (D)駅での着着時隔は最小到着時隔以上 asj+1− a s j≥ LA ∀s ∈ S, ∀ j ∈ R· · · (5) (E) 2本以上の列車が同じ駅で同じ番線を使う際,その発 着間隔は最小発着間隔以上 asj+1− dsj≥ LT − M  2− rsj+1,q − rsj,q ∀s ∈ S, ∀ j ∈ R, ∀q ∈ Qs· · · (6)222〉 論理的制約 本研究で想定しているケース 設定と共に,必要な論理的制約について説明する。 (A) 列車の種別は各駅停車と優等列車の2種類 (B) 各駅停車と優等列車は始発駅を交互に出発する (C) 各駅停車のダイヤは固定 (D) 各列車は前を走る列車を追い越さない (E) 端末駅は通過しない (F) 優等列車が通過する駅の総数は固定する。 (G) 優等列車同士の停車,通過駅は同一 (A)∼(D)について,Fig. 1のダイヤを使って説明する。 Fig. 1は本来の全列車各駅停車で動いてる時のダイヤを表 している。(A)∼(C)はこのうち,細線で書かれたダイヤは 各駅停車として固定し,太線で書かれた列車を一部の駅を 通過する優等列車にすることを意味している。(D)は優等 列車が各駅停車を追い越すことなく,各駅停車と各駅停車 の間を物理的制約が満足する範囲で運行することを意味し ている。これにより追い越し設備がない路線でも提案手法 の有効性が可能となる。この制約については,(4)式および (5)式で達成している。 本論理的制約のうち,新たに提案したものが(C),(F), (G)である。従来の研究では各駅停車についてもダイヤの 最適化を行っていたが,優等列車のダイヤ最適化を絞るた め,各駅停車はダイヤを固定することで計算量の削減を行っ た。また,同様に従来の研究では優等列車は各列車につい て停車駅の最適化を行っていたが,今日の都市部の列車は 優等列車同士で停車駅が各列車同一のものが多いため,優 等列車同士の停車駅,通過駅を同一とし,また計算量削減 のため総通過駅数を固定する制約を新たに追加した。 (C),(E),(F),(G)について,定式化をそれぞれ(7)∼(10) 式に示す。 asj= A s j d s j = D s j ∀s ∈ S, ∀ j ∈ Rloc · · · (7) passendj = 0 ∀ j ∈ R · · · (8)  s∈S passsj= N ∀ j ∈ Rrap· · · (9) passsj= pass s j ∀ j, j∈ Rrap, j j · · · ·(10) 〈23〉 旅客の行動仮定 旅客の行動仮定を以下に示す。 (A)旅客は出発駅,到着駅,駅出現時刻を1セットとし て,旅客群として扱う (B)各旅客群は1本の列車を乗り通し乗換しない (C)各旅客群は駅到着前の列車には乗車できない (D)優等列車に乗車する場合,通過駅での乗降はできない (A)は計算量削減のための工夫である。実際のダイヤが 数秒単位で丸めて作られている(17)ことを考えれば,近似と して適当であると考えられる。本稿では4章のケーススタ ディにおいては15秒単位に丸めて,旅客の出現を考えてい る。(B)は,列車同士が追い越しをしないため出てくる旅 客の行動仮定である。(C)と(D)は実際の旅客行動に沿っ た仮定である。 (A)に関しては,Table 1で設定した変数zok,d, j によって実 現している。(B)∼(D)について,定式化を(11)∼(14)式に 示す。  j∈R zot, j,d= 1 ∀o, d ∈ S : o < d, ∀t ∈ T · · · ·(11) doj ≥ t × z o,d t, j ∀o, d ∈ S : o < d, ∀ j ∈ R, ∀t ∈ T · · · ·(12)  d∈S :o<d t∈T zot, j,d≤ M ×1− passoj ∀o ∈ S, ∀ j ∈ R· · · ·(13)  o∈S :o<d t∈T zot, j,d≤ M ×1− passdj  ∀d ∈ S, ∀ j ∈ R · · · ·(14) 3. 離散

OD

表の作成 列車ダイヤを考えるにあたって,旅客が駅間で何人移動 しているかを表すOD表はとても重要なデータである。し かし,それらのOD表は一日単位で何人移動するか,とい う形で与えられることがほとんどである。その与えられた OD表を1分あたりなどの単位で割ると,本来整数値であ るはずの旅客の人数が小数の形で表されることになる。本 研究ではこの問題を解決し,旅客を整数単位で扱えるよう にするため,離散的に旅客が現れるモデルを提案する。そ のイメージ図をFig. 2とFig. 3に示す。この図では10分に 3人の旅客が出現するというデータが与えられた時にどの ようにデータを扱うかを説明している。1分あたりの旅客 移動を考えるとFig. 2のように1分あたりに0.3人移動す る計算になるが,旅客を整数値で扱うため,Fig. 3のように 1分,5分,8分に1人ずつ旅客が出現する,というように 離散的に旅客が出現すると扱う。この際Fig. 4に示すよう

(4)

Table 2. An example of discrete OD table.

Fig. 2. An even passenger appearance pattern.

Fig. 3. A discrete passenger appearance pattern.

Fig. 4. A lopsided discrete passenger appearance pat-tern. に旅客の出現がある時間に集中することなく,Fig. 3のよ うになるべく均一になるように注意する。 本研究では離散OD表を作成するにあたって,以下のよ うにルールを定める。 (1)旅客はある時間間隔以上でしか出現しない (2)各駅停車が現れる間隔でODパターンは周期化 (3)各駅停車の発車時間(ダイヤ固定)に必ずどの駅間 ODも1人以上の旅客が現れる (4)なるべく均等になるように旅客は出現する このルールについてそれぞれTable 2を使って説明する。 Table 2は一日あたりのODデータのみが与えられている路

(5)

Fig. 5. The outline of simulated railway.

Table 3. The OD table for each 15 second.

線で,駅1∼駅16の16駅ある路線の駅1から駅2∼駅16に 向かう旅客がいつ何人移動するかを表した離散OD表であ る。(1)は前章の旅客群出現と同じ間隔で考えることを意 味している。今回は15秒単位で現れるとしている。Table 2 の一番上の行は一日あたりのOD表を基に,15秒ごとに何 人の旅客がどの駅に移動するかを表したものである。この 路線では各駅停車は6分に1本走っており,各駅停車の間 に快速を走らせることを考える。(2)は0∼6分の旅客出 現パターンと6∼12分の旅客出現パターンが同一であるこ とを意味している。つまり,この路線は6分に1回同じパ ターンで旅客が出現する。ところで,旅客は15秒単位でし か出現しないため,6分で24回出現チャンスがあることに なる。Table 2の3行目の値は6分あたりに出現する旅客 の数を表したものである。この数をCとするとCはC/24 が1行目の15秒あたりのODと一番値が近くなるように 選ばれた値である。たとえば駅1から駅7に向かう旅客は 6分の間に5人出現する。この5人が何秒の時点に出現す るかのルールを表現したものが(3)と(4)である。この路 線の各駅停車の駅1の発車時間は0分,6分,12分発であ るので0分と6分は必ず1人出現し,その間に均等に出現 するように,出現パターンを考えている。各駅停車の発車 時間に必ず旅客が出現するようにルールを設定しているの は,各駅停車のダイヤが固定されていると考えるため,各 駅停車の発車時間に旅客が一 番出現するようにし,他の特定の時間に旅客が集中する ことがないようにするための工夫である。以上(1)∼(4) のルールを元に各駅間ODを考える。 4. 有用性検証のためのケーススタディ 〈41〉 ケース設定 Fig. 5に想定する路線の概要を示 す。全16駅,全長12.0 kmの路線である。今回のケース

Table 4. Setting parameter.

スタディでは駅1から駅16へ向かう列車について考える。 Table 3は一日あたりのODデータから導いた想定する路 線の15秒あたりのOD表である。このODデータを基に 3章で提案した手法を用いて離散OD表を作成した。すべ ての駅間を載せることは紙面の都合上省略する。その一部 として駅1発の離散OD表をTable 2に示す。ODデータ から分かる通り,この路線は終着駅である駅16に向かう旅 客が多い路線である。2章で示した各定数について,各駅 停車の各駅着発時刻はFig. 1の細線のものを,基準運転時 分はFig. 5のものを,その他の定数についてはTable 4に 示したものを使用する。また末端駅に関しては2つホーム を使用でき,それ以外の駅に関しては1つしかホームを使 用できないとする。

実 験 に は ,CPU は AMD Phenom(tm) II X6 1090T 3,20 GHz,メモリ16.0 GB,OSは64ビット版Windows 7,ソルバとしてCPLEX12.2(15)を使用する。42〉 結果と考察 総通過駅数と旅客総旅行時間の 関係をFig. 6に示す。ここで通過駅数が0のものは,元の ダイヤ,つまり全列車各駅停車のダイヤのものを意味する。 優等列車の総通過駅数が増えることは,優等列車停車駅間 を移動する旅客にとっては旅行時間の短縮につながるが, 優等列車が停車しない駅を利用する旅客にとっては待ち時

(6)

Fig. 6. The relationship between the number of passing stations and objective function.

間増加に伴い旅行時間の増加につながるというトレードオ フがあり,総通過駅数には最適点が存在することになる。 今回設定した条件下では,総通過駅数が4つの時が最も旅 客総旅行時間が短い点となった。元ダイヤである総通過駅 数が0であった時と比べ,旅客総旅行時間は3.3%の改善が 得られた。今回の数値計算では,均等に旅客が出現するよ うなモデルを考えた。しかし,実際に優等列車を走らせた 際は,旅客はより優等列車に乗車することが考えられるた め,本数値計算結果よりも改善量はより大きくなるものと 考えられる。ところで,今回各駅停車の発車間隔は6分で あった。すべて各駅停車の場合,各駅での最小続行時分は LT+ LS の1分45秒である。快速が駅2と駅15に停車し た場合,前後の各駅停車とそれぞれ1分45秒ずつ,合計 で3分30秒空けなければならない。つまり,優等列車を運 転した場合最大で6分から3分30秒を引いた2分30秒の 時間,駅1から駅16の運転時分を短縮することができる。 快速が1つ駅通過するごとにK+ LS の45秒ずつ走行時分 が短くなるので,4つの駅通過した時点でこれ以上駅を通 過しても運転時分は短くならない駅数となる。これは総通 過駅が4の時に目的関数が最小となっている理由の一つと 考えられる。ただし,駅1と駅16は番線が2つあるため, 駅1と駅16の優等列車と各駅停車の最小運転間隔はLTで はなくLALDとなる。そのため,駅2や駅15が通過と なった場合さらに優等列車と各駅停車の間で詰められる時 間が増える。具体的に駅2を通過した場合はLSの15秒, 駅15を通過した場合はK+ LS の45秒ずつ走行時分が短 くなる。そのため,駅15を通過,もしくは駅2と駅15の 双方を通過した場合は,5つの駅を通過した時点でこれ以 上通過しても運転時分は短くならない駅数となる。 次に最適な総通過駅数であった,総通過駅数が4の時の ダイヤをFig. 7に示す。この路線では乗車人数が少ない順 に駅5,12,9,15,13である。Fig. 7から分かる通り,通 過駅には駅9,12,13,15が選定された。旅客の乗車人数 が少ない順に4つの駅選ばれるとすると,駅5,9,12,13 のはずであるが,最も少ない乗車人数である駅5は選ばれ ず,5番目の乗車人数である駅15が選ばれている。これは この路線が終着駅である駅16に向かう旅客が多く,乗車時 間が長い始発駅に近い駅から乗る旅客を優等列車で拾い乗

Fig. 7. The timetable of minimum total travelling time of passengers. 車時間が短い旅客は拾わない,という選択をしたこと。ま た,駅15を通過することで前述した通り端末駅間の走行時 分を短くできるためである。これらの結果,最適な通過駅 数の導出だけでなく,通過駅選定の際も本論文のように数 理最適化の枠組みに載せるなどの方法による検証が必要で あることが分かった。 5. ま と め 今回,全列車各駅停車で運行されている路線に優等列車 を導入し,旅客の総旅行時間を最小化するダイヤを得るた めの,数理計画問題としての定式化および離散OD表の作 成についての提案を行った。その結果,従来得ることので きなかった,最適性の保証をしつつ,旅客総旅行時間が最 小となる通過駅の組合せおよび各駅発着時刻を得ることが できた。本ケーススタディでは旅客総旅行時間で3.3%と いう改善結果が得られた。前章で考察したとおり,実際に 優等列車を導入した効果はこの数値を上回ることが予想さ れる。 また,本ケーススタディの結果,優等列車の通過駅を選 定するにあたり,単純に乗降客数が少ない駅を選ぶだけで は最適なダイヤが得られないことが分かった。路線の傾向 に応じた通過駅を本論文のように数理最適化の枠組みに載 せる方法により選定する必要があることが分かった。 本論文の想定ケースのように,全列車各駅停車で運行さ れており待避施設を持たない路線は多い。つまり定式化は 同一のままデータ型を変更するだけで数値計算を行うこと ができ,本論文で提案した手法の汎用性は高いと考えてい る。しかし,列車の待避および旅客の乗換も考慮できるよ うにすることは,待避施設が存在する路線の考慮に加え,最 適ダイヤを得るための待避施設の検討にも応用範囲が広が る。そのため,列車の待避および旅客の乗換が存在するモ デルの定式化を行えば,より効果的に旅客をサービス向上 させることができる。また,優等列車を導入することは旅 客サービスの向上だけでなく,運転手法を工夫することに より惰行時間を延ばし,省エネルギー化も達成できると見 込みがある。旅客サービスとエネルギーの双方の観点から のダイヤの検討も考えている。

(7)

文 献

( 1 ) S. Sone: “Possibilities and Evaluation of Reduction of Travelling Time by Software”, IEEJ Trans. IA, Vol.107, No.3, pp.351–357 (1987) (in Japanese)

( 2 ) 電気鉄道インテリジェント化調査専門委員会編:「電気鉄道のイン

テリジェント化」,電学技報(II 部),第 341 号 (1990)

( 3 ) M. Osawa and T. Akamatsu: “A combined model of timetable optimization and stable control method for increasing schedule robustness”,土木計画学 研究・講演集, Vol.46, 248 (CD-ROM) (2012) (in Japanese)

( 4 ) C. Liebchen: “The first optimized railway timetable in practice”, Transporta-tion Science, Vol.42, No.4, pp.420–425 (2008)

( 5 ) T. Kunimatsu, C. Hirai, and N. Tomii: “Train Timetabling Algorithm Based on Passengers’ Demands”, IEEJ Trans. IA, Vol.129, No.1, pp.10–20 (2009) (in Japanese)

( 6 ) T. Katori, Y. Takahashi, and T. Izumi: “To Shorten Total Trip Time for Pas-sengers by Rapid Trains Operation”, IEEJ Trans. IA, Vol.125, No.4 (2005) (in Japanese)

( 7 ) T. Katori, T. Izumi, and Y. Takahashi: “Shortening total trip time by short station dwell time and passing local trains”, WIT Press, Computers in Rail-ways VIII, pp.769–777 (2002) ( 8 ) 三浦 巧・高木 亮:「大規模な輸送障害の解消直後に優等列車のみ の運行を行う運転整理手法の提案」,平成 23 年電学全大 (2011) ( 9 ) 東急電鉄:「田園都市線の混雑緩和策を積極的に推進します」 (10) 東京メトロ:「平成 19 年 3 月 18 日(日)東京メトロ東西線のダイ ヤ改正」 (11) 東京メトロ:「平成 21 年 3 月 14 日(土)東京メトロ東西線ダイヤ 改正」

(12) K. Chigusa, K. Sato, and T. Koseki: “Passenger-Oriented Optimization for Train Rescheduling on the Basis of Mixed Integer Programming”, IEEJ

Trans. IA, Vol.132, No.2, pp.170–177 (2012) (in Japanese)

(13) K. Tamura, K. Sato, and N. Tomii: “A Train Timetable Rescheduling MIP Formulation with Additional Inequalities Minimizing Inconvenience to Pas-sengers”, IEICE, Trans. on Inf. and Syst., Vol.97, No.3, pp.393–404 (2014) (in Japanese)

(14) T. Mori and T. Koseki: “Mathematical optimization of passenger total travel time using select stop”, IEEJ TER, No.TER-14-014 (2014) (in Japanese) (15) http://www-01.ibm.com/software/commerce/optimization/cplex-optimizer/ (16) 電気鉄道ハンドブック編集委員会:「電気鉄道ハンドブック」,コロ ナ社, p.416 (2007) (17) 電気学会・鉄道における運行計画・運行管理業務高度化に調査専門 委員会:「鉄道ダイヤ回復の技術」,オーム社 (2010) 森 拓 哉 (非会員) 1990 年生。2013 年 3 月東京大学工学 部電気電子工学科卒業。現在,同大学大学院工学 系研究科電気系工学専攻修士課程に在学中。数理 最適化手法に基づく列車スケジューリングの研究 に従事。 渡 邉 翔一郎 (学生員) 1989 年生。2012 年 3 月京都工芸繊維 大学工芸科学部電子システム工学課程卒業。2014 年 3 月東京大学大学院工学系研究科電気系工学専 攻修士課程修了。現在,同専攻博士課程に在学中。 電気鉄道における列車群知的管理手法とその電力 制御に関する研究に従事。 古 関 隆 章 (正員) 1963 年生。1992 年東京大学大学院工学 系研究科電気工学専攻博士課程修了。同大学講師, 助教授,同大学工学系研究科電子情報学専攻准教 授,同大学工学系研究科電気系工学専攻准教授を 経て現在同専攻教授。工学博士。電気機器制御の 交通・輸送分野への応用の研究に従事。日本 AEM 学会,日本機械学会,精密工学会,日本電気鉄道 技術協会,IEEE 会員。

Fig. 1. The original timetable. (D) 駅での着着時隔は最小到着時隔以上 a s j +1 − a sj ≥ LA ∀s ∈ S , ∀ j ∈ R· · · · · · · · · · · · (5) (E) 2 本以上の列車が同じ駅で同じ番線を使う際,その発 着間隔は最小発着間隔以上 a s j +1 − d sj ≥ LT − M  2 − r sj +, q 1 − r sj , q  ∀s ∈ S , ∀ j ∈ R, ∀q ∈ Q s · · · · · · ·
Table 2. An example of discrete OD table.
Fig. 5. The outline of simulated railway.
Fig. 6. The relationship between the number of passing stations and objective function.

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