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(1)

立方剰余

高校 1 年 1 組 22 番 清水元喜

1

はじめに

本日は数学研究部にお越しいただき、ありがとうございます。この記事で は、「立方剰余」について研究していきます。立方剰余とは、大雑把に言えば、 「方程式 x3≡ a (mod p) に解があるか?」ということです。

2

初等整数論

定義 2.1 (合同式). a, b, m∈ Z について、a − b が m で割り切れるとき a≡ b (mod m) と書き、a と b は m を法として合同であるという。 定義 2.2 (Z/mZ). a ={x | x ≡ a (mod m)} を a の属する剰余類という。するとZ は m 個の剰余類 0, 1 . . . m− 1 に分割される。 Z/mZ = {0, 1 . . . m − 1} とおき、 a + b = a + b, a· b = ab と定義することで、Z/mZ に和・積が定められ、環になる。1 1環とは、簡単に言うと足し算・引き算・掛け算ができる集合のことです。代表例は整数環Z など。さらに割り算も出来るときには体と呼びます。こちらの代表例は有理数体Q や実数体 R 、後に述べるZ/pZ など。

(2)

定義 2.3 (剰余系). 剰余類から一つずつ代表を選んでできる m 個の数の集合 {x0, x1, . . . , xm−1} を modm の剰余系という。 定理 2.4 (一次合同式). (a, m) = 1 ならば、一次合同式 ax≡ b (mod m) は modmで唯一の解を持つ。 証明略 定理 2.5. p が素数ならば、Z/pZ は体である。 これは、任意の a̸≡ 0 (mod p) に対して ax ≡ 1 (mod p) となるような x が 存在することと同値であり、定理 2.4 から導かれます。 定理 2.6. p を素数とすると、 (a1+ a2+· · · + ak)p≡ ap1+ a p 2· · · + a p k (mod p) 証明. 左辺を展開したときの ap1, a p 2, . . . , a p k以外の項 a n1 1 a n2 2 . . . a nk k (n1+ n2+ · · · + nk = p)の係数 p! n1!n2! . . . nk! は整数であり、分子は p で割り切れ、分母は p で割り切れないので≡ 0 (mod p) となる。 定理 2.7 (フェルマーの小定理). p を素数とし、(a, p) = 1 とする。このとき ap−1≡ 1 (mod p) 証明略 定理 2.8 (原始根の存在). p を素数とすると、p− 1 乗して初めて 1 に合同 になるような数 g が存在する。このとき、(Z/pZ)×2は g を生成元とする巡回 群3になる。すなわち{1, 2 . . . , p − 1} = {g, g2, . . . gp−1 = 1} となる。 証明略

3

平方剰余の相互法則

3.1

平方剰余とは

x2≡ a (mod m) に解があるとき x は m の平方剰余であるといい、そうで ないとき平方非剰余という。以下、基本的に m が素数の場合のみ考えていく。 2Z/pZ から 0(正確には p と互いに素でない数) を除いた集合 3ある G の元 g があって、任意の G の元 x について、x = gn(nは整数) と書けるような集 合 G のこと。このとき g を生成元と呼ぶ。

(3)

3.2

ルジャンドル記号とその性質

定義 3.1. p を法とした a のルジャンドル記号は次のように定義される。 ( a p ) = { 1 (aが p の平方剰余であるとき)   −1 (a が p の平方非剰余であるとき) 但し、a が p の倍数であるときは ( a p ) = 0とする。4 定理 3.2. ルジャンドル記号について以下の性質が成り立つ。 (a) ( a p ) =±1 となる 1 ≤ a ≤ p − 1 はそれぞれ (p − 1)/2 個ずつである。 (b) a≡ gl (mod p) (gは原始根) とすると ( a p ) = (−1)l (c) ( a p ) ( b p ) = ( ab p ) (d) (Euler の基準) ( a p ) ≡ a(p−1)/2 (mod p) 証明. (a) a = 12, 22, . . . (p−1)2に対しては定義より ( a p ) = 1。逆に ( a p ) = 1ならば a は 12, 22, . . . (p− 1)2のどれかに modp で合同。ところで、 12 ≡ (p − 1)2, 22 ≡ (p − 2)2, . . . , (p− 1 2 ) 2 ≡ (p + 1 2 ) 2 (mod p)。ま た a2 ̸≡ b2(1 ≤ a ̸≡ b ≤ (p − 1)/2) なので、 ( a p ) = 1なる a は 12, 22, . . . (p− 1 2 ) 2 の (p− 1)/2 個。当然 ( a p ) =−1 となる a は残りの (p− 1)/2 個。 (b) 略(簡単です) (c) (b)より自明。 4p| a の時には (a p ) を定義しないというやり方もありますが、指標を Fpに拡張するときの 方法 (定義 5.1) に従って上のような定義を取りました。

(4)

(d) (b)(c)を使って適当に場合わけすると示せます。 上の定理の (c) より、p, q が素数の場合に ( q p ) が計算できれば ( a p ) が計 算できることがわかります。 定理 3.3 (平方剰余の相互法則). p, q を相異なる奇素数とする。 ( p q ) ( q p ) = (−1)p−12 ·q−12 第一補充則 ( −1 p ) = (−1)p−12 第二補充則 ( 2 p ) = (−1)18(p 2−1) 証明は、後で導入するガウス和というものを使う方法が一番わかりやすい (主観的な意見ですが)し、立方剰余相互法則の証明との対比もしやすいの で、ここでは与えません。

4

Z[ω]

について

定義 4.1. (a) Z[ω] = {a + bω | a, b ∈ Z, ω = e2πi 3 } (b) ξ = a + bωに対して、ξ = a + bω2をξの共役という。 (c) (整除性) η| ξ ⇔ あるζ ∈ Z[ω] があって、ξ = ηζ (d) ϵ| 1 かつ ϵ ∈ Z[ω] のとき、ϵは単数であるという。

(5)

(e) ξ = a + bωに対して、 N (ξ) = ξξ = (a + bω)(a + bω2) = a2− ab + b2 と定め、これを ξ のノルムと呼ぶ。 (f ) η = ϵξ(ϵは単数) となるとき ηはξに同伴するといい、η∼ ξ と書く。 (g) p∈ Z[ω] が自身の同伴数と単数以外の約数を持たない時、p は(Z[ω] に おける)素数であるという。5 定理 4.2 (性質). (a) N (ξη) = N (ξ)N (η) (b) ϵが単数⇔ N(ϵ) = 1 (c) Z[ω] の単数は、±1, ±ω, ±ω2の 6 つである。 (d) N (ξ)が有理素数ならば、ξ は素数である。 (e) 0でも単数でもない任意のZ[ω] の整数は素数の積で表せる。 (f ) (割り算定理)任意の γ, γ1̸= 0 に対して、あるκ ∈ Z[ω] があって、 γ = κγ1+ γ2 N (γ2) < N (γ1) と書ける。 (g)(素因数分解の一意性)整数を素数の積として表す方法は、自明な差異6を 除いて一意的である。 (h) πが素数のとき、π| βγ ⇒ π | βまたはπ | γ (i) (Z[ω] の素数)Z[ω] の素数は次の三種類である。 (i) 1− ω とその同伴数 (ii) q≡ 2 (mod 3) となる有理素数 q (iii) N (π) = ππ = p (pは有理素数) となる π∈ Z[ω] (iii)のとき、p≡ 1 (mod 3) となることが容易にわかる。これから先 の文中で注釈なしに p, q, π の文字を使うときは、それぞれ mod 3 で 1 に合同な有理素数、mod 3 で 2 に合同な有理素数、Z[ω] の素数を指す ものとする。 5以下、単に素数といえばこの意味。これに対してZ における素数のことを「有理素数」と 呼びます。 6素数の順序、同伴する素数の表れ方、単数の取り方

(6)

(j) πが素数ならば、Z[ω]/πZ[ω] は元の数 N(π) の剰余体である。具体的には、 { {a + bω | 0 ≤ a < q, 0 ≤ b < q} (π = q の場合) {0, 1, . . . p − 1}(ππ = p の場合) がそれぞれ modπ の剰余系である。 (k) πが素数で、(α, π) = 1 ならば、 αN (π)−1≡ 1 (mod π) (l) πを法とする原始根が存在する。 証明. (a)∼(h) 自明だったり、結論が「いかにもなりたちそう」な割りに証 明がめんどくさかったり7するので証明略。 (i) 1− ω はノルムが 3 なので素数。 ξ| q とすると、N(ξ) | N(q) = q2。ところで

N (ξ) = a2−ab+b2≡ 4a2−4ab+b2= (2a−b)2≡ 0 または 1 (mod 3) なので、N (ξ) = q となることはありえない。ゆえにξは単数または q の 同伴数となる。即ち q は素数。次に p≡ 1 (mod 3) の場合を考えると 、平方剰余の相互法則(定理 3.3)より、 ( −3 p ) = ( −1 p ) ( 3 p ) = (−1)p−12 (p 3 ) (−1)p−12 · 3−1 2 = (p 3 ) = ( 1 3 ) = 1 だから、 p| a2+ 3 = (a +√−3)(a −√−3) = (a + 1 + 2ω)(a − 1 − 2ω) となる a∈ Z が存在する。p が素数なら、p | (a + 1 + 2ω) または p| (a − 1 − 2ω)。ところが、a ∈ Z に対して、a± 1 p ± 2 は整数では ないからこれは誤り。よって、p = πγ(π, γはいずれも単数ではない) と 書けて、p2 = N (π)N (γ)だから N (π) = N (γ) = p。したがって πは ノルムが有理素数なので素数、また p = N (π) = ππ。なお、素因数分 解の一意性より、p = ππ と書き表す方法は一意的。 7素因数分解の一意性とかその典型。でもほんとはこれが成り立つ代数体はむしろ例外的なん ですが、そういうちゃんとした議論は代数的整数論の教科書に任せることにしましょう。

(7)

(j) 任意のZ[ω] に属する数に対し、それと modπ で合同な数が S に含まれ ること、そして S に属する数は全て modπ で異なることをいえば、S が modπ の剰余系の一組であることは示されます。証明はそんなに難 しくはないのですがめんどくさいので(笑)、省略します。 (k)t≡at = aN (π−1)t (mod π)(tは mod πの剰余系を動く)t̸≡ 0 (mod π) より、 aN (π)−1≡ 1 (mod π) (l) 略(有理整数のときと同様) これで、Z[ω] が Z と似たような性質を持つことがわかってもらえたと思い ます。実は、立方剰余について考えるためにこのZ[ω] という数学的対象は考 え出されたのです。そしてやがて代数的整数論、類体論へと発展していくの です。

5

ガウス和とヤコビ和

定 義 5.1 (指 標). 以 下 、剰 余 体 Z/pZ のことを Fp と 書 く。8ま た 、 Fp− {0} を Fp×C − {0} を C×と書く。χ : Fp×→ C×が、任意の a, b∈ Fp× に対してχ(ab) = χ(a)χ(b) を満たすとき、χは指標であるという。εで、任意 の a∈ Fp×に対してε(a) = 1 であるような指標をあらわすことにする。χ̸= ε に対してはχ(0) = 0、εに対してはε(0) = 1 と定めることで、指標を Fp上の関 数に拡張できる。 定理 5.2 (指標の性質). (a) χ(1) = 1 (b) a̸= 0 のとき (χ(a))p−1= 1

(c) χ(a−1) = χ(a)−1= χ(a)

証明は指標の定義より簡単に出来ます。 定理 5.3. χ̸= εを Fpの指標とすると、 ∑ t∈Fp χ(t) = 0 8この F は”finite field”の頭文字でしょうか ?

(8)

証明. χ̸= ε より、χ(a) ̸= 1 となる a ∈ Fp×がある。よって、S =t∈Fp χ(t)と おくと、 χ(a)S =t∈Fp χ(at) = ∑ t∈Fp χ(t) = S(∵ Fp×は群) χ(a)̸= 1 より、S = 0。 定義 5.4 (指標群). ˆFp ={χ | χは Fpの指標} とする。指標の積を χλ(a) = χ(a)λ(a)、逆元を χ−1(a) = χ(a)−1と定義することで、 ˆFpは ε を単位元と

する可換群となる。 定理 5.5. ˆFpは位数 p− 1 の巡回群である。 証明. Fp×の原始根を g とすると、a∈ Fp×について、a = g l(l は整数) と書け る。よって、 χ(a) = χ(g)l 従って、χ は χ(g) の値によって一意的に定まる。χ(g) は 1 の p− 1 乗根だか ら、その取り方は高々 p− 1 通り。ここで λ(g) = ζ = ep−12πi とおくと、λ0= ε, λ, λ2, . . . , λp−2∈ ˆFpかつこれらは全て異なる。即ち ˆFpλを生成元とする位数 p− 1 の巡回群である。 定理 5.6. a̸= 1 のときχ∈ ˆFp χ(a) = 0 証明. λで 5.5 の証明で用いた指標と同じものをさすことにする。χ χ(a) = Sとおくと、 λS =χ λ(a)χ(a) =∑ χ λχ(a) =∑ χ χ(a) = S(∵ ˆFpは群) λ(a)̸= 1 より、S = 0。

(9)

定義 5.7 (ガウス和). χ∈ ˆFp, a∈ Fpに対し、 ga(χ) =t∈Fp χ(t)ζat をガウス和という。g1(χ) = g(χ)と略記する。但し ζ は 1 の原始 p 乗根(例 えば e2πip )とする。 定理 5.8. a̸= 0, χ ̸= εのとき、ga(χ) = χ(a−1)g(χ) 証明. ga(χ)χ(a) = χ(a)t χ(t)ζat =∑ t χ(at)ζat =∑ t χ(t)ζt= g(χ) 定理 5.9. χ̸= εならば、 |g(χ)| =√p, g(χ)g(χ) = χ(−1)p 証明.a∈Fp ga(χ)ga(χ)を二通りの方法で計算する。 a̸= 0 に対して、 ga(χ) = χ(a)g(χ) ga(χ) = χ(a)g(χ) = χ(a−1)g(χ) ga(χ)ga(χ) = g(χ)g(χ) =|g(χ)|2 a = 0のとき、 g0(χ) =t χ(t) = 0 よって、 ∑ a∈Fp ga(χ)ga(χ) = (p− 1)|g(χ)|2 一方、 ga(χ)ga(χ) =x χ(x)ζaxy χ(y)ζay =∑ x,y χ(x)χ(y)ζax−ay

(10)

a ga(χ)ga(χ) =ax,y χ(x)χ(y)ζax−ay =∑ x,y χ(x)χ(y)a ζa(x−y)t ζntは n = 0 のとき p, n̸= 0 のとき 0 だから、 =∑ x=y χ(x)χ(y)p =∑ x χ(x)χ(x)p = (p− 1)p (χ(0) = 0 に注意) ゆえに、|g(χ)|2= p。また、χ(−1) = ±1 より χ(−1) = χ(−1) に注意すると、 g(χ) =t χ(t)ζ−t = χ(−1)t χ(−t)ζ−t = χ(−1)g(χ) 従って、g(χ)g(χ) = p より、 g(χ)g(χ) = χ(−1)p 定義 5.10 (ヤコビ和). χ, λ∈ ˆFpのとき、 J (χ, λ) =a+b=1 a,b∈Fp χ(a)λ(b) をヤコビ和と呼ぶ。 定理 5.11 (ヤコビ和の性質). χ, λ̸= εとすると、 J (χ, χ−1) =−χ(−1) χλ̸= εならば J (χ, λ) = g(χ)g(λ) g(χλ) |J(χ, λ)| =√p

(11)

証明. J (χ, χ−1) = ∑ a+b=1 b̸=0 χ(a b) = ∑ a̸=1 χ( a 1− a) さて、ここで a 1− a がどのような値をとるか考えると、 a 1− a = a′ 1− a′なるならば a = a′となることがすぐにわかる。また a 1− a = cとおくと、 c̸= −1。ゆえに、a が Fp×−{1} を動くとき、c は Fp×−{−1} を動く。よって、 J (χ, χ−1) = ∑ c̸=−1 χ(c) =c χ(c)− χ(−1) = −χ(−1) 次に、 g(χ)g(λ) = (x χ(x)ζx)(∑ y λ(y)ζy) =∑ x,y χ(x)λ(y)ζx+y =∑ tx+y=t χ(x)λ(y)ζt =∑ t ζtx+y=t χ(x)λ(y) t = 0のとき ∑ x+y=0 χ(x)λ(y) =x χ(x)λ(−x) = λ(−1)x χλ(x) = 0 (∵ χλ ̸= ε) t̸= 0 のとき、x = tx′, y = ty′とおいて、 ∑ x+y=t χ(x)λ(y) = χλ(t)x′+y′=1 χ(x′)λ(y′) = χλ(t)J (χ, λ) したがって、 g(χ)g(λ) =t χλ(t)ζtJ (χ, λ) = g(χλ)J (χ, λ)

(12)

すなわち J (χ, λ) = g(χ)g(λ) g(χλ) 両辺の絶対値を取って|g(χ)| =√pを用いると、 |J(χ, λ)| =√p がわかる。 定理 5.12. p≡ 1 (mod n), χ ∈ ˆFpの位数9を n とすると、 g(χ)n = χ(−1)pJ(χ, χ)J(χ, χ2) . . . J (χ, χn−2) 系 5.13. χの位数が 3 のとき、p≡ 1 (mod 3) ならば g(χ)3= pJ (χ, χ) 証明. 下の系のみ示します。(一般の場合も証明は全く同様です)。 定理 5.11 より、 g(χ)2= J (χ, χ)g(χ2) g(χ2) = g(χ)(∵ χの位数は 3) g(χ)2= J (χ, χ)g(χ) g(χ)3= g(χ)g(χ)J (χ, χ) = χ(−1)pJ(χ, χ)(∵ 定理 5.9) = χ3(−1)pJ(χ, χ) = pJ(χ, χ)

6

立方剰余相互法則

さて、ようやく準備が終わりました。本題の立方剰余にとりかかりましょ う。既に調べたガウス和、ヤコビ和の性質を使えば、立方剰余相互法則自体 はかなり簡単に示すことができます。(補充則の証明はここでは与えません。) 9χl= εを満たす最小の l

(13)

6.1

その前に

平方剰余の相互法則をまだ示していなかったのでここでガウス和を用いた証 明を与えます。既に補充則(実際には第一補充則だけでよいが)は示されている ものとします。 ( a p ) は位数が 2 の指標とみなせるので、ガウス和∑ t ( t p ) ζat を考えることが出来ます。以下、見やすくするために、 ( a p ) = χp(a)と書く ことにします。また、 ga= ga(χp) = ∑ t ( t p ) ζat, g = g1 と書くことにします。χp(a) =±1 より、χp= χp。定理 5.9 より、 g(χp)g(χp) = g2(χp) = χp(−1) · p = (−1) p−1 2 p (−1)(p−1)2 p = pとおくと、 gq−1= (g2)(q−1)/2≡ ( p∗ q ) (mod q) (∵ 定理 3.2(d)) gq ≡ g · ( p∗ q ) (mod q) gq = (∑ t ( t q ) ζt)q t ( t q )q ζtq (mod q) (∵ 定理 2.6) qは奇素数なので、 =∑ t ( t q ) ζtq= gq = ( q−1 p ) · g したがって、 ( q−1 p ) · g ≡ ( p∗ q ) · g (mod q) 両辺に g をかけて g2= p∗で割って、 ( q−1 p ) ( p∗ q ) (mod q) ( p∗ q ) ( q p ) ≡ 1 (mod q)

(14)

左辺は±1 をとり、q が奇素数かつ q ≥ 3 だから、 ( p∗ q ) ( q p ) = 1 p∗= (−1)p−12 だったから、 ( p q ) ( q p ) = (−1)p−12 ·q−12

6.2

3

次剰余指標の定義

定理 6.1. πが素数で N (π)̸= 3 の時、1, ω, ω2 は mod π で互いに合同でない。 証明略 定理 6.2. πは素数で N (π)̸= 3 とすると、π |/α ∈ Z[ω] に対し αN (π)−13 ≡ ωm (mod π) となる m = 0, 1, 2 が一意に決まる。 証明. αN (π)−1−1 = (αN (π)−13 −1)(α N (π)−1 3 −ω)(α N (π)−1 3 −ω2)≡ 0 (mod π)(∵ 定理 4.2(k)) これと定理 4.2(h) より示される。 定義 6.3 (3 次剰余指標). πは素数、N (π)̸= 3 の時ルジャンドル記号に対応 する (α π ) 3を次のように定義する。α∈ Z[ω]。 (α π ) 3 = { 0 (π| α) ωm (π|/α) 但し、ωmは定理 6.2 におけるものと同じ。 定理 6.4 ( (α π ) 3の性質). (a) (α π ) 3 = 1⇔ x3≡ α (mod π) に解がある。 (b) ( αβ π ) 3 = (α π ) 3 ( β π ) 3 (c) α13(N (π)−1)≡ (α π ) 3 (mod π)

(15)

(d) α≡ β (mod π) ならば (α π ) 3 = ( β π ) 3 証明略 (c)が Euler の基準(定理 3.2(d))の拡張になっています。 また、ちょっとした思惑があって10 (α π ) 3をχπ (α)とも書くことにします。 定理 6.5. χπ(α) = χπ(α)2= χπ(α2) χπ(α) = χπ(α) 証明. 上のほうは明らか。 α13(N (π)−1)≡ χπ(α) (mod π) の共役を取って α13(N (π)−1)≡ χπ(α) (mod π) N (π) = N (π)に注意すれば定義より χπ(α) = χπ(α) 系 6.6. q が有理素数でZ[ω] の素数の時 χq(α) = χq(α2) (n, q) = 1で n が有理整数ならば、 χq(n) = 1 証明. q = q, n = n に注目し定理 6.5 を使えば自明。

定義 6.7 (primary). π∈ Z[ω] が π ≡ 2 (mod 3) を満たすとき、π は primary

な数であるという。πが素数であるときにはπはprimary であるという。11

π∼q(有理素数)の時には、π = q が primary である。ππ = p のときは、

π = a + bω(a≡ 2, b ≡ 0 (mod 3) が primary である。後者の場合はこれを満

たすように π が一意的に取れることはそれほど自明ではないので、証明する。

12

10読んでいけばわかります

11このあたりの用語の使い方は標準的ではないかもしれません。 12なんでこんな定義をするのかは後々明かされるでしょう

(16)

表 1: mod3 の剰余系   0 1 2 ω 1 + ω 2 + ω 1 + 2ω 2 + 2ω 証明. mod3 の剰余系は上に示すような構造をしている。このうち、丸13 で 囲ったものは 1− ω で割り切れるので、素数と合同にはならない。ここで例 えば π≡ 2ω (mod 3) とすると、 π≡ 2ω, −π ≡ ω, ωπ ≡ 1+ω, −ωπ ≡ 2+2ω, ω2π≡ 2, −ω2π≡ 1 (mod 3) となって、π の同伴数のうち primary であるものが唯一つ存在する。π が他 の数に合同な場合でも同様の議論が明らかに成り立つ。よって π の同伴数の うち primary であるものが唯一つ存在する。

6.3

立方剰余相互法則

定理 6.8 (立方剰余相互法則). π1, π2は primary で N (π1)̸= N(π2)、 N (π1), N (π2)̸= 3 とすると、 χπ12) = χπ21) 定理 6.9 (補充則). πは素数で、N (π)̸= 3 とする。π = q なら q = 3m − 1、 ππ = pでπ が primary のときは a = 3m− 1 と書ける。このとき χπ(1− ω) = ω2m

6.4

相互法則の証明

ようやくここまで辿り着きました。この証明を書くためにここまで頑張っ てきたんです! 6.4.1 π1= q1, π2= q2の場合 系 6.6 より、χπ12) = χπ21) = 1。 13丸じゃなくて四角ではないか、とか突っ込まないで

(17)

6.4.2 π1, π2のうち少なくとも一方が ππ = p を満たす場合 まず、ππ = p の時、Z[ω]/πZ[ω] の構造は Z/pZ = Fpと同じなので、χπ は Fp上の位数 3 の指標とみなせます。したがって、平方剰余の相互法則の証 明からも類推できるように、g(χπ)3を計算するのが証明のミソです。そして それは系 5.13 より、J (χπ, χπ)の値がわかれば求まります。ヤコビ和と χπ定義から、J (χπ, χπ)∈ Z[ω] です。 補題 6.10. J(χπ, χπ)∼ πまたはπ。 証明. J(χπ, χπ) = xとおくと 定理 5.11 より、|x|2= xx = p。p = ππは p の 素因数分解であり、Z[ω] では素因数分解は一意的であるから、x ∼ πまた は x∼ π。 補題 6.11. J (χπ, χπ)≡ 2 (mod 3) 証明. g(χπ)3= ( ∑ t χπ(t)ζt)3 t χπ(t)3ζ3t (mod 3)(∵ 定理 2.6) =−1 (χπ(0)3= 0, t̸= 0 ならばχπ(t)3= 1なので) g(χπ)3= pJ (χπ, χπ)で p≡ 1 (mod 3) より示された。 補題 6.12. n̸≡ 0 (mod N(π) − 1) ならば、a∈Fp an≡ 0 (mod π)。 証明. t̸≡ 0 (mod p) に対し、a an≡a (ta)n (mod p) = tna an t̸≡ 0 (mod p) より自明。

(18)

補題 6.13. J(χπ, χπ) = π 証明. 補題 6.10 と 6.11 から、π が primary で ππ = p とすると、 J (χπ, χπ) = πまたはπ。 J (χπ, χπ) = ∑ a+b=1 χπ(a)χπ(b) =∑ a χπ(a(1− a)) a (a− a2)13(p−1) (mod π) = 2 3(p−1) n=1 3(p−1)a knan (knは整数) ≡ 0 (mod π) (∵ 補題 6.12) 従って、J (χπ, χπ)≡ 0 (mod π)。π ̸≡ 0 (mod π) より、J(χπ, χπ) = π。 ∴ g(χπ)3= pπ 6.4.3 π1π1= p, π2= qの場合 証明. g(χπ)3= pπ gq2−1= (pπ)13(q 2−1) ≡ χq(pπ) (mod q) gq2 ≡ χq(pπ)g (mod q) 一方、 gq2 = (∑ t χπ(t)ζt)q 2 ≡ (t χπ(t)qζtq)q (mod q) (∵ 定理 2.6) t χπ(t)q2ttq 2 (mod q) q2≡ 1 (mod 3) より =∑ t χπ(t)ttq 2 = gq2 gq2 = χπ((q2)−1)gだから、 χπ((q2)−1)g≡ χq(pπ)g (mod q)

(19)

g(χπ)を両辺にかけて g(χπ)g(χπ) = χπ(−1)p で割って、 χπ((q2)−1)≡ χq(pπ) (mod q) 系 6.6 より χq(p) = 1, χπ((q2)−1) = χπ(q), 1, ω, ω2は互いに mod q で合同で ないから、 χπ(q) = χq(π) 6.4.4 π1π1= p1, π2π2= p2の場合 証明. 6.4.3 節と同様にして、 χπ1(p 2 2) = χπ21p1) χπ2(p 2 1) = χπ12p2) を得る。両辺を掛け合わせて共通因数で割ると、14 χπ12)χπ21) = 1 χπ(α) = χπ(α)だったから、 χπ12) = χπ21)

6.5

補充則について

π = qのときは簡単に証明できるのですが、ππ = p のときがかなりやっか いです。 (α τ ) 3を τ が素数でないときにも拡張する必要があり、紙面や締切 などの都合上割愛させていただきます。

6.6

あとがき

やっと終わりました。当初の予定より大幅に長くなってしまいました。そ の割にはZ[ω] の性質とかにページを割いたので内容が薄いかもしれません。 この記事を読んで数論に興味を持ってくれる人がいると嬉しいです。 14ここの計算は端折りましたが、p/π = π に注意してください。

(20)

特にガウス和を使った証明は主観的には二つの素数が「ひっくり返る」と ころが非常に面白いと思います。 下書き自体は比較的早く出来ていたのに、LATEX を使って打ち込むのに予 想以上に時間がかかってしまったのは今後の反省材料です。なお、この記事に ついての指摘、感想があれば s.genki0605@gmail.com までお寄せください。 最後までお読みくださってありがとうございました!

参考文献

[1] G. H. Hardy, E. M. Wright「数論入門 I」(シュプリンガー数学クラシッ クス, 2001)

[2] J. H. Silverman「はじめての数論」(ピアソンエデュケーション,2007) [3] T. M. Apostol Introduction to Analytic Number Theory (Springer,1976)

参照

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