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第 2 節 放 射 線 治 療 について 1 放 射 線 治 療 の 特 徴 臓 器 を 温 存 しながら 病 巣 を 消 滅 させることが 可 能 である 近 年 の 放 射 線 治 療 技 術 の 進 歩 により 病 巣 に 限 局 した 照 射 を 行 うことができ 正 常 組 織 の 障 害

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Academic year: 2021

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放射線診断とその応用

所属: 医学・歯学・医療ゼミ 2年5組33番 船津出帆

第1章 はじめに

第1節 主題設定の理由

放射線と聞いて、いいイメージを持つ人はいないだろう。今までは放射線といえば レントゲン診断ぐらいしか思い浮かぶ人はいなく、一般の生活からは遠いものと思わ れていた。しかし、東日本大震災以後、放射線に対する見方が変わった。 多くの人が 放射線・放射能を身近に感じただろう。しかし、医療面の放射線診断、放射線 治療に は光がほぼ当たらなかった。そこで、私は進歩する放射線技術に視点を当て、正しい 知識とともに、放射線の未来を周知させようとこの主題を設定した。

第 2 節 研究の狙い・方針

1、放射線診断・診療の種類と利点・問題点をあげ、最適な方針を検討する。 2、この先求められる技術について考察し、達成へのプロセスを示す。 3、群馬県内の放射線関連技術を調査する 以上の点を提示することにより放射線診療・治療に関する情報を示し、正しい知識 を多くの方に知ってもらうことを狙いとする。

第 2 章 研究の展開

第 1 節 放射線の基礎知識(昨年度論文より)

1 診療で被曝はするのか 結論から言うと、影響はほぼない。厚生労働省科学研究班によると、200mSv 以下の放射線量であれば、人体への影響はほぼ無視できる。 見慣れない単位のた め、この数値の大小は理解が難しいのであくまでも基準にしてもらいたい。一回 の検査での被曝量は 10mSv 程度なので問題はないといえる。さらにこれは自然 回復できる量なので心配はない。 2 先端診療技術 PET PET とは、がん細胞が通常の細胞よりブドウ糖を 3 倍以上多く取り込む性質を 利用し、放射性成分を含有したブドウ糖の検査薬を投入し、その集積度によって がんの位置を知るというものである。従来の CT に比べ、がんの存在ははっきり とわかる。しかし、CT ほど正確に位置を知ることはできないので、併用してい る病院も多い。この検査は痛みもなくリラックスした状態で受けられる。

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第 2 節 放射線治療について

1 放射線治療の特徴 臓器を温存しながら病巣を消滅させることが可能である。近年の放射線治療技 術の進歩により、病巣に限局した照射を行うことができ、正常組織の障害を最小 限にすることが可能になった。また、高齢者や合併症のある患者さんでも放射線 治療を受けることができ、手術療法より身体的負担がはるかに小さい。コンピュ ータ技術の進歩を活用した、高精度な治療として不整形で複雑な形の腫瘍に対し、 腫瘍の形に合わせて放射線を照射することで線量を集中させ、周囲の正常組織の 線量を抑える強度変調放射線治療(IMRT)という照射法もある。 2 外部照射治療 外部照射治療は、放射線治療と聞いて多くの人が一番にイメージするであろう、 体外から放射線をあて、腫瘍を小さくしていくという治療である 利点は一回の治療時間が 10~20 分であること。欠点をあげるとすると、一回 の治療時間が短いがゆえに、完治まで多くの回数通院しなければならない。(群大 のプラン例だと、週五日治療で数週間) 3 副作用 放射線を当てるため、主に治療部に副作用が出ることもある。例は以下である。 (1)疲労感、だるさ 疲れやすい、だるい、気力が出ないなど 対策:治療中は過度な運動を避け、疲れやだるさを感じたら、無理をしな いで休む。治療中に感じた疲れは、治療が終了して数週間のうちには 感じなくなる。 (2)食欲がない 腸に放射線が当たることによる直接的な影響だけでなく、がんの治療に対 するストレスも関係すると考えられている。 対策:放射線により障害を受けた正常細胞の修復などのために、普段以上 にカロリー、栄養素をとるのがよい。少量ずつでも数回に分けて食べ たり、高カロリーの食事をとるなどの工夫をしたりする。 (3)皮膚の赤み、かゆみ 放射線を当てた部位の皮膚が日焼けしたように赤くなったり、乾燥したり、 かゆみや痛みを感じたりする。 対策:こすったり、かいたりしないように。衣類は皮膚を刺激しないもの にし、入浴やシャワーは短時間で、ぬるめのお湯にし、刺激の少ない 石けんを使って泡で流すようにして、ゴシゴシ洗わないようにする。 冷たい風や直射日光を避け、痛みや熱感が強い時期には冷やすと軽く なることがあるが、冷やしすぎないように。なお、かゆみ止めの軟こ うなどの塗り薬を付けるかどうかは、医師の指示に従うこと。

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第 3 節

PET の活用

1 PET 検査の手順 (1) ブドウ糖に近い成分の検査薬(FDG)を体内に注射する。 (2) しばらく安静にして全身に FDG を行き渡らせる。 (3) がん細胞に FDG が集中する。 (4) PET カメラで全身の FDG の分布を撮影する。 FDG が多く集まっているところが、がんの疑いがある。 2 科学的な仕組み 検査の始めに投与する FDG とは、グルコース(ブド ウ糖)に目印となる「ポジトロン核種(陽電子放出核 種)」を合成した薬剤。正式名称は 18F-FDG(フルオロ デオキシグルコース)といい、性質はブドウ糖とほぼ 同じである。ポジトロン核種はまわりの電子と反応し て放射線(γ線=ガンマ線)に変わる特徴があり、 こ のγ線の出る場所と量が、ブドウ糖を消費する細胞の 目印となる。 FDG を静脈から体内に投与する。 注射後、数十分~1 時間ほど静かに横になっている間に、FDG が血流にのって 全身に運ばれ、体中の細胞がブドウ糖として FDG を取り込む。 がん細胞は通常 の細胞より多くのブドウ糖を取り込むので、FDG が集中する。また、悪性度が高 いものほどブドウ糖(=FDG)を多く取り込む。 細胞に取り込まれた FDG が反応し、放出される放射線(γ線)を、体の外か ら PET カメラで撮影する。放射線は人体組織を透過して外まで届くため、どん な奥にあるがん細胞でも、カメラで捉えることができる。 画像を見て、γ線が集中している場所を見つけ、がん発見の手がかりとし、体 のどの部分に、がんの疑いがあるかということがわかる。反応の強さで、悪性度 も推測できる。 2 PET-CT について PET と CT の画像を同時に撮影することができる機器。PET/CT などとも。 PET の性質上、PET 単独の結果のみでがんの有無や場所を断定することは難 しいが、体内の細部まで写し取る CT 画像と同時に撮影することで、疑わしい部 位の形や場所などをよりはっきり把握することが可能になった。細胞の機能画像 (PET)と形態画像(CT)をあわせることで、欠点をカバーしあう。 PET-CT と呼ばれる機器には、フュージョン技術(下記)が内蔵されている。

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第 4 節 死因究明と放射線技術

1 現状と仕組み 近年、死因究明の手法の一つとして、遺体を傷つけることなく実施可能な死亡 時画像診断(Ai=Autopsy imaging(オートプシー・イメージング))の活用に対 する関心が高まっている。死亡時画像診断においては、遺体を CT(コンピュー ター断層撮影)や MRI(磁気共鳴画像法)で撮影・読影することで、体表(外表) のみでは分からない遺体内部の情報(骨折や出血等)が得られることから、解剖の 要否の判断や死因究明の精度の向上に資すると考えられている。 2 有用性と留意点 外因死に関する先行研究においては、頭部の挫滅、心臓破裂、頸椎骨折といっ た外傷性変化の解剖所見と死亡時画像診断所見との一致率は約 86%であったと の報告がある。また、内因死においては、死亡時画像診断は、くも膜下出血、脳 出血、大動脈解離、大動脈瘤破裂といった出血性の病態等を死因として検出可能 であるとの報告がある。 しかし、死亡時画像診断のみによっては内因死か外因死かの判別が必ずしも明 確にできない場合もあるため、その他の検査や周辺状況等を踏まえて、総合的に 判断することが必要である。また、死後画像の撮影に使用する機器の性能や撮影 条件、臓器・組織や死亡の原因となった疾患の種類、死後どの程度の時間が経過 した遺体かにより、撮影・読影の精度に差が生じてしまう。 3 技術の応用 日本では死体を傷つけたくないという気持ちが強く、解剖が行われなかったケ ースが何件かある。そのために正しい死因がわからないままの人もいるだろうが、 この方法なら死体を傷つけずに死因を判明させることができるので、刑事捜 査に も活用されられる。また、解剖の前に行っておくことで、調べるべきところを絞 ることができ、より迅速な解剖を可能にする。

第 5 節 重粒子線治療

1 重粒子線と量とは 放射線の中で、ヘリウムイオンより重い ものを重粒子線といい、炭素イオンが活用 されている。 重粒子線治療では重粒子線を光の速さの 70%にまで加速させ、体深部のがんを攻撃 する。従来の放射線治療では体の内部に入 れば入るほど、影響力つまりダメージが減 ってしまっていたが、重粒子線治療では、 そのダメージのピークを体内の任意のポイ ントで設定できるため、効果的に照射できる。

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5 また、重粒子線治療では、病巣の形や深さに合わせて集中的に放射できるため、 従来の放射線治療の欠点であった、周りの健全な細胞へのダメージを抑えること ができる。 2 重粒子線治療のメリット (1)痛みを伴わない (2)高齢者にも適用できる (3)早期なら根治可能 (4)従来では治療不可能な深部がんにも適用できる (5)社会復帰への時間が短い 根治性が高い治療方法として挙げられるのが外科手術だが、外科手術ではメス をいれて部位の形を変えてしまうため、機能が低下してしまうことがある。しか し、「切らない」治療である放射線治療、重粒子線治療は、メスによる痛みや体の 負担がすくない。また、重粒子線治療では、健全な部位への影響も抑えることが できる。 放射線治療と同様に通院治療も可能で、一回の治療時間は 30 分程度、平均3 週間で治療が終わる。 3 現状 現在稼働中の重粒子線治療施設は以下の 4 か所である。(2014 年 10 月現在) (1)群馬大学医学部附属病院重粒子線医学センター (2)放射線医学総合研究所重粒子医科学センター (3)兵庫県立粒子線医療センター (4)九州国際重粒子線がん治療センター 治療費に関しては、現段階では保険の対象ではないため、一般診療分に加え、 先端医療部分(群大では 314 万円)を支払わねばならなく、金銭負担が大きい。 4 実績 1994 年から開始された放射線医学総合研究所「HIMAC」での治療結果として、 5 年生存率としては以下の成績が得られている。これらは初期段階の臨床試験 (PhaseⅠ/Ⅱ)で、主に手術不能ながん、進行・再発がんを対象にしたことを考 慮すると、きわめて良好な治療成績といえる。 ・前立腺がん 約 95% ・手術不能Ⅰ期肺がん 約 70% ・頭頚部悪性黒色腫 約 50% ・体幹部進行骨肉腫 約 50% ・再発進行肝がん 約 50% ・Ⅲ―Ⅳ期進行子宮頸がん 約 45% 初期の試験において、高線量で治療された前立腺がん、子宮頸がん、食道がんの 症例のなかに、消化管の重篤な副作用が出現した症例があったが、その後の研究に より、安全線量と照射方法が改善され、同様の副作用は 認められなくなった。

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第 6 節 群馬と放射線

前節にも述べたように群馬には国内 4 か所しかないうちの一つになる重粒子線治 療施設がある。以下にその実績を示した。 群馬にも重粒子線治療がだんだん普及してきて、患者数が増えてきている。だが、 患者数が 1000 人あまりなのはやはり、値段が高いからか。 他の放射線技術では PET や CT も完備してあり、一般的な普及はされているとい えるだろう。藤岡市には PET 検査で使用する薬剤 FDG を制作する工場が建設され ていて、他県でも利用されることとなり、近隣の診療の基盤となりうる。

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第 3 章 まとめ、考察

第 1 節 放射線の未来

1 未来を考える 第 2 章で述べたように放射線には、体を直接傷つけないという利点もあるが、 副作用の心配もある。では、これは技術の発達でなくすことはできるのだろうか。 恐らくそれを可能にすることはかなり難しいことだろう。いくら、被曝の心配は ないとはいえ、体への影響は 0 ではないため心配は残る。では、どのようにす ればよいのか。 これには正解はないと思う。重粒子線が体への影響が一番少ないため、その点 ではある程度の問題解決が望めるだろうが、治療費が高く何百万とかかってしま う。また、普及率がまだ低く、多くのひとが利用できる状況に至ってない。もし、 施設が全国各地に建てられればいいのであろうが、莫大な費用がかかってしまう。 その分他の放射線治療設備は各地にあり、普及率は高い。 将来求められるのは、重粒子線治療では「普及」「気軽さ」であり、放射線治療 では「不安・心配の排除」ではないか。 2 未来への提示 私が提示することは「治療法をより気軽に選択することができるようにする べ き」である。がんの治療は投薬治療、外科手術、放射線治療の三つだが、その放 射線部門において、患者には放射線の体の影響を心配される方や、大きい施設か らは遠い方など様々な事情を抱えている方がいる。二種類の治療法があるなら、 もっと簡単に、気軽に選択できるべきであろう。そのために求められるのは (1)重粒子線患者への金銭援助 (2)通院の負担の軽減(入院、治療寮、施設増加など) (3)放射線に対する知識を一般に広める 以上 3 点が最低であると私は思う。 なぜ選択の容易さが求められるか。それは、どの治療法にも利点・欠点があり、 どちらも影響が大きいからである。どの方法が正解というものはない。そのため、 一番大事なのは患者自身の意思である。 診察・検査の面では、放射線を用いれば簡単に早期発見もできる。治療面では、 体を傷つけずにできる。しかし当然、欠点もある。そこでは医師の判断も大事だ が、その先体と向き合っていく患者自身の意思がなくてはならない。どれが正解 で、そうでなければ未来はないというわけではない。むしろ選択で未来が広がっ ているのだ。がんの早期治療をとるか、放射線からの保護をとるか。その選択が これからもっとも重視されるべきだ。 以上の理由で、私は選択の容易化が求められていると思う。

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第 4 章 感想

私は 2 年通して放射線について研究してきたが、放射線はいい診断・治療法で はあるが、その分デメリットも大きい。加えてこのデメリットが解決不能に近い ものなので、どうあるべきか考えるのが難しいテーマだった。だが、研究し、い ろいろ考えていくと、医師と患者というテーマにも関わるものに至り、放射線を 考えることは、患者のあり方や患者を考慮した患者密着医療を考えることにもつ ながると思った。あまり陽のあたらないテーマだが、面白かったため、子尾の先 も注目していきたい。

第 5 章 参考文献

群馬大学「重粒子線がん治療について」 死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会 報告書 重粒子線治療ガイド http://www.hirt-japan.info/ PET 検査ネット http://www.pet-net.jp/pet_html/treat/shikumi.html

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