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最新フッ素関連トピックス2019 年 3 月号 フッ素系触媒 1、 はじめに フッ素系触媒については、2013 年 10 月号で「フッ素系重合触媒」と題して述べて いる。ここでは、この2 年間に発表されたフッ素系触媒についてまとめてみた。 2、 含フッ素金属錯体触媒 S. Ahmadjo らは、エチレンの重合を下記の 3 つの含フッ素 Ni 触媒と共触媒とし てメチルアルミノキサン(MAO)を用いて行った。1) その結果、(1)が最も高い活性を示し、分子量も最高であり、(2)は分子量が最も低 かった。その機構についてコンピュータ計算を導入して解析し、(2)や(3)は水素原子 あるいはCH3基とF との相互作用があるため、Ni に配位したポリマー鎖へのエチレ ンの挿入が妨げられるとしている。

Ozer Bekaroglu らは、下記に示す、含フッ素金属フリー、Zn(Ⅱ)、Co(Ⅱ)、Fe(Ⅱ) メタロフタロシアニンを空気亜鉛電池の空気触媒として開発した。2)この中で Fe(Ⅱ)メ

タロフタロシアニンが現行のPt/C よりも少し高い半波電位を持ちアルカリ媒体中で劇 的な酸化還元反応活性を示した。それは、二つのレドックスメタルセンターを持ち、特 色ある芳香環どうしがπ-π 相互作用によって平行に位置している構造を取っているか らだとしている。

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手製の空気亜鉛電池の電解触媒能のテストから、この錯体は、有効な酸化還元触 媒として使えるとしている。

Hai-Yan Ma らは、CuF2/2H2O/Ligand を触媒として下記の反応を行ったところ、

Ligand として 4,7-diphenyl-1,10-pnenanthroline の場合に最も高い収率 76%を 得た。3)さらに溶媒と塩基を変えたところ、K2CO3塩基でTHF 溶媒において>99%の 収率となった。さらに2a の Ph の構造を変えて検討している。 Sergey N. Osipov らは、新規な非対称的な含フッ素 N-ヘテロ環カルベンオレフィン メタセシス触媒(下記 3、4、5、6)を合成し、触媒活性を調べた。4) その結果、下記の反応において、3、4 は 1 に比して、5、6 は 2 に比して高い活性を 示した。いずれもオルト位にメチル基がない方が高い活性を示した。

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Arpad Molnar らは均一系触媒のリサイクル、不均一触媒のリサイクルについてレ ビューしている。5)その中で含フッ素触媒としては、均一系触媒における配位子 P[C2H4C6F13]3 や が使用され、また下記左に示すフルオラス触 媒が取り上げられ、フッ素系溶媒使用により、触媒が下記右の反応後分離されやす いことが謳われている。 また、錯体のアニオンとしてSbF6-、BF4-、PF6-、Tf2N-などが使用されている。 Graeme Hogarth らは、下記に示す Fe 錯体を合成し、電解触媒プロトン還元反応 を調べた。6) その結果、錯体 1 が最も有効な触媒で、‐1.5V でプロトンから水素への還元反応 を 促 進 し た 。 そ の 場 合 、HBF4・Et2O 存 在下 で icat(catalytic current)/ip

(non-catalytic current)≧46 を示した。

Fabio Lorenzini らは、下記に示す含フッ素イリジウム錯体を合成し、1,3-プロパン ジオールからアルデヒドを合成する触媒として用いた。7)大気中でイオン液体を用いる

とフッ素導入により高収率で高いリサイクル性が得られた。これは、生成物の分離を 容易にし、高選択性になるからである。

(4)

反応機構として下図が提案されている。イオン液体中で 1,3-プロパンジオールから 2 が生成する過程で水が関与している。H や F が芳香環のオルト位から外れると触 媒活性が低下した。

Lutz Ackermann らは、下記に示す反応の触媒として Ru 触媒を用いた。8)3aa の

収率がP(4-C6H4F)の場合向上した。

Vladislav A. Tuskaev らは、超高分子ポリエチレン合成の触媒として Ti ジオレート 錯体を開発した。9)下図にその合成法、構造を示す。この中で、スピロ構造の含フッ素

3f が高い活性を示した。粘度測定による分子量は 1.1~7.7×106 であった。機械的 強度は含フッ素触媒を使用したものが高かった。

(5)

3、 含フッ素ゼオライト触媒 Dongsen Mao らは、一連のフッ素化ナノ-HZSM-5 ゼオライト触媒を種々の濃度の NH4F 溶液に浸漬して合成し、バイオエタノールからプロペンへの 500℃、大気圧、 10WHSV/h での選択的合成に適用した。10)フルオライドでの処理は、経路構造や酸 の性質に主な影響を及ぼした。新しく生成したメゾ孔は、物質移動を容易にしてコーク スの生成を減じ、酸性が弱められコークスの生成が抑制された。フッ素で 20wt%改 質することにより触媒の安定性のみならずプロペンの選択性が向上した。コークスに 加えてゼオライト構造中のAl の除去がフッ素化ナノ-HZSM-5 触媒の不活性化の重 要なファクターであるとしている。 Ting Xu らは、クロロメタンからプロピレン生成反応の触媒としてフルオライド処理さ れたH-ZSM-35 ゼオライト触媒を提案。11)フルオライド処理は下記の通り。適度の濃 度で処理するとプロピレンへの高選択性が得られた。 4、 フルオラス触媒 Richard H. Fish らは、フルオラス 2 相触媒を使用してアリル酸化、過酸化、アルケ ンのエポキシ化、光酸化、1 級と 2 級アルコールのカルボニル化合物への酸化のレビ ューを行った。12)下図に、Rh フルオラス錯体によるアルケンのヒドロホルミル化反応 を示す。反応物と生成物の分離がよくできていることが分かる。 5、 触媒担体

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Chun Cai らは、含フッ素セルロース担体 Pd ナノ粒子触媒によるニトロアレンの水 素化反応を検討した。13)ニトロベンゼンの水素化については下表の結果が得られて いる。含フッ素セルロースは触媒の安定化に寄与している。 Jian Lu らは、HFC-245fa の脱 HF 反応の触媒として中空ナノ MgF2を担体とす る金属イオン触媒(Al3+Cr3+Fe3+Co3+Zn2+Ni2+)を開発した。14)中空ナノ MgF2 はポリオールを仲介するゾルゲル法で作製した。350℃で焼成後の表面積は 127m2/g と大きく、弱いルイス酸性を持つ 12nm のメゾ孔構造を有していた。中空ナ ノ MgF2担体 Al 触媒においては、他の触媒より高い活性と好ましい生成物 HFO-1234ze(E)への選択率が高かった。これは表面積が最大で多数の酸点があることに よる。酸点と活性については下図のような直線関係があることが分かった。 HFC-245fa の脱 HF 反応の最大転化率 54%、HFO-1234ze(E)への最大選択率 82%は、 中空ナノMgF2担体9 モル%Al 触媒 280℃の反応条件で得られた。その性能は 200 時間持続した。

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6、 おわりに

この2 年間の文献から含フッ素触媒について、金属錯体触媒を中心に述べた。他に は含フッ素ゼオライト触媒、フルオラス触媒およびフッ素系触媒担体についても触れ た。光触媒については次回の4 月号で述べる予定である。

文献

1) S. Ahmadjo et al Journal of Organometallic Chemistry 835(2017) 43-51 2) Ozer Bekaroglu et al Electrochimica Acta 233(2017) 237-248

3) Hai-Yan Ma et al Tetrahedron Letters 58(2017) 1564-1567

4) Sergey N. Osipov et al Journal of Fluorine Chemistry 200(2017) 66-76 5) Arpad Molnar et al Coordination Chemistry Reviews 349(2017) 1-65 6) Graeme Hogarth et al Polyhedron 137(2017) 140-146

7) Fabio Lorenzini et al Catalysis Today 307(2018) 248-259 8) Lutz Ackermann et al Journal of Catalysis 364(2018) 14-18

9) Vladislav A. Tuskaev et al Journal of Organometallic Chemistry 877(2018) 85-91

10) Dongsen Mao et al Fuel Processing Technology 167(2017) 50-60 11) Ting Xu et al Catalysis Communications 119(2019) 96-100

12) Richard H. Fish et al Coordination Chemistry Reviews 380(2019) 584-599

13) Chun Cai et al Catalysis Communications 103(2018) 47-50

参照

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