理学 療 法 学 第28巻 第6号 262
〜
267頁 (2001年 )報
告循
環
反応
か
ら
み
た
等 尺性 運動 を主
体
と
す
る
サ
ー
キ
ット
・ウ
ェイ ト
・ト
レ
ー
ニン
グ プ
ログ ラ
ム
の
安
全
性
に
関
す
る
研
究
* 西 田裕 介
1)山 本 千 登
勢
1)樋
渡
正夫
2)佐 藤
徳太
郎3) 要 旨 本研 究で は等尺性 運 動 主 体のサー
キッ ト・
ウェ イ ト・
トレー
ニ ング (CWT
)プログ ラムを 作 成し た。
若 年 健 常 男性15名 を対 象にCWT
とトレッ ドミ ル漸 増 運 動 負 荷 試 験 (TGXT
) を比 較 し,
CWT
の安 全 性 につ いて血行 動 態 反応と呼気ガ ス分析より検 討し た。 対 象 者は,
最 大 随 意 収 縮 (MVC ) を 測 定した後に,
CWT お よ びTGXT を行っ た。 CWT は 肘 関節 屈 曲,
肘 関 節 伸 展,
膝 関 節 伸 展,
膝 関 節 屈 曲,
体幹 伸展 で構成さ れ, か ら の種目順 に, そ れ ぞ れ60
%MVC
の負 荷量 に て30
秒 間の等尺性運動後に30
秒 間の休 息 を取る プロ トコー
ル を3回繰 り返し た。
主 な 測 定 項目 は,
酸 素 摂 取 量 (▽02
),
心 拍 数 (HR),
血 圧,
二重積 (RPP >であ り,
統 計 学 的 分 析に は,
分 散 分 析と多 重比較 検 定を用いた。 CWT 中のVO2
は, TGXT によ り得 ら れた嫌 気 性 代 謝閾値レベ ル運 動負荷 (AT
負荷)時の 43〜
57% で あっ た。
ま た,
CWT 中の収 縮 期血圧 (SBP )は,
AT 負 荷 時の SBP と同 等 も し くは や や高い 値 を示 した。 しか し,
CWT 中の HR が AT 負荷 時の HR と同等も しくはや や低い値を示し た た め,
CWT 中の RPP はAT 負 荷 時 のRPP
と ほ ぼ 同 等の 値 を 示 し た。
この こ と よ り,
本 研 究 で 用い たCWT
は,
心 臓 負 荷の指 標 をRPP と し た場 合,AT
負 荷 時と 同等の負 荷強度で あ る と推 定さ れ る こ と か ら, 安全に実施可能で あ る と考えら れ る。
キー
ワー
ド 等 尺 性 運 動,
サー
キッ ト・
ウェ イ ト・
トレー
ニ ン グ,
二重 積 緒 書 抵 抗 運 動は体 脂 肪 率 を改 善 し,
筋 力,
心 血 管系 持 久 力 および骨 組 織 中の カ ル シ ウ ム代 謝を促 進 する と共に主観 的 自立度 を 高める ことが 示 されてい る 1−
4〕。一
方,
抵 抗運 動で は心 拍 数 (heart rate :以下HR)や 血圧 (blood
pressure :以 下 BP)の変 化が大 き く
,
特に,
等 尺 性 運 動 を主 体 とする抵 抗運動は, 心 筋に対 する 圧負荷が過剰 にな り,
後 負 荷の増 加とそ れに伴 う心 筋 酸 素 消 費の 増 大 の た め に,
左 室 機 能 低.
ドを伴 う患 者に は安 全でない もの とみなさ れ,一
般 的に心 疾 患 患 者に は禁 忌と さ れ てき た5)6)。*
Evidence for Safety PrQtocol to Circuit Weight Training Program with Isometric Exercise from a View of Circulatory Responsel)東北 大 学 大学院 医学系研究 科 障害科学 専攻 内 部障害学分 野
(〒980
−
8574宮 城 県 仙 台 市 青 葉 区星 陵町1−
1)Yuusuke Nishida
,
RPT,
MS,
Chitese Yamamoto,
RPT,
PhD;Section of Internal Medicine and Disability Prevention
,
DisabilityScience
,
Tohoku University Graduate School of Medicine.
2)国 際 医療 福祉 大 学 臨 床医 学 研究セ ン タ
ー
Masao Hiwatari
.
MD,
PhD:International University of Health andWelfare
,
Orgarizecl Center of Clinical Medicine3) 国 立 身 体 障 害 者リハ ビ リ テ
ー
ショ ン セ ンター
Tokutaro Sato
,
MD,
PhD:National Rehabilitation Center〔受 付 日 2DD1 年 1 月 29 日/受 理 日 20Dl 年 6 月 20 日)
抵 抗 運 動の中で も運 動 中 に 適 当 な 休 息 を 挿 入 し な が ら
連 続的 運 動 を行 うサ
ー
キッ ト・
ウェ イ ト・
ト レー
ニ ング(circuit weight training:以下
CWT
)は,
持 続 的 な抵抗 運 動より も安全かつ 容 易に施行で き
,
また,
運動 部位 を 変化 させる ことでバラン ス よく全 身の筋 力 強化 が 可 能 な運 動 方法である。 こ の方法に従 うなら ば,
等 尺 性 運動 を主体とする抵 抗運動で も,
間に休 息 を挿 入 するこ と に よっ て, 心 臓リハ ビ リ テー
シn ンに応用 できる 可能性が あると考 え られる。 しかし,
これ までのCWT
プロ グ ラ ムに 関する研究は等 張性運動 を 主体と した プロ トコー
ル による成績がほ とん どで,
等尺 性 運動 を 主体としたプロ トコー
ル で の報 告はない 。一
一
方,
実 際の 日常生活におけ る労作には,
等尺 性の筋 収 縮に よる,
重 量 物の挙上や搬 送 等の活 動を 必要とする機 会が少なくない 。 こ の ような 負 荷形態は, 等尺性運動をCWT
で行 う場 合と類 似し て い ると推 定さ れ る。
また, 等 尺性 運 動 を主体 とした 抵抗 運動は, 等張性運動を 主体と し た抵抗運動よ り 運動 許 容 強度 範囲 が 狭い もの の, 活 動性が 十 分 で ない対 象 者でも 実 施可能であるとい う利 点や, 短 期 間で筋 力 を増 加さ せ る とい う利点がある。 さ らに近 年,
医 療 費 削 減や入 院日数の短 縮 化に伴い,
心 臓 リハ ビ リテー
シ ョ ン期 間も 以前の 4〜
6週間か ら2循 環反応か らみ た等尺性運動 を主 体 と する サ
ー
キッ ト・
ウェ イト・
トレー
ニ ングプロ グ ラムの 安 全 性に関 する研 究 263〜
4週間へ と減少 して きてい る。
こ の ような背景の も と,
短期 間で筋力 増強 効 果 が得ら れ や すい等 尺 性 運 動 を 主 体 とする抵 抗 運 動にCWT
を組み合わ せ た プログラム を従 来の有 酸 素 運 動主体の心臓リハ ビリ テー
シ ョ ン プロ グラ ムへ 追加 すること は,
心 臓 リハ ビ リテー
ショ ンの効 果 を 最 大 限に発 揮 させ る た め に有 効で ある と考え ら れ る。
DeGroot ら7)は
,
等張性 運 動 を主体と し たCWT
プ ロ グラム の 負荷 量 と 休 息 時 間の 組 み 合 わ せ に お け る 安 全 性を 評価 し,1
回 反復 最 大 負 荷 量の60
% で30
秒 間の運 動 時 間 と30
秒 間の休 息 を 組み合 わせたプロ トコー
ルが 安 全に実 施可能であ るこ とを報 告している。 そこ で,
本 研 究で は等尺性運動 主 体のCWT
プロ グ ラム をDeGroot
らの等 張 性運動 を主 体 とし た プロ トコー
ル に準じ て作 成 し,
若 年 健 常 群 を 対象に等尺 性 運動主体のCWT
で の循 環反応 とト レ ッ ド ミル漸 増運動 負 荷 試 験 (treadmillgraded exercise test:以 下
TGXT
)に おける嫌 気 性 代 謝閾値 (anaerobic threshold:以 下AT )レベ ル で の循 環 反 応 を比 較 すること に よっ てその安 全 性 を検 討 した。 ま た,
今 後 加 齢に よ る変 化や疾 患群 との比較を行 う際の 基礎 資 料を得る こ と も 目的と し た。
表 1 最 大 随 意 筋 力 (MVC ) と60% 負荷 量 運動種目 MVC (kg} 60%MVC (kg) 対象お よび 方 法 肘 関節 屈 曲 肘 関節 伸 展 膝関節 伸 展 膝関節 屈 曲 体 幹 伸展 28.
5±4.
4 24.
5±6.
9 (右 脚) 28,
1±7.
2 (左脚 > 36,
3±9.
4 (右脚> 21.
4±5.
2 (左脚) 22.
1±6.
7 134.
2±19.
3 17ユ±2.
614.
7±4.
117,
0±4.
321.
7士5.
7129 ±3.
113.
3±4.
080.
5±11.
6 L 対 象 対 象 者は,
健 常 男 性 15名で,
内 科 的 疾 患 およ び整 形 外 科 的疾 患の既 往はな かっ た。 被 験 者には,
本研 究の 目 的,
方 法,
有 益 性ならびに予 想さ れる危 険性な どにつ い て十 分 説 明し,
書 面に よ る同 意を得た。 対 象 者の平 均 年 齢は20.
1
±1.
1
歳 で, 身体組 成は身長17L9
±7.
4
cm , 体 重66.
1±8.
1kg,
BMI22.
4
±3.
3
kg
/m2 であっ た。
ま た, 定期的 な 運動 習慣を もつ 者は本研究の対象より除外 し た。
2.
方 法最 大等尺性随 意収縮 (maximal voluntary contrac
・
tion;以 下 MVC )測定と
CWT
お よ びTGXT
との 間 は そ れ ぞ れ最低 48時 間 以 上の 間 隔 を おい て行っ た。
対象 者に測 定期間中,
過 度の運 動,
睡眠 不足,
暴飲 暴 食,
ア ルコー
ル の過剰 摂 取を しない よう説 明し,
本研 究の期 間 中これ を守らせ た, ま た,
食 事摂 取に よる熱量 産 生の影 響 を取 り除 くた め,
MVC 測 定,
CWT およ び負 荷 試 験 の最 低2時 間前よりあ らゆる食 事,
カフェ インやア ル コー
ル入 りの飲 料,
喫煙 を避 ける よう指 示し た。 研 究 期 間 中,
急 激 な体 調の変化や対 象 者 自身の参 加 継 続 拒 否はな く全て の測 定を終 了し た。 また,
全て の対 象 者は,
そ れ ぞ れの測定 間におい て 48時 間以 上 続 く遅 発 性 筋 痛は 出現し な かっ た。
平均±標準偏 差.
1
) 等 尺性 運 動 を主 体 とするCWT
CWT
で は,
1側 肢 (右 側 )の 肘 関 節 屈 曲 (biceps
cur1 :以 下BC)
,
肘関節 伸展 (arm extension :以 下AE
), 両 側の 膝 関 節 伸 展 (leg
extension :以下LE
),
膝関節 屈 曲 (leg curl :以下LC
>,
および 体 幹 伸 展 (back extension :以 下 BE)の 5種 類の運 動を負 荷した。 対 象 者はそれぞれの種 目の MVC をOG 技 研 社 製MUSCULATOR
GT −30
を 用い て 測定し, その60
%値 をCWT
プロ トコー
ルの 負 荷 量 と し た (表 1)。
測定方 法は,
BC・
AE は,
端 座 位にて,
肩・
肘 関 節90°
屈 曲 位にて 実 施 し,
固 定 部 位は,
胸 部,
骨 盤 帯,
大 腿 部の 3ヶ所と し た。 LE は,
端座位に て,
膝 関 節60°
屈 曲 位に て実 施 し,
LC は,
端 座 位にて,
膝 関 節90°
屈 曲位にて実 施し た。 固 定 部 位は,
BC・
AE 同 様,
胸 部,
骨 盤 帯,
大 腿 部の 3ヶ所と し た。
体 幹 伸 展は,
立位に て,
体 幹30°
前 屈 位を保 持した 状態にて実 施し た。
ま た, MVC の 測 定 に は そ れ ぞ れの種目 に お け る 測定 時に,
前に施 行し た 運 動の影 響 を除 外 するため,
最 低 1分 間 以 上の休 息 を取っ た後に次の種目を 行っ た。
MVC 測 定 時とCWT
実 施 時 に はValsalva
現象 を避 ける た め, 息 を止めない ように 指 示し た。
CWT
は, 運 動 開 始 前 に5分 間の安静 を取り, その後 に か ら の種目順に, そ れ ぞ れ60
%MVC
の負 荷 量に て 30秒間の等尺性運動 後に30秒間の休 息 を取る プロ ト コー
ル を3
回 繰 り返した。
また, 運動 終了後5
分 間 を 回 復 期 間 とした。 酸 素 摂 取 量 (以下 ▽02
) をCWT
中全て の 症 例に おい て 携 帯型呼 気ガス分 析 装 置 (ア ニ マ社 AT1000 >を用い て測 定 し た。
本 測 定 装 置は mixing chamber 方 式に より得ら れ た15秒 間で の測 定 値 を平 均 し,
1分 聞 あた りの値へ 換 算 したものを 出 力 する。 安 静 時の値は,
最 後1分 間の値 を 平 均した。 CWT における 各 種 目では,
運 動 時 間が30秒と短い た め,
▽02等に変 化が出 現 するの は,
血液 循 環 時 間に影 響があるこ と か ら 運動中のエ ネルギー
消 費量 を 正確に反 映 す る 可 能性の高 い 運動 終了 時 よ り16〜
30秒の 値を 運動に よ るエ ネル ギー
消 費 量 増 加 と推 定し てこ の数 値 を用い た。 血 圧 は,
CWT の各 項 目で運 動 中10〜
30秒の 間に アネロ イド血264 理 学 療 法 学 第28巻 第6号
表2 Circuit Weight Training時の反 応
測定項 目 安 静 時 肘 関節屈 曲 肘関節 伸展 膝 関節伸展 膝 関節屈 曲 体幹 伸 展 マ02(ml /kg〆min ) 5
,
8±2.
2 HR (bpm} 74.
7±9、
l SBP (mmHg > 120.
1土15,
8 DBP {mmHg } 75,
6±8.
4 RPP {xlO−
2) 89.
7± 15.
8 10,
3±3.
2 109.
0± 17、
5 150.
6士20.
3 98.
2±16.
5 164,
2土33.
2 9.
9±2.
5102.
1±17.
6 147.
8士17,
5 100、
6±13.
3 152.
2±32.
7 9.
3土2.
2 1L2士3.
2 12.
3±2.
6 108.
6±14.
1 109.
4±18,
0 116.
2±15,
6 156.
2±17.
3 158.
5±21,
1 ユ32.
2±14,
1 103.
3±19.
O lO4,
1±16,
9 80.
6±12,
9 170.
9士31.
1 173.
8±36.
6 156.
0±27,
0 平 均 止標準偏 差.
圧計 を用い て血圧測 定に 習熟し た1
名の 理学 療 法士 が 測 定し た。
また,
上 肢 運動中の血 圧 は動 筋の機 械的 圧迫に よ る 血管の閉 塞 が 起こる た め,
1側 肢 (右 側 )の 運 動 を 選 択し, 血 圧 測定は左一
ヒ肢に て行っ た。
二重積 (rate−
pressure product :以 下RPP
)の計 算は各運 動 中 に得ら れ た収 縮 期血圧 (systolic blood pressure :以 下
SBP
)とHR より算 出 した (RPP
=SBP
× HR ) 。 運 動 中モニ ター
さ れ た胸 部 誘 導心電 図 (フ クダ・
エ ム・
イー
TTIE > か ら各運動 中10〜
30秒 間の心拍 数を測 定し た。
2> トレッ ドミル漸 増 運 動 負 荷 試 験 TGXT は医 師の監 視の もと,
日本 循 環 器 学 会の プロ トコー
ル 8)を用い て行い,
Karvonen の予 測式によ り得 られた処 方 心拍 数の85
%値に心 拍 数 が達 したステー
ジを 終 了ス テー
ジ とした。 呼 気ガス分 析はSensor
MEDICS 社 製 2900に より ▽02,
二酸 化 炭 素 排 出量 を測 定し た。 AT の 決 定は,
呼 気ガス分 析より得 ら れ た値よりV−
slope 法 を 用い て 同一
医 師 が 決 定 し た。
血 圧 はス テー
ジ 毎に自動 血圧計 (日本コー
リンSTBP −
780)に よっ て測 定 し た。
TGXT
中 監 視 さ れ た ユ2
誘 導心 電 図 (mar−
quette 社CASE15
)に よ り, 各運動ス テー
ジ に お け る 心拍 数を 測定し た。
RPP は そ れ ぞ れの ス テー
ジで計算 し た。
表3 トレッ ドミル漸 増 運 動 負 荷 試 験 時の反応 測定項目 安静時 AT point時 Peak時 3.
解 析 方 法 統計的 手法と し て は, 各測 定 項 目 に おい て一
元 配置 分 散 分 析 と多 重比較 検 定 を用い,
危 険率5
%未 満をもっ て 有 意と判 断し た。 結 果 1.CWT
に よ る酸 素摂 取 量の変化と循 環 反応 表2に安 静 時およ び5
つ の各運動 負 荷 時の 各測定 値 を 示 した。 また,
各 運 動 負 荷 時の値は,
1周 目か ら3
周目 まで の平 均 値を示し た。 安 静 時の平 均VO2
/kg は5.
8 ml /kg/min で あっ た。
運 動 負 荷 時の 平 均 ▽02
/kg は9.
3〜
12.
3 mVkg /min で あ り,
5
つ のCWT
運動 種 目の うち,
BE
が 他 の種目 と 比 較 する と有 意に高い値 を示 した (p〈0.
05)。 また,
AE とLC (LC>AE )お よびLE とLC (LC>LE)の 聞に も 有 意 差 が 認め られた (いずれもp<O.
05)。 その他の各測VOz
(ml /kg/minl 5,
8±2.
1 2LO±3.
1 46,
6±15.
9HR 〔bpm) 82
.
4士14.
4 114,
9±11,
3 179.
3±4.
O SBP (mmHg ) 126,
3±16ユ 148.
3±20,
4 1889 士29.
4 DBP (mmHg } 76,
7‡82 70,
1±13,
0 69,
9±17.
8 RPP (×10−
2) 103,
7±20.
3 180.
0±40,
5 338,
6士53.
4 平 均±標 準 偏差.
定 値 間には有 意 差は認められなかっ た。 安 静 時の平 均HR
は75
bpm
であっ た。 運 動 負 荷 時の 平均HR は102〜 ll6
bpm
の 範囲 に あ り,
5つ のCWT
運 動 種 目の う ち,
BE
が他の種目と比較 すると有 意に高 い 値 を 示した (p<0.
05
)。 ま た,
BC
とAE
(BC
>AE
) お よ びLC とAE (LC>AE)の間 にも有 意 差が 認め ら れ た (いず れ もp<O.
05)。 安 静 時の平 均SBP
は120 mmHg であっ た。
運 動 負 荷 時の平 均SBP
は132〜
158 mmHg であ り,
5つ のCWT
運動 種目の うち,BE
が他の種目 と比較 する と有 意に低 い値を示し た (p<O.
05)。
安 静 時の平 均 拡 張 期血 圧 (diastolic blood pressure :
以下DBP )は76 mmHg であっ た。 運 動 負 荷 時の平 均
DBP
は80〜
104 mmHg であ り,SBP
同 様,
BE
が他の 種目 と 比較する と有意に低い値を示し た (p<O.
05)。
そ の他の種目間に有 意差 は認め ら れなかっ た。 安静 時の平 均RPP
は90
× 10−
2 で あっ た。
運 動負荷 時 の 平 均RPP は,
152 x lO−
2〜
174 x lO−
2で あ り,
AE
と LE (LE >AE ), AE と LC (LC >AE ), LE とBE
(LE
>BE
) およびLC
とBE
(LC
>BE
)の 間に有 意 差が 認められ た (いずれもp<0.
05
)。
その 他の 種 目間に有 意 差は 認め ら れ な かっ た。
2.
トレッ ドミ ル漸 増 運 動 負 荷 試験とCWT
との比 較 表3にTGXT 時の反 応とし て,
安 静 時,
AT レベ ル運 動 負 荷 (以下AT 負 荷 ) 時お よ びPeak 時の各 測 定 値を 示 し た。
ま た,
各測定項 目 に お け る 値 は,
各プロ トコー
ル ステー
ジ で得ら れ た値の平 均値を 示 し,
各測定 値につ い て,
AT 負 荷 時の 値 と CWT 中の 値 を 比 較 した 。 TGXT に よ り 得 ら れた AT 負 荷 時の 各 値は,
平 均循 環 反 応 か らみ た等 尺 性 運 動 を主体とする サ
ー
キッ ト・
ウェ イ ト・
ト レー
ニ ング プログラムの安全性に関 する研 究 265VO2
/kg
は 21.
0 ±3.
1ml /kg
/min,
HR
はll4.
9
± ll.
Obpm ,
SBP
は 148.
3± 20.
4 mmHg,
DBP
は 70.
1± 12.
7 mmHg ,RPP
は (180±41
)x10−
2 であっ た。CWT
の各運動 種目 に お け る平 均 ▽02
/kg
は,
AT
負 荷 時の 43〜
57%であ り,
全ての 項 目におい て AT 負 荷 時より も有 意に低い値を示し た (p<0.
01)。
CWT
の各 運 動 種 目にお ける平 均HR は,
AT
負 荷 時 の値の 89〜
10ユ%であ り,AE
に おい てAT
負荷 時の値 よ り有 意に低い 値を示 し た (p<0.
Ol)。
そ れ 以外に はAT
負 荷 時の値 との間に有 意差は認められ な かっ た。CWT
の 各 運 動 種 目における平 均SBP は,
BC,
LE,
LC の種 目に お いて AT 負 荷 時の値よ り も有 意に高い値 を示した (p<0.
05
)。 また,
BE におい て AT 負 荷 時の 値より有 意に低い 値を示し た (pく0.
05)。 CWT の各運動 種目にお ける平均 DBP は,
5種 目 全て に おい てAT
負 荷 時の値よりも有意 に高い 値を 示 し た (p〈0.
01)、
特に,BC ,
AE ,
LE ,
LC
で約100
mmHg と 高 値であっ た。
CWT
の各 運 動 種 目に おける平 均RPP
は,
どの 種目 に おい て もAT 負荷 時の値を超えず,
AT 負 荷 時の値の 84〜
97%であ り,
BC,
AE,
BE において AT 負 荷 時の値 より有 意に低い値 を示 した (いずれもp〈0,
05)。 考 察 最近, 心 臓 リハ ビ リ テー
シ ョ ンに おいて運動強度を設 定 する際,
最 大 運 動 を行わずに容 易に測 定 可 能であ り,
安 全 性の客 観 的 指 標 と し て 用い ること が できるAT
レベ ル に設定す ること が多い 9}。
その際の簡 易 指 標と して,HR
が し ば し ば用い られ る。
し か し,
等尺性運動に おい てはHR の変 動 よ り もSBP
とHR の 積 と して算 出 さ れ るRPP
が 心負荷量の指 標と し て適切 で あ る1)5 )エo )。
抵 抗運動と有酸素運動に お け る循環 反応につ い て は多 くの報 告 が な さ れている。
抵 抗 運 動 で は 有酸 素運 動 に 比 べ る と, ▽02
, HR, およ び心拍 出 量 を 中 等 度に増 加さ せ,
1
回拍 出 量 あるいは収 縮 期血管 抵 抗は わずかに変化 するかまっ た く変 化し ないが,
BP (特にDBP )とRPP は著 明に増 加 する と され てい る 11−
13}。 本 研 究に おいて もCWT
中のDBP
はAT
負 荷 時の値 よ り も 有 意 に 高 値 を 示 し た。
このCWT
中のDBP
の増 加は,
冠 灌 流 圧 を増 加させ 側副血行お よ び拡 張 期の狭 窄 病 変へ の冠 血流 を 改 善し,
そ れに より心 筋 虚 血 を防 止 す る 効 果14−
17)が あ ると考 えら れる た め,
冠動 脈 疾 患 患 者 に とっ ては宥 効である。
し か し,
左 室機能 低 下 を 伴 う弁 膜症 や 心不全 患者で は 心筋に対す る 圧負荷 が 過剰に な り,
後負 荷の増 加 とそ れ に伴 う心 筋 酸 素 消 費の 増 大 を引 き起こ して し まうた め,
十分 注 意し な けれ ばならない 。 つ ま り,
疾 患に よ る適 応 選 択が重 要にな り,
その適 応 疾 患 を 選択 することに よっ て十 分 な 効 果 が 得 られる と考 え ら れ る。全 身持 久 力の 指 標である
VO2
/kgをCWT
中とAT 負 荷 時で比較した とき,
43〜
57% と有 意に低い値 を示し ているこ とか ら,
全 身に対 する負 荷 強 度として は低 く,
負 荷のか かっ た特 定の筋以外につ いて の筋 力 改 善 効 果は 少 ない と考え ら れる。
ま た,
CWT 中のVO2
/kgの経 時 的 変 化は,
運 動 終 了 後1分 間は増 加し てい た。 これ は,
運動 開始直 後に 必要な 酸素を有 酸 素 性エ ネルギー
供給 機 構で補 うこと がで きず,
クレ アチン燐酸の分 解に よ る ATP と,
グリコー
ゲン解糖の過 程で産生 される ATP 量 を反映する無 酸 素 性エ ネルギー
供 給 機搆か ら酸 素を供 給 し,
そのと きに生 じ た不 足 分の酸 素を 運動 後に持 続して 補 う酸 素 負 債18)19)が関 与してい るもの と考え ら れ る。 Hickson らzo)は 運動に使用 さ れ る筋群の量 はエ ネルギー
消 費 量に影 響 す る と報 告 してい る。
本 研 究 に おい て も,
大筋 群 を使用 す る BE で 他の 運動 種目 と比 較 してVO2
/kg
が高い傾 向 を 示し てい る。
これ は,
CWT
プロ グラ ムに おいて,
大筋群を伴 う運動が よ り全 身 持 久 力に 影 響を与え る とい う報 告20)と一
致する。
すな わ ち,CWT
に おい て,
背 筋,
ス クワ ッ ト,
レッ グ プ レス,
ベ ン トオー
バー
ロー
イン グ な どの よ う な 大 筋 群 を 使 用 す る 運動種目 を プロ グラ ムに加え ること で, 持 久 力向上の効 果が導き 出 せ る と 思 わ れ る。
本 研 究 に お け るCWT
中のSBP
は,
AT
負 荷時のSBP
と同等 もしくはやや高い 傾 向を示し た。 し か し,
CWT 中のHR
が 同 等 も し くは や や低い 傾 向 を 示 した た め,
CWT
中の RPP は AT 負 荷 時の RPP とほ ぼ同等の 値 を 示した (図1)。 こ の ことよ り,
本 研 究で使 用し たCWT プロ トコー
ルは,
心 臓に対 する負 荷 強 度 とし て は,
心 筋 酸 素 摂 取 量の 面 か ら 考 え た 場 合 に,
AT
負荷 時 と 同 等の 負 荷 強 度である と推 定さ れる。
また, 本 研 究で使用 したCWT
プロ トコー
ルは,
周回 が増 すごとにRPP
は増 加し,
心 臓 に 対 す る負 荷は3
周 目 に おい て ほ と ん ど の運動 種目 で最 大と なっ た。こ の RPP の増 加は,
周回が増 すご とに 増 加 して い るHR に より強 く影 響さ れて い ると考 えら れ る。 (×10『
1) 300 重2DO 積 且oo D * * * AT
peint BCAELELCBE 図1 嫌気 性 代 謝 閾値レベ ル運動 負 荷 時と 比較し た
,
各運動 種 目に お け る二重 積.
*p<0.
05.
266 理 学 療 法 学 策28巻 第6号 以 上の結果か ら
,
本 研 究で用い た等尺性運動主体の CWT プロ トコー
ル でのRPP
は.
TGXT に より得られ たAT
負荷 時の RPP と同 等 あるい は そ れ 以 Fで ある こ と よ り,
比 較 的安全に実 施可能であ る と 考 え ら れる、
,
し か し,
これ 以 ヒ負 荷 量や運 動 時間 を 延 長 す る な ら ば,
SBP
や RPP が増 加し,
心 臓へ の負 担は 大 き く なる と考 えら れ る。
ま た,
本研 究で は,
若 年健 常 群 に お け る等尺 性 運 動 主体の CWT プロ トコー
ル の安 全性 を検 討し た結 果,
本 研 究 での プロ トコー
ルは比 較 的安 全に 実施可 能で あると考え ら れ,
CWT プロ トコー
ルに お け る 等 尺 性 運 動の採 用の Lr∫能 性を明らか に し た t.
/
等尺 性 運 動 主体のCWT
は,
IIR
の変化に 比べ 血圧の変 化が大きいた め.
高血圧患 者や 冠 動 脈 疾 患 患者に関し ての 安 全性 につ い て は,
未だ明 ら かでは ないが,
本研 究の結果を踏ま え, 今 後これ らの疾 患 患者に対して も,
血L圧およ び心竃 図等,
十分 な監 視 を行い な が ら心 臓 リハ ビリ テー
ショ ンプロ グ ラ ムへ の応 用 に 関 して研究 を進めてい きたい、
,
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<Abstract>
267
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A
circuit weighl training(CWT)
program thatwas mainly composed of isometricexercise wasdesigned
for
this study. i'XCWT and a treadmM graded exercise test(TGXT)
were performed on15 young heaLthy male subjects to assess whether the
CWT
eoutd apply safely to examine the circu]atoryfunction
by
using hemodynamic response and oxygen uptake(VOL,}.
TheCWT
included
(11/
bicep
curl, /1'2) arm extension,//3")
leg
extension, ,1), Legcurl and'3),
back extension.The
subjects underwent the CWT and the
TGXT
after the measurement of maximaL voluntary contraetion(MVC)
of respective muscle. Three sets of exercise were performcdin
order of 'ID to(1)
by
imposing a workload of60[k;
MVC
with an intervalof 30 secbet",een
every30
sec exercise. During zhe CWT and TGXTVO.,
heart rate(HR),
blood pressure and rate-pressureproduct
(RPP)
were measured.Statistical
analysis werc performed by the analysis of variance orPost-hoctest,
V'O,
during
theCWT
was 43-57% of that during theTGXT
attained withload
of an anaerobic threshold level{AT
load).The systolic bLood pressure(SBP}
during
lhe CWT wasequivalent to or slightly
higher
than those of TGXT measured with theAT
load. However, theRPP values during the
CWT
were almost equivaLent to those of TGXTduring
theAT
load
as HRvalues of the C"iT had