ヱ
’
heノαPanese/ournal of Psychonomic Science 2{}06,
V[層1、
24,
No.
2,
162−
170原
著論文
行為
を
実演
した
記 憶
と
想像
した
記 憶
の違
い ソー
ス ・ モ ニ タ リング
課
題
に よ る検討
一
1}加
地
雄
一
2}・仲
真
紀
子
北 海道 大学The
differences
between
memoies
of
enacted
actions
and
imagined
actions
Investigation
of source monitoringtasks
一
Yuichi
KAJI
* andMakiko
NAKA
*Hohleaido び 漉” 邵s尠
The
diffcrcnces
between
memories of enacted actions and imagined actiQns were investigatedby
using twokinds
of source monitoring 〔SM )tasks.
Experjment l involved an internal SM taskin which the participants were instructed to perfQrrn
,
imaglne,
or vQcalize the actions described insentences
.
They were then given a recognition test,
and if they rccognjzed a sentence they wereasked whether they
had
performed,
imagined,
or vocalizedit.
In Experiment 2 an external SM taskwas used and the actiQn sentences were presented by either a male or female voice
,
Theparticipants were instructed to perform
,
imagine,
or vocalize each sentence,
and then took arecognition test
.
If
they recognized a sentence they were asked which voice presentedit,
Thercsults showed that
in
theinternal
SM
task (Exp .1
),
there werefewer
SM
errorsfor
the enacted condition than for the imagined condition.
A difference was not found forthese
conditionsin
the
external SM task (Exp
.
2),
These findings suggest that enactment,
rather thanimagining,
facilitates
internal
but
not externa 上SM
processing.
Key words :Subject
−
Performed Tasks (SPTs ), source monitoring , recognition行 為 事 象の記 憶は
,
1980 年 代 初 頭か ら被 験 者 実 演 課 題 (Subject−PerfQrmed
Tasks
:SPTs
)と呼ばれ る記 憶 課 題を用い て 研 究さ れて き た (レ ビ=一
と して は金敷,
2002i Nilsson,
2000 を参 照の こ と).
SPTs の典 型 的な 手 続きでは,
学 習 時に行 為 文 (e.
g.
,
“
ペ ンを持ち上 げる”
) の リス トを実 験 参 加 者に 呈 示 し,
文が 示 す 行為を実 演す *Department
of
Psychology,
Faculty
of Letters,
Hokkaido University
,
N10 W7,
Kita−
ku,
Sap−
poro
O60−0810
1) 本 研 究は,
平 成 15年 度に東 京 都 立 大 学 大 学 院 人 文 科学研 究科に提出し た修士論 文を加 筆 修正 し た もの である,
2)本 研 究を行うにあた り,
首 都 大 学 東 京 都 市 教 養 学 部 市 原 茂 教 授,
沼 崎 誠 助 教 授 に多 くの示 唆 をい た だいた.
ま た,
実 験には多くの学生の協力を得た.
記 して感 謝 する.
る よ う求める.
そ の後,
自 由冉生 また は再認テス トを実 施 する.
テス ト時に は実演は求め ず, 想 起内容を言語的 に報告して も ら うのが標 準 的な手 続きである.
比較 対 象 と なる統 制 条 件で は,
学 習 時に単に行 為 文 を 呈 示 するの み で,
行 為の実 演は求めない.
こ の 統 制 条 件はVTs
(Verbal
Tasks
)と呼 ば れて いる.
SPTs
を用いた実 験の 典 型 的な結 果は,
SPTs
の記 憶 成 績がVTs の記 憶 成 績よ りも高い とい うもの で ある 〔e.
g.
,
Cohen,
1981>.
これ は SPT 効 果あ るい は行為実演 効果 (enactment effect)と呼ば れてお り,
我が国で も藤 田 {e.
g.
,
1995),
金 敷 (e.
g.
,
1999)ら に よ っ て確 認されて いる.
SPTs
にお け る記憶メカニ ズム の 説 明と して,
現在の とこ ろ最 も有 力な説は運 動プロ グラ ム説 (e.
g.
,
Engel・
kamp & Zimmer,
1984>で ある.
運 動プ ロ グラム とは,
加 地
・
仲: 行為の ソー
ス・
モニ タ リン グ 163行 為を実 演す るの に必要な 知識であ り, 実 演に伴う感 覚
情 報や
,
行 為 文に関す る概 念 的 知 識とは区 別さ れ る.
こ の説に よ れ ば,
SPT 効 果に お いて は,
運 動プ ロ グラ ム の活 性 化が重要な役割を果た して い る と さ れ る
.
この 説の根 拠の
一
つ に,
Salts and Donncnwerth−
Nolan (1981) の研 究がある.
彼 らの実 験で は,
実 演 学 習は視 覚 干 渉 課 題よ りも運 動 干 渉 課 題に よ っ て阻 害さ れ,
視 覚イ メー
ジ学 習は 運動 干 渉 課題 よ り も視覚 干 渉 課題に よっ
て 阻 害さ れ る とい う結 果が得ら れて い る.
し か し最 近,
行 為を想 像 (イ メー
ジ) するだけで も実 演と同様の効 果が生 じ る とい う研究が あ ら わ れ た.
Kor −
Ini−
N〔〕uri 〔2000)は,
実際の行 為,
実 際の対 象 物,
行 為の イ メー
ジ,
対 象 物の イ メー
ジを体 系 的に操 作して実 験を 行っ た。
彼は四っ の SPT 条 件,
すなわ ち 実 際の行 為・
実 際の対象物条 件 (実 際σ)対象 物 を 用い て実際に行 為 す る),
実 際の行 為・
対 象 物の イメー
ジ条 件 (対 象 物の イ メー
ジ を川い て実 際に行 為 する,
以 下 同 様 ),
行 為の イ メー
ジ・
実際の対 象物条 件, 行為の イ メー
ジ・
対 象物 の イメー
ジ条件を設け,VT
条件と比較し た.
その結果,
SPTs の 自由 再生 は全体 的に VTs よ り も高か っ た が,
四 つ のSPT
条 件 問に差は見られなかっ た.
少な くと も行 為 文の記 憶に果たす 役 割において は,
実 演に よっ て作ら れ た 記 憶 表 象 と想 像 す るこ とによっ
て作 ら れ た 記 憶 表象 に は違い が ない こ とに な る.
こ の こ と か ら,
Kormi−
Nouri (2000)は,
SPTs に お い て運 動に特 有な プ ロ グラ ム を仮 定 する ことを否 定して い る.
ま た,
研 究の 目的は異な る が,
行為の 実演に よっ て作 ら れ た記 憶 表 象と,
想像によっ
て作ら れ た記 憶 表 象の区 別が困 難で あることを 示 した研 究 もあ る.
例えばGoff
and Roediger (1998)は,
行 為 を実 演 する ところを 繰り 返 し想 像す る と,
同 数の増 加に伴い,
学 習 時には実 演 し な かっ た行 為文を’
実演しだ゜
と誤っ て判 断 する率が高 くな る こ と を示 した.
彼 ら の実 験で は,
セ ッ シ ョ ン 1 (学習フ.
z一
ズ)に おいて, 参 加者は行為文を聞く か, 実 演す る か,
想像す る よ う求め ら れ た.
セ ッ シ ョ ン 2 (想 像フx一
ズ)で は,
参 加 者は行 為 文に対応する行 為を 0,
1,
3,
または 5回 想 像 した.
想 像 した行 為には,
セ ッ シ ョ ン 1で果 示 さ れ た行 為 文だ けで な く,
新しい行為 文も 含 ま れて いた.
セ ッ シ ョ ン3
(テ ス ト・
フェー
ズ)で は,
デ ィ ス ト ラ ク ター
項 目を含め た行 為 文が 呈示さ れ,
参 加 者は セッ シ ョ ン 1に そ れ が ts あっ た”
か ど うか判 断 する よ う求め ら れ た.
ま た,
“
あっ た”
と 回答し た場 合に は, そ れ を聞い た だ け なの か,
想像し たのか,
実 演し たのか を答え る よ う求め られ た.
その結 果,
セ ッ シ ョ ン 2にお い て行 為を想 像 した回 数が多い ほ ど,
参 加 者は,
セ ツ シ ョ ン1
で実 演 して いない項 日を誤っ
て実 演し た と答 え る こと が多かっ た,
こ の結 果は,
行 為を想 像 する こと に よ り,
実 演と同 等の記憶表象が作ら れ うる こ と を示し て い る.
Thomas and Loftus (2002)も同 様のパ ラダイ ム を用
いた実 験 を行
っ
て いる,
こ の研 究は,
普通の行 為 (e.
g.
,
コ イ ンをは じ く)だ けで な く奇 異な(bizarre)行 為 (e.
g.
,
サ イコロ の上に座 る)であっ
て も, 想像を繰り返 す と, 実 演し な か っ た行 為を誤っ て“
実 演 し た”
と答え るエラ
ー
が増え る こ とを 示し た.
さ らに Thomas and Bule−
vich (
2003
)は, 行為だ けで な く知覚 的情 報につ いて も 想像す る よ う教 示し た (e.
g.
カエ ル にキスを す る ところ を想 像する場 合,
カエ ル の色や,
唇とカエ ルが接 触した 感 触 を も想 像 する),
そ の結 果,
実 際に は実 演しな か っ た 奇異 な 行 為 も知覚 的に精緻 化 さ れ,
“
実 演 し た”
と誤 っ て 判 断さ れ ること を示し た.
こ うし た近 年の研 究は,
実 演に よっ て作 られた行 為の 表象と想像に よ っ て作ら れ た行為の表象が類似し て い る こと,
条件によっ て は区 別がっ か な く な るこ と を示 峻 し て い る.
しか し直感的に は,
少な く と も表 象が作ら れ た 直後に おいて は,
実 際に行なっ た行 為 と想 像し た行 為 と では,
異な る記 憶 表 象が作ら れ る よ うに思わ れ る.
実 際,
ソー
ス・
モ ニ タ1丿ン グ (Source
Monitoring
:SM
)〔e.
g.
,
Johnson,
Hashtroudi,
& Lindsay,
1993)の枠 組みによれ ば
,
実 際の 出来 事の 記憶と想 像さ れ た出 来 事の 記憶で は,
記憶 表 象に含ま れ る情 報の種 類は異な ると考え られ てい る.
そ う だ と す れ ば,
実演し た行為の 記憶と想像し た行 為の 記 憶におい て も,
そ の記 憶 特 性は異なるだろ う.
本 研 究で は,
行 為 を想 像 するこ と に よっ て,
実 演し た場 合と同じ記 憶 表 象が形 成さ れ るのかにっ いて,
SM
3) 内 的SM は リア リテ ィ・
モ ニ タ リング (reality monitoring :RM
〕と 呼 ばれ る こ と も ある.
RM
は 内 的ソー
ス と外 的ソー
スを区別 す る 活 動 を指し,
何を内 的ある い は外 的と するかに よ っ て異な っ た 二 っ の定 義が口峭 旨と なる用 語で ある. 一
つ は,
自 己 を内 的とし, 自己 以外を外的とす る定 義で あ る.
こ の 定 義に従 え ば,
あ る 事象を 自 分 が 言っ たα)か,
他 者か ら聞いたのかにっ い て の弁 別が,
RM に あ た る.
もう一
っ は,
カバー
ト(covert )な活 動を内 的と し, オ バー
ト(overt )な活 動を外的とする定 義で あ る.
こ の定義に従え ば,
あ る事象を自分が 言っ たのか,
単に想 像 し た だ け なの かにつ い て の 弁 別 がRM
にあた る.
こ の場 合は,
起 源 が 自己に 由 来す る 記憶同士を弁 別 する活 動とい う点で,
内 的SM
の 定 義と重な る.
し た が っ て本研 究で は,
2種 類の定 義が可 能なRM で は な く,
定 義が より 厳密な内 的SM とい う用 語を用い た.
164 基 礎 心理学 研 究 第24巻 第 2号
課 題 を実 施 し
,
直 後 比 較 することによっ て検 討 する.
SM
と は,
記 憶の情 報 源 (source 〕を弁 別す る活 動で あ る.
実験
1
で は, 行 為を1
度だ け実 演ま た は想 像 し た場合
,
“
実 演し た か”“
想 像 した か”
とい う内 的SM3
}(inter
−
nal source monitoring ;Johnson
et aL,
1993)に混 乱が見られるか どうか を検 討 する
.
内 的SM
とは, 起 源が自 己に由来す る 記憶 同士を弁別す る活 動で あ る.
行 為文を“
実 演し た か”“
想 像し た か”
にっ いて の判 断は,
自 己に 由 来 する記 憶の弁 別 活 動で ある の で,
本 研 究で も内 的 SM と い う 用語 を用 いる.
本 研 究で はSM
課 題に先 立っ て再認課 題を用い る が, 実演条件と想像条 件とで再 認成 績に差が なく,
し か もSM 成 績に も差が な け れ ば,
Kor−
mi
−
Nouri (2000)や Goff and Roediger (1998)か ら示唆さ れ るとお り
,
想 像 するだけで も実 演と同 等の 表 象が作ら れて いる 可 能 性 が高い と 言 え る だ ろ う
.
実 験2で は
,
実 演に よっ
て作 られる表 象と想 像によっ
て作 ら れる表 象との違いをさ らに検 討 するために
,
外 的 SM (external source monitoring ;Johnson
et aL l993)を用い る
,
これ は起 源が自己 以外の外 部に由 来 する記 憶 同 士を弁 別する活 動の ことである.
例え ば,
ある単語を 話 者A
か ら聞いたのか,
話 者B
から聞いたのかにっ い て の弁 別 活 動が,
外的SM
にあ た る.
実 験2
で は行為文 を男声 あ るい は女声で呈示 し,
ど ち らの 声で聞い たの か につ い て の外 的SM 課 題を実 施 する.
内 的SM (実 験 1) と外 的SM (実 験2)とい う2種 類の SM 課題を実 施し,
直後比較す るこ とによ り, 実演によっ て生 じ る記 憶 表 象 と想像に よっ て生じ る記憶表 象との違いを明ら かにする こと が,
本 研 究の日 的で ある,
実
験1
方法 実 験 計 画 学 習 条 件 (実 演/想 像/音 読 )を被 験 者 内 要 因とする 1要 因 計 画と した.
参加者 大学 生24
名 (男 性12
名, 女 性12
名, 平 均 年齢 19.
3 歳 範囲 18〜
27 歳)であっ
た.
材 料 対 象 物を必 要とせずに身 体 部 位の み で実 演 する こ とができる行 為 文 を80
項 目作 成し た(Appendix
).
行 為 文作成にあ たっ て,Cohen
(1981〕,
Earles
andKer・
sten (2002
),
Goff
andRoediger
(1998
),
金 敷 (2000
)を参 考に し た
,
80 項 目の うち,
18 項 目ずっ ラ ンダムに振 り分けた四っ の セ ッ ト (計72
項目)を本試行用と し,実 演 項 冂,
想像項 日,
音読 項 目, テ ス ト時の ディ ス トラク ター
(NEW 〕項 目に割 り当て た.
行 為 文セ ッ ト の割り当 て は被 験 者 間で カ ウ ン ター
バ ラン ス した.
残りの8
項 目 (学 習 項 目6項 目,
デ ィ ス ト ラク ター
項目2
項 目) を練 習 試 行 用 と し,
これは被 験 者 間で同 じであっ た.
学 習 時。 テス ト時と も,
IBM
社 製の ノー
ト型パー
ソ ナル コ ン ピュー
タの 液 晶デ ィ ス プレイ 上 に刺 激を 呈示し た,
手 続 き 実 験は個 別に行っ た.
学 習 段 階の手 続 き カバー
タス ク として“
日常 性 評 定 課題”
を作 成し, 偶発学習課題と し た.
日常性評 定課 題 と は,
呈示さ れ る行為 文に関 して,
その行為を自分が 日 常 的によ く行 うか ど うかにっ いて 5段 階で評 定 する課 題で ある.
参 加 者へ の教 示は,
“
こ れか ら呈 示 する行 為 文 につ い てそ れ が どの程 度日常的であ る か評 定して も らい ます.
た だ し, 呈示 文の後に 窶 演して下さい’
,
‘
想 像 して下さ い’
,
‘
声に出して下さ い’
の う ちいずれかの文 が呈示さ れ ますか ら, ま ず は, そ の文の指示に従っ て下 さい.
すな わ ち,
実 演 して下さい’
とい う指示文が呈示 さ れ た ら その行 為を実 演し,
‘
想像 して下さい’
の場 合は 自分 がそ の行 為 を実 演 する ところを想 像 し,
‘
声に出 し て下さい’
の場 合は行 為 文 を 声に出して 音読して くださ い.
その 後, 円常 性の評定を行っ
て下さい.
”
と教 示 し た.
各 試 行の流れ は以 下の ような もの で あ る.
まず 行 為 文 を3
秒 間 視 覚 呈 示 し た後で,
実 演,
想 像,
音 読いずれ か の学 習条 件を3 秒間呈示す る.
参加者は学習条件が 呈示 さ れ る,
この 3秒 間で,
行 為 文を実 演,
想 像,
あるい は 音 読した.
最 後に,
5秒 間で 日常 性 評 定 課 題 を行い,
こ れ を 1試 行と し た.
行為 文,
学習条 件,
日常性 評定課題 闇の間 隔は そ れ ぞ れ1
秒と し た,
試 行 数は実 演 条 件,
想 像 条 件,
音 読 条 件そ れ ぞ れ 18試 行,
計 54試 行であ る が,
呈示順序は 3同 以 巳同じ学習条件の試行が続かな い とい う制 約の も とで ラ ンダム 順 と し た.
学習段 階の手続き を参加者に正 し く琿解して も ら う た めに,
本 試 行に先立っ
て練 習 試 行を 6試 行 行っ
た.
練 習 試 行で用いた行 為 文は,
本 試 行やテ ス ト試 行と は別の も のを 用いた (Appendix
).
テス ト段 階の手 続 き テス ト段 階で は学 習 段 階で用い た 54 項 目に新 し く18項1
…
1
の デ ィ ス ト ラ ク ター
を加え た計72項 目を 用い た,
こ れ らの項 目を,
「司じ学 習 条 件 の項 円が3
回 以 上 続か ない とい う制 約の も と に ラン ダ ム順で呈示し た、
な お,
呈示 順 序は参 加 者 間で固 定し た,
テス ト課 題は冉 認 判 断,SM
判 断,
確 信 度 判 断か ら な る,
ま ず行 為 文を 1文 ずっ 3秒 間 呈 示 し,
そ の項 目にっ いて学習 段 階で“
見 たts か”
見な かっ た”
かにつ いて の 再認判 断を して も らい,
“見 た” と答え た場 合は,
その項 目を実 演した のか,
想 像した の か,
音 読した のかにっ い てのSM
判 断 を 行っ てもらっ た.
その後,
その判 断に対 す る確信度 (4
件法 )を 同答して も らっ た.
確信度は“
見加 地
・
仲:行為の ソー
ス・
モ ニ タ リング 165 な か っ た”
と判断し た場合は その判 断に対 する確 信 度を 同 答して も らい,
‘
‘
見たn と判 断 した場 合は どの条 件で見 た のか とい う判 断に対する確 信 度を回答して もらっ た。
回 答はA4
判の回 答用紙に 記入して も らっ た,
回答 時間 は 自 由であっ た.
テス ト段 階の 手 続 きを参 加 者に正 し く理 解 しても ら う た めに,
本 試 行に先 立っ て 8項 目にっ い て 練 習 試 行 を 行っ た.
練習 試行で は, 学 習 段 階で の練 習 試 行で用い た6
項 目に2
項 目加え た8
項 目 (本 試 行と は別の項 目)を 用い た (Appendix )。
学 習 段 階 終 了 後か らテ ス ト本 試 行 まで の時 間は8
分であっ た.
こ の8
分の 間に, 被験者は テス ト段 階に お け る練 習試行を し た.
実 験終 了 後,
参加者に カバー
タス ク の目 的な どにっ い て説 明し,
デ ブリー
フ ィ ング を行っ た,
結 果 再認課題とSM
課 題の成績をTable
l
に示 した.
再認成 績HIT
数にっ い て 1要 囚 分 散 分 析 (以 下,
実 験 1で は単に“
分 散 分 析”
とす る)を行な っ た結果,
学 習 条 件に有 意な効 果が見ら れ た 〔F
〔2,46
)=3.
32,
p
く,
05
).
Tukey
のHSD
検 定によ る多 重 比 較 (以下,
単に“
多重 比較”
とする)を行なっ
た ところ,
実 演 条 件 が音 読 条 件 より高い傾 向が あ っ た(p
く.
06).
他の条 件 間に有 意な差 は見られな かっ た,
FA (False Alarm )数 につ い て も分 散分 析を行っ た が, 学 習条件に有意 な効 果は見ら れ な かっ た (F〔2,
46);
1.
8Ln.
s.
).
SM 成 績 どの条 件で学 習したか を 正 しく判 断で きた 項 囗の数 を正 答 数 と し,
分 散 分 析 を行っ た.
その結果,
学 習 条 件の効 果 が向意 で あっ た (F
(2,46
)d50.
65,
ρ<,
01
).
多重 比較の結 果,
実 演 条 件と想 像 条 件が音 読 条 件 よ り有 意に高かっ た (そ れ ぞ れ,p
く、
01;p
く.
01).
また,
ある条 件で学 習し た もの を誤っ て別の条 件で学 習し た と判 断し た項 目の数 を 誤帰 属 数 と した.
例え ば,
想 像 条 件で学 習し た項目 を 誤 っ て実演 条 件で学 習し た と 判 断した場 合は, 実 演 条 件の 誤 帰 属 数に 1を カウ ン トす る.
誤帰 属 数にっ い て分 散 分 析を行っ た とこ ろ,
学 習 条 件の効 果が有 意で あっ た (F{2,
46)=
148.
81,
p
く.
01
),
多 重 比 較の結 果,
想像条件が実演条件, 音 読条件より有 意 に高かっ た (そ れ ぞ れ,
p
<,
Ol;p
<.
Ol).
確 信 度は 1〜
4 の 4件 法で数 値が高い ほど 回答に対 す る確 信が強い こ と を示 す.
SM 課 題で正 答 し た項 目にお け る確 信 度につ い て,
分 散 分 析を行っ
た ところ,
学 習 条 件の効果が有意であっ た (F
(2,
46};
40.
39,
p
<,
01),
多 重 比較の結 果,
実 演 条 件の確 信 度は想 像 条 件,
音 読 条 件 よ り有 意に高く(それぞ れ,
p
〈.
Ol
;p
<.
Ol
), 想像条件の 確 信 度は音 読条件よ り も有意に高かっ た (p
<.
05
).
つ ま り,
実 演条 件は SM がiE
確で,
他の条 件から の誤 帰 属が少なく,
確 信 度 が 高い.
これに対 し,
想 像 条 件で はSM
は正 確 だが他の 条 件か らの誤帰属が多く,
確信度 が実演条件よ り低い.
ま た,
音 読 条 件で はSM
は不IE確 だ が他の条 件か らの誤 帰 属は少な く,
確 信 度が最 も低 い.
な お,SM
に お け る誤 答の分 布を学習条 件を行に と り,
回答 を列に とっ て検 討し た (Table 2).
対 角のセ ル が 正 答 を 表 し,
対 角以外の セ ルが誤 答を示す.
そ の結 果,
実 演し た項 目を“
想 像し た”
と答え る誤 帰 属 数 (26
)の方 が,
想 像 し た項目を“
実 演 した”
と答 え る 誤 帰 属 数 よ り も多か っ た,
また,
音 読で学 習し た項 目を“
想 像し た”
と答え る誤 帰 属 数は245
だ が,
想 像で学 習 し た項 目を”
音 読 し た”
と答える誤 帰 属 数は 34 で あっ た.
誤帰 属の パ ター
ンは非 対 称だ と言え る だ ろ う.
考 察 実 験1
の 目的は,
実 演と想 像に違いが あるどうか を内 Tab!e lMeans
for
Recognition
andSource
Monitoring tests in Experimentl
Study
conditionTest
Enact Imagine Vocalize
Recognition test 田 T*L
FASource
monitoring testCorrect
response *lMisattribution
errorConfidence
for correct response *270701 16
、
40.
639【
017(
Ul 正5.
91L43
ユ 207016.
61
.
62.
8
*1:
The
score rangesfrom
O
to18,
*2166 基 礎 心 理 学 研 究 第 24巻 第
2
;)一
的SM 課題に よ り検 討する ことであっ た.
ま ず,
再 認 成 績につ いて,
次にSM
成 績につ い て考 察 する.
手騙忍課 題で は音読 条 件より も実 演 条 件に おい てHIT
数が高い傾 向が あり,SPT
効果の 傾 向が 見ら れた.一
方,
実 演 条 件と想 像 条 件のHIT
数には有意 な 差 は 見 ら れ ず,
FA 数に も学 習 条 件 間の差は なかっ た.
HIT 数に つ い ては,
Kormi −Nouri
(2000
)が 再 生 課 題で得た結 果 と同 様であっ た と も言え る.
し か し,
全 体に有 意な差 が 見られに くかっ
た の は,
どの条 件におい て も再認 成績が 高く,
天 井 効 果が生じ て い た ためで ある・∫能 性は否め な い.
実際に差 が ない の か,
検 出で きな か っ ただ けなのか,
今 後 確 認してい く必 要が あ る.
SM
課 題で は,
実 演 条 件と想 像 条 件の 正答数は音読条 件よ り も多か っ た が, 実 演条 件と想 像 条 件に は差が な かっ た.
実 演し た もの は“
実演”
に,
想 像 し たもの は“
lcu
.
像”
に,
同 程 度に正 しく帰 属が行わ れ たこ とにな る.
た だ し 誤帰 属 数は,
実 演 条 件,
音 読 条 件よ りも想 像 条 件の 方が有意に多か っ た.
特にTabie
2で検 討 したよ うに,
想 像が“
実 演”
に誤帰 属さ れ る ケー
スよ り も,
実 演が“
想 像”
に誤 帰 属 されることの方が多かっ た (そ れ ぞ れ6
と26
).
ま た,
想 像が“
音読η
に誤帰 属さ れ る ケー
ス よ り も,
音読が“
想像”
に誤帰 属さ れ るこ との方が多か っ た (それ ぞ れ 34 と245).
こ の非対 称な誤 帰 属の結 果は,
実 演 条 件や音 読 条 件に おい て,
活 動に固有の要素 (例えば実 演で は実 演に固 角.
の運 動 出 力 要 素,
音読で は音読に固 有の 言語 出 力 要 素 ) と イメー
ジ要 素の両 方が作 ら れるが,
想 像 条 件で は イ メー
ジ要素しか作 られなかっ た ために生 じ た と考え るこ と がで きる.
実 演 し た ものや音 読した もの は イ メー
ジ要 素 を 含 むた めに“
IH
像)
)
に誤 帰 属さ れ ること が多いが, 想像 し た もの に は イ メー
ジ要 素し か含ま れ ない ため に,
実 演や音 読に は誤帰 属さ れ に くか っ た の で は な いか.
SPT 課題の枠 組みで考え れ ば,
実 演に固 有の記 憶 属 性 こ そ が,
運 動プ ロ グラム に よ っ て形 成さ れ るSPT
特 有 の 表 象なのだ と推 察さ れ る,
ま た, 音読した項 目が想像し た もの と して誤 帰 属さ れ る割 合が特に高かっ
た 〔Table
2
)が,
これ は反 応バ イ ア ス の ためで ある と考え ら れる,
っ ま り,
音読 した場合に は実 演した場 合ほ ど“
E
]ら行っ た もの”
と して記 憶 痕 跡 が強 く形 成さ れ ない ため,
“
自 分が行っ た か らに は覚え て い る はずだ が,
自分が行っ た覚え は ないの で,
これは きっ と想 像し た だ けに違いない”
といっ
たバ イァ スが生 じ たと考え ら れる.
こ のバ イア スの ために,
音 読し た項 目が想像し た もの と して誤 帰 属さ れ る割 合が高か っ たの だろ う.
実 演し た場合には “fi
ら行っ たもa)”
として記 憶 痕 跡が強 く形 成される ために,
このよ う なバ イアスが 生 じな か っ たの であろう,SM
課 題におい て,
親 近 性の 高いNEW
項 []は 目 分 以外の 外 的ソー
ス に帰 属さ れ やすいとい う
“
lt had tobe
you”
(1’
d
rememberif
it
wereIne
”
} effect が生 じる と考 え ら れ て い る(Johnson
&Raye ,1981
}.
本研究におい て も,
これ と同 様の効 果が 生 じ た と言’
え る だ ろ う.
本研 究に お け る音 読 項 目は親 近 性 の高い NEW 項 目で はないが,
臼 分が行っ た覚え は ない け れ どOLD
反 応 し やすい項 目とい う点で は共 通して い る.
ま た,
想 像 項 目は外 的ソー
ス で は ない が,
自分が実 際に行っ た こと 以外の対 象とい う 点で は共通 して いる.
し たがっ て,
音 読 した項 目が想 像した もの と して誤帰属 さ れ る割合が特に高か っ たα)は,
“
It had to be you”
effect と同 様の 反応バ イア ス が生じた た め で あ ると考え られる,
な お, SM に関 する確 信 度は実 演 条 件の方が 想像 条 件よ り も高か っ た
.
Conway
andDewhurst
(1995)は記 憶の想 起意識に注 目し
,
想像条 件よ り実 演 条 件の方 が あり ありと思い出せ る 〔remember )こと を示 した が, 本 研究 で も同 様の結 果とな っ た.
実 演に固 有の記 憶 属 性が あ る こと が,
実 債 条件にお け るSM
の確 信を高め たと考え ら れる.
以上,
実 験 1で は“
実 演か,
想 像か,
音読か”
を弁別Tablc
2Results
from
Sourg
.
c Monitoring test for each item typeSource Monitoring
Item
typeEnact Imagine
Vocalize
NewEnactImagine
Vocalize
New 墨6
7 1 26 鐡245
3 54qV り QFD l071020
塑Note.
Each
number represents the sum of responsesfrom
all participants.
加 地
・
仲:行 為の ソー
ス・
モ ニ タ リング 167 さ せ るSM 課 題を行っ た.
そ して その結 果か ら, 実 演 条 件で は イメー
ジ要素に加えて実演に固 有の要素が作 ら れ る た めに,
他の学習条件か ら’
実 演”
へ と誤 帰 属される こと は少 な く,
確 信 度 も高い のだ と考え た.
で は,
同じ SM で も,
実 演に直 接 含ま れ ない情報,
例え ば 文脈 情 報 間のSM
は 実 演に よっ
て促 進 さ れるのだろ う か.
実 験 2 では材 料の旱示 音 声のSM
を,
実 演 条 件と想 像 条 件とで 比 較 し,
実 験 1の結 果が文 脈 情 報に まで拡張で き る か ど うか を検討する.
Koriat,
Ben−
Zur,
&Druch
(1991
)は,
行為の実演に よ
っ
て項 目そ れ自 体の記 憶は促 進さ れ る が,
地 理的 文 脈 (どの部 屋で項 目を学 習し た か)の記憶 は促 進さ れ ない こ とを示し た.
し か し,
彼らの結果の解 釈 としては二っ の可 能 性が考え ら れる..
.
一
っ は,
実演に 注 意 資 源を奪わ れ た た め,
文 脈 情 報に まで資 源 を 配 分 す ること がで きな か っ た可 能 性で ある.
二っ め は,
実 演に よ っ て運動プ ロ グ ラ ム は活 性 化 す る が,
それ 以 外の情 報 は活性化し ない可能性で あ る.
こ の二っ の可 能 性の ど ち ら が妥 当で あるかは,
文脈 情 報へ の注 意を統 制 する こ と に よ っ て決 定 する ことが で きるだ ろ う.
そ こで,
実 験2 では材料の 呈示音声 (女 性の声で呈示する か男性の声で 呈 示 す る か ) を操 作してSM
課題 を実 施する.
参 加 者が 実 演する の は材 料が呈 示さ れた後で あるため,
注 意 資 源 が実 演に奪わ れて 文 脈 情 報に配 分されない とい うこ とは な くな る.
外的ソー
ス と しては,
刺激 材.
料の色 を区 別さ せ る な ど も考え られ る が,
こ こ で は動 作に伴 う外 的ソー
ス と して 自然である の は音 声だ と考え,
音 声 を用い た.
実
験2
方 法 実験 計 画 学 習 条 件 (実 演 /想 像 /復 唱 ) を被 験 者 間 要 囚とする 1要 因 計 画と した.
参 加 者 大学生36
名 (男 性18
名, 女 性18
名,
平 均 年齢19.
8
歳,
範 囲18〜25
歳 )で あ一
⊃た.
こ の 36名を 12名 (男 性6名,
女 性 6名 )ずつ,
3つ の 学習条 件に振 り分けた,
材 料 実 験1
で使用 し た もの と1
司じ行 為 文72 項 目 を,24
項 目 ずっ ラ ン ダム に振 り分 けて3
っ のセ ッ トを 作 成し た.
そ の 3つ の行 為 文セ ッ トを,
男 性の声で読み 上 げる項冖,
女 性の声で読み ヒげ る 項 目,
テ ス ト時の デ ィ ス トラク ター
(NEW
>項 目に割 り当て た.
行 為 文 セ ッ トの割 り当て は被 験 者 間で カ ウ ン ター
バ ラ ン ス し た.
学 習 段 階で は,
カ セ ッ ト テー
プ レコー
ダー
で 行為文 を 呈 示 し た.
呈 示 用の 行為文は,24
項目を.
男 性 (23
歳 ・大 学 院 生 ) の声で,
24 項 目を女 性 (26歳・
大 学 院 生)の声で録 音し た.
テ ス ト段 階で は,
IBM 社製の ノー
ト型パー
ソ ナ ル コ ンピュー
タの液 晶デ ィ ス プ レイに行 為 文を 呈示 し た.
手 続 き 実 験は個 別に行っ た.
学習段階の手 続き 実験1
と同様に偶発学習 課 題と し,
カバー
タス クと してtt
日常 性 評 定 課題”
を用いた.
実 験 1と異な り,
学 習 条 件を被 験 者 間 要 因とし た.
1 試 行は次の よ う な流れ であっ た.
まず 行 為 文が約3
秒 間 呈 示 さ れ る.
次の3
秒 間で,
参 加 者 は学 習条件に応 じ て,
行 為 文を実 演 する か,
想 像 するか,
復 唱し,
最 後に5
秒 間で 日常 性 評 定 課 題を行なっ た.
行 為 文 (男 性の声 に よ る項目 24項 目,
女性の声に よ る項 目24 項目)は, 同じ声が31r
・1
以 上続か ない とい う制 約の も とで ラン ダ ムに呈示した.
行 為 文の学 習 (実 演/想 像/復 唱 )と日常 性 評 定 課 題 との間 隔,
目常 性 評 定 課 題 と次の行 為 文が呈 示さ れ る までの 間隔は,
そ れ ぞ れ1
秒で あっ た.
日常性 評定 課 題の開 始 時には,
テー
プ か ら実 験 者の 声で“
評 定 して下さい”
とい う合 図が流 れた.
実 験 1と同様,
本 試 行に先 立っ て 練習試 行を行っ た.
テス ト段 階の手続き テ ス ト段 階で は学 習 段 階で用い た48
項目にディス ト ラ クター24
項 目を加え た計 72項 日を用いた,
これら の項 目を参 加 者に, (学習時に)同じ 音声で呈 示 し た項 目は3
同 以上 続か ない とい う制 約の も とで,
ラ ンダム順で畢示し た.
被 験者間での呈示 順序 は固 定し た,
まず,
行 為 文を3秒 問 呈 示し,
学 習 段 階で”
聞いた”
か“
rrrfi
か な かっ た”
か 再 認 判 断 して も ら う.
“
聞 い た”
と答え た場 合は,
その項目 が 男女ど ち らの声で呈 示さ れ た か をSM
判 断して も らっ た.
その後,
その判 断 に対する確 信 度を (4件 法 )を回答 し て もらっ た.
“
聞か なかっ た”
と判 断し た場 合に は,
そ の判 断に対 する確 信 度 を回 答 して も らっ た.
回答は参 加者の ペー
ス で行い,
A4
判の回 答 用 紙に記 入 して も らっ た,
実 験 1と同 様,
本 試 行に先 立っ
て練 習 試 行を行っ
た.
学 習 段 階 終 了 後か らテ ス ト本 試 行 まで の時 間は8
分で あっ た.
こ の8
分の 聞に, 被 験 者はテ ス ト段 階にお け る練 習 試 行を し た.
結果と考 察 再 認 課 題とSM 課 題の成 績をTable 3に示 す.
再 認 成 績HIT
数にっ いて1
要因分 散 分析を行っ た ところ (以.
ド,
単に’
‘
分 散分 析”
と す る ),
学 習 条 件の効 果は有意で な かっ
た(F(2,
33)=,
10,
n.
s.
〕.
FA 数にっ い て も分 散 分 析を行っ た が,
学 習 条 件の効 果は有 意で な か一
・た{F(2、
33
)=.
57,
n.
s.
),
SM
成績 男 女ど ち らの声で 聞い た か 正 しく判 断し た 項 卩の数を 正答 数と し,
分 散 分 析を行っ た.
そ の結 果,
学 習 条 件の効 果は有 意で な か っ た {F(2,
33}=、
78.
n.
s.
〕.
し か し,
確 信 度にっ いて分散 分析を行っ た結果, 学習条168 基礎心 理学 研 究 第 24巻 第 2号 件の 効 果が有意で あっ た (F(2
,
33)=
5.
19,
p
<、
05).
多 重 比較を行っ た ところ, 想像条件が実演条 件よ り も有意に 高かっ た (p<,
Ol).
つ ま り,
SM 正答数に は差が な く,
確 信度は想像条件が 実 演 条 件よ り も高かっ た.
以上,HIT
数とFA
数に も,
SM
課 題の正 答 数に も学 習 条 件 問の違い は な く,
確 信 度 は は む し ろ 想 像 条 件の方 が実 演 条 件より も高い こと が示さ れ た.
確 信 度は実 験 1 では実 演 条 件が想 像 条 件を上 回っ たが,
実 験 2で は逆に 想像 条件が実演条件を上回っ た.
実 験 1に おけ る実 演 条 件で の確 信 度は,
”
実 演 し た もの”
を”
実演し た”
と認識 で きた場 合の確 信 度で ある.
また,
想像 条 件での確信 度 は,
”
想 像した もの”
を“
想 像 した”
と認 識で きた場 合の 確信度であっ た.
その ため,
実 験1
で は,
すで に考 察 し た ように,
活 動に固 有で痕跡の強い 要素と イメー
ジ要素 に基づ く確 信 度 (実 演 条 件)のh
が,
イメー
ジ要 素のみ に基づ く確 信 度 (想 像 条 件 )よ り も値が高 くな っ た の で は ない か.
方, 実験2
にお け る確信度は, 実演条 件, 想 像 条 イ,1
と もに,
“
女声で聞い たもの”
を “ 女 声で聞い た”
,
“
男 声で聞い たもの”
を“
男 声で聞いた”
という確 信度で あっ た.
女 声,
男 声の違い は活 動 を 行 うlt
で直 接 用い ら れ ることの ない情 報だ と思 わ れ る.
実 演条 件で は 活 動に固 有な要 素が あるた めに,
記 憶 表 象に 占め る女 声,
男 声に関 する要 素の 割 合が相 対 的に低 くなっ たのか も し れ ない.
その結果,
む し ろ想像条件におい て,
女 声,
男 声に対する確 信度が相 対的に高くなっ たのだ と考え る こ と がで きる,
実 験 1で見ら れ た,
実 演 条 件で は誤帰 属 が少ない とい う結 果 (いわば,
内 的SM
にお ける実 演 条 件の優位性)は,
文 脈情報の外 的SM
に関して は拡 張で き な かっ た,
ま た,
実 験 1で見ら れ た,
音読条 件よ り も 実 演 条 件におい て HIT 数が高い とい う傾 向は,
実 験 2 で は見られ な かっ た,
これは実 演と音 読 (復 唱 )が被 験 者 間 要 因か (実 験 1), 被験者 内要囚か (実験 2)と い う 手 続きの違い に よ るもの か もしれな い.
実 験 1で は,
参 加 者は行 為 文が呈 示さ れ る ま で,
どの条 件で学 習 するか の指 示を与え ら れ な か っ た.
学習条件の 指示はランダム に 与えられる の で,
特 定の方 略を準 備し,
用い ること は 困 難で あっ ただ ろう.
実 演に よ る符 合 化は非 方 略 的ある い は自動的に なさ れる (Cohen,
1983)た め に注 意 資源を あ ま り必要と し ないが,
音読によ る符号 化は注 意資源 を 必 要とする.
したがっ て,
注 意 資 源を配分で き ない実 験 1で は,
HIT 数につ い て実 演 条 件が音 読 条 件をE
回る傾 向が 見 ら れ たのだ と考え ること が で き る,
これに対 し実 験 2で は,
参 加者は一
貫して実 演 か 想 像 か 復 唱 を 求め ら れた,
復 唱 群で は課 題を繰 り返 す うちに,
より効 果 的な 方 略 が 工 夫され,
効 率 的 な 記 銘 (実 演 条 件と同程 度の記 銘)が口∫能と なっ たの で は ない か.
その た め, 実 演条件 と復 唱 条 件のHIT
数に 差 が 見 ら れ な かっ
た と考え ら れ る,
そ の た め,
実 験 1で は実 演 効 果の傾 向が見ら れ,
実 験2
では見ら れ な か っ たのだろ う.
再 認に限らず,
今 後 は手 続き を よ り統一
して内 的SM
と外 的SM
につ い て も相 対 的に検 討す る 必要が あ る だ ろ う.
全 体 的 考 察 本 研究の 目的は,2
種 類のSM
課 題を用い るこ とに よ り,
実 演によっ て生 じ る記 憶 表 象と想 像によっ て生じ る 記憶 表 象の違いを明らか にする ことで あっ た,
実 験1
で は内的SM
課題 を用いて実演条件, 想像条 件 で の記 憶表象の違い を検討し た.
その結 果,
実 演 条 件で は誤 帰 属が少なくSM の確 信 度 も高い こと か ら,
実 演に 特 有の 要 素が形 成されたの だろ うと考 察し た.
こ の結 果 は,
想像し た行 為が実 演さ れ た もの と して想 起さ れ う ること を示し た
Goff
andRoediger
(1998
),
Thomas
andLoftus(2002〕
,
およびThonlas and Bulevich (2003)の結果と は異な っ て い る
.
本研究と Goff らをは じ め と す
Table
3
Means
for
Recognition andSource
Monitoring
testsjn
Expcrimcnts
2Study
cc〕nditionText
Enact
Irnagine
Vocalize
Recognition
test
HIT
*1 FASourceMonitoring test
Correct
response number * ]Con
且dence for correct response *z02704 58412 9 妬
。
6525a
003ρ
004O1722
*1:The score ranges
from
O
to48.
*2加 地
・
仲:行為の ソー
ス・
モ ニ タ リング169
る 三つ の研究で は,
行為 文を想像さ せ る点は同じ だ が,
想像さ せ る回 数と保 持 期 問と が異なっ て い る.
三つ の 先 行 研 究で は,
最 大5
回ま で想 像 を 行い,
保持 期間はいず れ も2週 間で あっ た.
先行研究では実演条件と 想像 条 件 の 学習直後の 比較は行っ
て いない.
し か し本 研 究の結 果 か ら は,
少な くとも学 習し た時 点では,
実 演 条 件 と想 像 条 件で は特 性の異な る表象が作ら れ る と 言 え る だ ろ う.
先 行研究の よ う に保 持 期 間を あ け る と,
実 演 表 象 もイ メー
ジ表象も痕跡が薄れて くる.
そ の上で ど ち ら の表 象 に対 して もイ メー
ジ処理 を繰り返 すの で,
弁 別が 困 難に なるのか も しれ ない,
Hornstein
and Mulligan (2004)は学 習 条 件と してSPTs
と実 験 者 実 演 課 題 (Experimenter−Performed
Tasks
:EPTs )を設 け,
行 為 文 を実 演 し たの は“
自分”
か“
実 験者”
か とい うSM テス トを実 施し た,
そ して,
SM 正 答 率に はSPT
条 件とEPT
条 件で差が見 ら れ ない こ と,
NEW 項 目か ら の誤 帰 属は SPT 条 件の方がEPT
条 件よりも少 ない こと を示し た.
本研 究の実 験1
は, 彼ら の結 果と類 似 して い る.
Hornstein らは誤 帰 属の結 果 を,
FA が 外的ソー
ス に帰 属さ れ やすい と い う“
lt hadto be you
”
effect (Johnson
& Raye,1981
)の再 現で ある とした
.
“
あっ た”
判 断 して も,
実演の痕 跡が残っ て い な い記憶表象は“
自分”
以 外の ソー
ス (EPT )へ と帰 属 し や すい,
とい うこ とであろ う.
本 研 究の実 験 1につ い て は,
実 演に特 有の記 憶 痕 跡が あっ た か らこ そ, そ うい う 痕 跡 を 持たない他の 記憶表象か らの誤帰 属が少な かっ
た のか もしれ ない.
実 験2
で は,
実 演が材 料の呈 示 音 声のよ う な外 的 文 脈 の SM をも促 進 するか どう かを,
外 的SM
課 題によっ て 検 討し た.
その結 果,
文 脈情 報 問のSM
は実 演によっ
て は促 進さ れ ない こと が示さ れ た.
これは,
実 演に よっ て 地理的 文 脈の記 憶は促 進さ れ な い ことを示した Koriat et al,
(1991)と同 様の結 果で あ る.
彼らの研 究で は,
実 演に よっ て文脈の記憶が促進し な かっ た,
その理由と し て,
次の 二っ の解 釈が考え られ る.一
つ は,
実 演条 件で は実 演に注 意 資 源を奪 わ れ,
文 脈に まで注 意が行き渡ら な かっ たために,
文 脈の記 憶が促 進し な かっ た とい う解 釈で あ る,
二っ め は,
実 演に よっ
て行 為それ自体の記 憶 は促進さ れ る が, そ れ以 外の情 報は活 性 化 しない た め に,
文 脈の記 憶は促 進されな か っ た と いう解 釈で あ る.
本 研 究の参 加者は, 行為文を聞い てか ら そ れ ぞ れの学 習 を 行っ た.
本研究で異なる の は そ の後の学 習 処理 で あ り,
行 為 文¥示 時にお ける文脈へ の注 意 配 分は どの条 件 で も等しい と考 えること ができる.
し た が っ て,
実験2
の結 果は注 意配分で は な く,
行 為 実 演の特 性によっ て生 じた ものだ と.
考え るの が妥 当であ ろ う.
Koriat et a1.
(1991)に つ いて は可 能な二っ の解 釈の う ち,
本 研 究の結 果に よ り,一
っ を消 去 すること がで きた と言 えよ う.
まとめ る と,
SPTs で は実演 した行 為 そ れ 自体,
す な わ ち自己内情 報の記憶は促進 さ れ る が,
外 的 文脈,
いわ ば 自 己 外情報の記憶は促 進されに くい と言え る だ ろ う,
こ ういっ
た特 徴は実 演に働 く固 育の プ ロ セス の一
つ で あ り,
SPT
効 果 を 生 じさせ る要 因の一
端を担っ て いるの か も し れ ない.
で は, どの よ う な情 報が実 演に固 有の情 報な のだ ろ うか
,Daprati,
Nico,
Franc.
& Sirigu〔2003 )は,
自 己へ の気づ きに障 害が あ る と さ れ る統 合 失 調 症 患 者で は
SPT
効 果が損な わ れ る とい う結 果を得た
.
こ う した 結 果 から
,
彼ら は体 性 感 覚や 自 我 関 与 〔self−
involve皿 ent )な ど,
動 作 主 (agcnt )の み が 得ら れ る・
人 称 の 情 報 (first−
person information)が SPT 効果の 決 定 要 因だ と 主張して いる.
起源が自己に由来 する記 憶 同 ⊥ を 弁 別 す る内 的SM
課 題におい て実 演 条 件の成 績 が 高か っ たこ とか ら,
本 研 究で も実 演に よっ て一
人称の情 報が作 ら れ た と考え られ る.
ま た,
生成 効 果の研 究で は,
生 成は項 目それ自休の 記 憶を高めるが文 脈情 報の記憶は向上させ ない とい う項 目一
文 脈トレー
ドオフ仮 説が出さ れて い る (Jurica
&Shi−
mamura,
1999).
本研 究で も同 様の トレー
ド オフが生 じ てい るので,
実 演の効 果は生 成 効 果の.
種 だ と考え るこ と がで きるかもしれない.
そ う だ と す れ ば,SPTs
にお い て記憶されて い るの は“
行 為 文”
で は な く,
行 為 文か ら牛 成し た“
行為その もの”
で あるか もし れ ない.
SPTs におい て生 じる記 憶 特 性を明らか にす るた めに は,
そ も そ も記 憶されて い る の が“
行為文”
なの か“
行 為その も の”
なのか を,
明ら か に す る 必要が あ る だ ろ う.
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1,
25 受理一
Appendix
The action phrases used in Experiments
1 鼻をっ まむ 2 両手で双 眼鏡を作る 3 手の指を 広 げ る 4 足を組む