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㟢 概要 目次 1. はじめに Donaghy et al., ; Okuyama,

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多地域への影響を考慮した熊本地震の越境性測定と

復興のための金融措置

Financial measures for economic recovering after Kumamoto earthquake

in

2016 considering multiregional interactions

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概要  平成 28 年4月に生じた熊本地震を例に、自然災害が我が国の諸地域に及ぼす影 響について考察する。具体的には、多地域間産業連関表を用いて、同地域の地震に よる直接的な生産額の減少が、産業や地域を超えて間接的にどの程度の影響を与え るかを計測する。加えて、産業毎に発動された金融措置について考察する。 キーワード:地域間産業連関分析,サプライチェーン,自然災害,復旧予備費 目次  1.はじめに  2.研究手法  3.データ  4.分析結果  5.結論 1. はじめに  平成 28 年 4 月に生じた熊本地震は、心理的かつ物理的な被害を県民に与えた。問題の一 つとされる経済に関しては、任意の地域企業の部品供給の寸断(サプライチェーンの寸断) や、旅行業を中心とする第 3 次産業の低迷による、拠点地域経済の低下が予想されるばか りか、我が国の全体の経済にも間接的影響を及ぼす可能性が懸念される。  自然災害を受けての経済的な影響は短期的なものと長期的なものに分けられる(Donaghy et al., 2007; Okuyama, 2007)。短期的なものに関しては、製造業での工場ラインのストップ や農林水産物の収穫量の減少といった、経済活動を支える各産業の生産額の減少が挙げられ        神 㟢 稔 章 ・ 岡 本 隼 輔

多地域への影響を考慮した熊本地震の越境性測定

と復興のための金融措置

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る。各産業での生産活動が止まるということは、その産業の生産物を中間投入物として生産 活動を行っている他の産業での生産活動が滞ることに直結する(図 1)。熊本県での農林水 産物の生産額が減少するということは、その生産のために中間財として投入された熊本産の 苗や千葉産の化学肥料、神奈川産の農薬などが不必要となるため、それらの生産額も同様に 減少することになる。長期的なものとしては、例えば観光客の減少に伴う第 3 次産業での 生産額の減少などが挙げられる(Robinson et al., 2008; Tsai et al., 2011)。しかし長期的な影 響への対策も行いつつも、まずは自然災害により失った財・サービスの供給能力を復興させ ることが、当該地域で経済が循環していくために何よりも必要不可欠である。  生産ラインの停止や農林水産物の収穫量の減少の背景にある要因として、工場の倒壊や農 地周辺の液状化、物流を支える交通網等のインフラの破壊などが挙げられる。早急にこれら の被害に取り組むための一つの案として、財政政策を中心とする一連の金融措置を実施し各 経済主体の資本の回復を図ることが挙げられる(内閣府(2016)、日本銀行(2016))。しか しその際に、自然災害は局所的に発生した場合でも、経済活動の繋がりは局所的でないこと を念頭に置かなくてはならない。  帝国データバンク(帝国データバンク(2016))によれば、熊本県での特化係数の高い農 産品の域外への供給に問題が生じる可能性や、被災地に所在する企業の仕入先が全国で約 1 万 6 千社に及ぶ点などが指摘されており、熊本での経済停滞は県内地域に留まらずに全国 に波及していくと想定される。したがって、一つの製品を製造する際に発生するサプライ チェーンが、一つの地域に留まるわけではなく複数の地域や産業を繰り返し跨いで形成され る。この越境性を考慮することが重要である。地震の多発、風水害、等自然災害が多発する 環境は我が国ばかりか世界的に多くなりつつある。世界の高額付保損害額上位 10 位(1970 年∼ 2014 年、2014 年価格)1のうち、多くは米国を中心とするハリケーンや地震災害である。 中でも 2005 年 8 月 25 日に米国を中心として発生したハリケーンカトリーナによる損害額 は第 1 位(78638 百万ドル)とされている。加えて、10 件中 7 件が 2000 年代に発生してお り、うち 1 件が東日本大震災(第 2 位、36828 百万ドル)となっている。従って、熊本地震 について、国民の関心は高く,速報性という観点から地域間の被害の程度を可能な限り測定 する意味は大きい。  複数の地域や産業での経済的な繋がりを把握する分析手法の一つに、多地域間産業連関分 析が挙げられる(Turner et al., 2007; Wiedmann et al., 2014)。産業連関表は、例えば、オリン ピックを誘致する(すなわち当該産業にて最終需要が増加する)際に、直接間接的にどの産 業でどれだけ波及的に精算額の増加が現れるかを推計する場合などに用いられる。これは正

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の効用を計測する場合であるが、一方で負の効用(すなわち台風や地震などの自然災害によ る波及的な経済効果)を考慮する際にも用いられ発展してきた(Yamano et al., 2007; Steenge

et al, 2007)。今回の熊本地震での波及的な影響を計測する上で非常に有力な分析手法である。  以上を背景に本論文では、多地域間産業連関表を用いて、熊本地震による直接的な生産額 の減少が、産業や地域を超えて間接的にどれだけの影響を与えるかを計測する。また、産業 毎に発動された財政を中心とする金融上の措置についても言及する。 図 1. 複数の地域、産業を跨ぐサプライチェーンを通じた、生産額減少の連鎖イメージ 2. 研究手法 2.1 地域間産業連関表の構造  産業連関表は W. Leontief によって考案された、一定の地域・期間における経済の動きを マクロ体系的に捉えた表である(Leontief, 1941; Miller et al., 2009)。近年では、複数の地域 や国を対象とした産業連関表の整備が進められ、経済波及のスピルオーバー効果の計測や、

GHG排出責任評価のため各国におけるカーボンフットプリントの計測の分析、貿易を考慮

したサプライチェーンネットワークにおける分析などが盛んに行われている(Hoen et al, 2002; Kagawa et al., 2015; Kanemoto et al, 2012; Tokito et al., 2016)。以下では、産業連関表を 複数の地域に跨ぐように構築される多地域間産業連関表について述べる。  図 2 は本分析で用いる多地域産業連関表の構成を示している。ここで、 は地域 r の産 業 i から地域 s の産業 j への中間投入額、 は地域 r の産業 i に対する地域 s の最終需要額、 は地域 r の産業 i の輸出額、 は地域 s の産業 j の輸入額、 は地域 s の産業 j の粗付 加価値額、 は地域 s の産業 j の調整項、 は地域 r の産業 i 及び地域 s の産業 j の生 産額、n は産業部門の数、k は地域の数である。また、 は、各産業の生産の際 の、各産業からの中間財投入の割合を示す。

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図 2. 多地域間産業連関表の構造  産業連関表には、対象となる経済圏での 1 年間における産業間のフロー(金額ベース) が記載される。1 年間のフローが当該経済圏で完結しており、マクロ的な需要と供給が一致 する表となっている。 とすると、各産業への最終需要が 1 単位増加した場合に、直接間接的に他産業 で追加的に増加する値を計算するレオンチェフ逆行列は、以下の式で求められる。  ただし、I は単位行列である。レオンチェフ逆行列を用いることで、生産額が減少した場 合に満たせる最終需要がいくらなのか、あるいは最終需要が落ち込んだ時に減少する生産額 はいくらなのか、について直接間接的な効果を推計することができる。 2.2 供給制約型モデル  本論文では、熊本県での地震による県内生産額の減少を受けて、全国のどの地域、どの産 業が間接的に生産額の減少が生じたのかを推計するために、下田ら(2012)で述べられる 需要型モデルを用いる。震災が起こった熊本県の生産額を外生的に扱い、マクロ的な均衡式 は次の (1) 式で与えられる。  ここで、 は地域 r から地域 s への投入係数行列である。 は、地域 r の生産

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額ベクトル(列)、 は地域 r で作られた財・サービスに対する全国の最終需要 ベクトルである。ただし、地域 r (=k) を熊本県、r ( ≠ k) を熊本県以外の他県としている。(1) 式を用いて、熊本県を除く他県の均衡生産額を求めると、以下の (2) 式が得られる。  本論文では、震災が起こり熊本県で生産額の減少が生じた際の影響を考慮する。(2) 式に おける地域 k での生産額の変化によって生じる、他県での生産額の変化を考えると、(3) 式 が得られる。  (3) 式により、熊本県で発生した生産額の減少に起因して、全国のどの産業にどれだけの 生産額の減少が波及的に生じるかを計算することが出来る。本論文では、生産額の減少を産 業別に与えることで、例えば農林水産業や製造業などの業種ごとに経済波及効果を比較して いく。 2.3 相対的な越境減少率の推計  熊本県で発生した生産額の減少額が、どのように全国に波及していくかについては、生産 額の減少が生じる産業によって異なると考えられる。例えば、熊本県での農林水産業におけ る生産額の減少は、近郊の卸売・小売産業を通じて九州内各県の飲食店産業における生産額 の減少を招きうる。一方で、自動車部品を製造する産業の生産額の減少は、愛知、静岡、群 馬などの自動車組立の盛んな地域での生産額の減少を招くかもしれない。  熊本における産業別の生産額減少による波及効果の地域的な広がりの度合いを考慮するた めに、次の (4) 式を定義する。  ここで、1 は要素が全て 1 である、値を合計するための行ベクトルであり、 は地域 k の特定産業 i において減少した生産額を値に持つ列ベクトルである。 を計算すること

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で、地域 k で発生した生産額の減少による直接間接的な経済波及効果に対して、地域 k 以外 の地域での間接的な生産額の減少がどれほどなのかを把握することができる。より具体的に は、熊本県における生産額の減少が、相対的にどれほど広い地域に跨って影響を与えている かを判断することができる。  熊本県の産業毎に (4) 式の を計算し、一つの県に留まらない各産業の経済活動を支 援する際に発動された措置がどのようなものであるかについて言及していく。 3. データ 3.1 多地域間産業連関表  本論文で用いる多地域産業連関表は、Hasegawa et al. (2015) に記載される 2005 年各県間 産業連関表を用いる。構造は図 2 に示した通りである。本データは、各県が公表している 産業連関表を連結させて作成されている。当然ながら、ただ連結させるだけでは産業連関表 全体における需給バランスが一致しないため、RAS 法2を用いて行列のバランスを調整して いる(Miller et al., 2009)。本データは、北海道から沖縄までの 47 都道府県、農林水産業や プラスチック製品産業、電力産業などを含む 80 の産業部門を網羅している。 3.2 生産額の減少に関するデータ3  生産額の減少額に関しては、内閣府が発表している「地域の経済 2016」に基づいた数値 を用いた(内閣府(2016))。本データに基づくと、熊本県における全産業のフロー損失額 の合計は 810 億円(下限値)と試算されている4。産業別の詳細なデータは公表されていない が5、問い合わせによると、農林水産業で 27 億円(下限値)、製造業で 141 億円(下限値)の フローの損失があったと回答を得た。製造業については産業連関表の部門分類に合わせた詳 細な分析を行うために、上記の産業連関表における熊本県製造業での各産業の生産額比率で 案文した。以降、「農林水産業」産業で 2700(単位 : 百万円)、「食料品・たばこ」産業で 2006(単位 : 百万円)、「自動車部品・同付属品」産業で 1680(単位 : 百万円)、「半導体素 2 RAS 法では、中間投入額に負の値を持つ行列を調整することができない。多地域産業連関表については、 副産物の自産業への投入や、最終需要における在庫純増などで負の値が生じることが少なくない。その際 に RAS 法を発展させた方法である GRAS (: Generalized-RAS) 法が有効であるとされる。GRAS 法について は、例えば、Junius et al. (2003), Lenzen et al. (2007), Temurshoev et al. (2013) などを参照されたい。 3 尚、他の公表データに関して、日本銀行熊本支店(2016)が、熊本県内の企業短期経済観測調査結果を 公表している。中でも業況判断 D.I. は各産業の景気状況を判断する上で、有用な統計データであるものの、 それは「良い」(回答社数構成比)−「悪い」(回答社数構成比)であることから、生産額の実額及びその 変化率ではない。従って、本稿ではデータとしては利用しなかった。 4 推計過程の詳細については、堤 雅彦・森脇大輔・田中吾朗・武藤裕雄 (2016)を参照されたい。 5 2016 年 9 月 5 日現在。

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子・集積回路」産業で 1520(単位 : 百万円)のフローの損失額を生産額減少値として分析 を行う。次の節では、熊本県における特化係数がとりわけ高い「農林水産業」産業および 「自動車部品・同付属品」産業6についての分析結果を述べる7。関連して、本稿では補足資料 にて時点で熊本県の強みのある産業とされる「食料品・たばこ」産業および「半導体素子・ 集積回路」産業での分析結果についても掲載する。 4. 分析結果  熊本県における各産業の生産額は、前述した通りである。本論文では、「農林水産業」産 業および「自動車部品・同付属品」産業での生産額の減少による波及効果を計算する。なお 補論として、「食料品・たばこ」産業および「半導体素子・集積回路」産業についての分析 結果を掲載する。 4.1 「農林水産業」産業の生産額減少による影響  「農林水産業」産業における生産額の減少は 2700(単位 : 百万円)であるとした。表 2 は、 上記の生産額の減少を受けて波及的に生産額が減少した各県の各産業(上位一部)を示して いる。表中の値は間接的な効果も反映されているため、熊本県でのすいか生産のために必要 だった他県の苗、またそれを生産するために必要になった他県の農薬の生産額減少分も含ま れている。  表 2 から産業別で見ると、「食料品・たばこ」産業や「化学最終製品(除医薬品)」産業 での生産額の減少が上位に来つつ、多様な産業が熊本県の農林水産業での生産額減少の影響 を大きく受けていることがわかる。生産額の減少値を見ると、例えば北海道の「食料品・た ばこ」産業や神奈川の「化学最終製品」産業でそれぞれ 9850000 円、10360000 円に上る。 また災害による農産物被害や農地被害のリスクヘッジとしての保険や農産物の物流を支える 運輸産業も大きく影響を受けることがわかる。表 2 から県別に見てみると、一つの産業に 起因して発生するサプライチェーンが地域的に広範囲に架かっている。熊本県での生産額減 少であるにも関わらず、北海道や関西地方までに届く波及的な生産額の減少が見られる。上 記の結果は例えば、熊本県ですいかを作れなくなった結果として、すいかの苗を製造してい た北海道における農林水産業や神奈川県における農薬を作る産業の生産活動も連鎖して停滞 したことを表している。図 3 は、波及的な全産業での生産額減少を合計して、減少額の大 きい地域を視覚化したものである。図 3 からも、間接的な被害が九州県内に留まらずに、 6 熊本県の特化係数の特徴の詳細は、熊本県(2016)を参照されたい。 7 特化係数の定義については、Kanzaki(2012)を参照されたい。

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遠く離れた地域までも巻き込んで経済停滞が生じる恐れがあることがわかる。SI を見ると、 後に述べる「自動車部品・同付属品」産業と比較した場合に相対的に低く、0.226 である。 これは、熊本県での直接的な生産額減少に対する、熊本県を越えた他地域での間接的な生産 額減少値が、相対的に小さいことを示している。すなわち、北海道や神奈川での間接的な生 産額の減少はありつつも、それらはやはり熊本県内での 2700(単位 : 百万円)の生産額減 少と比較すると相対的には小さなものであるとも捉えることが出来る。  以上のことから、対象とする産業が異なれば地域的な広がり方も異なり、生産額被害を支 援するための効果的な政策も異なりうると想定される。今次の地震を受けて、各産業に対す る金融上の措置は、毀損額の高さ故に、財政を中心とする迅速な措置であったといえる8。即 ち、既に、2016 年 5 月 17 日に、平成 28 年度補正予算(総額 7,780 億円)が成立している。 同予算では、災害救助等として 573 億円、被災者の生活再建支援として 201 億円、遺族へ の災害弔慰金として6億円を計上している。加えて、熊本地震復旧等予備費 7,000 億円を組 み、被災者の事業再建、 道路・施設などのインフラ復旧、及びがれき処理などを迅速に進め るものとしている。熊本地震復旧等予備費による具体的な事業の執行については、順次閣議 決定されている(表 1)。表 1 によれば、農林水産業関連について、農業施設・機械に関す る再建・修繕等の支援、ため池等の緊急的な点検・調査、航空レーザ計測による山地の亀裂 等の緊急調査、民家等に被害を与え得る被災山地の緊急復旧工事、大豆への作付転換等の支 援、アサリ漁場からの浮泥排除を促す工事、関連する海岸復旧に関する応急工事について、 合計で 85.9 億円(農林水産省、閣議決定分 5 月 31 日)の予算を計上している。加えて、被 災した山地の復旧整備と被災木の伐採等、民家等に被害を与える可能性のある被災山地の緊 急復旧工事につき、合計で 9.6 億円(農林水産省、6 月 14 日閣議決定分)の予算措置を決 定した。加えて、6 月 28 日の閣議決定分については、農業施設・機械に関する再建・修繕 等、民家等に被害を与え得る被災山地への緊急復旧工事に関して、20.5 億円の追加的な予 算が、7 月 26 日には農業施設・機械に関する再建・修繕等、民家等に被害を与え得る被災 山地の緊急復旧工事に関して、54.6 億円の予算が計上された。即ち、大幅な予算の拡大を 余儀なくされる。しかも、次節 4.2 にて見るように、「自動車部品・同付属品」産業の生産 額減少による影響が更なる予算の拡張を引き起こすことになるのである。 8 但し、日本銀行(2016)によれば、平成 28 年熊本県地方の地震に係る害に対する金融上の措置ついて関 係機関に要請している。預金や貸付、手形や預金証書紛失等に関する対応や、既存融資に係る返済猶予の 貸付条件の変更、「自然災害による被災者のガイドライン」に係る相談、ATM の営業停止及び稼働可能な 店舗公表義務が金融機関向けに発令されている。証券会社向けには、有価証券の再発行上の手続きが加 わった。生命保険・損害保険向けには、生命保険・損害保険の迅速な支払に関する要請、電子債権記録機 関への取引停止処分及び利用契約解除等に関する措置への配慮に関する等があった。主に決済性の手続き に関して、迅速な対応がなされている。

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(注) 総務省「平成 28 年熊本地震への対応」、文部科学省「平成 28 年度「熊本地震復旧予備費」の使用」、 厚生労働省「熊本地震に係る予備費の使用について」、農林水産省よりデータ提供、経済産業省「平成 28 年度熊本地震復旧等予備費の概要について」、国土交通省「平成 28 年度国土交通省関係熊本地震復旧 等予備費使用の概要」、「平成 28 年度国土交通省関係熊本地震復旧等予備費使用の概要(6月 14 日閣議 決定)」「平成 28 年度国土交通省関係熊本地震復旧等予備費使用の概要(6月 28 日閣議決定)」「平成 28 年度国土交通省関係熊本地震復旧等予備費使用の概要(7月 26 日閣議決定)」、環境省「平成 28 年度 「熊本地震復旧等予備費」の使用について」、防衛省「熊本地震復旧等予備費使用の概要(防衛省関係)」 により作成。 (出所)内閣府(2016)「地域の経済 2016 −人口減少問題の克服−」等より一部修正作成。 表 1. 熊本地震復旧予備費の詳細(金額及び内訳の単位は、億円) 閣議決定 関連省庁 概要 金額 5 月 31 日 総務省 TV放送難視聴対策 0.6 文部科学省 地震・火山観測網の復旧 9 厚生労働省 (株)日本政策金融公庫による生活衛生関係営業者等への融資 1.8 農林水産省 農業施設・機械に関する再建・修繕等の支援 56.6 ため池等の緊急的な点検・調査 10.8 航空レーザ計測による山地の亀裂等の緊急調査 8.6 民家等に被害を与え得る被災山地の緊急復旧工事 8.4 大豆への作付転換等の支援 0.8 アサリ漁場からの浮泥排除を促す工事 0.5 海岸復旧に関する応急工事 0.2 経済産業省 中小企業・小規模事業者の資金繰り支援 201.8 中小企業等グループ補助金 425.4 小規模事業者持続化補助金 27.8 九州地方の地域資源の魅力発信を通じた外国人の消費拡大事業 20.2 国土交通省 公共土木施設等の災害復旧等事 70.5 九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度 180.3 6 月 14 日 農林水産省 被災した山地の復旧整備と被災木の伐採等 7.9 民家等に被害を与える可能性のある被災山地の緊急復旧工事 1.7 国土交通省 公共土木施設等の災害復旧等 111 防衛省 自衛隊の部隊が実施する災害派遣活動等に必要な経費 347 自衛隊施設等復旧に必要な経費 123 6 月 28 日 文部科学省 国指定等文化財災害復旧 15.5 国立阿蘇青少年交流の家災害復旧 4.7 農林水産省 農業施設・機械に関する再建・修繕等 17.7 民家等に被害を与え得る被災山地への緊急復旧工事 2.8 国土交通省 公共土木工事施設等の災害復旧等事業 138.7 被災地域における道路等の点検・調査等の実施 30.2 7 月 26 日 文部科学省 国立大学法人施設・設備災害復旧地形・地盤情報調査 117.65.3 厚生労働省 医療施設等の災害復旧熊本県心のケア事業 1.70.5 農林水産省 農業施設・機械に関する再建・修繕等民家等に被害を与え得る被災山地の緊急復旧工事 51.53.1 環境省 熊本地震に係る災害廃棄物処理事業 340 国土交通省 公共土木施設等の災害復旧等事業被災地域における復旧に向けた調査等の実施 1313.1

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図 3. 熊本県の農林水産業の生産額減少に起因する全国での生産額減少(単位 : 百万円) 表 2. 熊本県の農林水産業の生産額減少に起因する各県各産業での生産額の減少

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4.2 「自動車部品・同付属品」産業の生産額減少による影響  「自動車部品・同付属品」産業における生産額の減少は 1680(単位 : 百万円)であるとし た。表 3 は、上記の生産額の減少を受けて波及的に生産額が減少した各県の各産業(上位 一部)を示している。  表 3 から産業別で見ると、「自動車部品・同付属品」産業が圧倒的に多い。加えてその中 間財として不可欠となる製品を供給する「鋼材」産業も大きく影響を受ける。表 3 から県 別に見てみると、愛知や静岡などの中部地方、神奈川や群馬などの関東地方など、自動車産 業が一つの主要産業となっている工業地域が、多く影響を受けることがわかる。  図 3 は、波及的な全産業での生産額減少を合計して、減少額の大きい地域を視覚化した ものである。こちらは先ほどの農林水産業に焦点を当てた図 2 とは異なり、波及的な効果 が大きな地域に広がっているというよりも、複数の工業地域に集中して生産額の減少が見ら れる。SI を見ると、前述の場合と比べて相対的に高く、0.490 である。これは、熊本県での 直接的な生産額減少に対する、熊本県を越えた他地域での間接的な生産額減少値が、相対的 に大きいことを示している。すなわち、熊本県内での 1680(単位 : 百万円)の生産額減少 を基準に考えたときに、その直接被害額に匹敵するほど大きな間接的な被害が熊本以外の中 部や関西で生じていると捉えられる。  熊本地震の後、製造業に対する金融上の措置について考察してみる。先に触れた熊本地震 復旧等予備費による具体的な事業の執行について表 1 にて見てみれば、5 月 31 日に中小企 業・小規模事業者の資金繰り支援、中小企業等グループ補助金、小規模事業者持続化補助金 につき、655 億円の予算(経済産業省)を閣議決定した。しかし、こうした措置は、資本ス トックの毀損が大きいということを前提として、主に直接的被害に対して優先的に復興予算 を計上している。勿論、資本ストックや建物などの毀損に該当する直接的被害が高い程、サ プライチェーンを通じた我が国の他地域への雇用や消費マインドの落ち込みにつながりかね ないため、政府の迅速な対応は必要であった。また、政府以外に、金融上の措置を設けてい るのが、熊本県内に展開する地域金融機関や日本政策金融公庫である。これらは様々な名称 や目的別に関して融資減免の措置を発表している。金融機関も債務者が既存ローンを有しつ つも震災等により追加的な債務を負う二重債務問題に対する対処に積極的である。ただし, 借り手への累積する融資が完全免除されるものではなく、また金額の多寡によっては借り手 の負担になる懸念は必ずしも払拭されるものではない。  従って、4.1 にて考察した農林水産業や 4.2 にて考察した自動車部品・同付属品産業が示 すように直接的被害ばかりでなく、間接的被害についても一定の対策が必要になる。

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       (単位 : 百万円)図 4. 熊本県の自動車部品・同付属品の生産額減少に起因する全国での生産額減少 表 3. 熊本県の自動車部品・同付属品の生産額減少に起因する各県各産業での生産額の減少

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5. 結論  本論文では、2016 年 4 月に発生した熊本地震により、多地域産業連関表を用いた産業間、 地域間での波及的な被害額の算定を行った。分析の結果、以下のことが分かった。  農林水産業の最終需要に付随して発生するサプライチェーンを見ると、間接的に「食料 品・たばこ」産業や「化学最終製品(除医薬品)」産業で、地域的にみると北海道や神奈川 に集中して生産活動の停滞が見られた。また自動車部品・同付属品の最終需要に付随して発 生するサプライチェーンを見ると、間接的に「自動車部品・同付属品」産業や「鋼材」産業 で、地域的にみると中部地方や関東地方に集中して生産活動の停滞が見られた。  以上の分析より、熊本県の生産額減少によって、各産業にマイナスの影響を及ぼしたこと が明らかとなった。そこで、各産業に対して迅速な政府による金融上の措置が発動された。 それは主に直接的被害(資本ストック)に対する措置であるが、間接的な金融措置も柔軟に 対応される必要がある。  本地震を受けて緊急措置としての各省庁からの財政出動は、毀損ストックの大きいものに 対して優先的に充てられるようになっている。しかし分析で見たように、最終財を生産して いる現場が倒壊すると、需要を欠くため中間財を供給している他地域の他産業の生産活動も 滞る。被災対象への財政出動は重要であるが、一方で被災による中間財の需要落ち込みとリ カバリーにはタイムラグが生じる。その間に中間財の生産現場が倒産してしまうリスクも少 なからず生じる。従って、このような一時的な生産活動の停滞を一部救済するような財政出 動も、政策決定の際の一考に加えられることが望ましい。その際に、本分析で扱った分析結 果も一つのクルーになると信じている。 謝辞  熊本地震による直接的間接的被害を受けた全ての方々や地域の、一刻も早い復興を願ってやまな い。またデータ及び情報提供にあたっては、内閣府経済政策分析及び日本銀行熊本支店にご協力頂 いた。ここに記して感謝申し上げたい。尚、全ての文責は筆者にある。 参考論文

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(16)

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図 2. 多地域間産業連関表の構造  産業連関表には、対象となる経済圏での 1 年間における産業間のフロー(金額ベース) が記載される。1 年間のフローが当該経済圏で完結しており、マクロ的な需要と供給が一致 する表となっている。   とすると、各産業への最終需要が 1 単位増加した場合に、直接間接的に他産業 で追加的に増加する値を計算するレオンチェフ逆行列は、以下の式で求められる。  ただし、I は単位行列である。レオンチェフ逆行列を用いることで、生産額が減少した場 合に満たせる最終需要がいくらなのか、ある
図 3. 熊本県の農林水産業の生産額減少に起因する全国での生産額減少(単位 : 百万円)表 2. 熊本県の農林水産業の生産額減少に起因する各県各産業での生産額の減少

参照

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⑸ 農林水産大臣意見照会を行った場合において、農林水産大臣の回答が ある前に侵害の該否の認定を行ったとき又は法第 69 条の 12 第6項若し くは第 69