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10 財産評価
財産評価の原則: 取得時における時価によって評価 But 実際には、相続税法や財産評価基本通達に従って計算 評価時点: 相続・遺贈→ 被相続人の死亡の日 贈与 → 財産権の取得日 金融資産等の評価 (→P230∼231の表) 上場株式の評価 → 課税時期(相続開始日)の終値 課税時期の月の毎日の終値の月平均 課税時期の月の前月の終値の月平均 課税時期の月の前々月の終値の月平均 最も低い価格2 例題 Bさんは、被相続人AからH22年7月7日に C社上場株式50,000株を相続した。この年のC社株式の株価推移 は以下の通りである。このとき、C社株式の相続税評価額は? (終値月平均値) 4月平均 5月平均 6月平均 7月平均 7/7終値 500円 560円 520円 550円 580円 前月 前々月 相続開始 相続開始日 の 月 最も低い価格 520円で評価 × よって、相続税評価額は 520円×50,000株=26,000千円
3 参考問題1 (問題集P274、H21年5月学科 問題56) 国内金融資産等の相続税評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 普通預金の価額は、課税時期現在の既経過利子の額が少額であれば 課税時期現在の預入高によって評価する。 2. 金融商品取引所に上場されている利付公社債の価額は券面価額に 既経過利息の額(源泉所得税相当額控除後)を加えた金額で評価する。 3. 上場株式の価額は、課税時期の終値および課税時期の属する月以前 3ヶ月間の毎日の終値の各月ごとの月平均額のうち、最も高い価額により 評価する。 4. 取引相場のあるゴルフ会員権の価額は、原則として通常の取引価格の 90%相当額により評価する。
4 宅地の評価 ① 評価単位 1区画の宅地(1画地)ごとに評価(利用単位) (登記簿上の「一筆単位」 → ×) ② 評価方式 倍率方式 固定資産税評価額 × 倍率 (国税局長が指定) 路線価方式 市街地的形態を形成する地域の宅地 宅地の評価=路線価×地積 それ以外の地域にある宅地 (路線価が定められていない地域) 宅地上の権利の評価 土地部分の評価 ① 自用地 自己の所有する土地を自分で使用している場合 借地権などが設定されていない更地 (例) 自宅の敷地、青空駐車場など 基準 路線価による自用地評価額 (例:10000万円) (復習) (復習)
5 ② 借地権 建物の所有を目的として土地を借りた場合の権利 貸宅地 借地権 借主B 40% 60% 所有者A 借主側の権利 借地権の評価額 (6000万) = 自用地評価額 × 借地権割合 10000万 60% 将来の所有B ③ 貸宅地 (底地) 借地権で貸している土地 所有者側の権利 貸宅地の評価額(4000万) = 自用地評価額 ×(1−借地権割合) 10000万 40% 60%
6 ④ 貸家建付地 宅地の所有者が建物を建てて、その建物を貸している場合(貸アパートや貸家) の宅地 貸家建付地 所有者A 所有者A 借主B,C・・ 借家権 が発生 借主の権利 (例)30% 借家権が発生している建物 の敷地 借地権 借地権についても、借家権に 相当する部分の価値は所有者Aにとっては 制約されている分だけ減少する 貸家建付地の評価額 (8200万) = 自用地評価額 × (1 − 借地権割合×借家権割合×賃貸割合) 入居率 10000万 60% 30% (例)100% 土地の評価 建物の評価 ① 自用家屋 建物部分の評価 固定資産税評価額で評価 評価額=固定資産税評価額×1.0 基準 (例:3000万) (復習)
7 ② 貸家の場合 評価額=自用家屋の評価額 × (1 − 借家権割合×賃貸割合) 3000万 30% 100% 2100万 建物なので借地権は関係なし Point ・ 土地ならば、路線価、 家屋の評価ならば固定資産税評価額 ・ 土地のうち、貸家に関する場合は、借地権、借家権の両方を考慮 ・ 建物のみならば、貸家の場合、借地権は考慮しない
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11.小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
・ 被相続人等の居住用、事業用、貸付用の土地など ・ 建物や構築物の敷地 ・ 相続、遺贈により取得 限度面積までの 評価額を減額できる (50%か80%) ※ 相続人以外の取得も○ 生前贈与は×、 青空駐車場は× ① 特定事業用宅地 400㎡までの部分、80%減額可 特定同族会社事業用宅地 ③ 貸付事業用宅地 → 200㎡までの部分、50%減額可 ・ 共同相続の場合も、取得者ごとに要件を判定する ・ 申告期限までに遺産分割が確定 ② 特定の居住用宅地 → 240㎡までの部分、80%減額可 確定していない場合 3年以内に遺産分割 3年を超える場合は税務署長の承認 ・ 相続税額がゼロでも必ず申告が必要9 ※ 「特定」の要件について ①特定事業用宅地等 取得者要件 所有要件 事業要件 親族 申告期限まで所有 申告期限までに 事業を引き継ぎ継続 被相続人と 申告期限まで所有 申告期限まで 生計一の親族 事業継続 ②特定居住用宅地等 取得者 所有要件 居住要件 その他要件 配偶者 同居親族 申告期限まで所有 申告期限まで居住 別居親族 申告期限まで所有 なし 過去3年以内に 持家なし (配偶者も同居 親族もなし) 被相続人と 申告期限まで所有 申告期限まで居住 生計一の親族 なし なし
10 方法1 ① 夫が残した200㎡の自分の土地を妻が相続した場合の評価額は? (全体の相続税評価額=33000千円) 特定居住用宅地の特例 −80% (評価減) 20% 200㎡ 33000×200 200 =26400 33000千円 全体の33000から減額 よって、 33000−26400=6600(千円) 減額計算 課税価格=宅地の評価額−減額分 2通りの計算方法がある (方法1) 宅地全体の評価額が与えられている場合 減額分=宅地全体の評価額× うち適用対象となる面積× 50% 総地積(㎡) 80% (方法2) 1㎡単価が与えられている場合 減額分=1㎡単価 × 対象面積(㎡)× 50% 80% (例1) ×80% 減額分 (P239チェック問題3参照)
11 ② 夫が残した330㎡の自分の土地を妻が相続した場合の評価額は? (全体の相続税評価額=33000千円) −80% (評価減) 20% 100% 240㎡ 90㎡ 33000×240 330 ×80% 全体の33000から減額 よって、 33000−19200=13800(千円) =19200 (減額分)
12 方法2 (例2) 1㎡あたり50万円の自宅敷地(特定居住用宅地)150㎡ 150㎡<240㎡なので、全部が80%の減額対象 減額分=50万×150㎡×80%=6000万 よって評価額=50万×150㎡−6000万=1500万 適用面積の調整 ①特定事業用宅地等 ②特定居住用宅地等 ③貸付事業用宅地等 複数のものがある場合 適用面積を400㎡相当に換算してから 合計して、全体が400㎡以下になるように 調整する ①:もともと評価減の対象は400㎡ → 調整の必要なし ②:もともとの評価減の対象は240㎡ → 400㎡ 240㎡ 倍して調整 ③:もともとの評価減の対象は200㎡ → =5/3 400㎡ 200㎡ =2倍して調整 (①の面積)+(②の面積×5/3)+(③の面積×2)<400㎡=
13 (例3)テキストP238 自宅用敷地 150㎡、 1㎡あたり単価50万 店舗敷地 300㎡、 1㎡あたり単価40万 自宅用敷地から優先する場合、店舗敷地は何㎡まで評価減が適用できるか? ②が150㎡ ①はX㎡ ① X + ②150×5/3 < 400= よって ①のX < 150㎡ = ? 減額される総額= 50万×150㎡×80% + 40万×150㎡×80% ②自宅用敷地分 ①店舗敷地分 = 6000万+ 4800万 = 1億800万
14 参考問題2 (問題集P272、H19年9月学科 問題57) 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「特例」といいう) に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1. 特例の適用を受けることができる者は、特例の対象となる宅地等を取得した 相続人に限られ、相続人でない者は、特例の適用を受けることができない。 2. 相続人等によって相続税の申告書の提出期限までに分割されていない特例の 対象となる宅地等であっても、原則として、その提出期限後3年以内に分割 されれば、特例の適用を受けることができる。 3. 特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に特例の適用を受ける旨を 記載するとともに、一定の書類を添付することが必要である。 4. 建物または構築物の敷地の用に供されていない宅地等(更地)については、 特例の適用を受けることはできない。
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12. 非上場株式の評価
自社株を取得した人がその会社を支配しているかどうか 支配権のある株主(同族株主)の場合 → 原則的評価方式で評価 (会社の実態を反映) ・ 類似業種比準方式 ・ 純資産価額方式 同族株主以外の場合 → 特例的評価方式で評価 (経営権に関与しない) (会社の実態とは直接関係しない 過去の配当実績を基礎) ・ 配当還元方式 会社規模に よる ※ ただし、「特定の評価会社」にあたる場合は 規模にかかわらず純資産価額方式 従業員数 総資産価額(簿価基準) 取引金額(売上高) 100人以上ならば大会社 純資産=資産−負債 = 資本金+未処分利益(配当として分配していない利益) → つまり 純資産=資本金16 自社株の評価方式 同族株主等 同族株主以外 原則的評価方式 特例的評価方式 (特定の評価会社) (一般の評価会社) 大会社 類似業種比準方式 (純資産価額方式の選択可) 中会社 併用方式(類似+純資産) (純資産価額方式の選択可) 中(大): 類似×0.9+純資産×0.1 中(中): 類似×0.75+純資産×0.25 中(小): 類似×0.6+純資産×0.4 小会社 純資産価額方式 (併用方式の選択可) 類 似 の 比率 大 純 資 産 の 比率 大 純 資 産 価 額 方 式 配 当 価 額 方 式 評価が低いほうの方式を選択できる (他も同様) ※ ※
17 類似業種比準価額方式 評価しようとする会社と事業内容が類似する上場会社の株価と比較して算定 比準要素 ・ 配当 ・ 利益 ・ 純資産(簿価) 臨時的な配当(特別配当・記念配当)は含めない 含み益は反映されない 類似業種比準価額= A × b/B + 3×c/C + d/D 5 ×斟酌率 評価しようとする会社 類似の 上場企業の 株価 配当 利益 純資産 (類似企業に関するA,B,C,Dは国税庁から発表) → 配当や利益、純資産が高い会社は評価額も高くなる 類似企業の株価が上がれば評価額も上がる
18 純資産価額方式 1株あたり 純資産価額 = 相続税評価額 純資産額 − 含み益×42% 相続税評価額の純資産 − 帳簿価額の純資産 (総資産−負債) 発行済株式数 3年以内の取得の土地建物は、通常の取引価額 ※ ※ → 含み益が株価に反映される (ただし含み益のうちの42%は控除されるので課税対象とならない) 含み益が多い会社ほど評価額は高くなる 配当還元方式 配当還元価額=年配当額÷10%× 1株あたり資本金額 50円 配当金の10倍が株価 → 配当金額には臨時的な配当(特別配当、記念配当)は含めない 年配当額が無配(ゼロ)の場合でも、2円50銭として計算する
19 特定の評価会社 類似業種比準方式は上場企業の株価と比較するもの → 上場企業との比較が適当ではない会社については、使用を制限 ・ 土地保有特定会社、株式保有特定会社 資産に占める土地や株式の保有割合が一定の基準を超える会社 ・ 開業後3年未満の会社 ・ 類似業種比準価額の3要素がすべてゼロの会社 純資産価額方式 ※ 開業前、休業中の会社 (清算中の会社は清算による分配見込額をもとに評価) 同族株主 の 場合 ・ 3要素のうち、いずれか2つがゼロの会社 → 類似×0.25+純資産×0.75 純資産価額方式 低い方 同族株主以外の株主が取得する場合は配当還元方式 純資産価額方式 (同族株主かどうかによらず)
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13. 非上場株式の相続対策
株価引き下げ対策 会社の事業規模 区分の引き上げ ・ 従業員数の変更→100人以上で大会社へ ・ 総資産価額の増加→大会社へ ・ 売上高の増加→大会社へ 類似業種比準価額 を引き下げる ・ 配当金額の引き下げ (特別配当、記念配当の活用) ・ 利益金額を減らす (役員給与の増額、役員退職金の支給、 高収益部門の分離) ・ 純資産額を減らす (役員退職金の支給、高収益部門の分離) 純資産価額を 引下げる ・ 不動産の購入 ・ 役員退職金の支給 ・ 利益処分で社外流出を図る ・ 高収益部門の分離 ・ 会社の合併 その他、特定の評価会社の認定回避21 納税資金対策 ・ 役員保険、役員退職金の活用 ・ 法人による自己株式取得 ・ 相続税の納税猶予制度の活用 (発行済議決権株式総数の3分の2に達するまで、 80%に対応する相続税額について猶予) ・ 贈与税の納税猶予制度の活用 (発行済議決権株式総数の3分の2に達するまで、 贈与税の全額について猶予) H21年9月学科 問題59: M&A 問題60: 会社法 各自で確認しておくこと
22 参考問題3 (問題集P274、H20年9月学科 問題60) 中小企業における後継者への事業承継対策として役員退職金を活用する場合に ついて次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1. 支給した役員退職金のうち、不相当に高額な部分の金額は、法人税法上、 損金の額に算入することができない。 2. 相続人が受け取った死亡退職金は、みなし相続財産として相続税の課税対象 となるが、その受取額については、「300万円×(法定相続人の数)」の 非課税限度額が設けられている。 3. 純資産価額方式による自社株式の評価について、生存退職金の支給は 評価引き下げ効果があるが、死亡退職金の支給には評価額の引き下げ 効果はない。 4. 役員の死亡により、その役員の相続人が支給を受けた弔慰金については、 被相続人の死亡の原因が業務上であるかどうかを問わず、その被相続人の 普通給与(賞与を除く)の3年分に相当する金額までが相続税において非課税と される。 (→P216参照) 参考問題解答 (問題1) 1 (問題2) 1 (問題3) 1