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伊藤忠経済研究所 主席研究員 武田淳 (03-3497-3676) takeda-ats @itochu.co.jp 主任研究員 須賀昭一 (03-3497-3678) suga-s @itochu.co.jp 【内 容】 1. 伊藤忠拠点が見た 中国経済情勢 (1)「新常態」を先取 りする東部地域 製造業は不振ながら サービス業のすそ野 は拡大 三 次 産 業 主 導 の 成 長への移行が進む (2)新たなけん引役 として期待される中 西部地域 製造業や小売り・サ ービス業が好調 二次産業・三次産業 とも高い成長 (3)過剰生産解消に 苦しむ東北部地域 重 厚 長 大 型 の 製 造 業の不振が続く 産 業 構 造 の 転 換 に 遅れ 2. まとめ 成 長 の 中 心 は 東 部 から中西部へ

中国経済情報

2016 年 8 月号

Summary

伊藤忠拠点が見た中国経済の現状

~成長の中心は東部から中西部へ~

伊藤忠経済研究所では、伊藤忠商事の中国各拠点の協力を得て、今年

7

月上旬に現地の景況感についてのアンケート調査を実施した。その結

果、中西部地域の景況感が相対的に良好、東部・東北部地域の景況感が

悪い「西高東低」の状況が続いていることが確認された。

東部地域では、鋼材や石炭、ガラス、セメントなどの過剰生産業種を中

心とした製造業の景気が悪く、一方で教養・娯楽分野などサービス消費

が幅広く拡大している。名目

GDP に占める三次産業のシェアは既に二

次産業を上回っており、「新常態」と呼ばれる三次産業主導の安定成長

を他の地域に先駆けて実現しつつある。

中西部地域は、自動車関連や小売り・サービス分野、インフラ関連など

景気の良い業種が目立つ。中西部の実質

GDP 成長率は、他の地域に比

べて高いが、その背景には「西部大開発」に始まる一連の政策的な支援

がある。また、中西部の

GDP に占める産業別シェアは、依然として二

次産業が三次産業を上回っており、補助金や税制優遇などもあって二次

産業が経済の柱となっている。ただ、三次産業もシェアを高めるなど堅

調な拡大を続けており、中西部は一昔前の上海・北京のように二次産業、

三次産業がともに高い成長を続ける段階にある。

東北部地域は、過剰生産業種を中心とした重化学工業の不振が目立つほ

か、石油・石炭業界などの資源分野も苦戦している。鉱工業生産総額の

上位には、鉄鋼やセメント、ガラスなどの過剰生産業種や石油などの鉱

物資源関連産業が並んでおり、主力である二次産業の成長率は他の地域

を下回っている。GDP に占める三次産業の割合は上昇傾向にあるが、

未だ二次産業を下回っており、産業構造の転換が遅れていることが低成

長につながっている。

以上の状況にマクロ的な分析を加えると、東部は経済の成熟化に伴って

成長ペースが鈍化する「成熟・先進地域」に分類され、成長の原動力は

三次産業であり、東北部は未成熟のうちに構造的な問題を抱えた「停

滞・後進地域」、中西部は成長余地が大きく成長率が相対的に高い「発

展中・後進地域」となろう。中国経済における東部の圧倒的な存在感は

変わらないが、成長という意味では中西部に中心が移りつつある。

(2)

山東省 江蘇省 河北省 黒竜江省 吉林省 遼寧省 浙江省 福建省 広東省 海南省 湖南省 江西省 湖北省 河南省 安徽省 山西省 上海市 北京市 天津市 内モンゴル自治区 新疆ウイグル自治区 チベット自治区 四川省 重慶市 寧夏回族 自治区 青海省 甘粛省 陝西省 雲南省 広西チワン族   自治区 貴州省 (備考)中国国家統計局より作成。 東北3省: 黒竜江、吉林、遼寧 東部地域: 北京、天津、河北、山東、江蘇、 上海、浙江、福建、広東、海南 西部地域: 内モンゴル、陝西、寧夏、甘粛、 重慶、四川、貴州、雲南、広西、 青海、チベット、新疆 中部地域: 山西、河南、安徽、湖南、 湖北、江西 〇は伊藤忠拠点所在地。

1. 伊藤忠拠点が見た中国経済情勢

伊藤忠経済研究所では、伊藤忠商事の中国各拠点の協力を得て、今年7 月上旬に現地の景況感についての アンケート調査を実施した。その概要は下表の通りであるが、前回(2015 年 9 月)の結果と比較すると、 中西部地域の景況感が相対的に良好、東部・東北部地域の景況感が悪い「西高東低」の状況が続いている。 ただし、前回の調査では「極めて良好」だった中西部の成都が「良好」に一段階低下し、「極めて悪い」 状況であった大連が「中立」に一段階上昇したため、「極めて良好」「極めて悪い」とする地域がなくなり、 ばらつき度合いは縮小した。 また、今回のアンケート結果をマクロ統計と併せて見ると、以下で述べるように各地域における景気 の実態が、より立体的に浮かび上がってきた。 (1)「新常態」を先取りする東部地域 製造業は不振ながらサービス業のすそ野は拡大 東部(沿海部)における景気の現状評価は、対象となった 6 都市(北京、天津、上海、青島、寧波、 広州)のうち「やや良好」が1 ヶ所(広州)、中立が 2 ヶ所(北京、天津)、やや悪いが 3 ヶ所(上海、 青島、寧波)であり、結果はばらついたが平均的には「中立」から「やや悪い」寄りの状況と言える。 東部における景気が悪い業種・分野としては、鋼材や石炭、ガラス、セメントなどの過剰生産業種を 中心とした製造業が多く挙げられた。とりわけ、前回から景気判断が悪化した青島と寧波は、それぞ れ化学や繊維といった特定の製造業で業績の悪化が指摘されている。また、消費分野においても、ぜ 前回との 比較 北京市 - - - 3 中立 天津市 3 中立 3 中立 上海市 4 やや悪い 4 やや悪い 山東省 青島 2 やや良好 4 やや悪い 浙江省 寧波 3 中立 4 やや悪い 広東省 広州 2 やや良好 2 やや良好 吉林省 長春 4 やや悪い 4 やや悪い 黒竜江省 哈爾浜 3 中立 3 中立 遼寧省 大連 5 極めて悪い 3 中立 重慶市 - - - 2 やや良好 四川省 成都 1 極めて良好 2 やや良好 東北部 東部 中西部 地域 伊藤忠中国拠点から見た各地域の経済情勢 評価(5段階) 2015年9月 2016年7月

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いたく禁止令の影響などで需要の低迷が続く酒類、時計、バッグなど高級な消費財やレストランなど、 いわゆる「ぜいたく消費」分野が低迷しているとのコメントが多く見られた。 一方、景気が良い業種・分野としては、教育やペット、楽器など、いわゆる教養・娯楽分野への支出 が旺盛で、サービス消費が幅広く拡大している様子が窺われた。所得水準の上昇に伴って、個人消費 の高度化が進んでいる模様である。また、自動車関連のほか、粉ミルクや玩具などの子ども用品、空 気清浄器や浄水器などの環境関連商品については、消費のみならず製造業も好調という指摘もあった。 三次産業主導の成長への移行が進む このように、東部地域では、製造業などの二次産業が 低迷する一方で、個人消費関連を中心とする三次産業 のすそ野が広がっている。この様子を名目 GDP の産 業別シェアで確認すると、三次産業のシェアは、2010 年には二次産業を約 5%ポイント程度下回る 44.3%で あったが、2013 年に逆転し、2015 年には二次産業を 約7%ポイント上回る 50.8%まで上昇した。後述の通 り、他の地域では依然として二次産業のシェアが三次 産業を上回っており、東部地域は三次産業を中心とす る経済構造への転換が最も進んでいる地域だと言える。 過去を振り返ると、東部地域は、1979 年の改革開放後、上海の浦東新区やシンセンを筆頭とする経済 特区など、中央政府の政策的後押しと沿海部の地理的優位性を活かした輸出拠点として、中国経済の 発展をけん引してきた。しかしながら、近年は人件費や人民元相場の上昇によって、こうした輸出に 軸足を置いた経済発展モデルは限界にきているため、政府は三次産業(個人消費)主導の経済発展モ デルへ転換し、持続的な成長を目指す方針に移行しつつある。こうした流れを受けて、習近平政権は 2014 年に三次産業主導の安定成長を「新常態(ニューノーマル)」と命名し、中国全体を輸出・投資 主導の過度な高成長から緩やかに減速させ、「新常態」にソフトランディングさせる目標を掲げた。東 部地域はまさに、こうした「新常態」を他の地域に先駆けて実現しつつある地域と言うことができよ う。 (2)新たなけん引役として期待される中西部地域 製造業や小売り・サービス業が好調 中西部(成都、重慶)地域の拠点が見た景気の現状評 価は、どちらも「やや良好」であった。 詳細を見ると、重慶では製造業の柱の一つであるノー トパソコンの生産が伸び悩んでいるとの指摘があった ものの、総じて景気が良い業種・分野についてのコメ ントが目立った。例を挙げると、自動車産業について 40 42 44 46 48 50 52 2010 2011 2012 2013 2014 2015 名目GDPの産業別シェアの推移 二次産業(東部) 三次産業(東部) (%) (備考)中国国家統計局より作成。 (注)一次産業はおおむね5~6%で横ばい。 自動車販売台数上位10都市(2015年1~10月) (万台) 都市名 省 販売台数 都市名 省 販売台数 成都 四川 40.0 鄭州 河南 23.9 深セン 広東 35.4 蘇州 江蘇 23.5 北京 直轄 32.8 西安 陝西 21.4 重慶 直轄 31.5 上海 直轄 20.5 南京 江蘇 24.1 武漢 湖北 19.9 (注)網掛けは新規ナンバープレート数を制限している都市

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4.5 5.5 6.5 7.5 8.5 9.5 10.5 11.5 12.5 13.5 14.5 15.5 2000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015 実質GDP成長率の推移 東部 東北部 中部 西部 全国 (前年比、%) (備考)1.中国国家統計局より作成。 2.統計の作成元が異なるため、全国値は、各地方の平均値と一致しない。 は、関連産業が集積している重慶において内需向けの生産・販売が好調であり、成都でも販売状況は 良好、成都の自動車販売台数は、渋滞緩和のため購入規制を実施している東部の大都市を抑えて全国 第1 位(2015 年 1~10 月)、重慶も 4 位となるなど、中西部地域の大都市は中国における自動車産業 拡大の一翼を担っている様子がうかがえた。 自動車以外でも、ネット消費を含む小売・サービス 消費は旺盛であり、また、世界遺産が多い四川省で は成都への年間訪問客数が2009 年の 5 千万人程度 から2015 年には 2 億人近くまで約 4 倍に拡大、観 光業が好調のようである。 さらに、沿海部に比べてインフラ整備が遅れている 中西部地域においては、空港の整備・拡張、高速鉄 道網の整備が急速に進むなどインフラ需要も旺盛 という指摘もあった。 二次産業・三次産業とも高い成長 比較的「良好」な経済情勢にある中西部の実質GDP 成長率(前年同期比)の推移を見ると、2009 年頃 から東部や東北部を上回っており、2015 年は全国 ベースの成長率が前年同期比+6.9%、東部が 7.9%、 東北部が+5.1%にとどまる中で、中部+8.2%、西 部+8.6%と相対的に高成長を維持した。 かつて中西部は、内陸で海に面しておらず、山地や 砂漠が多くを占める自然条件もあり、交通・社会イ ンフラの整備が遅れ経済発展も立ち遅れていた。し かしながら、2000 年に打ち出された「西部大開発」や最近では「一帯一路政策」 、中部地域におい ては 2006 年の「中部崛起計画」などの政策支援によって、道路・鉄道網の整備が急速に進み、これ を弾みとして上記の通り他の地域を上回る高い成長を続けている。 また、中西部地域の GDP に占める産業別のシェア を見ると、二次産業が低下し三次産業が上昇してい る傾向は東部と同様であるが、依然として二次産業 のシェア(46.6%、2015 年)が三次産業(42.0%) を上回っており、現在の状況は概ね東部の 2010 年 頃と同じ割合となっている。つまり、中西部におい て、二次産業は引き続き経済の大きな柱であり、自 動車や IT 産業の一大集積地となりつつある現状が 示すように、補助金や税制などの政策的支援、交通 インフラ整備、コストを含めた人的資源確保の優位 性、地場需要への期待などを背景に、成長を続けている。 0 50 100 150 200 250 300 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 北京 上海 成都 (百万人) 年間訪問客数(国内) (備考)中国国家統計局より作成。 30 35 40 45 50 55 2010 2011 2012 2013 2014 2015 名目GDPの産業別シェアの推移 二次産業(中西部) 三次産業(中西部) (%) (備考)1.中国国家統計局より作成。 2.一次産業は11~13%台で推移。

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2 4 6 8 10 12 14 16 18 2010 2011 2012 2013 2014 2015 各地域の二次産業成長率 東北部 東部 西部 中部 全国 (前年比、%) (備考)1.中国国家統計局より作成。 2.統計の作成元が異なるため、全国値は、各地方の平均値と一致しない。 一方、三次産業についても、卸売・小売業のほか、成都を中心とした四川省では観光業が好調であり、 金融や物流拠点としても期待されるなど、二次産業を上回る成長によって GDP に占めるシェアを高 めている。このように、中西部は一昔前の上海・北京のように二次産業、三次産業がともに高い成長 を続ける段階にあり、今や経済成長という意味では東部に代わる存在となる地域であろう。 (3)過剰生産解消に苦しむ東北部地域 重厚長大型の製造業の不振が続く 東北部地域の景気の現状評価については、3 都市のうち「中立」が 2 ヶ所(哈爾濱、大連)、「やや悪 い」が1 ヶ所(長春)であり、「良好」がない分、全体として「やや悪い」状況にあると言える。 なかでも、過剰生産業種を中心とした重化学工業の不振 が目立っている。また、粗鋼生産量国内第4 位(2015 年) の鞍山鉄鋼の大規模な人員削減方針のほか、石油・石炭 業界などの資源分野の苦戦が各拠点で指摘されている。 一方で、東北部においても、スポーツジムやダイエット などの健康、カラオケなどの娯楽、子ども用品、インテ リアなどの生活関連消費、観光業が好調であり、三次産 業もすそ野が広がりつつある側面が見られた。また、自 動車販売も回復基調との指摘もあった。 産業構造の転換に遅れ 東北部は、伝統的に重化学工業が盛んな地域であり、 鉱工業生産総額の上位には、鉄鋼やセメント、ガラス などの過剰生産業種や石油などの鉱物資源関連産業が 並ぶ。政府は、過剰生産業種に対して生産抑制を強い ており、これらの業種が多い東北部では、2013 年から 二次産業の成長率が他の地域を下回っている。2015 年 には前年比で+2.7%まで低下し、GDP 成長率を大き く押し下げる要因となった。 東北部における設備の過剰度合いは、投資比率(固定資 産投資/名目 GDP)を見れば一目瞭然である。投資比 率は、リーマン・ショック以降、全国平均で概ね 45% 程度で推移しており、これ自体も日本のピークである 37%(1973 年度)を大きく上回っているが、東北部で は 60%台にも達しており、もはや異常とも言える水準 である1。今後も、相当の長期に渡り過剰設備削減のた 1 なお、周知の通り、中国の GDP 統計は、各地域の GDP 統計の数値を集計しても全国ベースの数値と大きく乖離しており、 25 30 35 40 45 50 55 60 65 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 投資比率 全国 東北部 (名目GDP比、%) (備考)中国国家統計局より作成。 (備考)遼寧統計年鑑(2014年)、吉林統計年鑑(2014年)、 黒竜江統計年鑑(2014年)より作成。 自動車 12% 石油 11% 食品加工 10% 鉄鋼 9% 非金属(セ メント、ガ ラス等) 7% その他 51% 鉱工業生産総額のシェア(2014年)

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30 35 40 45 50 55 2010 2011 2012 2013 2014 2015 名目GDPの産業別シェアの推移 二次産業(東北部) 三次産業(東北部) (%) (備考)1.中国国家統計局より作成。 2.一次産業は10~11%台で推移。 め固定資産投資が抑制され、景気を下押しすることが予想される。 また、産業構造から見ると、名目GDP に占める三次産 業のシェアは上昇傾向にあるが、2015 年時点でも二次 産業の 45.2%に対して、三次産業は 43.4%と下回って おり、未だ二次産業が主力の経済である。産業構造の転 換は遅れ気味ということになろう。 その原因は、他の地域に比べて三次産業の成長率が低い ためである。特に2014 年以降、東北部の三次産業の成 長率は8%前後に低下、他の地域が 9~10%へ伸びを高 めていることと対照的である。背景には所得環境の悪 化があり、その根底には主力である二次産業の業績が 急速に悪化したことがあるとみられ、経済の牽引役を 二次産業から三次産業へスムーズにバトンタッチでき なったことが、東北部の低成長につながっていると考 えられる。

2. まとめ

成長の中心は東部から中西部へ 以上のような現地における景況感・定性情報にマクロ統計による分析を加えると、各地域の経済情勢 は以下のように整理できよう。 投資比率については各地域とも全国ベースの数値よりも高い点には留意が必要である。それでも、60%超という水準は極め て高いということに変わりはない。 7 8 9 10 11 12 13 2010 2011 2012 2013 2014 2015 各地域の三次産業成長率 東北部 東部 西部 中部 全国 (前年比、%) (備考)1.中国国家統計局より作成。 2.統計の作成元が異なるため、全国値は、各地方の平均値と一致しない。 東部平均 北京 上海 天津 河北 江蘇 浙江 福建 山東 広東 海南 東北部平均 遼寧 吉林 黒竜江 山西 安徽 江西 河南 湖北 湖南 中西部平均 内モンゴル 広西 重慶 四川 貴州 雲南 チベット 陝西 甘粛 青海 寧夏 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 一 人 当 た り G D P 前 年 比 3 ヵ 年 平 均 ( % ) 一人当たりGDP(ドル) 一人当たりGDP(2015年)の水準と伸び率の比較 発展中・後進地域 成熟・先進地域 発展中・先進地域 停滞・後進地域 新疆 全国平均7.7% 中所得 高所得 (備考)1.中国国家統計局より作成。 2.東部、東北部、中西部の値は加重平均値。 3.縦軸は各省の2013年~15年の前年比の平均値。 4.世界銀行による中所得国の基準は一人当たりGNI 1,026~12,475ドル(2015年)。

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まず、東部地域は、一人当たりGDP が 11,000 ドルを超え、概ね「高所得」の領域に入りつつある。 そのため、経済の成熟化に伴って成長ペースが鈍化する「成熟・先進地域」に分類することができる。 個別に見ると、一人当たりGDP が 16,000~18,000 ドルに達する上海市や北京市、天津市といった直 轄市が最先端の「成熟・先進地域」となり、12,000~14,000 ドル辺りの江蘇省、浙江省など他の東部 の省が後を追う形となっている。そして、成長率は江蘇省を除いて全国平均を下回っており、その成 長の原動力は三次産業である。 東北部は、一人当たり GDP が平均で 8,000 ドル強の「上位中所得」に位置しているが、構造的問題 を抱え成長が頭打ちしており、いわば「停滞・後進地域」の領域に落ち込んでいる。こうした姿は、 いわゆる「中所得国の罠」に陥っているという見方もできよう。省別に見ても、遼寧省、吉林省、黒 竜江省のいずれも中所得にもかかわらず成長率が低い「停滞・後進地域」に分類されている。 その一方で、中西部は、一人当たり GDP が平均で 6,000 ドル強と低いが、その分、成長余地は大き く、成長率が相対的に高い「発展中・後進地域」に分類される。「若い経済」であるが故、二次産業に おいても成長余地が多く残されており、適切な産業政策の下、十分な資源配分がなされれば、三次産 業ともども高い成長を持続することが可能であろう。 こうした各地の経済情勢を併せて見ると、規模の大きさだけでなく先進的という意味でも、中国経済 における東部・沿海部地域の圧倒的な存在感は変わらないものの、経済成長という観点では東部から 中西部に中心が徐々に移りつつあると言えるだろう。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、伊 藤忠経済研究所が信頼できると判断した情報に基づき作成しておりますが、その正確性、完全性に対する責任は負い ません。見通しは予告なく変更されることがあります。記載内容は、伊藤忠商事ないしはその関連会社の投資方針と 整合的であるとは限りません。

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