1 2018 年 6 月 8 日 日本銀行決済機構局 「日銀ネットの有効活用に向けた協議会」第 19 回の議事概要について 日本銀行は、「日銀ネットの有効活用に向けた協議会」の第19回会合を2018年5月 28日(月)に開催しました。議事概要および資料等につきまして、別紙のとおりお知ら せします。 以 上 (本件に関する照会先) 日本銀行決済機構局 決済システム課 【電子メール】[email protected] 【電話】03-3277-1173 ※ 件名は、「協議会に関する質問の件(法人名)」としてください。
2 (別 紙) 「日銀ネットの有効活用に向けた協議会」第 19 回会合の議事概要 Ⅰ.日 時 2018 年 5 月 28 日(月)16:00~17:00 Ⅱ.場 所 日本銀行本店会議室 Ⅲ.参 加 者 別添 1 のとおり Ⅳ.議 題 (1)クロスボーダーDVPリンクについて ―― 実現時期、決済フロー、取引実施に向けた検討事項 (2)これまでの取組みのフォロー、フェーズⅡ(更なる稼動 時間の拡大)に向けて ―― グローバル・アクセス・円建て顧客送金、海外の取 組み(最近の 24/7 即時送金の開始など)のフォロー (3)事務連絡 Ⅴ.議論の概要 1.開会挨拶(日本銀行理事 桑原) 日本銀行から、本年4月、日銀ネット国債系と香港ドル即時グロス決済シ ステムとの間のクロスボーダーDVPリンク構築に向けた対応を開始する旨 を公表した。本件については、これまで、この協議会の場を含め、皆様から 前向き、かつ有益なご意見を頂いてきたことに、あらためて御礼を申し上げ る。 従前から議論されてきたことであるが、この取組みにより、日本国債を担 保に直接香港ドルを調達する、クロスカレンシーレポ取引における決済の安 全性が高まり、市場ストレス時においても、金融機関の皆様が安定的に外貨 調達を行うことを決済の面から後押しする効果が期待されるほか、外貨調達 手段の多様化にも繋がると捉えている。さらには、担保資産としての日本国 債の有用性向上につながることも期待している。 もっとも、システムを構築しても、金融機関の皆様に利用頂けなければ、 その真価が発揮されない。新たな決済スキームを利用頂くことで、クロスカ レンシーレポ市場の厚みが増していく好循環が期待される。クロスボーダー DVPリンクを積極的に活用頂けるよう、金融機関の皆様には、こうした協 議会の場などを通じて、各種検討の推進や情報共有を図っていければと考え ている。
3 また、これまで皆様と一緒に進めてきた、グローバル・アクセスの更なる 利用や円建て顧客送金ニーズの顕現化といった課題についても、引き続き、 粘り強く取組む必要がある。こうした課題に関しては、海外の決済システム の動向についても、アンテナを高くフォローしていくことも肝要と考えてい る。 私どもとしては、本日の議論が、日銀ネットの更なる活用に繋がり、決済 の効率性や安全性の一層の向上に寄与することを期待している。本日も、皆 様から積極的にご意見を頂くようお願いを申し上げ、私からの挨拶とさせて 頂く。 2.日銀ネット国債系と香港ドル即時グロス決済システムとのクロスボーダー DVPリンクの構築 ○ 日本銀行より、日銀ネット国債系と香港ドル即時グロス決済システムとの 間のクロスボーダーDVPリンク(以下、クロスボーダーDVPリンク)の 構築について、資料に沿って概要を説明(別添2~5)。 (クロスボーダーDVPリンクの構築に向けた対応の開始) 本年4月、香港金融管理局との間で、クロスボーダーDVPリンクの構築 に向けた対応を、本年度から開始することを公表した。現時点では、2021 年 春頃の実現を目指し、準備を進めていく方針。具体的な実現時期については、 準備の進捗などを踏まえ、適時、お知らせする。 本取組みは、2013 年、ASEAN+3に設置された「クロスボーダー決済 インフラ・フォーラム(CSIF)」の枠組みの中で検討が進められてきたと ころであるが、本年5月のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議でも 本取組みを歓迎する旨の共同声明が出されている。 (クロスボーダーDVPリンクの決済フロー) 決済フローのポイントは次の3点。一つ目は、取引の起動が、香港ドルの 決済システムに参加する香港ドルの出し手から出す決済指図となる点(別添 3、図中①)。 二つ目は、異なる2つのFMI、具体的には、日銀ネット国債系と香港R TGSシステムに跨りDVPを実現するために、証券サイドである日銀ネッ ト国債系および資金サイドである香港RTGSシステムの各々において、証 券および資金の残高を一旦ブロック・ホールドする点(別添3、図中⑤・⑧)。 三つ目は、資金の振替が行われた後、速やかに証券の振替を行うことで、 DVPを実現する点(別添3、図中⑫・⑮)。
4 日銀ネット側の対応としては、利用先との電文をコンピュータ接続の対象 とすることで、円滑なSTP処理を行えるよう配慮する予定。また、将来の 発展性を確保する観点から、日銀ネットと香港ドル決済システム間の通信 ネットワークには SWIFTNet を利用し、電文フォーマットには国際標準メッ セージである ISO20022 を採用する予定である。 (クロスボーダーDVPリンクの活用に向けた議論のポイント) 次に、クロスボーダーDVPリンクの活用に向けた議論のポイントについ て説明する。このクロスボーダーDVPリンクは、取引実態に即して別の言 い方をすれば、日本国債を担保に香港ドルを調達・運用するクロスカレンシー レポ取引における、決済リスクフリーの決済スキームといえる。従って、こ の決済スキームの活用に向けては、バックの決済に関する議論に止まらず、 クロスカレンシーレポ取引全般に関して、フロントやミドルの論点、つまり、 取引ニーズや取引慣行といった点についても議論をしていくことが重要。 ここでは、クロスボーダーDVPリンクの活用に向けた様々な検討事項に ついて、当協議会の第 16 回会合時に取り纏めた「共通理解」で挙げられた事 項のほか、その後、個別に意見交換をさせて頂いた内容を踏まえて纏めてい る(別添4)。 まず、取引ニーズや最近の動向は、本邦金融機関の海外ビジネスが拡大す る中、現地通貨の調達、特に香港ドルの市場性調達ニーズは比較的大きいと 捉えている。また、香港ドルの出し手側でも、近年の規制強化を受けた有担 保でのレポ運用について、恒常的なニーズがあるものと思われる。 現状、外貨調達手段として大きなウェイトを占める為替スワップ取引との 比較では、コスト面で優位となる可能性に加え、米ドルの流動性が枯渇する ような市場ストレス時においても、日本国債を利用して直接香港ドルを調達 できるスキームを用意しておくことが、金融機関の外貨調達手段の多様化、 安定的な調達手段の確保に繋がり得るとの意見もある。さらに、こうした取 組みにより、クロスカレンシーレポ市場の拡大・発展に繋がり得るとも考え られる。 次に、取引慣行、具体的には、クロスカレンシーレポ取引の契約標準化や 決済照合の方法、さらには、各種カットオフタイムや決済サイクルについて、 説明する。この点についても、金融機関と意見交換をさせて頂いたが、まず、 レポ取引の契約標準化では、既に、クロスカレンシーレポ取引においてはG MRA(Global Master Repurchase Agreement)ベースの契約がデファクト となっている中、改めて、標準フォーマットについて議論を行う意義は乏し いとの声が聞かれた。むしろ、新規参加者に対して、GMRAベースの契約 を慫慂していくのが望ましいとの意見があった。
5 次に、決済照合事務の効率化については、以前に、証券保管振替機構の決 済照合システムを利用することで、STP化を促進してはどうかという意見 があった一方で、こうした利用を義務付けることは、却って参入コストを上 げる結果となる懸念もあるため、まずは、相対でのマニュアル照合から始め て、取引件数を踏まえ、必要に応じ、決済照合システム等の活用余地を検討 するといった段階的なアプローチが適当との意見もあった。 また、取引を円滑に進めるため、照合時限や決済時限に関する各種カット オフタイムを設定する必要性についても指摘を頂いたところ。日本と香港と の時差は1時間であるため、決済の観点からは、日銀ネットの国債決済にお けるコアタイムである9時から 16 時半までの間で、十分決済可能と考えてい る。その上で、合理的なカットオフタイムを設定していく必要がある。 さらに、照合や決済の処理時限、システム化によるSTP対応を含めた事 務態勢の整備、また、取引の決済サイクル、つまり、T+何日で決済するの か、先般実施された、日本国債の決済期間の短縮化、特に非居住者取引との リンケージも踏まえて、検討していく必要。この点、当該取引は、平時だけ でなく非常時におけるバックストップとしての活用余地が大きい(その場合 は、可能な限り、決済サイクルは短い方が良い)点を踏まえた上で、検討を 進める必要がある。 次に、事務態勢の整備やシステム開発面については、日銀ネットの関係で は、金融機関と送受信する電文は、コンピュータ接続の対象とする。コン ピュータ接続での利用に向けたメッセージフォーマット仕様書のほか、入出 力イメージなど金融機関のシステム開発や事務態勢の整備に必要な情報につ いては、今後の開発プロジェクトの進捗に併せ、タイムリーに開示していく 予定。 さらに、担保管理に関し、ICSDのトライパーティレポ取引における担 保管理サービスを利用することなく、クロスカレンシーレポの期中管理を自 前で行っていく場合、値洗いやマージンコールに関する事務手順やシステム 整備が必要となる。このため、システム開発をどのように進めていくかも重 要なポイントになろうかと思う。 最後に、クロスカレンシーレポ市場の発展に向けた裾野の拡大について。 先ほどの決済フローに即すと、典型的な取引の当事者として、香港ドルの調 達サイド(日本国債の出し手)が邦銀本店(別添3、図中A銀行)、香港ドル の運用サイド(日本国債の受け手)が香港を地盤とする金融機関の本店(同 B銀行)、そして、日本国債の受入先に香港を地盤とする金融機関の東京拠点 (同β銀行)、反対に、香港ドルの入金先に邦銀の香港拠点(同α銀行)、と いったケースが想定される。 この点、香港ドルの調達ニーズの拡がりを踏まえると、こうした典型的な
6 パターン以外に、取引の当事者を拡大していく必要がある。例えば、日銀ネッ トにアクセスは持つものの、香港RTGSシステムにアクセスを持たない金 融機関に対し、コルレスバンキングサービスを提供する、つまり口座管理サー ビスの提供などが重要になってくるかと思われる(同α銀行)。 ○ その後、自由討議が行われた。概要は以下の通り。 本日は、資金部門の視点から、関連する状況を紹介する。まず、現状にお いては、香港ドルと日本国債との間のレポ取引自体は、さほど活発ではない と認識。当行の香港本店は香港ドルの出し手となるが、香港ドルの運用方法 は、無担保での銀行間放出のほか、香港の短期国債による運用が大半を占め ており、クロスカレンシーレポ取引を含むレポ取引はさほど行っていない。 もっとも、米ドルやユーロでは、資金調達需要も強く、無担保での資金放 出に加え、クロスカレンシーレポ取引も、活発に行われているところ。この 点、香港ドルに関しても、クロスボーダーDVPリンクという利便性の高い 運用の仕組みが構築され、需要の拡大がみられた場合には、リスク資産の削 減および普通株式等 Tier1 比率等のキャピタルレシオの改善への寄与が見込 まれるため、香港本店から、クロスボーダーDVPリンクの活用を前向きに 検討する意義があると聞いている。 続いて、実際の取引事務に関しては、GMRAベースで対応可能と考えて おり、担保管理についても、自行システムを構築済みであるため、バイラテ ラルの取引が実行可能。事務態勢の整備については、取引件数の推移を確認 しつつ、当面はマニュアル対応を行い、大掛かりなシステム開発は行わない 方針になると思う。 日本銀行の対外公表を受け、より詳細な検討を開始したところ。実際の決 済フローに、当行の取引を当てはめてみると、日銀ネット国債系に参加する 当行東京拠点が日本国債の受入先に、香港RTGSシステムに参加する当行 の香港本店が香港ドルの出し手となることが想定される。 この点、カストディとなる当行東京拠点の観点からは、日本円と日本国債 のDVPであれば、当行東京拠点が SWIFT から資金と国債の両方の指図に関 する電文を受け取ることが一般的な決済フローとなるため、クロスボーダー DVPリンクにおいて香港本店が資金指図の電文を発信する点について、何 らかの工夫が必要と考えている。 また、当行東京拠点と香港本店の間を繋ぐ事務フローの構築やシステム接 続が必要。この点、大掛かりなシステム対応は行わず、まずは、オペレーショ ナルリスクを最小限に抑えつつも、マニュアル対応を行うことが想定される。 邦銀の立場から申し上げると、本件については、円および日本国債の国際 化に資する取組みとして、日本銀行および民間金融機関の両面で推進すべき
7 案件と認識。本協議会等を利用しながら、幅広い市場参加者を巻き込んで進 めるべきと考えている。香港ドルとのリンクに始まり、将来的に、他通貨お よび他中銀とのクロスボーダーDVPリンクの構築に繋がっていけば、円お よび日本国債の国際化に大きく寄与すると期待している。 同時に、検討すべき課題もある。本件は民間金融機関の間での取引をサポー トする枠組みと認識しているが、多数の金融機関が利用しなければ、有効に 機能し難いことが予想される。このため、香港ドルを保有している多数の金 融機関を巻き込み、取引を活性化させていくことが重要である。また、個別 金融機関の立場から申し上げると、システム開発ならびに事務態勢の整備等、 相応のリソースを割いて準備を進めていく必要。 また、取引の活性化に向けては、幅広い参加者が利用できる機会を作り出 していく取組みが、非常に重要になってくる。例えば、大手邦銀としては、 他の金融機関が日本国債を担保に香港ドルの調達する場合に、代行決済サー ビスを提供することを、検討していくことが考えられる。 香港ドルの調達サイドの視点から当行の調達環境について述べると、以前、 当協議会でクロスボーダーDVPリンクが議論に取上げられた 2016 年(第 16 回協議会)の認識から、大きな変化はみられていない。また、現地預金によ る調達も行っているものの、依然として、為替スワップによる調達に大きく 依存。このため、今回のクロスボーダーDVPリンクの構築は、邦銀として 調達手段の多様化に資する取組みと捉えている。 同時に、調達手段を選択する上では、経済合理性、つまりプライシングが 重要となるため、この点も考慮していく必要があると認識。また、本件は新 しいマーケットを作っていく取組みであるため、クロスボーダーDVPリン クが実現した際、直ちにクロスボーダーレポ取引が高い頻度で成立すること は想定し難い。このため、資金の出し手が参入しやすい制度設計のほか、利 用者の裾野の広がりを意識した事務・システム設計を配慮願いたい。 グローバルに流動性を管理する立場から申し上げると、クロスカレンシー レポ取引はさほど活発ではないとはいえ、長いターム物を中心に取引実績が ある。加えて、関心が高いのは、為替介入に伴い、市場から香港ドルが吸収 されるように、為替市場の影響が、短期マーケットの流動性不安に連鎖する ケース。そのような場合に、T+0決済またはT+1決済によるクロスカレ ンシーレポ取引を機動的に活用できると、不測の事態への対応力を向上させ ることが可能となる。平時からどの程度活用できるかは、当行の預貸動向等 によるものの、こうしたバックストップの観点からも、検討する価値がある と考えている。
8 3.これまでの取組みのフォロー、フェーズⅡに向けて ○ 日本銀行より、これまでの取組みのフォローに関し、グローバル・アクセ スおよび円建て顧客送金等の夕方・夜間の日銀ネット稼動時間の有効活用に ついて説明。概要は以下の通り。 これまでの取組みのフォローに関し、グローバル・アクセスでは、前回の 協議会開催時(昨年 12 月)に利用受付を開始した。その後、実際の活用事例 もみられている。この間、グローバル・アクセスに関心をお寄せいただいた 金融機関との対話の中で、金融機関ごとに経営方針等の事情があるほか、端 末を設置する国外拠点と調整が必要である等、個別の事情があることを改め て認識したところ。 また、英語でのサポート、例えば、日銀ネットの画面表示の英語化といっ た対応ができないかとの声も頂いている。この点、少なくとも当面は、画面 表示等の英語化はコストの面からも難しいと考えている。まずは、現在提供 しているファシリティを前提に、どのような活用が可能か検討を行っていき たいと考えており、金融機関の皆様と継続的に意見交換をさせて頂きたい。 また、夕方・夜間の日銀ネット稼動時間の有効活用については、従来、欧 州市場での日本国債の活用などの観点から有益との指摘を頂いているほか、 円建て顧客送金ニーズの掘り起こしについても取組みを進めてきたところ。 この間、夕方・夜間の決済に関する環境変化も幾つかみられる。例えば、日 本国債の決済期間の短縮化(5月実施)においても、日銀ネットの稼動時間 が延長されていることが、いわばバックストップの役割を果たしているとの 見方もある。また、全銀モアタイムシステムの稼動開始(10 月予定)や全銀 EDIシステムの稼動開始(12 月予定)が見込まれる中、事業法人側での夕 方・夜間の事務態勢の整備等、対応余地が広がる可能性もある。こうした環 境変化も捉え、有効な活用の余地を探っていきたい。 ○ 続いて、日本銀行より、海外における最近の 24/7即時送金等の開始に関し、 欧州、豪州および中国の事例について、紹介を行った(別添6)。 4.閉会の挨拶(日本銀行決済機構局局長 山岡) 二つほど申し上げたい。一つは、世界的なインフラ競争が進んでいる点。 他の中央銀行と話をすると、皆さん「先行きを含め、様々なプロジェクト案 件が目白押しであり、大変忙しい」と言っている。 先程、日本銀行側からご紹介した欧州や豪州、中国の事例に加え、米国や 英国でも大規模なインフラの見直しや構築が進んでいる。欧州でも、24/7 即 時送金のほか、TARGET2そのものの大規模な再構築も進められている。この
9 ように、世界的にみて、民間インフラの見直しも多々あるが、同時に、中央 銀行のインフラも大変な変換期を迎えている。 その大きな要因として、金融業自体のインフラ化が進んでいることが指摘 できる。例えば、トレーディング業務では、ビックデータやAIを活用した 取引や、HFT(高頻度アルゴリズム取引)の普及が進んでいる。 こうした流れ自体はもう止められないだろう。金融の本質的な機能である、 「各主体にとって最適なリスクとリターンの組み合わせを実現・調整する機 能」を、安全かつ迅速かつ効率的に行えるインフラの有無が、金融業の競争 力を決定していくと考えられる。中央銀行のインフラが変革期を迎えている ことは、経済活動の主役である民間の方々の活動をサポートする観点から、 インフラ提供者としての中央銀行自身も、絶えず前向きな問題意識を持ち、 努力していかなければならないという状況を反映している。 二つ目に申し上げたい点は、日本の少子高齢化である。この中では、蓄積 された貯蓄をどのように投資し、いかに配当やリターンを得るかを、国の経 済を支える重要な活動として考えていかざるを得ない。そのためには、国外 の投資機会を上手く捉えるとともに、ファンディングをいかに行うかが重要 となる。この点、過去、米ドルのスワップ調達レートが跳ね上がる事態に何 度も直面したことを踏まえると、今後も米ドルのスワップ調達に依存した投 資を行っていくことには、相当慎重にならざるを得ないと思われる。この観 点からも、クロスボーダーDVPリンクを、ぜひ活用頂きたいと考えている。 皆様からもご指摘頂いた通り、インフラは、市場の育成と一体となってこ そ、初めて活かされることになる。こうした認識のもと、日本銀行としても 引き続き努力していきたい。こうした取組みは、日本経済を今後いかに発展 させていくかという観点からも、非常に重要な鍵と考える。 また、このような取組みを進めていくためには、本会合のような皆様との 意見交換の場が、日本銀行にとって非常に重要と考えている。皆様と日本銀 行の両方において、コストやリソースなど様々な制約は常にあるわけだが、 そうした制約の中でも、皆様との意見交換の機会を活用しながら、中央銀行 として何ができるのか、真摯に検討して参りたい。 5.今後の予定 ○ 日本銀行より、本日の議事概要については、これまでと同様に当行ホーム ページで公表する旨連絡。また、次回会合は、参加者と調整の上で開催する 予定である旨連絡。 以 上
2018年5月28日(月) (於 日本銀行 大会議室B) クレディ・アグリコル証券 日本銀行(事務局) 日本銀行(事務局) 日本銀行(事務局) 日本銀行(事務局) 日本銀行(事務局) 日本銀行(事務局) 信託協会 国際銀行協会 日本証券業協会 み ず ほ 銀 行 三 井 住 友 信 託 銀 行 ニ ュ ー ヨ ー ク メ ロ ン 信 託 銀 行 日 本 銀 行 ( 事 務 局 ) 短資協会 全国地方銀行協会 第二地方銀行協会 短期金融市場取引 活性化研究会 全国銀行協会 日 本 銀 行 ( 事 務 局 ) 三 菱 U F J 信 託 銀 行 全国信用金庫協会 J P モ ル ガ ン 証 券 野 村 證 券 農 林 中 央 金 庫
日銀ネットの有効活用に向けた協議会
ゴ ー ル ド マ ン ・ サ ッ ク ス 証 券 ドイツ証券 オーストラリア・ コモンウェルス銀行 ニューヨークメロン 銀行 モ ル ガ ン ・ ス タ ン レ ー M U F G 証 券 シ テ ィ グ ル ー プ 証 券 み ず ほ 証 券 大 和 証 券 S M B C 日 興 証 券 三 菱 U F J 銀 行 三 井 住 友 銀 行 シ テ ィ バ ン ク 、 エ ヌ ・ エ イ スタンダード チャータード銀行 バークレイズ銀行/ バークレイズ証券 り そ な 銀 行 三 菱 U F J モ ル ガ ン ・ ス タ ン レ ー 証 券 J P モ ル ガ ン ・ チ ェ ー ス 銀 行 香 港 上 海 銀 行(別添1)
2018 年 4 月 10 日 日 本 銀 行 日銀ネット国債系と香港ドル即時グロス決済システムとの間の クロスボーダーDVP リンクの構築に向けた対応の開始について 日本銀行は、香港金融管理局との間で、クロスボーダーでの日本国債と香港ドル の受け渡しについて、決済リスク削減などの観点から、これらの同時決済「DVP (Delivery versus Payment)」を実現するための枠組み(クロスボーダーDVP リン ク)の構築を検討してきました。
―― クロスボーダーDVP リンクについては、2013 年、ASEAN+3 において「クロス ボーダー決済インフラ・フォーラム(Cross-border Settlement Infrastructure Forum, CSIF)」が設置され、検討が進められてきています。また 2015 年 5 月 には、日本銀行と香港金融管理局が、本件に関する共同調査の結果を公表して います。 こうした検討を踏まえ、この度日本銀行は、日銀ネット国債系を香港ドル即時グ ロス決済(RTGS)システム1と接続し、日本国債と香港ドルを同時決済するためのク ロスボーダーDVP リンクの構築に向けた対応を、2018 年度から開始することとした のでお知らせします。 現時点では、本クロスボーダーDVP リンクの構築は、2021 年春頃の実現を目指し て準備を進めていく方針です。具体的な実現時期につきましては、今後、日本銀行 および香港金融管理局における準備の進捗などを踏まえて、あらためてお知らせし ます。 日本銀行は、今後とも香港金融管理局や日銀ネット利用金融機関等の関係先と緊 密に協力しながら、本件の実現に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。 以 上 <本件照会先> 決済機構局 決済システム課 柳井、吉村 【電話】03-3277-1173、03-3277-1096
1 Hong Kong dollar Clearing House Automated Transfer System(香港ドルの決済システム)。
(参考:クロスボーダーDVP リンクのイメージ) (日本銀行) (香港金融管理局) 香港ドル RTGS システム 金融機関 A 金融機関 B 香港ドル 日銀ネット国債系 金融機関 A 金融機関 B 日本国債 DVP 接続 日本 香港 システムを接続することにより、 同時決済(DVP)を実現
日銀ネット(国債系)と香港ドル決済システム間のDVPリンクの決済フロー
<決済フロー>
<日銀ネット・香港ドル決済システム間の主な構成>
通信ネットワーク
SWIFTNet
電文フォーマット
ISO20022 (pacs.002/admi.002)
④‐3 DVP決済指図 (証券) 日銀ネット国債系 A銀行 (例:地場銀行) β銀行 (B銀行のカストディアン) ⑮証券振替 香港RTGSシステム ⑫資金振替 B銀行 (例:地場銀行) α銀行 (A銀行のコルレス銀行) ④-2通知 ⑥通知 ⑯通知 リンクI/F日本
香港
A銀行 β銀行 α銀行 B銀行 リンクI/F ⑨通知 ⑬通知 ⑤証券残高をブロック(④‐3受領後) ⑩通知(資金ホールド済み) ⑦通知(検証済み) <日本国債の売り手> <日本国債の買い手> ①DVP決済指図 (資金) ④‐1マッチング データ ⑧資金残高をホールド ②通知(検証依頼) ⑪通知(証券ブロック済み) ⑭通知(資金振替済み) ③通知(検証依頼) 検証 日銀ネットの有効活用に向けた協議会 第19回資料(別添3)
2018 年 5 月 クロスボーダーDVPリンク(日銀ネット国債系と香港ドル即時 グロス決済システム)の活用に向けた議論のポイント 1.取引ニーズ、最近の動向 香港ドルの調達・運用ニーズ ―― 香港ドル建貸出等のための市場性調達ニーズ、余資運用手段の多様化 日本国債を担保に香港ドルを調達/運用するクロスカレンシーレポの実施 ―― 市場ストレス時も含めた外貨調達手段の多様化、クロスカレンシーレ ポ市場の拡大 2.取引慣行(レポ契約の標準化、決済照合、取引時限、決済サイクルなど) クロスカレンシーレポの契約フォーマットはGMRAベースが一般的 決済照合事務の効率化は、取引件数・導入のし易さなどを踏まえて検討 香港との時差を踏まえた、無理のないカットオフタイムの設定 事務手順の整備やシステム化によるSTP処理、緊急時のバックストップ の側面も踏まえ、合理的な決済サイクルを検討 3.事務態勢の整備、システム開発 日銀ネット関連のシステム開発(コンピュータ接続の利用など) クロスカレンシーレポにおける担保管理システムの整備 4.その他 コルレスや国債の階層構造を通じた取引形態の拡がり(ノストロ銀行に よる決済サービスの提供) 以 上 日銀ネットの有効活用に向けた協議会 第 19 回資料
(別添4)
2016 年 9 月 「クロスボーダー決済インフラ WG」における議論のポイント<共通理解> (外貨に関するニーズ) (1)一般的な外貨ニーズ ・ニーズや関心の高い外貨は、米ドル、ユーロ、英ポンド、アジア・オセアニ ア通貨(香港ドル、豪ドル、シンガポールドルなど)。 (2)香港ドルのニーズ ・ALM や規制対応等の観点から、香港ドルの調達・運用ニーズがある。 ・JGB を担保に香港ドルを調達するクロスカレンシー・レポを既に実施。 ・主にコンティンジェンシー目的で外貨調達手段の多様化を検討している顧客 は多く、香港ドルをアジア時間の早いうちから確保できるか、との声もある。 (クロスカレンシー・レポについて) (1)現状認識 ・昨今、クロスカレンシー・レポの需要が高まってきている。 ・相手方となる海外の銀行・証券会社における JGB の調達ニーズも増えてきて いる。 ・円投コストが上昇した局面においても、クロスカレンシー・レポのレートは 比較的安定。 ・米ドルを介さずに、JGB を担保に直接現地通貨を調達できれば、コスト面で のメリットは大きい。 (2)要検討事項 ・実務的な論点(契約関係の標準化等)について検討していく必要。 ・資金と証券の決済タイミングにギャップがあることに伴うクレジットリスク の管理が課題。 ・クロスカレンシー・レポ市場が拡大していくためには、インフラの充実(決 済システムの稼動時間拡大、決済システム間の接続)や、ノストロ銀行によ る証券会社等に対する決済サービスの提供が極めて重要。 日銀ネットの有効活用に向けた協議会 第 19 回資料 日銀ネットの有効活用に向けた協議会 第 19 回資料 (参考)日銀ネットの有効活用に向けた 協議会第 16 回資料
(別添5)
(クロスボーダーDVP リンクについて) (1)現状認識 ・クロスボーダーDVP リンクは、邦銀の外貨ファンディングに資するほか、わ が国経済に貢献する意味でも重要な取組みであり、非常に意義がある。 ・海外の資金決済システムと日銀ネット(国債系)の双方にアクセスを持つ金 融機関にとっては、決済ビジネスが拡大するチャンス。 (2)要検討事項 ・バイラテラルに 1 先ずつ接続先を掘り起こしていきながら、最終的にマルチ ラテラルな接続につなげてコストを下げていくこと(ネットワークの外部性) が重要。 ・一つの決済システムの中で全ての決済が整い、当該ネットワークの外で別途 の決済を行う必要が無くなる枠組みとなれば理想的。 (香港との DVP リンクについて) (1)現状認識 ・マネーマーケットに制約(通貨スワップ等の特定のプロダクトへの偏り)の ある香港とのリンクは、民間のニーズとも合致した方向性。 ・日本と香港の中銀間における決済インフラの接続が実現すれば、ビジネスに 繋げていけるチャンス。 (2)要検討事項 ・香港との接続方法をある程度一般化できれば、接続先が増える際の追加コス トは逓減していくというメリットもある。 【クロスボーダー決済インフラ WG メンバー】 みずほ銀行、三菱東京 UFJ 銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、 シティバンク銀行、JP モルガン・チェース銀行、香港上海銀行、 スタンダード チャータード銀行、バークレイズ銀行、ドイツ証券、 バークレイズ証券、クレディ・アグリコル証券、JP モルガン証券、 ゴールドマン・サックス証券、農林中央金庫、野村證券、SMBC 日興証券、 大和証券、みずほ証券、モルガン・スタンレーMUFG 証券(順不同)
最近の 24/7 即時送金スキームの動向など
【欧州】
2017 年 11 月より、単一ユーロ決済圏(Single Euro Payment Area :SEPA)の一環として、24/7 即時送金スキーム(SEPA Instant Credit Transfer :SCT Inst)が開始。
―― 送金1件当たり 1.5 万ユーロ、欧州 15 か国で 1,000 を超 える金融機関が参加。個人間送金の取込に向け、携帯電話 番号による送金も実施予定。
2018 年 11 月より、ECB では、24/7 即時送金のサポートに特化 した専用決済インフラである、TIPS(Target Instant Payment Settlement)を稼動予定。
【豪州】
2018 年 2 月より、24/7 即時送金システム(New Payments Platform :NPP)が本格稼動を開始。 ―― 同国の約8割の顧客口座をカバー。簡易アドレス(PayID) による送金サービスも提供。 NPP では、RBA が即時の銀行間決済を可能とするリテール専用 の中銀決済システム(Fast Settlement Service :FSS)を構築。 NPP は①支払指図を交換する Basic Infrastructure、②FSS、 ③ NPP を 活 用 し た 付 加 価 値 サ ー ビ ス を 展 開 す る OverLay Service から構成され、顧客ニーズに応じた柔軟なサービス提 供が可能な設計となっている。