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平成27 年 9 月 15 日

ロシアの原油生産と輸出動向(2)

前篇では、ロシアの原油埋蔵量、油田、石油生産、石 油企業、製油所および原油性状について紹介した。 EIA(米国 エネルギー情報局)レポート(2015 年 7 月)によると、2013 年 ロシアは、石油(含むコンデン セート)および天然ガスの輸出収入が同国歳入の50%以 上となっている。また、総輸出額でも68%となっており、 同国は資源輸出大国である。 2014 年 ロシア産原油(含むコンデン セート)の 60%以上および天然ガスの 90%以上は欧州向けに輸出されている。 一方 欧州は、原油および天然ガスの 30%以上を同国からの輸出に依存してい る。このように同国と欧州は、相互に大 きく依存した関係である(図5 参照)。 本レポート後編では、ロシアの原油輸 出動向、輸出インフラおよび輸入国(中 国、韓国および日本)への影響を報告す る。 (注意:項No、図・表No は前篇からの続き番号とする) 4 原油輸出 4-1 原油輸出動向 2000 年以降、ロシアの原油生産の拡大に伴い、同国産原油輸出も急増し、2000~2004 年にかけて毎年10%を大きく上回る増加を示した。その後、原油輸出は停滞し、原油生産 が減少した2008 年を除き、2010 年までは 2 億 5,000 万トン前後で推移した。しかし、2010 年を境に、原油生産は漸増する一方、輸出の減少が目立ち始め、2014 年は前年比 5.6%減 の2 億 2,340 万トンに終わっている(図 6 参照)。 2015 年度

第 16 回

2 4 原油輸出 1 4-1 原油輸出動向 1 4-2 原油輸出促進に 向けた税制改革 3 4-3 原油輸出ルート 4 4-4 ロシア産原油の輸入国 10 5. まとめ 16 図 5 ロシア産原油(含むコンデンセー ト)の輸出先(2014 年) 欧州 61.7% ベラルーシ 9.4% 中国 13.9% 日本 5.8% 韓国 2.3% その他 6.9% (出所:EIA)

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ロシアでは、2004 年以降の原油輸出が停滞した背景には、原油の輸出関税率に対して黒 油(重油、潤滑油)の輸出関税率が極めて低い水準に設定されていたことがあるとみられ る。同国では、原油の輸出関税は、原油国際価格上昇に応じて累進的に引き上げられる設 定になっている。2011 年まで同税率フォーミュラー係数は、4 段階に設定されており、石 油生産企業にとって原油輸出に伴う輸出関税の負担が重くのしかかっていた(表6 参照)。 P:原油価格帯(bbl) T:税率フォーミュラー ① $15 未満 T= 0 ② $15 以上~$20 未満 T= (P-15) × 0.35 ③ $20 以上~$25 未満 T= 1.75+(P-20) × 0.45 ④ $25 以上 T= 4+(P-25) × 0.65 これに対し、2011 年まで黒油の輸出関税率は、0.38 と原油に対して大幅に低く抑えら れていた。ロシアの垂直統合型石油企業(油田開発、石油精製および販売までを広く手が ける大手企業)としては、原油輸出を抑制する一方、黒油の輸出を増やすという経営方針 に傾くのは当然のことであった。 ロシアでは、こうした輸出関税体系は、原油生産企業の投資意欲を削ぐとともに、石油 精製事業における近代化を阻む要因になっているという批判が出た。2011 年 1 月 前述批 判を受けて、同国政府は黒油の輸出関税率を原油の0.467 に引き上げた。2011 年 10 月 同 国政府は、黒油および白油(除くガソリン)ともに、輸出関税率を原油の0.66 に設定する とともに、原油価格$25/bbl 以上の場合の原油輸出関税率フォーミュラーの係数を 0.65 から0.49 に引き下げた。 図6 ロシアの原油輸出量推移 の推移 表6 原油関税率フォーミュラー

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4-2 原油輸出促進に向けた税制改革 2015 年 1 月 ロシア、ベラルーシおよびカザフスタンの 3 ケ国で構成されるユーラシア 経済連合(EEU、その後 アルメニアおよびキルギスが追加加盟)が発足した。同経済連 合では、2019 年までに「電力市場」を、2025 年までに「原油、石油製品および天然ガス 市場」を経済統合することが確定した。 これは、ロシアの石油企業が石油関税率の低い国(ベラルーシあるいはカザフスタン) を経由して輸出する可能性が高くなることを意味する。そうなれば同国財政は、税収減と いう大きな痛手を負うことになる。このため同国政府は、石油輸出関税を他EEU 連合国 と同等の水準にまで引き下げるとともに、関税引き下げに伴う歳入の減少を、天然資源産 出税の引き上げで一部補填することを決定した。2014 年 11 月 この改正法案は同国議会 を通過し、同月プーチン大統領が署名し発効した。 この改正法案は、3 年間(2015~2017 年)で徐々に、原油および石油製品の輸出関税 率フォーミュラーの係数を段階的に約半分近くに引き下げる。一方 天然資源産出税は、同 3 年間で段階的に約 1.84 倍に引き上げるというものである。前述したように、今回の相反 する税制改革により、ロシア石油企業の税負担額は2014 年より低減することになった。 ロシア政府の大胆な税制改革による石油輸出促進施策も一因になり、2015 年上期の原油 輸出は前年同期比 7.8%の増加という結果になっている。まだ、スタートしたばかりの改 革ではあるが、今後 3 年間その動向を注視する必要がある。 表7 原油輸出量と輸出金額の推移

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4-3 原油輸出ルート ロシアでは、各油田で生産された原油 を主にパイプラインを通じて、直接需要 国および輸出ターミナル港まで輸送する 方法で輸出している(写真1、表8参照)。 また、パイプラインが未整備な地域で は、少量ではあるが鉄道タンク車などで も輸送されている。以下に主なパイプラ インおよび輸出港を紹介する。 4-3-1 パイプライン Transneft(国営企業、1992 年設立、世界最大の石油パイプライン輸送会社) 同社は、ロシアにおいて7 万 km 以上の幹線原油パイプラインを独占し管理・運営して いる。原油貯蔵タンク容量は2,200 万㎥、Pump Station 500 ケ所以上、ロシア産原油の 約90%を輸送している(図 7 参照)。また、後述する各コンソーシアムが管理・運営して いるパイプラインもある。 表8 ロシアの原油輸出状況 写真1 パイプライン イメージ (出所:Transneft Website)

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【バルト海Pipeline (BPS、Baltic Pipeline System)】 同パイプラインは、BPS-1(第一幹線)と BPS-2(第二幹線)からなっている。両 パイプラインは、Timan Pechora 地域、西シベリア地域およびウラル・ヴォルガ地域 の原油を輸送している(図8 参照)。なお、両パイプラインとも Transneft が管理・ 運営している。 ・BPS-1 は、2001 年稼動、総延長 約 2,500km、輸送能力 7,650 万トン/年。バルト 海沿岸(フィンランド湾 北岸)の Primork 港に輸送している。 ・BPS-2 は、2012 稼動、総延長 約 1,170km、輸送能力 5,000 万トン/年。後述する Druzhba Pipeline の Unecha から Primork 港の対岸にあたる Ust-Luga(ウスチ・ ルガ) 港および Kirishi 製油所へ輸送している。 図6 Transneft の石油パイプライン・ネットワーク (出所:Transneft Website) 図7 Transneft の石油パイプライン・ネットワーク (出所:Transneft Website) 図8 バルト海 Pipeline 経路図 フィンランド湾

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【Druzhba Pipeline:(ドルジバ、ロシア語で友好という意味)】 同パイプラインは、1962 年稼働、輸送能力約 140 万 BPD、総延長 約 5 万 3,000km に達する世界最長の国際石油パイプラインである(図9 参照)。 同パイプラインは、西シベリア、ウラル・ヴォルガ地域の原油を(ベラルーシのMazyr で北線と南線に分岐)欧州へ輸送している。北線は、ドイツまで伸びており、南線は、 スロバキアからチェコに向かうルートと、ウクライナ、ハンガリーを経由してクロアチ アに向かうルートに分岐する。なお、ラトビアとリトアニアへのルートは、前述した BPS 建設に伴い停止している。同パイプラインは、Transneft が管理・運営している。

【Caspian Pipeline Consortium(通称:CPC Pipeline)】

同パイプラインは、2001 年稼動時には総延長約 1,500km、輸送能力 2,800 万トン/年 であった。その後、ポンプステーションの拡充などにより、輸送能力を段階的に引き上 げ、最終的に 6,700 万トン/年とする計画が進められており、2015 年現在の輸送能力は 3,500 万トン/年である。 同パイプラインは、カザフスタン最大の Tengiz 油田からロシア領 黒海沿岸の Novorossiysk 港(ノヴォボロシースク)に至る国際パイプラインである。ロシア政府(24%) とカザフ国営KazMunaiGaz(19%)および Chevron(15%)などのコンソーシアムが 運営・管理している(図10 参照)。 図9 Druzhba Pipeline 経路図 北線 南線 Mazyr

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【東シベリア–太平洋(ESPO、Eastern Siberia-Pacific Ocean)Pipeline】

同パイプラインは、2010 年稼動、総延長 約 4,900km、輸送能力 8,000 万トン/年で ある。同パイプラインは、本線と支線に分かれている。同パイプラインは、Transneft が 管理・運営している。

本線は、ESPO 原油を東シベリアの Taishet から Kozmino 港(ナホトカ市近郊)へ 輸送し、同港からアジア太平洋圏に輸出している。大慶支線(総延長 約 1,060km、輸 送能力 1,500 万トン/年、2018 年頃までに 3,000 万トン/年に増強予定)は、Skovorodino (スコボロディノ)から大慶へ輸送している(図11 参照)。 図10 CPC Pipeline 経路図 図11 ESPO Pipeline 経路図 大慶支線 ESPO-2 ESPO-1

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【Sakhalin-1 Pipeline】

同パイプラインは、2006 年稼動、総延長約 270km である。サハリン島東岸沖の Chaivo(チャイヴォ)海上油田および Odputu(オドプトゥー)海上油田で産出され た原油は、間宮海峡を挟んだ対岸のDe-Kastry 港へ輸送している(図 12 参照)。同パ イプラインは、コンソーシアムが運営・管理している

【Trans Sakhalin Pipeline】

同パイプラインは、2008 年稼動、総延長約 1,100km、輸送能力 20 万 BPD である。 Sakhalin-2 コンソーシアムが保有しており、幹線パイプラインではないため Transneft は参加していなく、コンソーシアムが運営・管理している。 同パイプラインは、サハリン島東岸沖の Lunskoye(ルンスコエ)海上油・ガス田 およびPiltun-Astokhskoye(ピリトゥン・アストフスコエ)陸上油・ガス田で産出さ れた原油を、同島南端のPrigodnoye(プリゴロドノエ)港へ輸送している(図 13 参 照)。 出所:サハリンの石油天然ガス開発(杉本侃 日本評論社)

図13 Trans Sakhalin Pipeline 経路図 図12 Sakhalin- 1 Pipeline 経路図

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4-3-2 原油輸出港 ロシアは、原油輸出を行う20 以上の港湾があ る。2014 年実績では、Novorossiysk(ノヴォロ シースク)港と Primorsk(プリモルスク)港の 両港の原油積出量は、同国全港湾の6 割弱を占め ている(表 9 参照)。以下に同国の主要港を紹介 する。 【Novorossiysk 港:(1999 年 開港)】 ロシア最大の石油輸出基地(黒海の東側沿岸)で、2 カ所に原油積出ターミナルがあ る。荷役可能なタンカーは、最大15 万トン級タンカーである。同港からは、トルコのボ スポラス海峡およびダーダネルス両海峡(チョークポイント)を通過して地中海に出る 必要がある(図10 参照)。

Sheskharis ターミナル(Novorossiysk Commercial Sea Port)は、5,000 万トン/年 の出荷能力があり、Urals Brend を積み出す。CPC Pipeline で輸送されてくる原油を積 み出すYuzhnaya Ozereevka ターミナルは、3,500 万トン/年の能力がある。原油貯蔵タ ンク:11.9 万㎥。

【Primorsk 港(2001 年 開港)】

Baltic Pipeline System(BPS-1)で輸送されてくる原油を受け入れるロシア第 2 位の

石油輸出基地(バルト海のフィンランド湾沿岸)である(図8 参照)。冬期半年程度は氷

結するため、その期間はアイスクラス 仕様の耐氷タンカーが必要になる。出荷能力:120 万BPD。

【Ust-Luga 港(2009 年 開港)】

Baltic Pipeline System(BPS-2)で輸送されてくる原油を受け入れる輸出基地(バル ト海のフィンランド湾沿岸)である(図8 参照)。原油貯蔵タンク:96 万㎥、シーバース (30 万トン級タンカー可能) 【Varandey 港(2008 年 開港)】 Lukoil により運営されている輸出基地 (バレンツ海沿岸)である(図14 参照)。 原油貯蔵タンク:32.5 万㎥、輸出能力: 1,200 万トン/年、シーバース(7 万トン級 タンカー可能) Timan Pechora(チマンペチョラ) 表9 ロシアの主要原油積出港 図14 Varandey 港の位置

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盆地にあるYuzhno Khylchuyu 油田から産出されたY-K Blend 原油をパイプラインで約 160km 輸送されている。原油貯蔵タンク:32.5 万㎥、輸出能力:1,200 万トン/年、シー バース(7 万トン級タンカー可能) 【Kozmino 港(2009 年 開港)】 ESPO Pipeline の終着地点の輸出基 地である。また、鉄道タンク車でも受入 可能な基地でもある(図15 参照)。原油 貯蔵タンク:5 万㎥×10 基、輸出能力: 30 万 BPD、シーバース(15 万トン級タ ンカー 同時 2 隻可能) なお、2014 年実績は、約 2,470 万トン であるが、ESPO Pipeline で約 95%が、 列車にて約5%が輸送されたもの である。なお、図15 には、大慶支線で 中国に輸送された数量は含まれていない。 【De-Kastri 港(2006 年 開港)】 サハリン-1 原油(Sokol 原油)の輸出基地(ハバロフスク州、間宮海峡沿岸)である。 原油貯蔵タンク:10 万㎥×2 基、輸出能力:20 万 BPD、シーバース(10 万トン級タン カー可能) 【Prigorodnoye 港(2008 年 開港)】

サハリン-2 原油(Vityaz 原油、Sakhalin Blend 原油)の輸出港である。同輸出基地 には、原油輸出設備とLNG 輸出設備(トレイン:480 万トン/年×2 基、タンク:10 万 ㎥×2 基)が並列設置されている。原油貯蔵タンク:10 万㎥×2 基、輸出能力:10 万 BPD、シーバース(15 万トン級タンカー可能) 4-4 ロシア産原油の輸入国 2014 年 ロシア産原油の輸出先は、オラ ンダが最大で約19%を占めている。中国向 けは、2 位であるが近年飛躍的に伸びてき ている。 以下にロシア産原油のアジア地区の3 大 オランダ 19.1% 中国 13.4% ベラルー シ10.4% ドイツ 7.7% 日本 5.3% 韓国 4.8% その他 21.8% 図15 Kozmino 港からの輸出先(2014 年) 日本 36.0% 中国 23.9% 韓国 14.6% マレーシア 6.5% タイ 5.7% その他 13.3%

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11 なお、アジア諸国(特に、日本、中国および韓国)がロシア産原油を輸入するのは、中 東産原油を輸入するのに対し、複数のメリット(海上チョークポイントの通行不要、輸送 距離の短縮、仕向地規制が無いなど)があるためである。 4-4-1 中国のロシア産原油輸入動向 中国のロシア原油輸入は(以下 中国海関データ)、1998 年の14 万トンからスタートし、 10 年後には 1,500 万トン台に乗せた。2010 年 10 月 ESPO パイプライン(大慶支線)の 完成で急増し、2014 年には前年比 35%増の 3,310 万 7,000 トンに拡大した。 表10 ロシアの国別原油輸出状況(2014 年) 図17 中国のロシア原油・石油製品輸入推移

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また中国は、ロシアから年間300~900 万トンの石油製品も輸入しており、2014 年 同 国から輸入した石油の合計は3,641 万トンに達している(図 17 参照)。

中国とロシアの間では、1999 年の首脳会談を機に、ロシア産原油の輸入およびパイプラ イン建設などが論議されるようになった。これは、ESPO パイプラインとして結実し、 Taishet(タイシェット)を起点に、中国国境近くの Skovorodino(スコボロディノ)まで のPhase-1(ESPO-1)が 2009 年 12 月に、Skovorodino から日本海岸の Kozjmino 港ま でがPhase-2(ESPO-2)が 2012 年 12 月に完成した(図 11 参照)。

2010 年 10 月 中国向け支線(大慶支線)は、Skovorodino から中ロ国境の漠河を経て 大慶に至る総延長999km が完成した。同パイプライン建設は、2008 年 温家宝首相(当 時)の訪ロ時に、CNPC(中国石油天然気集団)と Transneft が合意したものである。建 設費用は、中国 国家開発銀行(CDB、China Development Bank)が総額 250 億ドル (Rosneft:150 億ドル、Transneft:100 億ドル)の低利融資を行い、ロシアが中国へ年 1,500 万トンの原油を 2011 年から 20 年間にわたって供給することに合意した。このよう な融資と石油の交換「貸款換石油(Loans for Oil)」と称される。その後、年間 1,000~1,500 万トンの原油を追加することにも合意した。 ロシア原油の中国向け価格は、ロシア国内統一輸送費(供給源や供給先が異なっても ESPO 原油には同一タリフ)が適用される。2012 年 2 月 中国は、日本海岸に比べ同国向 け大慶支線の距離が短いとして割引を求め、$1.5/bbl 値引で合意した。 2013 年 3 月 就任したばかりの習近平主席が訪ロした際、CNPC と Rosneft は、原油取 引を年間 3,100 万トンに倍増し、新たに 25 年間の供給契約に署名した。また、Rosneft は、中国向けとなるVankor 油田の開発および天然ガス開発を進めるため、CDB と 20 億 ドルの融資にも合意した。また、同年6 月には、下記 3 件の契約締結も調印された。 1) ESPO 大慶支線:現在の年 1,500 万トンを 2018 年までに年 3,000 万トン、期間 25 年(5 年の延長可)の契約 2)カザフスタン~中国パイプライン:2014 年 1 月から年 700 万トン、期間 5 年(5 年 の延長可)の契約 3)CNPC・Rosneft 合弁 天津製油所:年 910 万トンの原油供給契約、2009 年に CNPC と契約した原油供給を担保とする20 億ドルの融資契約 2013 年 10 月 ロシアは、中国向け原油供給を 2014 年から 10 年間にわたり年間 1,000 万トン拡大すること、契約金額の850 億ドルは前金とすること および Srednebotuobinsk 油・ガス田(東シベリア地域)開発で協力することにも合意した。 図15 ESPO パイプラインと大慶支線 中国への支線 大慶支線 ESPO 本線 (ESPO-1) 図 8.ESPO パイプラインと中国への支線

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現在の年1,500 万トンから 2015 年に 2,000 万トンに、2018 年には 3,000 万トンに拡張す ることに合意した。また、2013 年 12 月 Transneft は、Yurubcheno-Tokhomskoyee 油田 およびKuyumbinskoy 油田から、ESPO パイプラインに年1,500 万トンの原油を供給する Kuyumba–Taishet パイプライン(図 7 参照)の建設を開始し、2017 年に操業を開始する。 さらに、Rosneft は、年 700 万トンの対中原油供給(カザフスタン経由)にも合意した。 2014 年 中国では、原油輸入の中東依存度は 52.1%であった。同国は、欧米と比較すれ ば中東依存度は高いが、日本や韓国と比べるとかなり低くなっている。上記のようなロシ アとの協力関係の拡大により、原油ソースの多様化は成果をあげている(図18 参照)。 4-4-2 韓国のロシア産原油輸入動向 近年 韓国は、中東産原油の安定供給を図る一方、ロシア産原油を輸入することにより、 原油ソースの多様化を図ろうとしている。韓国のロシア産原油輸入は、2000 年の 135 万 6,000 トンから、増加に向かい 2010 年(ESPO-1 が操業を開始)には、672 万 7,000 トン に急増した。その後は、安定した伸びに戻り2014 年は 535 万 4,000 トンで、韓国原油輸 入の4.3%を占めている(表 11、図 19 参照)。 図18 中国の原油輸入地域構成比の推移 表11 韓国の原油輸入とロシア原油輸入の推移

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韓国精製事業者のうち、これまでロシア産原油はSK Innovation と GS Caltex が輸入し ていたが、2015 年から Hyundai Oilbank も輸入を開始した。一方、S-Oil(旧:双龍精油) は、Saudi Aramco が資本参加(1991 年 株式約 35%を取得、2014 年から約 63%に拡大) しており、その関係によりほぼ全量がサウジ産原油になっている。 韓国は、ロシアと定期的に韓国-ロシア資源協力委員会を開催し、両国間の石油やガス資 源の協力強化について協議している。2015 年 9 月 同国は、「北東アジア オイルハブ」事 業にロシア企業の参加を提案した。同国は、大型製油所が立地している蔚山および麗水に おいて北東アジア石油ハブ構想を進めており、そのなかで最も近い位置にあるロシアとの 原油取引拡大を目指しているものとみられる。 なお、韓国も日本同様に中東依存度が高く、2005 年以降は 8 割を超えており、ここ数 年は85%前後で推移している。同国は、サウジアラビアと石油分野の協力協定、UAE 国 営石油会社(ADNOC)との共同原油備蓄およびアブダビでの油田開発など中東産原油の 安定供給を図っている。また、イランとは、一時輸入を中断していたが、2012 年 10 月以 降 同国産原油の輸入を再開している。 韓国は、前述のようにロシア産原油を輸入することにより、原油ソースの多様化による エネルギー安全保障向上対策を実施している。 ≪関連情報≫ その他の中東依存度低減の動きとして下記報告する。 ・2014 年 9 月 GS Caltex は、新たに米国産コンデンセートのテスト輸入(40 万 bbl)を 実施している。同社は、同コンデンセートが中東の超軽質原油と十分に競争できると判断 しており、米国のエネルギー政策・保存法(EPCA、1975 年施行)緩和の動きを受け、今 図19 韓国のロシア原油輸入推移

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4-4-3 日本のロシア産原油輸入動向

日本は、2001 年から Vityaz 原油(ヴィチャーズ、サハリン-2)の輸入を開始し、2006 年からSokol 原油(サハリン-1)の輸入が加わった。さらに、2014 年にはサハリン-2 の 新ブレンド原油であるSakhalin Blend原油の輸入も開始した。サハリン産原油以外では、 ESPO パイプラインの Phase-1(ESPO-1)が本格稼働した 2010 年から ESPO 原油の輸 入を開始している。 2001年 Vityaz原油の輸入を開始した時のロ シア産原油輸入量は33 万 kℓで、日本の原油輸 入量に占める比率はわずか0.13%であった。そ の後、前記のように輸入原油油種が増え、2014 年 日本のロシア産原油輸入量は 1,637 万 kℓと 過去最大を記録し、同国産原油輸入量は 8.2% に達した。この結果ロシアは、サウジアラビア、 UAE、カタールに次いで、第 4 位の原油輸入国 となっている(図20 参照)。なお、同国産原油 の輸入量は、2015 年も増加傾向が継続している。 2014 年 ロシア産原油輸入の内訳は、順調に輸入量が拡大した ESPO 原油が 1,090 万 kℓと最大で、ロシア産原油の 66.5%を占めている。また、同国サハリン産原油は、合計 520kℓ(内訳:Vityaz が 201 万 kℓ、Sokol が 303 万 kℓ、Sakhalin Brend が 15 万 kℓ)で、 同31.7%となっている(図 21 参照)。 日本のロシア産原油の輸入増加には、ESPO Pipeline(2010 年稼動)およびサハリン 1・2 が大きく貢献している。2014 年 日本の中東依存度は約 83%となっており、中東依存度 を下げるためには、ロシア産原油の輸入拡拡大が重要になるとみられる。 図21 日本のロシア産原油輸入量推移 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 その他 Vityaz原油 Sokol原油 ESPO原油 (単位:千kℓ) (出所:経済産業省) 図20 日本の原油輸入国(2014 年) サウジ 31.6% UAE 24.4% カタール 10.8% ロシア 8.2% クウェート 7.1% その他 17.9%

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4-4-4 その他アジア諸国のロシア産原油輸入動向 2015 年 9 月 インド石油・天然ガス公社(ONGC)は、Rosneft と Vankor 油田への 15% の資本参加について合意した。また、2014 年 12 月 Essar (インド)は、Rosneft と年 間1,000 万トンの長期ロシア産原油輸入契約を交わした。一方 2015 年 7 月 Rosneft は、 Essar の Vadinar 製油所に 49%の資本参加も決めた。 2014 年 5 月 ベトナム国営の PetroVietnam は、Rosneft と 25 年間にわたって年間 600 万トンのESPO 原油を、同社 Dung Quat 製油所にて処理することに合意した。同原油は、 ロシアのKozmino 港から輸出される。この他 マレーシアおよびタイなども ESPO 原油 の輸入を増やしている。 日中韓を除いて、まだ東南アジア諸国のロシア産原油輸入量は少ないが、ESPO Pipeline 稼動前の2009 年と 2014 年を比べると、各国(マレーシア:0 ⇒165 万トン、タイ:8 万 トン ⇒151 万トン、シンガポール:43 万トン ⇒143 万トン、フィリピン:27 万トン ⇒ 120 万トン)とも輸入量を増加させている。 5 まとめ ロシアでは、東シベリアから極東にかけて多くの大型油田開発が進められ、この 10 年 間で、輸出インフラであるESPO パイプライン、Kozmino 石油ターミナルおよびサハリ ン産原油の輸出設備(2 ケ所)が相次いで完成した。これにより、同国の原油輸出にアジ ア太平洋側への有力な新ルートが加わることになった。 前述のようにロシアは、アジア太平洋市場に大きな期待を持っている。2015 年 9 月の 東方経済フォーラム(ウラジオストク市)において、同国ノヴァク エネルギー相は、東シ ベリアと極東の原油生産を、2014 年の 5,800 万トンから 2035 年までに 1 億 1,800 万トン に拡大し、全エネルギー輸出量におけるアジア太平洋地域向けの割合を、現在の 2.5〜3 倍に増やしていく方針と語っている。 ロシアのエネルギー東方転換戦略が進むなか、アジア諸国(特に、日本、中国および韓 国)は、中東産原油を輸入するのに対し、複数のメリット(海上チョークポイントの通行 不要、輸送距離の短縮、仕向地規制が無いなど)がある安定した供給源として、極東から の同国産原油輸入を増やしている。 本レポートでは、ロシア産原油の輸入をめぐるロシアおよびアジア諸国の動向を報告し た。日本としては、経済性、中東依存度を下げることによるエネルギー安全保障の向上、 技術上の課題、競合他社および国際情勢等を十分考慮した上で、今後ともロシア産原油輸 入増への可否判断ならびに同国の動向に注視が求められる。

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<参考資料> Bank of Russia: http://www.cbr.ru/Eng/statistics/print.aspx?file=credit_statistics/crude_oil_e.htm&pid= svs&sid=vt1 Port of Novorossiysk:http://novpt.ru/info-port-eng.php ports in Russia:http://ports.com/browse/europe/russia/map-view/ Russian crude oil exports to the Pacific Basin(Platts)

Caspian Pipeline Consortium:http://www.cpc.ru/en/about/Pages/default.aspx 中国海関統計(中国海関総署)

Korea Energy Economics Institute:

http://www.keei.re.kr/main.nsf/index_en.html?open&p=%2Fmain.nsf%2Fmain_en.ht ml&s= 資源・エネルギー統計年報(経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部) サハリンの石油天然ガス開発(杉本侃 日本評論社) 中国の石油産業と石油化学工業 2014 年版(東西貿易通信社) 東アジアの石油産業と石油化学工業 2014 年版(東西貿易通信社) East & West Report 各号(東西貿易通信社)

本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析 したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは[email protected] までお願いします。

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次回のJPEC レポート(2015 年度 第 17 回)は、「IMO 規制の中でのアジア各国の対策 動向」を予定しています。

図 13    Trans Sakhalin Pipeline  経路図 図 12    Sakhalin- 1 Pipeline  経路図

参照

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