概要
1.1 サウンドインスタレーション展
「4.1fragments+16.1fragments」
筆者が2011年12月にNUASギャラリーにて開催した谷口友帆と の 共 同 サ ウ ン ド イ ン ス タ レ ー シ ョ ン 展 「 4 . 1 f r a g m e n t s + 16.1fragments」は、現代、オーディオデバイスの小型化により音 楽を楽しむ行為はイヤホンなどの機器を使い、それらを直接耳に あてて鑑賞する方法が主流となってきたが、音楽とは身体の五感 を多用して鑑賞する本来の姿を現代的な方法で提示することを コンセプトとした展覧会であった。1.2 作品「4.1fragments」
この作品において使用したパラメトリックスピーカーは指向性を 強く持った音響を生成することが出来、スピーカーの向く直線 上、またはその向きの先にある壁などに反射した線上に立つ鑑 賞者のみに音が聞こえるという特殊なスピーカーであった。パラメ トリックスピーカーは多軸機構をもったサーボモーターに取り付け られ、展示会場内を縦横無尽にサウンドが飛び交うようなシステ ムとしていた。[制作] 作品「The Answer is」
昨年9月〜11月の間、大垣市にて開催された「アートフルタウン おおがき2012」というイベントの中で作品を発表する機会をいた だき、筆者は上記作品のブラッシュアップバージョンを発表する ことにした。 上記作品を制作し終え「今、そこで音がきこえる」感覚がこの作 品においては重要だと感じ、また、スピーカーの周波数特性とし て人の声の帯域が一番聞こえやすいため、これらの特性を活か した作品制作に臨んだ。 「何か一つのことを認識し理解するためには、そのものを見つ め続けるのでは無く、その周りにある要素を紡いでいくことによっ て中心にあるものが見えてくる」という考えの下、自分自身の生活 の身の回りにあるもの(レコード・声・振動など)や気になる人の考 え(ここではアーサー・C・クラーク)などを部屋中に散りばめ、パラ メトリックスピーカー先端に取り付けられたLED照明が対象物を照 らした時に、そのものからサウンドが聞こえてくるという形式のイン スタレーション作品へと昇華させた。 タイトルを、「答えはいつも一つでは無く、それは(自分以外)誰 も知り得ない」という意味が籠るよう、ボブ・ディランの「Blowin’ in The Wind」の歌詞から引用し「The Answer is」とした。
08
中上 淳二
Junji NAKAUE映像メディア学科・非常勤講師
Department of Visual Media・Part-Time Lecturer
061
過去作品の再定義 REDEFINITION OF A WORK FROM THE PAST
中上 淳二 JUNJI NAKAUE
過去作品の再定義
アートフルタウン大垣にて発表した作品について
Redefinition of a work from the past
062 名古屋学芸大学メディア造形学部研究紀要2013 VOL.6
NAGOYA UNIVERSITY OF ARTS AND SCIENCES, SCHOOL OF MEDIA AND DESIGN / RESEARCH BULLETIN 2013 VOL.6
写真1:吊るされたアーサー・C・クラークの写真
063
過去作品の再定義 REDEFINITION OF A WORK FROM THE PAST
中上 淳二 JUNJI NAKAUE
写真3:電気の存在を視覚化するために使用した砂嵐映像
064 名古屋学芸大学メディア造形学部研究紀要2013 VOL.6