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サイバーフィジカルシステム:9.フィールドサーバとウェアラブル端末による農作業情報共有の試み

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Academic year: 2021

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(1)特集:サイバーフィジカルシステム. 9. フィールドサーバとウェアラブル 端末による農作業情報共有の試み. 基応 専般. 辻澤 隆彦(東京農工大学) ラブル端末を活用して個別の農家における環境デー. 背景. タと農作業者の音声を収集し,同時に,農作業と環 境データとの関係を簡易に参照できるシステムを構 4).  近年,農場の環境データや農作業に関するデータ. 築してきた .この試みは農作業者の行動と農地の. を収集・分析することにより,農作物の生産性や農. 環境データとの関係を蓄積し,その情報を発信する. 作業効率を向上させる技術への注目が高まってい. ことで,地域ごとの生産者が独自に行っている高品. 1). る .また,複数のセンサやネットワークカメラを. 質化に向けた取り組みなどの情報の共有を促すこと. 搭載した圃場をモニタリンする機能を持つフィール. や,将来的に,情報共有に基づいた農作業計画策定. ドサーバと,複数のセンサをネットワークで接続し. の可能性を検証するための第一歩と位置付けて進め. 温度や湿度などの環境データを収集するセンサネッ. てきたものである.. トワークを活用して,農作業にかかわる行動のモニ タリングや作業の自動抽出を行う取り組みも進め 2). られている .これらの取り組みは,作業者の行動. システム構成. を農作業の視点から可視化していくことを目的と し,作業の効率化や生産技術の継承に有用なもので. ▶データ収集システムの概要. あり,植物工場などの進展には不可欠な技術になる.  システムは図 -1 に示すように,無線ウェアラブ. ものと考えられる.しかしながら,個別農家を見. ル端末,フィールドサーバ,音声・動画収録サーバ. た場合,個々の IT スキルやシステム導入費用の課. および,データ統合・表示システムから構成されて. 題などから,IT 機器を積極的に導入し,高効率化. いる.ウェアラブル無線端末はマイクおよびカメラ. を進めるなどの取り組みはいまだ広く展開するには. を装備しており,これにより取得された音声および. 至っていないものと思われる.周知の通り,国内農. 動画データはフィールドサーバが持つ無線アクセス. 業においては現役就農者の高齢化や後継者不足に伴. ポイントを介して音声・動画収録サーバに転送され. う農家人口の減少,耕作放棄地の増加などの問題に. る.フィールドサーバに搭載されたセンサによる環. 直面しているが,一方で,地域活性化の取り組みも. 境データはフィールドサーバにより 1 時間に 1 回の. 積極的に進められ,たとえば,地域コミュニティを 活用した第 6 次産業化などに関する報告がなされて. ールドサーバが持つカメラにより撮影された農地の. この視点から取り組むことにより,地域コミュニテ. た.環境データは CSV 形式のファイルとして日ご. 3). いる .筆者は農場におけるセンサネットワークも,. 946. 周期で計測するように設定した.また,同時にフィ. 状況も 1 時間に一度の割合で記録するように設定し. ィの創出につながる 1 つの方策になり得るのではな. とのデータとして蓄積される.一方,作業者が装着. いかと考え,札幌市の葉物栽培農家の農場を対象に. した端末には音声取得用のマイクと作業観察用のカ. 2010 年 8 月末から,センサネットワークとウェア. メラが接続されている.音声および動画は AVI フ. 情報処理 Vol.55 No.9 Sep. 2014.

(2) ⑨ フィールドサーバとウェアラブル端末による農作業情報共有の試み. 図 -2 環境データと農作業データの関連表示例 図 -1 システム構成の概要. でき,たとえば,白菜作付け作業時のデータ収集結 4). ォーマットで音声動画収録サーバに蓄積される.モ. 果. バイルバッテリーの容量にもよるが,最大約 4 時間. る.農作業者の作業抽出については,農作業者の発. の収録が可能となっている.. から作業計画などを抽出することが可能とな. 話を基に取得した.具体的には作業開始前に,実施 する作業について発話することを課し,発話解析を. ▶データ統合・表示. 行いテキストデータとする手法をとった.農作業者.  環境データと作業データを関連付けることを目的. がウェアラブル端末を装着する時点で装着を意識す. に,農場の環境情報と農作業者の作業を表示する統. ることで,作業の開始前の発話を実施するという動. 合・表示システムを試作した.農作業者の発話は日. 作を継続することができたと考えている.しかしな. 付をキーに 1 カ月分のデータを結合し,新たに作業. がら,装着性の改善は今後不可避な事項である.ま. データファイルとして作成している.図 -2 に表示. た,作業の自動抽出に関しては,音声の発話解析の. 例を示した.各種データは日時や環境データをキー. 精度的課題を克服することができず,依然不十分で. として統合および表示される.このシステムでは,. ある.. たとえば,利用者は過去にさかのぼって日時の範囲.  提案システムはコミュニティの創出を促すための. を適切に指定し,現在の気温変化と同じような傾向. 第一歩として進めたものであり,得られた結果を基. のある過去の日時を探し出し,そこに表示された気. に今後システムの改善を進めていきたい.. 温の変化状況を確認し,現在と同じような環境で過 去にはどのような作業を行ったかを見るといった使 い方ができる.図 -2 において,データが表示され. ていない期間があるのは冬期のためデータ収集を行 っていないことによる.. 考察.  . 参考文献 1) 吉田 : 圃場地図を利用した農業生産管理システム,システム/ 制御/情報,Vol.54, No.4, pp.132-137 (2010). 2) Fukatsu, T. and Nanseki, T. : Monitoring System for Farming Operation with Wearable Devices Utilized Sensor Networks, Sensors, 9,pp.6171-6184 (2009). 3) 金丸:田舎力 ヒト・夢・カネが集まる 5 つの法則,日本放 送出版協会 (2009). 4) 辻澤 : フィールドサーバとウェアラブル端末を活用した農 作業情報を共有するシステムの試作と検証,農業情報研究, Vol.23, No.1, pp.38-48 (2014). (2014 年 4 月 1 日受付) 辻澤隆彦 t-taka@cc.tuat.ac.jp.  提案システムでは,環境データをキーとしてその 変化状況と環境変化前後の農作業を振り返って表示.  1984 年北海道大学大学院工学研究科博士課程修了.同年日本電気 (株)中央研究所勤務.2002 年足利工業大学工学部教授.2009 年東 京農工大学総合情報メディアセンター教授,現在に至る.工学博士.. 情報処理 Vol.55 No.9 Sep. 2014. 947.

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参照

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