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不服申立前置を巡る従来の議論の整理とその存置の意義等に関する若干の考察

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不服申立前置を巡る従来の議論の整理と

その存置の意義等に関する若干の考察

三 神 正 昭

Ⅰ はじめに Ⅱ 訴願前置制度及び不服申立前置制度の沿革  1 行政裁判法(明 23)時代  2 民訴応急措置法(昭 22)時代  3 行政事件訴訟特例法(昭 23)時代  4 行訴法の制定(昭 37) Ⅲ 不服申立前置を巡る議論  1 合憲性を巡る議論  2 不服申立前置のメリット・デメリットに関する従来の議論   3 行訴法・行審法改正の動きの中での不服申立前置を巡る議論 Ⅳ 不服申立前置とする意義に関する議論及び個別法で設ける場合の基準等に関 する若干の考察  1 不服申立前置とする意義に関する議論について  2 不服申立前置を認める場合の基準等について Ⅴ むすびにかえて

Ⅰ はじめに

周知のように、行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)の 8 条 1 項は、行政訴訟(取消訴 訟)と行政上の不服申立てとの関係につき、その本文において、「処分の取消しの訴えは、当 該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起する ことを妨げない」と規定し、行政訴訟と行政上の不服申立てとの自由選択主義を原則とする一 方、同項のただし書は、「ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後 でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りで ない」と規定して、個別法において不服申立前置(審査請求前置、裁決前置などの用語が用い られる場合もあるが、本稿では不服申立前置の語を用いることとする)の仕組みを例外として 設けることをも是認している。

論 文

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個別法で設けられている不服申立前置の制度については、後で述べるように、平成 22 年か ら 23 年にかけて、行政不服審査法(以下「行審法」という)の改革など行政救済制度のあり 方を検討するため設けられた総務大臣と内閣府特命担当大臣(行政刷新)を共同座長とする行 政救済制度検討チーム(以下、「検討チーム」という)でその見直しに関する議論がなされ、 とりまとめが公表されている1)2)。また、今般にあっても、行審法改正の動きがあり、次期通 常国会(第 186 回国会)に行審法の改正法案を提出することを目途として作業が進められてい るところであるが3)、それに伴い、平成 25 年 6 月に総務省が発表した「行政不服審査制度の 見直し方針」の第 4 の 2 において、不服申立前置についても所要の見直しを行うとされている4) 筆者は本稿執筆時点において、個別法においてどのような見直しが行われる予定であるのか について把握していないのであるが、今般示されている上記見直し方針に掲げられている不服 申立前置を認める場合の基準については、今後さらに議論を深化させる必要があると考えてい る。しかしながら、後で触れるように、不服申立前置のメリットに関する議論は、今日的議論 である一方、古典的な議論であるという側面も有する。 そこで本稿においては、不服申立前置に関する従来の議論を改めて整理した上で、比較的近 時の平成 16 年行訴法改正時における議論及び今般の行審法改正の動きの中でこの点につきな されている議論を瞥見し、これらを踏まえた上で、今後個別法において不服申立前置をなお存 置するとする場合の意義等について、筆者なりにささやかな考察を行ってみることとしたい。 なお、本稿執筆時点において、筆者は立命館大学大学院公務研究科に在籍させて頂いている が、人事院事務総局職員としての身分も有している。本稿は、今後の議論の素材とすべく、従 来の議論の整理に力点を置くものであるが、筆者の意見も含むものである。本稿中意見にわた る部分は、すべて私見に過ぎないことを念のため付記しておきたい。

Ⅱ 訴願前置制度及び不服申立前置制度の沿革

訴願ないし不服申立てと行政訴訟との関係の変遷については、すでに多くの紹介がなされて いるところであるが5)、本稿においても、Ⅲで不服申立前置に関する議論について扱うことと の関係上、制度の沿革について、行政裁判法時代から、必要な範囲で触れておくこととする。 1 行政裁判法(明 23)時代 行政裁判法は、その 17 条 1 項において、「行政訴訟ハ法律勅令ニ特別ノ規程アルモノヲ除ク 外地方上級行政廳ニ訴願シ其裁決ヲ經タル後ニ非サレハ之ヲ提起スルコトヲ得ス」と規定する 一方で、2 項においては、「各省大臣ノ處分又ハ內閣直轄官廳又ハ地方上級行政廳ノ處分ニ對 シテハ直ニ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得」と規定していた。すなわち、原則としての訴願前置 主義、例外としての行政訴訟との自由選択主義の仕組みを採っていたと言える6)7)

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2 民訴応急措置法(昭 22)時代 日本国憲法草案の発表の直後から、行政事件に関する特例法について、憲法と同時の施行を 目指して立法化作業が開始されたものの、特例法の立法化は遅れ、行政事件については「日本 国憲法の施行に伴う民事訴訟法の応急措置に関する法律」が暫定的に適用された8) 同法は、その 8 条において、行政処分の取消または変更を求める訴えについて出訴期間を 6 ヶ月と規定していたが、訴願と訴訟との関係については規定されておらず、選択主義が採ら れていると解されていた9)10) 3 行政事件訴訟特例法(昭 23)時代 昭和 21 年に司法法制審議会が設けられ、その第一小委員会において「行政訴訟に適用する 民事訴訟法の特例に関する法律案」の法案化作業が進められ11)、昭和 22 年 11 月には「行政 事件訴訟特例法(案)」がまとまった12)が、昭和 23 年にGHQのリーガル・セクションとの 折衝が始まると、GHQ側から強い示唆があり、行政事件訴訟特例法(以下「行特法」とい う)においては訴願前置主義が採られることとなった13)。すなわち行特法は、その 2 条本文 において、「行政庁の違法な処分の取消又は変更を求める訴は、その処分に対し法令の規定に より不服の申立のできる場合には、これに対する裁決を経た後でなければ提起できない」旨を 規定し(同条ただし書においては緩和要件が定められている)、訴願前置主義を採ることを明 確にした14) 4 行訴法の制定(昭 37) その後、昭和 30 年から法制審議会行政訴訟部会において行特法の改正作業が始まり、ここ において訴願前置主義の是非が最大の焦点となり15)、同 34 年から訴願制度調査会において訴 願法改正の作業も進むこととなる。そして、同 37 年には行訴法が成立し、同年に成立した行 審法と同時に施行されることとなる。Ⅰで述べたように、行訴法は原則としての自由選択主義 を採る一方、個別法において不服申立前置を定めることを許容しており、この個別法の規定に ついては、おおむね、①大量的に行われる処分であって、訴願の裁決により行政の統一を図る 必要があるもの、②専門技術性を有する処分、③訴願に対する裁決が第三者的機関によってな されることになっている処分、の各号の一に該当する処分について設けるものとするとの指針 が示された上で16)、「行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」によれ ば、行訴法施行時において、51 の個別法にわたって不服申立前置が存置されることとなっ た17)18)

Ⅲ 不服申立前置を巡る議論

1 合憲性を巡る議論 行特法時代の訴願前置については、訴願等の制度が極めて不備であり、訴願事項も具体的に

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何を指すか、上級行政庁がどこかが明らかではない上、法令によってもまちまちな中で訴願前 置を採ることは、裁判上の救済を不可能にし、憲法 32 条の保障する「裁判を受ける権利」を 侵害するものではないかという強い批判が早くから存在した19)。しかしながら、合憲性の問 題については、最大判昭 26・8・1 民集 5 巻 9 号 489 頁が合憲判断を示しており20)、本判決は 「訴願前置主義廃止のきっかけの一つとなった」とする見方もあるが21)、訴願前置ないし不服 申立前置を採ること自体が憲法上直ちに否定されるわけではないとする点については早期に決 着を示したものといい得よう。ただし、行訴法下の裁判例として、京都地判昭 53・9・29 訟月 24 巻 12 号 2670 頁があり、同判決は、「─右制度(筆者注:国民年金法 101 条の 2 の審査請求 前置制度)を採用することが、行政庁の処分に対し直接出訴を認めることに比して裁判上の救 済が遅延することは否めないが、行政庁自身に再度の考案による処分是正の機会を与え、さら に上級行政庁による監督権の行使により行政の統一的適用をはかり、反面において行政庁によ る簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を期待しうるところがあるのであり、かつ、行 政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)八条二項各号所定の事由があるときは、審査請求等 を経ることなく訴えを提起できることに鑑みれば、右の制度が憲法三二条に違反するものでな いことは明らかであるし、右制度の運用が、憲法三二条に違反するとの事実もにわかには認め がたい。」と判示しており、裁判上の救済の遅延について触れていること、行訴法に緩和規定 があることを合憲性判断の一つとして考慮していることには注目する必要があろう22) 2 不服申立前置のメリット・デメリットに関する従来の議論  行特法時代を通じ、昨今に至るまで、訴願前置ないし不服申立前置とすることのメリット (すなわち、制度的根拠)、デメリットについては論者により多くの指摘がなされている が23)、これを筆者なりに簡単に整理すればおおむね以下のようになろう。 ア メリットに関する議論 行政側、裁判所側、私人の側のそれぞれについて以下のようなメリットが指摘されている。 まず第一に、行政側のメリットとして、具体的には、①関係行政庁に再考・反省の機会を付与 することにより、訴訟に持ち込まれる前にその自主的な処理を期待することができる24)、② 行政の各分野に関する専門的知識は、行政官は裁判官に勝ることから、違法な行政処分の救済 は、行政機関自体に委ねた方が事案の事実に即した処理を期待できる25)、③特に大量的処分 の場合、上級庁の監督権行使により行政の統一的運用を確保することができる26)、等が指摘 されている。 第二に、裁判所側のメリットとして、④不服申立段階で申立人が満足すれば処理件数の減少 が期待できる27)、⑤専門の行政官により行われる職権審理を経ることにより、訴訟段階で事 実関係及び法律上の争点が整理明確化されること28)等が指摘されている。 第三に、私人の側のメリットとして、⑥簡易迅速な解決が期待できる場合がある29)、⑦違 法問題のみならず、当・不当の問題についても審査が可能であり、申立人にとって有利となる

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場合もあり得ること30)、が指摘されている。 もちろんこれらのメリットに関する議論ついては、例えば当事者にとって有利だとする点 は、訴願制度そのものの存置の意義であって訴願前置制度の存置の根拠ではないなどの批判が なされている31) イ デメリットに関する議論 行特法時代には、訴願制度の不備・不統一から、訴願前置を強制することは国民の権利救済 を遅らせる以外の何者でもないとしてそのデメリットを強調するものが多かったが32)、訴願 法が廃止され、行審法が制定されている現在とは制度的前提を異にするのでここではこれ以上 立ち入らない。  行訴法下においては、前述したように、個別法で不服申立前置が多く存置されたため、特に Ⅱ 4 で指摘した 3 つの基準33)についてその妥当性を検証し、その制度的根拠についてあらた めて吟味を行う論稿が早期から今般に至るまで存在するが34)、この問題は今般クローズアッ プされている問題でもある。これらについては、3 で触れる。 3 行訴法・行審法改正の動きの中での不服申立前置を巡る議論 ア 平成 16 年行訴法改正の際の検討における議論 平成 16 年行訴法改正の際、行政訴訟検討会においては、検討が必要な点として不服審査前 置による制約の緩和の論点も挙げられていたが35)、この論点については、基本的に個別法の 問題であり、検討会の所掌をはずれるものとして整理されたため36)、不服申立前置の具体的 見直しについて特に検討会からの提言はなされておらず、法改正も行われていない。ただし、 議論の過程においては、不服申立前置に関する個別法の膨大な規定を見直すことが必要で、 個々の法律で定められている前置の規定が本当に意味があるのか見直すべき、税法の分野など 限られた例外を除けば自由選択主義を徹底すべき、前置を強制する必要性、合理性を検証し、 どうしても残さざるを得ないもの以外は原則として廃止すべき、国民にとって充実した制度で あれば、前置にしなくてもそちらを利用する、不服申立前置は一種の強制的な措置だから、そ れが適切な判断の担保になるかどうかは、機能しているかどうかによるのであり、機能してい ない前置主義は基本的には当然廃止と考えるべきである、等の指摘がなされており37)、不服 申立前置の見直しの必要性について議論はされていた。 イ 平成 20 年行審法改正案の検討における議論 不服申立前置は、行政事件訴訟法及び個別法の問題として見直し対象とはされなかった38) ウ 検討チームにおける議論 検討チームでは、そのとりまとめ39)において、不服申立前置の全面的見直しを提言してい る。すなわち、①裁判を受ける権利が保障されているにもかかわらず、多数の個別法が不服申

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立前置を強制しており、国民に手続的負担を強いていること、②行政手続法の制定による事前 手続の整備がなされているところ、同法制定前の事後手続に係る改正がないものについては、 行政手続法の適用を前提として不服申立前置の見直しを含め簡素・効率化の必要があること、 ③平成 16 年には行訴法改正で、裁判による実効的救済機能の発揮が期待できる環境が整備さ れたにもかかわらず、かかる法環境の変化に対応する実質的な見直しがされていないこと、を 背景に、「行審法の改革と不服申立前置の見直しとを一体的に進めることにより、不服申立て と裁判との制度間競争を促進し、国民の権利利益の救済及び行政の適正な運営を確保を一層推 進する」ことを基本方針として掲げている40) 見直しに当たって、検討チームはⅡ 4 の 3 基準を厳格化している。具体的には、ⅰ)大量的 処分については、処分数は潜在的な紛争の可能性を示唆するにとどまるため、不服申立件数を 存廃の基準とし(年間 1000 件以上)、行政の統一的運用の確保については、本来原処分で達成 されるべきものであり、また、裁判所の判決によっても行政の統一性は確保されうる等のこと から基準としない、ⅱ)第三者機関の関与については、一定の専門技術性及び公正性を示すと 考えられるが、第三者機関の専門技術性、公正性の発揮については、構成員等の専門技術性が 制度的に確保されているか、関与が形骸化していないかを考慮する、ⅲ)専門技術性(第三者 機関が関与していない場合)については、制度の複雑さや行政の特殊性等を内容とする専門技 術性は正当化根拠と認めない、としている41) さらに、これら見直しの補完的基準(有効基準)として、a)不服申立件数、b)認容率 (5%以上)を設定している42) 検討チームは、各省にヒアリングを行った上で、上記基準に即して見直しを行った結果、不 服申立前置を規定する 99 法律中、55 法律を廃止(うち所管府省として廃止を是とするもの 31)、8 法律を一部廃止(うち所管府省として廃止を是とするもの 1)、8 法律について二重前 置主義の一重化、28 法律について存置との提言を行っている43) エ 行審法案立案過程(次期通常国会提出予定)における議論 現在検討されている行審法案は、平成 20 年改正法案とほぼ同内容のものであるが44)、不服 申立前置については、「不服申立構造の見直しの一環として、不服申立前置についても所要の 見直しを行う」とし、その基準については、ⅰ)大量性(不服申立前置の対象となる不服申立 てが大量であるか)、ⅱ)第三者機関の関与(専門技術性及び公正性を有する第三者的機関が 不服申立ての審理に関与しているか)、ⅲ)専門技術性(不服申立てを経ないで訴訟が提起さ れた場合には、裁判所の審理に支障を来すと認められるような専門技術性を有するか)を挙 げ、また、裁決により行政の統一性を図る観点については、行政の統一は処分段階で確保すべ きであり、裁判所の判決によっても行政の統一は確保できるからこれを不服前置の存置の基準 とはしないとし、検討チームの考え方をほぼ引き継いでいる(ただし、補完的基準(有効基 準)については示されていない)45) 見直しの指針公表前の検討会における議論では、不服申立前置を残すのであれば不服申立期

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間を 6 ヶ月とすべきではないか、「大量性」、「専門技術性」は前置の理由にならず、第三者機 関の関与についても、申立人の希望によるべきもので、裁判所の負担軽減ぐらいしか理由はな いのではないか、専門技術性を根拠とするなら、裁決主義とすべきである、前置された不服申 立て段階で収まる案件もあるのだろうが、それは事前手続で発揮されるべき機能で、それに不 足があるのであれば行政手続法を強化すべき等の議論がなされている46)

Ⅳ 不服申立前置とする意義に関する議論及び

個別法で設ける場合の基準等に関する若干の考察

Ⅲ 2 で見たように、不服申立前置とする意義(メリット)に関する議論についてはすでに有 力な批判があり47)、不服申立前置とすることの制度的根拠は一般的には乏しいと言わざるを 得ない(だからこそ行訴法は、原則としての自由選択主義を採用した、ということであろう)。 そこで、個別法で不服申立前置を存置するものについては、個別具体的にその仕組みを検討 し、存置の是非について検証していく必要があるが、筆者にはまだその余裕がなく、さしあた り本稿では、一般的に以下の点について指摘するに止めたい。 1 不服申立前置とする意義に関する議論について ア 行政側のメリットとされる論点について 今般の行審法の見直し方針にも示されるように、裁決により行政の統一を図るとの観点につ いては、本来、行政の統一は処分段階で確保すべきであり、これを理由に国民の裁判を受ける 権利を制限することは妥当でないという考え方自体は否定されるべきものではなかろう。 しかしながら、例えば規模の大きい府省において、処分権限が地方支分部局等に委任されて いるなどの場合に、通常判断に迷えば他の地方支分部局に問い合わせたり、本省に照会するな りして処分内容を決定するであろうが、処理件数が多い場合ないし処分権者が当該案件の処理 について、特段の疑念を持たなかった場合には、処分は処分権者独自の判断で行われ(それは 本来的な在り方ではあるが)、通達等の指針が定められている場合にあってもなお、同種の事 案について、処分権者によって判断が必ずしも斉一とはならないことも想定されうるところで ある。人事行政においては、現在人事院は「懲戒処分の指針」という運用通知を発出して処分 の均衡を図っているものの、筆者が実際に経験したところでは、同一府省内でも処分権者が異 なることにより、類似の案件について、実際に処分の軽重に差が生じていると感じられた事例 も存在したように思う。裁判所により統一が図れるという主張については、裁判所ないし裁判 官によって判断が分かれる場合もあり、最終的には最高裁で統一されることもあろうが、最高 裁まで上告がなされず、確定してしまう事案もある。不服申立前置とするに当たって、行政部 内での統一の必要の観点を一律に排除してしまうとすれば、行政実務に従事した経験からすれ ば、やや躊躇を感じるところである。

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イ 裁判所側のメリットとされる論点について Ⅲ 2 アでみたように、不服申立前置とすることの裁判所側のメリットとして、不服申立ての 審理における争点整理機能が挙げられることがあるが、この点、たしかに不服申立ての審理に おいて特定の行政分野に精通した行政職員の職権主義的な審理指揮により、両当事者とも争点 が明確化された上で効果的な攻撃防御活動を行うことが可能となり、また、当事者が主張しな い違法点が発見されることもあり得る。こうした場合には、裁判所の負担軽減のみならず、結 局私人の権利救済にも資することとなるのであって48)、筆者は不服申立前置を採る場合の意 義としてはこの点が最も重要ではないかと考えている。この点、今後の議論においても留意す べき論点ではないかと考える。 ウ 私人の側のメリットとされる論点について (1)簡易迅速性に関する論点 簡易迅速な解決が期待できる場合がある、との点については、すでに簡易迅速という利点を 犠牲にして裁判手続を選ぼうとする当事者にまで不服申立前置の利点を押しつける必要はない という批判がなされ、筆者も同調するところであるが、その点をさておくとしても、残念なが ら不服申立ての簡易迅速性はあまり強調できない現実がある。 最高裁事務総局の調査によれば(裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第 5 回))、行政 事件訴訟の平均審理期間(第一審)は平成 24 年は 13.9 月であり、平成 4 年が 23.3 月で あったことを踏まえれば、昨今迅速化が著しいとの評価が可能であり、平均期日回数も 5 回で あって、両当事者にとって耐えきれないほど負担の大きいものとなっているとも思われない。 他方、総務省「行政不服審査法等の施行状況に関する調査結果」49)によれば、不服申立前 置とされている場合に限った統計ではないが、国の場合、行審法に基づく審査請求の処理が 3 ヶ月を超えるものは平成 23 年度においても 56.4%であり、個別法に基づくものであると、 6 ヶ月を超えるものの割合が 51.5%(うち 1 年超が 37.5%)に達する。昨今若干の改善は 見られるものの、スピーディーな解決が約束される、というわけでもなく(行政審判のよう に、慎重な手続が採られている場合はなおさらであろう)、不服申立前置の強制により救済が 遅延するという批判には無視できないものがある。 手続の充実化には簡易迅速性と必ずしも両立しない側面がある50)。たとえば第三者機関に よる準司法手続等による充実した手続による事後審査制度を設けてこれを不服申立前置とする のであれば、第 1 審代替機能を持たせる仕組みとしなければ51)、上記批判には答えられない のではないか。 反面、行訴法 8 条 2 項 1 号は、審査請求があつた日から 3 ヶ月を経過しても裁決がないとき には、裁決を経ないで取消訴訟を提起することができるという緩和要件を規定しているのであ り、二重前置としている場合はともかく、この 3 ヶ月という期間をどう見るかは微妙な問題で ある。国家公務員に対する不利益処分審査についていえば、筆者の経験では、審査請求の受理 後 3 ヶ月を経過した時点ですぐに訴訟を提起する例はごくまれであった。この 3 ヶ月の期間に

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ついて原告を待たせることがはたして裁判を受ける権利を侵害していると見なしうるかについ ては、個別のケースについて実証的に検証していく必要があるように思われる。 (2)当・不当の審査に立ち入ることについて 審査庁が処分の当・不当の問題に積極的に立ち入るか否かは、制度というよりもむしろ運用 の問題であろう。当・不当の判断が踏み込んで行われ、認容裁決により裁判所には制度上期待 できない不当の瑕疵が是正されれば、不服申立前置はそれなりに意義のあるものとなるとの指 摘があるが(すなわち、不服申立てにより、裁判所よりも広く救済がなされ得るというこ と)52)、この点、特に第三者機関が審査を行う場合、原処分庁の判断を「尊重」するため、裁 量判断に踏み込まない、換言すれば、第三者機関は、当・不当の「裁量」ではなく、第三者機 関の判断の自制領域とも言うべき「裁量」の問題には立ち入らないこともあるのではないかと も想像され、こうした傾向に陥っていないか否かについて、具体的事例に即して注視していく 必要があろう。 2 不服申立前置を認める場合の基準等について 行政事件訴訟特例法改正要綱試案に示された 3 基準については、先に述べたように既に有力 な批判のあるところであり、検討チームが打ち出したこれら基準の厳格化については、なお曖 昧であるとする批判も想定されるが、筆者としてはこの方向性に基本的には同意するものであ る。 ただし、具体的な当てはめについては、これら基準以上に、補完的基準が決定的役割を果た すこともあり得よう。制度設計を行う上では定量的な基準を示すことが不可避であり、検討 チームにおいても、多様な考え方がある中で、一つの選択肢を示したものであると推察され る。ただし、今後において、不服申立件数、認容率を絶対視するようなことがあれば違和感が ある(検討チームは、個別具体的事情について勘案することも排除していない53))。さしあた り、不服申立件数の問題がある。なるほど、不服申立件数がほとんどないのに事務局に常勤の 職員が大量に張り付いている、というのは問題であろうが、それは行政コストの問題であっ て、申立件数が少ないがゆえに、事案の潜在的発生の可能性を考慮することなしに、制度その ものを廃止してよい、という結論には直ちには至らないであろう。制度として合理性があれ ば、発生の潜在的可能性があるものについては、受け皿を何らかの形で存置しておくべきでは ないかと思われる。行政コストを問題にするのであれば、たとえばかつて船員労働委員会が扱 う件数が少ないことから、その事務が都道府県労働委員会ないし中央労働委員会に移管された ように、事務の統合等の見地から検討すべき問題であるように思われる。 認容率についても問題がある。認容率が少ない、というのは、一面原処分が適正に行われて いる、との一つの現れと見ることができないでもない。認容率について考慮するのであれば、 棄却裁決を経た後、裁判所で原告が勝訴となった率と比較して検討すべきなのではないだろう か。

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請求が棄却された場合の出訴率についても、その評価については微妙な面がある。出訴率が 低いのは「納得」か「諦め」かという問題もある54)。「諦め」ないし「疲労」の結果出訴しな い、ということであれば不服申立前置が手続的に申立人に対し大きな負担を強いている、とも 言えるのかもしれない。ただ、筆者の経験上、棄却の裁決に納得していないどころか、激しく 不満であるが、訴訟提起はしない、という事例は多く、巷間言われているように、やはり一般 的には訴訟のハードルが高いがゆえに出訴率は低くなりがちである、という印象を持ってい る。出訴率が異様に高い、というのであれば前置の存在意義を考え直す必要はあるかもしれな いが、いずれにしろ単独の指標のみで見ることは危険であろう。

Ⅴ むすびにかえて

不服申立前置のメリットに関する議論は、Ⅲで瞥見したものについても、結局Ⅲ 2 アでみた 古典的な議論と重なるところが多いように見受けられる。そしてこの古典的議論における、 「私人の側からすれば、①及び③は行政側の便宜に過ぎず、②、⑤、⑥及び⑦は不服申立制度 のメリットであっても不服申立前置のメリットの問題ではなく、私人の選択の問題であり、こ れらのメリットをも放棄してもなお、行政ではなく裁判所における判断を選択しようとする者 に対してはもはや説得力を有しない」という指摘は正鵠を射ていよう。司法と行政の合理的事 務配分等の観点に鑑みれば、前述した④、⑤は制度設計における根拠として存分に妥当性を有 し得るものと考えるが(ただし、前述したように、筆者は③の観点も完全に没却すべきではな いと考えている)、これをブレイクダウンした結果残るものが、Ⅲ 3 ウの、検討会が示した ⅰ)及び専門技術性が担保された上でのⅱ)の基準を満たすものということになるのであろ う。そして、デメリットに関する議論については、今般の議論についても、制度全般のわかり にくさと、上記3基準の合理性に関する疑義及びその厳格化に関するものに収斂するものと思 われ、これらについては、先にみたように、行訴法制定過程において、制定に従事した者自身 から疑念が呈され、議論されていたことからしても、実のところ昭和 30 年代に議論されてい た内容と重なるところが多く、これら古典的議論も今後この問題を考える上で少なからず参考 となり得るものと考える。 いずれにしろ、行審法案と個別法の今後の動向については注目していきたいと考える次第で ある55) 1 )行政救済制度検討チームにおける議論のとりまとめについては、内閣府「行政救済制度検討チーム」 (http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/gyosei-kyusai/ 2013 年 11 月 16 日最終閲覧)参照。 2 )検討チームの取りまとめのうち、特に不服申立前置の見直し部分に係る方針及び結果について解説す るものとして、宇賀克也「不服申立前置の見直し」月刊地方自治 773 号 2 頁以下(2012)。

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3 )総務省「行政不服審査制度の見直し方針」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/ 01gyokan 04_02000014.html 2013 年 11 月 16 日最終閲覧)参照。 4 )総務省「行政不服審査制度の見直し方針 別紙 2」16 頁以下(http://www.soumu.go.jp/main_ content/000232877.pdf 2013 年 11 月 16 日最終閲覧)参照。 5 )訴願ないし不服申立てと行政訴訟との関係の変遷について解説する主なものとして、宇賀克也『改正 行政事件訴訟法(補訂版)』36-38 頁(青林書院、2006)、園部逸夫編『注解行政事件訴訟法』(以下「注 解」という)134-137 頁〔渋谷秀樹〕(有斐閣、1989)、南博方=高橋滋編『条解行政事件訴訟法(第三 版補正版)』243-245 頁〔畠山武道〕(弘文堂、2006)、渡部吉隆=園部逸夫編『行政事件訴訟法体系』 287-289 頁〔廣木重喜〕(西神田編集室、1985)、斎藤誠「自由選択主義と不服申立前置主義」ジュリ 263 号 23 頁(2002)。 6 )注解 134 頁。 7 )行政裁判法が原則としての訴願前置主義を採ることの理由として、美濃部達吉『日本行政法 上巻 (三版)』887-888 頁(有斐閣、1941)は、①なるべく簡単な手続で満足しうるか否かをまず試みさせる ことが当事者の便宜であること、②行政裁判所の審理に移る前にできるだけの審査を尽くし、なるべく その判断に誤りのないようにすること、③行政裁判所の負担をなるべく軽減すること、の 3 点を挙げて いる。もっとも、行政裁判法下にあっては、行政争訟は同一の行政系統内で行われていたのであり、現 在とは制度的前提を異にし、この議論は現在不服申立前置を採る場合について、そのままには妥当しな いことには留意する必要がある(注解 135 頁)。 8 )佐藤竺「行政事件訴訟特例法の立法過程」鵜飼信成編『行政手続の研究』241 頁(有信堂、1961)。 9 )田中真次「行政不服審査と訴訟との関係」田中二郎=原龍之介=柳瀬良幹編『行政法講座第三巻(行 政救済)』240 頁(有斐閣、1965)、注解 135 頁。 10)渡部=園部・前掲注 5)288 頁は、民訴応急措置法について、民事事件に対する行政事件訴訟の特殊 性が十分検討されないまま出訴期間についての特例のみが定められたにすぎないと評価する。この考え 方に立てば、民訴応急措置法は、訴願と訴訟の関係について、単に立場を明らかにしていないに過ぎな いものとも考えられよう。 11)杉村敏正=兼子仁『行政手続・行政争訟法』191 頁〔兼子〕(筑摩書房、1973)は、当時の立案担当 者は訴願制度がきわめて不備なままに前置を強いることは司法救済を妨げることになるという見方を もって臨んでいたことを指摘する。実際、第一小委員会の第 5 次草案までは、「訴と訴願の関係」につ いて条が設けられており、原則としての自由選択主義と例外としての訴願前置主義を採ることが明らか にされている(佐藤・前掲注 8)246 頁以下参照)。 12)この段階の原案には、訴と訴願との関係に関する規定は設けられていない(佐藤・前掲注 8)255 頁 以下参照)。 13)この経緯については、佐藤・前掲注 8)259 頁以下に詳しい。また、この経緯ないしGHQ側の考え 方に触れるものとして、杉村=兼子・前掲注 11)190 頁以下。なお、GHQが訴願前置主義を示唆した ことの背景にいわゆる平野事件があることを指摘するものとして、『行政事件訴訟特例法逐条研究』144 頁〔田中二郎発言〕(有斐閣、1957)。 14)同条の趣旨について、田中二郎「現実に行政救済を阻むもの」(同『行政争訟の法理』所収)174-175 頁、181 頁(有斐閣、1954)は、「およそ行政事件については、訴願等の行政手続が認められている限 り、原則として、まず、その手続により、行政機関の反省を求め、行政機関の自主的解決に俟つべきも ので、それで救済の得られない場合にはじめて裁判所に出訴しうべきものとする趣旨」であり、(訴願 が認められている場合にはその手続により)「行政庁自らをして反省する機会を与え、なるべくは行政

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事件は行政庁自らの手によって公正妥当な解決を図ることが望ましいとの考慮に出たものであろう」と 指摘する。 15)塩野宏編『行政事件訴訟法(1)』13 頁〔高木光〕(信山社、1992)。 16)この指針は、行政事件訴訟特例法改正要綱試案(小委員会案)(昭和 35 年 7 月 1 日)の第八の(注) として示されたものであり(塩野宏編『行政事件訴訟法(4)』337 頁(信山社、1994)、杉本良吉「行 政事件訴訟法の解説(一)」曹時 15 巻 3 号 388-389(1963))、だいたいこの方針で法改正がなされたと される(兼子・前掲注 11)226 頁)が、「やはり立法は妥協と申しますか、ある程度その基準に厳格な 意味において合致しないようなものも若干あるかもしれない」ことが立案関係者から指摘されている (「研究会 行政事件訴訟法第三回」ジュリ 261 号 69 頁〔杉本良吉発言〕(1962))。 17)行訴法制定過程において、一般法として訴願前置を原則として廃止したとしても、各個別法で訴願前 置が濫立することがすでに懸念されており、将来の濫立を防ぐために、個別法の規定の立法には法制局 のほか法務省の訟務局にも協議をすることが約束されたようである。このことにつき、浜本一夫「行政 事件訴訟法立法の思い出」ジュリ 383 号 59 頁(1967)、研究会・前掲注 19)69 頁〔杉本良吉発言〕。 18)行政救済制度検討チーム第 7 回資料によれば、平成 23 年 11 月 1 日段階において、不服申立前置を定 める法律は 99 である(当該資料は注 1)のHPで閲覧可能である)。 19)例えば、田中・前掲注 14)173 頁以下(初出は 1952 年)、「行政処分の取消を求める訴訟と訴願前 置」ひろば 9 巻 2 号 13 頁以下(1956)。 20)本判決は、「憲法七六条二項は行政機関もまた裁判を行うことのあることを前提としており、--- 行政 機関の行う裁判を裁判所に対する訴訟提起の前提要件とするか否かは法律の定めるところに一任してい るものと解すべきであつて、特例法 2 条がいわゆる訴願前置主義を定めたからと言つて憲法 32 条に違 反するものということはできない」と判示している。 21)金子宏「判批」『判例百選〈第二版〉』28 頁。 22)金子・前掲注 17)29 頁も、「訴訟の段階において少なくとも一つの事実審がみとめれていること、前 置されるべき訴願が相手方から裁判を受ける権利を事実上奪うほど不合理なものではないこと、の二つ の条件が満たされる限り、憲法違反ではい」としているが、裏を返せば制度の仕組みないし運用によっ ては不服申立前置にも違憲の余地がある旨指摘しているとも解される。注解 138 頁は、行訴法 8 条 2 項 の存在を理由に現行制度自体は合憲と解するが、具体的事実への実際の適用態度如何によっては適用違 憲の問題も生じうるとする。 23)メリット、デメリットの議論を簡単に整理しているものとして、注解 135-136 頁。 24)雄川一郎『行政争訟法』132 頁(有斐閣、1957)、田中真次・前掲注 9)239-240 頁など。なお、前掲 注 14)『行政事件訴訟特例法逐条研究』148-149 頁〔小沢文雄発言〕は、GHQが訴願前置制度を示唆 したことの背後に、裁判に行く前に違法な処分が行政庁によって簡単に訂正される方が私人にとっても 結局は利益があるという考え方があることを指摘しているが、この考え方も結局①に含まれよう。ま た、前掲注 16)に挙げた行政事件訴訟特例法改正要綱試案(小委員会案)に対し、ほとんどの省庁は 訴願前置主義を原則とする案に賛成であったが、その理由としてこの①が多く挙げられている(塩野宏 編『行政事件訴訟法(4)』449 頁以下(信山社、1994)参照)。 25)染野義信「訴願前置主義と行政訴訟」判評 13 号 5 頁(1958)。田中真次「行政処分の取消を求める訴 訟と訴願前置」ひろば 9 巻 2 号 15 頁(1956)も同趣旨か。 26)雄川・前掲注 24)133 頁、杉本・前掲注 16)387 頁、田中二郎『行政法上巻〈全訂第二版〉』316 頁 (弘文堂、1974)。 27)雄川・前掲注 24)133 頁、杉本・前掲注 16)387 頁など。

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28)田中・前掲注 25)15-16 頁、雄川・前掲注 24)133 頁。 29)染野・前掲注 25)5 頁。 30)行政事件訴訟特例法改正要綱試案(小委員会案)に対する運輸省意見はこの点を指摘する。塩野編、 前掲注 24)436 頁。 31)染野・前掲注 25)5-6 頁。また、他にこれらのメリットに関する議論に対する有力な批判として、杉 村=兼子・前掲注 11)222-225 頁〔兼子〕。 32)たとえば雄川・前掲注 24)133-134 頁など、枚挙に暇がない。 33)この 3 つの基準自体について、そもそも行訴法制定過程において問題点があることが認識されてお り、法制審議会行政訴訟部会小委員会の幹事であった杉本良吉氏自身、「その基準につきましてはまた 問題があるわけでございます --- 国会においても、現状においては、まあこの程度ならということになっ たのであろうと思います」と発言している(研究会・前掲注 19)69 頁)。 34)たとえば、杉村=兼子・前掲注 11)225-227 頁〔兼子〕、兼子仁『行政法総論』282-283 頁(筑摩書 房、1983)、「審査請求と取消訴訟の関係」『行政法の争点[第三版]』113 頁(有斐閣、2004)、小早川 光郎『行政法講義下Ⅱ』164-165 頁(弘文堂、2005)、櫻井敬子「不服申立前置主義」自セ 49 巻 9 号 6-7 頁(2010)など。 35)小早川光郎編『改正行政事件訴訟法研究』227 頁(有斐閣、2005)。同資料は第 16 回行政訴訟検討会 の資料として出されたものである。 36)小早川編・前掲 35)96 頁〔中川丈久発言〕はこう総括している。 37)不服申立前置については、主に第 12 回及び第 18 回行政訴訟検討会で議論されている。議事録につい ては、http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/05gyouseisosyou.html のリンクをたどるこ とによって閲覧可能である(2013 年 11 月 16 日最終閲覧)。 38)前掲注 4)17 頁。 39)前掲注 1)とりまとめ参照。 40)前掲注 1)とりまとめ 35-36 頁。なお、ここにいう「制度間競争」とはこの問題をめぐる新たな視点 であるようにも思われるが、すでに行訴法 8 条 1 項の立法趣旨として、「行政不服申立てによって国民 の権利救済の実が挙がれば、国民はおのずからこれを利用することになるのであるから、これを強制す る必要は認められない」とされているところであり(杉本・前掲注 16)387 頁)、古くて新しい議論で あるとも言えよう。 41)前掲注 1)とりまとめ 36-38 頁。  42)前掲注 1)とりまとめ 38-39 頁。 43)前掲注 1)とりまとめ 40 頁。具体的には、前掲注 1)とりまとめ別紙参照。 44)前掲注 3)別紙 3 参照。 45)前掲注 4)16 頁。 46)総務省「行政不服審査法の見直し」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/fufuku/  2013 年 11 月 16 日最終閲覧)のリンクから、「行政不服審査制度の見直しに係る検討」第 1 回及び第 2 回の議事概要を参照されたい。 47)前掲注 31)にあげた論稿参照。 48)田中・前掲注 25)5 頁。 49) http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/fufuku/(2013 年 11 月 16 日最終閲覧) 50)前田雅子「行政不服審査制度改革に関する論点の検討」ジュリ 1324 号 3 頁(2006)、福家俊朗=本多 滝夫編『行政不服審査制度の改革』12 頁〔本多滝夫〕(日本評論社、2008)。

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51)このことを指摘するものとして、櫻井・前掲注 34)7 頁。 52)櫻井・前掲注 34)6 頁。 53)前掲注 1)とりまとめ 39 頁。 54)櫻井・前掲注 34)6 頁。 55)本稿脱稿後に、橋本博之「個別法による不服申立前置について」慶応ロ─ 27 号 119 頁以下(2013) に接した。同稿は、本稿でなし得なかった不服申立前置を定める個別法について、具体的に分析を加え るものであり、是非参照されたい。

参照

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