• 検索結果がありません。

高等学校生物における形質転換実験用プラスミドの開発

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "高等学校生物における形質転換実験用プラスミドの開発"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

I はじめに

高等学校における組換え DNA 実験は,2002(平成 14)年 1 月告示,3 月施行の「組換え DNA 実験指針」 の中に教育目的組換え DNA 実験の項目が付け加えられ 初めて可能になった。その後,2003(平成 15)年 6 月に「遺 伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律(カルタヘナ法)」が公布,2004(平 成 16)年 2 月に施行され,高等学校での組換え DNA 実 験は,現在に至ってもその法律のもとで実施されてい る。 現行の学習指導要領(文部科学省 2009)では,第 2 章,第 5 節 理科,第 7 生物,2 内容 (1)ウ(イ) 遺伝子 の発現調節, 3 内容の取り扱いにおいて,転写レベルで の遺伝子発現の調節を扱うこととされている。新学習指 導要領(文部科学省 2019)においてもほぼ同様の扱い になっているが,観察・実験などを通して理解させるこ と,また観察,実験などの技術を身に付けさせることに なっており,組換え DNA 実験が現在より一層取り組ま れる内容になると考えられる。 現在使用されている各教科書では,表1のような実験 が記載されている。扱う遺伝子としては,大腸菌(原核 生物)由来のβ - ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)やオ ワンクラゲ(真核生物)由来の GFP 遺伝子がある。そ して遺伝子発現の検出系としては,青色発色あるいは緑 色蛍光発光が主である。5 社の教科書の内 3 社の教科書 では,大腸菌にプラスミド DNA を導入させる形質転換 実験を行うことにより,目的遺伝子の発現を検出してい る。また 1 社の教科書では,プラスミド DNA が既に導 入された大腸菌(形質転換済みの大腸菌)を選択培地 で観察させることにより遺伝子発現を観察させている。 この 4 社 については,組換え大腸菌を使用することに なるため,組換え DNA 実験として法のもとで実験が行 われる必要がある。残りの 1 社の教科書は,大腸菌がゲ ノム上に本来持っている遺伝子の発現調節を選択培地 で観察させているため,組換え DNA 実験ではなく,通 常の教室でも実施可能な実験となっている。 高等学校の現状として,SSH(スーパーサイエンスハ イスクール)指定校以外の高校では,形質転換実験にか かる実験準備の煩雑さや設備・費用の問題等により実施 しているところは少ない(data not shown)。GFP の発光 を検出するためには UV 照射装置(トランスイルミネー ター)が必要である。また,青色発色を検出するためには, X - gal(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-galactoside) や IPTG(isopropyl β -D-thiogalactopyranoside)などの試薬 も必要である。高等学校の現状に合わせて,どのような 遺伝子を使用するか考える必要があるが,外来遺伝子の 導入の検出と遺伝子発現の調節を一度に考えさせるこ とは難しい面もあると思われる。 そこで,本研究では,大腸菌と同じ原核生物であり 大腸菌と同様のプロモーターを持つネズミチフス菌の

高等学校生物における形質転換実験用プラスミドの開発

Development of the Plasmid for Transformation Experiments in High School Biology

笠 原   恵*

KASAHARA Megumi

 高等学校での組換え DNA 実験が可能になって 18 年が経とうとしてる。その間に2度の学習指導要領の改訂が行われ, 遺伝子発現やバイオテクノロジーの内容が充実してきている。新学習指導要領では,観察・実験などを通して理解させ ることが重要になっており,探究活動の充実も示唆されている。しかし,教育現場ではまだまだ組換え DNA 実験が普及 しているとは言い難い。  そこで,本研究では新学習指導要領に対応した遺伝子発現の実験や探究活動に使用できる大腸菌の形質転換用プラス ミドを開発した。大腸菌と同じ原核生物であり大腸菌と同様のプロモーターを持つネズミチフス菌由来の酸性ホスファ ターゼ遺伝子( phoN )と真核生物であるオワンクラゲ由来の GFP 遺伝子(大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター を持つ)の2つの遺伝子を持つプラスミドを作製した。高等学校の設備や予算などの現状に合わせて選択培地を選ぶこ とができる他,このプラスミドと大腸菌株の組み合わせで探究活動も可能であると考えられる。今後,このプラスミド が高等学校の教育現場で普及することを期待したい。 キーワード:形質転換 , プラスミド , 大腸菌 , 酸性ホスファターゼ遺伝子( phoN ), GFP 遺伝子 Key words : transformation, plasmid, Escherichia coli, acid phosphatase gene ( phoN ), GFP gene

(2)

酸性ホスファターゼ遺伝子( phoN )と真 核生物であるオワンクラゲ由来の GFP 遺 伝子(大腸菌のラクトースオペロンのプロ モーターを持つ)の2つの遺伝子を持つプ ラスミドを作製した。phoN 遺伝子は二成 分制御系の phoP – phoQ 遺伝子により調節 されており,培地中のリン酸濃度の低下を 感知すると発現誘導が起こる。phoN 遺伝 子は大腸菌のゲノム上にはないが,制御遺 伝子の phoP – phoQ 遺伝子は存在している (Kasahara 1991)。そのため,phoN 遺伝子 を大腸菌に導入した場合, phoN の発現が見 られる。大腸菌はアルカリホスファターゼ 遺伝子( phoA )を持つが,この遺伝子は, 二成分制御系の phoB – phoR 遺伝子により 強力に調節されており,リン酸欠乏培地で のみ発現が誘導されるため,通常の大腸菌 の栄養培地では発現が抑えられている(牧 野 1989)。これらのホスファターゼは,リ ン酸モノエステル結合を切る酵素であるた め,培地中に基質である X-P (5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-phosphate) が あ る と X と P の間の結合が切れて, X の部分が酸 化され青色に発色する。また,GFP 遺伝子 は,ノーベル賞受賞者の下山博士が発見し た遺伝子で,その遺伝子が発現すると UV 照射により緑色発光が観察できる。本報で は,この pGFP – phoN プラスミドの作製方 法について記載するとともに,このプラス ミドを使って形質転換実験を行なった場合 に,どのような結果がもたらされるか,ど のような実験系が考えられるかについて考 察した。

II 材料と方法

A 材料 2 種 類 の プ ラ ス ミ ド , pUC19 お よ び pGFPUV を購入し(Clontech TAKARA), そ のプラスミドを大腸菌へ導入後 , それらの 大腸菌を増殖させ,そこからプラスミド DNA を精製し実験に使用した。また , ネズ ミチフス菌の酸性ホスファターゼ遺伝子を 持つプラスミド phoN (笠原ら 2007)も 同様に増やし使用した。大腸菌株は JM109 (TOYOBO), CSH26(Miller 1992)を使用 した。これらの概要を表 2 に示す。 B 方法 (1)pGFP – phoN プラスミドの作製方法 表 1 各教科書に記載されている形質転換実験について 啓林館 東京書籍 実教出版 数研出版 第一学習社 単元 遺伝現象と物質 バイオテクノロジー 遺伝情報の発現 遺伝子の発現調節 遺伝子の発現調節 章 遺伝子の発現調節 遺伝子を細胞に導入する バイオテクノロジーの 進展と課題 遺伝子の発現調節の しくみ バイオテクノロジー 真核生物の発現調節 原核生物における 遺伝子の発現調節 項目 実験 探究活動 観察実験 探究 実験 探究活動 観察&実験 実験 タイトル 遺伝子の発現調節 大腸菌を使った遺伝子 組換え実験 パン酵母を利用した 組換えDNA実験 ラクトースオペロンに よる遺伝子の発現調節 遺伝子組換え実験  発光タンパク質GFPの 遺伝子の大腸菌への導入 遺伝子発現の誘導の観察 ラクトースオペロンに おける遺伝子の発現調節 頁(頁数) p.94 - p.95 (2) p.128 - p. 129 (2) p.132 - p. 135 (4) p.96 (1) p.118 - p.121 (4) p.130 (1) p.131 (1) 菌株 大腸菌 JM109株 大腸菌(菌株未記載) 酵母, 変異体酵母 (URA 3欠失) 大腸菌 JM109株 大腸菌(菌株未記載) 遺伝子組換え大腸菌 (pGL O導入処理済み) 大腸菌 HB 101株 プラスミド pUC19(β-ガラクトシ ダーゼ遺伝子とアンピシ リン耐性遺伝子が組み込 まれているもの) GFPの遺伝子をもつプラ スミド(プラスミド名未 記載) ウラシル合成酵素の遺伝 子とアミラーゼ遺伝子を もつプラスミド(プラス ミド名未記載) pUC 19(β-ガラクトシ ダーゼ遺伝子とアンピシ リン耐性遺伝子が組み込 まれているもの) pGL O(GFP遺伝子, bla 遺伝子, araC 遺伝子をも つプラスミド) 選択培地 寒天培地(組成未記載), Amp, X -gal・IPT G LB寒天培地, Amp, Ara YPD培地, 最少培地(ウラ シル欠損培地), デンプン 培地 LB寒天培地, X -gal・ IPT G LB寒天培地, Amp, Ara LB寒天培地, Amp, Ara LB寒天培地, X -gal・ IPT G 確認方法 青色発色 UV照射で緑色蛍光 コロニーの有無,アミ ラーゼ活性(ヨウ素デン プン反応) 青色発色 UV照射で緑色蛍光 UV照射で緑色蛍光 青色発色 笠 原   恵

(3)

酸性ホスファターゼ遺伝子を持つプラスミド phoN を 制限酵素 PstI で切断し,その末端を平滑末端になるよ うに DNA Blunting kit (TAKARA)を用いて処理をした。 その後,制限酵素 EcoRI で切断し,プロモーターを含む 酸性ホスファターゼ遺伝子領域の約 1 kbp の DNA 断片 を精製した。次に GFP 遺伝子を持つプラスミド pGFPuv を 制限酵素 EcoRI とStuI で切断し,そこへ前述の約 1 kbp の DNA 断片を Ligation high(TOYOBO)を使い結 合させた。GFP 遺伝子と phoN 遺伝子を逆向きに挿入し たのは,それぞれの遺伝子のプロモーターからのリード スルーを防ぐためである。その後,大腸菌 JM109 株へ 導入し,PhoN+ GFP+ のコロニーを選択し,その大腸菌

を多量に増殖させ,そこからプラスミドを NucleoBond Xtra Midi (TAKARA)を用いて精製し,以下の形質転換 実験に使用した。pGFP – phoN プラスミドの作製方法の 概略を図1に示す。

(2)形質転換実験

大腸菌の形質転換は,Green and Sambrook(2012)の 方法に従った。使用したプラスミドは全てアンピシリ ン耐性遺伝子(Ampr)を持つため,培地には最終濃度 が 100 μ g/mL になるようにアンピシリンナトリウム水 溶液を加えた。また,酸性ホスファターゼ( PhoN )の 選択培地には,最終濃度が 40 μ g/mL になるように X – P を加えた。この培地では,PhoN を作る大腸菌のコロ 表 2 本研究で使用した大腸菌株およびプラスミド 表2 本研究で使用した大腸菌株およびプラスミド 大腸菌株・プラスミド 遺伝子型・特性   大腸菌株

JM109 recA1, endA1, gyrA96, thi-1, hsdR17(rK- mK+), e14- (mcrA-), supE44,

relA1, Δ (lac-proAB) / F'〔traD36, proAB+, lacIq, lacZ

ΔM15〕 CSH26 F–, ara, Δ(pro-lac), met, thi

  プラスミド pUC19 プラスミドベクター, アンピシリン耐性(Ampr) phoN 酸性ホスファターゼ遺伝子を持つプラスミド, Ampr pGFPUV GFPバリアントベクター, Ampr pGFP-phoN pGFPUV の3’MCSに酸性ホスファターゼ遺伝子を持つプラスミド, Ampr

P

lac

GFP

pUC

ori

EcoRI

MCS

Amp

r

StuI

pGFP

UV

3.3 kbp

ベクターDNA

P

lac

GFP

pUC

ori

EcoRI

Amp

r

StuI/PstI*

phoN

pGFP-phoN

4.3 kbp

Pst

I

Ec

oRI

約1kbp

酸性ホスファターゼ遺伝子(phoN)

P

phoN 232 a.a. MW = 26,159 MCS:マルチクローニングサイト P:プロモーター GFP:緑色蛍光タンパク質遺伝子 phoN:酸性ホスファターゼ遺伝子 Ampr:アンピシリン耐性遺伝子

PstI, EcoRI, StuI:制限酵素サイト

pUC ori:pUCプラスミドの複製起点

P

Ampr

P

Ampr

P

phoN

図1 幅16.5cmに収めてください.

図 1 プラスミド pGFP – phoN の作製方法の概略

(4)

ニーは青色を呈する。一方,GFP は真核生物の遺伝子 であるため,大腸菌で発現させるためには大腸菌のプロ モーターが必要である。 そのためGFP 遺伝子のプロモー ターには大腸菌ラクトースオペロンのプロモーター領 域(オペレーターを含む)が使用されている。GFP 遺 伝子の発現には,ラクトースオペロンのリプレッサー である LacI をラクトースもしくはアロラクトースの誘 導体である IPTG でオペレーターから外す必要がある。 そのため,GFP 遺伝子の発現誘導の培地には,最終濃 度が 100 μ M になるように IPTG を加えた。 GFP 遺伝 子の発現には,トランスイルミネーター上に大腸菌の コロニーが生えた寒天培地を置き,その下から UV を照 射し,緑色蛍光を発することで確認した。pGFP プラス ミドは pUC19 プラスミド由来であり,pGFP のコント ロールとして pUC19 を使用した。pUC19 は,β -D- ガ ラクトシダーゼ(LacZ)の αフラグメントを持つ。大 腸菌 JM109 株は,ラクトースオペロンを欠失している が,F 因子上に LacZ の ω フラグメントを持つ(lacZΔ M15)。αフラグメントと ω フラグメントが共存すると 複合体を形成し LacZ の活性を示す(α 相補性)。LacZ の選択培地には,最終濃度が 40 μ g/mL になるように X – gal を加えた。形質転換後の大腸菌は T 寒天培地(ト リプトン 10g, NaCl 5g / 1L H2O, 寒天 15g)に広げ, 37℃ で一晩生育させた。一般的な大腸菌の培地は LB 培地(ト リプトン 10g, 酵母エキス 5g, NaCl 5g / 1L H2O, pH 7.2, 寒 天 15g)であるが,酵母エキスが入っているため培地の 色が T 培地より濃くなる。発色や発光の確認にはより 薄い色の T 培地が適していると考えたため,本実験で は T 培地を使用した。

III 大腸菌形質転換実験の結果

2種類の大腸菌株と3種類のプラスミド(表 2,図 2) を使用した形質転換実験の結果を表 3 に示す。また,以 下に示す実験結果の代表的な大腸菌コロニーの発色お よび緑色発光の様子を図 3 に示す。 (1)大腸菌 JM109 株を使用した場合 大腸菌 JM109 株に pUC19 を導入した場合,IPTG,X-gal の選択培地で青色に発色した。これは,大腸菌株 とプラスミドの間で α 相補性が起こったためである。 pGFP を導入した場合,IPTG が入った培地で GFP 遺伝 子の発現が見られ,UV を照射することで緑色蛍光の発 光が見られた。これは,GFP 遺伝子のプロモーターに ラクトースオペロンのプロモーターが使用されている ためである。本研究で作製した pGFP-phoN を導入した 場合,X-P が入った培地で phoN 遺伝子の発現が見られ, コロニーが青色を呈した(図 3C)。また,IPTG が入っ た培地で GFP 遺伝子の発現が見られ,UV を照射するこ とで緑色蛍光の発光が見られた(図 3E)。IPTG と X-P が入った培地では,GFP 遺伝子の発現も phoN 遺伝子 の発現も見られ,コロニーは青色になったが,緑色蛍光 は少し見にくくなった(図 3F)。  (2)大腸菌 CSH26 株を使用した場合 大腸菌 CSH26 株は,ゲノム上のプロリンの合成遺伝 子からラクトースオペロンまでが欠失した菌株であり, ラクトースリプレッサー( lacI )も欠失している。その ため,外来遺伝子の上流に挿入されたラクトースのプロ モーターは常に働くことになる。 大腸菌 CSH26 株に pUC19 を導入した場合,IPTG 不 要で , X-gal が入った選択培地で青色に発色した。pGFP を導入した場合,T 培地を除く全ての培地で GFP 遺伝 子の発現が見られ,UV を照射することで緑色蛍光の発 光が見られた。T 培地では,形質転換した大腸菌もしな かった大腸菌も培地上に一面に生えるため,形質転換 したものだけが緑色蛍光を発した。本研究で作製した pGFP-phoN を導入した場合,X-P が入った培地で phoN 遺伝子の発現が見られ,コロニーが青色を呈した。GFP 遺伝子の発現に関しては,pGFP を導入した場合と同様 の結果が得られた。  

IV 考察

高等学校における大腸菌の形質転換実験は,遺伝子発 現の調節の単元やバイオテクノロジーに関する単元で 欠かすことのできない実験であると考えられる。新学 習指導要領(文部科学省 2019)では,「観察,実験な どを行い,科学的に探究する力を養う」ことが目標に 挙げられており,教科書においても実験が充実したもの になると考えられる。現教科書では, ほとんどの教科書 で大腸菌の形質転換実験が記載されているが,大腸菌株 が不明であったり,プラスミドが未記載であったりと, 形質転換実験をスムーズに行うことが困難であると考 えられる。また,高等学校の設備や予算の問題で,緑色 蛍光の発光を見るための装置がないという場合も想定 される。 一方,生徒にとって,初めから遺伝子発現の調節の実 験を行い,調節遺伝子による誘導を理解をさせることは 難しいのではと感じる。その前段階として,遺伝子発現 の誘導なしに外来の遺伝子の導入のみで形質が変化す る現象から生徒に観察させ,その後で遺伝子発現の誘導 を必要とする実験を経験させた方が,遺伝子の発現誘導 に関する基本的な原理の理解を深め,科学的に探究しよ うとする態度が培われるのではないかと考えられる。 以上のような観点から,本研究では pGFP-phoN プラ スミドを作製した。このプラスミドは原核生物由来の phoN 遺伝子と真核生物由来の GFP 遺伝子の両方を持っ ている。そのため,phoN 遺伝子を大腸菌に導入するだ けで,基質さえあれば何の誘導もなく形質転換を青色発 笠 原   恵

(5)

表 3 大腸菌の形質転換結果

横向きで(幅23.5cm)1ページに収めてください.また,この表の下に図2を入れて1ページにしてください.

表3 大腸菌の形質転換結果 T T / Amp T / Amp, IPTG T / Amp, X-P T / Amp, IPTG, X-P T / Amp, X-g al

T / Amp, IPTG, X-gal

JM109 / no plasmid +++ * ー *** ーーーーー JM109 / pUC19 +++ + **** ++++ +(⻘⾊) JM109 / pGFP +++ + +(緑⾊蛍光) + +(緑⾊蛍光) + +(緑⾊蛍光) JM109 / pGFP-phoN +++ + +(緑⾊蛍光) +(⻘⾊) +(緑⾊蛍光, ⻘⾊) + +(緑⾊蛍光) CSH26 / no plasmid +++ ーーーーーー CSH26 / pUC19 +++ ++++ +(⻘⾊) +(⻘⾊) CSH26 / pGFP +++ ± ** (緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) CSH26 / pGFP-phoN +++ ±(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光, ⻘⾊) +(緑⾊蛍光, ⻘⾊ ) +(緑⾊蛍光) +(緑⾊蛍光) *;非常に多くのコロニー(プレート上でコロニーをカウントできないくらいの数)が見られる。 **;白いコロニーが多数ある中に,緑⾊蛍光を発するコロニーが見られる. ***;コロニーは見られない. ****;*のコロニーの数に比べて少ないコロニーが見られる. (  );コロニーの発⾊・発光の様子を示す。他は白いコロニーが見られる。 大腸菌株/plasmid 培地 図 2 大腸菌の形質転換実験に使用したプラスミド 3 種 の構造

図2

表3の下に入れてください

.

p G F P -p h o N 約 4 .3 k b p p ho N Am p r P la c G F P

P

lac

GF

P

pGFP

UV 3. 3 k bp Amp r r r

pGFP-phoN

4.3 kbp

pGFP

UV

3.3 kbp

pUC19

2.7 kbp

Amp

r

Amp

r

Amp

r

(6)

色により観察することができる。また,遺伝子発現の誘 導実験を行うのであれば,GFP 遺伝子の発現を IPTG で 誘導し,緑色蛍光の発光で確かめることができる。1つ のプラスミドで両方の遺伝子発現を観察することがで きる。さらに,大腸菌株を変えることで,IPTG の誘導 なしに GFP 遺伝子の発現を観察させることも可能であ る。プラスミドの種類と大腸菌株を組み合わせること で,探究活動も可能になる。高等学校の設備や予算の状 況によって選択培地を変えることで,様々な実験系が考 えられる。以上のように pGFP-phoN プラスミドは,今 後の高等学校での形質転換実験に有用であると思われ る。今後,このプラスミドが高等学校の教育現場で普及 することを期待したい。

追記

本研究で作製した pGFP-phoN プラスミドは,高等学 校の形質転換実験に必要であれば分譲致します。その際 は,著者までご連絡下さい。

V 引用文献

₁ .浅島誠 ほか 27 名(2018)改訂 生物 . 東京書籍 .  平成 29 年検定 .

₂ .Green, M. R., and Sambrook, J. 2012. Molecular cloning: a laboratory manual, 4th ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y.

₃ .Kasahara, M., Nakata, A., and Shinagawa, H. 1991.

Molecular analysis of the Salmonella typhimurium phoN gene which encodes nonspecific acid phosphatase. J. Bacteriol. Vol.173, pp.6760-6765. ₄ .笠原恵 , 西山侑希 , 小河基子 , 吉岡秀文 , 渥美茂明 . 2007. 教育目的組換え DNA 実験に関する教材開発研 究 . 兵庫教育大学教科教育学会紀要 . 第 20 号 , pp.1-8. ₅ .牧野耕三 . 大腸菌リン酸レギュロンのシグナル トランスダクション . 1989. 生物物理 . Vol.29, No.5, pp.7-12.

₆ .Miller, J.H. 1992. A short course in bacterial genetics: a laboratory manual and handbook for Escherichia coli and related bacteria. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y. ₇ .文部科学省(2009) 高等学校学習指導要領(平成 21 年 3 月告示). 東山書房 . ₈ .文部科学省(2019) 高等学校学習指導要領(平成 30 年 3 月告示). 東山書房 . 9 .本川達雄 ほか 17 名(2017)生物 改訂版 . 啓林 館 . 平成 29 年検定 . 10.嶋田正和 ほか 22 名(2018)改訂版 生物 . 数研 出版 . 平成 29 年検定 . 11.庄野邦彦 ほか 19 名(2018)新訂版 生物 . 実教 出版 . 平成 29 年検定 . 12.吉里勝利 ほか 20 名(2018)改訂 生物 . 第一学 習社 . 平成 29 年検定 .

図3 幅16.5cmに収めてください.

A

B

C

D

E

F

A ~ C は,コロニーの発色(白または青)の結果を示し,D ~ F は,UV 照射によるコロニーの緑色発光結果を示す。 A; JM109 / pGFP - phoN (T), B; JM109 / pGFP - phoN (T / Amp), C; JM109 / pGFP - phoN (T / Amp, X-P)

D; JM109 / pGFP - phoN (T / Amp), E; JM109 / pGFP - phoN (T / Amp, IPTG), F; pGFP - phoN (T / Amp, IPTG, X-P)

図 3 大腸菌の形質転換結果 笠 原   恵

図 1 プラスミド pGFP – phoN の作製方法の概略
図 3 大腸菌の形質転換結果笠 原   恵

参照

関連したドキュメント

市場を拡大していくことを求めているはずであ るので、1だけではなく、2、3、4の戦略も

3He の超流動は非 s 波 (P 波ー 3 重項)である。この非等方ペアリングを理解する

詳細情報: 発がん物質, 「第 1 群」はヒトに対して発がん性があ ると判断できる物質である.この群に分類される物質は,疫学研 究からの十分な証拠がある.. TWA

第四章では、APNP による OATP2B1 発現抑制における、高分子の関与を示す事を目 的とした。APNP による OATP2B1 発現抑制は OATP2B1 遺伝子の 3’UTR

線遷移をおこすだけでなく、中性子を一つ放出する場合がある。この中性子が遅発中性子で ある。励起状態の Kr-87

・ここに掲載する内容は、令和 4年10月 1日現在の予定であるため、実際に発注する建設コンサル

編﹁新しき命﹂の最後の一節である︒この作品は弥生子が次男︵茂吉

旅行者様は、 STAYNAVI クーポン発行のために、 STAYNAVI