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京都府大腿骨近位端骨折地域連携パス参入におけるパス不適応群の戦略

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Academic year: 2021

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京都府大腿骨近位端骨折地域連携パス参入におけるパス不適応群の戦略

洛和会丸太町病院 整形外科

盛房 周平・辻原 隆是・原田 智久・末原 洋・古川 龍平

Strategy for misfit group in Kyoto regional cooperation path

based on fractures in the proximal femur

Department of Orthopaedic Surgery, Rakuwakai Marutamachi Hospital

Shuhei Morifusa, Takashi Tujihara, Tomohisa Harada,

Hiroshi Suehara, Ryuhei Furukawa

【要旨】  当院がパスに参入した平成23年5月1日より平成24年10月31日までの不適応群を自宅群31症例、関連介護施設グルー プホーム(以下GH)群10症例、その他病院・介護施設群9症例に分割し、適応群31症例も含めて比較すると、自宅群 では退院時 Activities of Daily Living(以下ADL)が有意に高い(p<0.01)結果となり、在院日数が有意に長い結果 (p<0.01)であった。そこで自宅群に改善の余地を見い出し、不適応群の検討を行った。検討は退院時年齢、在院日数、 退院時Barthel Index(以下BI)、それぞれの相関関係をピアソン相関係数検定にて検討した。自宅群では、年齢と退 院時BIには負の相関があり(r=−0.61)、退院時年齢が高くなるほど、退院時ADLは低下する結果となった。在院日 数と退院時BIは弱い相関があり(r=0.39)、退院時BIは概ね高い状態から、退院が長くなれば退院時BIも上昇してい く結果となったが、早期に退院するなかで退院時BIが低いばらつき群があった。居宅ゴール希望者には、退院時年齢 と退院時ADLには負の相関を認めるため、高齢になればなるほど退院時ADLは低下するというデータ結果を提示し、 地域連携パスの利点を認識させ、パス導入や早期退院への戦略方針を選択すべきである。 【Abstract】  Since 5/2011 after introduction of Kyoto regional cooperation path based on fractures in the proximal femur, there were fits 31 patients group. There were misfits 47 patients groups, which were divided related long-term care/group home group 10 patients, home care group 31 patients, and long term care facilities, hospitals group 9 patients. Among 4 groups including fit group 31 patients, multiple comparison test(turkey-Kramer method, Bonferroni/Dunn method) were made in 3 items of a hospital stay, BI(Barthel Index), as an evaluation of ADL (activities of daily living)in discharge. As a result, home care had significantly longer hospital stay than fits group (p<0.05), further than long-term care facilities group and group home group(p<0.01). home care group was high compared to other 3 as ADL evaluation(BI)(p<0.01). Therefore home group study were performed. Correlation among a discharge age, a period in hospital, and BI in discharge were studied at the Peason’s correlation coefficient test. As a result, in home group, there were minus correlation between a discharge age and BI in discharge(r=−0.61). There were micro correlation between a period in hospital and BI in discharge(r=0.39). To persons who wish to return to home, the evidence should be indicated, which there were minus correlation between a discharge age and BI in discharge. We should select the strategy which the evidence caused them join the path. Key words:地域連携パス、BI、ADL、ピアソン相関係数検定 Regional cooperation path, Barthel Index, activities of daily living, Peason’s correlation coefficient test

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【はじめに】  京都府内統一の大腿骨近位部骨折地域連携パスは、急性 期から回復期・維持期、そして在宅までのシームレスな連 携を念頭に発足し、それぞれを担当する医療機関・施設、 関係職種の間で情報を共有できる情報が作成された(図1)。  京都府大腿骨近位端骨折地域連携パス運営会議における 急性期担当である計画管理病院部門の運用近況報告(平成 23年7月1日~平成24年6月30日の期間と平成24年7月1日~平 成25年6月30日の期間)で、当院では他院と比較して件数増 加(67→103)したにもかかわらず、パス適応率が35.8%か ら25.2%と下降した(表1)。  件数増加はパス非適用群の増加分であったが、在院日数 が適用群で26日→24日、非適用群で26日→23日といずれも 短縮改善している。今回非適用群の解析をおこない、非適 用群の中からパス参入適用群に移行できる症例がないのか、 それによりさらなる改善できる手立てがないかを検討した。  当院がパスに参入した平成23年5月1日より平成24年10月 31日までの78症例の検討結果では、パス導入後のパス適応 群31症例とパス不適応群47症例の在院日数では25日前後で 有意な差はなかったが1)(図2)、不適応群を自宅群31症例、 関連介護施設グループホーム群10症例、その他病院・介護 施設群9症例に分割し、適応群も含めて比較すると、自宅群 では退院時ADLが有意に高い(p<0.01)結果となり、在院 日数が有意に長い結果(p<0.01)であった1)(図3)。退院後 自宅群は、術後早期に独歩で帰宅できる群と、ADLが悪い ままで早期に退院する群と、認知症・全身状態悪化などで 地域連携パスから除外されたり、転所転院を拒否したりし て、ADLが回復するまで長期に入院する群に、多極化して いる印象があった。そこで自宅群の検討を中心に不適応群 の検討を行った。 図1 地域連携パスの流れ(計画管理病院−連携病院間がオンライン運用の場合) 京都府医師会ホームページより引用

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表1 大腿骨近位部骨折地域連携パス運用状況 改善手段のために、非適用群の解析をおこなった。 〈件数増加(67→103)、パス適応率(35.8%→25.2%)非適用群が増加。〉 患者総数 パス適用 パス非適用 患者数 適用率 平均在院日数 提携する医療機関に転院し た患者数 在宅復帰数 平均総治療期間 患者数 平均在院日数 提携する医療 機関に転院し た患者数 在宅復帰数 平均総治療期間 67 24 35.8 26 24 2 99 43 26 2 29 26 患者総数 パス適用 パス非適用 患者数 適用率 平均在院日数 提携する医療機関に転院し た患者数 在宅復帰 数 平均総治療期間 患者数 平均在院日数 提携する医療 機関に転院し た患者数 在宅復帰 数 平均総治療期間 103 26 25.2 24 20 8 94 77 23 5 29 25 ※平成23年7月1日~平成24年6月30日 ※平成24年7月1日~平成25年6月30日 図2 地域連携パス適応群と地域連携パス不適応群の在院日数  大腿骨近位端骨折地域連携パス参入後の平成23年5月~平成24年10月までの78症例の在院日数を、 適応群と不適応群との間で比較検討(student’s t test)した。 図3  大腿骨近位端骨折地域連携パス参入後の平成23年5月~平成24年10月までの78症例の在院日数、 ADL評価(Barthel Index, FIM)を、退院後動向先別に比較検討(多重比較検定)した。

在 院 日 数 地域連携パス使用群 地域連携パス適応外群 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 平均値と標準偏差 地域連携パス 自宅 関連介護施設・ GH その他病院・介護施設 在 院 日 数 60 50 40 30 20 10 0 地域連携パス 自宅 関連介護施設・ GH その他病院・介護施設 地域連携パス 自宅 関連介護施設・GH その他病院・介護施設 B I 120 100 80 60 40 20 0 F I M 140 120 100 80 60 40 20 0 平均値と標準偏差 平均値と標準偏差 平均値と標準偏差 退院後動向先別の在院日数 退院後動向先別の退院時 BI

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【方 法】  検討は退院年齢、在院日数、退院時Barthel Index(BI)、 それぞれの相関関係をピアソン相関係数検定にて検討した。 自宅群のみならず、関連介護施設グループホーム群と、そ の他介護施設病院群についても同様の相関関係を検討した。 【結 果】 ①自宅群では、年齢と退院時BIには負の相関があり(r= −0.61)、退院時年齢が高くなるほど、退院時ADLは低下 する結果となった。在院日数と退院時BIは弱い相関があり (r=0.39)、退院時BIは概ね高い状態から、退院が長くなれ ば退院時BIも上昇していく結果となったが、早期に退院す るなかで退院時BIが低いばらつき群があった(図4)。 ②関連介護施設・GH群では有意な相関はなかったが、退院 時ADLは概ね低く、在院日数は概ね短かった(図5)。 ③その他介護施設・病院群では、有意な相関はなかったが、 退院時ADLは高いADLと低いADLとのと2極性であり、 在院日数とは全く相関はなかった(図6)。 図4 自宅群における退院時年齢と在院日数と退院時BIの相関 図5 関連介護施設、グループホーム群における退院時年齢と在院日数と退院時BIの相関 ピアソン相関係数検定 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 在 院 日 数 120 100 80 60 40 20 0 退 院 時 B I 120 100 80 60 40 20 0 退 院 時 B I 年 齢 0 20 40 60 80 100 120 年齢 在院日数 回帰関数と散布図 回帰関数と散布図 回帰関数と散布図 年齢、在院日数 年齢、退院時BI 在院日数、退院時BI 相関なし 負の相関あり 相関あり 相 関 −0.1995 −0.61053 0.394448 相関係数 0.318443 0.000719 0.041748 P値(両側確率) ピアソン相関係数検定 30 25 20 15 10 5 0 0 20 40 60 80 100 120 0 10 20 30 在 院 日 数 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 退 院 時 B I 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 退 院 時 B I 年 齢 0 50 100 150 年 齢 在院日数 回帰関数と散布図 回帰関数と散布図 回帰関数と散布図 年齢、在院日数 年齢、退院時BI 在院日数、退院時BI 相関に有意性がない 相関に有意性がない 相関に有意性がない 相 関 −0.4931 −0.53063 0.464488 相関係数 0.177395 0.141621 0.207796 P値(両側確率)

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【考 察】  自宅群は概ね退院時ADLが高い状態であり、早期の在宅 復帰を反映しているが、在院日数が長期に及ぶ症例もあっ た。退院時年齢と退院時ADLには負の相関があり、高齢者 になるほど退院時ADLは低下するため、年齢に応じた退院 時ADLのゴールを設定し、早期退院に促す方針をとるべき である。長期入院者においては、本人・家族ともに、受け 入れ先の転所・転院を拒否、早期自宅退院を拒否し、ADL が改善するまで長期入院を希望される事例が多い。これら 本人・家族に対して、年齢に応じた最終退院時ADLを示し、 初期より地域連携パスへの参入や、早期に環境整備を行い 早期の自宅退院を促す戦略が必要となる。  関連介護施設・GH群ではこれまで通りに、抜糸後早期に 転院とする方針にかわりはない。  その他介護施設・病院群では、退院時ADLが2極化して おり、受傷前が施設・病院の場合はこれまで通り当該施設・ 病院に早期の転院の方向に変わりはない。これらの群は、 認知症度や重症度が高く地域連携パス不適応症例や独居の 場合が多く、ADLにかかわらず居宅困難な症例があり、早 期に受け入れ先の獲得動作が必要であり、早期に地域連携・ Medical Social Worker(以下MSW)への介入初期動作を 始動する必要がある。  早期自立退院できない本人・家族には、早期退院にむけ て、地域連携パスに参入することが、いかに効果的であり、 急がば廻れでより早くADLが復帰できるかを年齢相応の退 院時ADLを示すと同時に啓蒙する必要がある。  患者サイドの地域連携パスの効用としては、①病病連携 では、急性期から回復期、回復期から生活期とスムースに 医療の質を保ち、転院・転所し、在宅へとゴールできること。 在宅となっても、病診連携で、かかりつけ医と二人主治医 制となり安心感が得られる。②治療方針が共有でき、必要 な治療や検査が認識できるため、不必要な重複検査を回避 できる。③パスの推進により診療の標準化が図られ、地域 の診療レベルが向上する。以上、データを示し、パス誘導 する必要がある2)  なお、急性期病院としての当院のパス導入利点としては、 ①充実した医療サービスを維持しつつスムースなリハビリ 病院への転院がなされること。②在院日数が短縮できるこ と。③病院の外来負担が軽減できること。④二人主治医制 をとれること。等がある2)  また、再骨折予防のための薬物治療が医療経済的に医療 側より削除例があったり、在宅になり治療が途絶えたりす る症例がある。骨折1年後に骨粗鬆症治療薬が継続されてい 図6 その他の介護施設・病院群における退院時年齢と在院日数と退院時BIの相関 ピアソン相関係数検定 35 30 25 20 15 10 5 0 0 20 40 60 80 100 0 5 10 15 20 25 30 35 在 院 日 数 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 退 院 時 B I 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 退 院 時 B I 年 齢 0 20 40 60 80 100 年 齢 在院日数 回帰関数と散布図 回帰関数と散布図 回帰関数と散布図 年齢、在院日数 年齢、退院時BI 在院日数、退院時BI 相関に有意性がない 相関に有意性がない 相関ない 相 関 0.519455 −0.5726 0.037468 相関係数 0.187047 0.137966 0.929813 P値(両側確率)

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た割合は19%。50%以上が、治療・診療なしの統計結果で ある3)。中断例は、ADLが低下し歩行困難な症例、超高齢者、 退院先が病院か施設の場合となっている。これらの是正抑 制、再発防止のためにも地域連携パスを活用すべきである。 【まとめ】 ①パス適応率を高めるには自宅群をパスに導入するのが最 善の戦略である。 ②自宅群では退院時年齢と退院時ADLには負の相関を認め るため、高齢になればなるほど退院時ADLは低下すると いうデータ結果を得た。 ③居宅希望者本人・家族に年齢相応の退院時ADLデータを 示し、 地域連携パスの利点を認識させ、早期退院のため には地域連携パス参入に導くことが最善の選択である。 【引用文献】 1)盛房周平 他:当院における大腿骨近医部骨地域連携パス 導入効果の評価判定、京都医学会雑誌60(1):5-8, 2013. 2)菅原重生:連携パスの長期成績 プロローグ 連携パ スで医療の質は同変化する?、パス最前線2013号秋号: 4-16, 2013. 3)荻野 浩、澤口 毅、遠藤直人:大腿骨近位部骨折後の 骨粗鬆症治療~ POSHIP調査結果より、Osteoporosis Japan. 20:270, 2012.

参照

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