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Strategies to prevent positioning-related complications associated with the lateral suboccipital approach.

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 の 要 旨

論文提出者氏名 古野 優一 論 文 題 目

Strategies to prevent positioning-related complications associated with the lateral suboccipital approach

論文内容の要旨 脳神経外科領域において,側臥位手術は主に外側後頭下到達法で頻用される.重要構造物が密集する小脳橋角 部病変に顕微鏡下にアプローチするために,セッティングには多くの要素が含まれる.長時間手術も稀ではなく, 褥瘡を始め体位セッティングに起因する種々の合併症を回避する必要がある.頸椎への負荷や頚静脈還流,気道 内圧,体幹の皮膚接触面局所体圧等,合併症回避のために留意すべき要素も多い.本研究では,我々の側臥位手 術に関する合併症の自験例を後方視的に解析し,合併症回避のための要点を検討した. 2003 年 1 月から 2010 年 12 月までの過去 7 年間に,当施設で外側後頭下到達法による手術が行われた初回手 術例71 症例を対象とし,体位に伴う合併症を後方視的に解析した.褥瘡の重症度評価はNational Pressure Ulcer Advisory Panel (NPUAP) 分類を用いて行った.

症例は男性が28 例,女性が 43 例で年齢は16 歳から 81 歳(平均年齢57 歳)であった.手術時間は3 時間 30 分から17 時間 40 分(平均 10 時間 8 分)であった.病変は前庭神経鞘腫が 23 例,頚静脈孔神経鞘腫が 2 例, 三叉神経鞘腫が1 例,小脳橋角部髄膜腫が16 例,顔面痙攀や三叉神経痛に対する微小血管減圧術が13 例,その 他が16 例であった. 術中の気道内圧上昇や頸静脈還流障害による小脳腫脹例はなかった.筋肉質の若年男性で 術後横紋筋融解症を呈した例が1 例あり,健側膝部保護が不十分で術後一過性に深腓骨神経麻痺を合併した例が 1 例あった.術後健側腋窩および側胸部にⅠ度の褥瘡を認めた例が22 例,Ⅱ度が 12 例あり,Ⅲ度以上の重症褥 瘡例はなかった.頸部の回旋,屈曲に起因する頸椎,頚髄障害や腕神経叢麻痺等はなかった. 健側体幹の褥瘡形成に関与する因子を明らかにするため,褥瘡を認めた群と,体幹褥瘡を認めなかった群の2 群間における性別,年齢,手術時間,体重を統計学的に比較検討した(性別に関してはchi-square test を,年齢, 手術時間,体重に関してはStudent t test を用いた).体幹褥瘡の発生率に関して性別では男性で褥瘡発生率が高 い傾向にあったが統計学的有意差はなく,年齢における有意差もなかった.平均手術時間は褥瘡群が11 時間 54 分であったのに対し非褥瘡群が8 時間30 分で褥瘡群の手術時間が有意に長かった(p<0.05).平均体重は褥瘡群 が60kg,非褥瘡群が 55kg で褥瘡群の平均体重が有意に重かった(p<0.05). 側臥位の場合,仰臥位や腹臥位に比較しベッドと体幹の皮膚接触面積が低くなるにつれて局所接触圧が上昇し, 褥瘡の発生率が高くなる.特に腋窩から前胸部の褥瘡は術後の疼痛,呼吸困難に寄与し,患者さんのADL を低 下させる. 褥瘡群と非褥瘡群の比較検討から,手術時間と患者さんの体重が側臥位手術での術後褥瘡発生の危険 要因であることが示唆された.一方,褥瘡は生じなかったが筋肉質の若年男性1 例で横紋筋融解症を呈した.体 重や手術時間に加えて体脂肪率や筋肉量は横紋筋融解症の発生に関与する可能性があり,今後の検討課題である. 側臥位における皮膚接触面体圧分布をABW 社製エルゴチェック®を用いて測定し,体幹の回旋度による体圧分 散効果を含めて検討した.体圧分布について,側臥位で局所接触圧は腋窩部と大転子部に集中して高いことが判 明した.局所接触圧は低反発ウレタン素材の使用で分圧および除圧が得られ,さらに体幹の前方回旋で皮膚接触 面を拡大して局所接触圧が分散された.これらの操作で腋窩部の局所接触圧は116.6mmHg から 48.2mmHg へ 約59%減少した.最近では低反発ウレタンフォームに加えて粘弾性高反発ウレタンフォームを重ねて使用してい る.これは従来の低反発ウレタンフォームが柔らか過ぎて荷重によって腋窩部が潰れ込み,十分な局所接触圧分 散効果が得られない点を改良したものである.粘弾性ポリウレタンフォームは従来の低反発素材に比し密度が高 くゴム様の粘り気を持ち,腋窩部の潰れ込みを少なくして腋窩のほかに腰部まで広く支えることで,さらに局所 接触圧分散効果が得られる.今回の皮膚接触面体圧分布測定では,体幹の回旋(30-45 度)が局所接触圧分散に 大きく寄与していることが明らかになった.病変の主座や頸部の可動性により体幹の回旋度は個々に異なるが, 常に体幹の回旋が褥瘡予防に非常に良いパラメータであることを留意しておくことが肝要である.側臥位手術に おいて術操作空間を確保するために肩をテープなどで下方へ牽引することがあるが,体幹を前方へ回旋させるこ とは肩が手術の障害にならず,外側後頭骨面の術操作空間を確保できることでも有用である. 外側後頭下到達法で用いられる側臥位のセッティングは,頭位の固定に多彩かつ複雑な要素が含まれ,それに 伴って体幹,頸部への負荷が強くなる.頚静脈還流,気道内圧に留意して頸部を愛護的に固定すること,局所接 触圧分散を念頭において床上素材を選択すること,体幹のセッティングに回旋を加味すること,四肢の末梢神経 まで十分に防護し得る安定した体位作りを行うことなどで体位関連合併症が回避でき,手術に有利なセッティン グが可能である.

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