平成二十九年度
広島新庄高等学校
一般入学試験問題
国
語
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「
始め」の合図が
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・試験終了後はこの冊子
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てください。
1 -一 次の文 章 は今 井 む つ み さ ん の 『 学 び と は 何 か 』 の 一 節 で す 。 こ れ を 読 ん で 、 後 の 問 い に 答 え な さ い 。 私たちはみな、母国語の達人 で あ る。私たちは 母国語 を あ た りま えのように使 ってコ ミ ュニケ ー ショ ンをとり 、学び、 考えてい る。 しかしその 背 後には膨大な量の知 識 があること を 意識し て いる人 は ほと ん ど いないだろ う 。実際に は言語 の 音の特徴 や文法 に 関する 深 い知識、そ し て お びた だしい数の単 語の意味と使い方 を知 らなければ、こ と ばを話したり書いたり することはできないの であ る 。 ① そのこ と 外国語を学んだ ことがある人な ら 誰 で もそのことは身 に 染み て知っ て い る だ ろ う 。 外国語 を母国 語 のよう に 使い こなすこ とが で きるほど熟 達 するためには、特別な才能が必要だと 思 ってい る 人も 多 い 。そ れな のに、な ぜ子 ども は誰 でも やす や す と母 国語 の達 人に なるこ と がで き る の だ ろ う か。 私たち が 授業で外国 語 を学 習すると き 、 テキスト中の 文はすで に単 語に区 切 って あるこ と がほとんどで 、 新 出単 語がリ ス ト さ れ 、 日 本 語訳 もつ けら れて いる。 A 、私た ち 大人 は外国語を学 習 す るとき、聞いた発話の中か ら自分 で 単 語 を探しだすことは ほと んど ない 。 B 、大人 は 外国語 の文法 や 単語 は知らな く て も、ど んな言語にも共通する言語 に 関 する多く の知識を持っ ② 名 詞、動詞 てい る。 C 、 言 語 は 単 語 という要素か ら成り立 っ て い る こ と 、 そ れ ぞ れの 単語に は 意味がある こ と 、 単語 に は 名 詞 、 動 詞 、 形容 詞 ㋐ ニナ う 形容 詞など 、 異な る種類 が あって 、 文の 中で ニナう役 割がそれ ぞれ 異なること、 など。 ㋑ マワ り D 、 子 どもには、テ キスト も 辞書 もないので、自 分 に 語 りかけられ る こと ばや、 マ ワり で 人 が話 し て いる会話だけを材 料にし てす べてを自分 で 発見し な け ればな ら ない。英語 の テ キ ス ト では 単語 と単語 の 間 に スペ ー ス があ るが 、会 話の音声 では、 単 語 と 単 語 の間 の明確 な 区切 り は ない の で 、子 ども は自分 で 会話 を 単 語 に 区切 っ て い っ て単語 を 一 つ ひ と つ 自 分 で 発見 するし か ない ㋒ スイ ソ ク し 、 発見した 単 語 の意味も 自分 でスイソクするしかない 。 言語の基本パーツは単語だ。単語を規則( 文 法)に 則 っ て 組 み 立 て 、 文を つ く る。 単 語 を 組 み合わ せ るこ とで 、 言 いた いことを のつ と
2 -何で も 表 現す ること が で き る 。 そ の ため に は 、たくさ ん の 単語 を知 ってい な ければな ら な い 。 しか し 、 耳 に する言 語 の 音 は 、 単語 ご と に 区 切 ら れ て い な い 。 知 ら な い言 語を 聞 い た 時 、 ま ず 切 れ め な く 流 れ て く る音 を単 語に区 切 ること が で き 、それぞ れの単 語 の意味を知って い なけ れば、何 を 言 って いる のか理解で き ない。人が何を言って いるのか理解する ため には、乳 児はまず 、人の声 を単語 に 区切 っていく ことから 始めな け ればなら ないのだ。 ㋓ フク ス ウ 単語は 大抵、フ ク スウ の音の 組 み合わ せ でで きて いる。そのとき の 音とは何 か 。「音素」という音の単 位 で ある。もう少し詳 しく 言 う と 、 音 素 と は あ る 言 語 で 単 語 を 作 る 音 の 単 位 で 、「 そ の音 の 違 い が 、 違 う単 語を 作 り 出 す かど う か 」 が その 言 語 の音 素 を 決め る 。 ③ 「 s e e 」 ( 見 る ) と 「 s h e 」 ( 彼 女 ) と は ま っ た く 別 の 単 語 だ 英語 で は 「 s e e 」 ( 見 る ) と 「 s h e 」 ( 彼女) と はまったく別 の単 語 だ 。 単 語 の 最 初 の子 音を発 音 記号 で表すと 「 s e e 」の ほ う は [ s ] 、 「 s h e 」のほ う は [ ʃ ] であ る 。 つ ま り 、 英 語 では [ s ] と [ ʃ ] はそ れぞれが 単語 をつく り 出す音 の 単位 、つま り 音素 と な る 。 し か し 、 日 本語では [ s ] と [ ʃ ] の違い は 、意 味が違う 別 の 単語をつくり出さない。だから、日本語 ではこの二つ の音は別 の音素 で はなく 、 / s / と いう同 じ 子音の 仲 間と 見なされるので あ る。 子 ど も が 自力 で単語 を 発見 す る た め に は 、 母 国語 の 音 素 を 発見 する こ と が必 要 で あ る 。 例 え ば 、 英 語 を 母 国 語 と する 子 ど も は 、 [ s ] と [ ʃ ] が別の音だということが わ か ら なければ 「 s e e 」と 「 s h e 」を 別 の 単 語 とし て認 識する こ とが できない 。 で は 、乳児はどのように し て 母国語で使われる音素を学ぶのだ ろ うか 。じつ は 、音素 自 体は「 学 ぶ」必要はな い。生 ま れた と き には乳児は自分の 母国語になるはずの言 語 は もちろ ん 、それ以外 の す べ ての言語 で使 われるす べての 音 素の違 い を識別 で きる 能力 ④ 日本人の 赤ちゃ ん は を持っているからで あ る 。 日本人には 「 r 」 ( ア ー ル ) と 「 l 」 ( エ ル ) の 聞 き 分 け が 難 し い と 言 わ れ て い る が 、 日 本 人 の 赤 ち ゃ ん は 、 八カ 月くらい ま で は ア ールと エ ル の 区 別 ができる 八カ 月く らいまではア ールと エ ルの区 別 が で きる。ところが、一歳 の 誕 生 日 ころ に は 、 も う 区 別で き な く な って し ま って い る ので ある。 ど の 言語 を母国語 とし て い ても、生後六~八カ 月ま では 、音素を音の 物理的 な 違いに従 っ て 区別し て いる。し かし 、そ の後数 カ
3 -月の間に、 そ れぞれの 母国語に特 有 の音素の 区 別 の仕方(ク ラ ス分 けの仕 方 )を身 に つ け たため に 、そ の母 国語 では必要の な い識 ⑤ 無駄 なこと 別能力を失うようになるの だ。言い換えれば、無 駄なことに注意を 払わ な く なる ので ある 。 つ ま り 、 学 習と は 単 に 細 かい 区 別 がど ㋔ スて る んど んで き る ように な るこ と だ けで は な い 。 無駄 なこと を スて る こ と も 大 事 なの だ 。 第 1 章 で 、ほとんどの人は五〇〇円玉の図柄の 詳 細を覚 え て い ない と述べ た 。これは認知の仕組みを考えるとしご く 合理的な こ と な の だ 。硬貨の 種類を見分けるには色と大き さ 、 形 がわかれば十 分 で ある 。 図 柄は硬貨を使うため に 必要な 情 報で はないの で 、 そ こ に注意 を 向けないのだ 。 一歳 前の乳児が 、 自分 の母国語 で 区 別する必 要 の ない 音素の区別に注意 を向 けなく な るということは 、 母国語 の 学 習 を効 率的に行い、母国語 に 熟達していく上 で いた っ て 合理 的なプロセスなの である。 問一 波線部㋐ ~㋔の カ タカナ を 漢字に直しなさい。 問二 空欄 A ~ D に入 る言葉 と し て 最も 適当なものをそれぞれ次か ら選び、記号 で答えなさ い 。 ア 一方 イ 例え ば ウ つまり エ また 問三 傍線部 ① 「そのこと 」 の指す 内 容と し て 最 も 適当 なものを 次 か ら 選 び 、 記号で 答 え な さい。 ア 私たちはみな、母 国語の達人 で あり、母 国語 を 使 ってコミ ュ ニ ケー ション を と り 、学 び 、 考えて い ると いうこ と 。 イ 母国語を使うと き 、その背後に膨大 な量の知 識があること を意識し て い る人はほとんどいな い ということ 。 ウ 言語 に 関 する 深い知 識 と多 く の 単語 を 知 らな けれ ば 、 言 葉 を 話 した り 書 い た り す る こ とは で き な い とい う こ と。 エ 外国語を母国 語 の ように使い こ なすことができる ようにな るた め に は 、 特別な 才 能が 必 要 であ るとい う こと 。
4 -問四 傍線部 ② 「 名 詞 、 動詞 、 形 容詞 」 に 関連 し て 、 次 の文 章の傍 線 部 a ~d の品詞を 、 そ れぞ れ後から 選び 、 記 号で 答え な さ い 。 (a ) す ぐに春 が やっ て く る。 (b )あ あ、 桜 の ( c )花が 咲 く の が( d)待 ち 遠し い な あ 。 ア 名詞 イ 動詞 ウ 形容 詞 エ 形容動詞 オ 副詞 カ 感動詞 キ 接続詞 問五 傍線部 ③ 「 『 s e e 』 ( 見 る ) と 『 s h e 』 ( 彼女)とは まった く 別の単 語 だ」と あ り ます が、ど う いうことで す か。 それを 説 明した 文 と して最も適当なものを次か ら選び、記号 で答 え な さ い 。 ア 「 s e e 」と 「 s h e 」は、発音は同じだが、英 語 で 書き表してみると 、スペ ル の綴 り が 異 な る言葉 だ とい う こ と。 つづ イ 「 s e e 」と 「 s h e 」は、 発 音は同 じ だが 、「 見る」と 「彼女」という、異なる意味を持つ言葉だということ。 ウ 「 s e e 」と「 s h e 」は、同じ単語 に 聞こえ る が、 英語圏の 人々に とっては、発音が異なる言葉だ と いうこと。 エ 「 s e e 」と 「 s h e 」は、同じ 単 語 に 聞こえるが、音素は同じでも、 その 組み合わ せが 異なる言 葉だと い うこ と。 問六 傍線部④ 「 日本人の赤 ちゃ んは、 八 カ 月 くら い ま で は アールとエルの区 別ができ る」のはなぜ で す か。五 十 字以内 で 説 明 し なさい 。 問七 傍線部 ⑤ 「無 駄なこと 」とは 具 体的には何 の ことで す か。 本文 中から 二 十字前後 で 抜 き出しなさい。 問八 本文の 内 容と 一 致 す る ものを 次 から 一つ 選び 、 記 号 で 答え な さ い。 ア 大人があ らたに言語を学ぶのは大変な労力 が いるの で 、特 別な能力 を持って いる子ど もの うちに 学 ぶべき だ 。 イ 子ども は 会話から言語 を 学ぶため 、切れめ なく 流 れ てく る言語の 音 を 、自分 で 単語 に区切 ら な け れ ば な ら ない 。 ウ 外国 語 を 学 習 するとき、大 人 は テキストや辞書を使う こと が で きるの で 、 簡 単に そ れ を 習 得することができる。 エ 五〇〇円 玉の図柄 を覚え て いない と いう ことは、歳を取るほ ど 認 知 能力が 落 ちる証拠 であ り、問 題 視 す べきだ 。
5 -二 次の文 章 は、田 口 ラ ン デ ィ さ ん の 小 説 『 ぬ く も り 』 の 一 節 で す 。 「 わ た し」は 幼 い頃に父を 亡 くし、 そ れからは母と二人 で 暮 らし てき ま し た 。 そ の 母 は 、「 わ た し」の娘が幼い頃 に亡くなっ て いま す。 これ を読 ん で 、 後 の 問 い に 答 え な さ い 。 夕食を終 え、ご 飯 茶 わ ん や 小皿を流しに下げ ていると きのことだった 。 隣 に 立つ娘 の 手 を 見 て 、お や、 と思 った 。 亡 く な っ た 母 に、よく似て いる。 親 指が他の四 本 の指より もご つご つと太く 、指 の先が 鎌 首 を 上 げ たマム シ のよ う で 、肉 づきが い い。思 わ ずじ っと見 て いる私に気 づ いて、娘は、なによ 、 と い う顔をした。 ① 思春期 の 娘に なに か に つけて 不 機嫌で 、 手を 見て いるだ け で も 怒ら れて しまい そ うな思春期の娘に、 そ の 指 が、亡 く なっ た母に 似 て い ると 、 言お う か 言 う まいかと と ま ど っ て い るうち に 、 娘 は が ちゃ がちゃ と 騒々 しく音を立てて 食 器 を 洗 い始 めた。 後 片づけ の 手 伝 いは 家 ㋐ 所作 (A) 三人 ㋑ カけて での彼女 の役目なのだが、その所作の雑な こ と。そんな ふ う で は 、 家族三 人 の揃いの茶わ んもいつかカ けて しまうだろうにと、内 そろ 心、た め 息を つきながら、手伝って くれる だ けで も あ りが たいか ・ ・ ・ ・ と、思い直す。 高校三年になった娘は、地元の大学に 入 り家に留 まるか 、 下宿 して都心の大 学に通 う かが決 め られず 、 進路 を絞り込めない で い た。親 か ら 離 れ た い気持ちと 、 一 人暮ら し への 不安が な い ま ぜになって 、 イ ラ イ ラ を母親 へ の 不 満として ぶ つ けて く る ところが、 昔 の 自分とそ っ く りだ 。 あ んなに小さく てもみじ のようだった娘の 手が 、 い つ の まにかしっかりとした大人 の女の手 になっ て いる 。 ② 娘の姿 に 自分と母の 両 方が 重なって いく 似 て い る なあ 。 こ う い うの を 隔 世遺 伝 と 言 う のか し ら 、と思 い な が ら 、 娘の 姿 に 自 分 と母 の 両 方が 重 な っ て いく 。 (B) 二人 ③ 母 買い物に行く とき、いつも 、二人 で 手 を 繋い でいた。 母 は 片 手 に買い物 カ ゴ を持 ち、も う 片方 の手 でぎ ゅっ と私 の 手 を握 る 。 母 つな の 手 は 温 かく て 、 確か で 、 ただ その手にぶら下 が って さ え いれば 安 心だ った の手 は温かく て、確 か で、た だ その手 に ぶ ら 下が っ て さ え い れ ば安 心だ っ た 。指先 は 荒 れ てい て、 皮 膚 は か さ か さ し ていた 。 近所 ㋒ 支度 のハム工場で 十年も豚の腸を洗ってい た 。一日の 仕事 を終 えて 帰って来 て か ら夕食の支 度 をす る。ご飯 を食 べて、二人 で お風呂 に 入 っ て、 寝 巻 きに着替 え、部屋を暗くしたまま 、 お布団 の 中に 寝 転 が っ てテ レビ を 見 る。テ レ ビには 外 国の ド ラ マが 流れ ていた 。 そ の ドラ マの 主 人 公は 魔 女 なの だ。 人 間 の男 と 結 婚し た魔女 の ドラ マ。 豊かで 幸 せな アメリ カ 、いつ も 二人で 観 て い た。
6 -そんなことを 、 思 い出 す よ う に なっ たのは、 娘が高 校 に入って からだ 。 この子の手を、し っかり握 っ て いた頃が懐かしい。骨がな いような ふに ゃふに ゃ の柔 らかい手 の ひ ら 、 手 を つ な い で ぶんぶん振 (C) 二人 ④ なんの く っ りな がら 、「 と な りのトト ロ」のテ ーマソン グを 歌って、 あっち こ っちたくさ ん お散歩 を した 。二人 で 顔を見 合 わ せ て、なん のく っ たく も な く たくもな く笑い合え た 日々があった。万歳しながらすべり台を降り て く る娘、三輪車に乗っ て 走り回る娘。少 し だけ離れて、後ろ か ら ついて 行 っ た 。わ た し の 夫 は 生 きて いて くれ たから 、 母の ように 仕 事に追われること もな く 、 娘が小学 校に上 が る ま で 一 緒に ぬくぬく と過ごした 。 そ ば にい て あ げなさい と 、 母が言っ ている気がしたか らだ 。 公 園のベンチにレー スの日傘をさした母がい て 、 まぶしげ に見守 っ て い る、そんな気が し たからだ。 次つ ぎ と 差し 出さ れる茶 わ ん を 受 け とっ て拭 きながら、 ど うし て も 言 い たく なった 。 「手がおば あ ちゃ んにそっ くり」 娘 は 、動 き を 止め て、 ふ ー ん と 、し ゃぼん の つ い た手 を 目 の 前 に表 返し 、 裏 返 し 眺 め た 。 「 そ の、親 指 の形がね、 そ っ く りなの」 ⑤ 最近 ようや く 慣 れ てき た娘の 素 っ 気 な い 視線 と は 目 を合わ せ ず、 食器 棚に茶わ んを し ま う 最近 よ う や く 慣れて き た娘 の そ っけ ない視線とは 目を合わ せず、 食 器 棚 に茶わ んを しまう 。 何が原 因 だっ たか忘 れ たけれど 、 怒 って 自分の 箸 を力 ず く で 折 っ た こと が あ った な 。 母と揃 い の 箸 だった 。 母は泣 い て 悲 しんだ 。 そう で も しな い と 、母を 一 人置い て 家を出ること が で きなか っ た。親は強く て、 なにをし て も 傷 つ かな い と 思い 込ん でい た。自分 が母の 年 になって みれば う んざ りするほど 未 熟。心の 中は 傷だらけ 。 娘 の冷たい言葉が骨 身 に 堪え る。 年をとっ たか らって 、 強 く こた な る わ け じ ゃ ない 。 た だ 、 痛み に 耐 える こ と を 覚 える だ け 。 「もう、 いいよ。あ と はやって おくから」
7 -そう言 う と 娘 は、なんで 、 と 、 また 不服そう に言う 。 「気 の済 む よ うに片 づ け た いから。あ な た は 、お風呂に入 っち ゃいなさい 」 ㋓ ヨハ ク 娘の態度は、 いつも何か言 いたげ、 含みが あ る。 言葉と 動 作の間に 挟まる妙なヨハクに、 疲れる 。 「じ ゃあ、仰せのま ま に 」 (注1) 笑顔もなく見つめあい、娘が去る。 わ た し は 、ほっとし て 後 片 づけを続 ける。母 はきれい 好 き で、 流しの シ ンクま で クレンザ ー で磨き上げな けれ ば気が済ま な い人 だった 。 年 と ともに自分が そ う なっていることに苦 笑 する。オマエって子は本当にだらしない ㋔ コゴ ト と 、 よくコゴトを 言 わ れていたものだが ・ ・ ・ ・ 。 台所の床を這いつくばっ て きれ いに拭い て 、 布巾 とぞう き ん を 殺菌し て か ら 、テ ーブル で ほっと一息つい て いる と、もそ っと娘 は (注2) が戻っ て 来 て 後ろに立ち、急に 肩 を 揉み始めた。ぐいぐい肩を揉みながら、娘が 【 ⑥ 】 言う 。 も 「 や っぱ り、家 を 出る ことにする」 ⑦ ・ ・ ・ ・ それ がいいわ ね、と わ たし は応え た ・ ・ ・ ・ それがいいわね、とわ たし は応えた 。 見れば、流しの 前 に母が立ち、なかな か きれいに 片づいて いるじゃ ないの 、 と、腕 を 組んだ 格 好 で 、磨いた ガスレンジ や 鍋 を 見 回し て い る。 「 イ タタ タ、そんなに 強く押したら骨 が 折れ るよ」 「大 げ さ だ な あ、お 母 さん は」 (D) 三人 久しぶ りに、三 人 で、 笑って い た。 (注1) 「 クレンザー」 ・ ・ ・ ・ 洗剤 の一種 (注 2 )「急 に 肩 を 揉 みな がら」 ・ ・ ・ ・ 娘 は 肩 揉 みが 上手く 、 小学生の頃 に は母 の日に「肩も み券」 を 作っ てプ レゼン ト し て いた 。
8 -問一 波線部 ㋐ ~㋔の カ タカナは漢 字 に直し、漢字は読み 方 を答えな さい。 問二 傍線部① 「思春期の娘に」は ど こにかか っ て いま すか 。次 の 波 線部のうちか ら 選 び、記 号 で 答 えなさい 。 思春期の娘に、その指が、亡く なった 母 に ㋐ 似て い る と 、 ㋑ 言おう か 言う まいかと ㋒ とま どっているうちに、 娘はがちゃ が ちゃと ㋓ 騒 々 しく 音を立 て て食 器を ㋔ 洗い 始め た 。 問三 二重傍線 部 ( A ) ~ ( D ) の 「 三人 」、 「 二 人 」 とはそれぞれ 誰を 指し て い ますか 。 次から そ れぞれ 選 び 、 記号で 答 えなさい 。 ア 「わ た し 」 と 「 娘 」 イ 「わ たし」と 「 母 」 ウ 「わ たし」と 「 夫 」 エ 「娘 」 と 「 母 」 オ 「わ た し 」 と 「 娘 」 と 「 夫 」 カ 「 わ たし 」と「娘 」と「 母 」 キ 「わ た し 」 と 「 母 」 と 「 夫 」 ク 「娘 」と「 母 」と 「夫 」 問四 傍 線 部②「 娘 の 姿 に 自 分 と 母 の 両方 が 重 なっ ていく 」 とあ りま す が 、 ど う い う こ と で すか 。そ の 説 明 と し て 最 も 適 当 なも の を次 か ら 選 び 、 記 号 で 答 え な さ い 。 ア 乱暴に食器を洗 う 娘の姿に、自身の不 安 やいらだち を 母親へぶ つけて い た、かつ て の 自分のことや 、娘とよく似た手を し ていた母の こ とを思い出したということ。 イ 乱暴 に食器を洗う娘の姿に、自身 の 不 満 や やる せ な さ を 母親 へ は 見 せ ま い とし ていた 、 かつ ての自分 の こ と や、そ ん な わ たし を心 配し ていた母のことを 思い出 し た と いうこと 。 ウ 乱暴に食器を洗 う 娘の姿に、自身の不満や苦しみを母親に理解 され た い と 願 っ て い た 、 か つて の自 分 の こと や 、 娘 と 似 た 手を 持 っ て い た母の こ と を 思い出 し たと い う こと 。 エ 乱暴に食器を洗う娘の姿に、自 身の不安 や 憤 り を 母親へ の 不機嫌 な態度で 紛らわ し ていた、かつて の 自分のことや 、そん なわ たしに寛容だった母のこと を 思 い出したと い うこ と。
9 -問五 傍線 部③ 「母の 手 は 温 かくて 、 確かで 、 ただその手にぶ ら 下がってさえ いれ ば 安 心だった」 と は、どういう ことで す か。 そ の説 明とし て 最も 適当なも のを次か ら選 び 、 記 号 で答 え な さ い 。 ア 母 は 自分 を 守 っ て くれるよ うな 存 在 で、幼い 頃 の わたし は その 側か ら 決 し て 離 れ まい とし てい た と い う こと。 イ 母は自分をいた わ るよ うな存在でもあり 、同時 に 父のよ う な厳し さ も幼い頃のわ たしは感じ て いた と い うこと。 ウ 母は 自分を 包 み込んで くれ るよう な 存在で、幼い 頃のわ た しはその 温かさをしっ かりと感 じ て い た と い うこと 。 エ 母は自 分 を 温 めて くれ るよう な 存在 だったが 、幼い 頃 のわ たしは そ の 幸 せに は気づ い て い な か ったと い うこ と。 問六 傍線部 ④ 「な んの くったくも な く」 のここで の意味と し て 最も適当な も のを 次から 選 び、 記号で 答 えなさい。 ア 無邪気に イ ひた むき に ウ 迷う こと な く エ 飽き る こ と な く 問七 傍 線 部⑤「最 近よう や く 慣 れてきた 娘 の 素 っ 気 な い視 線 と は目 を 合 わせ ず 、 食 器 棚 に 茶 わ ん を しま う 」 とあ りま す が 、 こ の 時の心情 と し て 当 て は まら ない ものを 次 から 一 つ 選び 、記号で 答え な さ い。 ア 不安な気持ち イ あき ら め の 気 持ち ウ 甘え たい 気持ち エ さび しい気 持 ち 問八 空欄 ⑥ に入る言葉と し て 最も適 当 なものを次から 選 び、記号で 答 えなさい。 ア 幸せ そうに イ 不服 そうに ウ あき れ た よ う に エ ぶっ きらぼう に 問九 傍線部⑦「 ・ ・ ・ ・ それがいい わ ね、とわ たし は応えた 」とあり ま す が、こ の 時の気持ちを 説 明 しなさい。
10 -三 次の 古文 を 読 んで 、後 の 問 い に 答え な さ い 。 (注1) 俗世間 や 仏道の こ と 医学の 心 得 は ある在家人、山寺 の僧を信じ て 、世間 出 世のこと、 深 く 頼 み て 、病 む こ ともあ れ ば、薬 な ども 問 ひ けり。この僧 、医骨 も なか り なかったの で (注 2 ) ㋐ もち ゐけ る ① よ ろ づ の 病癒えずと い ふことなし ければ、よ ろ づの病 に 「藤 の こ ぶを煎じ て召せ。 」 と ぞ教へける 。 信じ てこれをも ち ゐ け るに、よ ろづの病癒 え ずとい ふ ことなし。 せん ど う し た ら よ い だ ろ う ② 心得がた かり け れ ③ やう あ る時、馬 を 失 ひ て 、「 い かがつかま つ るべ き 。」 と 言へ ば、例 の 「藤 のこぶ を 煎じ て召せ。 」 と 言ふ。心得がたか り け れども 、 やう ある のだ ろう ㋑ や う ④ 山のふ も と を 尋ぬる ぞ あ るらんと 信じ て、あ ま りに取り 尽くし て 、近々にはなか り けれ ば、 少し とほ ゆきて、山の ふも とを 尋ぬるほ どに、谷 のほとり 結果で あ る よ り、失 ひたる 馬 を見 つ け けり 。こ れ も 【 ⑤ 】 のいたすところ な り。 ( 『 沙石集 』より) (注1)在家 人 ・ ・ ・ ・ 出家 し て いな い人。 (注 2 ) 藤 の こぶ ・ ・ ・ ・ 藤の樹 皮 にで き る こ ぶ 。 胃 腸の 薬に なっ た。 問一 波線部㋐ 「もち ゐ ける 」、 ㋑「とほゆき 」を、 そ れぞ れ現代 か なづかいに書き改 めなさい。 問二 傍線部① 「よ ろづの病癒 え ず と い ふ ことなし」 、 ③「 や う 」の 口語訳として最も適当なも のをそれぞれ 次か ら 選 び、記 号 で答 えな さ い 。 ①「よ ろ づの病癒えず といふこと な し 」 ア ある人 に は効かない と いう こと も全く な か っ た。 イ さ ま ざま な 人 です べ て う ま く い く こ とが な か っ た 。 ウ すべて の 病気 が癒え な いと いうこと がなかった。 エ ほとん ど の 病 気が完治する という こ とはなか っ た 。 ③「やう 」 ア 疑念 イ 手段 ウ 信念 エ 理由
11 -問三 傍線部② 「 心 得がたかりけれ 」 とは 「 理 解しがたかった 」 という意 味ですが 、 そ の説明として 最も 適 当 なものを次か ら選び 、 記号で 答 え な さ い 。 ア 死んで し まっ た馬に 、 藤のこ ぶ の煎 じ薬を 飲 ませて も 生き 返 る ように は 思え なかっ た と い うこと。 イ 馬が 死んでしまった こ と に 対し て、藤の こぶを探 すことは 全く 無用 であるよ うに考 え た と いうこと。 ウ 馬を 探し出 す 方法と し て、 藤のこ ぶ の煎 じ薬を作 ること は 時 間 がか かりす ぎ ると 考え たと いうこ と 。 エ 馬がい な くなっ た こと に対して、藤のこぶを 煎じることが適当で あ るとは思えなかっ たとい う こと 。 問四 傍線部 ④ 「山 のふ もとを尋ぬ る 」に ついて 、 Ⅰ 何を 探して い たので す か。 本文中 か ら抜 き出 し な さい。 Ⅱ なぜ「山のふ もと」で 探し て い たのですか。簡潔に 説 明しなさい。 問五 空欄 【 ⑤ 】 に入る言葉とし て 最も 適当なも のを次か ら 選 び、記号 で答 え な さ い 。 ア 縁 イ 信 ウ 善 エ 友
平成二
十九年度
国
語
解
答
用
紙
【一般】
一ニ
ナ
マ
ワ
スイソク
フク
ス
ウ
ス
問一 ㋐ う ㋑ り ㋒ ㋓ ㋔ てる 問二 A B C D 問三 問四 a b c d 問五 問六号
問七番
験
問八受
二カ
ヨ
ハ
ク
コ
ゴ
ト
問一 ㋐ ㋑ けて ㋒ ㋓ ㋔所
作
支
度
問二 問三 A B C D 問四 問五 問六 問七 問八 問九 三 問一 ㋐ ㋑ 問二 ① ③ 問三 問四 Ⅰ Ⅱ 問五平成二
十九年度
国
語
解
答
用
紙
【一般】
一ニ
ナ
マ
ワ
スイソク
フク
ス
ウ
ス
問一 ㋐担
う ㋑周
り ㋒推
測
㋓複
数
㋔捨
てる例
問二 Aウ
Bエ
Cイ
Dア
問三ウ
答
問四 aオ
bカ
cア
dウ
問五ウ
乳
児
は
、
生
ま
れ
つ
き
、
す
べ
て
の
言
語
で
使
わ
れ
解
問六る
す
べ
て
の
音
素
の
違
い
を
識
別
で
き
る
能
力
を
持
っ
て
い
る
か
ら
。
号
問七自
分
の
母
国
語
で
区
別
す
る
必
要
の
な
い
音
素
の
区
別
番
験
問八イ
受
二カ
ヨ
ハ
ク
コ
ゴ
ト
問一 ㋐しょさ
㋑欠
けて ㋒したく
㋓余
白
㋔小
言
所
作
支
度
問二イ
問三 Aオ
Bイ
Cア
Dカ
問四ア
問五ウ
問六ア
問七ウ
問八エ
娘が家
を
出る
ことを寂しく
感じ
るものの、
か
つ
て
自分
が母
を置
き去り
に
するよ
う
問九に家を出たこと
を
思うと
、
娘
の
決断を尊重し
ようとする
思
い。
三 問一 ㋐もち
いける
㋑とおゆ
き
問二 ①ウ
③エ
問三エ
問四 Ⅰ藤の
こ
ぶ
Ⅱ家の近くの藤の
こ
ぶを
取り尽くして
し
まったから。
問五イ
平成
29
年度
広島新庄高等学校 一般入学試験問題
数
学
!「始め」の合図があるまで、問題冊子を開いてはいけません。
! 問題冊子は1ページから6ページまであります。
! 答えはすべて解答用紙に記入してください。
! 試験終了後はこの冊子を持ち帰ってください。
(下書き用紙)
-1-平成 29 年度
数
学
【 一 般 】
解答はすべて別紙解答用紙に記入しなさい。 2 , 3, 4 , 5 (2) ~(4) は答えのみでなく,途中の式や計算を書いておくこと。 次の に適する数,式を求めなさい。1
(1) 0-2 -138 9
-3 2 &8 9
-3 8 = (2) 1 2b -1 30 5a-3b =1 (3)U
8 &U
12 %U
18 - 3 U3 = (4) 2 次方程式 40x+7 -8=0 の解は,x=12 である。 (5) -xy2+5xy-6x を因数分解すると となる。 (6) 3 つの数 2U
3 , U2 3 ,]
2 3 を小さい順に並べると となる。 (7) 反比例 y=a x において,x の変域が 2(x(8 のとき,y の変域は 3(y(b である。このとき,a= ,b= である。
階級0cm1 度数0人1 30以上~35未満 4 35以上~40未満 12 40以上~45未満 8 45以上~50未満 4 50以上~55未満 2 合計 30 (8) 右の度数分布表は,あるグラフで垂直跳びをした ときの結果である。平均値は cm である。 また,最頻値をとる階級の相対度数は である。
-2-(9) 半径の長さが 6 cm で弧の長さが 8p cm であるおうぎ形の面積は cm である。2 (10) 下の図で,4x= ,,4y= , である。 A B C D E 32, x 58, y O 四角形 ABCD は 平行四辺形である。 点 O は円の中心である。
-3- 2 けたの自然数がある。この自然数は,十の位の数と一の位の数の和の 7 倍
2
に等しくなる。また,十の位と一の位の数を入れかえてできる自然数は、もと の自然数よりも 36 小さくなる。このとき次の問いに答えなさい。 (1) もとの自然数の十の位の数を x ,一の位の数を y として連立方程式を作れ。 (2) もとの自然数を求めよ。次の図のような BC=2 ,AC=4 ,4ACB=90, である直角三角形 ABC がある。
3
頂点 C から辺 AB に垂線を引き,AB との交点を D とする。 次の問いに答えなさい。A
B
C
D
(1) 線分 AB の長さを求めよ。 (2) 線分 CD の長さを求めよ。-4- 次の図のような 7 段の階段があり,階段の上に弟,階段の下に兄がいる。
4
弟 2 人がそれぞれ 1 回ずつさいころを投げて,それぞれ出る目の数と等しい段数 だけ弟は下り,兄は上がるものとする。次の問いに答えなさい。 兄 (1) 兄と弟が同じ段で止まる確率を求めよ。 (2) 兄と弟がすれ違う確率を求めよ。-5- 次の図のように関数 y=-x2 のグラフ上に点 P ,y 軸上に点 Q をとる(ただ