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炭酸化・脱炭酸化反応による熱エネルギーの貯蔵・昇温のための固体反応物の開発

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(1)

Vol. 20 No. 4 (1999) 383

研究論文

炭酸化・脱炭酸化反応による熱エネルギ一の

貯蔵・昇温のための固体反応物の開発

Development of Solid Reactant for Thermal Energy Storage and Temperature Upgrading with Carbonation/Decarbonation Reaction

相 原 雅 彦 * ・ 永 井 敏 之 * *

•松下淳朗*** Masahiko Aihara Toshiyuki Nagai Junro Matsushita

根 岸 洋 一 * * * *

•大矢晴彦*****

Y oichi N egishi Haruhiko Ohya

(原稿受付日1998年3

27日,受理日1999年4

14日)

Abstract

Cyclic reaction performances of solid reactants for the CaO-CO, chemical heat pump designed for upgrading and storing high-temperature thermal energy were studied. The solid reactants composed of CaO as a reactant and Ca Ti

0

,

as an inert frame work were prepared by the conventional powder method or the metal alkoxide method. On the experiment of cyclic operation between the carbonation of CaO and the decarbonation of CaCO, at 1023K, the reaction reversibility of solid reactants with the inert Ca Ti

0

,

frame work was steady, whereas that of solid reactant without the inert frame work was decreasing with sintering solid particles during cyclic operation. The reac -tion rates in the first carbonation and the decarbonation of solid reactant prepared by the alkoxide method were accelerated about 1.8 and 2.4 times faster than those by thepowdermethod, respectively, because of the smaller average diameter of reactant particles derived from the alkoxide method.

1

。緒言 現在,大規模に消費され続けている民生用またはエ 業用の電気や熱のエネルギーの大部分は,化石資源の 燃焼により得られた熱エネルギーとその変換により供 給されている. このエネルギー消費量は季節により大 きく異なり,また一日の中でも昼と夜の差は無視でき ない. しかし, このようなエネルギー消費量の格差は ピーク時の供給に合わせて設計された発電所に対して 効率的な操業に大きな問題となっている. すでに省ェネルギーやコージェネレーションの観点 から,未利用ェネルギーの活用法として様々な技術が 提案され,実用化されてきているが,排熱の貯蔵,効 率の高い温度への昇温技術の一つとしてケミカルヒー トポンプ (CHP)が挙げられている. CHPの 作 用 温 度は使用物質と反応により決定される.温度域は低温 *横浜国立大学工学部物質工学科講師 ** 、' 物質工学科

*

*

*

*

*

*

*

官 授 技 教

” ”

〒240-8501横浜市保土谷区常盤台79-5 側熱源となる排熱温度により,都市排熱や温排水のも つ100℃ 程 度 以 下 の 低 温 域 , 一 般 の 化 学 プ ラ ン ト な ど のガス排熱のもつ200400℃程度の中温域,製鉄関係 の500℃程度以上の高温域と分類できる. こ の う ち 低 温,中温範囲のCHPの研究は多くなされているが, 高温熱源が必要な発電所や鉄鋼業などに利用可能な高 温域でのCHPは 材 料 な ど の 技 術 的 な 問 題 も あ り , 研 究は多くない. Barker1l, Kyawら2) 3),柴田ら4)は(1) (2) 式に示すような炭酸カルシウムの脱炭酸化と酸化カル シウムの炭酸化の反応を利用し,高温域でも使用可能 なCHPを提案した.

Decarbonation CaCO,→CaO+CO, (1)

Carbonation CaO+CO,→CaCO, (2)

このシステムの利点としてはエネルギー密度か3.26 GJ.m―3と大きいこと,反応生成物が無害かつ腐食性 がないこと,反応物質である炭酸カルシウムが非常に 安価であることがあげられる.炭酸カルシウムを用い た気固反応の研究は古くからなされているか,反応の 不可逆性について述べられたものがほとんどである. また反応性の向上については炭酸カルシウムの微細化 71

(2)

-などのエ夫もされているか,本システムのような定常 的に可逆反応が必要な場合に関して反応同体に改良を 加えた報告はされていない. Barker5)は 高 圧 下 で (l) (2)式の反応を口]逆的に行うと炭酸カルシウム の-り次粒子の成長により反応固体の表面積が減少し可 逆性が低下すると述べている. この問題の解決のため にはサイクル反応をしても表面積か減少しないように 反応界面を改良する必要がある.筆者はこれまでに熱 化学分解法による水素製造プロセスにおいて,金属ア ルコキシドを原料として固体反応物を調製する方法で, 繰り返し操作による構造変化に耐え,繰り返し反応性 に優れた反応固体の作製に成功している門 この方法 で作製された固体反応物は,調製時に形成される複合 酸化物が反応に不活性な骨組みとして,体積変化を起 こす反応物をその周りの空隙と共に保持することで繰 り返し反応の安定性を保たせている門酸化カルシウ ム・臭化カルシウムの繰り返し反応に安定性を示す本 方法により作製された反応固体は酸化カルシウム・炭 酸カルシウムの繰り返し反応にも適用可能と考える. 本研究では高温域ケミカルヒートボンプに適した構 造を持つ反応固体の作製法を検討し,改良された反応 固体について反応解析を行い,その繰り返し反応性を 評価する.

2

.

実 験 2.1金属アルコキシド法による固体反応物の調製 (Sample A) 6l Sample Aの 調 製 法 を 図1-aに示す.内部をあらか じめ窒素置換したフラスコに金属カルシウム(和光純 薬Assay99%)とモル比で10倍 量 の 脱 水 エ タ ノ ー ル を入れ, 345Kに加熱し, 30分 間 , 環 流 を し な が ら 撹 拌を行い,カルシウムエトキシドを合成する. さらに 同量の脱水エタノールを加え溶液を希釈し, 1時 間 撹 拌混合した.アルコキシドのみを原料とした場合は非 常に緻密で気固反応に適さない反応固体ができるた め6),作製後の固体反応物に換算して30wt%のグラファ イトを開孔剤として加え, さらに1時間環流をしなが ら撹拌混合する.その後,チタニウムテトライソプロ ポキシド(純正化学,特級)をモル比で金属カルシウ ムの2分の1加えて30分間環流をしなから撹拌した. さらに, 20vol %水—エタノール溶液を水で換算して金 属カルシウムの

4

倍等量加え,

1

時 間 環 流 と 撹 拌 を 行 い加水分解した.放冷後,吸引濾過し,泥しょうを約 10mmの球形ペレットに成形し, 383Kで 一 昼 夜 乾 燥 した. 2.2粉末試料による固体反応物の調製 (Sample B and C) Sample B,Cの 調 製 法 を 図1-bに示す. SampleB は炭酸カルシウム(純正化学・特級)とチタン酸カル シウム (Aldrich製99十%)をモル比l: 1でビーカー に入れ脱水エタノールを加え,

1

時間程度超音波で分 散した後,撹拌する. Sample八同様,吸引濾過し, 泥しょうを直径約10mmの球状ペレットに成形し, 38 3Kで一昼夜乾燥した. Sample Cはチタン酸カルシウムを加えず炭酸カル ンウムのみで作製した. Sample A (Alkoxide) (b) Calcium Carbonate

1 Sample B (CaC03+CaTi03) Sample C (CaC03) 図4 固体反応物の調略法 2.3焼成方法 成形,乾燥後の試料を473Kで4時間保持した後, lOK/minで1273Kまで昇温し3時間そのまま焼成す る.その後, JOK/minで773Kまで温度を下げる. 焼成後の反応固体を空気中の水分等との反応をさける ため各測定および反応実験の直前まで773Kで保存す る. 2.4実験方法 図2に熱天秤反応実験装置の概略図を示す.反応管 (石英ガラス製,内径25mm,長さ500mm)ば温度調 節器で所定温度に保たれた電気炉の中に固定されてい る.試料を白金線で編んだかごに載せ,装置1:部にあ る電子天秤からつり下げ,乾燥窒素と二酸化炭素から なる反応ガスを任意の混合比と流量に調整して,反応 管下部から流入した. このときの反応固体の重量変化 を電子天秤からコンピュータに取り込み測定した.

(3)

Vol. 20 No. 4 (1999) 385 ①Reactor ②Heater ③Platinum Wire ④Raschig Ring ⑤Electro Balance ⑥Gas Cylinder ⑦Pressure Gauge⑧Flow Control Valve ⑨Flow Meter ⑩Thermocouple⑪Temperature Controller 実験装置概略図 図2 2.5反応固体の構造分析 反応固体の構造はX線回析装置(理学電気, MJ200 DH),電子顕微鏡(日本電子, JS;¥/[-TlOO), BET式 比表面積測定装置(島津, FlowSorbII2300), 水 銀 ポロシメータ(島津, Pore Sizer9310)を用いて測 定した.

3

.

反 応 速 度 式 反応速度の解析には酸化カルシウムの炭酸化反応に 多く用いられている (3)式 で 表 すJanderの式を一 般化した式を適用した7) 8) 9) 10) 11).

kt= (1

-(1

-X)合〗

(3) ここて, tは反応時間, Kは反応速度定数, Xは反応率 を表す.式中のnは反応機構により次の数値をとると されている. 表面反応律速(反応界面での化学反応か律 速過程となる.) 拡散律速(反応を律速する拡散速度が反応 層の厚さのみに比例する.) n= l n= 2

4

. 結果と考察

4.1作製した反応固体の同定 図3に各試料の各試料のX線回析パターンを示す.

CaO, CaTi03, CaCいの特徴的なピークを矢印で示

した. すべての試料で酸化カルシウムのピークか確 認された. SampleB, Sample C中の酸化カルシウ ムは調製時に原料であった炭酸カルシウムの熱分解に より生成したものと考えられる. Sample

A

の主なピー

ヽ , 百ー員ー' _ _ _ <l-Cao

CaC03 ~CaTiO,

冑 ー ← > ' i

'i Sample

A

I I ?--q I I Sample B I I Sample C

20

30

図-3

40

50

20

60

70

80

固体反応物のX線回析パターン

I

,

Q

ぃいいーーーーーーー` ] こ ﹀ ' 9 , ' ’ , ' と 、 , ' ︳ , ' ’

n : ◇ f -

﹂-]﹀"-□

[ -︱ " ︱ -︱ t t 8 6 4 2 0 0 0 0

l

B

A

E

3

l

3

U

n

I

O

A

3

o

d

3

A

n

e

l

n

u

m

u

8

.

0

1 図-4

<一

;合

9T1r│-,.<9 0.1 1 10 Pore Diameter

[μ叫

固体反応物の細孔径分布 100 クは全てのチタン酸カルシウムと酸化カルシウムにの み帰属でき,アルコキシド法によるチタニウム源は, 全てチタン酸カルシウムになったと考えられる.また, Sample A, Bの各ピークの高さの比も同様であるこ とから焼成後の成分比は,原料仕込み比から得られる 量論比(酸化カルシウム.チタン酸カルシウム=

1

1) に近い値であることが予想される. 水銀ポロシメータで測定した各Sampleの細孔径分 布 を 図4に示す.アルコキシド法で作製したSample Aでは0.1 0.2μmの細孔容積が全体の約70%に逹し ていた. SampleAの0.2flm以 上 の 比 較 的 大 き な 細 孔はグラファイトを添加することで得られ,焼成時に

(4)

炭素のガス化によって形成されたものと考える.粉体 の炭酸カルシウムを原料とする

Sample

B,

C

はそれ ぞれ

0

.

51

.

5

μ

m

,

0

.

82

.

0

μ

m

の細孔が全細孔容積の

9

5

%程度存在する. これらの

SampleB

,

C

の主な細 孔の大きさは,電子顕微鏡観察で確認された試薬の粉 体間の空隙とほぼ同等であった. このとき同時に混ぜ られたチタン酸カルシウムが

SampleB

の細孔を小さ い方にシフトさせているものと考えられる.

4

.

2

サイクル反応実験

Sample

A, B,

C

について炭酸化操作と脱炭酸化操 作を

1

サイクルとし,

1

0

サイクルの繰り返し反応を行っ た.炭酸化から脱炭酸化への移行はガスの切り替えに より行い,いずれの操作時間も

1

時間とした.温度は

1

0

2

3

K

で一定とし,炭酸化操作では濃度

2

0

v

o

l

%の二 酸化炭素を,脱炭酸化操作では乾燥窒素を導入した. 各試料の

1

0

サイクル繰り返し操作における反応率の経 時変化を図

5

に示す.反応率

X

(4)

式で定義され る. 0.8 0.6 0.4 0.2

1

[ '

]

x

o

n

s

i

u

o

n

3

H

8 6 4 2 0 1 . . . . 0 0 0 0 0.8 0.6 0.4 0.2 Sample A (Alkoxide)

Sample B (CaCO_+CaTiO_) 3 3

CaCO, [mol/m

X=

c

[mol/m汀

ここで

CaCO,

は反応時における反応固体中の炭酸カ ルシウム濃度, C恥は反応固体中の酸化カルシウムの 初期濃度である. チタン酸カルシウムが存在する

Sample

A, Bに関 しては,ほぼ同じ反応率

0

.

6

で繰り返し反応が進むの に対して,

SampleC

では繰り返し操作が進むにつれ 反応速度が遅くなり,同時間での切り替え操作におい ては,炭酸化率,脱炭酸化率が減少していくことが観 測されたまた,いずれの試料に関しても,

2

サイク ル目以降の炭酸化操作では,反応率

0

.

5

程度までの早 い反応速度の部分と,反応率

0

.

6

程度以上における遅 い反応速度の部分が見られた. 図

6

に一例として

SampleA

2

サイクル目の炭酸 化と脱炭酸化の拡大圏を示す.炭酸化反応では反応粒 子界面での反応が律速過程の急速な反応をする第一次 炭酸化過程と,反応ガスが表面にできた生成物層を拡 散しながら緩やかに反応する第二次炭酸化過程がある と考える.そこで(

3)

式を用い,炭酸化の反応率

X

について,第一次炭酸化過程では界面反応が律速のn=

1

を適用し,第二次炭酸化過程には拡散律速の n =

2

として速度解析を行った.また,脱炭酸化過程は界面 律速の場合のみを考え, n =

1

とし,逆反応なので脱 炭酸化反応率ふを (1-X)と置き換えて解析した. 図

6

中に各速度式で得られる曲線であわせて描いた. ここでは切り替え時を各過程での

t=0

と調整してあ る.各過程は速度式とよく一致していることがわかっ た.また反応率

0

.

5

から

0

.

6

までを第一次炭酸化過程か ら第二次炭酸化過程への遷移領域と考えられる. 図

-

7

に各試料の

Jander

の式から求めた見かけの反 equation for 1st step - - • equation for 2nd step • • • • • equation for decomp. 0 experimental (4) Q J ⑨. し

e

9

e .

0 . c ’

.•

o .

-

5

10

Time [

h

o

u

r

]

繰り返し操作中の反応率の経時変化 5 15 20

7 6 5 4 3 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 o l 苔 a u o l p g a 図

-

6

1000 2000 3000 4000 Time [s) 反応速度解析(例:

SampleA)

5000 6000

(5)

-74-Vol. 20 No. 4 (1999) 応速度定数とサイクル数の関係を示した. k1sc, k2od, には,それぞれ第一次炭酸化過程,第二次炭酸化過程, 脱炭酸化過程の反応速度定数である.第一次炭酸化過 程ではSampleA, Bの4サイクル目までの速度定数 は増加し,その後はほぼ一定の値を示しているのに対 し , SampleCの速度定数は

2

サイクル目以降は減少 する傾向にあることがわかった.次に第二次炭酸化過 程では炭酸カルシウムだけからなるSampleCは速度 定数が徐々に減少していき,チタン酸カルシウムが存 在するSampleA, Bは2サイクル目以降の反応速度 定数にほとんど変化はなかった.説炭酸化過程につい てはSampleA, Bの速度定数は操作の繰り返しに対 しほぼ一定の値であるのに対し, SampleCの速度定 数は減少する傾向にあることががわかった. ここで特 に第一次炭酸化反応速度はヒートポンプとして使用す る際の発熱の出力を決定し,脱炭酸化反応速度は反応 固体が完全に再生するまでの最短サイクル時間を決定 ◇ ◇ 5 4 I ’ g s ] 2 1 互 P I X

30 5 0 5 0 5 2 2 1 1 p u z 0 p x

9 [ l , : > a s ] ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ロ ロ ロ ロ

,

0

゜゜

゜゜゜゜

◇ 口

E

囚 0 0 0 図 00 -

付 由

387 する. SampleA, Bの繰り返し反応性はいずれもよ いが, AはBに比べ第一次炭酸化で1.8倍,脱炭酸化で

2

.

4

倍の反応速度を示している. 各試料の繰り返し操作による比表面積の変化を図

-

8

に示した.操作を繰り返すことにより, SampleA,

B

では表面積が

2

回目まで上昇するが,その後は安定 する傾向が見られたのに対し, SampleCでは表面積 か徐々に減少する傾向が見られる. この傾向は,図

-

7

の見かけの反応速度定数の傾向とよく一致している. 従って,反応速度の低下が表面積の減少に大きく依存 していたことかわかる. 次に,サイクル操作前と

1

0

サイクル後の反応固体の 電子顕微鏡写真を写1に示す.顕微鏡観察から反応前 ではSampleAはO.lμm程 度 以 下 の 微 粒 子 の 集 合 体 で, Sample

B

0

.

5

からlμm程度の比較的分散した 小さな粒子と数μ m程度の角張った大きな粒子との2 種類の粒子から構成されており,またSampleCは約 lμm程度の粒子が隣同士つながり合うように構成さ れている構造であることがわかった.一般にアルコキ シド法では加水分解時に約

0

.

1

μ

m程 度 以 下 の 微 粒 子 が生成されるが汽本研究で用いた作製法でば焼成後 もあまり緻密になることなく保たれていたことが確認 できた. SampleBの角張った大きな粒子はさらに拡 大して観察すると多くの細孔をもつ多孔体であること がわかり,形状とこの特徴から,酸化カルシウムであ ると判断される. この細孔は炭酸カルシウムの結晶か 熱分解するときに結晶形状を保ったまま二酸化炭素か 脱離するときに形成される. もう一種類の小さな粒子 の方はチタン酸カルシウムとなる. 16 14

[ 苧

E

l

8

3

<

g

8

}

m

s

12 ◇ [ I , : > . J S ] ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 10 2 1 p . , O l X ' l f

0

0

0 ロ

印 0 (b

◇ ◇

8

SampleA (alkoxide) Sample C (CaC03)

g

SampleB (CaC03+CaTi03) 4 6 Cycle [・] 図-7 10 繰り返し操作の各反応過程における反応速度定 数への影響

-75

2 0 2 8 10 図

-

8

4 6 Cycle [-] 繰り返し操作の反応固体比表面への影響;

(6)

Before the 1st Cyale After the 10th Cycle Sample A (Alkoxide)

~

10μm

Sample B (CaCO, +CaTiO,) Sample C (CaCOa) 写1 繰り返し操作前後反応固体の断面写真 10サイクル後の試料の電子顕微鏡観察から, Sample Cについては反応前の形状をほとんどとどめることな く,構成していた粒子が融合したような構造になって いた.一方SampleBについては小粒子と大粒子の大 きさはほとんど変わることなく保たれている. しかし, 顕微鏡で確認できた大粒子の細孔はなくなっていた. Sample Aに関しては全体的に凝集の程度は高くなっ ているようであるが,構成していた

0

.

1

μ

m

程度以下 の粒子径は保たれているようであった. SampleCで は炭酸化ー脱炭酸化の繰り返し反応中に構成粒子同士 の結合が進行していき,界面積が減少して,第一次炭 酸化の反応速度定数を徐々に低下させたものと考えら れる.チタン酸カルシウムが添加されたSampleBで は反応成分である酸化カルシウムの大粒子の単位では Sample Cと同様に融けるような変化が起こっていた ようであるが,まわりを取り囲むように反応固体中に 分散しているチタン酸カルシウムが個々の大粒子を結 合させることなく保持する枠組みの働きをしていたと 考える. SampleAの場合もさらに小さな単位で同様 の現象が起こっていたものと予想する. Glassonら13)の研究によると焼結の始まる温度は 融点の約半分とあるが,チタン酸カルシウムの融点が

(7)

-76-Vol. 20 Xo. 4 (Iり99) 2200K程 度 て 克 る の に 対 し 砂 [ 夜 カ ル シ ウ ム の 融 点 は

!

G

O

O

K

程 度 で あ る の で , 焼 結 開 始 温 度 は チ タ ン 酸 カ ル シウムでは約 1100K, 炭 酸 カ ル シ ウ ム で は 約 800Kと 見積もられ,炭酸カルシウムのみの試料ではサイクル 操作温度での焼結開始が充分に考えられる. 本研究の結果から,サイクル捩作で反応性を劣化さ せないために,チタン酸カル/ウムのような融点の高 い , 反 応 不 活i‘![U)喜汀を入れることは非常に有効であ ると考えられる.

5

.

結言 アルコキシド法を用いて反応固体を作ることて,粉 体を原材料とする反応固体に比へ反応成分の粒子径を 約l0分の1程度に小さく制御することができ,反応: 面を人きく保つことで,第一次炭酸化過程の反応速度 を約 1.8倍に脱炭酸化過程の反応速度を約2.4倍 に す る こ と が で き だ チタン酸カル、/ウムを添加した反応固体では繰り返 し反応中におこる 次 粋

f

結合!こよる反応固体の構造 変化を抑制でき, 1()サイクル 0 炭酸化鼎脱炭酸化の繰 り返し操作中におし

¥

-

c

安止した反応性が得られた. 参 考 文 献

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