Stochastic Cointegration Test of Endogenous
and Exogenous Economic Growth Model in the
Case of Japanese Data(日本のデータによる内正的
・外生的経済成長モデルの確率的共和分検定)
著者
石川 敦子
号
47
発行年
1999
吐
石
か わ あ っ こ川
敦
子
学 位 の 種 類
博
士(経 済学)
学 位 記 番 号
経 博 第47号
学位授与年月 日
平成12年3月23日
学位授与 の要件
学位規則第4条 第1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
東北大学大学 院経済学研究科(博 士課程後 期3年 の課程)
経済学専攻
学 位 論 文 題 目StochasticCointegrationTestofEndogenousandExogenous EconomicGrowthModelintheCaseofJapaneseData (日 本 の デ ー タ に よ る 内 生 的 ・外 生 的 経 済 成 長 モ デ ル の 確 率 的 共 和 分 検 定)論 文 審 査 委 員
矩
規
山
栗
査
授
住
教
教
授
佃
良
彦
論
文
内
容
要
旨
本 論 文 は、1955年 か ら1998年 の 日本 の マ ク ロ デ ー タ を 用 い て 、 公 的 資 本 ス ト ッ ク を組 み 込 ん だ 経 済 成 長 モ デ ル が 内 生 的 で あ るか 外 生 的 で あ るか を 共 和 分 検 定 に よ って 分 析 した も の で あ る。 論 文 の 構 成 は、 以 下 の 通 りで あ る。 第1章 で は本 論 文 の 目 的 と関 連 論 文 の 簡 単 な紹 介 を 行 って い る。 第2章 で は、 新 古 典 派 の 外 生 的 経 済 成 長 理 論 と基 本 的 な 内 生 的 経 済 成 長 理 論 とを 、2っ の経 済 成 長 理 論 の相 違 点 を 中心 に ま と め て い る。 第3章 で は 、 本 論 文 で採 用 した モ デ ル の紹 介 を 行 っ て い る。 第4章 で は、 統 計 的 検 定 方 法 と して 用 い たJohansenの 共 和 分 検 定 と構 造 変 化 変 数 を 組 み 入 れ た 国 友 の 共 和 分 検 定 に っ い て ま とめ て い る 。 第5章 で は、 実 証 分 析 で 用 い た 日本 の マ ク ロ デ ー タ に つ い て 、 特 に資 本 ス トッ クの 推 定 方 法 につ い て説 明 して い る。 第6章 は、 実 証 結 果 につ い て の報 告 で あ る。 第7章 は 、 残 され た 問 題 を 含 め た 本 研 究 の ま とめ で あ る。 以 下 、 各 章 の 内容 に っ い て 、 簡 単 に述 べ て い く。 第1章 に 述 べ る よ う に、 本 研 究 の 目的 は 、(1旧 本 の 経 済 成 長 が公 的 お よ び私 的 資 本 ス トッ ク を 決 定 要 因 と して 内生 的 に 成 長 して い る の か 、 そ れ と も外 生 的 要 因 に よ っ て 成 長 して い る の か を統 計 的 に調 べ る こ と と、(2)私的 資 本 ス トッ ク と公 的 資 本 ス トッ ク の 外 部 効 果 を 測 る こ と で あ る 。こ こで 、`外 生 的 に 成 長 す る'と は1960年 代 の 新 古 典 派 経 済 成 長 理 論 に基 づ く も の で あ り、 長 期 的 経 済 成 長 率 が 外 生 的 に 与 え られ た人 口 増 加 率 や 技 術 進 歩 率 に よ って 成 長 す る こ とで あ る。 そ れ に 対 して 、`内 生 的 に成 長 す る'と は 長 期 的 な経 済 成 長 率 が 、 経 済 構 造 の 内 部 に あ る知 識 の 蓄 積 や 資 本 ス ト ック と い っ た要 因 に よ っ て 成 長 して い く こ とで あ る。 内 生 的 経 済 成 長 理 論 は、Romer(1986)とLucas(1988)の 論 文 を き っか け と して 盛 ん に 研 究 さ れ て き た。 論 文 の多 く は各 国 間 の 経 済 成 長 率 の 格 差 を説 明 す るた め の もの で あ り、 実 証 分 析 も ク ロ ス ・セ ク シ ョ ンデ ー タを 用 い た もの が 多 い。 こ れ に対 して 、 一 国 の 経 済 成 長 率 を 時 系 列 的 に分 析 した も の は少 な い 。 本 研 究 は、1955年 以 降 の 日本 の マ ク ロ経 済 時 系 列 デ ー タ に 対 して 、 内 生 的 ・外 生 的 経 済 成 長 を 一 体 化 した モ デ ル を 適 用 して 、 日本 の 経 済 成 長 に 関 す る特 長 を 分 析 す る もの で あ る。 第2章 に お い て は、 各 経 済 成 長 理 論 にっ いて 説 明 して い る。 外 生 的経 済 成 長 論 は い わ ゆ る新 古 典 派 理 論 で あ り、Solow(1956,1959)とSwan(1956)を 基 本 に して 、Cass(1965)、Koopmans (1965)等 に よ っ て彫 琢 さ れ て い る。 新 古 典 派 成 長 理 論 に お い て も、 経 済 成 長 の 要 因 につ い て は い ろ い ろ検 討 さ れ 、 内 生 的 に 説 明 し よ う と す る試 み も行 わ れ て い た よ うで あ る が 、 これ ら の議 論 は 、 当 時 は新 古 典 派 の基 本 的 な理 論 の単 な る拡 張 と しか み な され ず 、 経 済 成 長 理 論 は1960年 代 に お い て 、 ほ ぼ 議 論 しっ く さ れ た よ う に思 わ れ て い た 。 しか し、Romer(1986)とLucas(1988)の 論 文 に よ って 再 び 経 済 成 長 理 論 に 関 す る研 究 が 盛 ん に行 わ れ 始 め た。 新 古 典 派 理 論 の特 長 は、 生 産 関 数 が 、 規 模 に 関 して 収 穫 一 定 で あ り、 各 投 入 物 に 関 して 収 穫 逓 減 的 で あ り、 代 替 の 弾 力 性 が プ ラ ス で あ る と い う こ と を 仮 定 して い る。 これ らの仮 定 に よ り、 一 人 あ た りの 長 期 的 な 経 済 成 長 率 は外 生 的 な人 ロ増 加 率 や 技 術 進 歩 率 に よ って 発 生 す る こ と に な る。 これ に 対 して 、 内 生 的 経 済 成 長 モ デ ル の 特 長 は、 資 本 に 関 す る収 穫 逓 減 性 の か わ り に収 穫 一 定 性 を 仮 定 す る こ と に あ る。Romerモ デ ル は収 穫 一 定 性 を 仮 定 す る た め に 、 経 済 主 体 は投 資 の た び ご と に 生 産 活 動 に寄 与 す る知 識 、 っ ま り、 知 的 資 本 を 創 出 し蓄 積 して い る と考 え て い る。 本 章 で 以 上 を 数 学 的 モ デ ル と して 考 察 して い る。 第3章 は 、 本 研 究 で 用 い た 成 長 モ デ ル 、 す な わ ち、 資 本 ス ト ッ クを 私 的 資 本 ス ト ック と公 的 資 本 ス ト ッ ク に 分 け 、 内 生 的 経 済 成 長 モ デ ル と外 生 的 経 済 成 長 モ デ ル と を 一 体 化 したLauandSin (June1997)の モ デ ル に つ い て 説 明 して い る。 彼 ら の モ デ ル の特 長 は、 各 変 数(一 人 あ た り産 出 量 、 一 人 あ た り私 的 資 本 ス トッ ク、 一 入 あ た り公 的 資 本 ス ト ック)の イ ンパ ル ス が 一 次 自 己 回 帰 モ デ ル に従 う と仮 定 され て い る こ と で あ る。 この こ と に よ り、 内 生 的 経 済 成 長 理 論 の 特 徴 で あ る収 穫 一 定 性 は イ ンパ ル ス の 定 常 性 と変 数 の 共 和 分 関 係 と に結 び っ き、外 生 的経済 成長 モデ ルの特徴 であ る 収 穫 逓 減 性 は イ ンパ ル ス が 一 次 和 分 で あ る こ と と ト レ ン ド項 を含 め て 共 和 分 関 係 が 成 立 す る こ と と結 びつ き、 同一 の モ デ ル で 内生 的 経 済 成 長 と外 生 的 経 済 成 長 を検 定 に よ り確 定 す る こ と が で き る。 第4章 に お い て は 、Johansen(1988,1989,1994)とJohansenandJuselius(1990)の 論 文 中 、 本 研 究 で 用 い た共 和 分 検 定 の 手 法 に つ い て 簡 単 に説 明 して い る。Johansenの 共 和 分 検 定 に は ト レー ス検 定 と最 大 固 有 値 検 定 が あ り、 各 検 定 は帰 無 仮 説 は同 じで あ るが 対 立 仮 説 が 異 な る。 帰 無
仮 説 は 「H2(ア):7個 の 共 和 分 ベ ク トル が 存 在 す る」 で あ る が 、 ト レ ー ス 検 定 の 対 立 仮 説 は 「莇(r): rankH≦ ρ」(rlは 誤 差 修 正 項 、Pは 変 数 の 数)で あ り 、 最 大 固 有 値 検 定 の 対 立 仮 説 は 「茄(7+1): rankH≦;ア+1」 で あ る 。 帰 無 仮 説 と そ れ ぞ れ の 対 立 仮 説 の 下 で 推 定 し た モ デ ル の 尤 度 比 が 検 定 統 計 量 で あ る 。 本 研 究 で は 定 数 と ト レ ン ド変 数 を 含 ん だVARモ デ ル を 使 っ て い る 。 共 和 分 検 定 の 有 意 点 は ト レ ン ド(demeaned)を 追 加 してJohansen(1994)の 表5を 用 い て い る 。 ま た 、 日本 経 済 は 構 造 変 化 を 起 こ し て い る可 能 性 が あ る の で 、 説 明 変 数 に 構 造 変 化 ダ ミ ー を 加 え て い る 国 友(1996)の 共 和 分 検 定 に つ い て も説 明 し て い る 。 第5章 は 、 実 証 分 析 で 用 い た 日 本 の 時 系 列 デ ー タ の 出 典 、 特 に 資 本 ス ト ッ ク デ ー タ の 推 定 方 法 に っ い て 説 明 して い る 。 資 本 ス ト ッ ク の 生 産 力 は 、 日 本 で は 、 耐 用 年 数 に 達 す る 直 前 に 急 激 に 低 下 す る と 考 え ら れ 、 純 概 念 で は な く粗 の 概 念 で 資 産 を 推 定 す る の が 一 般 的 で あ る 。 し た が っ て 、 主 と し て 用 い た 日本 の 資 本 ス ト ッ ク デ ー タ は 、 民 間 部 門 で は 減 価 償 却 分 を 除 去 す る 前 の 粗 資 産 『民 間 企 業 資 本 ス ト ッ ク 』 経 済 企 画 庁 で あ る 。 公 的 資 本 ス ト ラ ク は 『日 本 の 社 会 資 本 』 経 済 企 画 庁 編 集 で あ る 。 公 的 資 本 ス ト ッ ク は1953年 か ら1993年 ま で で あ る の で 、1994年 か ら1998年 ま で を 推 計 追 加 し た 。 な お 、 純 固 定 資 産 に っ い て は 『国 民 経 済 計 算 年 報 』 で 公 表 さ れ て い る 、1969∼1997年 の デ ー タ を 用 い て 分 析 を 試 み た 。 具 体 的 に は 、 資 本 ス ト ッ ク の 推 計 に 用 い ら れ て い るPI法(PerpetualInventoryMethod)、BY 法(BenchmarkYearMethod)、PS法(PhysicalStockValueMethod)に っ い て の 簡 単 な 説 明 と 、 耐 用 年 数 と 除 却 、 デ フ レ ー タ の 算 定 、 公 的 実 質 粗 資 産 の 求 あ 方 を 扱 っ て い る 。 第6章 で は 、 第1節 に お い て 、 第3章 で 説 明 し た 確 率 的 成 長 モ デ ル の イ ンパ ル ス の 性 質 に 応 じ て 、 内 生 的 成 長 モ デ ル2ケ ー ス(strongformとweakform)、 外 生 的 成 長 モ デ ル7ケ ー ス に つ い て 述 べ て い る。 第2節 に お い て は 、Johansenの 共 和 分 検 定 と 国 友 の 共 和 分 検 定 に よ る 実 証 結 果 に つ い て 報 告 して い る 。Johansenの 共 和 分 検 定 で は 共 和 分 ラ ン ク は ゼ ロ で あ っ た 。 こ れ は 、 一 人 あ た り産 出 量 、 私 的 資 本 ス ト ッ ク 、 公 的 資 本 ス ト ッ ク の3変 数 間 に 長 期 的 関 係 が 存 在 し な い こ と を 意 味 す る 。 こ れ は 生 産 関 数 の 主 要 な 要 素 は 資 本 と 労 働 で あ る と い う経 済 成 長 理 論 の 基 本 的 概 念 か ら し て 不 合 理 で あ る と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、 構 造 変 化 の 変 数 を 組 み 入 れ た 国 友 の モ デ ル を 用 い て 共 和 分 検 定 を 行 っ た と こ ろ 、1984年 に 構 造 変 化 が あ る と の 結 果 を 得 た 。 構 造 変 化 を 入 れ た 実 証 結 果 は ラ.ン ク 2で あ っ た 。 第3節 で は 、 構 造 変 化 を 考 慮 し た 、 私 的 資 本 ス ト ッ ク と 公 的 資 本 ス ト ッ ク に よ る 外 部 効 果 の 推 定 結 果 を 報 告 し て い る 。 公 的 資 本 ス ト ッ ク に 関 す る 産 出 弾 力 性 は0,12で あ り 、 こ れ はLau andSin(June1997)の ア メ リ カ の 推 計 値 と ほ ぼ 同 じ で あ る 。 し か し、 私 的 資 本 ス ト ッ ク が も た ら す 外 部 効 果 は 、 混 雑 パ ラ メ ー タ が ゼ ロ の 時(人 口 増 加 に 応 じて 混 雑 が 発 生 す る 場 合)は0.37、 混 雑 パ ラ メ ー タ が0.38の 時(生 産 活 動 に 応 じ て 混 雑 が 発 生 す る 場 合)は0.67と な り 、 こ れ は 、Lau andSin(June1997)に よ る ア メ リ カ の 推 計 値 の3倍 以 上 と な っ た 。 第4節 に お い て は 、 公 的 粗 資 本 ス ト ッ ク を 構 成 す る20部 門 の そ れ ぞ れ を 公 的 資 本 ス ト ッ ク と み な し た 場 合 の 結 果 を 報 告 し て い る 。 興 味 あ る こ と に 、 ほ と ん ど 全 て の 部 門 に お い て 、 ト レ ン ド項 の 符 号 は マ イ ナ ス で あ っ た 。 第7章 で は 、 今 後 残 さ れ た 問 題 を 含 め て 、 実 証 結 果 を ま と め た 。
最 後 に 、 付 録 と して 、 デ ー タ お よ び プ ロ グ ラ ム(TSP)を 添 付 し た 。