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教員養成系学部における「情報機器の操作」の実践 -国語科のICT活用指導力にかかる資質・能力の形成を図る一つの試み-

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(1)Title. 教員養成系学部における「情報機器の操作」の実践 −国語科のICT活用 指導力にかかる資質・能力の形成を図る一つの試み−. Author(s). 上田, 祐二. Citation. 旭川国文(31): 11-32. Issue Date. 2018-11. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11205. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 教員養成系学部における「情報機器の操作」の実践 一国語科のICT活用指導力にかかる資質・能力の形成を図る一つの試み-. 上田祐二. lはじめに. 本学共通基礎科 目 「情報機器の操作」 ( 1 年 次前期間講必修科目) は, 教育職員免許法施行規則で 指定された 科 目であ る 。 従来からこの 科 目 はワープロ, 表言一|算, プレゼン テ ー シ ョ ン , メール , W eb ブ ラウジ ン グ な どのソフト ウ ェ アに 関 す る 操作 ス キル の 習得 に とどまる 傾向があり, その改善の必要 性が指摘されて き た (山本 ( 2008 ) ) 。 その一 方で, 実物投影機, 電子黒板, タ ブレ ッ ト など, 実践 現場で活用されている ! CT の 活用 について講義で取り上げた り (瀬戸崎ほか (20 1 8) ) , それらを活 用 し た 教材 ・ 授業づくりや模擬授業を実施 し たり (上田 (20 1 2) , 宮崎ほか (20 1 6) ) な どといった 実践事例が見られる よ う に もな って き て い る 。 これらは, 文部科学省が『教育の情報化に閲す る 手引 き 』 (20 1 0) ,. 『教育の情報化 ビジ ョン 』 (2011) などで示 し た , 教科指導, 情報教育, 校務の視点か. らこれからの教育現場に お け る ! CT 活用 指導力 の 向上の必要性に 応え よ う と し たものであ る 。 し か し ながら, 乙れらの研究 ・ 実践は, 免許法施行規則に 定められた 「教育の 方法 及び技術 (情報 機器及び教材の活用 を含む。) 」 や 「各教科の指導法」 に 関わる ものであって, 「情報機器の操作」に 焦点を置いたものではない。 もちろん 「情報機器の操作」 に 関 し て , 『教員 の! CT 活用指導力 の チ ェ ッ ク リ ス ト 』 (文部科学省 ( 2007) ) の項目 を 今日的 な デジ タ ル機器, ソフト ウェアに 置 き 換 え て とら え な お し た り (塚本 (20 1 5) ) , それらを各種ソフト ウ ェ アの 操作ス キ ル に 関 連づけよ う と し た り (富 永 (20 1 7) ) , また それらの操作 ス キ ルを教材 ・ ワー ク シ ート作成, 成績処理 などといった 教育実践 に 関 連 し た課題から習得させよ う とす る (薮 (20 1 3) ) な どといった研究・実践も見られ る 。 し か し な がら, こ う し た どのよ う な 機器・ソフト ウェ アがどの よ う なことに 使え る のかといった 道具的 視点 からの 改善は, ともすれば従来の 「情報機 器の操作J で取り上げて き た 操作ス キ ル を今 日 的 な! CT の 操作ス キ ルへと更新す る に とどまって し まいかね ない。 『教育の情報化ビジ ョ ン』 では, デ ジ タ ル教科書・教材, 電子黒板や実物投影機などの デ ジ タ ル機器, パソコ ンや タ ブレ ッ トP C な どの情報端末. 校内LA N やイ ン タ ー ネ ッ ト 環境を活用 し た 学習の推進. を図る こと, その た め に 教員 養 成 に おいてこれらの! CT に 触れ る 機会 の充実 を 図 る 乙とを求め て い る 。 また, 20 1 9 年度以降の免許法施行規則では, 「各教科の指導法」 の内容に 「情報機器及び教材の活 用 を含む」 とい う 文言が明記された。 こ う し た動向を 踏ま え る ならば, 「』情報機器の操作」 の充実 ・ 改善を 図る 上で, 「教育の 方法及び技術」 や 「各教科の指導法」 に 関わる 科 目 との系統性 ・ 関連性を ど う 持 た せ る かとい う ことは重要な視点とな る 。 また, 平成 2 9 年改正の新学習指導要領では, 「主 体的 ・対話的で深い学び」 を効果的 に実践す る 手 だ てと し て! CT の 活用 が位置づけられてい る 。 とれ I l l l.

(3) を踏まえ る な らば,. 「情報機器の操作」 に お い て は, 「各教科の指導法」 等 に お い て J CT を 活用 し た. 授業が構想、でき る ため に , そもそも ICT を活用 し た学習とはどのよ う な もの な の かとい う イ メー ジ を持たせて おくことが, 「各教科の指導法」 等との系統性の上から必要なことである と思われ る 。 その点から言え ば, 本稿に お け る 「情報機 器の 操作」 の実践は せる ことを意図 し て はい な し、。 む し ろ,. 共通科 目 とし て の 汎用 性を持た. 受講学生が志望す る 国 語科の指導法との結びつ き に 特化 し. たものであ る 。 国語科 に お い て は, 言語活動を 通 し て 言語技能の獲得・習熟を図る ことが基本的 な 学習構造とな る 。 そ し て , 新学習指導要領の要求に沿 う な らば, その 言語活動をいカ、に 対話的 ・ 協 (動的 な学びの場と し て 構成でき る かとい う ことが重要 に な る 。 このととから,. 「情報機器の活用 」. での学 び に お い て このよ う な国 語科の学習を ICT がど う 支え る のかとい う ことに対す る イ メー ジを 持たせる た め に , 情報機器 ・ ソフ トウェ アの操作スキ ル を そ う し た 学 びの場から切り出 し て 習得す る の ではなく,. む しろ対話的 ・ 協働的な学びの 文脈の中で! CT を 活用 す る ことによって , それがど. の よ う に 効果的 に 働くのか, また逆にどのよ う に 活用すれば効果的に 働くよ う に な る のかといった ことに 対す る 理 解と, その過程に お い て 必要 な 岐能の獲得とをね らいとす る 授業が構怨でき る 。 以下では, こ う し た問題意識とね らいの もとで、行った実践の報告と成果の導出を 行 う 。. 2実践の構想、. 2.1何を学ばせるか. 本実践を 報 告す る に あたり,. 3 つ の課題を検討 し て お き た い。 その第lは, 国 語科の学習に お け. る ICT のどのよ う な活用 場面に 結びつく知識・技能の獲得を 「情報機器の操作」 の援業内容と し て 取り上げ る かとい う ことであ る 。文部科学省は 20 1 1 年度から 20 1 3 年度に かけ て , 「学びのイ ノベー シ ョ ン事 業」 として ! CT を活用 し た 学習の実証研究を行って い る 。 そこでは,『教育の情報化ビジョ ン 』 に もとづ き , 一斉学習 (教員 に よ る 教材の提示 ) , 個別学習(イl�Iに 応 じ る 学習,. 調査活動,. 思. 考を深め る 学習, 表現 ・ 制作, 家庭学習) , 協働学習 (発表や話合い, 協働での意見整理, 協働制作, 学校の壁を 越 え た学習) といった 枠組みでそれぞ、れノト中学校の実践が例示されて い る 。 ここではこ のi枠組みとの対応を 見 る こと に よって ,. 本実践が射程とす る 知識 ・ 技能を検討す る 。. 乙の よ う な 学習場面では, 電子黒板や タ ブレ ッ トP C, 電子教科書 などの 新 し い! CT が活用され て い る 。 し たがって そのよ う な ICT に 触れ, その操作スキ ル を 習得 し て おく ととは重要なことでは あ る 。 し か し ながら, す で に 述べたよ う に , それを教l':ijiの! CT 活用指導力へと結ばせる ことを意図 す る の であれば, 学習に お け る どの よ う な 場面でどのよ う な I CT を 選択 し , それをどのよ う に 使 え ば効果的であ る のかとい った ,. 活用 の必然性に 対す る 理解を伴 う ととが必要 に なってくる 。 とは言. え , 「学びの イ ノベーシ ョ ン事業J での枠組みに お け る 「教員 に よ る 教材の提示 」 「個に 応 じ る 学習」 「家 庭学習」 といった 場面では, 教科の学習指導の梢成・展開や児童 ・ 生徒の実態に対す る 理 解が活用 の必然性の 判断に大 き く関わる が, こ う し た視点から初年次の 「情報機器の操作」 で扱 う のは難 し い。 む し ろこれらの活用 に つ い て は 「教科の指導法」 等で扱 う 方が適切であろ う 。 し た がって国語科の学習場面を念頭 に 置 い た 場合, 「調査活動」 や 「表現 ・ 制作」 の場面 に お け る 児童・生徒による ICT活用 のスキ ルを学生に も獲得させる ととがまず想定され る 。 し か し な がら 112].

(4) それに ついても, 調査を す る た め の イ ン タ ー ネ ッ ト の 使い方や写真・動画等の記録の仕方, あ る い はマルチモーダル な 資料や作品を 制作す る た め の ソフト の 操作 ス キ ル の 習得 に とどま る べ き ではな い。 同括和|では, これらの 活動は多くの場合, 問題を解決す る た め の 手段と しで情報を収集 ・ 処理 で き る 技能や, 目的 ・相手 に 応 じ た適切で、効果的 に表現 で き る 技能を獲得 し , それに習熟す る た め に わわれる 。 し たがって 国語科の学習に 求められる J CT ス キ ルは, その よ う な情報収集・処理, ドキ ュ メン ト 作成ができ る た め の たんな る 操作 ス キ ル ではない。 む し ろその ス キ ルを前提と し て , 問題の 解決や他者との コ ミ ュニケー シ ョ ン の 過程で, その 状況に 応 じ て J CT を活用す る かど う かを含む多 織な方法から適切な方法 の 選択がで き る こと, ま た その よ う な 状況を有効に 支え る ! CT の活用 の仕 方を実行でき る かど う かといった 方略的 な ス キ ルである 。 この よ う に , これらの方略的な ス キルは, 児童・生徒の! CT 活用を指導で き る 能力 の 基礎とな る もの である だ け でな く, それを 国 語科の教科 内容と し て 理解を深め る とい う ことでもある 。 また, これら個人学習に お け る ! CT の活用 は, 「発表や話合い」「協ifil)Jで、の意見整理」 「協働制作」 といった活動に埋め込まれ て 国 語科の学習は し ば、しば、構成される 。 もちろん, 協働学習に おいて は, 電子黒板や コ ラボレー シ ョ ン ・ツー ル な どの ICT ス キ ルが求められる 。 し か し な がらこのよ う な場 而でもやはりそれらは方略的 な ス キ ル と し て 理解・獲得される 必要があ る 。匡| 語 科では, このよ う な 協倒的な活動は, 学習課題の解決手段と し て 促すこともあ る が, そこでの活動を生産的・効果的 に す る た め の 知識・技能の獲得も教科内容に 含まれ る 。 し た がってここでの! CT ス キ ル に ついても, 協(動的に探究を深め る た め に はどのよ う に 話 し 合いや情報の 交換・共有を進めればよいのか, ICT を活用 すればそれをよく支え る のか, も し 支える とすれば\そ 乙で!CT をどのよ う に 活用 す ればよ いのかといっ た ことがらについて 埋解・実践で き る よ う に な る ことは, 匡|語とい う 教科の理解を深 め る とともに , それを教育実践での活用につながる 基礎的な 知識・技能と し て 獲得す る とい う こと に な る と思われ る 。. 2.2.どのように学ばせるか. 第2 の課題は, 第lに 述べた知識・技能の獲得をどのよ う に 学ばせ 、 る のかとい う ことであ る 。 すでに述べたとおり「情報機器の操作」 は免許法にかかる 専門科目ではある が, 同時に教養科目と し て の 性絡をもっ。 中央教育審議 会 (2008) では, 大学教育が保証すべき 資質・能力 の総体を 「学 上力 」 と呼び, それに含まれる 汎用的技能の一つ に 情報 リ テ ラ シ ー を位置づけ て い る 。 ここで言 う 汎用的 技能は, 「知的活動でも職業生活や社 会生活で、も必要な技能」 (p.12 )と定義されて い る が, 乙れは, 専門的な 能 力 の 育成 だ け でなく, l職業人と し てまた市民と し て 生涯 に わたって 学 び続け る ことができ る 能力 を育成す る 教養教育の場であ る とい う 学士課程の位世づけから要求されたもので ある。 この 汎m的技能はジ、エ ネ リ ッ ク ・スキ ルとも呼ばれる が, 松下 (20 l 0) は, これらが 「認知的 な能力から人絡の深部に までおよぶ人間の全体的 な 能力 を含んでい る 」 点で, 「キー ・ コ ンピテ ン シー」 や 「生き る 力 」 などに も共通す る く新 し い能力 〉概念である と述べて い る ( pp.2 -3 ) 。 新学 習指導要領に お け る 「資質・能力 」 とい う 用 語もまた , 「生き る 力 」を明確に す る 意図がある 。 ま た 『教育の情報化ビジョ ン』では, 2. 1 で考察 し た学習場面に お け る J CT の 活用 に ついて も, 「生 [131.

(5) きる力」に資する情報活用能力の育成仁 平成 20年版学習指導要領における資質・ 能力のとらえ 方であるととろの「基礎的 ・ 基本的な知識・ 技能の習得や, 思考力・判断力・表現力等や主体的 に 学習に取り組む態度の育成に資する」(p.10)ことをねらいとしたものであるとされている。 このよ うに昨今の教育政策の動向は, コンピテンシー ・ ベースのカリキュラム(石井(201 5))への移行 が進行しつつあると言ってよい。 したがって, 乙うした流れを踏まえるならば, 本実践が射程とし た!CT活用の知識・ 技能もまた, コンピテンシーの形成を指向した学習過程において理解 ・ 獲得さ せていくことが重要である。 すなわちそれは, ICT活用のスキルを学生自身のジェネリック ・スキ ルとして 獲得することであるとともに, 国語科における情報活用能力を育む コンピテンシー・ ベー スの学習を理解することにつながるもの』こするということである。 もともとD eS eCo (OE CD) が示したキー・ コンピテンシーは, 「相互作用的に道具を用いる」「異 質な集団で交涜する」「自律的 に活動する」といった 3 つの能力カテゴリーからなる (Rychen & Salgani k(2006 ))が, その学習はそれぞれのカテゴリーに含まれる知識・ 技能を要素的に習得する ことによって成立するものではない。 むしろ, それらは, 特定の状況 ・ 文脈の中で複雑に関わり合 いながら表れるホリスティックなものである。たとえば, 「相互作用的に道具を用いる」のカテゴリー については, 次のように説明されている。. 道具を相互作用的 に用いるうえで, 「相互作用的」という副詞に意味がある。 個人が知識やス キルを作りだし, 採用することが期待されている世界において,道具を使う技術的なスキルをもっ ている(たとえば, 文書を読む, コンピュータ ・ マウスを使うなど) だけではもはや十分ではな い。 道具を相互作用的に使うためには, 道具そのものになじんでいるととや道具が世界との相互 作用のやり方をどのように変化させ, また道具を使ってより大きな目標をどのように達成するの かについての理解が前提となる。「道具Jは単なる受け身的 な媒介物ではなく, 「個人と環境の聞 の能動的な対話」に欠かせない部分である(Haste,2001 , p.9 6)。 文字どおり人間の心身を拡張 したものなのである。(p.11 6). このようにキー ・ コンピテンシーの視点から見れば. ICTスキルは ICTが他者 ・ 世界との関わ. りをどのように変え, それを用いてそれらにどのように関わり目標を達成するのかといった相互作 用的な理解を前提とする方略的な活用スキルであるととらえるべきであるととがわかる。 では, こうした視点から見た ICTスキルは, どのような授業過程において理解 ・ 獲得させること ができるだろうか。 溝上(2014) は, アクティブ・ ラーニングで育成されるのは情報・ 知識リテ ラシーであると述べている。 すなわち, 「情報を個人のものとしつつ, 個人の知識世界に位置づけ, 行動に影響を及ぼす, 意味ある知識にする」こと(情報の知識化), 「情報や知識が, 身のまわりで 起こっている社会や自然の現象を理解するために, あるいは仕事や生活, 人生におけるさまざまな 問題解決場面で活用される」こと(知識の活用),「他者に知識を伝えたり, 他者の持つ知識とすり 合わせて統合したりするとと」 (知識の共有化・社会化), 習得された知識が「既存の知識世界のな かで位置づけられて, 整理されJること(知識の組織化・ マネジメント) といったことがらである (pp.58 6 5)。 これらの記述からも明らかであるように, 情報 ・知識リテラシーは, 脱文脈的に身 につけていくものではない。 さまざまな問題解決場面の中で, 具体的 な行動の過程で情報を独得し, [14].

(6) それを知識化し, 他者と共有しながらそれらを組織化することによって獲得されるものである。 こ のことは, キー ・ コンピテンシーの言う相互作用的な世界との関わり合いといったとらえ方にも共 通する。 したがって, !CTがそれを媒介する道具であるなら, そのスキルはそうした情報 ・ 知識リ テラシーを支えるものとして獲得されるように学習を設計する必要があると考えられる。 また教育政策においても, コンピテンシー ・ ベースの教育への転換の手だてとして, アクティ ブ・ラーニングの導入が求められている。 たとえば, 学士課程では「教員と学生が意思疎通を図り つつ, 一緒になって切嵯琢磨し, 相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り, 学生が主体的 に問題を発見し解を見いだしていく能動的 学修(アクティブ・ラーニング) への転換が必要である」 ( 中央教育審議会 (2012). p.9 ), また新学習指導要領においては, アクティブ・ラーニングの視点 からの授業改善, すなわち「授業や単元の疏れを子供の「主体的 ・対話的で深い学び」の過程とし て捉え, 子供たちが, 習得した概念や思考力等を手段として活用・発揮させながら学習に取り組み, その中で資質・ 能力の活用と育成が繰り返されるような指導の創意工夫が求められる」(中央教育 審議会(2016), p.5 1) とされている。 したがって, !CTを活用した学習のイメージを持たせると いう本実践のねらいから見れば. さしあたり アクティブ・ラーニングの視点から授業を構成するこ. とが妥当であろう。 溝上(2014)は, ア クティブ・ラーニング導入の背景には, 教授パラダイ ムから学習パラダイ ムへの転換があると述べる。 その転換の特徴は,「教員から学生へ知識を伝えること」ではなく「学 生の発見や知識を引き出すこと」であるとと, したがって教員の役割は「授業を提供するとと」で はなく「学習を生み出すこと」である。 また, 公的. 「知識の固まりが教員によって分割されて伝. (Public). 達される」のではなく, 「知識は構成され,. 慣習化 (Conventionalization). 創出され,獲得されるもの」であり, したがっ. 個人的. (Individual). ー縦 (-::! ii. じ -了一一 d'.. ). 怜 、、. 国語科教育研究において, そうした学習観. 変形 (Transfo mation). r. にもとづく授業モデルのーっとしてヴィゴ ツキー ・ スペースが注目されている(住田 勝ほか(2016), 寺田守(2018))。 もとも. Ill. ·,. /. 景には社会構成主義的 な学習観が伺えるが,. 11. r IV 一. 的紛 AE m 社印 刷. 6. μ. このように ア クティブ- ラーニングの背. / �. 相謝 O百コω20コ) 〉古刀『 (. る(pp.33-37)。. \斗. てプロダクトではなくプロセスが重視され. 私的. (Private). [図表1]ヴ、ィゴツキ. ・ スペース. とこのモデルは, 知識の専有 ・変形が他者 との関わりの中でどのように構成されるのかを描いたHarr eのモデルを,Gav巴lek & Raphael(l996) がリテラシー教育に拡張したものである。 ヴ、ィゴツキー・スペースは認知活動の可視的 で、観察可能な度合し、(公的(P ublic)一私的(P riva te)) の軸と, 他者から学んだ知識を使うか, 学んだことを自分のものにするかといった度合い(社会的 (Socia l). 個人的(Individ ual))の軸からなる 4つの次元で表現される(【図表 l】) 。 乙のモデル. では,第I象限から第II象限への移行において他者から与えられた知識・方略の専有 (Appropriation) が起きるとされる。 同様に, 第H象限から第III象限では, 専有された知識 ・ 方略が他者との関わ [15].

(7) りの 中で変形 (T ransfo rmation) され, また, 第 I I I象限から第 IV 象限への 移行では, そのよ う に 創発的に 変形された知識・方略が他者に 公表 P ( ub icatio l n) される ことに よって 可視化されて い く。 さらに , 乙のモデルはたんに 4 つ の 次元を推移する 円環モデルではな い。 社会的に構成された創 発的な知識・方Ill告は, 第 IV 象限から第 I象限への 移行 に お い て ’慣習化 (Convetionalization) され, 所与の知識・方略と し て 活用されて いくといった螺旋型のモデルと し て 把握でき る ものであ る 。 また, Gavelek &Raph ael ( 1 996) は, この学習モテ 、ル を ブ‘ ッ ク ・ ク ラブといった読む 乙との指 導 に 適用 し て い る 。 ブ ッ ク ・ク ラブの典型的な指導過程は, ①教師の 読み聞かせ, ② ク ラ ス 全体に 向け た ミ ニレ ッ ス ン, ③子どもが読む, ④読んだことを リ ーデ、イングログ に 書く, ⑤教帥は個別に 子どもと対話 し ながら指導者E加え る , ⑥小グルーフ。に分かれる , ⑦グループで話 し あ う , ⑧教師は 子どもの話合いを観察する , ⑨ ク ラ ス 全体でデ ィス カ ツ シ ヨ ンする とされて い る R ( apha巴I ( 20 1 2) , pp.5 -6 ) 。 この過程はおおよそ, ヴ、 ィゴツキ ー ・ス ペー ス に お け る 第I 象限~第 I I象限 ① ( ~⑤) , 第 II象限~第凹 象限 ⑥ ( ~@) , 第凹 象限~第 IV象限 @ ( ) とい う よ う に とらえ る ことが可能で あろ う 。 またこのモデル を 溝上 (20 14) の 挙げた情報・ 知識リテ ラ シー に 適用 し てみる な ら, 社 会的 (Socia l ) 活動の 中で 「知識の 活用」 を図る ととに お い て , 情報が 「専有 A ( ppropriation ) 」 , 「変形 (transformation) 」 される 乙とに よって 「情報の知識化」 が私的 P ( rivate) な 認知活動と し て 起こる とともに,それが他者に示される ことによって 「知識の 共有化・社会化」 が起 き る とともに , 既有の知識に 組み込まれ ( 「知識の組織化」 ) , さらな る 活動に 生かされて いくとい う よ う に とらえ る ことができ る 。 このよ う な ことから, コ ンピテ ン シー ・ベー ス の学習指導を ア ク テ ィブ・ラー ニ ングの 視点から具体化 し よ う とする と き , ヴ ィゴツキー ・スペー ス に もとづくブ ッ ク ・ ク ラブの学 習展開は ICT活用 の学びに お い て も適用可能である と考え , 本実践の 展 開 を 具体化する ことに し た 。. 2.3.ICTの操作スキルをどう扱うか. 本実践に お け る 第 3 の 課題は, どのよ う な ! CT 機器・ソフト ウェアを学習に 組み込み, その操 作 ス キ ル をどの よ う に 習得させる かとい う ことであ る 。 冒頭に も述べた よ う に , 従来の 「情報機器 の操作」 に お い ては, ワープロ, 表計算, プレゼン テ ー シ ョン に加 え て 電子 メールや W巴b ブ ラウ ジ ング の た め の ソフト ウェアが取り上げられて き た 。 し か し な がら,. 『教育の情報 化 ビ ジ ョン』に. も示されて い る よ う な協働学習に は, ネ ッ ト ワー ク を 介 し て コ ミ ュニケー シ ョンを とりながら他者 と協(動的 な 関 係を構築する ことなどの能力 が求められる 。 中橋 (20 14) は, 情報教育の 力 点を 6 つ の 世代に区分 し て , その 展 開 を 整理 し て い る 。 それに よれば, 2000 年 を 境 に , 情報機器を道具 と し て 活用 で き る ことから, ネ ッ ト ワー ク 化, ユビキ タ ス 化, ク ラウド化された 情報 環境に お い て , コ ンピュー タ や携帯情報端末などを用 い て , 多様な形態でコ ミ ュニケー シ ョン を 生み出せる ととへ と変わって き たとい う (pp. l 00- 1 03) 。 これを踏まえ る ならば, 従来の 「情報機 器の操作」 は, い わば 2000 年以前の情報教育にとどまって おり, 協働的な コ ミ ュニケー シ ョン に 関わる リ テ ラシ ー , ス キ ルを扱え て い る とは言え な い。 し た がって, 本実践 に お い て 協働的に 活動で き る 能力 を 学習内 容に置こ う とする な らば, それを支 え る I CT 操作を学習の対象 に する 必要がある 。 もちろん, 新 し い ICT 機 器 ・ソフト ウェアを 対 象に す る 必要があ る といっても, 従来の機 器・ソ フトウェアに対する 習熟が必要 な いとい う わけではな い 。 し か し ながら, 1 5 コ マの 時間的制約の 1161.

(8) 中でそれらを 扱お う とす る ならば, 工夫が求められる のも確かであ る 。 私の 乙れまでの実践に お い て も, いくつかの制作課題を通 し て 基本的な操作法の理 解 ・ 活用を図る とい う 方法 に よって , 従来 の機出 ・ ソフ トウェ アの道具的活用 に 習熟させよ う と し て き た が, 各ソフ トウェ ア に つ い て 3 ~ 4 時間程度の演習時聞は必要であり, とれに 新 し いI CT 機 器 ・ ソフ トウ ェ アを単純に 加 え る 余裕はな い。 また , 本実践に お い て コ ン ピテ ン シ ー ・ ベー ス の学習を仕組も う とす る のであれば, 学習者の 試行錯誤 や協{動的な関わり合いを保証で き る 時間の確保も必要である 。 こ う し た 問題を克服す る 手 だ て と し て , 本実践では次の よ う に 試みた。 まず, 従来のI CT 機器 ・ ソフ トウェ アの操作法 に つ い て は取り立て て 説明 ・ 指導 し な いとい う ことであ る 。 学習者は, 高等 学校の段階で教科「情報J を少なくとも 2 単位以上は履修 し て い る 。 また, 他教科や家庭 に お け る コ ンピュー タ 利用 頻度も高まって き て い る 。 これに つ い て はあらか じ め実態を把握 し て おく た め に , 学習者に 対 し て 事前ア ン ケー ト を 行った 。 【図表 2 】 に 示 し た よ う に , 授業でほぼ全員 がパソ コ ン は使用 し て い る の に 対 し て , タ ブレ ッ トP C や電子黒板の使用は少な い。 ケー タ イ は半数以上 が利用 し たと答え て い る が, 同時に 求 め た 記述回答に はそのm途を具体的に 答 え た 者は い な かっ た。. パソコソ. タブレッ卜PC. パソコン の用途. | I. ケータイ. 8. 31. 1s. [図表2]学習前のアンケート. 1s. I. そ の他. 電子黒板 3. s. スライド作成・発表. 文3作成 s. ビデオカメラ. 表計算;. ホームページ制作. s. 3. I. 高等学校の授業で使用したICT機器(回答数32). じゅうぶんに線作で 基本的なことはでき (1!ったこ と は ない 使っ たこ と はある きる。 わからないこ ると思うが, 11 n甘に が, J正本がわかれば が, とは「l分で調べて解 応じた使い方をうま t�f乍でーきると思う。 f)とできる。. く選べないことがあ. よくわ か ら な. かった。または,(!Jiっ たことはなし」教え. る。. てもらわないと傑作 できないと思う。. 2. ワープロ(Microsoft Word). 17. 9. 4. I5. う. 11. 4. 16. 7. 5. 12. 13. 4. 点ifl·t� (Microsoft Excel) プレゼンテーシヨン (Microsoft Powerl'oint) インターネッ ト(Googleな ど の ネット検索, BBS) SNS (Faαbook, Twitter). [図表3]学習前のアンケー卜. ICTの操作スキルに対する意識(回答数32). し か し ながら,「調べた ことを発表す る 」 と回答 し た者 に ケー タ イ の使用者が含まれて い る ことから, 主に 情報検索に使用 し た と推察される 。 これらのことから ネ ッ ト ワー ク を介 し た コ ミ ュニケー シ ョ ン を 図りな がらそこで協{動的 に 活動す る といったことに つ い て は学習経験が乏 し いことが認められ る 。 一方, パソコ ンの使用 に つ い て は文書 ・ レポー ト 作成, ス ライ ド作成 ・ 発表, 表計算の学習経 験が記述回答の大半を占めて おり, ソフ トウェ アの道具的活用 に つ い て は経験 し て い る と考 え られ る 。 またこれらのソフ トウェ ア に つ い て は指導の必要性に つ い て も尋ね て い る (【図表 3 】) 。 これ [17].

(9) を見ても, 表計算ソフ ト に ついては白己の操作ス キ ル に 不安を持つ者が比較的多いが, 6割程度の 者は, 基本的 な 操作 ス キ ル ではなく応用 ・ 活用 的 な 学習を求め て おり, また使用 経験がないものも あ る 程度の自己学習が期待でき る ことがわか る 。 こ う し た把握を踏まえ て , 以下の 方針で授業を構成 し た。 (I) ソフトウ ェ アの基本的 な使用 法 に ついては, 必要 に 応 じ て 説明す る 程度に とどめ る とと。 ( 2) 協働的 な 活動が必要 に な る 学習課題を設定す る が, その過程でワープロ, 表計算, プレゼ ン テー シ ョ ン な どの従来の ICT を 活 用 す る ことが想定される 課題に な る よ う に す る こと。 ( 3) 活動を メタ 認知させる ことに よって. そこで理 解 ・ 獲得 し た ICT ス キル , リテ ラ シ ーを自. 覚させ る ととも に コ ン ピテ ン シ ー の形成を図る ことを軸に 置いて , 授業 を 構成 し た。 す な わち, 2 . 2 で述べた ヴ ィゴ ツキー ・ ス ペースの学習モデルで言 え ば, 第1象限から第 2象限に わた る 学習の 力 点を軽く し 第 2象限から第 4象限に わたる 学習に 力 点を 置いたとい う ことである 。. 3実践の構成とその概要. 本実践は, 2 016 年度から若干のブ ラ ッ シ ュア ッ プを 施 し な がら継続的 に 行ってい る 。 ここで報 告す る のは, 2 018 年度 (受講者数 33 名,. う ち編入生1名を含む) の実施内容である (【図表 4 】。. 本実践は, 3 つ の 大 き な課題で構成 し てい る 。 第l課題は’情報検索や引 用 の 方法, 第 2 課題はプ レゼン テー シ ョ ンとい う よ う に , 基本的 な情報リテ ラ シ ー の 獲得を念頭に おいた課題であ る 。 第 3 課題は, ネ ッ トワー ク を 活用 し た協{動的 な 問題解決ス キ ル の 獲得を 目 的と し て い る 。 課題に はそれぞれ事典, 発表ス ラ イ ド, 新聞の 制作をゴー ル に 置 き , すベて ク 、、ル一プで せている 。市lj作見本は, 第l謀題の事典に ついて レ イ アウ ト .イ メ一ジ、を見せた他は提示 し て いな い。 その代わり に ル 一 ブ、リツ ク を提示 し て , 制作時にどんな 工夫が求められている のかを把握させた。 また, 活動の過程でその手がかりとな る 知識を適宜 ミ ニ ・ レ ッ ス ン の形で与え て い る 。 さらに , 時閣の都合で毎回は行え な かったが, 基本的 に は各時間の終わり10~15 分程度を活動の振り返 りに当て た。 ここでの振り返りは, 授業者が示 し た観点に ついて , グ ループごとに 気づ き を ミ ニ ・ ホワイ トボードに まとめさせ, それらを授業者が集約, 補足を し た。 学習時の I CT 環境については, P C, タ ブレ ッ ト端末 に 加 え て , 学習者が所有 し ている ス マー ト フォ ン を 自由に 使用させている 。 課題の制作にはP C の使用 は必須であ る が, それ以外は特に制約 せず, 必要 に 応 じ て 必要 な 機 器を選択 し て 使用 す る よ う に 促 し た。 また, 自己の 活動を可視化す る 手段と し て , 毎時間, また課外に 取り組んだ場合に も活動の記録をとらせる よ う に し た。 これは Evernote に 追記させる 形で記録させ, 共有 リ ン ク を提出させて 授業者がいつでもモニ タ ーでき る よ う に し た。 授業者は, 授業時の振り返りに おいて 共有 し た ととがらに 加 え て , Evernote の記録 内容からピッ ク ア ッ プ し て , 次時の 冒頭で共有すべき 知識・技能と し て 紹介す る よ う に し た。 このよ う に 学習者は, 提示された課題の 制作をグ、ループで、取り組む中で, その制作を効率よく進 め , また質的 な 充実を 図る 方法を 考 え て いくことに な る 。 その際, ルーブリ ッ ク で示された質的条 件を手がかりに , 学習環境で利用 可能なI CT を選択 し , 彼らの既有 ス キ ル を 生か し な がら, 協(動的 に 活動す る ととが促されて い る 。 す な わち, 与え られた解決方法 を な ぞ る のではなく, 解決方法を 自ら生み出 し な がら活動す る よ う に 促 し たとい う ことであ る 。 し たがって , 本実践での学びは, 与 [18].

(10) え た スキル, ル,. リ テ ラ シ ーの 習得 に あ る の ではなく, む し ろそれらを発見 ・ 獲得 し た り, 既有の ス キ. リ テ ラ シ ー を 変形 し た りす る こと に あ る 。 そ し て その 学 びは, 振り返りの場面で言語化 ・ 共有. す る ことに よって , 確かに 獲得される ことが期待されて い る 。 以上が, コ ンピテ ン シ ー ・ベー ス の 学 びと し て 構想 し た 本実践の基本的な 構成であ る 。 以下, 各課題に お け る 授業展開を説明す る 。. 厄l 時. 課題. ミニレッ スン. 概!SI. 阪り返り. ソフトウェア. 共符. オリエンテーション. 3 2 4. 疑問を凡つ け る. tf'i 1 j県J必. 2. 情報を活用し て考えを深める ー『事典の事JJ1!』を作ろうー. l. 6. Wordのill式設定. l脚注作成. 3 4. 5. 文献検索・処J'lll 文献検索・ 入手の 方法, � IJFJの 方法. 作品交流. 第2�県!国. 。 。 。. 学習 ) Excelの機能*!-{介. る. Word Edmodo Webブラウザ\. 資料の分析(エ. 2 ↑古報を活J-IJ し て考えをまとめ キ ス パ ー ト. Webブラウザ、. 。. スライ ドづくりの. Word, Excel Excel. 。. 8. 3 一学力アップのポイ ントを提 ス ライ ド作成(ジポイント グソ ー 学問 ) 案しよ うー. 4. 9. 5. 。. PowerPoinr. 。 。. Edmoro. 7. 10. 発表・交流. Evernore. 第3 iW!li'.i. 1 1 2ネットワークを 活用し て他者情報交換, 般JIJ!. 一. 1 2 3 と協働する 13 4. PowerPoinr. 議論を深める発言 Goo gl e Ducumenr. -特ダネを追え!・シャーロッ ク ・ ー ホ ム ズの. いる. lll : W--. 新聞作り. Google Documenr Word. の利m法. 14 5 15 6. 。. 作品交流. Edmodo. [図表4]授業の構成・各時閣の概要. ・ 教育r用語について,. 第I�題. 効5果的な文献・情報を幅広く発摘し, 具体的かっ適切にJill解している。また, 迎. 解したことを , 入手した文献・情報を適切に引用しながら, 自分のことばで説明している。また, 活動に おいて発見した知識・技能を状況に|刻わらせて具体的に説明できている。 ・ 複数のデータ・資料を関連,づけ,また自己の考えの根拠として適切に加工し,論思!的に構成してし喝。また,. 第2課題. 読み手に対してわかりやすく説得ノJのある スライド を楠成するとともに , 必要な(量ififrに適切に図表などを 本ljfllして効巣的な工夫をしている。 ・ 犯人, 犯行の経綿,動機など, ·Jlf'Iの : 詳細を 明 らかにしている。. 十分な級拠を示しながら倍縦性の高. い惟理をしており, 事笑と推理!とを1列依に区別して説明している。 事件の全貌がわかるように多角的に記. 第 3課題. 引を編集して, 紙面iを構成している。 • A.SNSでの議論の進め方,. グループでの議論の進め方,また その過程でのメディアの活用について, 気. づ� lたこと・与えたこと・試みたことを具体的に記録している。 活動で得た情報,. グループで、話し合った. 内容, 推論など, 的報の性質の).illいが明般に区別できるように記録している。. {図表5]各課題のルーブリツク(A水準のみ). 第 1 課題は, 「情報を活用 し て 考え を深め る 」 ことを 目棋に , 国語教育に 関す る 用 語事典(高木 まさき ほか編 『国語科重要用語事典』 明治図書) に 注釈をつ け る とい う 活動である 。 し たがって , 活 用 す る ! CT は主に ワープロ ・ ソフ ト (Microsoft W ord) と文献の検索デー タ ベー ス を 利用 す る た め の ブ ラウザ ・ ソフト を 想定 し た。 す で に 述べ た よ う に , この課題は情報 検索や引 用 の 方法 を [19].

(11) 理解 ・獲得する ことをねらいとしている。 これらを課題として選択したのは, アカデミック・スキ ルとしても 獲得させておきたい知識・技能だからである。 もっとも, 特定のテーマについて’情報を 集めるといった ことは学習消みである ことは事前 アンケートからも明らかである。 したがって こと では, たんにテーマに関連する情報を集めるのではなく, 疑問を明確にしてそれを解決できる情報 を探し出す ことを促そうとした課題である。 各課題とも,ルーブリックは学習者が目標を理解しやすいように 3 つの水準で記述している。 【図 表5】にはA水準のみ示したが, 第l課題のB・C 水準は以下のとおりとした。. B.教育用語について, 複数の文献・情報から, 適切に理解している。 また, 理解した ことを, 入 手した文献・情報を参考にしながら, 自分の ことばで説明している。 また, 活動において発見 した知識・技能を説明できているが. 一般的な把握にとどまっている。. C教育用語の説明はあるが, 文献・情報を阻咽した上での説明ではない。 手近な文献を見て, 文献の表現をそのまま使っている。 また, 活動において発見した知識・技能を説明していない か, ごく簡単な気づきにとどまっている。. およそAが「十分に理解・獲得できているJ, B が「おおむね理解・獲得できている」, C が「理解・ 獲得が不十分である」といったとらえ方に対応している。 また,各水準とも 2文で記述しているが, 第l文は制作物に対する評イ1Ui基準で、あり,第2文はE verno t eの学習記録に対する基準である。 なお, E vern o te の学習記録は 3 つの課題について継続的 に行わせるため. 各課題共通の基準であること. を伝えた。 第l 時では,まず事典の記述にどのような疑問をもてばよいのかといった ことについてミニ・レッ スンを行った。 その後グループ毎に割り当てた事典のページから解 決すべき疑問を出し, 文献調査 の手JI頃・分担を計画させた。 第2時は, 文献検索の方法や国語教育に関する基本文献を示すとと もに, 引用の意義とその仕}jに関するミニ ・ レッスンを行い, 文献の記録の仕方について注意を促 した。 授業は図書館内に設置されているラーニング・コモ ンズで行い, イ ンターネットだけでなく 紙の資料もその場で調査できるようにした。 第3時は, 制作物の レイ アウトとそれに必要なWo rd の機能を示した。 このH寺聞の活動は, グループの進度に応じて文献調査,11日l注の記述と内容・形式 の検討, レイ アウトの作業とを並行して行わせた。 事典のページは課外に完成させるようにし, J受 業者がPDFにして学内LANに保存しておいた。 第 4時にそれらを閲覧し, 気づきをEdrnodo に発 言させた。 また, その活動を踏まえて, この課題に対するまとめの振り返りを行った。 第2課題は,「情報を活用して考え方をまとめる」ことを目標に, 担任として保護者懇談会にお いて指導方針の説明と家庭への協力を仰ぐといった主旨の説明スライドを作成するという活動で、あ る。 第l謀題が情報の収集・整理に力点があるのに対して, 乙の課題では情報の分析・加工に力 点を置いている。 すなわち, 収集した情報を目的に沿って分析し, それを活用場面(懇談会 )にお いて効果的な表現で提示するという ことである。 乙の書�J起で活用するIC Tは, 説明時のプレゼ ン テーショ ン・ソフト(Micro so ft Po werPoint )の他, 全国学力学習状況調査のデータを表計算ソフ ト(Mic r o s o ft Excel) によって再集計したりグラフ化したりする ことを想定した。 【図表5】のルーブリ ックに示すとおり, この課題ではデータを根拠として説得力のある説明が 1201.

(12) できる こ とをねらいとしている。 スライドの説得力は, データを根拠とした論理性だけでなく, 聞 き手の立場を踏まえた訴求性についても考えさせる こ とをねらうため, 知識構成型ジグソー法の形 式( 東 京 大学 CoRE F(20I 7)) を用いて, 国語学力に対する多角 的なとらえ方から説明内容が梢 成されるようにした。 行H寺ll'iJの展開は, 第lII寺にエキスパート活動として観点目リのグループを編成した。 学 力 調査の 問題, 報告書, 学習状況調査の結果, 学習指導要領解 説 ・ 中 央教育審議会答 申 , 入試・学力に関す る報道やブロ グ、等の意見など, 各グループに異なる分析対象を指定して教師, 児童 ・生徒, 外部の 立場から国訴学力に関する見方と課題とを持たせようとした。 また活動にあたって, 第 1 訓!!越の 成果として共イ有された情報整理の方法や, データ分析のためのExcel の機能を想起させた。 エキス パート活動で、はExcel をすべてのグループ が活用 するわけではないが, ジグソー活動の段階でデー タの再検討の際に活用される こ とを期待した。 なお, 事前 アンケートではExcel の操作を苦手とす る学習者が若 干 多かったが, こ の課題では調査データの再集計やグラ フ 化などの初 歩的 なJ'司法を怨 I 定していたので,取り立てて操作法の説明はしなかった。 こ のグループでの活動は第2時も継続し, その結果を持ち寄って第3時で ジ、 グ、ソー活動としてグループを組み換えた。 第3・4時は, エキスパー ト活動の成果をもとに, 懇談会での話の内容を 話し合わせ, その結果をスライド資料に構成させた。 なお第 3 時の冒頭で, スライ ド の情報量や視 認性 への配屈, データの提示やスライドの構成に関 するミニ・レッスンを行っている。 第 5 時は, 作成したスライ ド、資料を使って実際に説明を行わせた。 ラーニング ・ コモンズには電子黒板が 3 基設置されているので, 2グループをペ ア にして交互に説 明 ・ 検討を行わせた。 なお制作したスライドは, こ とでの検討をもとに修正したものを提 出させて いる。 第 3 課題は, 「ネット ワ ークを活用して他者と協働する」乙とを 目 標に, ゲーム・ブック(ゲイリー・ グ レイデ ィ ほか( 198 6) 『 シ ャ ーロック ・ ホームズ 1 0の怪事件』 二見書房) を利用して, 事件の 犯人を推理させ, それを新聞にまとめるといった活動である。 第 l諜題は作業を分担するなどの 効率的な他者との協働, 第2課題は多様な考えを重ね合わせながら知識を構築する他者との協働 の力が育まれるととを期待して構想した。 それを踏まえて第3 課題は, 他者との協働をネット ワー クを介して行える能力の育成をねらいとしている。 ゲーム ・ブックは数十の聞き込み情報の断片か らなるものであり, それを学習者に l断片ずつ割り当てた。 個 々 の情報だけでは事件の真相はわ からない形になっており, グループごとに割り 当てられた断片をもとに推理し, 不足する情報の補 完や仮説として立てた推哩の妥 当 性を SNS を使って!確かめる こ とが求められている。 また, 安易 な情報交換を避けるために. 他グループよりも事件二の詳細や信頼性の高い記事の作成を活動のゴー. ルとし, 配布した断片情報を S NS に �1'. ! i り付ける こ とは禁止した。 この課題に取り組む過程で活用される こ とを想定した IC Tは, 情報交換を行うための S NS (E dmodo) と, 新聞作成のための ワ ープロ ・ ソ フ ト(Micro s o ftWord) である。 ただし, 新聞作 成の 下書き段階では, 共同執筆・惟敵を行いやすいように, オンラインの共同編集サー ビス(Goo g le Document) を使用した。 また, 情報整理や推理の過程では必ずしもIC Tの活用を条件とせず, ホ ワイト・ ボード上に可視化しながら議論したり, Evernote をメモとして活用するなど, グ、ループ ごとに活動が円滑 ・ 活発になる手段を工夫するように促した。 こ の課題のルーブリックは, 新聞紙面に対するものとE dmo do での議論の進め方に対するもの 12 1 ].

(13) とについて示している。 新聞制作については, E dmodo から入手した情報を手がかりにして論理的 に記事を作成すること, また, 事件の全貌に迫るよう, 多 角 的 に記事を作成して新聞の構成・ レ イ ア ウ トにまとめることを促した。 またこの課題では, E d modo での コ ミ ュニケー ショ ンの取り 方について発見的 ・構成的に理解を深めることをねらいとしているので, それについて言語化し, E vernot巴 に記録することを求めた。 第 l 時~第3時では, SN S での コ ミ ュニ ケー ショ ンを図りながら事件の推理を進めさせた。 こ の間は, 活動の振 り 返りによって, E dmodo で議論を進める方法や問題点を共有しながらそれを 次 時に生かすというように授業を展開した。 第 4時~第 5 時は, これまでに収集した情報と推理を も とに新聞の作成をするとと も に, その過程で、浮かび上がった補完すべき情報を SNS から入手す ることを並行して行わせた。 第4 時には, 新聞の紙面構成と Goo g leDoc ument の利用方法につい て ミ ニ ・ レッスン を行った。 なお, Goo gleDoc ument は レイ ア ウ ト機能に制約があるため, 第 5 時にそこで作成した 下 書きを Micro so ftWord で レイ ア ウ トし提出させた。 第6 時は各グループの 新聞記事を閲覧, 感想を E d modo で交流し, それを踏まえて活動全体の振り返りを行った。. 4 実践の成果. 4. 1 授業 に 対 す る 学 習 者 の評価. 本実践に対する学習者の評価として, 最終 回に実施したアンケートを【図表 6 】のとおり示したが, おおよそ肯定的な結果であったと言える。 問 9 に見るとおり. 本実践では具体的な活動 目 標にお. いて ICTの活用の仕方 を理解 ・ 獲得させることを意図していたが, それはおおむね実感できている ととがわかる。 本アンケートでは記述式回答で授業の感想 も 求めたが 「パソ コンのWord はこう いう使い方, これはこういう使い方っていう単純に説明してやらせる授業ではなく, 設定された課 題に取り組むことで, パソ コンを使う必要がでで きて, それに対応するために自ら使い方を知 ろ う とする授業でした。 」「情報をいかに取捨選択し, 活用するかと言うととが重要かというととを考え させられました。 」のように, 課題状況において自ら I C T の活用の仕方 を発見するという授業の意 図を的確に了解し, 活動に積極的に参加する中でその活用の仕方について理解を深めることの重要 性に気づいていることが伺える。 また, 「回 を重ねる ごとに情報の扱い方が複雑になっていくよう な進行の仕方で、あったので段階を経て課題に取り組むことができた」といった回答のように, 3 つ 題の順序についてもおおむね適切であったと思われる。 さらに, 本実践には今 日 の国語手|の授業において求められている学習のモデルを示すという意 図 も あったが, これについて も 問 1 0のように, おおむね了解されたと言える。 も っと も , 「パ ソ コンやス マホを活用して作業することがメイ ンの授業は, 初めて受けたので、新鮮 だ、った。 情報 機器を 国語教育に結びつけることについて少し興味を持ちました。 」といった回 答のように, こ の認識は本実践が国語科の授業として受け取られたというより, 本実践のような ICTの活用が国 語科の授業においてどのように表れるのかといった興味であ る ととらえる方が妥当であるか も し れない。 も ち ろん, 学習者にとっては本実践が「情報機器の操作」を学ぶ授業であるという 認識, また初年次であるため国語の授業に対する 認識が十分に形成されていないことから, 本実践の学 (22].

(14) 習構成の意味が伝わりに く い とは言 え る であろ う 。 し た がっ て , ここで経験 し た 学習の イ メ ー ジ が国語科の学習指導力 に ど う 結んでいく の かは, 乙 れからの学びの姿から検証 し て いく必要があ る。. 問 9 : こ の授業 を 通 じ て ,. コ ン ピ ュ ー タ やネ ッ ト ワ ー ク の. 活用 の 仕 方 に つ い て , .f!l\向車が深 ま り ま し た か。. liil 1 0 ・ こ の 授業 を 通 じ て , コ ン ピ ュ ー タ や ネ ッ ト ワ ー ク を 用 い た 授業 ・ 学習 の イ メ ー ジ が持 て ま し た か。 問 l l : こ の 授業 を 通 じ て ,. コ ン ピュー タやネ ッ ト ワー ク. の 操作 ス キ ル は 向 上 し ま し た か。 問 1 2 : こ の 綬業 を 通 じ て ,. コ ン ピ ュ ー タ やネ ッ ト ワ ー ク. を 活·m す る 自 信が持て ま し た か。. とても. まったく. 思う. 思わ な い. う. 19. 3. 2. 9. 17. 2. 。. 3. 17. 7. 2. 。. 2. 13. 12. フ. 。. 。. [図表6) 学習後のアンケー ト ー 学習者の評価 (回答数 29). 一方, ICT の操作 ス キ ル の指導に つ い て は不十分だと感 じ て い る 学習者が相対的 に 多く見られた。 ア ン ケート では ICT の操作ス キ ル の 向上を感 じ たか (問l1 ) とい う 聞 い方を し たが, 中間的また は否定的 な回答を し た 者が 9 名あった。 このことは 「パソコ ン の使 い 方もも う 少 し 教 え て ほ し かっ た です 。 」 「活用 の 仕方はた くさん教 え て もらえ た け ど , 基本的 な 操作方法の復習な ど も少 し あ る と 助かる なと思いま し た 。 」 といった記述田 谷; に も表れて い る 。 との結果は, 2.3 に お い て も述べた よ う に , 操作 ス キ ルの習得場面を意図的に 削 減 し て い る た め , ある 程度予想される ことではあった。 し か し ながら問 1 2 の よ う に , ICT の活用 に 自信が持 て た かといった知識 ・ 技能の定着とい う 点に つ い ても中間的または否定的 な回答が 4 割を 占め て い る 。 これが ICT 操作ス キル に対す る もの な のか, 多様な 状況での 活用 の仕方に対す る もの な のかは判然と し な いが, 少な くともこの よ う な 意 識が ICT に対す る 苦手意識 に つ ながる 可能性がある とすれば, けっ し て 無視す る ことはで き な い。 この点に つ い て は今後の課題とな る が, た と え ば課外に 問題演習を補充す る な ど し て 改善す る 必要 がある だろ う 。 これまで述べて き た よ う に , 学習者はおおむね 本実践から学びの手応え を得て い た と思われる が, そこで ど の よ う な 知識 ・ 技能の理 解 ・ 獲得が見られた のか。 以下, Evernote に 記録された 個人の 活動の振り返りから探ってみた い。. 4.2. 提示 さ れ た 知 識 ・ 技能 の 専有 ・ 変形. 本実践では, 各課題に取り組ませる に あたって活動の過程で工夫を促 し た い技能は ミ ニ ・ レ ッ ス ンや説明 に よって あらか じ め示 し て い る 。 た と え ば第l謀題では, 情報収集 ・ 蓄積 に 関わる 技能を 「活 動の ヒ ン ト J と し て 例 示 し た。 これらに つ い ては, 活動の 中で 「活動の ヒ ント 」 を ど の よ う に 使っ た かとい う 問いかけ で振り返らせて い る 。 また, そ こで発見 し た ことは Evernote に 改 め て 言語 化 す る よ う にさせて い る 。 【図表 7】 は 「活動の ヒ ント 」 に対応す る Ev巴mote の気づ き を 整理 し た も の であ る 。 [23].

(15) 「 前![VJの ヒ ン ト J. Evernote の記録. 1'i'i 報収集の 手町l ・ 慨 Jt 的 な 文 1lV\ ( ·H 典,. ( l ) わ か ら な い q1 訴 の なl沫 は ,�''fc lf だけでな く , そ の rjl. 諮に関す る 本 に チ を つ け る こ と で. 珂! 角11'.がi;ii ま る。 教 科 ,I f カ'j ) か ら 1、与 1"]:,_lf (2) イ ン タ ー ネ ッ ト の↑官報の , , , に は , I f絡 の 文 献 を 平lj } I J してさJかれて い る も の もあ り , そ の "' 。 ,Ifかれて い たJ;終から情報を 集める こ と もで き た. ・ 新 し い 文献 か ら 凸一 ぃ 文献 〆\。. (3) '1>; を探す と き に な る べ く : l :J;反 さ れ た ""が新 し いのを選ぶよ う に気 を つ けた。 ( 4 ) OPAC を 利 よn す る 際に 調 べ た い J 来のみをキ ー ワ ー ド と し て 入 力 す る ので、は な く , |見l. )1iする�:ll1 と 掛け 算 入 力 す る ’Hで, |’ | 分が探 し た い �If絡によ り 近づけ る こ と がで き た 。 ・ デ ー タベースは , キ ー ワ ー ( 5 ) かけt�検索’で ・ ?GでI I 、!?ての 本がよょっかるの は灘 し L >, ドで絞 り 込 む。 11�初 の (n/ (6) 折 、''! す る tj't 請 が 人 名 で‘あ っ たWd'I は , そ の 人 名 を その ま ま 探 すだけでは な く , そ の fl二かで済 ませ な い。. 人物に関係 の あ る ヰi ,-i{fを淵べ, 品1! り |、げて し ぺ Jj 法 も い い と 思 っ た 。 (7) 調 べ る H与 に は , キ ー ワ ー ドで検 ’糸’す る の も い い が, そ の キ ー ワ ー ドがどの 分町で使 われて い る 汚染かを よ く 与 えて 大 ま か な , i" *で、J),\Jべた/jが\, l い と !惑 じ た。. ・ 符!.titl こ Vi き換えて 検 索 す る こ と も 沢 民 : ex. 生 徒, (8) お お よ そ lnJ じ御j(こIi i/ ジ ャ ン ルの 文献がか た ま っている。. 学i1�' 1r.. fども. ・ 検点結果は, Excel でリ ス ト化. (9) Excel を使って 文献の;mt, と 関係のある訊が掲 載 さ れて いた ペ ー ジ数を ま と め た. 的械の 必f.l'f ・ すべての約慨は, ·m志的 械を お録す る。 ( 1 0) ま だ先 生 か ら 特 に 指 ぷ は さ れて い な いが, 今 日 の こ の 活動で与 え ら れ た i'j't ,ff.tの説 ・ パソ コ ンでの都政. !VJ を そ の ま ま 写す と い う 作 業が必 '.Jl_i に な る と 思 っ たので, word に そ の 文 取 を 全 て H ち 込んだ。. ・ ス キ ャ ナ, J>U 111 カ メ ラ を ( I I ) � I J IJ文献の表紙で、は な く 1"fぷ紙を ’ゲ !'£に と る こ とで, ラ ベ ル の 苦手 号がわか り やす く , 使って記録 : 必 作権に注. N皮|立I ,1F釘1の倒l か ら 取 り 1 1 ;す際に 凡つ けやす く な る , と し 寸 工 夫 がで き た 。 ( 1 2) 函 館{ に よ る 引 用 文面の↑1'l*JHj。. 、A,j·、 Word の ア ウ ト ラ イ ン 機. fiE, Evernote の ノ ー ト に i添 付 l フ ァ イ ル I ti'J * : 内 科 が わ か る フ ァ イ ル 名 で識. )Jlj ・ 1をJll!, Evernorc の / ー. ( 1 3) 班員が科|’l調べて き た こ と を LJ N E でJ \: 布 し た。. ト ブッ ク でrn1µ_. [図表7] 「活動の ヒ ン ト 」 と 活動の記録. 乙れを 見 る と, ま ず ( 3 )・(4 )・(9 )・( 1 2) の よ う に , どのよ う な 活動に お い て 「活動の ヒ ン ト」 の技能を使ったのかを記録 し て い る ことがわか る 。 これらの気づ き は, あらか じ め提示 し た 「活動 の ヒ ント 」 が活動の手がかりと し て 機能 し た ととを示 し て い る が, 活動に お い て 学習者が獲得 し た ものは,. これらの技能を実際の活動で使 用 し たとい う 経験であ ったり, (5) のよ う な , その経験. の独得に対す る 自己評価であ る とい う とらえ 方では十分ではな い。 た と え ば (! )・(6) では, 概 括的な 文献から専門書へといった情報収集 の基本的 な 手 続 き が, 辞書から関連書籍へといった具体 的 な 道筋と し て 理解されたり, キーワー ドの絞り込みが人物と関連語といった 関 係と し て とら え ら れて い る 。 これらは, 「活動の ヒ ント 」 に よって 示された一般的な知識と し て の 技能が, 学習者の 124 1.

(16) 活動文脈に沿って実践されているとともに, 彼ら自身の こ とばとして知識化されているととらえる 乙とができるだろう。 こ のように知識 ・ 技能の 獲得を, 許可動の状況と知識・ 技能とを結びつける こ とだとするならば, 新しく知 lったものと同等の知識 ・ 技能を活動において使える こ とだけが, それを理解 ・ 獲得したと いう こ とではない。 たとえば(2) では, 文献の性格の相違を踏まえで情報を収集するという技能が, インターネットと紙の書籍といったメディ アの相違を踏まえて収集する と とによって 獲得されてい る。 また(8) では, 文献検索における類語のまとまりが書架の分類のされ方から理解されている。 こ れらが意図的 に「活動の ヒント」を変形して活用した こ とによるかどうかは確かめる こ とはでき ないが, 少なくとも活動の状況に沿って実践される こ とが, 「前動の ヒント」を変形した新たな気 づきとして学習者に了 f!J(j�された こ とを示している。 こ うした変形は, 所与の知識 ・ 技能が活動文脈 において活用する上で、 適 切で、はないと気づく と と に よってもなされる。 たとえば. (7) は, 絞り込 み検索よりも 「大まかな言葉」で調べた方がいい こ とに気づいている。 こ の こ とは,「活動の ヒン ト」 に示された技能を否定的 にとらえたものだとも言えるが, 文献検索において ヒット率と精度と のト レード ・ オ フ を踏まえる こ とを可能にする, 技能に対する深い理解の表れた、と見る こ とも可能 であろう。 また情報収集の活動の前に,「活動の ヒント」とは別に国語教育の基本的な文献も示し ておいた。 いくつかの紙の文献とその検索データ ベ ースを例示し, インターネットの情報も許容す るが情報の信頼性は紙の文献の方カ\ 1\�:iいとされる こ とを説明した。 しかしながら, 【図表 7 】には 示していないが, ( 14)「書籍に こ だわってたがネットにも視野を広 げる こ とでやりやすくなった。 本が見つかったが明確な定義付けがされてなかったので, ネットの方が良かったという発見があっ た。 」という気づきを共有している グループがあった。 こ れもまた, 所与のま| | 識 ・ 技能がうまく倒j かないという場面に直面する こ とによって, インターネット情報の価値をとらえなおし, 情 報収集 の技能をより有効 に 働かせる こ とができたものだと解釈される。 また, ICT機器 ・ ソ フ トの活用 においても 「活用の ヒント」 の変形や学習者の既有の知 識 ・ 技 能から創発的 に活用の仕方を発見している こ とが伺える。 「活用の ヒント」では情報の蓄積にお いて, パソ コンにW ord の アウトライン機能や Ev ernote にテキストで記録する こ と, 携帯カメ ラなどで回像として記録する 乙とを例示しておいた。 しかしながら学 習 者 は こ れらの方法を単純 に選択する こ とによって情報の蓄積を行ってはいなし、。 もっとも, W ord の アウトライン機能や Evernote の利用についてはその溜熟度が低いため, 携帯やパソ コンのような手に馴染んだ ICT を自然に選択したとも考えられる。 しかしながら,( 1 0) ・( 1 1) のようにW ord や携帯カメラを 活用している場合であっても, 図占を引用したり再閲覧の必要性 ・ 可能性の上からそれらの ICT は選択されている。 特に( 1 1) は,「Exce l でリスト化する」といった技能をより簡便』こするた めに, 「携帯カメラで本文を記録する」という技能を変形させて活用していると 同 時に, 図 書館 に おける閲覧行動を最適化するように写真の視覚性を活用している こ とがわかる。 こ のように, 学 習者は既有の I CTを安 易に選択しているのではなく, その ICTが活動場面において有効に仰j き得るものであるという見なしのもとで選択 ・ 活用する こ とを通して, その!CTを活用できる 技能に対する理解を深めている。 と の こ とは( 13) にも当てはまる。 学習者が L I NE を選択する のは, たんにそれを 日 常 的に利 用 しているからではない。 むしろ, 収集した情報は相互に参照す る必要がある こ とが活動の中で発見され, それを解決する手段として L I NE は活用されている。 1 25].

(17) Evernote の記録にはその傍証として, ( 1 5)「4 人で分担して作業を進めたが, お 互 いの情報に 関連する部分があり, それらを結びつけながらまとめると効率的だったと思った。 」といった気 づきが見られる。 こ のグループが L I NE を使用したかどうかは定かではないが, 別の L I NE を利 用したグループの記録では, ( 1 6)「同じようなものでも 内容が少しずつ違っていたのでなるべ く数は見たほうがい いと思った。 」と いった気づきも見られる。 乙 のように, 収集した情報の関 連性は相互参照を必要とするものであり, 調査の分担において相互参照を可能』 こ する ツ ールとし て L I NE の利用が発想された こ とは容易に推察される。 実 際 , 第2課題のエキスパート活動では ほとんどのグループが L I NE を利用している。 この課題では, エキスパート活動で得られた事実 や考えはジグ ソー活動で説明する責任がある。 したがって, 第 l 諜題よりも情報を共有する必 然性は高く, そうした状況では多くのグループは L I NE の活用に思い至っているのである。 こ のような知識 ・ 技能の変形や発見はどのようにして起きているのだろうか。 Evernote の記録 から 2つの要因を指摘できる。 その第 l は他者との相互作用である。 本実践では, 各課題の制作 物について相互に読み合い, 感想 ・ 気づきを交疏させ, その成果を Ever note に記録させている。. ( 17) 他のグループの提出した課題から, 学ぶと こ ろがたくさんあった。 例えば, 強調させたい ととろは色変えたり, アンダーパーをヲ | いたりするととろ。 当たり前 の 乙 とでも, 形式にと らわれると見えなくなる こ とに気づいた。 (第l課題) ( 18) 人によって注釈が長くて分かりづらいと言う人と 見が分かれていた。 個人差な為. 詳しく書いてあっていいと言う人で意. どちらがい いとも言えないと感じた。 (第 1 諜題). ( 1 9) 本番はそれぞ、れの担当範囲の内容をきちんと把握していたため 良い発表ができたと思う。 しかし, 他班の発表や意見を聞 いて, 私たちの班は情報が多 す ぎるという こ とが分かった。(第 2課題) (20) グラ フ を用いす ぎてて見にくいとの指摘があった。 グラ フ を使えば見やすいのではないか と考えたが, 文字とグラフ の割合は適切にした方が良 い こ とを学んだ。 (第2課題) (21) 他の班の新聞を見て, とても凝ってるように思った。 中身が大体わかるような見出しゃ流 れのある文章構成などわかりやすかった。 情報をまとめて ワ ードで表すスキルが少し上がっ たように思う。 (第3謀題) (22) 全部の班の新聞を読んだ。 やはり見出しが大きかったり, 区切りの線が入ってると, 見や す い新 聞 だと感じた。 また. 新聞では長 々 と文を書くのではなく. 簡潔にまとめて書いた方. がい いと感じた。 (第3 諜題). こ うした活動後の相互評価は, ( 19) のように目標の達成度に対する他者からの評価情報が得ら れるとともに, ( 17)・(21) ・(22) のように他者の制作物から自己が効果的だと意義づけた技能 を学び取れる機会となる。 また他者の制作物に対する評価は, 自己の制作物を相対化する視点とな る。 たとえば、(20) では, グラ フ を用いるという工夫の価値が他者からの否定的な評価によって とらえなおされている。 また( 18) では, 注釈の書き方に対する異なる評価からその効果の有効 性を聞 いなおしている。 こ のように相互評価は制作において働いた技能のメタ 認知を促すと言えるが, (26]. こ の こ とは制作の.

(18) 過程に お い て も表れて い る 。. (23) 前回の 続 き で最初自分たちで調べ て から, 調べ方の工夫 し た ところを発表 し あ った。 みん な違った工夫 し て い て 私も活用 し よ う と思っ た 。 (第 3 回) (24) 一 つ の テ ー マに つ い て 2 冊の文献を使用 し て情 報 を 集 め て い た 人もいた。 情報の正確性を 上げる う え でとても重要な行為 だと思 う 。 (第4 回). これらの 気づ き に 見られる グ ループ内で、の 他者の技能との相対化, また, その振り返りを全体で 共有す る こと に よ る グ ループ外の他者の 技能との相対化を経ながら, 学習者はそれら多様な 技能の 価値 ・ 認識を深め て い る のであ る 。 こ う し た 活動一振り返り一 共有のプロセ ス で獲得された 知識 ・ 技能は, 慣習化に向け て 以後 の 活 動に 活用されて い る 。 こ う し た 試行錯誤の ループが知識 ・ 技能の変形 ・ 発見といった柔軟な学習の 様相を生み出す第 2 の要 因 であ る 。 た と え ば第 3 課題に お け る あ る 学習者の Evernote に は, 次の よ う な 記録が見られる 。. ( 2 5 ) もっと情報 を 共有す る た め に , まず自分たちの班から情報を提供す る ことが必要 だと思っ た。 ( 第 1 0 回) (26) 自分たちから積極的 に情報を提供す る ことは大事なことだが, 他の人が し た 質 問 に 反応す る ことで, より情報を引 き 出せる と思った。 ( 第 ll回) (27) 質 問の前に, 既 に わかって い る 情報をまとめ て , 質 問の意図をわかりやすくす る 質 問があっ た。 他 に も, 個人の名前を特定 し て 答 え を求め る 質 問があった。 特定された本人は解答 し や すくな る が, 他の 人はその質 問のやりとりに入って い け なくなり,. 話が広がりに くくな る と. 感 じ た。 ( 第 1 2 回). ( 2 5 ) でこの学習者は Edmodo でのコ ミ ュニケー シ ョ ン に お い て 情報 を 共有す る 手 だ て に つ い て 課題意識を抱い て い る 。 その課題意識は, ( 2 6 ) ・ (27) で有効な 質 問 の 仕 方と し て 深め られて い る 。 し か し , これらの 質 問の仕方はこの学習者の活動に 表れた ものではない。 第 l l 回の 気づ き に つ い て は, この学習者のグループの振り返りでは「質問の意図を 明 確 に で き な かった」 といった反省に とどまっており, 他グ、ループの 「ほかのグ、ループの人が言ったことに対 し て 質 問す る ことで, より 多くの情報 を得 る ことに 努 め た 」 といった 気づき を共有 し た の だと思われる 。 また第 1 2 固 に つ い て は, Edmodo 内の他者の 発言から 「自分の考え をまとめ た う え で質 問 し て い た ので, 意図がわか りやす いJ ことをグループの振り返りで見出すことから理 解された 技能であ る と推定される 。 ま た 乙 う し た 技能は, た ん に 振り返り ・ 共有によって知識と し て ’慣習化される だけではない。 た と え ば別の学習者の記録には, 以下の よ う な試行錯誤の過程が残されて い る 。. ( 2 8 ) 他者の質 問に対 し , 詳 し く内容を 聞 い て いくことで情報量を より多く取ろ う と し た。 (第 1l回) (29) 推理 を だ し なぜその情報が欲 し い のかを 明確にさせ, 回答をもらいやすく し た 。 (第 1 2 回) [271.

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