釧路湿原の高層湿原中およびその周辺域のハンノキ個体群
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(2) . 昭和5 7年9月 Sept 2 98 embe r ,1. 北海道教育大学紀要 (第2部B) 第3 3巻 第1号 lofHokka i i i Se i do Un i l t t t Journa IB)Vo ve r s on( c onl yofEduca .33 .I ,No. 釧 路湿原 の高層湿原中およ びその周辺域のハンノキ個 体 群. 神田房行・星. 英男. 北海道教育大学釧路分校生物学教室. AZ“〆s ノリo”Zm POPulat ion around andin Hi gh M oorsin Kushiro M oor Fusayuki KANDA and Hi deo HosHI Bi i ILaboratory i l ido Un l iver i i ty ofEducat ol og ca ro Co ege s on ,Kush ,Hokka Kush i ro085. Abstract. Kushi i iin eastern Hokka ido roD江oor chl esnorth ofKushi ro ‐ sh sthe most extensive ,Whi ,i. i i l tr buted wide moori n Japan れ硲 ためoれたαi sd s ch comprises yinthelow moorland whi , A/. about7 7% of Kushi ro Moor. Thisreport accounts forthe A/ “閑 血汐o“Z cα populationin and. igh moors ofthe 。nnenaidi i around theh tr s ctin Kushi ro ハ江oor,investigated from September to December 1 9 1 T h t i i ivi ded nto several groups in each belt-transect. e ree he ght Was d , 8, Thehe ightoftrees gradua l ly decreased towardtothe center ofthehigh moor. The growth l i of A痴 郎 煎りo”Zの was suppressed inthe high moorandthe population loca zedi n the high ‐ moor was one of ahnostshrub1ayer 1of ev e rowth curveofsteln diameter at ground1 . Theg thetreesin the high moor showsthatthes ia 16 tem diameter grew Constantly fortheini 8 t ‐ lowed down. on t t after thatthe g he other hand rowth rate s r years ,bu ,the growth rate of ion B Wa stat s very high and was not suppressedlatterly. Thi si s perhaps dueto the intense he road whi K h i h y change of waterlevelcaused byt c Crosses us ro loor. .. は. じ. め. に. 北海道には釧路湿原をはじめ, サロベツ湿原, 勇払湿原, 風蓮湿原など大規模な湿原が多く, 現 存する我国の湿原の面積の大部分を占めている. これらの湿原についてこれま で主に研究されてき たのは高層湿原であっ た 釧路湿原は我国で最大の湿原で, その77%が低層湿原である(岡崎, 197 7;田中, 1977). ハ ン ノ S キ (A幽閉 如た”たα (THUNB ) ) は主に低層湿原域にあって, 全体としては釧路湿原の周 . TEUD . 辺から内部へと, 湿原を取り囲むように分布している。 また, 詳しく観察すると, 高層湿原を取り ) 9 ( 1.
(3) . . 20. 神田房行・星. 英男. 囲むように分布 している所もあり, 主にキタョシや スゲで被われている地域から高層湿原への遷移 の 移 行 過 程 に 大 き く 関 わ っ て い る 可 能 性 が 大 き い (TANSELY,1939).. 釧路湿原のハンノキ林については舘脇・辻井 ( ) ) ) らによる研究は 19 1975 197 8 56 , 新庄 ( , 田中 (. あるが, いずれも群落学的な研究で, ハンノキ個体群の動態に関する研究は殆どなかった. ここで は釧路湿原の温根内地区にある高層湿原を取りまくハンノキ個体群について, その構造や動態を探 ろうとする目的で行なわれた調査結果について報告する.. 調査地概要と調査方法 調査は1981年9 月 11 日 ~12 月1 9日の間に, 釧路湿原の中央部から北西部に位置する温根内地 区の赤沼付近の4地区で行なった(図1, 2) . 釧路湿原内において, この地域は最も大きな高層湿 原域となっているが, 通称旧オンネナイ道路 (旧道) と呼ばれる道路によ って南北に分断さ れてい る. この旧道南側より調査区A, Bを設定し, 北側 で調査区C, Dを設定した (図2) . 調査区Aは面積約 7 ha の, ホ ロ ムイ ズ ゲー ツ ル コ ケモ モ 群 落 (田 中, 1975) の 発 達 した 高 層 湿 原. が中央にあり, それをハンノキが取り囲んでいる. 調査区Bは赤沼の南, 旧道の南のホロムイスゲ ーツルコケモモ群落の発達した高層湿原を取り囲むハンノキ林である. 調査区Cはホロムイツツジ. 山. 亭. ゴ. ; r. ご … ,. . ・ ・ ・: 響 きドも ※ ご . ≦ 一 . , ,. ≦ ・ ; ・ - : ′:. . ▼′ : . ,. ; , ・ さえ: . ・ ・・ ・ .. HOK総IDO. 崎. ; : : . う.. ネ さ 才 異 辱 事 ミズ き き対さ き 三 . .. . 参 、議謝1 美 嚢 ‐ 羽 綴 れ ‐ さ 褒 さ 美 融肋疏断 調査地 もだ 鳥 , ,. q3000′. I Po ific oceon 〒. \ :ぬ. Kushir。 ◎ 〆 図1. * .. 釧路湿原と調査地. ( ) 20. ,. 5 1. 10km 」.
(4) . . 釧路湿原のハンノキ個体群. . . . . 21. . 調査区D. . 0・5. 0 図2. ずん 一. . i 壱区 .. 1・ okm. fa. 釧路湿原の 温根内の調査地. ここにA~Dま での4調 査 区を設 定した. ・ 斜線はハンノキ個 体群.. ; 三 ノ 三 書 デ き き ー 誓 浅 書 せ 三 まき 終にき き ざ き き 三 き き 覇 さ .. 【. ; … …. 坪. . . . , . ・, 、 ,. ,. ・ ★ 1対 熟 考響きけさ. き きき;ぎざぎざ ,. 図3. 三 一 ゞ .‐ ,. ド マ ・ 嬰. ポリ 二 , .. 巻き. 榊 1 導き 藁. ・ . せ,も 、. . い : ノ , ,.. ・・・ ’‘ , !- ,,. 赤・. ジ ダキ i. き 、, . , ◆ 」 ご - ,‘ 二十 .‐ /- き 三 ; , ゞ: 一 ‐, 》 ‐ ′ も ( ー … \ ・ も t - ~ 召 き え i 三 . ぎり 義 , ., 、 ,. , 一F 1. 三′キー き き 嘉 ; さ 雪 濯 ぎ 静 繋 … 、 ぎ 聴 - 寂 ぞ - 。 1 ゞ 総裁 き 長講A を 蓮総評 蝿農 繁 蔓.. . ざ ゞゞ 、 ・ ;. . . ,、. 調査 区A~D とその周 辺のハンノ キ個 体群の分 布と帯状 区の 設 定場 所およ び年 輪測 定のためのサン プ ル採取地点 (A1 , 2~D) , Ab の2帯状 区, , A地区では Aa C b C地区では Ca の2帯状区 B D地区ではそれぞれ1本の帯状区を設定した , , , . 実線 で囲まれた黒点部はハンノキ個体群を示す.. の良く発達した高層湿原とそれを取りまくハンノキ林である. 調査区Dは赤沼南西のホロムイスゲ ーツルコケモモ群落内にあり, ブッ シュ状の低木のハンノキ林である. 調査方法は, コ ドラート法による植生調査, 帯状区法による樹間樟 静林層調査, 年輪測定などを行. な っ た(BRAUN‐BLANQUET, 1964 ). 帯 状 区は 図 3 に 示 した よ う に, 地 区 毎に 5 m ×50 m, 又 は 5. omのものを設定した. 帯状区内ではハンノキの位置, 枝の広がり, 樹高, 根元の直径などを m×lo 調べた.. 1 ) ( 2.
(5) . 22. 神田房行・星. 英男. 果. 結. ハンノキの樹高 階分布と密度 釧路湿原の調査域でハンノキの高さを調べて みると, 地区によっ て低木から高木まで一様に分布 するのではなく, 不連続に分布する傾向がみられた(図4 Aa~D). 図 4 Total に, 調 査 さ れ た 全て. のハンノキの樹高階分布を示した. 樹木の階層はいくつかに 分かれるが, ここでは通常用いられる 階層に分けた. 図4をもとにして樹高8m以 上を高木層, 4m~8mまでを亜高木層,2 .5m~4m を低木層 S1 , 0.5m~2.5mを低木層 S2とした. 図 4 Aa~D に各調査帯状区毎に測定した樹高階分布を示した. D 地区(図4D) では2 m付近に. ピークをもち, 低木層 S2のみからなっていた. これに対して, C地区の帯状区 Cb では高木層があ り, 亜高木層が優勢で, 大部分のハンノキがこれに属 しており, 低木層はわずかであった. A地区 の帯状区 Aa では低木層 S1とS2にそれぞれピークをもち, 2つの層からなっ ていた. A地区, B. 0. Ab. 1. 1. 2. 2. 3. 3. 樹. 4. 4. 高 (m). 6. 7. 8. 9. lo. l I. 5. 6 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 5. 6. 7 0. 1. 2. 3. ム. 5. 5. 樹. 1. 2. 7. 8 o. 6. 7. 高 (m). 図4 各帯状区でのハンノキの樹高階別本数. ) ( 2 2. 3. 4. 1. 8. 5. 2. 9. 3. l o. l l.
(6) . 釧路湿原のハンノキ個体群. 23. 地区, C地区の帯状 区 Ab ,B , Ca ではそれぞれ3階層からなり, ピークとして3つ ず つ存在した。 ただ, Ab では低木層 SI が低い方ずれ, B では高い方にずれている 。 高木林ではハンノキの密度は低く, 亜高木林の中にモザイク状に数本ずつ見られた 4調査区内 . ではB地区とC地区 でのみ認められ, ハンノキ林の中ではあまり多くない これらの地区での密度 。 はおよそ0. 09本/m2であった。 樹間は疎であり, 林内にハンノキの低木 亜高木は殆どみられず , , 同じ株内で数 本の萌芽が見られるに過 ぎなかった 。 亜高木林は高層湿原を取りまくハンノキ林で 最も多いもの である ハンノキ個体群としては2 , . つのタイ プが認められ, 一つはB地区にみられるように, 樹高5m~7mのハンノキが高密度 で存 在する場合 であり, 他はそれ程密度が高くない場合 である 前者はいくつかの地区でみられ 例え 。 , ば, B 地 区 での 密 度 は 平 均 で0.22 本/m2で あ る が 高 い 所 では 0 38 本/m2に も な っ た こ こ ではノ・ , . 。. ンノキが一斉に成長しているらしく, 低木は殆どみられなかった 特に高密度の所では 他の場所 。 , と違って萌芽がみられなかった. A地区でも0.28本/m2とい っ た 値を示す所があり C地 区 でも ,. 0.31本/m2に な る 地 区 が あ る こ の 地 区 の 中 で の50m2当りの 密 度 で は0 5本/m2に なる 所 も あ る こ 。 . 。. れらの所 でも低木は殆どみられず, 萌芽もあまり みられない 密度の低い所と しては 高木林に隣 . , 接したC地区で0.14本/m2と低く, 高木林に近い値を示した ここでは低木も見られ萌芽再生も盛 。 ん であ っ た。. 低木林の多くは高層湿原に接する地域にみられ 低木層S2からなる低木林は ブッ シュ状をして , , 高層湿原の中にも入り込ん でいた. 低木林は 萌芽再生も盛ん である このため個体の識別 が困難で 。 あるが, 高木や亜高木林の場合と比較するため 株状になっている場合を1本として考 えると A , ,. 地 区 では 0.13 本/m2と なり, B 地 区 では 0 10 本/m2 C 地 区 では 0 30 本/m2であ っ た 低 木 層 C2 . , . . か ら の み な‘る 所 では, A 地 区 で0.053 本/m2 D 地 区 で0 34 本/m2であ っ た , . .. 調査地区の植生 調査区A でのハンノキ林の林床はイワノガリヤス キタョシが優占しており 中央の高層湿原に , , 向うにつれてムジナスゲが多く出現する キタョシ イワノガリヤスの密生している地域 では草丈 , 。 も高く, キタョシが2m近くになっており, 他の草本は殆ど入っていない 逆に 外周の林床 では , . こ れら 3種以外に, ミズドクサ, ドクゼリが亜優占種として出現する地点や ヒメカイウ ミツガ , , シワ, タヌキモのような沼 沢地性の種が出現する地域がある これらの地域は停滞水による冠水の 。 影響があるものと考え′ られる。 これらの地域ではハンノキとそれを取り 囲んだ部分が水面より上に \根あがり″ 状態 (橘 1981 大きく盛り上り, 株状となっていわゆる \ ) になっている。 外周の南東 , 部 は, や や 乾 燥 し た 立 地 の 所 が あ り, ク ロ ミ ノ ウ グイ ス カ グラ ホ ザ キ シ モ ツ ケ ヒ メ シ ダが 多く , , 出 現 し て いた。 高 層 湿 原側 の 低 木 林 では ム ジ ナ ス ゲ ヤ チ ヤ ナ ギ ワ タ ス ゲ ホロ ム イ ツ ツ ジ ミ , , , , ズ ゴ ケ, イ ン ツ ツ ジ, コ ツ マ トリ ソ ウ な どが み ら れた が 東 部 ではイ ン ツ ツ ジ が み ら れ な か た っ 。 ,. ハンノキ林は外周に高さ 4 m ~ 7mのものが多く, 南西部の一部に老齢木や立ち枯れのハ ンノキ の多い部分があったが, 枯死木の周囲からの萌芽再生はみられなかった ブッシュ 状の低木林では . , 密度は低いが, 中心へ向かって広く分布しており, 東部では一本立ちの木が多く ノリウツギやシ , ラカ ン バ が 入 り 込 ん でい る の が み ら れた .. 調査区Bではイワノガリヤスが優占しているが ハンノキ林内は何層 かに分かれており 出現種 , ,. も 変 化 に 富 ん でい た. 全 体 に 乾 燥 化 し て お り ヒ メ シ ダ ヤ マ ドリ ゼ ン マイ コ ウヤ ワ ラ ビ カ ブ , , , , ス ゲ, ア キ ノ キ リ ン ソ ウ, ハ ン ゴ ン ソ ウ, ミ ゾ ソ バ ア キ ノ ウ ナ ギ ツ カ ミ と い っ た 種 が 多く 他 の , ,. 地域と違って, キタョシの植被率が低かった この地区のハンノキ 林中では4 0m2程, 全くハンノキ 。 23 ) (.
(7) . 24. 神田房行 田房ィ 丁・星. 英男 央男. が見られず, キタョシのみが密生した部分があっ たり, 密度の低い高木林の部分や, 高密度の亜高 木林の部分があるなど, 全体にモザイ ク状になっていた. それらの小地域でのハンノキの樹高, 根 元の直径が同じよう であることから, ほぼ同世代のものと思われる. 樹高約1omの高木林ではハン ノキの密度も低く, 林床はイワノガリヤス, キタョシが多い. 樹高約7mの亜高木林では密度が高 く, 林 床 は カ ブ ス ゲ, イ ワ ノ ガリ ヤ ス が 優 占 し て い た.. 調査区Cの東音Bのハンノキ林は, 高木林, 亜高木林, 低木林が帯状に連なり, それらの各地点か ら高層湿原の中央部に向ってハンノキの樹高がだんだん低くなっている. 西部では単独に生えてい. る ハ ン ノ キ が 多く, 屈 曲 し た も の が 多い. こ こ では ま た, 高 さ lm程のヤチヤナギが点在していた. 林 床 ではイ ワ ノ ガリ ヤ ス, キ タ ョ シ が 優 占 し て い た が, 東 部 の 一 部 で は キ タ ョ シ が み ら れず, ク ロ. ミ ノ ウ グイ ス カ グラ, ホ ザ キ シ モ ツ ケ, カ ブ ス ゲ, エ ビ ガライ チ ゴ な ど が 多く み ら れた. こ の 地 区. の中央部の高層湿原のミ ズゴケ ブルトでは, 他の地区と大きく異なって, ホロムイツツジが優占し て い た. ま た, A 地 区と 同 様 に シラ カ ン バ の 侵 入 も 見 ら れ た.. 調査区Dは発達した高層湿原内の, ほぼ円形のハンノキ林であり, 林床にはムジナスゲ, ミ ズゴ. ケ 類, ヤ チ ヤ ナ ギ, ホ ロ ムイ ツ ツ ジ な ど が優 占 し, ミ ズ ゴ ケ ブ ル ト の 状 態 に よ り 変 化 す る が, ツ ル. コ ケ モ モ, イ ンツ ツ ジ な ど も 多か っ た. さ ら に ドク ゼ リ, エ ゾ ノ コ リ ン ゴ, ミ ツ ガシワ, ヤ マ ドリ. ゼンマイ,ノハナショ ウブなどの種もみられた.この地区のハンノキの根 元の直径は7cm 位ま でし かないが, 直径1ocm のハンノキの枯木や, 高木や亜高木林の林床でみられるような大きなヤマ ド リゼンマイの枯株があっ た. ハ ンノ キ の 成 長 パ タ ー ン. ハンノキの成長を調 べるために,各地区で採取されたハンノキの根元の年輪を調べた.図5に示し たように,調 査 区によ っ て成長の し方がかなり 異なる。A地区では図4Aa , Ab に示した異なる高 さ の ハ ン ノ キ 林 か ら 7サン プ ルを採取した. A1 ,A2は高層湿原よりの低木林からとっ た樹高0.8m. omm/年, ) は AIが0.67mm/年, A2 が0 のものである. 木の根元の半径の平均の成長率 (R′ .9 ) は AI で8cm/年, A2 で1 ocm/年と, 非常に悪い. 成長率は, 樹齢6 高さの平均の成長率 (H′ 年位まで AI で0,9mm/年, A2 で1.2mm/年の割合で進むが, それ以後はだんだん鈍くなり, 低く. なってくる. この付近の他のハンノキはいずれも同様の樹高しかなく, 木の径と同じく樹高もこれ 以上はあまり成長しないものと 思 わ れ る. A3 , A4 は 亜 高 木 林 か らの も の で, R は A3 が1.lmm/ 年, A4 が 1.o mm/年, H′は A3 が 26.ocm/年,A4 が21.7cm/年 で あ っ た.成 長 の し方 は 最 初 の 数. 年は悪いが, 次いで非常に成長の良い時期(A3 でR′=2 .8mm/年にもなる)があり, その後次第に 悪くなるというパターンであった. 周囲のハンノキもこれ以上高木のものがなく, 年輪の中心部も 3m 朽ち始めていることから, これ以上あまり成長しないものと思われる.A5 , A6は樹高3mと2.. の低木林からのサン プ ルである が,A6は高層湿原に近い所のもの であるためか成長は遅く,裂= 0.85mm/年と,A1や A2 の場合とよく似ていた.A5は高層湿原から離れたハンノキ林中のもの で, A3や A4と似た成長 パ ターンを示していた. 樹齢8年位までは2 mm/年で, 急激に成長している が,それ以後は頭打ちになってきている.排水溝の付近から採取した A7は成長率はそれほど良くは ないが, 成長率は落ちておらず, これからも成長し続けるものと思われる. B地区からのサン プ ルはいずれも亜高木林からのもの であるが, 非常に成長 が良かっ た. R′=. 2.2~3.lmm/年 で, A 地 区 で の 亜 高 木 林 の 倍 以 上 で あ る.H′も31.8~64.4cm/年 と, 非 常 に 高 い.. さらに成長パ ターンは, これからも同様な成長率で成長することを示しており, この地区でのハン ノキが現在活発に成長を続け, 高木林へと移行しつつあることを示している. ( 2 4 ).
(8) . 半 径 同. 釧路湿原のハンノキ個体群. . . . . 半 径 回. A3. 0. 1. A4. L. 1 0. 20. 0. H = 6 5 . Y = 3 1 7 0 I H ; 2 1 7 , . R = 1 0 O姫 . . R L = 1 0 5 鱒 , I R S = 0 9 5 . 3 0 20 30 0. . 10. . 輩 1O. ′ ず嫌 L. H = 3 Y = 2 0 I H = 1 5 I R = 1 0 0 . . R L = 1 5 0 , . S R = 0 9 5 .. S. . H = 7 Y = 2 2 . H = 3 1 8 . I = R 2 1 9 , . R L = 2 5 5 , . S R = 1 8 2 ,. . 1 0. 2 0. H = 7 Y = 1 6 β I H = 4 3 8 2 9 , I R = 2 2 9鰯 崩 . I L R = 2 5 5 , 0. 10. H = 4 Y = 9 I 4 H = 4 4 . . 2 R = 3 1 , - L = 3 R . . 0. L. C2. 1 1 7 4 = 1 4 9 . = 1 0 5 . I L ; 1 0 8 . . S ; 1 0 0 ,. 半. 径 } ( c m. Y = 2 9 I H = 2 0 7 . . R = 1 0 6 , I R L = 1 2 3 . . S R = 0 8 8 .. 〔 〕 D 棒2 H ; 3 2 た 0 , Y = 2 0 枠 弾 1 6 I H = 1 6 Q . R = 0 7 1 R F R .. o. 10. 20. 30. q0. 5 0. 60. 樹齢(年) 図5. 10. 2 0. L. C3. 0 0. H = 3 Y ; 1 7 I H = 1 7 6 . I 1 1 5 R = . I L = 1 2 8 R , ・ R S 1 0 2 = ,. . A7. . A5. き. H ; 6 5 , Y ; 2 5 . H ; 2 6 . R = 1 1 2 . I R L = 1 2 2 . ・ R S = 1 0 1 .. 0. 25. H = 5 Y = 2 0 ・ H = 2 5 O . . R ; 1 5 8 , I L = 1 R 7 4 . I S R 1 1 = 4 ,. 20 7 0. 0. 10. 20. 調査 区で採取した AI~Dの各ハンノキの半径の成長曲線. 各ハンノキの採取 地 点は図3に示した. 図中の記号は以下の通り. L:半径の最大の所の成長曲線. S: 半径の最小の 所の成長曲線. H:樹高. Y: 樹齢, H′:樹高の年平均増加 量. R′: ′ ′ 平均年輪厚((R′L+ R′S)/2) , R L:最 大半径から算出した平均年 輪厚. R S: 最小半径から算出した平均年輪厚. ( 2 ) 5.
(9) . 26. 神田房行・星 英男. CIは C 地 区の 高 木林 中か ら得 ら れた 樹 齢74 年のサン プル であるが, 樹齢25年位ま では R′=. 1.3~2.2 mm/年 と, か な り 良 い 成 長 を し, そ の. 後,0.6mm/年と落ちるが,そのまま現在ま で続い ている. C2 , C3も比較的成長が良く, C1と同様. 樹高 の 年平均. な成長パターンになるものと考えられる.D地区か らのサン プルは高層湿原中にあるためか成長が遅. 増 加 量 (. く, 同様な立 地にある A1 や A2 と 似 た バ タ ー ン. H ). と な っ て い る. た だ そ れ ら と 異 っ て H は や や 良. い. パ ターンか らみて成長は ほと ん ど頭 打 ちに なっており, 中心部も朽ち始めていることから, これ以上はあまり成長しないものと思われる.. 図 6に, 以 上 の 結 果 を ま と め て, 平 均 の H′と R′. について プロ ッ トしてみた. 全体の傾向としては. A蕃 c3 Aも 。C2. ◎. . ◎A5. (Cm). H′と R に 正 の 相 関 が み ら れ る. さ ら に, 図 を 見て. もわかるよう に B 地 区 でのサン プ ル BI~B3 が 異常に高い成長率を示している. これに対して高 層湿原に近い部分や, D のように高層湿原内にあ. I. る低木林か らのサン プル A1 , A2 , A6 では成長が H′で も R′でも、 低 い こ と が わ か る. 地 区別 に は,. B地区, C地区, A 地区, D地区の順に成長が悪. く な っ て い る.. 平均年輪厚 (R) (mm) 図6. ハンノ キ の 樹高 の 年平 均 増 加 量 と 平 均 年輪厚の関係.. 帯状区での樹高と直径との 関係 各調査区で高層湿原に 向かうに従ってハンノキ個体群がどのように変化するかを調べるために,. 図 3に 示 した 地 点 で 5m ×50m と 5m ×loom の 帯 状 区 を と り, そ の 中 での ハ ン ノ キ の 樹 間 投 影 図 を. 作成した. それらの結果を図7に示した. これらの中で高層 湿原へ向って取った帯状区ではいずれ も樹高が段階的に 低くなっていくのがわかる. 特に成長の良いB地区の帯状区B では, 亜高木林で 密度が高いが, 個々の木の枝張りは狭いのが特徴である. 逆にC地区の Cb では密度は低いが横へ の拡がりが大きい. 図8にそれぞれの帯状区毎に樹高と根元の直径との関係を示 した.帯状区 Cb とDを除いて,ハン ノキ林から高層湿原の内部に 向かっ て帯状区を設定しているが, 帯状区 Ab での結果のように高層 湿原の中心部に近ずくにつれて樹高よりも 直径の方が太く なる傾向がみられた. 成長率も考慮する と高層湿原の中央部に 向うにつれて, 同じ高さの木でも, より太く, 樹齢が高いことに なる. 帯状. 区Dでは高層湿原内に取っているため,帯状区 Cb では高層 湿原の接線方向に取っているため,その ような傾向はみられなかっ た. また, 帯状区 CbとDを除いて距離によっ て, 構成するハンノキの樹 高がほぼ一定の所に集団を作る. このことは図8に 表わした様に, 帯状区内に1om ないし 20m 毎. に連続してコ ドラートを設定すると, 各コ ドラート毎に 樹高階分布が不 連続になっていることでわ かる. 特に高木林と 亜高木林でその傾向が著しい. 樹高と根元の直径の関係を成長との関わりで検討 してみると, B地区とA地区のハンノキが高さ. びない. 方向の成長がよい (図9) . しかし高木になるに従って直径のみが成長して樹高はあまり伸 ) ( 2 6.
(10) . E o ー o. o ÷. o m. - N. Q ェ. . 釧路湿原のハンノキ個体群. . .. : f ヤ ミ. ≦ * ・ ● ー 一 郎 \. . 峨 ・ ● , ●. . ① 〆 ⑦ ① も. 27. 縄 馨. 、 部 ① 拠. 宅. ぎ の 斧違. 鞠 r h 聡 - に ,. . . . . . . 随一 ー 圏 ー 慰ず 謝 L 『. ①. . ョ 十 州回 議熱刺 繍蝿. ( 27 ).
(11) . 器 Ca 」 ,鷹 ,. .ずI 幻影 ′′ \ ” 鞘 . すけ ” ′ - 鰯、◆. .. . , ., ,. ,., M. ,. ,. 、. .. 春 田湖. 罫が・. ( 邑. 淋細. D .. ▲ ‘. 図7. ・. ′. 各帯状 区での林 木配置と樹冠投影図. Hp は ノリウツギ, Bp はシラカン バ, 他は 全てハンノキ.. 卿.
(12) . . 釧路湿原のハンノキ個体群. 29. 8 O00O O ◎ ◎◎◎. . Ca. 5. 0 ◎ 0 0 の 0 0 0 ooo ③ 0 O O 000 o o △ 00oo ◎ ◎0◎. 10. 0. A X. A. 図8. 5 X. 10. A. O. ◎. . ◎. . . 0. 0 0. . 直径( C m). 10. ◎. △ ◎. …禦ぎ迭 . 5. . . ◎ 。 ◎ 0 の ① △ △ 鴎 ◎ ◎ ◎ △ ぬ 。 。 O. △金. 00 〇. ね ▲ .豊 A. Cb. O o 雷 △ O. 809 o o。 o. . 0. 000. O. . 5. 。 ず. 1 5. 20. 0. 0◎◎O. . 直径( C m). 5. 各帯状区で測定 したハ ンノキの樹高と直径との関係, 図3に 示した距離に応じて 5段階に 分け て示した. Aa , B, Ca , Cbについては, 0, 0 ~20.om ; ◎, 20,1~40.o m ; △, 40.1~60,om ; △, 60,1~80.om ; ×, 80.1~100.om の 範 囲 内 の ハ ン ノ キの測定値. Ab , Dについては, 0, 0 ~10.om ; ◎, 10.1~20.om ; △, 20.1.~30.o. m;金, 30.1~40.om;×, 40.1~50.om の範囲内のハンノキの測定値.. 帯状区Cb では高木林を含んでいるが, 直径との関係でみると, 樹高が8 m 位ま では直径と直線的 な関係にあるが, それを越えると直径は増加するが, 樹高は1 lm までしか伸 びていない. 従って樹 齢に伴っ て直径は増加するものの樹高は増加 しないものと思われる. 同様のことはD地区について も 言 え, こ こ では 3 m 位ま でしか樹高は増加しない .. 考. 察. 我国におけるハンノキ林の研究はこれまで山岳部を対象にしたものが 多く, 海洋性気候下の湿原 でのハンノキ林の研究はあまり行なわれていない. 今回の釧路湿原の高層湿原を取り囲む地域での. 調査の結果で特記すべきことは, 高層湿原の内部に向かうに従って, 相観的には低木化していくこ ) ( 2 9.
(13) . 神田房行・星. 30. 英男. ◎▲ 心◎ △ △△ △ ◎◎ ◎ 眺 ◎ ◎ 億△◎ △ . 蝿 Q▲◎△△ 0 . 0 0. .. o 〆 耕o 5. 10. 1 5. 20. 直 径 ( c m) 図9. ハンノキの樹高と直径との関係. A~Dの各調査区で任意に測 定した. 畠, A地区;◎, B地区;△, C地区;○, D地区.. と, そしてこれらの個体群では樹齢も低く, 成長率も低いこと である. またD地区のように, 高層 湿原の中に成立しているハンノキ個体群 でも同様の傾向がみられ, 高層湿原ではハンノキの生育が 非常に制 限されていることを示している.. ハンノキ林の成立要件としては季節的な水位変動や, 増水時の沈泥作用があげられているが(橘・ ) 伊藤,1 981 , 高層湿原では低層湿原に比べて水位変動が激しくないために, 成長がおさえられるの. であろう. しかしB地区では異常に成長が良くなっている. これはいかなる原因によるのであろう か. 辻井ら ( ) は赤沼南の旧道の南北に隔てられたB地区とD地区の付 丘の水位変動を調べ, 19 75. 旧道の南側 での水位変動が北側に比べて激しいことを示した. また植生も, ヨシ群落が発達してき ており, 低層湿原化しつつあることを報告している. このようにB地区でのハンノキの異常成長も, この地域での道路の影響による水位変動中の増大によるもの であると思われる. 福島県裏磐梯高原の例 ではハンノキ個体群は自然萌芽によっ て地上個体を増やすことが報告され ているが(橘, 1 ) 981 , 釧路湿原の場合には調査区により増え方が異なる様に思われる. 結果では述. べ な か つ た が, 帯 状 区 Aa , Ab , B, Cb , D に つ い て は, ハ ン ノ キ が 1 ヶ 所に 株 状 に 集 中 し て お り,. 自然萌芽由来の個体とみなすことができた. しかし帯状区Ca では, ここ で記録さ れた樹高0.7m ~6.5m ま での全てのハンノキ個 体のうち萌芽を伴なわない1本立ちのものが09m~ 6 m の も . のま で全階層にわたって存在し, 低木層 S2 で約50%の株が1本立ち であった他は低木層 S1と亜. 高木層 では萌芽がみられたのはそれぞれ2 3.5%と17.2%に過 ぎなかった. 同様のことはA地区の 東部でもみられ, これらの地区では実生により個体数を増や しているのではないかと 思われる . 釧路湿原の調査域 でのハンノキ個体群の分布のし方を見て気が付くことは’ 亜高木林や高木林の 中に全くハンノキが見られない部分があったり, 高密度の亜高木林や低密度の高木林 があるなど,. モザイク状にハンノキが分布していることである. それらの小面積内のハンノキは樹高, 根元の直 径が似ているため, これらの小地域のハンノキはほぼ同世代のものと思わ れる. このことからハン. ノキ個体群の成長のし方としては, ある小面積内でほぼ一斉に同 じようにハンノキが成長, 衰退を 繰 り 返 し て い る の では な い か と 思 わ れる.. ハンノキ林の遷移について橘・伊藤( 19 ) は釧路湿原と同じ, 北海道海岸低地湿原 である勇払湿 81 原のハンノキ林についての報告の中で, 湿原の中心部では侵入したハ ンノキは次第に消滅し, ミズ ゴケ堆は高層湿原化していく可能性を示唆 している 一方新庄 ( 197 ) は釧路湿原についてキタョ 8 . ) ( 3 0.
(14) . 釧路湿原のハンノキ個体群. 31. シあ る い は ス ゲ類 か らハ ン ノ キ 林 へ, さ ら に 再 び キ タ ョ シ あ る い は ス ゲ類 へ の サイ ク リ ッ ク な 繰 り. 返しとハンノキ林からハルニレ‐ヤチダモ林への遷移を報告している. 釧路湿原の場合, 湿原の丘 陵地の沢などに発達したハンノキ林の場合には高山や大陸性気候下の湿原にみられるように他の樹 木 が侵 入 して き て 森 林 化す る 可 能 性 は あ る が(GATES ), 湿 , 1942; 吉 岡, 1954;YOSHのKA , 1961. 原の内部に入り込んでいるハンノキ林については, 今回の我々の調査では高層湿原でハンノキの成 長が制限されており, 橘の報告のように, 釧路湿原でも次第に高層湿原化し, ハンノキ林は後退す ることを予想させる。 しかし, 高層湿原化した所でも, B地区のように道路等の影響で水位変動中 が大きくなるようになれば, 再びハンノキが侵入し, 低層湿原化するものと思わ れる. このことを 示唆する他の事実として, 旧道沿いに掘られた排水溝の周囲 では, それ以前に高層湿原であっ たと. 思われる所にハンノキが入り込んでいることがあげられる. これらのことは道路や排水溝によっ て 湿原植生の退行的遷移がおこることを示している。. 引用文献 BRAUN lanzensoz io l i l i lag ‐BLANQUET og e nge r ‐Ve r en . 3 Auf , Spr . ,J , 1964. Pf , Wi GATEs i igan thernlowe )”ヱ r ~1 ch oれog賃,40′235一261 .C. 1942 , Bogsofnor ,F . 五 . Ad .. 岡崎由夫, 19 7 7 5一4 5 . 釧路湿原の変容. 「釧路湿原」 ◎=路湿原総合調査団編) ,2 . 釧路市, 釧路. 新庄久志. 1 97 8 . 釧路湿原におけるヤチハンノキ林1. 釧路市郷土博物館紀要, (5):31一44 , 橘 ヒサ子, 1 1 9 8 IB) 2:3 3一4 8 . 福島県裏磐梯高原の湿原植生, 北海道教育大学紀要 (1 ,3 . --一・伊藤浩司. 1 98 1 3一79 . 勇払湿原の植物生態学的研究. 環境科学 (北海道大学) , 4:1 . 「 田中瑞穂. 1 釧路湿原の植生 釧路湿原総合調査報告書 9 75 一 」1 0 7 1 6 0 釧路市立郷土博物館 , . , 釧路. . 一--. 1 97 1路湿原総合調査団編) 7 7一2 0 8 , 14 . 湿原の植物. 「釧路湿原」 傷1 . 釧路市, 釧路. landandthe i i i i TANSELY t tat b i shl s rvege on ー v S . The Br . 930pp . Cam ・ Un ・ Pre鰍 ,A.G. 1939 .. 舘脇 操・辻井達一. 1 9 56 0 5pp . 北海道牧野の植物学的研究. 1 . 北海道開発局, 札幌, 辻井達-・梅田安治・桜田純司・清水雅男. 197 釧路湿原自然生態基礎調査. 81pp 5 泥炭地の植生と地下水位 . . 北 海道. 吉岡邦三,1 4 95 4 . 尾瀬ヶ原湿原植物群落の構造と発達.「尾瀬ヶ原」(尾瀬ケ原総合学術調査団編) ,170一20 . 日本 学術振興会, 東京,. YOSH io l i ls ionofthe Aka i Rf tudyintheVege tat 彩 I OKA og ca り ひ 2 三163 - yachi moor .Phytosoc , βのZ .五 . , K.1961 , 15′ 175 .. 1 ( 3 ).
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