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大学生の進路選択に対する自己効力感がストレス過程に及ぼす影響についての中日比較研究

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Academic year: 2021

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(1)大学生の進路選択に対する自己効力感がストレス過程に及ぼす影響           についての中目比較研究                                人間発達教育専攻                           学校心理・健康発達教育コース                                学籍番号:M11033D                                  氏名:鄭丹丹         【問題と目的】. 「大学生用ストレス自己評価度一ストレス反.  経済の発展・停滞に伴う,雇用形態などの変. 応尺度」(尾関・原口・津田,1994). 化により,中国も日本も大学生の就職に関する. 手続き:中国の調査では,集団場面で質問紙を. ストレスが増大している。このような進路に関. 配布し,質問紙に対して回答するように求めた。. するストレスの一つとして,進路不決断という. 日本の調査では,授業時間を利用して一斉に実. 概念がある。本研究では,進路不決断を大学生の. 施した。. ストレッサーとしてとらえる二ととする。. 調査時期:中国では2011年9月に実施した。日.  嶋田(1996)はストレスと密接に関連している. 本では2011年11,12月に実施した。. ものとして,自己効力感を取り上げている。自己.         【結果と考察】. 効力理論の進路領域への応用として,進路選択.  研究1は中日大学生を対象とした大学生用. に対する自己効力感(以下CDMSEと略記)という. CDMSE尺度を作成した。CDMSE尺度は3因子(23. 概念がある。CDMSEと進路選択行動との関連を扱. 項目)が抽出され,「自己選択能力」,「情報収集. った研究は多く取り組まれているが,CDMSEとス. 能力」,「課題解決能力」と命名した。尺度の内的. トレスとの関連を検討した研究はまだ少ない。. 整合性を検討するためにCronbachのα係数を算.  そこで,本研究では,中日の大学生用CDMSE. 出した結果,αは.825∼.878であり,十分な信頼. 尺度を作成する(研究1)。また,中日大学生の. 性が確認された。. CDMSEとストレスの関連諸要因の実態を把握す.  研究2はCDMSEとストレス関連諸要因に関. る(研究2)。さらに,CDMSEとストレス関連諸. する属性分析(国・性)を行った。CDMSEについ. 要因との関連を検討したうえで,キャリアにお. て,全ての下位尺度において,男女ともに中国は. けるストレス過程の構造について中日比較す. 日本より高かった。中国では,1997年以降,r自. ることを目的とする(研究3)。. 主的職業選択」制度となり,就職先を自分で開拓.          【方法】. せざるを得ない。そのため,中国大学生は,自ら. 研究参加者:中国側は湖北省A大学に在籍する大. で各能力を高めることを求め,自己効力感も高ま. 学生397名(男95名,女302名)が参加した。. ると考えられる。. 日本側は兵庫県B大学に在籍する大学生552名(.  進路不決断について,r認知不足」,rモラト. 男185名,女367名)が参加した。. リアム」において,中国が日本より高かった。. 材料:①r中日の大学生用CDMSE尺度」浦上. また,「結果不安」,「決定不安」と「相談希求」. (1995)と彰・龍(2000)を参考に新たに作成. において,男性では中国は日本より深刻であった。. ②r進路不決断尺度」(清水,!990)③. この結果は中国のキャリア教育の整備が不十.  rTri−axiaユCoping Scale24(TAC−24)尺度」. 分であることや,中国の単一の雇用慣例による. (神村・海老・佐藤・戸ケ崎・坂野,!995)④. と考えられる。.

(2)  コーピングについて,r情報・計画」,r放棄・逃. 的に日本人には自己批判的,自己卑下的,また自. げ」,「回避的思考・肯定的解釈」において,中国. 己向上を目指すという心理的特性や自己改善傾. 大学生は日本より積極的に活用している。この結. 向があることによると考えられる。また,日本で. 果は,中国大学生は中学校から親元から離れ,宿. は,職業的(進路)発達に関わる諸能力を育成して. 舎生活をするため,自分のことは自分で対処せざ. いるが,中国では,職業選択に対する個人の能力. るを得ない現状と関連していると考えられる。. や興味と職業の関連づけを促すような心理的な.  ストレス反応について,各下位尺度において中. 指導や介入の支援もほとんど行われてないこと. 国は日本より高かった。これらの結果は,両国の. によると考えられる。. キャリア教育の実施状況,儒教文化の背景,雇用.  第二は,中国ではCDMSEとストレス反応に正の. 制度の違い,家族の状況などが要因と考えられる。. 関連を示した。中国大学生は自己認知が誇大な傾.  研究3は進路に関するストレス構造につい. 向があり,過度の自信が実際の能力とかけ離れ,. ての中日比較を行った。共分散構造分析の多母. ストレス反応が高くなってしまうと考えられる。. 集団同時分析の結果(Figure1,Figure2),全.  第三は,中国では日本と比べ,ストレス反応に. 体から見ると,中日両国ともに,CDMSEは進路不. 及ぼすコーピングの影響が弱い。また,コーピン. 決断を抑制し,ストレス反応を軽減する間接的関. グの下位尺度の「放棄・逃げ」がコーピングと正. 連が認められた。この結果は自己効力感が顕在的. の関連があることが認められた。中国大学生はス. な行動の形成や変容を規定するという先行研究. トレスに対面した時,積極的な自己調節や,社会. の見解と合致するものであった。. 的支援をあまり求めず,ストレス対処として,放 棄・逃げを多用する傾向があると考えられる。. CDMSE 皿.20. .1匠.  中国大学生は日本大学生より,CDMSEが高いに. .31. 進路不決断. ストレス反応. .03.         【総合考察】. もかかわらず,ストレス反応が高かった。また中. 国では,CDMSEとストレス反応に正の関連が認め 一.1H. コーピング. られた。したがって,中国大学生は適切な自己認. 知を身につける必要がある。次に,中国大学生は. Figure1キャリアに関するストレス過程(中国). 日本大学生より,コーピングが高いにもかかわら.         CDMSE. ず,進路不決断が深刻であった。またコーピング と進路不決断との関連が,中日ともに認められな. 一.局3. かった。したがって,コーピングは一時的なスト. 、41. 進路不決断. .20. ストレス反応. レス改善ツールであり,進路不決断という長期的 な問題にとって,軽減効果が乏しいと思われる。. 一、4n. 最後に,本研究では,統計的な手法により,CDMSE. コーピング. とキャリアにおけるストレス過程との関連を探.  Figure2キャリアに関するストレス過程(日本). り,一つのモデルを提案したが,今後CDMSEのス.  中目両国における差異は,次の三点に集約され. トレス反応への直接的な効果をさらに検討する. た。第一は,日本では中国と比べ,進路不決断に. 必要があると考える。. 及ぼすCDMSEの影響が強く,ストレス反応に及ぼ.         主任指導教員 藤原 忠雄. す進路不決断の影響が弱かった。この結果は・一一般.           指導教員  藤原 忠雄.

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