付録2 平成15年度卒業研究発表会要旨
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(2) 付録 2. 原子力研究所配属修論生・卒研生. 平成 1 5年度卒業研究予行発表会プログラム 日時:平成1 6年 2 月 6日〈金) 1 0 : 3 0 1 6 : 1 0 場所:原子力研究所原子炉施設管理棟講義室. 1 0 : 3 0 1 0 : 4 0 所長挨拶 1 0 : 4 0 1 2 : 1 0. 担当/座長. 1.入江. 優. ラドン発生装置の試作と特性. 森嶋・古賀. 2 . 森重. 裕. 高自然放射線地域におけるラドン濃度変動. 森嶋・古賀 森嶋・古賀. 3 . 河口. 拓也. 温泉地域における土壌中 γ放 射 性 核 種 の 挙 動 と 分 布. 4 . 太田. 吉則. U T I トK I N K Iを用いた鉄鋼試料の放射化分析. C f 2 5 2の自発核分裂即発中性子スペクトルの解析. 7 . 岩井 洋平. モンテカルロ法による 2 0 9 B iの 核 破 砕 反 応 生 成 核 種 収 率 の 計 算 233Pa, 2 3 3 U, 234U, 2 3 7 N pの 遅 発 中 性 子 収 率 の 計 算. 8 . 山川. 遅発中性子データの不確かさ影響解析. 直樹. 津津津津. 5 . 西岡 憲 一 6 .川岸礼佳. 近藤. 大大大大. 木村紀昭. く昼食休憩〉. 1 3 :1 0 1 5 : 0 0. 9 . 長谷川泰弘. 逆動特性法による制御棒反応度価値測定における問題点の検討. 橋本. 共重合樹脂の飛跡生成感度に関する研究. 鶴田. 11 . 奥 村 敦. L i s tD a t a収 集 装 置 く M P A 3 ) の基本性能調査. 伊藤〈員〉. 1 2 .増田裕樹 1 3 .島田幸治 1 4 .河島美幸. 熱 中 性 子 用 PSPCの性能調査 太陽光の紫外線による殺菌作用とそのメカニズム. 伊藤〈員〉 武部. 5 3遺 伝 子 欠 損 ヘ テ ロ マ ウ ス 胎 仔 の 低線量率放射線に対する p. 藤川. 1 0 . 郡. 佳伸. 猪井宏幸. 森田毅. 1 5 .嶋 田 聖. 突然変異応答 胎児期マウスの生殖細胞で特異的に発現する遺伝子の転写動態. 藤川. におよぼす放射線の影響. 1 6 .伊地兼弥. 中等教育におけるエネルギー教育の現状とあり方の考察. 伊藤〈哲). 1 7 .西長浩貴. ヌマムラサキツユクサの染色体に及ぼす放射線の影響. 伊藤(哲〉. 〈休憩. 1 5分〉. 1 5 : 1 5, . ,1 6 : 0 5 修1.岸本安史 修. 2 .鳥居敬之. モンテカルロ法によ る核破砕反応生成物核種収率の計算. 239PUの共鳴領域における遅発中性子収率の微細構造. 講 評. -7 6-. 大津 大津.
(3) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. 卒業論文. 発表時間 単独研究 二人の共同研究. 10分 (6分講演、 4分討論) 20分 (12分講演、 8分討論). -7 7-.
(4) 付録 2. ブ. ドン発生装置の試作と特性 入 江. 優. [目的] 空 気 中 の 2 2 2 R n(ラドン)はウラン系列の崩壊生成核種の内、気体の自然放射性核 種であり、土壌中の 2 2 6 R aが α崩 壊 し て 生 じ た も の で あ り 、 ラ ド ン 及 び そ の 崩 壊 生 成 核 種 の エアロゾルとして空気中等に存在し、吸入等による内部被ばくの原因となる。その屋内外 の空気中の平均ラドン濃度を測定するのに、積分型ラドンモニタを用いているが、これら のモニタの校正をすることが重要となる白このため、今回ラドン発生装置を試作し、その 概要と基礎試験の結果を発表する o [方法]. ラドン発生装置は、ガラス製大型デシケーター内にウラン及びラジウムを含む. 0g の 試 料 を 発 生 源 に 、 密 閉 し 空 気 採 取 コ ッ ク 2個 を 取 り 付 け た o そ の 中 の ラ ド 自然土壌 9 ン濃度の測定にシンチセル法及び平均濃度測定用にカップ式モニタを用いて行った。ラド ン濃度の経時変動はシンチセル法で空気採取口よりその一部を吸引採取し、 α放射能をラ ドン測定装置 A8-5で 測 定 し た o カ ッ プ 式 モ ニ タ 計 は 、 直 径 50mmの 半 球 状 の ス テ ン レ ス 製 で、ラドン用、ラドン・トロン用カップをセットで設置し、検出用フィルムとして硝酸セ. R-115 t y p e 2 )を用いた o 回 収 し た LR-1 1 5は 2 .5NNaOH溶液で、 ルロース(コダック社製 L 60C、 1 6 0分 間 エ ッ チ ン グ 後 、 光 学 顕 微 鏡 を 用 い て 計 測 し 、 平 均 ラ ド ン 濃 度 を 算 出 し た o 0. [結果]. 1) 装 置 内 の 気 体 を 一 部 採 取 し 、 シ ン チ セ ル 法 に よ り α 放 射 能 を 経 時 的 に 測 定 し. た 結 果 を 図 に 示 し た が 、 吸 引 後 3 時間で α放 射 能 は 最 高 に 達 し 以 降 徐 々 に 減 少 し 、 こ の 傾. .82 日 と な り 、 装 置 内 の 気 体 は ラ ド ン の 半 減 期 に 一 致 し 、 ラ ド ン の 発 生 が 斜より半減期は 3 確認された。. 2) 装 置 の セ ッ ト 期 間 は 1 5日 、 2 0日 、 3 0 日 間 を そ れ ぞ れ 2回 ず つ 計 6回行. 5 日間では 140008q/m3 /目 、 2 0日間 140008q/n 13 /目 、 3 0 日間 1 1 0 0 0 った o そ の 平 均 濃 度 は 1 Bq/m3/ 日と、 netcpm. 100000 r一一一一時一一一一一一一一引一一一一刊. 10000. 1. 30 日 間 継 続 し. た場合、若干減少してきた。セ ット内の位置による濃度変動. 'F. 6回 の 相 対 標 準 偏 差 は 1 .1%,. ー ・ 圃 ・ ・ ・ ・ ・ ・. 繰 り 返 し の 偏 差 は 2.2%で あ 1000. った 03)核 燃 料 サ イ ク ル 開 発 機構人形峠事業所内の標準ラ. 100. ドンチェンバー内での校正で. 半減期 : 3 . 8 2日. 9 1 1 Bq/ は、標準ラドン濃度 1. 10. m 3に お い て カ ッ プ 式 ラ ド ン モ. 。. 100. 2 0 0. ニタのピット 1 個当たりのラ 300 400 500 経過時間 (min). 600. ラドン発生装置肉の空気中放射能遣度経時変動. 700. 800. .3 6Bq/ ド ン 濃 度 ( 換 算 係 数 )4 m 3/n 最 小 検 出 限 界 は 5.84. /日であった。 Bq/m3. i 円. 。 。.
(5) 近畿大学原子力研究所年報. Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 高自然放射線地域におけるラドン濃度変動 森重裕 { 目. 的}生活環境中には、さまざまな自然放射性物質が存在している。自然放射性気体. であるラドンは. 大気中のどこにでも存在し、避けることのできない放射線被ばくの源で. ある。 2000 年 の 国 連 科 学 委 員 会 に よ る と 人 が 1年 間 に 被 ば く す る 放 射 線 量 は 世 界 平 均 で. 2.4mSvで 、 そ の う ち 半 分 が ラ ド ン お よ び そ の 崩 壊 生 成 核 種 な ど の 吸 入 に よ る 内 部 被 ば く であると報告されている。そこで、自然環境中におけるラドン濃度のレベルおよび変動を 知り、環境条件によるラドン濃度の影響を調べた o 空気中と水中のラドン濃度を昨年に引 き続き、鳥取県三朝温泉地域、川西市、東大阪市等において、ピコラド法により測定を行 ったので、その結果を報告する。 【方. 法】空気中のラドンは活性炭に吸着するという性質を利用して、ピコラド検出器を. 24 時 間 測 定 地 点 に 設 置 し て ラ ド ン の 捕 集 を 行 っ た 後 、 液 体 シ ン チ レ ー タ 溶 液 ( INSTA-FLUOR)を 10ml添加し、 1 5秒 間 振 と う し て 24時 間 後 に 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン ス ベ ク ト ロ メ ー タ に よ り 測 定 し た 水中のラドンは、 20mlの 容 量 の ガ ラ ス パ イ ア ル に 10ml の 液 体 シ ン チ レ ー タ 溶 液 (OPTIFLUOR)を 入 れ て 10mlの試料水を添加し、 1 5秒間振とう して 24時 間 後 に 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン ス ベ ク ト ロ メ ー タ に よ り 測 定 し た 。 【結 果】① 2003年 1年 間 の 三 朝 温 泉 地 域 お け る 空 気 中 ラ ド ン 濃 度 は 、 対 照 地 域 で あ る 東 . 5倍 で あ っ た 。 屋 外 に 比 べ 屋 内 が 高 大 阪 市 と 比 較 す る と 、 屋 内 で は 約 7倍 、 屋 外 で は 約 4 D. く 、 ま た 2階より 1階 、 さ ら に 浴 室 と 、 濃 度 が 高 く な っ て い る 。 こ れ は 、 地 中 か ら の 影 響 もあるが、浴室が地下にあり温泉水中に含まれるラドンが、浴室および屋内のラドンに影 響 し て い る も の と 恩 わ れ る o ② 三 朝 温 泉 地 域 の 民 家 に お け る 過 去 9年 間 の 濃 度 変 動 を み る と、屋内については、. 12~3 月の冬期にラドン濃度が平均値より高い値を示しており、逆. に 5 " " '8 月 は 低 い 値 を 示 し て い る o こ れ は 、 空 気 中 の ラ ド ン は 夏 、 雨 期 に 湿 度 お よ び 暑 さ により戸や窓を開放するため、屋外の低い濃度の空気でラドンが希釈され濃度が低くなり、 冬は寒く戸や窓を閉めるためラドンが溜まり高くなる傾向を示していると考えられる。屋 1 1西 市 、 東 大 阪 市 と も に 同 様 の 結 果 が 得 ら れ た o 外についても、三朝温泉地域、 ). ③東大阪市の屋内について、人の出. 3 ) (陶1m. 入りが少なく、扉の開閉による換気 におけるラドン濃度の気温による影. フ. 響を調べたo 右図の結果から、気温. ン. が上昇するにつれてラドン濃度が高. 濃 度 1. くなり、約 24t付 近 を 超 え る と 、 濃 度は減少し、気温に影響され、変動. •. ∞. 3. の影響が小さい条件下にある倉庫内. ∞. ド 2. ∞. •. o. o. する傾向を示したと思われるが、気. 5. 1 0. 1 5. 盆言 Z 自. 2 0. 2 5. 30. 主孔,皿. 図. 温のほか、更に気象条件との関連を 調べる必要がある。. 倉庫肉におけるラドン謹度の気温による影響. 3 5 ( " C ). ウ4. Qd.
(6) 付録 2. 温泉地域における土壌中 γ放 射 性 核 種 の 挙 動 と 分 布 河口拓也 【 目 的 】 日 常 生 活 に お け る 自 然 放 射 線 に よ る 被 ば く は 、 環 境 中 の 40K、U 系列、. Th 系 列 な ど の 放 射 性 核 種 に 起 因 し 、 土 壌 中 に は そ れ ら の 鉱 物 が 地 質 な ど に よ っ て変動し、その分布は一様ではない. D. 日本において、ラドン濃度を測定してきた. 山梨県増富温泉、ラジウム鉱泉として有名な島根県池田鉱泉、人形峠付近、三朝 温 泉 お よ び 、 秋 田 県 玉 川 温 泉 に お い て 採 取 し た 土 壌 を Ge 半 導 体 検 出 器 を 用 い て γ線核種分析を行い、. U、Th崩 壊 生 成 核 種 お よ び 40Kの 自 然 放 射 性 核 種 の 環 境 中. における挙動と分布について検討を行った. o. 【 方 法 】 土 壌 中 の γ 放 射 性 核 種 濃 度 の 測 定 は 、 採 取 し た 乾 燥 試 料 を U8容 器 に 入れ、 Ge (INT) 半 導 体 検 出 器 を 用 い た γ 線 ス ベ ク ト ロ メ ー タ で 測 定 を 行 い 、 得 ら れ た γ 線 エ ネ ル ギ ー ス ペ ク ト ル を NAIG 社 製 NLAB- MCA2/Gamma お よ び. SEIKO EG&G 社 製 7700 GAMMA Stadio で デ ー タ 処 理 し 、. γ. 線核種分析を. 行った。 { 結 果 】 採 取 し た 土 壌 を Ge半 導 体 を 検 出 器 と し て γ 線 ス ペ ク ト ル を 測 定 し 自 然 放 射 性 核 種 濃 度 の 測 定 を 行 い 、 238U、232Th崩 壊 生 成 核 種 で あ る 214Pb、2 14Bi、226Ra. (U系列)、. 212Pb、2 0 8 T I、228Ac(Th系列)、 40K、7Beお よ び 人 工 放 射 性 核 種 137CS. 等が検出された. o. 高自然放射線地域である秋田県玉川温泉、山梨県増富温泉、島. 根県池田鉱泉、岡山県人形峠鉱床で採取した土壌等の結果をまとめて表にした. o. ま た 東 大 阪 市 は パ ッ ク グ ラ ウ ン ド レ ベ ル の 地 域 で 平 均 Th/U比 は 2.08で あ っ た 。. (1 )今 年 度 秋 田 県 玉 川 温 泉 で 採 取 し た 湯 華 石 は 、 214Pb濃 度 の 最 高 値 30339Bq/kg、 214Pb濃 度 の 最 高 値 2662Bq/kg、 Th/U比 11 .4で あ っ た 。 (2 ) 増富温泉について、 214Pb濃 度 は 最 高 値 1680Bq/kg、212Pb濃 度 は 最 高 値 8780Bq/kg、Th系 列 の 値 が 高 く 、 平 均 Th/U 比 は 4 .1 で あ っ た. o. (3) 池 田 鉱 泉 に つ い て 、 214Pb 濃 度 は 最 高 値. 563Bq/kg、212Pb濃 度 は 最 高 値 365Bq/kgと 増 富 温 泉 に 比 べ 放 射 性 核 種 濃 度 は 低 く 、 ) 人 形 峠 の 鉱 床 跡 に つ い て 、 214Pb は 最 さ ら に 平 均 Th/U比 は 0.56 で あ っ た 。 (4 高値. 1450Bq/kg、 212Pb は 最 高 値. 表.y線放射核種濃度及び'Th/U比. 76.9Bq/kg、平均 Th/U比 は 0.11 c ! : U 系 列 の 濃 度 が 高 い o Th/U比 に つ いて比較すると、人形峠、池田鉱 泉は U 含有量の多い土壌で、玉川. 0 . 0 1 8. 温 泉 お よ び 増 富 温 泉 の 湯 華 石 は Th. 0 . 1 1. 含有量が多く、同じ玉川温泉でも. Th/U比 が 高 い も の と 、. 1以 下 の も. の が あ り 、 Th/U比 は 土 壌 、 地 層 に よって変動している. D. 増富温泉 1 2 6. 4 . 1 0. 池田鉱泉 1 3 4. 0 . 5 6. 東大阪市. - 80 -. 41 1 4 2 五 土 2/.4. 2 U J j土 H . H U. 2 . 0 8.
(7) VoL4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. UTR-KINKIを用いた鉄鋼試料の放射化分析 太 田 吉 員J I 木村紀昭. [目的}鉄鋼試料には多くの種類があるが、高速度鋼を試料として用いた。この鋼材は、 お よ そ 600C付 近 の 高 温 ま で 優 れ た 硬 さ と 耐 摩 耗 性 を 持 ち 、 高 速 切 削 が 可 能 な 工 具 鋼 で あ る 。 0. これらには主成分の鉄をはじめ、数多くの金属元素が含まれている. D. これらの元素種やそ. の 含 有 率 な ど を 調 べ る た め 、 UTR-KINKIを 用 い た 中 性 子 放 射 化 分 析 を 試 み た 。 {方法】〈試料〉高速度鋼試料は日本鉄鋼協会より市販されており、. 6種 類 が あ る 。 こ の 試. 料の定量には、 MnO、 W 、 Co、 Cr,Feの 高 純 度 粉 末 試 薬 を 混 合 し た 標 準 試 料 を 用 い た 白 試 料 は 約 1gずつ計量し、1.5cm平 方 の ポ リ 袋 に 封 入 し て 照 射 試 料 と し た 。 (照射・測定) UTR-KINKI を 1 W で 運 転 し 、 各 試 料 は 中 央 ス ト リ ン ガ ー の 中 央 部 で 2時 間 照 射 し た o 生成放射能は、 Ge 半 導 体 検 出 器 と 4096 チ ャ ン ネ ル 波 高 分 析 器 に よ り γ 線ス ベ ク ト ル を 照 射 後 10分 経 過 時 よ り 15分間、 3時 間 後 に 30分 間 測 定 し 、 そ の 後 は 必 要 に 応 じて 60分 間 測 定 し た o 得 ら れ た γ 線スペクトルは、 LaboratoryEquipment社の γ 線 解 析 ソフトを用いて、. γ線エネルギー値と半減期より生成核種を同定した o. また、標準試料と. 高速度銅試料より得られた放射能強度の相対的な関係より、試料中の含有元素量を求めたo 【 結 果 】 今 回 の 実 験 で は Mn、 W 、 Co、 Cr が 定 量 で き た 。 各 元 素 に 対 す る 定 量 に は 標 的 核 γ)反 応 に よ り 生 成 し た 847KeVの 56Mn (半減期 2.58h、 ) 686KeVの 187W (半減 種 の (n,. ) 1332KeVの 60CO (半減期 5.272y)、 320KeVの 51Cr (半減期 27.8d) の 放 射 期 23.9h、 能 強 度 を 用 い た o M n、 W に 対 す る 定 量 結 果 は 下 表 に 示 す と お り 、 ほ ぼ 認 証 値 と 一 致 し た 値 が 得 ら れ た o 表には示していないが、 Coと Crに つ い て も 認 証 値 に 近 い 値 が 得 ら れ た 。 [結論】化学分析法と比べて中性子放射化分析は、試料を非破壊で、多種の元素を同時に 定 量 で き る o 低 出 力 の 原 子 炉 に よ る 中 性 子 放 射 化 分 析 で も 比 放 射 能 の 大 き い M nや、含有率 が比較的高い W の定量には、有効な手段となることがわかったo 高速度鋼に含まれる Mn、Wの含有率(%) 試料名. Mn. W. 認証値※). 実験値. 実験値. 認証値※) 1 7 .1 6: t0 .0 8. 高速度鋼 2種. 0.32 : : ! : O . 0 1. 0 . 3 1: t0.007. 1 7 . 3 : : ! : 0 . 1. 高速度鋼 3種. O .3 5: : ! : O . 0 1. 0.35土0.009. 1 7 . 5土 O .1 1 7 .4 8: tO .0 9I. 高速度鋼 4種 A. 0 . 3 3土0 . 0 1. O .3 3: tO .0 0 5. 1 7 . 0 : : ! : O . 1. 1 7 .0 3: t0 .0 6. 高速度鋼 5 5種. 0.30 : : ! : O . 0 1. O .3 0: tO .006. . 1 6 .1土 0. 6 . 1 1: t0.05. 高速度鋼 5 7種. 0 . 3 2土0 . 0 1. O .3 2: tO .0 0 5. 8 . 9: : ! : O . l. 9.07: t0.04. 高速度鋼 5 1種. 0 . 3 1: : ! : O . 0 1. 0 . 3 1: t0 .004. 6 .0 : : ! : O .1. 6 . 2 1土 0 . 0 4. ※)日本鉄鋼協会認証値. 。 。.
(8) 付録 2. C f 2 5 2の自発核分裂即発中性子スペクトノレの解析 西岡. [目的]本研究室では従来. ~ , 可 思. 即発中性子スベクトルの計算を、改良型 MadlandNixモデルと B G Mモ. デルの両理論を用いて理論計算を行ってきた。以前、本研究室でこのモデルに基づ、いて 2 5 2 C fの即発 中性子スベクトル計算を行し¥評価データと比較したが、理論計算スベクトルが低エネルギー領域で、過. 5 2 C fだけでなく他の 小評価してしまうため一致しなかった。この低エネルギー領域で、の過小評価は、 2 マイナーアクチニドにもみられた。そこでこれらの核種に対しては、従来のモデルで、は考慮、されてい なかった「核分裂片の加速途中における即発中性子放出の効果」を加え改良したところ、マイナーア クチニドである A ln, Cm同位体でよい成果を収めた。本研究では、 2 5 2 C fに対する「加速途中の中性子 放出の効果を加えたモデノレJ の妥当性を検討する。 [方法]本研究では S tandard1, I I,皿と Super-asYlnm, Super -l o n go rs h o r tの 5つのモードを考慮し た。理論計算には、解放エネルギーを求める計算コード r E R I J、LDPと核温度を求める rIGNA3J、 逆過程断面積を求める r ELIESR-i l l J、即発中性子スベクトルを計算する rFISPEC-O Jの 4つを用 いた。 rELIESR-I I IJは JAERIで開発されたものだが、他の計算コードは本研究室で開発されたもの である。 f FISPEC-OJ は、核分裂片の最終到達運動エネルギーの何%のエネルギーで、中性子を放出 したかを指定するパラメータを入力することができる。このパラメータを f T F J とし、 TFと加速途 中の中性子放出の割合を示すパラメータ r NEDAJ を調整し、「唱 ENDF/ 忠 B 検討討.を行なつた。 [結果]評価データと比較・検討の結果、「加速途中の中性子放出の効果を加えたモデノレ J は妥当なも. Fと N E D A値をパラメータサーチにより決定し のといえた。しかし、各モード・各核分裂片に対する T たため、 T Fと N E D A値が一意的には決まらず、また即発中性子スベクトルに一致した T F値というだけ で 、 T F値の物理的根拠に欠けていた。そのため本研究では、 E i s m o n tの「核分裂片の加速と時間の関 係式の理論 J と 、 T . E r i c s o nの「核分裂片の崩壊時間の関係式Jから平均的で、物理的意味を持った「各 モード-各核分裂片」 ごとの T F値を確定した。その結果、加速途中の放出の効果を考慮すると適正な スベクトルが得られることが分かつた。 掛1.0 ~~. 0 . 3 5. 加速途中の中性子放出の効果なし 一一加速途中の中性子放出の効果あり + 評価データ. 同 (. l ' ( d. S t .3. ム4. t ). 迫. i 百 件. 起 0.6. Su~er-as~mn~(Heavy). f ト. e 比4. 核. h 裂片の加速害. J I合. 、. ;. ¥. u 0. 4. も. 司. < d. ε0.2. 、 ' t エ J. 、 、 、. 、 、 ¥ , 戸 、 Q). g ' , ; : j. '-". 0 . 1. o. 0 . 0. L : u. N e u t r o n Energy(MeV). ( F i g . 2加速途中の中性子放出の効果) - 8 2-.
(9) 近畿大学原子力研究所年報. Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). モンテカノレロ法による 2 0 9 B iの核破砕反応生成核種収率の計算. 川岸礼佳. {序論} 高レベル放射性廃棄物の中には数万年以上の長期間にわたって、放射線を出し続ける放射性物質も含 まれている。これらを選択的に取り出し、安定な元素に変わるまでの時間を短くするための研究が進め られている。この消滅処理が実現すれば、放射性廃棄物を最終的に処分するための負担を軽くすること. A D S )による消滅処理技 ができる。日本原子力研究所での研究課題のーっとして、加速器駆動未臨界炉 ( 術が挙げられる。今回の研究では、抜廃棄物中の長寿命核種の核変換を行う為に設計予定の ADSを取 り上げ、そのターゲットとして考えられている 2 0 9 B iの核破砕反応生成核種収率の計算結果と実験値と の比較検討を行った。 【理論】 ' " ' '2GeVに加速された陽子をターゲットに当てると、核内の核子のカスケード放出 加速器によって 1. を引き起こしスポレーション反応が起こる。スポレーション反応の特徴は、入射粒子による k n o c k " o n 反応に続く核内カスケード過程 ( f a s tp r o c e s s ) と、励起された残留核からの核子蒸発過程、あるいは 励起核の核分裂過程の競争過程 ( s l o wp r o c e s s ) である。カスケード過程はモンテカルロ法で、残留核 からの蒸発過程、あるいは核分裂は統計模型を使って計算される。これら核燃料生産用または放射性廃 棄物消滅処理用のターゲット・ブランケット内での核反応は、入射陽子が高エネルギーで、あるため、通 常の核分裂炉や核融合炉ブランケット内の核反応に比較してはるかに複雑であるが、 ADSを始め様々な 加速器施設の設計のためには、信頼できる核計算コードの整備は欠かせないものである。今回の研究で 用いたモンテカル口、ンュミレーション計算コードは、高エネルギー粒子輸送コード NMTC/JAMである。 【結果・考察}. i g . lに示し 日本原子力研究所で開発された NMTC/JAMを用いて計算した結果、実験値との比較を F i g . lは 2 0 9 B iに 184MeVの陽子が入射した場合の生成核種の質量収率を表している。この計算コ た 。 F F B )をそのまま用いた場合の計算値(破線)は収率を過大 ードに組み込まれている Myerらの核分裂障壁 ( 評価する傾向があったため、蒸発過程を計 算する GEMモテ、ノレ中の FBを調整して理 論計算してみたところ、この場合には FB. ""NMTCIJAM(FBX1 . 0 ). 1 . 0 E + 0 3. ー 一 一 一 一 一 NMTC/JAM(FBX 1.6) 1 . 0 E + 0 2. 闘. M.C.Duuvestun. を1.6倍したとき良好に再現することが分 かった o 以上の結果から、 NMTC/JAMは核分裂. 310日 1 b1.0E+00. 片の収率がほぼ再現され、軽核の放出も考 慮、されているが、 FBは系統式の精度に問 題があり調整が必要だ、った。これは、核破 砕と蒸発の結果、生成した中性子欠乏核の. 1 . 0 E 0 1 1 . 0 E 0 2. 0. FBが系統式では十分正確に表せない為で. 50. 100 1 5 0 A(amu). 200. F i g . l209Bi+pU84MeV )の質量収率. あると考えられる。. -8 3-. 250.
(10) 付録 2. 233pa , 233up. 岩井洋平 【目的}遅発中性子は原子炉の制御において非常に重要な役割を担っている o 2 3 3 U を除いて、. 2 3 4 U, 2 3 3 p a , 2 3 7 N p などは入手及び取り扱いが困難なために、核データの測定例が少なく理論的評価が必要 になる。そのため、本研究ではその核データの中で遅発中性子収率を理論的評価するため、当研究室で 開発研究されている理論を使用して遅発中性子収率を計算し、既存の JENDL3.3の核データーと理論計 算値を比較し、評価する。 {方法】まず、 W a n g H u ' sF i v e G a u s s i a nM o d e l により中性子核分裂直後の質量収率を計算し、 3U, S e v e n m a s s p o i n tModelにより計算される即発中性子収率 3 2 3 7Np については即発中性子数を実験デ. e. e v e r トm a s s p o i n tModelを計算)と T r a n s f o r m a t i o nMethodを用いて中性子核分裂後の質 ータに合わせて S 量収率を補正して即発中性子放出後の質量収率を計算する。そして、 S 釦山 u n n η m l η n m a 州t i ∞ on M ¥ 川 V 1 t 似 i でで、表され、 Y iは先行核 iの質量収率、 P n iは先行 iの遅発中性子放出確率を表す)を用いて遅発中性子収 率を計算し JENDL3.3のデータと比較し評価する。 【結果}遅発中性子収率の計算結果を J ENDL3.3の遅発中性子収率のデータと共に T a b l e1 .に示した。. 2 3 7 3 3 p a , 2 3 3 u, 2 3 4 Uの入射エネルギーは T h e r m a lである。 2 3 3Uの Npの中性子の入射・エネルギーは 0.8MeV、2 . N i s h i o氏の実験データと、それから S e v e n m a s s p o i n tModelを補正した値と W a n g H u ' s 即発中性子数を K の計算値を F i g1 .に示した。 T a b l e1 .の 2 3 3U の実験値に合わせ補正した全遅発中性子数の計算値と. W a n g H u ' sの計算値とを比較すると、明らかに前者の方が JENDL3.3の評価値に近づいていることがわ かる。また、 F i g1 .からも即発中性子数は実験値と W a n g H u ' sの計算値とでは明らかに質量数が大きい場 合と小さい場合では違いある事が示されている。したがって、核種によって固有の S e v e n m a s s p o i n t. i g1 .に 2 3 7 Modelのパラメータ変化させ即発中性子数を実験値に合わせることが必要である。 F Npの実験 3 3U においては JENDL3.3の評価値に近いが、全即 値に合わした補正計算値が示しである。この値は、 2 3 3U の補正計算値の方が物理的にフ 発中性子数が JENDL3.3の評価値よりもかなり過剰になっており、 2 ィットする値であると考えられる。また、 UCD値は今回、 P Uのデータを使用したが、核種によって固 有の値を使用するとさらに正確な値になると考えられる。. T a b l e1 .:おのおの全遅発中性子数の計算値と評価値. 一 . . . .-K.NISHIO. 4 . 5 0 % 4 . 0 0 %. W a n g H u ' s U・2 3 3 補 Np・2 3 7補 JENDL3.3 核種. 計算値. 正計算値. 正計算値. 評価値. 3 . 5 0 % 3 . 0 0 也 ω 2 b • 2 50Z. U-233. 7 . 8 3. 7 . 2 4. 6 . 8 4. 6 . 7 3. P a 2 3 3. 2 . 0 6. 2 . 0 5. 1 .9 7. 2 . 2 8. U-234. 1 .1 7. 1 .1 4. 1 .0 8. 1 .0 5. Np-237. 1 .9 7. 1 .0 8. 1 .0 2. 1 .1 4. 2 . 0 0 也 1 .5 0 %. 1 . 0 0 両 0 . 5 0 也 0 . 0 0 % 6 0. 8 0. 1 0 0. 1 2 0. 、". 1 4 0. 1 6 0. 855. (注) 2 3 3U(X] 0 ・3 )、 他 (x] 0 -2 ). F i g1 .:2 3 3Uのおのおの即発中性子数 - 84 -. 1 8 0.
(11) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. 遅発中性子データの不確かさ影響解析 山川直樹 【目的]遅発中性子の存在により、原子炉は即発中性子だけでは臨界にならないように制 御することができ、この割合が大きいほど原子炉の反応度の投入に対して急激な出力の変 化を防ぐための制御を行う時間的余裕が大きいことになり、原子炉の制御にとって重要で、あ る。本研究では、遅発中性子割合がどのように変化すると原子炉の反応度にどれほどの影 響が出るのか、また、核種によってそれの影響の及ぼし方に違いがあるのかを調べるために 感度解析を行った。 【方法 1j ENDL-3.3の核データを基に、. 235U、 233U、 239pU の核データから入射エネノレギーが. . 0 2 5 e V、1MeVの場合の遅発中性子 6群データを資料として取り上げた。そのデ それぞれ 0 :βi ータより、原子炉の逆時間方程式 ρ=A+ヲ. T ヤ λjT+1. を用いて、短いペリオドから長い. ペリオド ( 0 . 0 0 0 1へ' 1 0 0 0 s e c )に対して{則、 λi}のデータセットを変えて計算し、ベリオドと反応 度の関係を示すグラフを作成した。そのグラフを基に、 1群から 6群の遅発中性子割合を1.5 倍し、感度解析を行った。 【結果 1235U 、幻3U 、 239pU において 1 群 ~6 群の遅発中性子割合を1. 5 倍して感度解析を行 った結果、ペリオド~ 1' " ' '1 0 0 0 s e cの範囲内で変化が見られた。. 239pU. では、 2群の遅発中性子. 割合が増加し、 4群で、遅発中性子割合を調整するケースが反応度に対する感度が高かった o ペリオドが 1 0 s e cで 18%、1 0 0 s e cで 28%、1 0 0 0 s e cで 2 90 / 0反応度が上昇した。そのときのグ. i g . 1として示す。また、 4群の遅発中性子割合が増加し、 2群で遅発中性子割合を調 ラフを F 0 s e cで 20%、1 0 0 s e cで 31%、 整するケースも反応度に対する感度が高かった。ベリオドが 1 1 0 0 0 s e cで 32%反応度が減少した。そのときのグラフを F i g . 2として示す。. 235U で は、. 4群の. 遅発中性子割合し増加し、 2群で遅発中性子割合を調整するケースが反応度に対する感. 0 s e cで 25%、1 0 0 s e cで 41%、1 0 0 0 s e cで 43%反応度が減少したomUは 、 度が高かった。 1 4群の遅発中性子割合が増加し、 2群で遅発中性子割合を調整するケースも反応度に対す. 0 s e cで 21%、1 0 0 s e cで 30%、1 0 0 0 s e cで 29%反応度が減少した。こ る感度が高かった o 1 れらから、反応度は 2群の遅発中性子割合に対して感度が高いことが分かった。. ーーー 2群で. ー -3群で. 調整. 調整 0 . 8. ー ー ー- 4群で 調整. ~ 0 . 6. 圃元の. 悩 世 0 . 4. データ. 1 区. 0 . 2. 0 0 . 1. 1 0 ペリオド ( s e c ). ペJ)オド (selう. 100. F i g . l 2群を1.5倍したときの他群との比較. 1 0 0. F i g . 2 4群を1.5倍したときの他群との比較 phu. o o.
(12) 付録 2. 逆動特性法による 制御棒反応度価値測定における問題点の検討 長谷川. 泰弘. [目的]昨年度、逆動特性法(In versek i n e t i c s )に よ り 近 畿 大 学 原 子 炉 (UTR-KINKI)のシム 安全棒、調整棒の反応度価値が測定されたD この結果において三つの問題点が指摘されたO これはシム安全棒落下後反応度が上昇する傾向が見られる点、計数値が極めて小さい時に 反応度変化の値に統計的なばらつきが大きくなる点、そして逆動特性法における即発跳躍 近似の影響の三点である 本研究では昨年度の研究において見られた問題点の検討を行い、 O. 信頼できる制御棒反応度価値を決定する. O. {方法}シム安全棒及び調整棒を臨界状態から全ストロークにわたって挿入及び引抜きを 行い、線形出力計信号の時系列データを得る。本研究では昨年度に得られた実験データを 用いる。この実験データを一点炉近似動特性方程式の中性子密度として入力し、反応度を 計算する。 [結果]まず、昨年度の解析結果においてシム安全棒落下後に反応度が上昇する傾向が. Fig.lの よ う に 見 ら れ た 計 算 時 に お け る 六 群 の 遅 発 先 行 核 崩 壊 定 数 を Keepinの 値 に 変 更 D. すると F ig.2 の よ う に 改 善 し た 。 次 に 、 計 数 値 が 極 め て 小 さ い 時 に 反 応 度 変 化 の 値 に 統 計 的なばらつきが大きくなる点であるが、これはパンチングによる平均化処理で改善した。 また、即発跳躍近似の影響であるが近似を仮定する場合と仮定しない場合における値の差 を見ると手動で制御棒を動作させる程度の小さな反応度変化では有意な違いが見られなか ったが、シム安全棒の落下の時にはその値に有意な違いが見られた。これは即発跳躍近似 というものは急激な中性子密度の変化のない場合において仮定される近似式であるためで ある. シム安全棒の落下など急激な中性子密度の変化が大きければ大きいほど即発跳躍近. D. 似の影響も大きくなるため、そのような事象における制御棒反応度価値の測定は昨年度の 研究より信頼できる結果であるo f. nunu. ,. 0 . 1. nU. . .. l 噌. 0 . 6. . . . . .. 0 . 7. ・ . -. 0 . 2 毛舟. 極 -0.3 i 全一0. 4 1 足 一0 . 5. t. 0 . 1. 一0 . 2. . .. も争. 画 一0.3. E 0 4. . .. 一0 . 5. . . . 再 ; 刑 制. 0 . 8 O. . .. O. 0 . 6. 0 . 7 一0 . 8. 50. 1 5 0. 200. 時間 ( 5 ). O. 50. 100. . . 酬 1 5 0. 200. 時間 ( 5 ). F i g . l 崩壊定数変更前の解析結果. - 8 6-. F i g . 2 崩壊定数変更後の解析結果.
(13) 近畿大学原子力研究所年報. Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 共重合樹脂の飛跡生成感度に関する研究 郡 佳 伸 猪井宏幸. [目的] 高 感 度 の 固 体 飛 跡 検 出 器 と し て 広 く 利 用 さ れ て い る CR-39 と 、 比 較 的 低 感 度 の DAP を、さまざまな混合比率で共重合させることによって、その中間的な性質を持つ検出器 を作成できる可能性がある。放射線計測学研究室では、過去の研究によって、共重合樹 脂の重粒子線に対する飛跡生成の関値をほぼ明らかにしてきた。本研究では、共重合樹 脂の重合比の違いに対する飛跡生成感度の変化を求めることを目的とする。. [方法] 検 出 器 と し て 、 CR-39モ ノ マ ー と DAPモ ノ マ ー の 混 合 比 率 が 違 う 7種類の樹脂を、 山 本 光 学 株 式 会 社 に 依 頼 し 作 成 し た 。 こ れ ら の 樹 脂 を 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 、 HIMAC 0. か ら の 重 粒 子 線 ( 炭 素 及 び 酸 素 イ オ ン ) で 照 射 し た 。 照 射 後 の 試 料 に つ い て 、 90C の 30%. KOH 水 溶 液 を 用 い て エ ッ チ ン グ 処 理 を 行 っ た 。 エ ッ チ ン グ 前 後 の 試 料 の 厚 さ を マ イ ク ロメータを用いて計測した。エッチピットの深さを顕微鏡のピント調節によって、また、 直径を顕微鏡写真の画像処理によって取得した。取得データから、バルクエッチング速 度 (VB)、 ト ラ ッ ク エ ッ チ ン グ 速 度 ( VT)及 び S=VT/VB-1で あ ら わ さ れ る 感 度 S を求めた。 [結果・考察] 実 験 に 用 い た 試 料 の 重 合 比 と 、 そ れ ぞ れ に 対 し 4.80MeV 炭 素 イ オ ン を 照 射 し た 際 の. able1に示す。また、 DAP濃 度 と 感 度 の 関 係 を エッチピット検出の有無を T. F i g . lに示. able1か ら 分 か る よ う に 、 DAP濃 度 の 変 化 に と も な い エ ッ チ ピ ッ ト 検 出 ま で の 時 す。 T 間も変化するため、一意の時間をもって各樹脂における感度を求めることはできない。 よって、各樹脂の最適エッチング時間における感度をそれぞれの樹脂の感度として決定. F i g . lか ら DAP濃 度 が 増 加 す る に つ れ. した。次に. エッチンタ条件:. 9 0・ c・3 0% 1 {OH*;~ì';夜. て、感度は低くなることが分かる。このことから、 樹脂の重合比を変化させることによって、さまざま. 1 .2. な感度を持つ検出器を作成できることが分かった。 1 .0. T a b l e 1共重合樹脂検出器に 4 . 8 0 M e Vの炭素イオンを. ι 1 ' ). 照射した時のエッチピット検出の有無 番 試 料 号. A B C D. E F G. 重合比 C R 3 9 / D A P 4分. 8分. 1 5分. 8 0分. 6 0分. O O 一. O O O ム. O O O O. A. ー. O O O O 一 一. 1 0 0 / 0 9 0 /1 0 7 5 /2 5 5 0 /5 0 2 5 /7 5 1 0 /9 0 / 1 0 0. 。. 題0.8. エッチング時間. 一 一. 8時間. 2時間 4時間. 0 . 6. ム. ム. O O O. 一. ム. O O O. X. ×. エゥチンヴ条件:9 0C. 3 0 % K O H水溶液 0:エッチピット確認可能・測定可能 ム:エッチピット確認可能・測定不可. ム. 一 O O. O. X. ム. ー. 0. X:エッチピット確認不可. ー..未検証. LO. F 2 5 5 0 7 5 D A P濃度(%). 1 0 0. F i g . 14 . 8 0 M e V の炭素イオンを照射した時の O A P 濃度の違いによる感度変化 試料 G lと関しては感度測定不可. ヴ t. n o.
(14) 付録 2. ListData収 集 装 置 (MPA-3) の 基 本 性 能 調 査 奥村敦. List モ ー ド デ ー タ 収 集 装 置 (MPA-3)に 関 し て 、. [はじめに. ( 1 ) 下限ディスク. リ レ ベ ル の ListData収 集 モ ー ド 依 存 性 調 査 、 ( 2 ) 3入 力 の 場 合 の ListData解 析 プログラムの開発、. ( 3 )位置 ( P ) vs エ ネ ル ギ ー ( E )平 面 に 発 生 す る 特 異 構 造 を 理. 解するための数値シミュレーションを行った。 【方法】. ( 1 ) MPA-3の 「 グ ル ー フ 設 定 モ ー ド J (Gモ ー ド ) 、 及 び. rCoinc. with. any モ ー ド J (C モ ー ド ) に お け る デ ー タ 取 り 込 み に 関 す る デ ィ ス ク リ レ ベ ル を 、 Pulser信 号 を オ シ ロ ス コ ー フ で モ ニ タ ー し て 測 定 し た 。 ( 2 ) 昨年度作成された 2 入 力 用 解 析 プ ロ グ ラ ム を 、 位 置 感 応 型 比 例 計 数 管 (PSPC)の 位 置 読 み 出 し 電 極 か ら 得 ら れ る 2つ の 信 号 (A、B と す る ) に ア ノ ー ド 信 号 を 加 え た 3入 力 用 に 拡 張 し た 。. ( 3 ) 一 般 的 に 縦 軸 E (E=A+B)、 横 軸 P(P=A/(A+ B))か ら な る P-E2次 元 ス ペ クトルの中央に奇妙な裂け目が発生するが、 る格子点が、. A-B 平 面 上 の 整 数 値 か ら 構 成 さ れ. P-E 平 面 で ど の よ う な 挙 動 を 示 す か を フ ロ グ ラ ム を 用 い て 数 値 的. に調査した。 {結果】. ( 1 )MPA-3 に は 2つ の デ ィ ス ク リ レ ベ ル (LLD、 T H と す る ) が あ り 、 信. 号 電 圧 V<TH の 場 合 デ ー タ を 取 り 込 ま な い こ と 、 T H孟 V三 LLD の 場 合 V=O(ch) と し て 、 ま た V>LLD の 場 合 V=/=O と し て 取 り 込 む こ と が 判 っ た 。 更 に 、 2 入 力. G モ ー ド の 場 合 高 い 方 の T Hが 両 入 力 に 対 し て 採 用 さ れ る が 、 2 入 力 C モ ー ド の 場 合 に は 異 な る TH が 2 つ の 入 力 に 対 し て 採 用 さ れ る こ と 、 ま た LLD に 関 し て は両モードで差がないこと等が判明した。 ( 2 )熱 中 性 子 用 傾 斜 Sense-Wire PSPC の 実 験 デ ー タ を 3入 力 用 プ ロ グ ラ ム を 用 い て 解 析 し 、 実 効 性 を 確 認 し た 。 更 に 高 速化も行った。 ( 3 ) 0孟 A 孟 128(ch) 、 O~玉 B 孟 128(ch) の一様な正方形平面 (lcount) を P -E 平 面 に 写 像 し た 。 そ の 結 果 を 図 1に 2卸. 示す。 A=一 定 と し て AB平 面 上 を ス キ ャ ン す れば、 E=A/P、 B=一 定 と す れ ば E=B/(1-p). 単 純 な 式 で 説 明 で き る 。 O三 玉 E孟 5 0 の領域で. 回∞ ロ 伺 戸 {U 3ロ. ことを発見した。外辺部の包絡曲線は上記の. ﹄@円盲目Z. に見られるような複雑な紋様が形成される. ∞. 2. (凶+︿)同 LFO 回同Z 同. という単純な関係にあるが、全体として図 1. は、中央に大きな裂け目が形成されることが 卸. 判る。これにより実験データの特異構造が明 確に理解できる。さらに左右に少なくとも 4 つ の 裂 け 目 が 形 成 さ れ る こ と が 判 明 し た 。 50. <E の領域の複雑な紋様の発生機構に関し. ∞ 1 6 0 2 0 0 ω ChannelNumber POSITIONP(A/(A+B )). ω. t. 図 1 . (A, B)→ (P, E)へ の 変 換 結 果. ては現在調査中である。. (AB2PE_F2_AN4.pxp) -8 8-.
(15) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. PSPCの 性 能 調 査. 熱中性子用. 裕樹. 増田. 我 々 は 熱 中 性 子 用 位 置 感 応 型 比 例 計 数 管 (PSPC) を 開 発 し て い る 。 本 年. {はじめに〕. 度 は 、 (1) 傾 斜 SenseWire法に基づく TSW (Tilted-Sense Wire) PSPCの 位 置 分 解 能 特 性 、 及 び (2) バ ッ ク ガ モ ン 法 に 基 づ く N-PSPC1 (PSPC1号 機 ) の エ ネ ル ギ 一 応 答 特 性 を 調 査 し た 。 TSW-PSPCは 福 井 工 業 高 等 専 門 学 校 の 前 多 信 博 先 生 が 考 案 さ れ た 新 し い 検 出 器 で あ り 、 近 大 炉 共 同 利 用 実 験 を 通 し て 性 能 調 査 が 行 わ れ た 。 また、 241Am か ら の. Np-LX線 等 を N-PSPC1を用いて測定した。 (1) TSW-PSPCの Al製 窓 内 部 に 、 厚 さ 0.5mm 、 lmmφ 穴 が 10mm間 隔 で. [方法】. 5つ 開 け ら れ て い る Cd製 ス リ ッ ト を 装 着 し た 。 そ の ス リ ッ ト 内 側 に lmm厚 Al板 上 に 形 成 さ れ た 数 μ m厚 の 酸 化 ボ ロ ン 層 を 配 し た 。 計 数 ガ ス は Ar+l0%CH4、圧力は約1.0 " ' " '3 . 0 気 圧 、 芯 線 に は 約 1 .4 "'"'2.1kVの 電 圧 を か け た 。 実 験 は 近 大 原 子 炉 炉 頂 部 で 得 ら れ る 熱 中 性 子 束 ( . . . . . , 104n/cm2s e c ) を 利 用 し 、 傾 斜 SenseWire2本 と 芯 線 か ら の 信 号 か ら な る 3パラ. istモ ー ド 測 定 を MPA-3を 用 い て 行 っ た 。 (2) N-PSPClの Al製 窓 を 、 低 エ メターの L ネ ル ギ - X線 が 測 定 で き る よ う に O.5mm厚 Be窓 に 変 え た 。 計 数 ガ ス に は Ar+l0%CH4を 用 い 、 圧 力 は 1 .03気 圧 と し た 。 芯 線 に は 1 .9kV の 電 圧 を か け 、 バ ッ ク ガ モ ン か ら の 信 号 は使用せず、芯線からの信号のみを用いてエネルギ一分析した。 (1)TSW-PSPCに 関 し て は 、 図 1よ り わ か る よ う に 5つ ス リ ッ ト を 通 過 し た. [結果】. 熱 中 性 子 の イ ベ ン ト が 観 測 で き た 。 こ の よ う な デ ー タ を 使 っ て 、 TSW-PSPCの 位 置 分 解 能 力 を 調 査 し た 。 (2) N-PSPClに 関 し て は 、 図 2に 示 す よ う に 複 雑 な ス ペ ク ト ル 構 造 を 解 析 ソ フ ト Ori宮i nPro7.0Jを用いて明らかにした。 3 0日. 1 0 '. 1 1. 4keV(Np-L l ) OOkeV.<Cu)!14.0keV(Np-Lα) 1 0 't s .. 260. i/ …. . 1 7ke判 φAE2Z. ﹂. 一. 1 0 '. (Np-Lr). .L. 入. φCC句 P5. ( ∞ + ︿ ) 凶 ﹀ 匂ZUZ凶. 叫. 採. 、. f 4 ミ. 1 0 '. 1 0 '. 1 0 '. 60. 1 0 " O 600. 10. 20. 30. 40. 50. 60. エネルギー (keV). 1 4 0 0. C h a n n e lN u m b e r P O S I T I O NP ( A / ( A + B ) ). 図 2. N-PSPClによる 241Amか ら の. 図 1. TSW-PSPCに よ る 二 次 元 ス ペ ク ト ル. X 線、. (MA4. ls t、 1 .3気圧、 HV=1 .44kV). γ線 エ ネ ル ギ ー ス ペ ク ト ル. U. 00 可 ハ.
(16) 付録 2. 太陽光の紫外線による殺菌作用とそのメカニズム 島田幸治. [緒言]太陽光には大腸菌に対する殺菌作用とそれを回復させる光回復作用がある。本研究 では、大腸菌の正常な修復能を有する野生型株、各種. DNA修 復 能 欠 損 株 お よ び そ れ ぞ れ. の光回復能欠損株を用いて、太陽光が大腸菌の生存にどのような影響を及ぼすかを調べたo [ 実 験 ] 実 験 で は 、 次 の 大 腸 菌 株 を 用 い た 。 正 常 な 修 復 能 を 有 す る 野 生 型 株 ABl157;光回復 欠 損 株 I{Y1220 (ABl157+phl'-36) ;除 去 修 復 欠 損 株 I {Y1836 (ABl157+uη : A6 ) ;除 去 修 復 ・ 光 回 復 二 重 欠 損 株 KY1226 (KY1836+phr.36). 組換え修復欠損株 I {YI056. (ABl157+recA56);組 換 え 修 復 ・ 光 回 復 二 重 欠 損 株 I{Y1225(I{YI056+phr-36) ;除去・ 組 換 え 修 復 二 重 欠 損 株 KY1837 (KY1836+recA56) ;除 去 ・ 組 換 え 修 復 ・ 光 回 復 三 重 欠 損 株 KY1227(KY1837+phz--36)。これらの菌を LB培 養 液 で 一 晩 培 養 し た 後 、 生 理 食 塩 水 で. 10・2 に 希 釈 し て 太 陽 光 あ る い は 殺 菌 灯 紫 外 線 に 暴 露 し た 。 暴 露 後 、 大 腸 菌 を LB寒 天 培 地 に蒔いた。これらの培地を一晩インキュベータ ( 37C )で培養した後、コロニー数を測定 0. した o 生 存 率 は 、 非 照 射 群 の 平 均 コ ロ ニ ー 数 ( / 培 地 ) に 対 す る 照 射 群 の 平 均 コ ロ ニ ー 数 (/培地)の相対値として求めた。 [ 結 果 と 考 察 ] 除 去 修 復 能 の 欠 損 の 有 無 を 同 じ に し て 、 光 回 復 能 の 有 無 で 異 な る 3組 の 株 の 組 み 合 わ せ (A組 :AB1157VS. KY1220;B組 : I CY1836VS. KY1226・C 組 :ICY1837VS.. KY1227) で 調 べ た と こ ろ 、 い ず れ の ベ ア で も 光 回 復 能 の 有 無 に よ る 紫 外 線 感 受 性 の 顕 著 な差は認められなかった。一方、組換え修復能欠損で揃えて光回復能の有無で異なる組み. {YI056 株 は 光 回 復 能 欠 損 の I{Y1225 合わせで調べたところ、正常な光回復能を有する I 株 よ り も 約 3倍 高 い 紫 外 線 抵 抗 性 を 示 し た ( 図 1)。太陽光に対しても KY1056株 は 比 較 0 的 高 い 抵 抗 性 を 示 し た ( 図 2). c組 は 太 陽 光 に 対 し て は 、 光 回 復 能 を 有 す る. KY1837株. が比較的高い抵抗性を示した。これらは、明らかに太陽光の殺菌作用に加えて光回復作用 も 働 い た 結 果 と 考 え ら れ る o A組と B組 で は 、 太 陽 光 に 対 し で も 光 回 復 能 の 有 無 に よ る 差 は認められなかった。今後は実験室内でこれらの株の光回復能について詳細な研究が必要 である o. ハU. 附 M 除制. 問附枠制. 1 O ,j. . 2 I. 平成1 6 年1 月9日. 1 0. 1 0. O. 総量 ( J / m う. o. 1 0. 5 欄(分). 図1 .K Y 1 0 5 6 , KY 1 2 2 幼紫舛線照射. 図2 .K Y I 0 5 6 . K Y 1 2 2 5 の太陽鴫露. による生存曲線. による生存曲線 - 9 0-. 1 5.
(17) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. 低線量率放射線に対する p53遺伝子欠損ヘテロマワス胎仔の 突然変異応答 幸毅 美. j 可島 森田. [緒言〕成体マウス体組織における放射線による突然変異の誘発頻度は線量率を下げると低下するがゼ、ロ にはならない。これは幹細胞が不死であるからだと思われる o 細胞の自爆死(アホトシス)が活発に起き ている胎仔初期の組織では事情が異なるかもしれない。この可能性を検証するため本研究を行った。 〔材料と方法]放射線アホ・トーシスに必須な遺伝子 p53の欠損ヘテロマウス p5 3 .+1・)と正常マウス p53 . + I + )を用いた。 いずれも小腸繊毛の上皮細胞においてある種の糖鎖の発現を支配している遺伝子のヘテロ接合体 b a) である。これらのマウスの胎齢 1 ( D l b l / D l b l 0 . 5 日 (胎仔初期)、あるいは 1 3 . 5 日 (胎仔中期)に. C s 1 3 7 γ 線 を 線 量 率 3mGy/minで 2Gy照射した。同じ線量の高線量率照射群には X線 を 50cGy/min で照射した。すべての被ばくマウスから、出生後 1 0週齢時に、小腸空腸部のホ}V;79 ン固定・展開標本を得たロ この標本に特殊染色を施し、紋毛を茶色に染めた。この標本を検鏡し、紋毛の基部から頂まで続く白模 b遺伝子の突然変異による変異クローンとして検出した。検出された変異クトン数と観 様を紋毛幹細胞の D lb-l. 察した紙毛数に対する相対比として変異クローン頻度 Fを求めた。変異クロ}ン中高の紙毛周囲長に対する相対値 (クローンサイス守)の平均値ぐS> と Fとの積として突然変異頻度( J 細. z ω fを求めた。. 3 . 5日の p5 : J .+ I + )マウスに対する照射で、は、線量率を下げると高線量率照射の場合と [結果と考察]胎齢 1 0 . 5日 比 べ て 顕 著 に 低 い f値が得られたが、それは対照群の f値よりは高値で、あった。しかし、胎齢 1 の低線量率照射では、. f値は対照レベルにとどまり、突然変異は有意に誘-発されなかった(図 I左)。. 0 . 5日の p5 3 . . + / ・)マウスに対する低線量率照射で、は、対照頻度の 2 . 6倍高い頻度で突然変異が 一方、胎齢 1 誘 発 さ れ た ( 図 1右 ) 0 これらの結果は次のことを示唆する:胎仔初期の組織では、 DNA修復と協同し てアポトーシスが変異損傷を効率よく組織から消去するが、胎仔中期の組織ではアポトシスがおきにくくなって おり、線量率を下げても突然変異の誘発頻度はゼロにならなかった。ところが、胎齢 1 3 . 5日の p5 [ A + I ・ ) マウスに対する低線量率照射は突然変異を有意に誘発しなかった(図 1右)。高線量率照射群の f値も. p5EA+I+)照射の場合よりも顕著に低かったので、これは突然変異防御とは無縁の現象であろう o. 2 5. p5 [ A + I + ). 2 0. z高線量率 X線 2Gy. p5 : J .+ I ・ ). 図 低 線 量 率 γ線 2 G y. 図 低 線 量 率 γ線 2 G y ~高線量率 X 線 2Gy. O H Xヤ. 出. 1 5 1 0. 5. 。. 対照. 1 3 . 5日 対照. 1 0 . 5日. 図 1.胎仔初期 ( 1 0 . 5日)と中期 ( 1 3 . 5日)の放射線照射による突然変異頻度 f( J 細胞) 口 叫d.
(18) 付録 2. 胎児期マウスの生殖細胞で特異的に発現する遺伝子の 転写動態におよぽす放射線の影響 嶋田聖. く目的> 若い生殖細胞は放射線に弱いことが知られているが、マウスが胎仔中期以降に少々の放 射線を浴びても妊性は顕著に低下しない。この矛盾を解くために、若い生殖細胞に特異的 な 増 殖 因 子 MVHの 遺 伝 子 の mRNAへ の 転 写 量 を 指 標 に し て 、 胎 仔 中 期 と 新 生 仔 最 初 期 の 生 殖 細 胞 に お よ ぼ す X線照射の影響を調べた。 く材料と方法〉 胎 齢 13.5 日 あ る い は 出 生 後 1 日の ICRマ ウ ス に 線 量 率 50cGy/minで X 線 を O.5.-....., 2Gy照 射した。照射後適時に各被曝群と非照射対照群から、胎仔あるいは新生仔を採取した o そ れ ら の 下 半 身 2.-....., 3個 体 分 を 1サ ン プ ル と し 、 各 サ ン プ ル か ら 全 RNAを抽出した。その RNA 中 に 含 ま れ て い る MVH の mRNA と 細 胞 非 特 異 的 に 常 時 発 現 し て い る 8ア ク チ ン の mRNAの相 補 的 DNA (cDNA) を 増 幅 合 成 し た o 得 ら れ た cDNAを ア ガ ロ ー ス 電 気 泳 動 に 供 し 、 そ れ ぞ れ の cDNAに 相 当 す る バ ン ド の 濃 さ (OD値)を測定した。この値は、抽出した全 RNA中の lnRNA の 存 在 量 と 相 関 す る o 各 サ ン プ ル 中 の MVHの r n R N A量は Hア ク チ ン cDNAの OD値 に 対 す る MVH cDNAの OD値の比として求めた。 く結果と考察> 非 照 射 対 照 群 に お け る MVHmRNA発 現 量 は 胎 齢 13.5 日から 3 日 後 ま で 増 加 し 、 胎 齢 16.5 日 か ら 出 生 後 6 日 ま で 増 加 し た レ ベ ル を 保 っ た ( 図 1、 2)。胎仔中期照射では、照射 3 ' " ' ' 5 日後に全ての被爆群で、 MVHmRNA発 現 量 が 検 出 限 界 内 で ほ ぼ 完 全 に 抑 制 さ れ た 。 こ の 抑 制 1 日後)の測定で 状 態 は 出 生 1 日後(照射 6 日 後 ) ま で 確 認 で き た が 、 出 生 6 日後(照射 1 は 、 い ず れ の 被 爆 群 で も 対 照 レ ベ ル の 転 写 量 が 記 録 さ れ た ( 図 1)。新生仔・最初期照射で は 、 照 射 1 日後に lGy と 2Gyの 被 曝 群 で 転 写 が 完 全 抑 制 さ れ て い た が 、 5 日 後 の 測 定 で は 対 照 レ ベ ル あ る い は 対 照 レ ベ ル 以 上 の 転 写 量 が 記 録 さ れ た ( 図 2)。 こ れ ら の 結 果 は 、 若 い 生殖細胞が放射線に弱いことを確認すると同時に、その細胞集団が放射線障害からの高い 回復能を有していることを示す。本実験で測定した転写量は健全な生殖細胞数を反映する と 仮 定 す る と 、 官 頭 に 述 べ た 矛 盾 は 解 け る o 得られた結果には、 MVHmRNA発 現 の 抑 制 に 関 して、胎仔期と新生仔期の間で生殖細胞の放射線応答に違いがあることを示す情報も含ま れている o 上 記 の 仮 定 の 正 当 性 と こ の よ う な 情 報 の 意 味 す る と こ ろ は 、 今 後 の 課 題 と し て 残った。 綿 一 。. 1 . 0. 。. │一一一主. . J : J . -一一一一一一一-一一ー一'-6.. -/a84um/ / ← 一対照 / 〆. 〆. - A. 0 . 6 1り ;泌ぶ"…;ァーー平ニ山一一川町一つ 〈口 4. ///1Gy. /021/. r//J. 今/. r:- O.O~ ---- 一一』 γ--------- つニニー. 1 1. ' 1. 3. 5. 照射後の時間(日). 図 2. 新 生 仔 最 初 期 ( 出 生 後 1 日 ) 照 射 の 影 響. -9 2-.
(19) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. 中等教育におけるエネルギー教育の現状とあり方の考察 伊地兼弥. 〔はじめに〕我々は、豊かで健康な生活を今後も維持することを望むなら、エネルギーと 環境問題からは永遠に逃れることはできない。この問題の解決策として、「新エネノレギーの 開 発 J、 「 省 エ ネ ル ギ ー の 奨 励 J、「原子力の推進 J が 国 策 と し て 進 め ら れ て い る 。 しかし、国民のエネルギー・環境問題への意識はまだ低く、原子力に至つてはなかなか 理解されていない。近年、文部科学省は中等・高等教育におけるエネルギー・環境教育の 重要性を指摘し、教科書の充実や総合的学習の時間などでの取り組みを指導しているが、 その実体は満足できるものでなく、さらなる教育の充実や教材の開発が望まれている o 原子力を学び、教員を希望する私にとって、エネルギー・環境教育のあり方を検討する ことは極めて意義深いと考える o 昨年、本研究室で初等・中等教育におけるエネルギー教 育の現状について教科書を中心に調査された。引き続き本年度は、中学校の理科の教科書 を中心に調査し、エネルギー・環境教育の現状と今後のエネルギー教育の充実を考察し、 有効的教育方法の提案を行うことを目的としたo 〔調. 査〕中学校のエネルギー・環境教育は、国語、社会、理科で取り扱われているが、. 今 回 理 科 に つ い て 、 採 用 頻 度 の 高 い 教 科 書 5社 を 選 び 次 の 調 査 を 行 っ た o ①エネノレギー・ 環境全般の現状記載内容②様々なエネルギーをどのように説明しているか③原子力・放射 線の記載内容④エネルギー・環境問題について将来の展望や提言の解説記載内容 〔中等教育におけるエネルギー教育の現状〕調査①は、エネルギーの需要、供給、資源、 人 口 問 題 な ど 各 社 濃 淡 は あ る が 1分 野 で 、 環 境 に つ い て は 酸 性 雨 や 大 気 汚 染 な ど が 2分野 で取り扱われていた o ②は、エネルギーの本質を理解できるよう、実験教材を用い記載さ れていた口③は、各社原子力の取り扱われ方は様々であった o 一方、新エネルギーについ て は 締 麗 事 の 解 説 が 多 か っ た o④は、日本の政策を支持するような具体的な提言は少なく、 抽象的な表現で教諭の授業に委ねられた表現が目立った. D. 〔エネルギー・環境教育への提案〕子供たちが現実を正しく理解し、総合的にエネルギー・ 環境問題を考察し、将来正しい判断ができる教育を目指し、実験・実習を主体とした教育 が必要である o. r エネルギー J 、「環境 J、「生活 j の. 3つ の 分 野 の か か わ り を 教 育 す る に は. 理 科 教 育 だ け で は し き れ な い そこで滞在体験型総合学習ができる施設教材を提案したい白 D. 「総合的な学習の時間 j を 活 用 し 、 各 自 テ ー マ 持 た せ 、 滞 在 体 験 生 活 を 通 し 、 電 気 や 熱 エネルギーの発生機構を取得し、作られたエネルギーの利用を体験してその有効性、効率 性、環境への影響等やエネルギーの大切さを学ぶ。また、生活廃棄物を環境に考慮し処理 する o こ の 学 習 を 各 自 発 表 し 合 う こ と で 原 子 力 エ ネ ノ レ ギ ー の 必 要 性 も 理 解 で き 、 さ ら に 社 会・政治・経済問題や歴史、倫理へと幅広い総合学習教育へと波及するものと考える o. -9 3-.
(20) 付録 2. ヌマムラサキツユクサの染色体に及ぼす放射線の影響. 西長浩貴. [ 目. 的]大型の染色体をもっ植物は放射線の染色体損傷作用に対して高い感受性を示す。. そ の 代 表 例 が 、 染 色 体 数 が 2n=12と 少 な く 、 分 裂 中 期 染 色 体 の 大 き さ が 10μmを超える ヌ マ ム ラ サ キ ツ ユ ク サ で あ る o 本研究では、この権物の減数分裂期の細胞(花粉母細胞)に おける X 線 の 染 色 体 損 傷 効 果 を 小 核 の 誘 発 頻 度 を 指 標 に し て 調 査 し 、 こ の 系 が 本 学 原 子 炉 で得られる速中性子の生物影響研究に適しているかどうかを検討した。 [材料・方法]ヌマムラサキツユクサの未開花の花序(奮)に、 X 線 4Gyを 線 量 率 95cGy/min で照射した後、適時長さ 3 ' " ' ' 3 . 5 m mの 奮 か ら 蔚 を 取 り 出 し 、 酢 酸 ダ ー リ ア 染 色 一 押 し つ ぶ し 法 に よ っ て プ レ パ ラ ー ト を 作 成 し た 。 こ の プ レ パ ラ ー ト を X400の顕微鏡下で観察して、 減数分裂完了期(四分子期)の細胞における小核頻度を測定した。ついで、同じ方法を用 い て 、 低 線 量 域 の X 線量と小核頻度の関係、を調べた。 [結果・考察]図 1 に示しているように、 X 線 に よ っ て 誘 発 さ れ た 小 核 頻 度 は 、 照 射 19 h後 で 最 高 値 を 示 し た 。 こ の 結 果 に 基 づ い て 、 線 量 効 果 関 係 を 調 べ る 実 験 は 、 照 射 後 の サ. ン プ リ ン グ 時 間 を 20hに 固 定 し て 行 っ た o その結果、図 2に 示 し て い る よ う に 、 小 核 頻 度. 0 ' " ' ' 4 0 c G yの 範 囲 内 で 線 量 に ほ ぼ 直 線 的 に 比 例 し て 増 加 す る こ と が 明 ら か に な っ た o こ は 1 11000細 胞 /10cGy) は 61 .2+1 6 . 6と 推 定 さ れ の 線 量 効 果 関 係 か ら X線 に よ る 小 核 誘 発 率 (. 0.2が 4Gy照射後 19hの頻度(図 1) か ら 得 ら れ た o この一致は、 たo ほ ぽ 同 じ 誘 発 率 6 こ の 系 に お け る 小 核 誘 発 頻 度 と X線 量 の 関 係 は 0.1"-'4Gyの 広 範 な 線 量 域 で 直 線 的 に な る ことを意味する。 原 子 炉 速 中 性 子 の 線 量 率 は 20cGy/hに す ぎ な い の で 、 た と え 高 い RBE値 が 期 待 さ れ て も 、 そ の 照 射 実 験 に は 10cGy程 度 の X 線 で 顕 著 な 効 果 が 検 出 で き 、 そ の 効 果 が 高 線 量 域 まで直線比例するような系が望ましい。本研究で用いたヌマムラサキツユクサの小核検出 系はこれらの条件を満たし、この系を用いると数分程度の原子炉照射で解析に耐えうるデ ータが得られると思われる o 3000. 題. 寝. 室2000. 400. X線 4Gy. 照 射 20h後. 襲 綴 S200. ¥¥. 制 緊 1000 ~. 。 。. 100. 5. 10. 1 5. 20. 2 5. 30. 。 。. 10. 20. 30. 線量 (cGy). 照射後の時間 (h). 図2、X線量と小核頻度の関係. 図 1、小核頻度の経時変化. 9 4-. 40.
(21) Vol .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. 修士論文 発表時間. 一人 20分(講演 1 5分、討論 10分). Fhu. Qd.
(22) 付録 2. モンテカノレロ法よる核破砕反応生成物核種収率の計算 原子核工学. 岸本安史. [序論] 原子炉の高度化に伴いマイナーアクチニドや、長寿命核分裂片の処理などに、 ADS ( 加 速器駆動未臨界炉)の研究が行なわれているが、そのための高エネルギー核データが不足 している。現在さまざまな計算モデ、ルを用い計算が行なわれている o 本研究では核内カス ケード過程をモンテカルロ法で扱う計算コード NMTC/JAMを用い、核破砕反応生成物 核種収率の計算を行い、このモデルの再現性を実験データと比較検討することにより、こ のモデ、ルの検証を行なった。 [理論]. NMTC/JAERI97 コードの改良版として,高エネルギー粒子輸送コード NMTC/JAM が日本原子力研究所で開発された。 NMTC/JAMは核内外のカスケードモデルとして高エ ネルギー核反応コード JAM を導入することにより、その適用エネルギー範囲を原理的に は,核子,中間子に対して最大 200GeVまで計算できる。また、蒸発,核分裂過程に対し て GEMモデルを導入することにより,励起した残留核からの軽い核分裂生成収率の計算 ができる O. [結果] F i g . lには. 190MeVの陽子が入射した場合の生成核種の質量収率を示す。この F B )をそのまま用いた場合の計算値(破 コードに組み込まれている Myel'らの核分裂障壁 ( 線)は収率を過小評価する傾向があることが分かる。このため蒸発過程を計算する GEMモ デル中の FBを調整して理論計算してみたところ、この場合には FBを 0 . 9倍したとき良 好に再現することが分かつた。 F i g . 2には入射エ不ルギーを変化させたときの 238Uの質量 197Au に. 収率が描かれている。この場合には、対称分裂領域で、やや過小評価の傾向が見られるも ーーー圃 NMTC/JAM(FBx0 . 9 ) .0 ) - - NMTC/JAM(FBX 1. 2. 1 0. 0. 1 0. 1 0I 弘 (ポ)力一 一. 、 、 戸 〆 」 コ. ω. g. 0. b 1 0. " i '. 1一 一 ー NMTC/JAM(n(20MeV)). ・ 2 ・EXP(n(20Me V ) ). ーNMTC/JAM(n(200MeV)) ~ EXP(n(200MeV)). 1 0・1 1 0・2 1 5 0. 5 0. 2 0 0. A ( a m u ). F i g1 197Au+p( I90MeV)の質量収率分布. A(amu). F i g2 238U+nの入射エネルギーごとの質量収率. -9 6-.
(23) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. のの、 Myerらの FBで、入射エネルギーの依. •. 存性が良好に再現できることが分かつた。 次に F i g . 3に 2 0 6 P bの中性子スベクトノレを 示す。高エネルギーの中性子スベクトルが実 験データと比較して過小評価していること. 5. 1 0. p 〉. がわかった。. - . . ‘ ・ ・ “. 二 三. [考察] 入射エネルギーが高いときの反応は、核分 裂の反応が起こる前に中性子や陽子が数個. EXP. - -NMTC!JAM(全中性子スペクトル) ー -NMTC!JAM(核分裂以外の中性子スベクトノレ . ..官~・ NMTC!JAM(核分裂中性子スベクトノレ). 』. u). ~1O守. : : l . ). よ. 放出され、それから核分裂がおこる。計算の. 3 1 0. 結果、実際に核分裂した主な物質は Z=79、 1. 0. 1 0. A=190、FB=18.028MeV の 1 9 0 A uとなり、. 1 0. 2 1 0. N e u t r o nEnergys(MeV). このときの f i s s i l i t y parameterは FP=34.7 となっている。すなわち、核分裂前に陽子. 5 0 nununU. f i s s i o nb a r r i e rの値は不確かさが大きい。ま た 1 9 0 A uは魔法数(Z=82、 N=126)の近傍に. 6 0 4‘ nJ ι ω ω正 ( ﹀ω妄 一七 ω﹄口O ) ﹂ω. 1個と中性子 7個放出した核種が核分裂を起 したと考えられる。 f i s s i o nb a r r i e rのグラフ をF i g . 4~こ示す。実際に核分裂を起している 物質は数個の粒子を放出した天然には存在 しない非常に不安定な物質で、このときの. F i g . 32 0 6 P b + p ( 5 9 0 M e V)の中性子スペクトル. 円. 存在し、 s h e l l効果が効くことも考慮、しなけ. n u. , . 噌 . .. ればならない。したがって、 Myerらの値の 0 . 9倍になる FB=16.2MeVという低い FB 採用することは物理的に不自然ではない。 中性子スベクトルを核分裂性中性子スペ クトルと核分裂以外の中性子スベクトノレに. O. 2 0. 3 0. 4 0. 5 0. F i s s i l i t yparameter ( Z2/ A ). F i g. 4 F i s s i o nb a r r i e r. わけで見てみると、高エネルギ一成分がかなり、過小評価されていることが分かる。これ は NMTC/JAMには核内カスケード過程と蒸発過程の中間に存在する前平衡過程を考慮に 入れていないためであろうと推定される。 一方、アクチニド領域の物質は F i g . 4に見られるように、 FBの値の変動幅がノj ¥さいため、 質量収率の入射エネルギー依存性に対しては良好に再現できたと考えられる。 以上の結果から、アクチニドよりも軽い核種の核破砕反応を扱う場合には蒸発モデ、ルで、 ある、 GEMモデルの中で使用する FB値の不確かさに留意することが必要で、あることがわ かった。. - 97 -.
(24) 付録 2. 239PUの共鳴領域における遅発中性子収率の微細構造. 原子核工学. 鳥居. 敬之. 【序論】 遅発中性子は増倍率変化で起こる原子炉炉心内中性子数の時間挙動に大きく関与するも のであり、遅発中性子収率の評価データの正確性はそれらの原子炉動特性において重要な 役割を担っている。しかし、. 239PUの遅発中性子収率の評価データには未だ不確かさが存在. する。また、遅発中性子収率は入射エネルギーに依存していることが知られている。これ は入射エネルギーの変化に伴い、核分裂生成物の質量収率が変化することが実験データに より明らかにされているからである。しかし、物理的根拠は未だ解明されていなし、。 前年度までの研究により. 235Uでは、熱中性子の場合と入射エネルギーにおける遅発中性. 子収率の比率は負の共鳴(逆共鳴構造)となることが明らかにされている。本研究では、. F.-J.Hambschが提示した実験データを. 239PUで、マルチモード、核分裂モデ、ルの理論を用いて. 基に解析を行い、共鳴領域における遅発中性子収率の入射エネルギー依存性を解析した。 【解析方法】 全遅発中性子収率の評価は総和法を用いて行った。総和法とは、核分裂によって生成さ れるそれぞれの先行核から放出される遅発中性子数を積算することにより、全遅発中性子 収率を求める方法である。全遅発中性子収率. 1 ノd = =~. Vdは. Yi• Pni. で表される。 Y iお よ び P n iは、それぞれ核分裂によって生成された先行核 iの核分裂収率 と遅発中性子放出確率である。 質量収率 Y iの計算はマルチモード核分裂モデルを、各モードの分岐比を F .-J.Hambsch のデータを用いて計算し、 Wang-Fuchengの 計算法を基に即発中性子放出後の質量分布を 求め、電荷収率分布と奇偶効果因子、各異性. 0 . 6 Fヲ. F. , 圏 、. 体効果因子を掛け合わせて求めた。. 何. 0 . 6. 0 . 4 0 . 3. F .-J.Hambschは 、 Pu2 3 9の 1+共鳴にお. 502. ける核分裂の質量収率が熱中性子核分裂に比. S01 〉 0 . 0. F i g . l ]。本研 べて変化することを見出した [ 究では、この実験データに基づき 1+共鳴にお. i g . lにおける高さを再現す ける解析を行い、 F c a s e A ) と、重要な先 るように飢した場合 (. 、 - ・0.1 +. F. 1. M. 之 ω 〉. 凶 ー 0 . 3 ・ 0 . 4. 70 80 90 100 110 120 130 140 160 160 170. Fragment Mass, [amu]. A = 8 5 1 0 0, 1 3 7 )付近の再現に重点をお 行核 (. c a s e B ) で、の計算を行った。 いた場合 (. F i g . 1 J = 1 +共鳴における核分裂収率の変化. OO. Qd.
(25) Vo l .4 1( 2 0 0 4 ). 近畿大学原子力研究所年報. Wahl らによる評価データに加え、 Kratz -Herrmannによる評価データ (KHF) を用いて、 Pni値の違いによる遅発中性子収率の変 化を調べた。 【結果】 1 .4 x 1 0 WAHL ・F i g . 2は Wahlと KHFの評価データにつ ・ --KHF 1 .2 x 1 0 いて、熱中性子核分裂における先行核ご A=137( I ) との V d収率を示した図である。 Pni値の l .O xl O ' ~/ 違いによって、特に重要な先行核ごとの A=94(Rb) A=98.99(Y) E8 . 0 x 1 0 ' . V d収率が大きく変動し、総遅発中性子収 . . ¥:/ > -6.0x10 2 。 率も異なってくる。 KHFは系統式による 4 . 0 x 1 0 " 評価データであるが、 Wahlは実験結果と 理論式による評価データであり、信頼性 2 . 0 x 1 0.• は高いといえる。 0 . 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0 8 0 1 6 0 • F.-J.Hambschの実験結果から、各モード MassNumber の分岐比は入射エ不ルギーに依存してお F i g . 2 熱中性子核分裂における遅発中性子収率 り 、 Pu-239 で は 多 く の 共 鳴 に お い て Standard-1成分が減少、 S t a n d a r d 2成分が増加している。 Standard-2のウエイトの 高い入射エネルギーで、大きな V d値を示しているから、 V d収率には S tandard-2成分(特 に A=94(Rb),98, 9 9 ( Y ),1 3 7 (1)成分)が大きく寄与している。 •F i g . 3,4は共鳴領域で、 caseAおよび caseBで、のそれぞれの入射エネルギーにおける V d値を、 J= 1+の場合と熱中性子の場合の比率で示した図である。 C aseAでは正の共鳴 . 5 ' " ' " ' 2 .0%である。 CaseB では全体では正の共鳴構造を 構造を示し、その増加率は約 o 示すが、 S tandard-2成分が熱中性子と比べて減少している共鳴で逆共鳴構造をとる。 遅発中性子放出確率である. Pni値は、従来の. 3. ート・. 3. 3. 間. .. Q). ~. ). 叫. 1 . 0 3 0. 1 .030. WAHし-data. WAHL-data. 1 . 0 2 5. 1 . 0 2 5. 1 . 0 2 0. 1 . 0 2 0. 間. E. 1 . . .. 伺. E. 11 .0 1 5. 1 .015. . , . 、. 1 。 目10. 、、. 1 . 0 0 5. 出. ). 可3. ; : . 、、 〈. τコ ; : : , .. E. 出. 1 .0 1 0. E. 可2. 1 . 0 0 5. 宅 コ. ミ =. h. 1 .000. 1 . 0 0 0. 0 . 9 9 5. 0 . 9 9 0 0. 0 . 9 9 5. 0 . 9 9 0 50. 1 0 0. 1 5 0. 0. 2 0 0. NutronEnergy(eV). 5 0. 1 0 0. 1 5 0. 2 0 0. NutronEnergy(eV). F i g . 3 CaseAにおける遅発中性子収率の共鳴構造. F i g . 4 CaseBにおける遅発中性子収率の共鳴構造. -9 9-.
(26) 付録 2. - 1 0 0-.
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