Title
Undesirable Drug-drug Interactions in Dogs : The Effects of the
Inductions of Hepatic Cytochrome P-450 Enzyme and Plasma
α1-acid Glycoprotein by Phenobarbital Treatment( 内容・審査
結果の要旨(Summary) )
Author(s)
北條, 隆男
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第114号
Issue Date
2002-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2168
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 北 榛 隆 男(長崎県) 博士(獣医) 獣医博甲第114号 平成14年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 Undesirabledrug・druginteractionsindogs: Thee飴ctsoftheinductionsofhepatic CytOChromep・450enzymeandplasma αl・aCidglycoproteinbyphenobarbital treatment (イヌにおける有害な薬物間相互作用:フェノバルビタール 投与による肝チトクロームp-450酵素とα1-酸性糖蛋白 の誘導の影響) 主査 東京農工大学 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 東京農工大学 副査 岐阜 大 学 授 授 授 授 授 教 教 教 教 教 久 小 西 一致 男 郎一 栄 昌 晴 利 成 江 村林崎 森 久 ヽ 一一一一 ヽ J一】 ヽ 小 岩 小 論 文 の 内 容 の 要 旨 本論文は、抗てんかん臨床用量のフェノバルピタール(PB)による酵素誘導作用をテー マに、イヌにPBを長期投与した際の薬物間有害相互作用を研究したものである。 論文は5つの章から成る。1章では研究の背景と目的を、2章から4章には実験研究 を、5章では総合討論を記述している。2章では、PBの肝CYP活性と血菜中α-1酸性 糖タンパク(AGP)濃度に対する影響について、抗てんかん臨床用量のPBが、CYP酵 素と血菓中AGPを誘導することを記述した。PBを35日間投与し、その間、アンチピ リン(AP)の全身クリアランス(Cltot)と血渠中AGP濃度をモニターした。その結果、 Cltotは最終的には投与前の約3倍、血菜中AGP濃度は約4倍に増加した。PB投与後 35日目の摘出肝からマイクロソームを抽出して血豆ぉりでCYP含量と酵素活性を測定 し、CYP分子種の誘導の程度を調べた。CYP含量は約2倍になった。Ⅴ甲aX値はCYPIA、 2B、2C、3Aの活性がそれぞれ、2.4、3.2、2.3、4.1倍になった。2章の結果から、PB -225一
を長期投与した状態だと、他の同時投与された薬物の体内動態が変化することが予想さ れる。そこで3章では、PB長期投与のテオフイリン(TP)、フエニトイン(PT)、キニ ジン(QN)の動態に対する影響を検討し記載した。これらはそれぞれ、CYPIA、2C、3A のプロ「ブである。その結果、TPの動態パラメーターにPB投与前後で有意な差はな く、CYPIAは誘導されないと考えられた。PTはPB投与によりCLtotと固有クリアラ ンス(CLint)ともに約2倍に増加し、QNのCLintはPB投与により3倍、Vdssは半 分になり、CYP2Cと3A、さらに血簾中AGPの誘導が、元=血相でも証明できた。 以上の結果を受け、4章ではPB投与下でのQNの適正投与法について検討し記載し た。QNをPB投与前後で経口投与し動態パラメーターを求め、血衆中QN遊離型濃度 時間プロフィルをシミュレーションした。その結果、PB長期投与後では、通常のQN 投与計画では遊離型濃度は治療濃度に達しないこと、投与量を増やすと遊離型血衆中濃 度が治療濃度域から上下にはみだすこと、これを是正するためには2.7時間という非現 実的な投与間隔で投与しなければならないことが判明した。従って、PB長期投与して いる犬へのQN投与は、点滴または徐放製剤の使用を考慮するべきである、と結論した。 以上の実験結果を解析し、内外の文献と照合して、■5章で総合考察をまとめた。要す るに、てんかん治療にPBを長期投与している場合は、肝CYP2Cと3A、さらに血祭中 AGPが誘導されること、この状態で他の薬物を同時投与すると、その薬物の体内動態が 大きな影響を受ける場合がある、ということである。論文の最後に、具体的に影響を受 ける薬物として、CYP2C関連では、非ステロイド系抗炎症薬、ベンゾジアゼピン系薬 物など、CYP3A関連ではキニジン、ニフェジピン、ミグゾラム等、AGP関連では、キ ニジン、イミプラミン、リドカイン等を挙げ、具体的に注意を喚起している。 審 査 結 果 の 要 旨