里山周年放牧繁殖牛の除角がその後のBody
Condition Scoreおよび繁殖成績に及ぼす影響
著者
中島 良文
雑誌名
鹿児島大学農学部農場技術調査報告書
巻
1
ページ
34-34
URL
http://hdl.handle.net/10232/9735
里 山 周 年 放 牧 繁 殖 牛 の 除 角 が そ の 後 のBody Condition Score お よ び 繁 殖 成 績 に 及 ぼ す 影 響 中 島 良 文 (第41回 西 日本 畜 産学 会 講 演 要 旨)1990.11.6.佐 賀 市 はが くれ 荘 目 的:除 角 に よ っ て牛 の個 体 間 競 合 を緩 和 す る こ とで 肉 用 牛 を群 管 理へ 移 行 させ,特 に低 生 産 性 下 に あ る 肉用 牛 繁 殖 経 営 を改 善 す る こ とが推 奨 され て い る 。里 山放 牧 で の繁 殖 牛 の生 産 で は放 牧 だ けで 飼 料 が 足 るケ ー ス は 少 な く,な ん らか の形 で飼 料 を補 給 す る必 要 が あ り,飼 料 補 給 時 の 競 合 緩 和 対 策 は重 要 で あ る 。 本調 査 は里 山 で の周 年 放 牧 条 件 下 で,特 に,冬 季 に飼 料 を補 給 しなが ら管 理 して い る牛 群 に対 す る 除角 の効 果 をBody Condition Scoreの 推 移 と繁 殖 成 績 で 検 討 した 。 方 法:薩 摩 郡 甑 島 の 里 村 にあ る岸 牧場 で は15ヘ ク ター ル の急 傾 斜 地 の里 山 を利 用 し,周 年 放 牧 で 26頭 の 繁 殖 牛 を飼 養 して い る 。 しか し,秋 季 か ら早 春 にか け て草 量 が 低 下 す るた め,こ の 時 期 に はい ね 藁,焼 酎 カス お よび濃 厚 飼 料 等 を補 給 して い たが,競 合 の た め 栄 養状 態 の バ ラ ツキ が 大 き く,繁 殖 成績 も低 下 して い た 。 こ の た め平 成 元 年12月20日 に最 高 齢 で劣 位 の 1頭 を 除 い て 全 牛 を除 角 し,栄 養 状 態 お よ び 繁 殖 成 績 の 改 善 を 計 ろ う と した 。Body Condition Scoreの 評 定 は 除 角直 後 の12月29日 か ら平 成2年7月30日 の 間 に,6月 を 除 い て,月1回 個 体 ご とに2名 で評 定 した 。更 に,除 角 前 後 の繁 殖 成 績 を比 較 した 。 結 果:除 角 直 後 のBodyConditionScoreは2-か ら4+の 間 に分 散 して い た が,40日 後 に は3を 中 に2か ら4+の 間 に分 散 した 。 そ の 後2月 か ら5月 に か け て すべ て の牛 のScoreが2+以 上 にな り,7月 に は3-か ら4の 間 に 分 散 した 。 除角 直 後 のScoreが2程 度 で あ っ た 牛 は 3ヵ 月 後 に は3程 度 に改 善 され た。 ま た,1か ら2産 の 若 い 牛 は 除 角 直 後 のScoreは2-で あ っ た が,次 第 に改 善 され て7月 に は3と な った 。 しか しなが ら,受 胎 に要 す る 日数 は 除 角前 が116.6±64.3日,除 角 後 が133.6±69.5日 で,有 意 な差 は 認 め られ ず,む しろ 低 下 す る傾 向 に あ っ た。 以上 の こ とか ら,里 山放 牧 で の 繁 殖 牛 管 理 で も,除 角 は牛 の 栄養 管 理 上 有 効 で あ る こ と が判 っ たが,除 角 そ の もの が 直 接 的 に繁 殖 成 績 を向 上 させ る要 因 とは な りえ な い た め,繁 殖 成 績 向上 の た め に は独 自の 改 善 策 が 必 要 で あ る と考 え られ た 。 -34一
