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食品由来植物成分による健康促進効果の分子メカニズムの解析

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Academic year: 2021

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氏 生年月日

学位論文審査結果の報告書

名 本籍(国籍) 学位の種類

昭禾U・f毛國

大阪府 学位記番号

学位授与の条件

(博士の学位) 米野雅大 博 3年4月 論文題 る 第

学位規程第5条該当

士 2 5日 (工 学位論文受理日

判立論文審査終了日

審査委員

食 康 厶 学) 口 口口 51 促 の 由 進 停 号 来 仂 析 植 平成31 平成31 果 物 の 成 ノJ (主査) (副主査) 指導教員 刀 ⑳ 子 メ 28 8 よ (副主査) (副査) 力 尾崎嘉彦 芦田久 芦田久 東慶直 ガ、ヌ、

叱、E 烹y

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日日

1

月月

年年

目健

1 2

(2)

植物性の食品に含まれる非栄養性の成分がもっ健康増進効果が注目されてぃる。それらは、生体

内に取り込まれて効果を発揮するものだけでなく、腸内細菌に作用することで間接的に宿主に具づ響

を及ぼすものを含む。本研究では、ポリフェノールの細胞内オートファジーを介した抗炎症作用の 細胞レベルでの解析、植物性多糖のビフィズス菌増殖メカニズムの解析、および「梅ポリフェノー

ル(梅PP)」力明巴満モデルマウスの腸内細菌叢に与える影響の解析の3つのテーマにっいて検討

を実施した。

第2章では、ポリフェノールの慢性炎症抑制機構にっいて解析した。ポリフェノール類には抗火

症作用やオートファジー活性化作用をもっものがあるが、両方の作用をもっポリフェノールも報比

されている。そこで、炎症の抑制にオートファジーが関与する可能性を検討した。 RAW264.フマク ロファージ細胞株を用いて、オートファゴソームマーカーであるLC3(Miaotubule、.部od.t。d Protein U電htchain3)の蛍光免疫染色により、炎症前、炎症時、炎症終了後の各フェーズにおけ るLC3の集積を観察したところ、炎症終了後1 2時問においてドットの集積、すなわちオート

ファジーの活性化が見られた。このときに、態Tのりン酸化及びmTOR(Momm.1ねnt訂8。t。f

rapamycin)の脱りン酸化が観察されたことから、炎症終息時にmTOR依存的オートファジーが活

性化されていることが明らかになった。次に炎症時のマクロファージをアミノ酸飢餓に晒しオート

ファジーを活性化させたところ、一酸化窒素や炎症性サイトカインの産生が抑えられた。自然免疫

レセプター(TLR;T011・ⅡkeルCopt0りの細胞内シグナル伝達経路のうちMyD88依存型のものにおい

て、 TRAF6 (TNFreceptorassociated「actot6)が重要な役御」を果たすことが知られてぃる。

T弘F6と選択的オートファジーに関わるアダプタータンパク質であるP62が相互作用することを免

疫沈降法により明らかにした。 TRAF6とP62は炎症反応のどのフェーズにおいても結合してぃた

が、 TRAF6・P62複合体は炎症反応が終息するにっれてその量が減少した。 TLR4シグナルは AKT/mTOR1蚤路を介してオートファジーを調節し、その活性化オートファジーによるTRAF6- 62 複合体の分解が炎症シグナル減弱に大きく関与してぃる可能性が示唆された。ポリフェノールの1 種であるレスベラトロールもオートファジーを活性化し、炎症性サイトカインである丘、6

qnteHeU亙n・6)遺伝子の発現を抑制した。以上の結果は、細胞内における新規の炎症終息機構の解

明であり、抗炎症効果を有する新たな化合物の探索にも応用できる可能性がある。

3章では、幅広い年代のヒト腸管に見られる善玉菌の代表的菌種であるB伍dobacten'uml。n m

Subsp.10n今Um におけるアラビナン分解に必要な 2つの新奇α・L・アラビノフラノシダーゼを解析し

た0 アラビノース含有多糖類やオリゴ糖類は、 B.10n8Um subsp.10n3・umの増殖を促進させること

が知られているが、その分解経路は明らかにされていない。そこで、 B.10n号Um subs .1。n mゲ

ノム中の未同定の糖加水分解酵素ファミリー43 (GH43)酵素を含む遺伝子クラスターに着目し、

そのうちの2遺伝子をクローニングし、組換え酵素の性質を調ベた。 B拾tafc (BLLJ_1852)及び

BIAta母(BLLJ_1853)は、いずれもP・ニトロフェニル・α・L・アラビノフラノシドに対して作用するα

、レアラビノフラノシダーゼであった。 BMrafCは、アラビナンおよびアラビノキシランの両方の側

鎖に見出されるα1,2・およびα1,3・L・アラビノフラノシル結合を加水分解した。

言△ ク、 ^

(3)

一方、 BIAra母はアラビナンにのみ作用し、アラビナン主鎖のα1,5、L・アラビノフラノシル結合を 特異的に加水分解した。 BIA,afCおよびBIA,a冊を共存させることで、これら2つの酵素がアラビナ ンを協調的に分解し、相乗効果を示すことを明らかにした。 BLLj_1850からBLLJ_1853までを含 むGH43遺伝子クラスターを欠損するB.10口召'um NCC2705はアラビナン培地では増殖せず、 BIAtafCとBIAra佃がアラビナンの資化に重要であることを示した。以上の結果は、ビフィズス菌の ヒト成人腸管ヘの定着機構を明らかにするものであり、また新規のプレバイオティクス創出の手が かりとなりうる発見である。 4章では、肥満モデルマウスに対する「梅ポリフェノール(梅PP)」のプレバイオテバック効 果とビフィズス菌増殖メカニズムについて解析した。梅干し製造時の副産物として生じる梅酢から 合成吸着剤を用いて調製された梅PPは、約12%のフェノール化合物と約65%の糖質を含む機能性 食品素材である。本研究では、高脂肪食で誘導した肥満モデルマウスに対する梅PPのプレバイオ ティツク効果を評価した。 5週齢のC57BL/6JkwlspFマウスを3群に分け、標準食、高脂肪食、ま たは1.0%梅PPを含む高脂肪食を自由摂取させ、5週問飼育した。梅PP群は高脂肪食群に対し、体 重増加の抑制傾向が見られた。盲腸重量および盲腸内容物の酢酸とn・酪酸の含有量は、高脂肪食群 で減少傾向であったが、梅PP群で回復傾向を示した。盲腸内容物の細菌フローラをT・NLP

(TermmalRestriction Fta3ment Length polymorphism)法により角早析したところ、局月旨肪食群で 検出限界以下にまで減少したビフィズス菌が、梅PP群でわずかではあるが有意に回復した。ま た、 BacteroideteS門に属するBacteroideS属やPrevote11a属は、高脂肪食群に対して梅PP群で増力口傾 向であった。 FitmicuteS門に属するLactobaCⅢaleS目やClostridia綱は、標準食群に対して高脂肪食 群で有意に増加したが、梅PP群では高脂肪食群と差がなかった。肥満型フローラの指標である F辻111icutes/Bact改oideteS比は、標準食群では02であったが、高j翻方食群で1.6と高値になり、梅 PP群では1.1と中間的な値となった。梅PPのビフィズス菌増殖メカニズムを調ベるためにinⅥ廿0で 増殖試験を行ったところ、ヒト成人の腸管に生息するいくっかのビフィズス菌が梅PPを糖質源と して利用できることが明らかになった。アラビナン特異的なB.10n号Um sub叩.10n8・um }CM 1217由 来の2種のα・L・アラビノフラノシダーゼ佃IA,.鵡とBIA,.fc)を梅PPに作用させたところ、アラ ビノースを遊離した。梅PPはアラビナン様の多糖を含み、これがビフィズス菌増殖因子のひとっ であることが示唆された。

(4)

本論文は、非栄養性の植物由来食品成分による健康促進効果について、りポリフェノールのオートファ ジー活性化を介した抗炎症作用メカニズムの解析、2)植物性多糖アラビナンのビフィズス菌増殖メカニズム の解析、および、3)「梅ポリフェノーノレ(梅PP)」の肥満モデルマウスの腸内細菌フローラ改善効果、の3つ のテーマについての研究成果をまとめたものである。 Dでは、ポリフェノール類に抗炎症作用とオートファジー活性化作用の両方の活性をもっものが多いこと に着目し、マクロファージ細胞株を用いてポリフェノールのオートファジーを介した炎症抑制機構にっいて 解析した。 LPS(りポ多糖)で炎症を惹起させた細胞からLPSを除去すると、除去後数時間の間に一過的な オートファジー活性化が観察された。次に、炎症時のマクロファージをアミノ酸飢餓処理してオートファ ジーを活性化させたところ、一酸化窒素や炎症性サイトカインの産生が抑えられた。自然免疫レセプター

(TLR4; T011-1ike receptor 4)の細胞内シグナノレ伝達タンパク質TR、、F6 (TNF receptor associated factor 6)と、選 択的オートファジーに関わるアダプタータンパク質P62が相互作用することを、免疫沈降法により明らかに した。 TRAF6,P62複合体の量は炎症反応の終息時に減少したことから、オートファジーによりTRAF6・P62複 合体が選択的に分解されたことで炎症反応の終息、がイ足進されたことが示唆された。赤ワイン等に含まれるポ リフェノーノレの1種であるレスベラトローノレもオートファジーを活性化し、炎症性サイトカインである丘・6 (1nterleukin、6)遺伝子の発現を抑制した。 TRAF6・P62複合体が選択的オートファジーにより分解されること による炎症シグナル抑制は、新規の炎症終息機構の発見として評価できる。しかしながら、実験面での困難 さのためデータにやや不十分な点があり、今後の更なる検討が必要である。 2)では、幅広い年代のヒト腸管に見られるビフィズス菌召抗dohacter敵抗10h8U抗 Subsp.10πgむ柳におけるア ラビナン分解に必要な2つの新奇α、L、アラビノフラノシダーゼをクローニングし、酵素化学的諸性質を明ら かにした。 BIArafCは、アラビナンおよぴアラビノキシランの両方のイ則鎖に見出されるα1,2・およびα1,3・L・ア ラビノフラノシル結合を加水分解した。一方、 BIAra田はアラビナンにのみ作用し、アラビナン主鎖のα1,5・ L、アラビノフラノシル結合を特異的に加水分解した。 BIArafCおよびBIAra鐙を共存させると、アラビナンを 協調的に分解し、相乗効果を示すことを明らかにした。 BIArafCとBIArafBをコードする遺伝子を含む遺伝子 クラスターを欠損する株はアラビナン培地では増殖できなかったととから、引ArafCとBIAra銀がアラビナン の資化に重要であることを示した。以上の結果は、野菜や果物を摂取することによる、ヒト成人腸管ヘのビ フィズス菌の定着機構を明らかにするものであり、また新規のプレバイオティクス創出の手がかりとなりう る発見である。本項の内容は、アメリカ微生物学会AmeriC飢 Sociew forMicrobi010gyの英文誌盆Ppliedαπd

Ξπνir0π"1eπtα11、1icr06i0108y,\の1易^カゞ而寉スE してし、る。 3)では、肥満モデルマウスに対する「梅ポリフェノール(梅PP)」のプレバイオティツク効果とビフィズス 菌増殖メカニズムにっいて解析した。梅干し製造時の副産物である梅酢から工業的に調製された梅PPは、糖 質とポリフェノールを含む新規の機能性食品素材である。マウスを3群に分け、標準食、高脂肪食、または 梅PPを含む高脂肪食を自由摂取させ5週間飼育したところ、梅PP群は高脂肪食群に対し体重増加の抑制傾向 が見られた。また、盲腸重量の増加傾向、盲腸内の酢酸とn.酪酸の含有量の増加傾向など、腸内環境の改善 効果が見られた。盲腸内容物の細菌フローラでは、召英d0みαder地抗属のわずかではあるが有意な増加、 BacteroideteS門の召αCteroideS属やPル"ote11α属の増加傾向を示した。一方、 FirmicuteS門のLactobacinaleS目や CIOS廿idia綱には大きな変化が見られなかった、肥満型フローラの指標であるFirmicuteyBacteroideteS比は、標 準食群では0ユであったが、高脂肪食群で1.6と高値になり、梅PP群では1.1と改善傾向を示した。梅PPはヒ ト成人の腸管に生息するいくっかのビフィズス菌の増殖を促進することを、加ν加0の培養試験により示し た。前項のBIAra田とBIArafCは、梅PPに協調的に作用してアラビノースを遊離させたことから、梅PPはア ラビナン様の多糖を含み、これがビフィズス菌増殖因子のひとつであることが示唆された。以上の結果は、 和歌山県で開発された機能性食品素材である梅PPの新規の健康増進メカニズムの発見であり、今後の販売促 進に寄与するものである。本項の内容は、近畿大学生物理工学部紀要に掲載された。 以上のとおり、本論文は、実験動物、動物細胞、微生物を対象に多様な研究手法を駆使して、食品由来植 物性成分の健康促進効果の分子メカニズムを明らかにしたもので、博士(工学)論文として価値あるものと認 める。 号△ J 、 の ヒ=ニ'

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