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前立腺癌治療薬を指向した新規アンドロゲン受容体拮抗薬の合成研究

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Academic year: 2021

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(1)平成 25年度. 博 士学位論文 内容の要旨 および. 審査結果の要旨. (平成 25年9月). 近畿大学大学院 農学研究科.

(2) 農. 学. :. 究. 研. 平成25年度. (論文提出による). (平成 25年9月). 山. 本. 哲. 史.

(3) (様式210,310). 匝国. 学位論文 審査結果の報告書 名. 氏. 山本哲史. 本籍(国籍). 日. f及府. 本. 学位記番号. 農第 189 号. 学位授与の条件 (博士の学位). 学位規程第 5 条第. 項. 博士(農学). 2. 学位の種類. ヨ亥当. 論文題目. 前立腺癌治療薬を指向した 新規アンドロゲン受容体桔抗薬の 合成研究. 員. 彰. 副主査. 松田. 一彦. 副主査. 上嶋. 副査 副査. 四⑳. 飯田. ,、ε一'. 査. 主. 奨 奨授 歓教. 審査委.

(4) 論②. (様式311). 内. 旨. 容. 論 文. の. 要. 前立腺癌は欧米諸国における男性悪性腫傷の中で最も発症頻度が高い癌の1つ で、アメリカ合衆国においては男性の癌の中で櫂患数は1位、死亡数は肺癌に次い で2位である。日本においても高齢化や生活様式の欧米化等により近年患者数が急 増しており、2020年には肺癌に次いで2位の患者数になると予想されている。前立腺 癌の多くほ男性ホルモン(アンドロゲン)とアンドロゲン受容体(AR:andr0Ξen. reC即tor)を介した細胞内シグナル伝達に依存しており、その進展におけるアンドロ ゲンの影響は大きい。そのため、そのシグナルをブロックすることは前立腺癌治療に おける有効な方法と考えられ、前立腺癌の治療法の1つである薬物療法の中心はこ のシグナルをブロックするホルモン療法となっている。. AR桔抗薬はアンドロゲンとARとの結合を阻害することによりアンドロゲンのシグナ ルをブロックする薬剤である。AR桔抗薬を用いる前立腺癌の治療法に、去勢療法と 組み合わせた併用療法である複合アンドロゲン阻害(CAB:combinedandrogen. blockado)療法がある。本療法は、去勢による精巣からのテストステロン分泌抑制に 加え、副腎由来も含めたアンドロゲンとARとの結合をAR桔抗薬で抑制することによ リ、前立腺癌に最大限、アンドロゲンの影響が及ばないようにするものである。初期 の前立腺癌に対して著効を示すが、多くの場合数年で去勢療法抵抗性前立腺癌 (CRPC:castration-resistant prostate cancer)と呼ほ才1る^燃癌カミ出王見し、このこと が前立腺癌治療における大きな課題となっている。CRPCが出現するとCAB療法の 中止或いは他の桔抗薬ヘの置き換えが必要となる。CRPCに対する薬剤として承認 されているものに微小管安定化薬ドセタキセル(docetaxeDがある。しかし、本化合 物は奏功期間が短い上に貧血、好中球減少症、感染症、嘔吐、食欲不振、疲労、ア レルギー反応、体内貯留などの冨IH乍用があり、CRPCは依然としてUnmet medical. neodが高い疾患である。最近、アンドロゲン生合成阻害薬酢酸アビラテロン (abirateroneacetate)がCRPCを対象として承認されたが、本剤の臨床第3キ酷式験に よりアンドロゲンシグナルがCRPCの重要な夕ーゲットであることが臨床的に示唆され ている。また、 AR桔抗薬エンザルタミド(enzalutamide MDV-3100)のCRPCに対する. 有効性が報告され、本斉1仂蓬斤たに2012年8月米国において承認されるなど、アンドロ ゲンシグナルをブロックする新規AR桔抗薬を開発することはCRPC治療の重要なア プローチの1つになると考えられる。その際、利便性等を考慮すると、経口投与可能 な薬剤が望ましい。. 著者はCRPCに対して有効な薬剤を指向して、経口投与可能な新規AR桔抗薬の合 成研究に着手した。原らの研究から、AR受容体の変異によるAR桔抗薬のAR作動薬 化やAR発現増加によるAR感受性亢進などがCRPC1こおける去勢療法抵抗性獲得 のメカニズムとして考えられており、新規AR桔抗薬の合成研究を開始するに当たり、. 当時知られていた変異型ARにまず着目し、野生型のみならず変異型ARにも桔抗活 性を示す化合物がCRPCに有効な薬剤になると考えて合成展開を行った。また、そ れらに加えて、高発現/高感受性ARに対して桔抗活性を示す新規AR桔抗薬を合成 展開した。.

(5) 論③. (様式312). 第1章変異型ARに有効なピロール系AR桔抗薬のデザイン、合成と、その生物活性. ライブラリー化合物から見出したピロール誘導体1を出発化合物として、1位窒素ヘ の置換基導入による桔抗活性増強仮説に基づいて4-フェニルピロール化合物Dを. デザイン、合成し、その生物活性を評価した。構造活性相関(SAR)検証により、ピ ロール環1位上のアリールメチル基がAR桔抗活性において重要であることが分か リ、1一ベンジルー4-フェニルピロール化合物引を得た。化合物4jの1位末端ベンゼ ン環をピリジン環ヘ変換して溶解度が向上することを見出し、更にピリジン環上置換 基を検討することにより、野生型、T8刀A変異型、VV741C変異型ARに対する強力な AR桔抗活性と優れたマウス経口吸収性を有する化合物4nの発見に至った。化合物 4nはマウスXenogra什モデルにおいて、アンドロゲン依存性JDcaP株に対して強力な 抗腫傷作用を示すだけでなく、T8刀A+VV741C変異型ARを有し、CRPCの1つであるビ カルタミド抵抗性癌のモデルLNcap一以D2株に対しても強力な腫傷増殖抑制作用を 示した。これらの結果から、化合物4nを始めとするピロール系化合物は、ビカルタミド. 抵抗性前立腺癌のようなCRPCを含めた前立腺癌株に対して有効な新規AR桔抗薬 であることが示唆された。. 第2章高発現/高感受性ARに有効なピラゾール系AR桔抗薬のデザイン、合成と、 その生物活性. 変異型ARに対して有効なピロール系化合物に加えて、高発現/高感受性ARに対 して抽抗活性を示す薬剤を指向した新たなAR桔抗薬を目指して、4-フェニルピロー. ル化合物のピロール環部分を他の環構造ヘ置き換えると共にピロール化合物で得 たSAR情報を参考にして、4ーアリールメチルー1-フェニルピラゾール化合物及び4 ーアリールオキシー1-フェニルピラゾール化合物Gを新たにデザイン、合成し、その 生物活性を評価した。4ーアリールメチル化合物においては、ARheliX12折畳み阻害 による作動活性除去戦略に基づいてベンジル部位4位にアミド置換基を導入すること により、AR作動活性が除去されると共に経口吸収性が改善した化合物66hを見出し た。4ーアリールメチル化合物のメチレンリンカーを工ーテルリンカーに変換すること によってAR作動活性を除去した4ーアリールオキシ化合物においては、アリールオキ シ部位4位にかさ高い置換基を導入し、更にアリール部分をベンゼン環からピリジン 環に変換することによって経口吸収性が改善し、化合物82bを得た。化合物66hおよ び82bほ、高発現/高感受性ARを有しCRPCのモデルであるLNcap-hr細胞に対し て、その前立腺特異抗原(PSA)の産生を抑制した。ビカルタミドには同抑制活性は 認められなかった。更に、化合物66hおよび82bほLNC.P一所株を用いたマウス Xe"0Ξm什において、経口投与で強力な腫傷増殖抑御1作用を示した。一方、ビカルタミ ドほ部分的な抑制作用しか示さなかっナこ。これらの結果から、化合物66hや82bに代 表される4ーアリールメチルー1-フェニルピラゾール化合物及び4ーアリールオキシ -1-フェニルピラゾール化合物はCRPCモデルに対して有効性を示すAR桔抗薬で あり、その薬効プロファイルは第一世代のAR桔抗薬であるビカルタミドとは異なるも のであることが示唆された。.

(6) (様式313). 論(4). 第3章高発現/高感受性ARに有効なピロリジン系AR桔抗薬のデザイン、合成と、. その生物活性。、. 上述の4-フェニルピロール化合物、及び1ーアリールメチルー4-フェニルピラゾー ル/1ーアリールオキシー4-フェニルピラゾール化合物に加えて、高発現/高感受 性ARに対して有効な薬剤ヘの多角的な戦略として新たなAR桔抗薬の創出を考え、. 中心環を非芳香族のピロリジンとした3ーアリールー3ーヒドロキシー1-フェニルピロ. リジン化合物Kを新たにデザイン、合成し、その生物活性を評価した。3ーアリール部 位4位にアミド置換基を導入し、更にそのアリール部位をベンゼン環からピリジン環に 変換することによってAR作動活性が除去された強力な桔抗薬128を見出した。化合. 物128にっいては、ピロリジン環2位、3位の絶対配置に関して(2S,3R)配置力誹吉抗活. 性発現上好ましいことが分かった。本化合物の更なる置換基変換によって創出した 化合物134ほ、LNcap-hr細胞PSA産生抑制1活性を示し、更に同株を用いたマウス. X印0Ξm什において、経口投与で強力な腫癌増殖抑御H乍用を示した。一方、ビカルタミ ドは部分的な抑制作用しか示さなかっナニ。これらの結果から、化合物134に代表され る3ーアリールー3ーヒドロキシー1-フェニルピロリジン化合物はCRPCモデル1こ対し. て有効性を示し、ビカルタミドとは異なる薬効の性質を示すAR桔抗薬であることが示 唆されナこ。 暑ム、. CRPCを含む前立腺癌に対して有効な薬剤を目指して、新規AR桔抗薬としてピ ロール系、ピラゾール系、ピロリジン系化合物をデザイン、合成し、以下に示す知見 を得ナニ。. 1)ピロール系化合物においては、ピロール環1位ヘのアリールメチル基の導入、ベン ゼン環のピリジン環ヘの変換と置換基の導入により、ビカルタミド抵抗性前立腺癌株 に対して経口投与で優れた抗腫傷作用を示す化合物4nを見出しナニ。. 2)ピラゾール系化合物においては、エーテルリンカー導入の他、分子末端部ヘのア ミド置換基の導入やベンゼン環のピリジン環ヘの変換等により、高発現/高感受性 前立腺癌株に対して経口投与で優れた抗腫傷作用を示す化合物66h並びに82bを見 出した0 山、、、、、 3)ピロリジン系化合物においては、分子末端部ヘのアミド置換基の導入、ベンゼン 環のピリジン環ヘの変換に加え、(2S,3R)配置が活性発現上好ましいことを明らかと し、高発現/高感受性前立腺癌株に対して経口投与で優れた抗腫癌作用を示す化 合物134を見出しナニ。. これら得られた知見は、化合物4n、66h、82b、134を始めとするピロール化口物、ピ ラゾール化合物、ピロリジン化合物が、ビカルタミドといった第一世代AR桔抗薬とは 異なる性質の生物活性を有する新規AR桔抗薬であることを示唆しており、CRPCンロ 療薬の新たな選択肢の1つに繋がる成果であると考える。.

(7) 論⑤. (様式313). 旨. 論 文. 審. 査. 結. 果. の. 要. 前立腺癌は欧米諸国における男性悪性腫癌の中で最も発症頻度が高い癌の1つで、アメリ 力合衆国においては男性の癌の中で櫂患数は1位、死亡数は肺癌に次いで2位である。日 本においても高齢化や生活様式の欧米化等により近年患者数が急増しており、2020年には 肺癌に次いで2位の患者数になると予想されている。前立腺癌の多くは男性ホルモン(アンド ロゲン)とアンドロゲン受容体(AR:androgenreceptor)を介した細胞内シグナル伝達に依存 しており、その進展におけるアンドロゲンの影響は大きい。そのため、そのシグナルをブロッ クすることは前立腺癌治療における有効な方法と考えられ、前立腺癌の治療法の1つである 薬物療法の中心はこのシグナルをブロックするホルモン療法となっている。. AR桔抗薬はアンドロゲンとARとの結合阻害によりアンドロゲンシグナルをブロックする薬剤 である。AR桔抗薬を用いる前立腺癌の治療法に、去勢療法と組み合わせた併用療法の複 合アンドロゲン阻害(CAB:combined 印dr0倉enblockade)療法がある。本療法は、去勢によ る精巣テストステロン分泌抑制に加え、副腎由来も含めたアンドロゲンとARとの結合をAR桔 抗薬で抑制することで、前立腺癌に最大限、アンドロゲンの影響が及ぱないようにするもの である。初期の前立腺癌に対して著効を示すが、多くの場合数年で去勢療法抵抗性前立腺 癌(CRPC:castration-resistant prostate cancer)とn乎1才tれる^燃癌力ξ出王見し、このこと力ξ月11 立腺癌治療における大きな課題となっている。CRPCが出現するとCAB療法の中止或いは 他の桔抗薬ヘの置き換えが必要となる。CRPCに対する薬剤として承認されているものに微 小管安定化薬ドセタキセル(docetaxeDがある。しかし、本化合物は奏功期間が短い上に貧 血、好中球減少症、感染症、嘔吐、疲労、アレルギー反応、体内貯留等の副作用があり、 CRPCは依然としてUnmetmedicalneedが高い疾患である。最近、アンドロゲン生合成阻害 薬酢酸アビラテロン(abimt引ooe 印et貮.)がCRPCを対象として承認されたが、本剤の臨床 第3相試験でアンドロゲンシグナルがCRPCの重要な夕ーゲットであることが臨床的に示唆さ れている。また、 AR桔抗薬エンザルタミド(enzalutamide MDV-3100)のCRPCに対する有効. 性が報告され、本剤が新たに2012年8月米国において承認されるなど、アンドロゲンシグナ ルをブロックする新規AR桔抗薬を開発することはCRPC治療の重要なアプローチの1つにな ると考えられる。その際、利便性等を考慮すると、経口投与可能な薬剤が望ましい。 申請者はCRPCに有効な薬剤を指向して、経口投与可能な新規AR桔抗薬の合成研究に着 手した。ARの変異によるAR桔抗薬の作動薬化やAR発現増加によるAR感受性亢進などが CRPCにおける去勢療法抵抗性獲得のメカニズムとして考えられており、申請者は新規AR. 桔抗薬の合成研究開始に当たり、当時知られていた変異型ARにまず着目し、野生型のみ ならず変異型ARにも桔抗活性を示す化合物がCRPCに有効な薬剤になると考えて合成展 開を行っナニ。また、それらに加えて、高発現/高感受性ARに対して桔抗活性を示す新規AR 桔抗薬を合成展開した。. 申請者は、まず、変異型AR1こ有効なピロール系AR桔抗薬をデザイン、合成し、その生物活 性について検討した。すなわち、ライブラリー化合物から見出したピロール誘導体1を出発化 合物として、H立窒素ヘの置換基導入による捨抗活性増強仮説に基づいて4-フェニルピ ロール化合物Dをデザイン、合成し、その生物活性を評価した。構造活性相関(SAR)検証に より、ピロール環1位上のアリールメチル基がAR桔抗活性において重要であることを発見. し、1一ベンジルー4-フェニルピロール化合物4jを得た。化合物4jの1位末端ベンゼン環をピ リジン環ヘ変換して溶解度が向上することを見出し、更にピリジン環上置換基を検討するこ とにより、野生型、T877A変異型、VV741C変異型ARに対する強力なAR桔抗活性と優れたマ. ウス経口吸収性を有する化合物4"の発見に至った。化合物4nはマウス湘"oga什モデルに おいて、アンドロゲン依存性JDcaP株に対して強力な抗腫癌作用を示すだけでなく、CRPC. の1つであるビカルタミド抵抗性癌のモデルLNC.P一以D2株に対しても強力な腫癌増殖抑制 作用を示した。これらの結果から、申請者は、化合物4nを始めとするピロール系化合物がビ カルタミド抵抗性前立腺癌のようなCRPCを含めた前立腺癌株に対して有効な新規AR桔抗 薬であるものと考えた。. 次に、申請者は、高発現/高感受性ARに有効な化合物として、ピラゾール系AR桔抗薬の デザイン、合成、すなわち、ピロール系化合物のピロール環部分を他の環構造ヘ置き換えと 共にピロール化合物で得たSAR情報を参考にして、4ーアリールメチル/4ーアリールオキシ -1-フェニルピラゾール化合物Gを新たにデザイン、合成し、その生物活性を検討しナニ。.

(8) 論⑥. (様式314). 4ーアリールメチル化合物においては、ARheliX12の折り畳み阻害による作動活性除去戦 略に基づいてベンジル部位4位にアミド置換基を導入することにより、AR作動活性が除去さ れると共に経口吸収性が改善された化合物66hを見出した。4ーアリールメチル化合物のメ チレンリンカーを工ーテルリンカーに変換することによってAR作動活性を除去した4ーアリー ルオキシ化合物においては、アリールオキシ部位4位にかさ高い置換基を導入し、更にア リール部分をベンゼン環からピリジン環に変換することによって経口吸収性が改善すること を見出し、化合物82bを得た。化合物66hおよび82bは、高発現/高感受性ARを有しCRPCの. モデルであるLNCOP-hr細胞に対して、その前立腺特異抗原(PSA)の産生を抑制した。ビカ ルタミドには同抑制活性は認められなかった。更に、化合物66hおよび82bはLNCOP一可株を. 用いたマウス胎nogra什において、経口投与で強力な腫癌増殖抑御H乍用を示しナこ。一方、ビ カルタミドは部分的な抑制作用しか示さなかっナこ。これらの結果から、申請者は、化合物66h や82b1こ代表される4ーアリールメチルー1-フェニルピラゾール化合物及び4ーアリールオ. キシー1-フェニルピラゾール化合物がCRPCモデルに対して有効性を示すAR桔抗薬であ リ、その薬効プロファイルは第一世代のAR桔抗薬であるビカルタミドとは異なるものであると 考えた。. 最後に、申請者は、高発現/高感受性ARに有効な化合物として、前述のピラゾール系化 合物に加えてピロリジン系AR桔抗薬をデザイン、合成し、その生物活性を検討した。すなわ ち、ピロール系化合物及びピラゾール系ピラゾール化合物の検討で得られたSAR情報を用 いながら、中心環を非芳香族ピロリジンとした3ーアリールー3ーヒドロキシー1-フェニルピ ロリジン化合物Kを新たにデザイン、合成し、その生物活性を評価した。3ーアリール部位4位 にアミド置換基を導入し、更にそのアリール部位をベンゼン環からピリジン環に変換すること によってAR作動活性が除去された強力な桔抗薬128を見出すと共に、ピロリジン環2位、3位 の絶対配置に関して(2S,3R)配置が桔抗活性発現上好ましいことを見出しナニ。そして、本化 合物の更なる置換基変換によって創出した化合物134は、LNC.P-hr細胞PSA産生抑制活 性を示し、更に同株を用いたマウスXenogra什において、経口投与で強力な腫癌増殖抑制H乍 用を示した。一方、ビカルタミドは部分的な抑制作用しか示さなかった。これらの結果から、 申請者は、化合物1341こ代表される3ーアリールー3ーヒドロキシー1-フェニルピロリジン化 合物がCRPCモデルに対して有効性を示し、ビカルタミドとは異なる薬効の性質を示すAR桔 抗薬であるものと考えナこ。. 本研究の結論を、申請者は次のように要約した。。. CRPCを含む前立腺癌に対して有効な薬剤を目指して、新規AR桔抗薬としてピロール系、ピ ラゾール系、ピロリジン系化合物をデザイン、合成し、以下に示す知見を得ナニ。 1)ピロール系化合物においては、ピロール環1位ヘのアリールメチル基の導入、ベンゼン環 のピリジン環ヘの変換と置換基の導入により、ビカルタミド抵抗性前立腺癌株に対して経口 投与で優れた抗腫癌作用を示す化合物4nを見出した。. 2)ピラゾール系化合物においては、エーテルリンカー導入の他、分子末端部ヘのアミド置換 基の導入やベンゼン環のピリジン環ヘの変換等により、高発現/高感受性前立腺癌株に対 して経口投与で優れた抗腫癌作用を示す化合物66h並びに82bを見出した。. 3)ピロリジン系化合物においては、分子末端部ヘのアミド置換基の導入、ベンゼン環のピリ ジン環ヘの変換に加え、(2S,3R)配置が活性発現上好ましいことを明らかとし、高発現/高 感受性前立腺癌株に対して経口投与で優れた抗腫癌作用を示す化合物134を見出した。 そして申請者は、これら得られた知見から、化合物4"、66h、82b、134を始めとするピロール 化合物、ピラゾール化合物、ピロリジン化合物が、ビカルタミドといった第一世代AR桔抗薬と. は異なる性質の生物活性を有する新規AR桔抗桑であることを示唆しており、CRPC治療薬. の新たな選択肢の1つに繋がる成果であると結論づけた。. よって、本論文は、博士(農学)の学位論文として価値あるものと認める。なお、審査にあ. たっては、論文に関する専攻内審査および公聴会などの所定の手続きを経たうぇ、平成25 年7月16日、農学研究科教授会において、論文の価値ならびに博士の学位を授与谷れる学 力が十分にあると認められナこ。.

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