カリキュラム変更に強い成績証明書作成システム
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(2) 2.2. カリキュラム変更. 成績証明書に記入される。. 本校は従来 3 学科制であったが、2005 年度の入学生. 現学科・コースも成績証明書に記入されるが、現学. から 1 学科制となり、その 1 学科内で 3 年生以降は 5. 科・コースを直接は保持しない。少数事例として転学. コースに、内 1 コースは 2 サブコースに分かれることと. 科・転コースがあったため、後の処理で学生毎に自動. なった。さらに、科目の新設は毎年行われている。また、. 的に履修科目を記入するためにも、各学年で所属して. カリキュラムの変更ではないが、少数の事例として、学. いた、もしくは所属するはずの学科・コース全てを保. 生の留級や特別な事情によるコース変更があった。. 持せざるを得ない。さらに「現学年」も保持している ので、これで現学科・コースは求まる。ただし、3.. 2.3. 問題設定 2.1節、2.2節に示した状況で、成績証明書等を. 2に示す理由により学科・コースは全て略号で保持す る。. 作成するにあたり、作成者の負担やミスを減らすために、 表1.. できる限り作成の自動化をしたい。そのためにも、個々 の書類の作成段階では、学生データや成績データや単位. 主キー. 学生テーブルの属性. 学籍番号. 数データを手作業では記入しないことはもちろんのこ. 氏名. と、その前段階の各学科・コースや入学年度に応じた科. 生年月日の年 (西暦). 目名入りフォーマットも、手作業では作成しないことに. 生年月日の月. する。. 生年月日の日. カリキュラムが単純な場合であれば、科目名入りフォ. 入学の年. ーマットまでは手作業で作成した方が、成績データ等の. 入学の月. 自動入力プログラムは簡易になり、必要な技術も限られ. 入学の学年. るため作成者の負担が比較的小さい。しかし、カリキュ. 入学のタイプ (「入学」 「編入学」 「転入学」). ラムが複雑になり変更も頻繁にされる場合には、科目名. 現況の年. 入りフォーマット自体が多数必要になり、毎年度追加す. 現況の月. る必要もあり、また、2.2節に示した少数事例が発生. 現況(「卒業」「卒業見込」「在籍」). するたびに科目名入りフォーマットも追加せざるを得. 1 年次成績決定(見込)年度 (西暦). ない。そこで、プログラムが多少複雑化することを覚悟. 2 年次成績決定(見込)年度 (西暦). で、科目名入りフォーマットから自動作成する必要があ. 3 年次成績決定(見込)年度 (西暦). ると考えた。手作業で用意するフォーマットは、カリキ. 4 年次成績決定(見込)年度 (西暦). ュラムに依存しない枠組みのみを残した、成績証明書用. 5 年次成績決定(見込)年度 (西暦). (図 1) 、単位修得証明書用 (図 3) 等、書類 1 種類につ. 外部キー 1 年次成績決定(見込)年度でのコース略号. き必ずフォーマット 1 種類に絞ることとした。これらの. 外部キー 2 年次成績決定(見込)年度でのコース略号. 書類が現在 EXCEL で作成されている。. 外部キー 3 年次成績決定(見込)年度でのコース略号 外部キー 4 年次成績決定(見込)年度でのコース略号. 3.. 入力データベース設計. 外部キー 5 年次成績決定(見込)年度でのコース略号. 本システムでは、以上の書類作成の元となる入力デー. 現学年. タを、3.1節~3.4節に示す関係データベース (1) として保持する。ただし、本格的なデータベース管理ソ フトウェアが必要になるわけではなく、代表的な表計算. 3.2.. コーステーブル. コーステーブルには表2の属性を持たせる。先の学生. ソフトウェアである Microsoft (株) の EXCEL の表を、. テーブルの属性に「コース略号」があるが、「コース略. 関係データベースのテーブルとして用いるだけである。. 号」から「学科名」と「コース名」が決まるようになっ. なお、これらは入力データであるから、作成を自動化で. ている。大抵は「コース名」が決まると「学科名」が決. きない。. まるが、対象年度が異なれば、異なる「学科名」の学科 が同じ「コース名」のコースを持つ例があり、 「学科名」、. 3.1.. 学生テーブル. 学生テーブルには表1の属性を持たせる。「氏名」、 「生年月日」、「入学」関連、「現況」関連は、そのまま. 「コース名」のいずれも主キーとなることはできないた め、「コース略号」を設けている。.
(3) 表2. 主キー. コーステーブルの属性. TEIA. 総合システム工学科. 情報コミュニケーションコース(A 群). コース略号. TEIB. 総合システム工学科. 情報コミュニケーションコース(B 群). 学科名. TC. 総合システム工学科. 都市環境コース・建築デザインコース 合同. コース名. TCC. 総合システム工学科. 都市環境コース. TCA. 総合システム工学科. 建築デザインコース. 「コース略号」は、表3のように定めている。この 略号は、語尾に文字を付け足すと、より狭い分類を表. 3.3.. 科目テーブル. すようになっている。学生テーブルには最も狭い「コ. 科目テーブルには表4の属性を持たせる。 「科目名」. ース略号」を保持しているが、上記性質によりプログ. は重複が多数あり、今後も重複が生じる可能性があるの. ラム内で容易に、学生がどの科目を履修した、もしく. で、主キーにすることはできず、「科目コード」を主キ. は履修するはずかを知ることができる。. ーとする。. ただし、 「コース略号」は学内で習慣的に使われる略. 「大分類」 「小分類」 「必修選定選択」は、成績証明書. 号と必ずしも一致していない。例えば「総合システム. 等において「科目名」に付記されることがあるため、保. 工学科電気電子コース」と「総合システム工学科情報. 持している。. コミュニケーションコース」では合同の科目が多く、 合同したものを表す略号がほしいからである。これが ないと、複数コース合同の科目は、便宜上複数科目と みなして処理することとなる。. 「単位数」は、当該学生がその科目を履修した、もし くは履修するはずの場合には記載される。 「対象入学年度」は、その科目が開講された、もしく はされるはずの年度を知るために、保持しているもので. なお、 「機械システム工学科」、 「電気情報工学科」 、 「建. ある。 「開講年度下限」 「開講年度上限」を保持すること. 設システム工学科」は、平成 16 年度入学生までの 3 学. にしていないのは、カリキュラムが大きく変更されるの. 科制での学科名であり、「総合システム工学科」は、平. は通常は新入生からであり、既に入学している学生のカ. 成 17 年度入学生からの 1 学科制での学科名である。こ. リキュラムを大きく変更することはないために、追加さ. のような大幅な変更があっても、まとめて 1 つの仕組. れた科目の「対象入学年度下限」が一定値となって、入. みで処理できることがわかる。. 力データ作成が容易になるからである。 「対象コース略号」は、当該科目が何コース用の科目. 表3. コース略号 コース. なのかを知るために保持している。ただし、表3によっ て 1 種類の記号で表せない、複数コースを対象とする科. 略号. 学科名. コース名. 目は、1 コースずつを対象とする複数科目とみなさざる. [空白]. 全学科. 全コース. を得ない。. M. 機械システム工学科. MA. 機械システム工学科. 設計システムコース. MB. 機械システム工学科. 制御システムコース. E. 電気情報工学科. EA. 電気情報工学科. 電気電子コース. 小分類 (「公民」「地理歴史」…「なし」). EB. 電気情報工学科. 情報コミュニケーションコース. 必修選定選択 (「必修」「選定」「選択」). EB1. 電気情報工学科. 情報コミュニケーションコース(A 群). 科目名. EB2. 電気情報工学科. 情報コミュニケーションコース(B 群). 1 年次単位数. C. 建設システム工学科. CA. 建設システム工学科. 都市環境コース. CB. 建設システム工学科. 建築デザインコース. T. 総合システム工学科. TM. 総合システム工学科. 機械システムコース. TE. 総合システム工学科. 電気電子コース・情報コミュニケーションコース 合同. TEE. 総合システム工学科. 電気電子コース. TEI. 総合システム工学科. 情報コミュニケーションコース. 表4. 主キー. 科目テーブルの属性. 科目コード 大分類 (「一般」「専門」). ~ 5 年次単位数 対象入学年度下限 (西暦) 対象入学年度上限 (西暦) 外部キー 対象コース略号.
(4) 3.4.. 4.. 成績テーブル群. 書類作成の自動化. 成績を保持するテーブルの属性は、正規化を進める観. 本システムでは、前節で示したデータベースから必要. 点からは表5とすることが考えられる。しかし、これで. な情報を逐次取得する形式で、各学生の成績証明書を作. は行数が著しく大きくなり、プログラムによる検索効率. 成している。その処理には、EXCEL VBA 言語を用いてい. が下がることと、その他の運用上の問題も考慮して廃案. る。この言語は、Visual BASIC 言語を元にして、EXCEL. とした。. に対する命令を記述できるように作り変えられたプロ グラミング言語である (2) 。このプログラミング言語. 表5. 全成績テーブルの属性(廃案) 主キー. 科目コード. 主キー. 学籍番号. は、標準的な Microsoft (株) の EXCEL で使えるよう になっている。 4.1では、 各学生の成績証明書作成の概略を述べる。 4.2からは、成績証明書作成の流れのうちで、特徴の. 成績. ある部分について詳しく述べる。 表5の行数を抑えるために、表6のテーブルを用いる と、逆に基本属性が歴代の全科目分存在することになり、 過去に完成させたはずのテーブルで、カリキュラムが変 更になるたびに属性を追加する必要が生じて現実的で. 4.1.. 成績証明書作成の流れ. 証明書を作成する学生を指定した後に、次の処理が自 動的に行われるように、プログラムが書かれている。. なく、その他の運用上の問題も考慮して廃案とした。な お、表6の N は、全年度の科目の総数である。. 1.成績証明書用フォーマット(図1)のシートを、成績 証明書作成用にコピーする。. 表6. 主キー. 全成績テーブルの属性(廃案). 学籍番号 科目 1 の成績 ~ 科目 N の成績. 2.学生テーブルから当該学生の行を探索する。 3.学生テーブルの該当行から、直接記載すべき属性を 読んで記入する。 4.学生テーブルの該当行から、 「1 年次成績決定年度」 ~「5 年次成績決定年度」と「1 年次成績決定年度 でのコース略号」~「5 年次成績決定年度でのコー. そこで今回は、成績テーブルは、成績決定年度および 学年毎に存在するものとして、各成績テーブルには表7 の属性を持たせる。この種のテーブルは、毎年度、学年 数分の 5 枚が追加されることになるが、. ス略号」と「現学年」を読んで、変数に保持する。 5.「現学年」での「コース略号」に相当するコースを、 コーステーブルから探索し、コース名を記入する。 6.当該学生の対象科目の「科目コード」 「大分類」 「小 分類」「科目名」「必修選定選択」「1 年次単位数」. . 過去に完成させたテーブルの属性の変更はない. ~「5 年次単位数」を読んで、配列変数に保持する。. . 行数も列数も無駄に大きくはならない(年数を経. (詳細を4.2で述べる。). ることによって空白データの割合が増えていくこ とはない). 7.6で保持された各科目に対して、当該学生の成績を 読み、配列変数に保持していく。(詳細を4.3で 述べる。). という、運用上は望ましい性質を持つと判断した。なお、 表7の n は、対象年度の対象学年の科目数である。. 8.その結果より、 該当する科目名と単位数と成績を記 入する。 9.6で保持された科目で、 「大分類」 「小分類」が連続. 表7. 各成績テーブルの属性(採用) 主キー. 学籍番号 科目 1 の成績 ~ 科目 n の成績. している場合には、セルを適切に結合した上で、 「大 分類」「小分類」の名称を記入する。 10.. 各「大分類」「小分類」と学年に対応した、. 取得単位数を保持する変数を用意し、6で保持され た各科目に対して、取得単位数を加算する処理をす る。その結果を単位数欄に記入する。.
(5) 4.2.. 対象科目の探索. 当該学生の対象科目を探索するには、科目テーブル内. された。入力データベースの設計の変更は次の通りであ る。. の全科目を探索する必要があり、一科目毎に対象科目か 否かを判断するには、開講年度のチェックと、対象コー. . 科目テーブルの属性の追加が生じた。つまり、こ. スのチェックが必要になる。その際に当該学生の「1 年. れまで「1 年次単位数」~「5 年次単位数」を属性. 次成績決定年度」~「5 年次成績決定年度」と「1 年次. として持っていたが、「1 年次前期単位数」~「5. 成績決定年度でのコース略号」~「5 年次成績決定年度. 年次後期単位数」も属性に加わった。セメスター. でのコース略号」を考慮する。. 制であっても、通年制科目は残っているので、従. 開講年度は、当該学生の「 n 年次成績決定年度」か ら. ( n − 1). を引き、その値が探索中科目の「対象入学. 来通り「1 年次単位数」~「5 年次単位数」の属性 も残す必要があった。 . 成績テーブルの作成の頻度が増した。つまり、学. 年度下限」以上「対象入学年度上限」以下であるかどう. 年数分の 5 枚が追加されるのが、1 年毎でなく半. かでチェックする。当該学生の入学年度だけで判断しな. 年毎となった。. いのは、留級によって後の年度の入学生と同じ科目を受 講するようになることがあるからである。. 成績証明書を作成するプログラムも変更されたが、学生. 対象コースは、当該学生の「 n 年次成績決定年度で. 毎に罫線を変える処理もそのプログラムで行うように. のコース略号」(例えば TEIA) が探索中科目の「対象コ. することにより、手作業で用意するフォーマットは従来. ース略号」(例えば TE) を、包含しているかどうかでチ. 通り 1 種類に絞っておくことができた。. ェックする。. n = 1, 2,3, 4,5. の全ての場合で上記のチェックを. 行い、1 学年でも開講年度合致、対象コース合致となる 場合があれば、その科目に関するデータは配列変数に保 持する。. 6.. おわりに. 本稿では、カリキュラムが頻繁に変更される学校で、 学生の成績証明書等の書類を作成する一手法を述べた。 この手法により、 高等専門学校本科の成績証明書等の 書類を作成する作業を、カリキュラムの変更に対応しつ つも、特別な費用はかけずに、1 名の担当者の片手間で. 4.3.. 成績の探索. 行えるようになった。. 当該学生について保持した対象科目全てに対して、 「1 年次単位数」~「5 年次単位数」に数値の入っている全. 参考文献. 学年に対して、当該学生の「1 年次成績決定年度」~「5. 1) C. J. Date 著、株式会社クイープ 訳、データベー. 年次成績決定年度」を考慮して、適当な成績テーブルを. ス実践講義 エンジニアのためのリレーショナル理. 選び出し、そのテーブルから当該学生の行、当該科目の. 論、オライリー・ジャパン、2006.. 列を探索し、書き込まれている成績を取り出す。. 2) 七條達弘、渡辺健、やさしくわかる Excel VBA プ ログラミング、ソフトバンク クリエイティブ、. 5.. セメスター制への対応. 今回事例を紹介している近畿大学工業高等専門学校 は、2009 年度からセメスター制に移行した。この制度 では、ほとんどの科目について、1 年毎ではなく半年毎 に成績が出され単位がつけられる。1 年毎に成績がつけ られる科目を通年制科目といい、半年毎に成績がつけら れる科目には、前期科目、後期科目がある。この制度に なってから発行されている成績証明書が図5であり、こ の例では、3年生までは通年制科目のみだが、4年生か らは通年制科目、前期科目、後期科目が混在している。 何年生までが通年制科目のみなのかは、その学生の入学 年度に依存して変わることとなった。 この移行にともなって本システムも変更を余儀なく. 2004..
(6) 図1.. 成績証明書のフォーマット. 図2.. 成績証明書の例.
(7) 図3.. 単位修得証明書のフォーマット. 図4.. 単位修得証明書の例.
(8) 図5.. 成績証明書 (セメスター制対応版) の例.
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