7/12 - 1 2019.07.12 1-4 数学 B 第6章 図形と式 §2 二次曲線 2.3 二次曲線の接線 【授業目標】 一般的な図形に対し、接線の方程式を決めることができる。 円の接線を一般的な方法で表し、応用した問題を解くことができる。 【復習】二次曲線の方程式の標準形のまとめ 楕円の方程式の標準形, 原点を中心とする(p180 の囲み) 方程式 (x/a)2 + (y/b)2 = 1 … 原点が中心, a = b (= r) の時は円。 焦点 (c,0), (-c,0) ただし、c2 = a2 - b2 (a > c > b > 0)(長軸は x 軸) 双曲線の方程式の標準形, 原点を中心とする (p182 の囲み) 方程式 (x/a)2 - (y/b)2 = 1 … 原点が中心、x 軸が主軸 焦点 (c,0), (-c,0) ただし、c2 = a2 + b2 (c > a, b > 0) 漸近線 (x/a)2 - (y/b)2 = 0 (※) 放物線の方程式の標準形 (p184 の囲み) 方程式 y2 = 4px … 原点を頂点とし、x 軸が主軸である放物線の標準形 p > 0 のとき、常に x > 0 焦点 (p, 0) 準線 x = -p ○ 接線 二次曲線 C と直線 L の共有点(交点)の座標を、連立式として解くとき、x または y についての二次方程式 が、二重解をもつとき、C と L は、唯一点を共有し、L は C の接線となっている。 例 C : y = x2 + 2 で、かつ、L :y = a で、 左図 a = 3 の時、連立させて x2 - 1 = 0、よって (x-1)(x+1) = 0 … 2 点で交差し、x = ±1 中図 a = 2 の時、連立させて x2 = 0、よって (x-0)2 = 0 … 1 点で共有し、x = 0 右図 a = 1 の時、連立させて x2 + 1 = 0、よって解なし … 共有(交差)する点なし 中央のようなケースが、二次方程式の重解であり、L が C の接線となっている。 → (接線の別の定義の仕方)二次曲線上の任意の点 P と点 P に近い点 Q を考え、 PQ の二点を通る直線について、点 Q を点 P に近づけていったときの極限。 ←→ 接線の傾きが、その曲線の平均変化率 y/x ただし、x → 0 の極限。 ←→ 接線は、接点における曲線の最適直線近似である。 直線の接線はその直線そのものになる。 多角形の頂点のように接線が 1 本にきまらないものもある。) → 接線が、その接点で図形 C と交差しないというわけではない。 例 y = x3 に対し、点(0, 0) における接線は y = 0 である(右図)。
7/12 - 2 例題3 楕円(x2/3 + y2/5 = 1)の接線で、傾きが 1 のものを求める。 → まず楕円を作図をする。頂点(±√3, 0)、(0, ±√5) 、焦点(0, ±√2) → 傾きが 1 の直線として、接線が 2 本書ける(求めるべき答えが 2 つある)。 作図により、切片の値のおよその当りをつけておく。 (解法:教科書の方法)連立方程式が重解をもつ条件から切片を定める方法 → 接線の方程式を y = x + k と置き、楕円の方程式との(x2/3 + y2/5 = 1)と連立方程式とする。 代入法により x2/3 + (x + k)2/5 = 1 より、5x2 + 3(x2 + 2kx + k2) = 15 式を整理して、8x2 + 6kx + (3k2 - 15) = 0 → これの方程式が重解を取るための条件は、式変形して a(x-b)2 = 0 の形にできること。 → または、判別式 D = 0 判別式 D = b2 - 4ac = 36k2 - 4・8・3(k2 - 5) である。よって、D = 0 とおくと、k = ±√8 → よって、接線の式は y = x ± √8 (別解)楕円を円に戻して式を求める方法。 → 楕円を円に戻すことを考える。あとでまた楕円に戻す際、接線の方程式のうち y 切片を変えないようにする ためには、楕円の横方向の倍率のみ変えてやればよい。 具体的には、原点を通り、半径が√5 の円を考える。 → 接線の方程式を求める。求める接線の傾きは、横方向に圧縮(√5 を√3 になるよう、√(3/5)倍する)と傾 きが 1 になるもの。すなわち、√5 の円に対する接線としては、1/√(5/3) の傾きを持つ。 → 接線の方程式を、√3・x - √5・y + k と置くことができる。 → 原点との距離の公式(教科書 p174)より、OH = √5 = |k|/√(√3)2+(-√5)2) = ±k/√8 よって、k = ±√(40) → 円の接線の式は、√3・x - √5・y ± √(40) なので、y = √(3/5)・x ± √8 → これを、もとの楕円になるように横方向を圧縮しても、y 切片は変わらない。よって、y = x ±√8 左、中: 円(x2/5 + y2/5 = 1)と、y = √(3/5)・x ± √8 を作図したもの。横軸の縮尺違い。 右 :楕円(x2/3 + y2/5 = 1)と、y = x ±√8 を作図したもの。 問 15、16 まず二次曲線を作図。図形 C とその接線の方程式を連立させ、重解をとる条件(D = 0)を適用する。
7/12 - 3 例題 4 円 x2 + y2 = r2 の上の点 A(x
0, y0) における接線の方程式が x0x + y0y = r2 であること示す。
→ 円の接線の公式として用いてよい。
→ 同様に、楕円の接線 x0x/a2 + y0y/b2 = 1, 双曲線の接線 x0x/a2 - y0y/b2 = 1
(解法1)直線 x0x + y0y = r2 と円の方程式 x2 + y2 = r2 を連立したときに、重解をとることを示す。 連立方程式を解くために、x0x + y0y = r2 より、y = (r2 - x0x)y0 となるので、これを円の方程式に代入。 x2 + ((r2 - x 0x)/y0)2 = r2 x2 + (r4 - 2r2x 0x + x02x2)/y02 - r2 = 0 (1 + x02/y02)・x2 - (2r2x0/y02)・x + (r4/y02 - r2) = 0 (y02 + x02)・x2 - (2r2x0)・x + (r4 - r2y02) = 0 ここで、点 A は、円上の点なので、x02 + y02 = r2, y02 = r2 - x02 としてよい。 上式左辺 = r2・x2 - (2r2x 0)・x + (r4 - r2y02) = x2 - 2x 0・x + (r2 - y02) = x2 - 2x 0・x + (r2 - (r2 - x02)) = x2 - 2x 0・x + x02 = (x - x0)2 このように、この直線と円の連立方程式が重解(x, y) = (x0, y0) をとることから、この直線は接線である。 (解法2)この直線と原点の間の距離が |r| であることを示すだけでもよい。 → 円周における接線 L は、接点 A で円の半径 OA と直交するので、円と接線の距離は半径 OA に等しい。 → 直線外の任意の点 P から、直線上の任意の点を結ぶ線分のうち、最短のものは垂線 PH であるから。 仮定「垂線 PH 以外が最短になる」は、P から直線への垂線 PH を補助線として作図される直角三角形において、 最短と思った線分が斜辺になるため、三平方の定理から辺の長さの関係に矛盾が生じるので、否定される。 直線 x0x + y0y - r2 = 0 について、原点との距離は、公式(p174)より、OA = |r2|/√(x02 + y02) である。 ここで、点 A は、円上の点なので、x02 + y02 = r2 としてよいため、OA = |r| よって、この直線は、原点を中心とし半径 |r| の円について、円周上の点 A における接線である。 (解法3)点 A を通り、OA と直交する直線の方程式を求める。 → 教科書 p169 直線の方程式(2) が利用できる(場合分けが必要)。 x0, y0 がともにゼロではない場合において、OA の傾きは、y0/x0 である。
従って、OA に直交し、A を通る直線の式は、(y - y0) = -(x0/y0)(x - x0) である。
(y - y0) = -(x0/y0)(x - x0) y = -(x0/y0)(x - x0) + y0 y = -(x0/y0)・x + x02/y0 + y0 y0y + x0x = x02 + y02 ここで、点 A は、円上の点なので、x02 + y02 = r2 としてよいので、 接線の方程式として x0x + y0y = r2 が得られる。 また、x0 = 0 の場合の接線は y = y0、y0 = 0 の場合の接線は x = x0 であり、上の式に含めて良い。 (解法4)教科書に書いてある証明法。点 P を接線の条件を満たす任意の点とし、点 P の軌跡を求める。 → 接線の条件として、点 A を通り、OA と AP が直交することを選んでいる。この点、解法3と同じ。 ただ、直角三角形の作図により三平方の定理を満たす関係から解いている。 三角形 OAP が角 A を直角とする直角三角形である場合には、OA2 + AP2 = OP2 が成り立つ。 ただし、OA2 = r2、AP2 = (x - x 0)2 + (y - y0)2、OP2 = x2 + y2 である。 これを OA2 + AP2 = OP2 に代入し、展開して整理をすると、x 0x + y0y = r2 が得られる。
7/12 - 4 問 17 例題 4 で得られた式を公式として用いる。念のため作図をしておくと よい(かも)→ 右図。 問 18 三角形 OAB、OBC、OCA の高さが内接円の半径に等しいことを利用。 三角形の各辺が(三角形に内接する)円の接線であるため。 問 19 ヘロンの公式(教科書 p133): 3 辺の長さが a, b, c である三角形の面積 S についての公式 S = √{s(s-a)(s-b)(s-c)} である。ただし、s = (a+b+c)/2 → これにより求めた数値を、問 18 で証明した式に適用する。 問題集 399 連立方程式が重解をもつように k の値を定める。 (別解)微分(未習)が使用できると、y = x2 上で、その接線の傾きが 1 である点を求めることができる。 dy/dx (= 2x) = 1 と置くと、x = 1/2 よって、この接線は (1/2, 1/4) を通る。 400 楕円の接線で該当するものは 2 本書くことができる。 例題3の解き方(2通りある)を参照する。 401 共有点の個数 = 連立方程式の解の数。 作図して、2 つのグラフの交点の数を調べてもよい。 この問いでは、直線の y 切片 k の値によって場合分けをする。 → 図的に解くためには、指定された式の双曲線および、 傾きが 2 の接線を作図してみる。 (右図は、作図しやすいよう、軸の縮尺を 縦方向 1/√3 倍に圧縮した。) → 数式的には、連立方程式の判別式 D について、 D < 0 の時、二次方程式が解なし、よって共有点の数 0 D = 0 の時、重解となる。よって共有点の数 1 D > 0 の時、重解にならないので、解を 2 つもつ。 よって共有点の数 2 ※ 主軸が x 軸であるような双曲線との交点は、図からもわかるように、y = mx + n との間で、 |m| < |b/a| の直線は、切片がどんな値でも、必ず 2 点で交わる(x>0 側、x<0 側の両方の曲線と交わる)。 m = ±b/a の直線は、切片 =0 で漸近線と一致する場合、交点が無限遠(実解としては交わらない)。 切片≠0 の時、必ず 1 点で交わる。 |m| > |b/a| の直線(今回のケース)では、切片の異なる 2 本の接線が引けて、その切片の前後で場合分け。 402 教科書問 17 を参照のこと 403 問 19 を参照。ヘロンの公式で三角形の面積を求め、問 18 で証明した式に適用する。 420 放物線 y2 = 4px と 接線 y = mx + k を連立方程式とし、判別式 D = 0 から k を求める。 421 解法1)例題4で求めた円の接線の公式 x0x + y0y = r2 により求め、y = mx + n の形に式変形する。 解法2)この点を A とする。OA の傾きが 3 なので、接線は、傾きが -1/3 で、かつ A(1,3) を通る。