Vimentin Expression in Tumor Microenvironment
Predicts Survival in Pancreatic Ductal
Adenocarcinoma: Heterogeneity in Fibroblast
Population.
著者
前平 博充
学位授与機関
滋賀医科大学
学位授与年度
令和元年度
学位授与番号
14202甲第860号
発行年
2020-03-10
URL
http://hdl.handle.net/10422/00012688
doi: 10.1245/s10434-019-07891-x(https://doi.org/10.1245/s10434-019-07891-x)氏 名 前平 博充 学 位 の 種 類 博 士 (医学) 学 位 記 番 号 博士甲第 860 号
学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4 条 第 1 項 学 位 授 与 年 月 日 令 和 2 年 3 月 1 0 日
学 位 論 文 題 目 Vimentin Expression in Tumor Microenvironment P re d ic ts S u rv iv al in P a n c re atic D uctal Adenocarcinoma: H eterogeneity in F ib ro b la s t Population (膵管癌における腫瘍微小環境でのビメンチン発現が生存転 帰を予測する:線維芽細胞集団はへテロである) 審 査 委 員 主査 教授 縣 保年 副査 教授 今井 晋二 副査 教授 九嶋 亮治
別紙様式3 (課程博士 •論文博士共用)
論 文 内 容 要 旨
"整理番号
869
氏 名 前 平 博 充 学位論文題目Vimentin Expressionin Tumor Microenvironment Predicts Survivalin Pancreatic Ductal Adenocarcinoma: Heterogeneityin Fibroblast Population (膊管癌における腫瘍微小環境でのビメンチン堯現が生存転帰を予測 す る :線維芽細胞集団はヘテロである) 【目的】 膝癌は一般的に癌周囲間質に著明な線維化が生じる。その割合は80%以上といわ れており、膝癌の進展や転移機序の理解において癌周囲間質における線維化の役割 は重要と考える。癌周囲間質に特異的に存在する癌関連線維芽細胞(Cance
r-associated fibroblast, CAF)は標的臓器の微小環境を構築し、癌の浸潤や転移に関与す ることが知られている。CAFではa-smooth muscle actin (aSMA)や Vimentinなど様々 なマーカーが発現しており、その発現程度は一様ではないことが知られているが、• 塍癌におけるCAFの臨床的意義は明らかではない。 そこで本研究では.、まずCAFで発現するとされるaSMAおよびVimentinを用い て、その発現が一様でないかを確認し、それぞれの発現しているCAFが異なった臨 床的意義を有しているかを解明することを目的とした。 【方法】 当院で2009年から2016年に膝癌に対して術前治療を施行せず縢切除術を施行し た 67例を後方視的に検討した。腫瘍間質に存在するCAFをaSMAおよびVimentin の発現によって評価した。CAFの分析は、免疫組織染色でサンプルを200倍視野で 腫瘍中央部の3か所をランダムに採取し、腫瘍細胞を除いた間質における染色率を ImageJで測定し、平均値を算出した。また、2重蛍光免疫染色でも同様にサンプル を採取し、Hybrid Cell Count BZ-H4C analyzerで aSMAおよびVimentinを共発現して いる細胞、それぞれ単独発現している細胞の染色率を測定し、平均値を算出した。
【結果】
腫瘍間質においてaSMAは中央値で15.2%、Vimentinは 16.4%発現しており、相 関性は認めなかった p=0.168、ピアソン相関係数0.171)。また2重蛍光免疫染色 で aSMAとVimentinを共発現している細胞、、それぞれ単独発現している細胞が存在 しており、共発現している細胞は全体の25%であった。 免疫組織染色でVimentin高発現群は全生存率が有意に不良であった p=0.018)。 そこで、2重蛍光免疫染色でaSMAとVimentinの共発現している集団とaSMAを発 現せずVimentin単独発現している集団に分類し、それぞれの集団における予後を検 討した。aSMAとVimentinの共発現の高発現群 n=29)と低発現群 n=38)の間に (備考)1. 論文内容要旨は、研究の目的• 方 法*結 果•考 察• 結論の順に記載し、 2千字 程度でタイプ等を用いて印字すること。 2.※印の欄には記入しないこと。
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別紙様式3の 2 (課程博士 • 論文博士共用) , ___________________________ ___________(続紙) 全生存期間に有意差を認めなかった p=0.143、生存期間中央値:18.2ヶ月vs 33.3ヶ 月)。しかしVimentin単独発現の高発現群 n=22)は低発現群 n=45)と比較して有 意に予後不良であった p=0.014、生存期間中央値:15ヶ 月 vs33ヶ月)。一方、aSMA 単独発現については、高 発 現 群 n=34)は低発現群 n=33)と比較して予後良好な傾 向を認めた p=0.065、生存期間中央値:33ヶ 月 vs 15.2ヶ月)。単変量解析でVimentin 単独発現高発現群 p=0.014)、年 齢 65歳 以 上 (p-0.019),腫瘍サイズ20mm以上 (p=0.037)、神経侵襲陽性症例(p=0.027 で有意に予後不良であり、Cox回帰分析に て Vimentin単独発現高発現群が独立した予後不良因子であった p=0.014、ハザード
比 2.305)。 【考察】まず、我々は塍癌腫瘍間質でaSMAとVimentinの発現程度に相関性がなく CAFが ヘテロな集団であることを示した。既報でもCAFがへテロな集団であることは知ら れており、その理由としてCAFの起源が多様であることが考えられるが、既報では 共発現している割合は検討されていない。本研究で、共発現しているCAFは 25%で あり、単独発現している.CAFが多いことを初めて示した。よって、それぞれ単独発 現しているCAF、および共発現しているCAFの臨床的役割を別々に検討する意義が あると考えた。 また、我々は2重螢光染色を用いてaSMAを発現せずVimentin単独発現している CAFが塍癌の予後と関連していることを示した。既報では、aSMA発 現 CAFが多い 方が予後不良とした報告を認める一方で、マウスモデルでaSMA発 現 CAFを減少さ せた方が予後不良となった報告を認めており、CAFの臨床的意義が不明であった。ま た、既報では単独のマーカーのみで予後との関連性を検討されている。本研究では、 aSMAと Vimentinの 2種類のマーカーを用いることで、CAFには亜集団が存在し、 それぞれの臨床的意義が異なることを初めて解明した。 しかし、本研究ではVimentin単独発現しているCAFが具体的にどのように腫瘍微 小環境のなかで腫瘍促進的な働きを引き起こしているかは解明できておらず、今後の 検討課題である。 【結論】 膳"癌間質におけるCAFは同 一集団ではなく、個々の塍癌症例において発現型が異 なっていた。また、aSMAを発現せずVimentin単独発現しているCAFが予後因子と なる可能性が示唆された
別 紙 様 式8 (課 程 博 士 •論 文 博 士 共 用 )
学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
整理番号 8 6 9 氏 名 前 平 博 充 論文審査委員 (学位論文審査の結果の要旨) ※ 明 朝 体1 1 ポイント、6 0 0字以内で作成のこと 膊 癌 は 癌 周 囲 間 質 に 著 明 な 線 維 化 が 生 じ る 。 そ の 割 合 は80%以 上 と い わ れ て お り 、膝癌 の 進 展 や 転 移 機 序 の 理 解 に お い て 癌 周 囲 間 質 に お け る 線 維 化 の 役 割 は 重 要 と 考 え ら れ る 。 癌 周 囲 間 質 の 線 維 化 に は 、癌 関 連 線 維 芽 細 胞(Cancer associated fibroblasts, C A F s )な どの間葉系細胞が関与するとされている。本 研 究 で は 、CAFsの膳癌に対する臨床的意義に つ い て 、 間葉系細胞のマ'— 力1一 で あ るa -s m o o t h ・scle actin ( a SMA)お よ びVimentinを 用 い て 検討を行い、 以下の点を明らかにした。
1) 脖 癌 間 質 に お い て 、a S M AとVimentinの 発 現割合に相関性はないが、二重蛍光免 疫 染 色 で 共 発 現 し て い るCAFs、a SMA単 独 発 現 し て い るCAFs、Vimentin単独発現
し て い るCAFsをそれぞれ認めた。
2 ) a S M A陽 性CAFs、Vimentin陽 性CAFsでそれぞれ生存転帰が異なっていた。
3 ) 多 変 量 解 析 で 、Vimentin陽 性a S M A陰 性 のCAFsの高発現群が独立した予後不良因 子 で あ っ た 。 本 論 文 は 、膣 癌 周 囲 間 質 に お け るCAFsの臨床的意義について新しい知見を与えたもので あり、最 終 試 験 と し て 論 文 内 容 に 関 連 し た 試 問 を 受 け 合 格 し た の で 、博 士 (医学) の学位 論 文 に 値 す る も の と 認 め ら れ た 。 ( 総 字 数 548字 ) (令 和2年 1月2 8 日)