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CdTe量子ドット-フラーレン誘導体系のホット電子移動ダイナミクスの研究

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Academic year: 2021

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CdTe量子ドット−フラーレン誘導体系のホット電子

移動ダイナミクスの研究

著者

郡 捷太

(2)

2019 年度 修士論文要旨

CdTe 量子ドット-フラーレン誘導体系の

ホット電子移動ダイナミクスの研究

関西学院大学大学院理工学研究科

化学専攻 玉井研究室 郡 捷太

【序論】近年,コロイド合成した半導体ナノ粒子から外部への電荷抽出に関する研究が盛 んに行われてきた。半導体ナノ粒子-アクセプター分子系では,ナノ粒子内における強い電 子-正孔相互作用により,有機分子系とは異なる高効率電子移動反応が報告されている 1) しかし,先行研究はバンド端からの電子移動に集中しており,高効率な太陽電池を作製す る為の基礎として極めて重要である高励起状態からの電子移動 (ホット電子移動) の研究 報告は未だ少ない 2)。そこで本研究では,サイズの違う CdTe QDs にアクセプター分子と してフラーレン誘導体 (PCBA) を吸着させた系を構築した。さらに,フェムト秒過渡吸収 分光を用いて状態選択励起を行い,CdTe QDs から PCBA へのホット電子移動のダイナミ クスを解析したので報告する。 【実験】窒素条件下で, Cd 前駆体を 300℃まで加熱し,反応温度,前駆体濃度を制御して から Cd 前駆体に Te 前駆体を inject し,反応時間も制御することで CdTe QDs (3.1 nm,3.4 nm,3.7 nm,4.1 nm) を合成した (コロイド合成)3)。その後フラーレン誘導体 (溶媒:クロ ロホルム) を溶媒支援吸着法により CdTe QDs (溶媒:hexane) に吸着させた。サンプルを フェムト秒過渡吸収分光により測定し, CdTe QDs-PCBA 系のキャリア移動ダイナミクスを 解析した。また,Ti:Sapphire レーザーの第二高調波を励起光として用い,フェムト秒過渡 吸収測定を行った。状態選択励起は Ti:Sapphire レーザーの基本波を光パラメトリック増幅 器 (OPA) に導入し,任意の波長に変換したものを励起光として用いた。

結果と考察】CdTe QDs と CdTe-PCBA 系の吸収・発光スペ クトルを図 1 に示す。CdTe QDs の吸収スペクトルは,サイズが大 きくなるにつれて 1S 吸収 ピークのシフトが観 測された。CdTe-PCBA 系は CdTe QDs とほとんど変化が無く,< 370 nm の範囲 で PCBA 由来のスペクトルのオーバーラップによる変化が観測さ れた。また,発光スペクトルでは,CdTe-PCBA 系においてバンド 端発光の顕著な消光(99%)が観測された。これは CdTe QDs と PCBA の酸化還元電位を考慮すると,CdTe QDs から PCBA へ

の電子移動に起因すると考えられる。CdTe QDs と CdTe-PCBA 図 1. CdTe QDs (実線) と CdTe- PCBA 系 (点線 ) の 吸収 お よ び 発光スペクトル 400 500 600 700 A bsor b a n ce, Inte n si ty (a .u .) Wavelength / nm 3.1 nm 3.4 nm 3.7 nm 4.1 nm

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系の励起波長 400 nm,励起光強度 10 W の過渡吸収スペクトルの結果を図 2 に示 す。どちらの過 渡 吸収 スペクトルに もCdTe QDs のバンド端遷移に対応する 波 長 に ブ リ ー チ が 観 測 さ れ , CdTe-PCBA 系ではバンド端ブリーチの速い減 衰が観測された。 CdTe QD と CdTe-PCBA 系のバンド 端ブリーチダイナミクス (4.1 nm) を図 3 に 示 す 。CdTe-PCBA 系 で は , CdTe QDs のバンド端状態から PCBA への電子移動に由来 するバンド端 ブリーチの速 い減 衰 (~10 ps) が観測さ れた。また,CdTe-PCBA 系におけるバンド端ブリーチの ライズ成分は約 670 fs 程度であり,CdTe QDs (~800 fs) に比べて速くなっていた。今回用いたCdTe QDs では, 励起波長 400 nm におけるバンド端ブリーチの立ち上 がり成 分 が高 励 起 状 態 からバンド端 状 態 へのホット電 子の緩和過程に対応しているため,CdTe-PCBA 系の 速い立ち上がり成分は CdTe QDs の高励起状態から PCBA へ の ホ ッ ト 電 子 移 動 の 存 在 を 示 唆 し てい る 。 CdTe-PCBA 系の速い立ち上がり成分は CdTe QDs のバ ンド内緩和 (kint) とホット電子移動の時定数 (kHET)の和

と し て , (kint + kHET) = rise-1 で 与 え ら れ る 。kHET / (kint

+kHET)から見 積 もられたホット電 子 移 動 収 率 ΦHET (4.1 nm で~17% )は 1S ブリーチ収率から見積もられるホット電 子移動の収率と良い一致を示した。CdTe QDs の ΦHETの 粒径依存性を図 4 に示す。ΦHETは,粒径 3.7 nm で最 大になる。この振る舞いはバンド内緩和の速さと電子状態 密度に起因している。さらに ΦHET は,発光量子収率にも 依存し,トラップ状態への緩和とホット電子移動が競争して いる事がわかった。

1) H. Zhu, Y. Yang, K. Hyeon-Deuk, M. Califano, N. Song, Y. Wang, W. Zhang, O. V. Prezhdo,

T. Lian, Nano Lett. 2014, 14, 1263–1269. 2) T. Okuhata, T. Katayama, N. Tamai, J. Phys. Chem. C 2020, 124, 1099-1107.

3) V. Kloper, R. Osovsky, J.K. Olesiak, A. Sashchiuk, E. Lifshitz, J. Phys. Chem. C 2007, 111, 10336-10341. 500 550 600 650 700 750 Δ OD / (0.0006 / d iv.) Wavelength / nm baseline 0 ps 0.1 ps 0.2 ps 0.5 ps 1 ps 10 ps 100 ps 500 ps 780 ps        3 3.2 3.4 3.6 3.8 4 4.2 H ot e le ctr on t ran sf er yi el d / %

HET, 1P(e) state

Diameter / nm

図 4. 異なるサイズの CdTe QD– PCBA 系の ホ ッ ト 電 子 移 動 収 率 図 2. (左) CdTe QDs (4.1 nm) と(右) CdTe -PCBA 系の過渡 吸収スペクトル (λex.= 400 nm)

図 3. CdTe QDs (4.1 nm) と CdTe -PCBA 系 の過渡吸収ダイナミクス (λex.= 400 nm) -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0 2 4 6 8 10 Δ O D / OD (N or m .) Time / ps -CdTe QDs -CdTe-PCBA 系 500 550 600 650 700 750 Δ OD / (0.0006 / d iv.) Wavelength / nm 780 ps 500 ps 100 ps 10 ps 1 ps 0.5 ps 0.2 ps 0.1 ps 0 ps baseline

図 4.  異なるサイズの CdTe QD–

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