Title
[講演録]島嶼的地域開発と資源植物園
Author(s)
小山, 鐡夫
Citation
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical
resources technologists, 1(1): 41-55
Issue Date
1985-03-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/13942
Ⅵ)1.1 Nll 1985 島峡的地域開発 と資源植物鱗 41
島嘆的地域 開発 と資源植物 園
小
山 銭 夫
(ニ ュー ヨー ク市立 大学, ニ ューヨーク植物 園)
昭 和 59年 11月 10日 受 理
RoleofbotanlCgardensintheokinawanregionaldevelopment TetsuoKOYAMA
TheNew YorkBotanicalGal-den BT・OnX New York1()158 (RecleVedNovember10,1984) ただい ま,琉大 の国府 田教授, その他 の方 々か らご紹介 いただ きま した小 山です.過分 な ご紹介 をいただ きま して恐縮 いた してお ります. 私 こ の へ ん を通 ります時 は,よ く沖 縄 に たち よ りま す ん で す けれ ど も, そ れには一つの 理 由 が ございま して,実 は 随 分 昔 の 話 しに な りま す が, まだ沖縄県 が 日本 に復帰 しない前 に, ここは 米国 の民 政府 が持 ってお りま して, その当時,19
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年 か9
年 で したか,その頃 に,当時 の, 今 の琉 球大学が民政府立THEUNIVERSITY OFTHE RYUKYUS と形容 されてお ります時 に,客 員教 授 と して植物学 の講義 をす る機会 が ございま して, その時 に、 そ うい う関係 で一両年 こち らの方 へ ま い りま した. その時 は植物 の講義 をす る とい うの も一つ の 目 的 だ ったのです けれ ど も, も う一つ 目的が琉球 の 植物研究 で ございま した. それは アメ リカの, たぶん国務 省 だ った と思 い ますが,実動 的 な ことで有名 な, 米 国 のス ミソニ ア ン研究所 がや ってお りま したん です けれ ども, SIRIプ ログラムとい うのが ござい ま した. この SIRIとい うの は, ここにあ ります よ うにS ・I・R
・i. ど うい う意 味 か と申 しま す と, S
は (Scientific),Ⅰ は (Investigation)Rは(Ryukyu)です.最後 の Ⅰが(Islands) (SclentlflC Investl・ gatlOnSOftheRyukyuIslands) とい うプ ログ ラ ムが あ り, これは米 国の国務 省 が 巨額 の国費 を投 入 しま して,琉球列 島全休 の,つ ま り奄美大 島以 南 ,与那 国,尖閣列 島 までの植物 を中心 に琉球列 島全体 の植物 を しらみつ ぶ しに調 べて集 めて いた の です. 結局 その プ ログラムで, アメ リカとして は植物 を集 めた とい うことにな りますが,琉球地 区 に と って非常 によか った ことは, その結果 をま とめま してス ミソニア ン研究所 か ら TheFl()raofOkl・ nawa& SouthernRyukyus と い う1千 数 百 ペ ー ジにわた る本 が出 ま して, これが ご く最近 で き た沖縄地 区の完 全 な フロラ(Flora)とい うこ とに な ります. 私 はその一部 を書 きま した. その フ ロラに並行 して, 奄美大島 も含 めて,九 州 の屋久 ・種 子以南 までに拡 大 したのが,鹿児島 大学 の初 島任彦 先生 が琉球 大学 に滞在 中 にお書 き にな った 「琉球植物誌 」 とい うことにな ります. 植物誌 は別 と しま して, 注意 すべ きこ とは アメ リカが琉球 列島 の統治権 を手 にいれた とたん に植 物調査 を徹底 的 にや って, 植物 を集 めた とい う一 事 だろ うと思 うのです. 今 日の話 しはそれ に関連 いた して島峡的 な地域 (41)
42 中 山 城 夫 開発, ここで島興的地域 と言 い ますの は, 島 なん です けれ ど も, 今 日の場 合 は琉球列島 とい うこと にな ります. その資源植物 園 とい うことにな るん です けれ ど も, それ では, どう して島塊 であ る琉 球 列島 に資源植物 園 なんだ ろ うか とい う疑 問が 当 然 出て まい りますが, その理 由が幾 つか ございま して, その理 由 につい.て, お話 ししたい と思 って お ります. まず, ここに ござい ますよ うに琉球地 区沖縄県 とい うの はた くさんの島が あ る島映地帯 であ ると い うことで,地域開発 をす るには一つの大 きな要 因 として, 島 とい うこ とを考 えろ必要が あ ります. この 第 一 の 理 由 の 島 な る こ とに くわ え, 二つ 目の理 由が, こち らは 日本 で唯一の本 当の亜熱帯 圏 に属 す る とい うことで ございます. 三 つ 目の理 由は, 地理 的 な理 由 で ござい ま して, ここが亜熱 帯 であ ると同時 に,琉球列島 を通 じて台湾 につ な が りま して, さ らに台湾 か らフ ィ リピンにつなが って この マ レーシア地 区 に もつ なが るとい うこと で,地理 的 に言 いま して,要 す るに南 方へ の関連 とこ うい うことが ございます. この三つ の大 きな 要因が地域開発 の場 合 に当然 考 え られ るだろ うと 思 うの です. まず この理 由の一つの島 とい うことか らお話 し を進 めて まい ります と, 島 と植物 園 とい うの は, 非常 に歴 史的 に も古いつなが りが すでに ございま して, まず17世紀 ごろに さかの ぼ って考 えてみま す と, 植物 園 の本格 的な ものが誕生 したのが約17 世紀 ぐらいにな りますが, 当時 欧州 に植物産業 で 国 を建 て よ うとしていた植物産 業立 国の二つの大 きな国が ござい ます. その一番大 きな国が英 国 で す. その他 に オ ランダが ござい ます, この オ ラ ン ダ と英国 の2国 で植物 園 を どこに造 ったか とい う ことか ら考 えて い きます と, 英 国 は西 イ ン ドの ア ンチル列島 (
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のほ とん ど各島に
植物 園 を造 ってお るわけで ございます. さ らにオ ランダは蘭領東 イン ド, 今 の イン ドネ シアを占領 しま して, その中 で も植物 園 を造 った のですが, ジ ャワ島 のよ うな比較 的小 さな島 に植 物 園 を造 っ たボ ゴール の植 物 園 が そ れ ですが, ボル ネオ とかス マ トラの よ うな大 きい所 には植物 園 は造 らなか ったのです. (42) 南方資源利 用技術研 究会誌 さ らに,17世紀 の オラ ンダの スパ イス支配 を見 てみ ます と, や は りオ ランダは当時 ニ クズ クです とか, 重要 な丁字 とかの スパ イス をどこに入れ た か というと,セレベス島 の隣 の スパ イスアイラン ドと い う小 さい島が い くつか ま とま ってい る, そ こへ スパ イスを入れ ま して, さ らにオ ランダの国策 と しま して, ニ クズ ク とか丁字な りをスパ イスアイ ラン ド以外 の島 に栽培 す る こ と を完 全 に 禁 止 し ま して, ニ クズ クの樹 で それ以外 の島 に生 えてい る もの は, 全部 伐木 しま して, スパ イス諸 島以外 でスパ イスを栽培 した現地 人 を死刑 にす るとい う くらいの,非常 に極端 な きび しい政策 を執 って島 を利用 してお ったのです. なぜ, 島 か とい うと, 島 とい うの は海 に囲 まれ てい る一 つの小 さい陸地 であ って, 島 に植物が生 えます と,陸上植物 はそ こか ら隣 の島 に行 くには. 何 等 かの トラスポテ ー シ ョンがない限 り出て い け ない. ですか ら一 つの理 由 としてはそ こに植 えて あ る植物 を外 に出 さない とい うことで,植物 の保 護に島が好都合 な要素 を提供 してい る とい えます. いろんな意 味 で好都 合 で して, た とえば,植物導 入 と言 いま して, 他所 に生 えてい る植物 をあ る地 区 に栽培 す るためには, 一応試験栽培 を しなけれ ばな らな い, その時 にそ うい う植物 を大陸の一部 であ る囲場 に栽培 します と, もしその植物 が悪 い 影響 を与 える種類 であ った場 合, 拡 が りす ぎて手 に負 えな くな る危険性 もあ ります. た とえば, アメ リカに渡 った葛 な どの例 なので す けれ ど も, 日本 では葛 は葛粉 を採 りたい と思 っ て もなかなか伸 びな くて,葛粉 は本 当の葛 か ら採 ったのは た い へ ん 高 くつ い て い ま す し, 日本 の葛粉 とい うの はほ とん どジ ャガ イモの澱粉 だそ うです が,葛 を一度 アメ リカ大陸へ持 ってい きま す と,葛 は爆 発的 に増 えま して, ジ ョー ジア州, ア ラバ マ州, フロ リダの北部, サ ウスカ ロライナ な どでは葛が蔓延 しま して, ビル を番 って しま っ た り, レール ウェイの レール と レールの間の軌道 敷 を持 ちあげた り,畑 を全部葛 が覆 った りして, 一晩 で葛 の責 は20cm以上伸 び るの だそ うですが, その くらい伸 びま して, これ は有用植物 どころか, 日本 の ちょ うど本州 の 「セ イタカア ワダチ ソ ウ」 みたいに害 草 と してはびこる とい うよ うな ことすVol.I Nil 1985 らあ るの です. そ うい うわ けで, 移住試額 をや るには まず一 つ の島 を使 って試験 をいた します. もしそ うい った 爆発 的 に増 えた りした場 合 で も少 な くと も島 か ら 外へ は出 て い きに くいので, 具合が良 いわけです. さ らに新 しい植物 を導入 します と,今度 はその 植物 が, そ こにあ る菌 に弱 い場 合は植物 が病気 を 起 こ しま して, 病 気が まん延 す るで しょう, その 場合 に も仮 に病気 を起 こ して も,島以外 の ところ へ は病気 が出 てい きに くい とい うよ うな,好都合 な特点 が ございます. こ うい うのは ネガテ ィブの ほ うで好都合 な点 なのです けれ ど も,今度 はポ ジ テ ィブな点 で好都 合 な点 は,先 ほ どの スパ イス を 外 へ出 さな い とい うことをオラ ンダが島 を使 って や ったよ うに, 有用植物 の権利保護 とか,独 占に つなが ります. もしも,琉球列島 で有用 な植 物 の品種 を開発 し た といた します. そ うします とその植物 が現 在 で は, 植物 の品種保護法 とか特許 法 によ って開発 し た人 の権利 は守 られ るのです けれ ど も, しか し植 物 の ことですか らもしも種 が盗 まれ るとか, あ る いは根 っ子が盗 まれ るとか, 枝 が盗 まれ ろとか い う場 合 は,要 す るに, 水 の泡 をつか むよ うに,誰 かが その植 物 を盗 む こ とが で きる. しか し, あ る 植物 の元 にな る,ジャームプラズム(Germplasm) といいます けれ ども,生殖 質, そ うい うもの をあ る島 に入 れてお きま して, 島 か ら外 に出 さな い よ うにするということは可能 です. その場合 は島か ら 植物 が出て い くの を,一 必 ず島 か ら何 か を出す に は,船 な り,飛行機 な りをつか いますの で 一 出 て い く港,あるいは空港,そ うい う所 で植物 の検査 をすれ ば, つ ま り税関検査 をすれ ば,種 子 な どが 出 て い くことが わか ります か ら,植物 の出入 りを コン トロールで きる とい うこ とにな るの です. 栄 国の場合 は, ア メ リカに渡 航 な きった方 はお気 付 きか と思 います けれ ど もアメ リカの入国港, 出国 港 の中 で, 一番荷物 チ ェ ックの厳 しいの はハ ワイ なのです けれ ど も, ハ ワイの場 合 は今 の よ うな意 味 あい もあって,特 に植物 の出入 りを非常 に厳 し く調 べて い るわけです. そ うい うことで島 とい う一つの フ 7クタ-, こ れは植物 の導 入, 開発,保存, 植物 のテ ス トな ど (43) 島峡的地域開発 と資源植物園 43 の あ らゆ る面 に好都 合 であ るとい うこ とにな りま す . 日本 とい う国 を見 てみ ます と, た くさんの島 が集 ま って い るの は, 沖縄県 と伊豆七島か ら,小 笠原 まで にな りますが,伊豆 七島の島 は全部火 山 島 で土壌 が悪 く,面積 的 に も沖縄列 島の島々 とは 全然比 較 にな らない, そ うい うことで, 沖縄 のほ うが地の利 を得 てい る. さらに小笠原 諸島の島 々 もかな り大 きくはあ りますけれども, 水 ・土壌等 の 関係, その他 で植物 の導 入 とか,植物 の研究 には あま り向 かない. ところが幸 いに して琉球列 島 は 緑 の島 といわれ る ぐらい,適 当 な雨量 もあ りま し て,温度 も非常 に高 く, そ うい うことで熱帯,亜 熱帯 の植物 が理想 的 に育 ち得 る とい うこと, さら に土壌 もそれほ ど悪 くはない とい うよ うな, いろ ん な利点 が あ りま して,植物産業 のための,植物 の開発 の基礎 研究 をす るの に大変適 してお ります. その次 に, 同 じ大 きな島 で も,千島列 島 のよ う に寒帯 とか亜寒帯 にな ります と, これは資源植物 の研究 に向 かないの です.琉球 列島の場 合 は地域 全体 が亜熱帯 に属 しますか らこの点 で もたいへん 地 の利 を得 ています. 亜熱 帯が良 い とい うこ とは, 熱帯植物 を育 て る とい うことに も使 えます し, さ らに温帯植物 の栽培 な どに も利用 で きる温帯 と熱 帯の中間地帯 にな ってい る とい うことで, そ こで 品種 を開発 します と熱帯 向 けの物 が で きるほか に, 温帯 向 けの物 もで きます し, かな り弾力性 に富 ん だ研究 がで きます. こ うい った点 でたい-ん良 い ことにな ります. その次 に,第三番 目の フ ァクター, たい-ん重 要 な フ ァクターで ご ざいま して, 南方 に向 いてい る一つの拠点 であ るとい うこ となん です. これは なぜか と言 います と,今 まで我 々が何千何百年 も かか って開発 して きた作物, これ を眺 めてみます と, た とえば小麦, あ るいは緑野菜, そ うい った 物 で も, 大体 において温帯地 帯 向 けの,温帯地帯 に適 した よ うな作物 を今 まで人間が開発 して きた わけです. 熱帯 に向 けての作物 とい う物 の開発 は いままで あま り心 が け られ てお りませ ん. 熱帯作 物 は全体 的 に, 概 して, まだ非常 に未開発 の状態 にあ るとい うこ とが言 えるわけです. そ うい う意 味 で今後 ま った く新 しい作物 を開発 して,作物 を 多様化 してい くとすれ ば, 温帯作物 を多様化 す る
44 小 山 織 夫 よ り以上 に熱帯作物 を多様化 す るほ うが意 味が あ る とい うことにな ります ので,琉球が熱帯 に向 い てい る とい うこ とは植物産業 開発 に非常 に適 して い るこ とにな ります. そ うい う意 味 で琉球列 島 とい うのは亜熱帯 にあ り,台湾 を経 由 して熱帯 の ほ うへ関連性 が あ るの です. 熱帯 に対 して門戸 を開 いてい るとい う非常 に重要 な地 域性 が見 られ るわ けで ございます. まず, 植物 を導入 す るために何 が必要 で あ った か を歴史的 に眺 めて みます と, まず, 植物 園の誕 生 を振 り返 って みて,植物 園 は何 のために必要 で あ ったのか とい うことにな るのです. 植物 園の卵 とい うのは ローマ時代 にす でにあ りま して, ロー マ時代 には薬用植物 を栽培 して,病気 の治療 を し て いたの ですが, そ うい う薬草 園 としての植物 園 が誕生 して, その薬草 園は修道 院 の裏庭 にあ りま して, 中近東 か ら欧州 へ薬草類 を入 れて, それ を 大 事 に栽培 して いたわけです. その薬草 園か らさらに植物 園 に発展 してい きま したが, その次 の段 階 でお もしろい逸話 が あ りま して, イタ リアの ローマの シーザ ーが冬 の間で も 胡 瓜 を食 べ たが った. 当時 は植物 園 に温室 な どと い うの はなか ったので それで胡 瓜 を土管 の よ うな 円筒 の中 に栽培 して, 円筒 の枠側 を雲母 の板 で覆 ったわ けです. 雲母 を屋根 に した土管 を作 って そ の筒 の中で胡瓜 を栽培 した, それで ローマの シー ザ ーは冬 の間 も胡瓜 を食 べて いた, とい う話 しが あ るの です けれ ども雲母板 をのせ た土管が温室 の 始 ま りとい うよ うに言 われてお ります.
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世紀 に入 ってい きます と, スペ イ ン, ポル ト ガルが スパ イス集 め を始 めま した.当時 の ヨー ロ ッパ では食べ物 の種類 が非常 に少 かったと思われま す. コー ヒー もお茶 も導入 されて いな くて,肉 だ の少数 の野 菜 が あ っただ けですが, そ うい う時代 では肉の保存法 が十分 でな いので肉が腐 りやす い, そ うい うこ とで, やや腐 りか けたよ うな肉の悪 臭 を消 した り, 悪 い味 を消 した りして食 べ るために, スパ イスが非常 に重要 だ ったのです. そ うい うこ とで スパ イスの値段 が高 か ったの で,大切 な商品 と して, スパ イスを集 めた. その当時 は, スペ イ ンや ポル トガルや イ タ リーの商人 が中近東 か らア ジアへ まい りま して, スパ イス`をた くさん集 めて, (44) 南方資源利用技術研究会誌 図1 セ イ ロン ・二クケ ン. ス リランカの ネゴ ンポ附近 で 図2
コシ ョウの栽培 ス リランカにて 持 って帰 ったわ けです. 採取産業, つ ま り生 えて い る植物 を採 って くるとい う産業 であ りま して, 採取産業 か ら栽培産業 に切 り替 えたのが,17世紀 に至 っての オ ランダ, 英 国の スパ イスか らあ らゆ る有用植物 を資源 とす る,植物産業立 国政策 とい われ る もので, オ ランダは, 今 のよ うにセ レベス 島近 くの島 を使 ってスパ イスを独 占 したわけです けれ ど も,英 国 は もうす こ し広 く目を開 きま して,Vol.l hh1 1985 い ろい ろな有用植物 を系統 的 に調 べ てお ります. つま りインベ ン トリーをや りま して, 英 国 の扱 った 植 物 は スパ イスばか りじゃな くて, お茶 とか コー ヒーのような噂好 飲料,ゴマの よ うな油料植 物, さ らに工業用 植物 と して各種 の繊維 植物,綿 な どは 英 国 のお か げで あ っち こっちに広 が りま した. さ らに ゴム, サ トウキ ビ, さ らに は薬草植 物 とキ ニ ーネ類 とい った よ うな植 物 を英 国 は全世 界 の熱 帯 か ら系統 的 に研究 して見 付 け出 して ま い りま して, 広 く植物 を栽培,導 入 しよ うと試 み たわ けです. それ で植物 の探 索 を始 め る一 万 ,植物 をキー プす る所 が必 要 なの で,植物 園の大 型 な もの を次 ぎ次 ぎに造 ったの です. それが そ もそ も英 国 にあ りま す ロ ン ドンの チ ェル シー植 物 園 とか, あ るいは王 立 キ ュ ー植物 園 の誕生 の一つ の 目的 にな ったの で す けれ ど も, 有用植 物 を欧州 に持 って きま して, キ ューあ るいは ア ムステ ル ダ ム植物 園 で苗木 をつ くる, それ を他 の植民 地 -導 入 す る とい うこ とに な る と, 大 体 が熱帯 の植物 なの で うま くいか な い の です ね. それで熱帯 に植 物 園 を造 る こ とに 目 を つ けま して,英 国 は東洋 と して は シ ンガポ ールの 植 物 園, カル カ ッタの植 物 園, ス リランカのベ ラ デ ニアの植物 園, こ うい うい くつ もの植 物 園 を開 設 しま して, それが大休 は世紀 の初 め ごろにな り ます. それ と同時 に,英 国 は西 イ ン ド諸 島 に もジ ャマ イカ島 を始 め と して た くさん の植民 地 を持 っ てお りま して, そ ち らの各 島 に も植 物 園 を造 って お ります.英 国 の造 った西 イ ン ド諸 島 の植物 園 に は, ド ミニ カ島の ド ミニ カ植物 園, ジ ャマイカに はジャマイカ熱 帯農業 研究所(Instituteoり amaica) とい う名 前 の 植 物 園 を造 ろ. セ ン トビ ン セ ン ト, ト リニ ダ ー ドそ うい う所 に も植 物 園 を 造 りま しナ∴ 当時 フ ラ ンスは モ リー シアス とい うア フ リカの東 の万 に あ る島 に植 物 園 を造 って, そ こ に, ニク ズ クだの グ ロー ブだ の を栽培 して お りま して, や は り島 を使 ってお ります. そ うい うこ と で大型 の研究増殖 用 の植物 園 とい う ものが た くさ ん誕生 して きます, これが本 格 的植物 園 の誕生 の 歴 史 の- こまで あ りますの で,歴 史的 に みれ ば植 物 園 とい うの は, 当初 の 目的 は植物 を集 めて, な んかの理 由 目的 で栽培 す る所 と, 大 きな 目的 を定 義 で きます. (45) 島典的地域開発 と資源植物園 45 さ らに時代 が現 代 に近 づ いて ま い ります と, い ろい ろ と変 わ った植 物 が植 物 園 に集 め られ てい る もの です か ら, 大学 で植物学 の教 授 をす るの に教 材 が た くさん植 わ って い るの で具 合 が良 い とい う ことになって,これ も古 くイタリーで始 まった の です が, ロー マ大学 の教 授 が 当時 の植 物 園 を使 って植 物学 の講 義 を始 め ま して, そ もそ も植 物 園 と大学 の結 び付 きの始 めに な るわ けです けれ ど も, そ う い うこ とで植物 園 は学 術 的 な意 味 を持 つ よ うにな りま した.植物 園 は最初 は植物 を栽培 す る所 であ り, さらに学 術 的 な植物学 の研 究所 にな りま して, 研究用 の植物 を栽培 す るこ とにな ります.現 在 の 植物 園 は,集 めて栽培 し, あ るいは学術 的 な 目的 に使 うほか に, それ に プ ラス して第 三 の 目的 が出 て きま して, 植物 とい うの は, 花 が咲 いた時 に美 しい もの なの で園芸植物 をた くさん植 えて人 を楽 しませ る とい う要素 も出 て まい りま して, 植物 園 の 目的 と して は
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つの要素 を持 つ よ うにな りま した. これが現在 の植物 園 で, さ らに将来 の植物 園 の 目的 は ど うだ ろ うか とい うと, 第 四番 目の 目的が 誕生 して まい ります. 今度 は農 業 関 係 の方 々が新 品種, 優 良品種 な どを育成 す るた めの植物 の材料 を, つ ま り遺 伝 資源 を保存 して置 く所 とい うのが, 21世紀 に向 か っての植物 園 の重 要 な 目的 の一 つ と い うこ とにな って まい りま して, これ は, 今美 し い植物 を見 る とい うよ うな 目的 とは違 って, 我 々 の食糧供 給 の間者 につ なが ります. つ ま り人 間 の 生死 にか か わ る重 要 な フ ァンク シ ョン(functlOn) を植物 園が お びて くろこ とが考 え られ てまい りま す. 歴 史的 に植物 園 を見 て み ま したん です けれ ども, まず今の話 しで植物 園が遺 伝子 資源 を集 め る所 とし て,重 要 なんだと,申 しま したので,遺 伝子 資源 と いうものはどんな ものだ ろうか とい うよ うな見地 か ら少 し遺 伝 子 資源 の話 しをしてみたいと思 い ます . 植物 の重 要性 が これ ほ どまで に いわれ た時代 は い ままでに ご ざいませ ん の です けれ ど も,1
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世紀 か ら17世紀 にか けて は スパ イスが高 く売 れ る とい う ことで, 植物 産 業立 国 の上 で重要 だ ったのですが, 今度 の21世紀 に向 か っての植 物 産 業立 国 の重要性 はお金 が儲 か るとか儲 か らな い とか い う問題 では46 小 山 敏 夫 南方資源利用技術研究会誌 な くて, これ は我 々の食糧, あ るいは衣料 の その う, 切実 な問題 につなが って まい ります. 他 の生活 必需品 の補給 が で きるか で きないか とい 図
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資源植物 の開発 と利用 を示 す模式 図 第 一次 (天然 )資源 第二次 (原料 )資源 加 工 品 野 生 有 用 植 物 栽 培 植 物 ダ イズ油 レ メ 味 噌 .醤 油 .豆 腐 ソ ノ マ 野 生 サ ト ウ キ ビ サ トウキ ビス-
・ 砂 糖 (サ ツカル ム .ロブ ス トウ ム) バ ナ ナ コ ム ワ セ オ バ ナ 類 栽培ゴム ノ キ 野 生 ス ス キ 野 生バ ナ ナ 属 植 物 野 生 パ ラ ゴ ム 農(人 工 的林再 生産業) 食品/植物工業(加工 .包装等 ) 自 然 再 生 産 現 象 未 開 発 //末 利 伺 有 岡植物 バ イ育オテクノ種ロジー 完 {言 ,三 言,'告 'FTF三三.二子) 辛 ; 植大 物量 増工 場殖 消 費 材 (植物 ) 野 菜 果 物 低 開 発 /低 利 用 野 生 植 物 野生採 増 殖 (半栽培 ) ワイル ドライ ス (マ コモ屑 ) -ワイル フイ ス ク レー ノ ・ 人 参 チ ヨ セ /- / ンノ パ ラ ミツ(ジ ヤ ツ-ク .フル - ツ) ・ 野 菜 資源植物 と言 います と,大体 の方 々は米 だの麦 だの食 べ る もの を想像 され るのです けれ ど も,実 は食 べ る ものだ けではな くて,衣料, その他 の繊 維 も植物 か らで きています し, さらに紙 なども木材 等 の繊維 か らで きてお ります.植物 は我 々の衣 食 住に関す るほ とん ど必要 な もの全部 を供 給 す る と い うことにな ります. その植物 の需要 は増 える一 方 で して, これ は人 口が増 えますか ら当然 植物 の 需 要 も増 えますが, それで は植物 は増 えるのか と い うと, む しろ植物 のほ うは増 えに くい とい うよ うに皮 肉な現象が でて きます. これ は人間が増 え てい きます と土地 を犠牲 にす るこ とが多 くな りま して,結局 可耕地 が増 えない,可耕地 が増 えな く て, 人 間が増 えるの で植物 の人工 的 な増産 は非 常 に必要 で あ る とこ うい うことが考 えられて まい り \46) (小 山 「資源植物学 」 (1984)よ り改変) ます. それで可耕地 が少 な くな って くるの に植物 を増 やす には ど うした ら良 いのだ ろ うとい うこと にな りますので,結局植物 の高生産性品種, あ る いは成長 が良 い高成長性品種 をつ くらな けれ ばな らない. そ うい う必要が出 て まい りま して,植物 の育種 が,過去 にお け る以上 に重要 な問題 にな っ て まい ります. 植物 の育種 ばか りじゃな しに, 今 までに育種 で きる ものは既 に農業育種 の方 々はほ とん ど極 限 に近 いまでに育種 をな さってお りま し て, 現在 の米 を今 日, 明 日,急 に収量 を倍増 しよ うとい うの は無理 な話 しなの で, そ うな って くれ は作物 育種 をす る以外 に こん どは作物 の植物 の多 様性 の獲得 とい うことが必要 にな って きます. つ ま り今 まで使 われ てい る植物 以外 の もの に 目をつ けて, 新 しい もの を開発 して い くとい うことが必Vol.1 托し1 1985 要 にな って い くわ けです.従 来 か ら用 いてい る作 物 の よ り一層 の育種 と, 新 しい植物,未利用未開 発 の- これ を低利用植物 とい うよ うな言 いか た を しますが,一 低利用植物 を探 索 収 集 して 新 ら し い作物 に開発 す ること, これが解決法 の第二 の方 法 とい うことにな ります. さらに第三 の方法 は,植 物導入 を もっ と系統 的 に行 な うこと.これ も植物 の増収 あ るいは地域的 な多様性 を考 えた場 合 に必要 であ り, この
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つの 方法 が現在 の場 合考 え られ るとい うことにな って まい ります.前 二者 を考 えてみ ます と. よ り良 い 品種 をつ くること, あ るいは低利用植物 を開発 す るこ と, その 2つ について植物 園 とい うのは材料 供給 の基地 と してたい-ん重要 な 目的 を持 ってい るわけです.植 物 の 導 入 をす る に は,やは り栽 培 をす る所 が必要 なんですが, 今 までにそ こにな か った植物 を新 たに,導入 して栽培 するのですか ら, やは り島峡的 な所 に植物 園 を造 る. つま り島 に大 きな研究用植物 園 を造 る必要 が出 て まい ります. 今 の話 で植物 の育種 とか,新 しい植物 とか,植物 の導入 とか を言 いま したの で, 栽培植物 と育種 の 問題,栽培植物 とバ イオテ クノ ロジー, あ るいは 遺 伝 子 プールの問題 が どん な関係 にな るか とい う こ と もす こ しお話 ししたい と思 いますが,実 はこ のお話 はそれ だけで2時 間以 上の話 しにな ります の で, それ を要約 しま したのが, お手元 に配 布 し ていただ きま した冊子1)なんで ございます. ここ に栽培植物 と野生 植物 の関係, その他 詳 しく書 い て ございます. それ を要約 して一言 で申 し上 げま す と, 我 々が扱 って い る栽培植物 とい うもの は, 完 全 に人工 的な植物 なのです. 人工 的 な植物 とい うのはなぜ か と申 します と,作物 自体 は野生 の植 物 としては世 界 中探 して も生 えてないの で, なん らかの野生 の原種 か ら長 い時 間 をか けて,人 間が 作 りあげた植物 が栽培植物 であ るとい うことにな ります. まず一番手近 にあ ります稲 一つ を と りま して も,現在食べ てい るこの稲 は世界 中 どこに行 って も,稲 自体 は生 えてお りません で, 稲 に非常 に近 縁 な イン ドのた とえば オ リザ. ペ レニス とい 註 1)植物産業立国 の資源論.国際 食糧 科学 セ ン ター 資料 N().9pp.1- 221983・ (47) 島興 的地域 開発 と資源植物 園 47 う野性 の稲 が見 付 か ってお ります. こ うい う野性 型 の野性稲 か ら人 間が栽培 す るの に都合が良 い も の を5- 6千年 以上 もかか って人類 が作 りあげた -つの文化遺 産 なんですが, それ で米 とい うもの がで きて お りま して, そ うい うふ うに現 在 の作物 の中 には作物 の原 種 が あ って, そ こか ら人間 の利 用 に都合 の良 い もの を選 抜 して作 った一群 の植物 といえます.選抜 育種 きれた作物 には今 の稲 の他 に大豆 が あ りま して,大豆 は現在 は畑 に植 えると 立 ちま して, そ こへ豆 がな るの です けれ ど も,大 豆 の原種 はツル マメとい う植物 で 日本 に も野性 の ツル マメが あ ります. いろいろな野性 の ツル マメ が 中国大 陸 に もあ るの です. その ツル マメは見 て います と蔓性 で蔓 にな って い きま して, な る豆 は 長 さがせ いぜ い1,2c
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位 の小 さい豆 きゃが で き て それで も大豆 の よ うに毛 が生 えてお りま して, さ らに大 豆の3
分 の 1位 の小 さい豆がな りま して, それ を煮 て食 べ ます と大豆 の味が いた します. そ うい うツル マメの中か ら蔓 にな らす に茎 が立 って, さらに豆 の きゃが大 き くて, その豆 の粒 が大 きい よ うな傾 向 を持 った異変 をつか ま えて, それ をど ん どん選 抜 して育種 した ものが大豆 にな ります. 作物 の もう一つの カテゴ リーは沖縄 の重要 な作 物 であ るサ トウキ ビが その例 なのですが, サ トウ キ ビとい うのは今 の よ うに何 かの原種 があ って そ こか ら選抜 した もの じゃな いのです. サ トウキ ビ は もっと人工 的 な植物 とい えますけれ ども, 現在 植 えています サ トウキ ビは, ニ ューギニ アにあ る サ トウキ ビ属 の一種 で サ ッカルム ・ロブスタ ム (Saccharum robuslum)とい う植 物 が あ りま して, その標本 の写真 (図4)がお手元 の冊子の4ページ に 出てお りますけれども,こういうススキ のお化 けのよ うなサ トウキ ビの原 種 に,琉球列島 に もあ ります よ うな ワセオバナです とか, あ るいは大型 の スス キの類 の トキ ワススキ とかの植物 をか けあわせ て 作 った ものが サ トウキ ビなの です. ですか らサ ト ウキ ビは一対 一 で対応 す 引頁種 とい うもの はあ り ませ んで, いろいろな もの をかけあわせて います. さ らに これ も沖縄 に とって重要 な植物 で イチゴが あ ります けれ ども, 今扱 ってい る大型 の イチ ゴ, その イチ ゴ自体 の原 種 が どこかに生 えてい るとい うことではな くて, イチゴの場 合は北 アメ リカの48 小 山 銭 夫 図4 ニ ューギ ニ ア産 のサ トウキ ビの原種 サ ッカル ム ・ロブス タムの標本. サ トウキ ビの大 きさだが原生 の ワセ オバナに似 た 形 を して い る. (ニ ュー ヨーク植物 園の標本 か ら) 東海岸 にあ るイチ ゴの一種 の フラガ リア ′ヾ-ジニ アナl(Fragariavlrginiana)とい う種類 と,西海岸 か らチ リあた りまでに生 えて い るフラガ リア テ ロエ ンシス (FragarlaChiloensis)とい う2つの種 頬 をか けあわせて1817年 以降 にで きて, これが 今食 べ てい る作物 の イチ ゴなのです. そ うい うふ うにあ る2つ以上 の植物 を雑種 で作 る交雑 育種 に よ る作物 との2通 りが あ ります. これ を金属 にた とえてみ る とお もしろいのです けれ ども,前 の例 の原種 が あ ってそれ を選抜 して 作 りあげた作物 は,金属 にた とえれば鉄鋼 とか, アル ミ二 ュウムの よ うな もの で,原種 が鉄鋼石 に 当 りま して, それ を ピュ リ7 7イ(purlfy)して作 った純鉄 が イネに相 当す る とい うよ うな関係 にな ります. あ るいはボ ーキサイ トが今 の ツル マメで あれ ば,抽 出 してで きた アル ミニ ュウムが大豆 で あ る とい うこ とにな ります. 後者 の交雑 した もの は, これ は合金 に例 え られ ます. つま りAとBと (48) 南方資源利用技術研究会誌 図
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サ トウキ ビの遺伝子 プール.種 々のス スキ類, ムラサキススキ類 が植 えられて い る. (台湾糖業研究所 にて) い う金属 を組 み合 わせて合金 を作 る.私 は合金 の ことはよ くわか りません けれ ど も, ステ ンレスス チ ール を鉄 とニ ッケルで作 って い るな ら, そ うす ると鉄 が た とえばサ ッカルム ・ロブスタムで,ニッ ケルがすす きで あれ ば, それ をまぜ合 わせたステ ン レススチールが サ トウキ ビであ る とこ うい う関 係 にな って まい りま して, 2つの植物 あ るいは 3 つの植物 を組 み合 わせ て作 って います. いづれに して も, 栽培植物 を作 り上 げ るには原種が必要 に な ります. そ うい うよ うな栽培植物 とそれ らの原種 の関係 を示 す もの にお手元 の冊子 の8ペ ージに 「表 1. 作物 の遭 伝子 プール を重要度 に従 って示 す一つの 試 み」 とこ うい う表 が ございま して, その表 の欄 の一番上 に稲, サ トウキ ビ,大豆 と督 いてあ りま すが これが作物名 です. その作物名 の下 に第 Ⅰ群 第 Ⅰ群 ,第 Ⅲ群 とい う植物 が あげてあ りますが, 稲 の場合 にその第IA群 の所 に稲 と書いてあ ります 稲 を作 りだした原種 これがその下IB
にあるオリザ ・ ペ レニス (Oryu
♪ereTmis).で ご ざ い ま す .そ うい うように大豆 の所にはIB群のツルマメ,とあ ります が, ツルマ メか ら大 豆が出 た とい うこ とにな りま す.ここで遺伝 子 プール とい うのは どんな ものか と言 います と,稲 の場合 はで きあが った稲 ばか り では な くて,稲 の原種 にな ったオ リザ ・ペ レニス 大豆 の場 合 はその原種 の ツルマ メ, こ うい う植物 を も含 めて,遁伝子 プールの第 Ⅰ群 とい う. もっVol.1 Nl1 1985 島峡 的地域 開発 と資源植 物 園 49 表1 栽培植物 の遺伝子 プール を重要度 に従 って示 す 一つの試 み
物件
名伝
子 ヅ -ノ ダ イ ズ イ ネ イ チ コ● サ ト ウ キ ビ 罪I 群 群A ダ イズ ア ジ ア イ ネ ア フ リカ イ ネ イ チ ゴ サ トウキビ (Saccharu.m. (Glyclne max) (OryzasatlVa) (Oryzaglaberrima) (Fragarla) 中 国 サ トウキSaccharイン ドサ トウキビシンサ トウキum edulビ (ビ ((S.barSaccharS.sieofrnenslClhybrbernarume)i)ium)ds)B
群 ツ ル マ メ 0_perennis 0.breviligulala Fragariavlrglniana Saccharum robustum
(Glyclne50Ja) F_chlloenslS オギS.sSclワセオハナ(Erトキワススキieraanl(nguiMioshusrtsacanLneumchyarS,Savenna(huMirplusonlssorSciCeaadulantaneum)cchalu5hus)川orus)
第
Ⅱ
群 ダ イズ属 の野 生 種 イネ属(Oryza) の野 生 種 イチゴ属 サ トウキビ属(Saccharum) G.canescens 約12種 (Fragaria) ムラサキススキ屑 G,clanndestina ノウゴウイチゴ (Erianlhus)
G,talcala G.laHolia
G.lC.tG.latabaomentrobeanacinaosa他 シロバナヘ ビイチ ゴ((ド.veF.mosF.iF.niinumaspponicachateaca)) ススキ屑 (Miscanthus)
第 NogrEminia属a属 サヤヌカグサ属Polamophilal属(Leersia) ヘ ビイチゴ属(Duchesnea) チガヤ属 (Narenga屑tmperala) Pseudovigna属 ヒル ムシロシバ属 (Hygroryza) アプラススキ属
Ⅲ クズ屑 (pueraria) ツクシガヤ属(Chikusichioa) (EccoilopuS) Sinodolichos属 マコモ属(Zizania) オオアプ ラススキ属 群 Teyleria属 Zizaniopsis属 (Spodiopogon)
出所 :小 山鉄夫 「資源植物学 」 (講談社1984) によって作製 (49) 図7 ダ イ ズ の 野 生 種 の ツ ル マ メ とも重要 な グル ープ と してお ります. 一度,稲 な り大豆が で きて しま えば, それだ け取 ってお けば よ さそ うな ものだ けれ ども, うま くいか ない所 が ございま して, た とえば人 間 で もあま り近親結婚 を続 けて い きます と劣性 のケ ースが出て きて
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ど50 小 山 織 夫 ん だんに退化 して しまい ますが, そ うい うことで 栽培 植物 は人工的 な植物 なん です か らこれ を自家 受粉 でず っ と近 親結婚 を続 けてい くと小 さ く劣性 にな ります. その証拠 は例 えば
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】トウモロコシで 有 名 な トウ モ ロコシのケ ースにな りますが, トウモ ロコシの Fl種 子 を作 るには どうす るか とい うと, トウモ ロコシの ラ イン(Llne)とい うのですが,純 系 の トウモ ロコシの い くつかの系統 をまず つ くるの で す. それには トウモ ロコシの 自家受精 を しなが ら,7, 8
年 保 ってい きます と純 系 にな ります. この 間,年 々 トウモ ロコ シの背 が低 くな って, トウモ ロコシの作 る粒 の量 も減 って きます. ところが遺 伝子型 だ けは純粋 にな って い くの です. こ うして 純 系 のAとかBとかCとかの ライ ンの トウモ ロコ シをまず作 って, それ は小 さい弱 い トウモ ロコシ ですが, 今度 その中 でA
とB
を交雑 い た します と, トウモ ロコシのFlが で きて これがAとBか らい ままで想像 で きなか ったよ うな大 きな トウモ ロコ シABであ り, 粒 の収量 も多 くな るの です. これ を雑 種強勢 とい うの ですが, 上手 に遺 伝子 をまぜ あおす と博物 が蘇 って くる現 象が知 られてお りま して, そ うい うことで作物 を絶 や さな いよ うに し てい くためには, 常 にい ろいろな遺伝 子 を補 って や らね はな りません. そ うい うことで,今 の稲 な ら稲 の,大 豆な ら大豆 の他 に, この表 にあ ります よ うな第 1群 に属 す るよ うな植物 とか第 Ⅱ群 に属 す る植物 をた くさん保存 しておかなけれ ばな りま せん. この第 Ⅱ群 の重要 な遺伝 子 プ ールの 中 には, 稲 の場 合 は稲属 の野生 種約20種 あ ま りが あ りま して, サ トウキ ビの場 合 は ワセ オ′ヾナ, ムラサヰ ススキ とか ススキ属 な どた くさん書 いて ございま す. 大豆 の場 合 には,大豆 の野生 種 が い くつ かあが ってお りますが,第 Ⅱ群 目に示 して あ るグループ の 植 物 は 現 在 の 交 雑 法 そ の 他 の 育 種 法 を使 っ て第 Ⅰ群 の中の持 ち合 わせ てい る有用 な遺 伝子 を 第 Ⅰ群 に導入 す ることが で きる と考 え られ る植物 です.導入 す るには大体交雑 して雑種 をつ く りま す. そ うい う方法 で使 える ものが第 Ⅱ群 とな りま す. それ で複雑 な雑種 を構成 して い くわ けなんで す.特 に現 今 の育種 で野生 種 の遺 伝子 を組 み入 れ (50) 南方資源利用技術研究会誌 な い と解決 がつか ない問題 は耐病性 の植物 をつ く る場合 が一つ と, さらに耐寒性 ,耐熱性 の品種 を つ くる場 合 に重要 にな って まい ります.特 に作物 に病気 が発生 いた します と,現在 の場 合 はそ ら病 気 が 出た とい うので農薬 を散 布 いた します し, 虫 害 が出 ます と殺 虫剤 をか け る. そ うします と植物 を犯 す よ うな病菌 の場 合 はそれに対 す る農薬 をか けます と, 今度 寄生菌 自体 が作物 よ りも速 く突然 変異 を起 こ しま して, その農薬 に対 す る抵 抗性 を 持 った菌 がで きて きます. またそれは いかん とい うので別 の農薬 を使 う. つ ま り農 薬 と菌 の突然変 異 の追 っかけっこをしているのです. これでは うま くいかないので, や は り耐病 性 の遺伝子 を野生 の 植 物 の 中 か ら捕 え て きて ,作物 に入 れ るのが一 番 よろ しいの で,野生 の植物 はそ こに何千年,柄 万年 と生 えて い るの で, 土地 に対 す る環境 の適用 性 は良 い し, 耐病性 が あ ります し, 耐 虫性 もあ る か ら, そ うい う遺 伝子 を選 んで きて,作物 の中に 入 れ るのが一番 の早道 だ とい うことにな りま して, フ ィ リピンにあ ります国際稲研究所 では,稲 の栽 培品種 の他 に, 全世界 の稲 の野生 種 を全部集 めて 栽培 しま して, その中か ら優良 な遺 伝子 を取 り出 しては,栽培稲 に補充 しなが ら, I
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の何号 と か何十号 とか い うよ うない ろんな品種 を多量 に開 発 してお ります. アメ リカの トウモ ロコシの場 合 もや は りメキ シ コ, ガテ マ ラな どの トウモ ロコシの故郷へ毎 年探 検隊 を出 しま して, い ろい ろな野生, 半 野生 の ト ウモ ロコシを採 って きて入 れ るのです. トウモ ロ コシの場 合 は野生,半野生 とい うのは, 厳密 にい うと正 しい言 い方 では ございませんで, トウモ ロ コシの野生種 とい うの はまだ見付 か って いないの です けれ ど も, ガテ マ ラ とか, コス タ リカ, メキ シコな どの原住 民 が半栽培 してい るよ うな, これ も栽培植物 には違 いないのですが, いろいろな ト ウモ ロコシの永 く各地 に馴 んだ地域変 種 を集 めて, それ を使 って い るわけです.作物 の場 合 もかつて は, 今の野生植物 の よ うに地域 的 な植物 が一杯 あ りま して, そ うい うもの を地 域品種 と言 ってお り ますが,地 域品種 は非常 に重要 な栽培植物 で あ り ま して,SI
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プログラム の話 です けれ ど も, 臥 は1
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年 にSI
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lプログラム,あ るいは琉球大学Ⅵ)1.1 Nll 1985 の植 物 の探索隊 とは2回 一緒 に行 きま して,琉球 列 島 の作物 の地域品種 も研 究 しま した. た とえば石垣 島 に,非常 にた くさんの粟 の品種 が あ ったのです. ど うい うわ けか知 りません けれ ど も
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「ネコノテ」 とい って,粟 の穂 の先 が必 ず い くつか に別 れ るよ うな粟 もあったのです.大小 いろん な粟が あ りま して, あ る ものは 「ネ コジ ャ ラシ」 に近 い し, ほかの あ る ものは大 きな粟 に近 い,粟 は 「ネ コジ ャラシ」か ら人間が長年 の うち に,選抜 を して作 った作物 なん で しょうけれ ど も, そ うい った粟 の品種 が い っぱ いあったんです.今 は もう石垣 島 にそ うい う品種 がないか もしれ ませ んが,植物探 索 で集 め る植 物 は, ここの表 にあ り ます第2群 の よ うな植物 とか, あるいは今の石垣 島 の粟 の よ うないわゆ る地 方品種等 もあ ります. 地方品種 はす でに栽培化 され た植物 ですか ら野生 の植物 以上 に農業 的 には重要 な植 物 です. その地 方品種, た とえば 「ネ コノテ」 とい う粟 が石垣 島 に何 千年 と有 った とい うこ とは,お そ ら く石垣 島 にあ る植物 の病気, あ るい は虫 害 とか に非 常 に 「ネコノテ」は強 か ったのだ ろ う,そ うでなけれ ば, お そ らく自然 に消滅 して しま ってい るはず な ん です. 作 って利益 が上が らない, 植 えて作 りに くいよ うな もの を農 家 はつ く りませんか ら,長 年 農家が 先祖代 々作 っていた よ うな品種 は, その地 方 に とってはたいへん重要 な ものであ るだ ろ うし, あ るいは農家 が植 えてお ります うちに石垣 な ら石 垣 島の風 土 によ って,突然変異 を起 こ しま して, それ で良 い品種 が誕生 して くる ことが あ りま して, 篤農家 はそ うい う品種 が 出て きます と, その種 を 採 って次 の年 に作 るよ うに な ります. ですか ら長 年 の うちに石垣 島 に適 した良 い品種 が で きて くる. そ うい うものが地域,地域 にあ る. そ うい うもの を地域品種 とい うの です. 作物 の地域品種, それ か ら関連野生種 とこの両 方 を保存 す る必要 が あ ります.現在, 植物 の地 域 品種 も野生種 も共 にいわゆ る植物 の消失現象 でだ んだんな くな りつつ あ るか らです.野生種 は ど う して消失 す るか といいます と, それ は人 間が増 え て きて林 を切 った り,湿地 を開墾 した りしますか ら, 野生 植 物 は急速 に な くな ります. 地域品 種 は なぜ な くな るか とい うと, 作 物 の 単 作 均 一 化 と (51) 島峡的地域 開発 と資源植物 園 51 言 いま して,機械 化農業 に適 す るよ うな,高収量, 高成長 性等 を持 ったF
l種子のような ものが開発 さ れて, それが どん どん導入 されます と, 従来 の地 域品種 よ りも収量 が多 いので,農家 は地域品種 を 廃止 して,新 しい新作 物 に置 き換 えますので,例 えばいままで は宮古 島 と西表 とで品種 の違 った粟 だ ったのが,現 在 は沖縄列島全体 にわた って,莱 は全部1品種 にな る とい うよ うにな って きます. 1品種 になれ ば機械化 がで きるし,肥料 や農薬 も 同 じ もの を使 い, いろんな点 で結構 なんです けれ ど も,万 一広大 な地域 に栽培 されてい る1品 種 に 異常が起 きた り, それ をア タ ックす るよ うな病菌 が でたよ うな場 合 は, 沖縄県 な ら沖縄 県全 体 の粟 がや られ ちゃ うとこ うい うパ ニ ック現象 が起 き得 るで しょう。農 業 のモ ノ ク ロップ化,均 一化 は経 済 的 に は有 利 な こ とな ん で す け れ ど も, そ の 半 面 そ うい う高度 の危 険性 をは らん でい るとい う こ とにな ります. ですか ら農業 が均 一化 すれ ばす るほ ど, 今の石 垣 島の 「ネコノテ」の よ うな地方品種 を保存 して おかな けれ ばな りません. そ うい う品種全部 を毎 年栽培 しな くて も良 いの です けれ ど も, それが絶 えな いよ うに,つ ま り系統保 存 を してお く必 要 が あ るわけです. それで系統保存 を どこです るか と い うと, つ ま り農業研究所 とか植物 園 を使 って, そ こに保存 をす ると い うよ うな方 法 を取 る以外 に 方法 が ない ことにな ります.それ で先 ほ どの植物 育種 と, それに必要 な植物 を見付 けるための植物 の探索 と保存が非 常 に必要 に な るとい うことです. さらに植物導 入 については何 が必要 か とい うと, 今度 は系統 的 に ど うい う所 に どうい う野生植物が 生 えてい るか を調 べ なければな らないの で, まず 植 物 の系統的 なインベ トリー (Inventory)の リサ ーチ, 系統 的調査研究 , それ をす ることが必要 に な ります. そ してた とえば植物 の中で熱 帯 アメ リ カにある系統 で熱帯 ア ジアに移 した万が良 いよ う な ものは熱 帯 アジアへ移 す とい うことにな るの で す. この植物導 入,植物移住 とい うのは, 現在始 ま った ことではな くて,実 は非常 に古 い頃か ら行 なわれて いた ことであ りま して, 良 い例 は ゴムな んです. パ ラゴ ムの木 はへペ ア ・プ ラジ リエ ンシ ス (HebeabrasilienSis)とい う名 前 が つ い て い ま52 小 山 載 夫 す よ うに ブラジルのアマゾン河流域 とベネズェラの オ リノコ河流域 に約数 百万本 くらい生 えて い るだ ろ うと思 われ るタカ トウダイ科 の木 なんです. そ の木が ブラジルで はあま りうま く育 た ないの は, 葉枯病 とい う病気 があ るか らです. ところが植物 は動物 と違 って 自分 で動 けませ んか ら, そ こか ら 外へ出 られないでお ります. そ うい うもの を英国 人 の ウ ィッカム とい う人が種子 を
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万粒 , ブラジ ルか ら持 ち出 しま して, その種 を先 は どお話 しし た植民地植物 園 であ るス リランカの植物 園 に栽培 いた しま して, そ こで ゴ ムの苗 を作 ったの です. ア ジア地 区 には, 南米地 区 に あ る よ うな葉 枯 病 (.)-フ ・ウ ィル ト)が存在 しない ものですか ら, ゴムの木が どん どん 育 って , そ れ で ガ ンバ ハ 植 物 園 で作 った ゴムを シ ンガポ ールへ持 って きて, シ ンガポール経 由で, マ レーの ゴム園 を造 ったの です. そ して その マ レーが今世界 の ゴム伽 0何o/0 を支配 して い るこ とにな りますが, その ゴムは ア ジアで植物 導入 と産業化 に成功 したわ けです・ それ と逆 の例 は コー ヒーなんです けれ ど も, コ ー ヒーの原産地 とい うの はエチオ ピアの高原地帯 で,我 々が飲 んでい るキ リマ ンジ ャロとい う豆 が, 本当の アフ 1)カの コ ー ヒーに近 いの で しょ うが, その コー ヒーの豆 を欧州 人が ヨー ロ ッパ経 由 で, 西 イ ン ド諸 島へ持 って きま して, 最初 は ジャマイ カ島 とか グ レナダ島 とか, そ うい う所 で栽培 して いま したの を, 英 国側 の英領 のギ アナへ持 って い って栽培 してみた り, フランス人 は フレ ンチギ ア ナで栽培 してみた りして, 南米 で もコー ヒーを栽 培 しま した. オ ランダ人 とい うの は, 植物 を独 占 したが る人種 の よ うで あ りま して, コ ー ヒー も古 くス リランカへ持 って い って独 占 しよ うと したん です. ところが フ ランスが コー ヒーの フ レンチギ アナに栽培 してい たの を ドイ ツが 目を付 けま して, 当時 ドイツは ブラジル を支配 してお りましたが,な ん とかその コー ヒーの豆 をブ ラジル に入 れたいの だけれ ど も,英国 もくれない し, オ ラ ンダ もくれ ないの です. それ で ドイツはた いへん苦労 したん です けれ ど も, それで コー ヒー豆が ブ ラジルに入 れたのは一つ逸話が あ りま して, フレンチギ アナ の プ リンセスが その コ ー ヒーの豆 を大 事 に持 って お りま したの で, ブ ラジルか らあ るプ レーボ ーイ 南方 資源利用技術研 究会誌 を派遣 いた しま して, それ で一生懸 命 口説 いて, コーヒーの豆 を取 ろ うと した, その ブ ラジル人 の 余 りの熱心 さに, フ レンチギ アナの プ リンセ スが 情 にほだ され ま して,結局豆 はや らない と言 いつ づ けていたのですが, いよいよ ブラジル人 がが っ か りして,私 は明 日ブラジル-帰 ると言 った晩 に, お別 れの花 束 を贈 ったのだ そ うですが, それ を開 けてみた らコー ヒーの豆 が い くつか その中 に入 い て いた とい う話 が あ って, それ を持 ち込 ん でブ ラ ジルの コー ヒーが で きた とい う逸 話 が あ るよ うで す けれ ど も, そんなふ うな苦労 を して, あ っちこ っちに コー ヒーの植物 を移住 していた ことは事実 です. そ うい うこ とで資源植物開発 には, 先程 の よ う な 3つの方 法 を とらなければな らない, そ うい っ た場 合 にいず れに しま して も, 植物 自体が なけれ ば, 新 しい作物 もで きない し,植 物導入 もで きな い し, 植物維持 もで きない し, そ うい う理 由で植 物 の系統 的 な調査, さらに収集 した植物 を集 めて 植 えてお くとい うことが重要 にな って まい ります. さらに もうーっ考 えてみな ければいけないの は, そ うい った植物 を使 って経済 的 に発展 させ てい く よ うな ことを植物産業 といいます けれ ど も,今 で は,農業 も昔 の よ うに先祖代 々の種 をぼろぼ ろ蒔 いた とい うよ うな農業 で はな くて, いまお話 しし ま したF
l種子, あ るい は良 い品種 が どん どんで きてまい ります ので,つ ま り農業地 帯 も産業 のサ イクルの中 に イルポルブ (involve)されてい る植 物産業 の一つの要素 だ とい うことにな ります. そ こで植物 の産業 と,今 までの工業 の体質 を比 べて みない とい けませんが, いままでの工業が ど うい うことを したか とい うと, 地下 か ら鉄 だの ア ル ミニ ュウムだの石油 を掘 り出 しま して, こ うい うもの を材料 に使 って 自動車 をつ くった りコンビ ュタ-を作 った り, テレビジ ョンを作 った りしていた わけです. 今 ま で の産 業 で 使 っ た マ テ リア ル (materlal)つま り材料 は比 較的限 られて い る種 目の もので, しか も ドイツで もアメ リカで も日本 で も 同 じ種 目の材料 を使 って いるの です か ら, 今 まで の工業立 国 で勝 つ には高度 の特別 の技術 が不可欠 だ ったのです. ですか ら同 じ材料 か らいろんな も の を作 るとい うと,技 術 の良 い国 は当然勝 ち得 る (52)Vol.1 NQ,1 1985 ことにな りま して, 日本 は技 術 が艮 か ったの で工 業立 国で は勝 ったのです. 植物産 業 を考 えてみま す と,良 い植物 の品種 を作 ること, それ を大量 に 作 るこ と, そ うい うこ とが勝 ち負 け を決 める一つ の大切 な要素 にな る とすれ ば,今 の よ うな原料作 物, 原料 資源植物 を集 めて きて, それ をいろい ろ な育種 技 術 で新品種開発 をす るのですが, その育 種 の技術 とい うの は,先 は ど申 し上 げま したよ う に,交雑法 , あ るいは選抜法, あ るいは突然変異 を作 らせ る方法, あ るいは倍数体 を作 る方法, そ うい うふ うに大体 わか ってお りま して,技術 は工 業立 国 の時 ほ どは問題 にな らないのです. です か ら新 しく植物産業 に勝 つには何が問題 か とい うと, 植物 の材料 に問題 が あ るんで工業立 国の技術 に対 して,植物 の種類 をた くさん持 たなけれ ばな らな い,材料 本位 の植物産業 とい うことにな ります. それ は, どうもおか しい, バイオテ クノロジーと い う技術 が あ るじゃないか, これ は非常 に高級 な 技術 だ とお っ しゃる方 が あ りますが, もちろん そ れは そ うなんです けれ ど も, それ ではバ イオテ ク ノロジ- とはなんなんだ とい うことにな ります と, バ イオテ クノロジーは, 今,生命=学 だ とい うふ うに訳 され てお ります けれ ど も, ′ヾイオテ クノ ロ ジーが従 来 の育種 よ りも良 い点 は,従 来 の育種 で す と, た とえば選抜法 であ る品種 を作 って い く場 合,先 ほ ど, トウモ ロコシの ライ ンを作 るの に
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, 8年 か か る と申 しま したけれ ども, そ うい う7,8
年 かか って作 ってそれ で交雑 をす るん ですが, そ うい うもの を時 間的 に もっ と遠 くしよ うとい う ことが可能 になってま い りま した.た とえば従来 の育種法 で雑種 を作 るな ら, 2つの植物 を植 えて お きま して,花粉交雑 を して雑種 を作 るの です. そ う します と Flにい ろい ろな ものが出て きた り します けれ ど も, ′ヾイオテ クノロジー細胞 融合 の 方法 で細胞横 をとって裸 の細胞質 に した もの を く っつけま して, それが 一つの雑種 ですね. くっつ いた細 胞 か ら今 度 は 細 胞 培 養 してい きます と, ガ ン細 胞 の よ うな カル スが で きま して, その カル スを今度再 分化 させて植物 体 に も ういちど作 る と そ うい う方法 を とると目的 の雑種 の植物 が よ り早 く, よ り確実 にで きて くるとい うこ とにな ります. 突然変異 を作 る方法 です けれ ども,突然変異 の場 (53) 島攻 的地域開発 と資源植物 園 53 合 はいろいろな環境条件 とか, なんかで変異 が お きます. いままでの育 種法 です とせ いぜ いマスタ ー ドガ スを使 うとか,放射線 をあて るとか して突 然変異 を作 るの ですが, その場 合 に今 のバ イオテ クノロジーの方法 で,細胞模 を とっちゃ って,裸 の細胞質 に して, そ こへ放 射線 をあてます と細胞 に もっと有効 に突然変異 をお こ させ ます. そ うで はあ って も, バ イオテク ノロジーが育種 自体 の基 本的 な プ リンシプル (prlnClple). フ ロ ソ フ ィー (philosophy)を変 え るわ け じ ゃ な い,や は り′ヾ イオテ クノ ロジーに した ところで交雑法 と選抜 法 とい う育種 の基 礎的 な プ リンシプルに従 って いる ことには変 わ りはない とい うこ とにな ります. そ れ とバ イオテ クノロジーの交雑法 の一 つ,組 み替 え遺 伝 子 とい う方法 が あって, これ は あ る植物 の 細胞 の中 に遺 伝子が い っぱい あ ります けれ ど も, その どれかの遺伝 子 を もっと良 い遺伝 子 と置 き換 える とこ うい う操作 なん ですが, こ うい う操作 は いま までは交雑 され ることによ ってや っていたの ですが, それ を直接的 にあ る遺 伝子 を取 り出 して, 置 きか えたい遺伝子 の座 に置 くとこ うい う方法 な ん ですが, これ は高等植物 の場 合 は, 方 法 は大体 わか っていて も目的の遺伝 子が, あ る植物 の染色 体 の上 の どこの遺伝子 の座 にあ るか とい うことが まだわか らな い ものが大半 であ る し, 高等植 物 の よ うに非常 に複雑 な態 勢 を もっている ものが あ ろ 遺伝 子 を取 り出 して きて, それ を遺 伝子 の座に乗 せ た場合 に, その遺伝子 が どんなふ うな活動 をす るか とい うこともわか ってお りません し,理論 的 にはそ うで あって も,現実的 には まだ 10年先まで だ めだろ うとお っ しゃる万 もあ ります.半世紀 ぐ らいだ ろ うとお っ しゃる万 もあ るだろ うし, イベ ンチ ュア リ-・(eventually) に で き るか もわか り ません けれ ど も,現在の ところでは まだまだ実用 には使 えない とい うよ うな段階 であ ります, とこ ろが いっか は遺伝子工学技術 が さらに発達 して, いろんな遺伝子 が使 えるよ うにな るで しょうし, その時 には,育種 に とって非常 に好都合 なのは, いままでは花粉交雑 で しかで きなか った植物 の間 で交雑育 種が で きる とい うこと,つ ま り細胞融合 や組 み替 え遺伝 子が 自由 にで きるとい うことにな ります と, 少 し飛躍 的 にい えば どん な植物 で も く54 小 山 鉄 夫 っっ け られ るこ とにな るわ けで,作物 育種 の遺 伝 子 プールの幅が非常 に広 くな ります・ 遺 伝 子 プ ー ル の 表1の, 第1群, 第2群, の 話 は さきほ どいた しま したが, 第3群 は,第1群, 第2群 の植物 に近 い近縁 関係 が あ る植物群 で, た とえば稲 の場 合 に稲属 以外 の サヤ ヌカグサ属, マ コモ属, ツク シガヤ属 な どが出 てお ります けれ ど ち. も しバイオテ クノ ロジーの細胞融 合 とか,組 み替 え遺伝子の技術 が本 当 に自由 に使 えるよ うに なれ ば,現在 の技術段 階 では,交雑 不可能 な これ らの植物 の遺伝子 を組 みあわす こと も, 将来 はで きるよ うにな るで しょう. 夢 の よ うな話 をすれば, た とえば稲 に もっと蛋 白質 を多 くしたい とい う場 合 は, マ コモ属 の アメ リカの ワ イ ル ドラ イ ス (wlld`rice)の 中 に あ る蛋 白質 を作 らせ るよ うな 遺伝子 をマ コモか ら取 り出 して稲 に入 れ れ ば,高 蛋 白の コメが作 れ る とい う夢 が考 え られ ることに な ります.砂糖 の場合 で も糖 分 を含 むチ ガヤ属 と か アプ ラスギ属 とかの植物 の中の耐病性 の遺伝子 を組 み入 れ る とか,北 の方 に生 え るよ うな耐寒性 の遺伝 子 をサ トウキ ビに持 ち込 ん で, もっ とサ ト ウキ ビを北上 させ るとか, い うことが で きうるか も知 れ ませ ん. 6 Z 疎 植 物 学 の 関 Ai す る 範 囲 南方資源利用技術研 究会誌 例 の ポマ トとい う人工 的植物 が あ りま して, ジ ャガイモ と トマ トの細胞 を細胞融 合 させてその カ ル スを作 って再 分化 させ て作 った植物 ですが, ポ マ トの植物体 を見 て みます と, 上 の方 に実が な り ま して, 下 に ジャガ イモの よ うな芋 が で きるわ け です. ポ マ トの話 しをす ろ と, 「それ は大変 良 い アイデ アだ, 上 で トマ トが で きて, 下 に ジ ャガイ モがで きて土地 の節約 にな りますね. 」 とい うこ とをお っ しゃいます.私 は, いやそれは違 う. そ う考 えた ら大変 な間違 いだ, と申 します. ポマ ト 自体 をご覧 にな る と,実 はな るけれ ども, 青唐 の よ うな, もっ と小 さ くした よ うな トマ トの よ うな 実が な って, そ こに多少毛 が生 えた よ うな実が な る. 下 の方 は芋 らしき も●の はあ るけれ どもジャガ イモの よ うな ものではあ りませ ん. じゃなぜ その ポマ トをつ くるのか とこ うい うことですが. ポマ トは トマ トとジ ャガイモの両 方 の性格 を現 わす中 間的 な植物 で, それ をステ ッピングス トー ンと し て, トマ トに耐寒性 をふや し, さらに北上 させ る こ とが で き るか もしれない. 又, 逆 に ジ ャガイモ に もっ と耐熱性 を導入す るこ とが で きるか もしれ ない. トマ トとジ ャガイモは現在直接 の掛 け合 わ せ はで きないか ら, 中間的 なモ ンス ター をつ く り 例 的 農 芸 ・栽 培 学 増 埼 図8 植物産業 の支持体制 を示 す模式 図 (小 山.1984) (54)
Vol.1 Nll 1985 ま して それ をステ ッピ ングス トー ンに して ジ ャガ イモ を南 に持 って い く, さ らに トマ トを北 へ持 っ てい くとい う方法 に使 う,緩衝 的 な植物 に使 える だ ろ うとい うことにな ります. そ ろそ ろ時 間が まい ったよ うですが,要 す るに 21世紀 の植物産 業,特 に′ヾイオテ クノ ロジーの発 達 を目前 に控 えて,今 か ら是 非 や っておか な けれ ばな らない事 は,資源植物 の インベ ン トリー を行 島輿 的地域開発 と資源植物 園 55 な って, その遺 伝子源 を保護保存 し,将来 の巾広 い開発 利用 に備 えるとい う事 です. この重要 な 目 的の た めに研究植物 園 とい う施設 を作 り,併 せ て 大学 に資源植物学 の研究室 を開設 す る必要 が あ り ます. 琉球 はその地域性 を発 揮す るために, 特 に この 方 面 に 力 を注 ぐべ き事 を強調 させて いただ いて私 の と りとめの ない話 を終 りたい と存 じます. 長 い時 間御清聴 あ りが と うございま した・ (55)