燒石膏と二三の軽量混合材の関係について

8号 焼 石 膏 と二 三 の 輕 量 混 合 材 の 關 係 に つ い て ー362ー (i)焼 成 温 変 の調 節可 能 (ii)粉 末 の 飛 散 を可 成 防 止 出来 る (iii)鉄 分 の混 入 を防 止 す る (iv)操 作 が簡 単 で あ る (v)完 全 に 近 い焼 成 が 出 来 る (vi)用 途 に応 じた焼 成 可 能 (vii)少 量,中 量 の試 験 焼 成 可 能(研 究 室 工 場 実 験 室 等) (viii)連 続 焼 成 可 能 (ix)乾 燥 が速 か な の で濕 つ た原 料 の焼 成 が 出来 る 等 が あ げ られ る。 7.結 言 吾 々は 赤 外線 電 球 を用 い て 石膏 の 焼 成 に 成 功 した。 今 後 の 問 題 は 装 置 と電 力 事 情 と で あ る 。 装 置 及 び 照 射 方 式 に つ い て は 更 に 実 験 を 続 行 中 で あ る 。 本 焼 成 法 は 石 膏 の 焼 成 に 一 分 野 を 開 く も の で あ つ て,石 膏 の 性 質 を 研 究 す る 上 に 有 効 な 手 段 で は な い か と 思 は れ る 。 赤 外 線 に 関 す る参 考 丈 献 (1)J.D.Ｈall:Industrial  Application  of Infrared,(1945) (2)東 尭:照 学 誌34,117(昭25) (3)日 本 電 気 協 会 赤 外 線 乾 燥(昭26) (4)東 発:オ ー ム38,603(昭26) (27/12/20受 付)

焼 石膏 と二三の軽量混合材の関係について

檜

山

眞

平 ・福

井

博

(名 古 屋 工 業 大 学)

On the Relations

of Gypsum

Hemi-hydrate

and

Light

Weight

Aggregates

By Simpei

HIYAMA

and Hiroshi FUKUI

(Ceramic Division of Nagoya Institution

of Tech.)

The relations between hemi-hydrate

and slags with latent hydraulic properties

were discussed by

Wunenberg in 1951, and those between the former and calcium hydro-oxid

e were in formed

by K.

Aichinger and B. Wander in 1950. Sch ienh5fer also has discussed about the physical

characteristics

of the hydraulic property,

The authors,

applying slag on calcalin hydro-oxide

and admixing some quantities of certain exciting

chemicals, recongnized a prominent

increase of tensile strenght.

In other words, by the study of the

authors,

it was found that the application

of only 1.5 % wt. of slag can give a prominent

extensions

the physical proderties of Gypsum,

  1.緒      言

  二 三 の 軽 量 混 合 材 と焼 石 膏 の 物 理 的 相 対 的 関 係 に つ い て は,Hans  WunnbergはGer.,802924,  Feb.26, 1951(Sept.2.1949)abstrated in chem.  Zentr,122,

11

,〔15〕,2240,(1951)に 特 許 と し て,7∼70%の 範 囲 に 於 い て,焼 石 膏 と潛 在 水 硬 性 を 有 す る 軽 石,石 炭 灰, ガ ラ ス,ス ラ グ の 関 係 に つ い て 述 べ て お り,又 石 灰 と 石 膏 混 合 物 に 関 し て は,K.Aichimger  and  B.Wandser はZement-Kalk-Gips,3,〔12〕,298-300(1950)に 稠 度,強 度,凝 結 時 間,吸 收 の 度 合 等 の 物 理 的 性 状 に つ い て 述 べ て ゐ る 。 又 ス ラ グ の 混 合 材 の 意 昧 に つ い て は K.Bergt  Silikat  Tech,2,〔4〕,113∼17,(1951)に 又 A.Hume1,  W,  B lltz Herberも,  P.P.  Bqdnikov等 に よ

つて,よ く研 究 され て ゐ る。 他 方 我 が 国 で は,永 井 博 士,山 内 博 士,日 本 鋼 管 入幡 製 鉄,其 の他 各 地 で相 当 研 究 され て ゐ る。 又Schonhoerは 潛 在 水 硬 性 を有 す る材 料 と して,福 炭,ご み 屑,燃 料頁 岩 等 の燃 焼 残 澤 並 び に, ス ラ グを挙 げ て ゐ る。 そ し て,潛 在 水 硬性 を 有 す る材 料 に適 量 の水 を加 へ, 大 な る機 械 力 を以 て捏 ね る と 一種 の化 学 変 化 が 起 つ て, 発 熱,瓦 斯,発 生,著 色,粘 性 の増 大 等 の現 象 を呈 す る と述 べ て ゐ る。 又珪 酸 ゲル と焼 石 膏 と の 関 係 に つ い て は,石 膏3号 に藤 田 氏が,石 膏5号 に 河 嶋 氏 が 述 べ て ゐ る,又 活 性 無 水珪 酸 に つ い て は,P.BudnikoffとGulni-nowaは(Koll.Zeit.,1935,70,〔1〕,100)に つ い て述 べ て居 り,活 性 無 水珪 酸 は 無 定 形 又 は細 粒 子 状 態 に存 在 ー15ー

一363一 石 膏8号

し,水 と水 酸 化 石灰 と活 濃 に作 用 し,難 溶 性 のge1状 化 合 物 を生 成 し,Kolloid状 か ら結 晶 質 に移 行 す る と述 べ

て居 る。 当 研 究 者 も研 究 の 一階梯 と して,Wunnenberg の研 究 を再 確 認 並 び にSchonhoferの 一 部 を も倹 討 して β一CaSO41/2H2O(metaStable)と Ⅴitreous blast fuace Slag並 び に喚 起 剤 の消 石 灰 との 関 係 の一 部 を玄

に報 告 す る 。

2.試 料

【A〕 石 膏

(イ)化 学 分 析(%)

水 分SiO2 R2O3 CaO MgO SO3合 計 7.43 1.36 2.35 39.81 0,32 48.57 99.84 (ロ)物 理 的 性 質 混 水 量70%の 場 合 抗 張 力 ……14.4kg/cm2 膨 脹 率 … …0.10%(60分) (ハ)平 均 粒 子20∼30μ 【B】 混 合 材 (イ)化 学 分 析 の 結 果 は 次 表 の ご と く で あ る

混合材 の化學分析結果(%)

(ロ)4900目 篩 全 部 通 過 3.実 験 結 果 (a)強 度 (1)焼 石 膏 と混合 材 と して の ス ラ グ,珪 藻 土,石 炭 灰,Schamotte,ヒ ル 石,ガ ラス の 中 で 混合 材 と して一 番 有効 な の は ス ラグ で あ る 。 そ して 最 強 の 部 分 は,5%以 内 に存 在 す る 。 即 ち混 合 材 を強 度 の順 に な らべ る と, Slag＞ 珪 藻 土 ＞ 石炭 灰 ＞Schamotte＞ ヒル石 ＞ ガ ラス そ して 最 高 の添 加 材 の量 は1.5%で あ る。 (2)乾 き強 度 の場 合 抗 張 力 と し喚 起 剤 てCa(OH）2 を 入 れ た 場 合 の乾 き強 度 はSlag:Ca(OH2)=1 :1の 場 合 が 最 強 で あ り,添 加剤 の 量 的 割 合 の 強 度 頂位 は 1.5%＞3%＞1%＞5%＞0.5%＞10%＞20%

8号 焼 石 膏 と二 三 の 輕 量混 合 材 の關 係 につ い て 一364-・ (3)ヌ レ 強 度 の 場 合 1.51%>1%>5%>0.5%>3%>10% そ し てCa(OH)2が 多 く な る 程 一般 に 強 度 が 強 く な る 。 (4)消 石 次 ー 石 膏 ー ス ラ グ 系 に 於 い て は 石 膏:ス ラ グ:消 石 灰=98.5:0.75:0.75 の 所 に 抗 張 力20kg/cm2の 所 が 表 は れ て ゐ る 。 添 加剤 に依 る強 度変化 (b)膨 脹 (1)Slag3Ca(OH)=7:3の 場 合 0.5%∼10%ま で は膨 脹 率 に変 化 が ない が20% とな る と,か な り膨 脹低 下 す る 濡 し強 度 抗 張 力強 度 分布之圖

膨

脹 曲 線I

ー17ー

−365−

_石

_膏

_8号 (2) Slag:  Ca(OH)2=5:5 0.5%∼20%ま で膨 脹 率 に お い て 差 異 が ない 。

膨脹曲線

Ⅱ

(3)  Slag:  Ca(OH)2=3:7 0.5%∼20%ま で膨 脹 率 に お い て 差 異 が ない 。

膨脹曲線Ⅲ

(c)顯 微鏡 試 験 (1)石 膏 単 味 の場 合  簡 単 な る柱 状結 晶 で あ る。 水 和後3日 の状 態 (2)石 膏:ス ラ グ:消 石 灰 ＝98.5:0.75:0.75 結 晶 状 態 が 多 少 複 雑 性 を お び てゐ る 。 Slag 石 膏: Slag; Ca(OH)2 A=98.5:0.75＝0.75

Ga(OH)2

石 膏

8号 焼 石 膏 と二 三 の輕 量混 合 材 の關 係 に つ い て ー366ー 石 膏:Slag;Ca(OH)2 [LB]=95:2.5:25 石 膏:Slag:Ca(OE)2:珪 藻 土 [Ｃ]=95=1.75:0.75:2.5 石 膏:Slag:Ca(OH)2:珪 藻 土 [D]=95:2.45:1.05:1.5 石 膏:Slag:Ga(OH)2 [E]=98.5:0.45.1.05 (3)石 膏:ス ラ グ:消 石 灰=95=2.5:2.5 永 和 結 晶 物 が(2)の 場 合 よ り多 少 大 き く な つ て ゐ る 。 (4)石 膏:ス ラ グ:消 石 灰:珪 藻 土=9511.75: 0.75:2.5 水 和 物 結 晶 物 は 大 き く複 雑 で あ る 。 (5)石 膏:ス ラ グ:消 石 灰:珪 藻 土=95:2.45: 1.05=1.5 水 和 結 晶 物 は(3)(4)に 較 べ て 多 少 単 純 で あ る 。 (6)石 膏:ス ラ グ:消 石 灰=98.5:0.4511.05 水 和 結 晶 物 は 大 き い 。 (d)熱 天 秤 添 加 物 の 差 異 に よ つ て 腕 水 特 性 が 少 し異 つ て 來 て ゐ る 。 (e)電 子 顯 微 鏡

熱 天

秤 曲線 之圖

石 膏:Slag:Ca(OH)2 =98.5:0.75

A1  1 A1  2 A1  3

−367−

_石

_膏

8号

A2  1 A2  2 A2  3

B1  1 B1  2 Ｂ1  3

8号 焼 石 膏 と二 三 の輕 量 混 合 材 の關 係 につ い て ー368ー

D1  1 D1  2 D1  3

Ｄ2  1 Ｄ2  2 Ｄ2  3

E1  1 E1  2 E1  3

E2 1

E2

2

E2 3

ー369ー 石 膏8号 4.む す び 石膏 に一 部 の ス ラ グを 混 入 す る事 は強 度 を増 し殊 に 耐 伸 強 度 は1.8倍 増 加 す る。 そ して,混 合 材 と して極 く少 量 の範 囲 即 ち1.5%前 後 に於 い て理 想 的 な る 状 態 を作 り 出 す の で あ り,今 まで 可 溶 性 シ リカ又 は可 溶 性 アル ミニ ウ ムが 少量 混 入 して も,水 和 結 晶 の結 晶形 態 に は 殆 ん ど 差 異 が ない と考 へ て ゐ た もの も少 量 の混 合 材 が 混 入 す る 事 は根 本 的 に結 晶形 態 を 変 化 させ る もの で あ り又 顯 微鏡 で 見 た柱 状 結 晶 も電 子 顯 微 鏡 で 見 れ ば,簡 単 な る もの で は な く非 常 に複 雑 な る 形態 を 示 して ゐ る。 そ して其 の他 に,ゲ ル や コロ イ ド又 は,小 結 晶,不 活 性 物 が 充 満 し水 和 結 晶 の成 長 速 度,並 び に形 態 は 固 々 の もの に よ つ て異 な り,即 ち 石膏 の水 和現 象 は 混 合 材 が 混 入 す る と石膏 の 定 まつ た水 和 物 が 出 来 そ の 間 に不 活 性 の 混 合 材 が 充 填 し て ゐ る とい ふ 考 へ を根 本 的 に す て な け れ ば な ら ない,ス ラグが 混 入 す る と,色 は 灰 黒 色 を 呈 して来 る の で あ りそ して1.5%以 上 含有 され て くる と泡 が 相 当 出 来 て 来 て,そ して そ の泡 の形 態 も撹 拌 式 を 一 定 にす れ ば 均 一 に 分 布 す る様 に な る。 此 の 泡 の適 当 な る利 用 並 び に強 度関 係 を適 当 に平 衡 させ て行 く時 は,將 来 プ ラ ス ター ボ ー ド の 役 割 を演 ず る と考 へ る。 最 後 に試 料 を御 投 恵 下 さつ た 日東 石 膏 会社 に深 謝 致 し ます。(27/12/20受 付)

有機 物添加 によるア法曹遽副産 石膏 の結晶形 の改 良

永

井 彰

一

郎 ・宮

川 

一 ・溝

上

俊

治

(東 京大学工学部 ・徳 山曹達株 式会社)

Study on Inprovement

of the Crystals

of By-produced

Gypsum of the

Ammonia-Soda

Process

by Addition

of Organic

Substances

By Shoichiro NAGAI, Hajime MIYAGAWA and Toshiharu MIZOUE

(Faculty of Engineering, University of Tokyo and Tokuyama Soda Co. Ltd.)

When we Synthesize CaSO4.2H20 and recover the brine by utilizing by-product CaCl2 of

Ammonia-Soda process and by-product Na2SO4.10H20 of rayon industry, glanular and dense crystals of CaSO4.2H2O

and the concentrated NaCl solution are obtained by means of addition of a little amount of certain

organic substances-partecularly

Na-citrate—to the reactive solution, resolving Na2SO4.10H2O into

NaCl solution, and holding the reactive solution slightly basic.

  1.緒      言   衆 知 の如 くア ンモ ニ ア ソー ダ法 で は 次 に 略 記 した 反 応 に よつ て重 曹 を製 し,同 時 に出 来 る塩 化 ア ン モ ン液 を石 灰 と蒸 溜 してNH3を 同收 使 用 す る。     NaC1十NＨ3十CO2十H2O=NaHＣO3十NH4C1     2NH4Cl十Ca(OH)2＝2NH3十CaCl2十2H20 で あ る。 石膏 の優 秀 な板 歌 結 晶 を得 る た め の 研 究 が 多 く の 研 究 者 に よ つ て され て居 り,そ の 申,有 機 物 を添 加 し て合 成 す る方 法 につ い て も村 上恵 一氏(石 膏,5,13, 昭27)を 始 め多 くの人 々 に よ う て 有 機 酸 の ソー ダ塩,蛋 白質 分 解 物,或 は 或種 の 植 物 の汁等 色 々研 究 され て い る が,筆 者 は特 に これ らの 中最 も有 効 と思 われ る クエ ン酸