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地方自治体の災害対応における人員配置の最適化に向けたシミュレーション手法の開発

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地域安全学会論文集

No.37, 2020.11

1

地方自治体の災害対応における人員配置の最適化に向けた

シミュレーション手法の開発

Development of Simulation Method for Optimum Human Resource Allocation on

Disaster Response

井上

雅志

1

,福岡

淳也

2

,沼田

宗純

3

,目黒

公郎

3

Masashi INOUE

1

, Junya FUKUOKA

2

, Muneyoshi NUMADA

3

and Kimiro MEGURO

3

1 (株)エイト日本技術開発 災害リスク研究センター

Research Center for Disaster Mitigation, Eight-Japan Engineering Consultants INC.

2 (株)エイト日本技術開発 防災保全部

Department of Disaster Mitigation and Facility Maintenance, Eight-Japan Engineering Consultants INC.

3 東京大学生産技術研究所

Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

In the past large-scale disaster, inefficient disaster response occurred due to lack of human resource management on local government. This is because there is no simulation method of human resource allocation against necessary work volume and it is difficult to examine human resource management before and after disaster occurs. Based on the background, this paper proposes novel method for simulating human resource management for optimal allocation by estimating finishing date of disaster response and necessary volume of receiving manpower from outside. In addition, we simulated the human allocation on disaster response and validated efficiency of the proposed method.

Keywords: Disaster Response, BCP, human resource management

1.はじめに

過去の災害において,災害の全体像への理解不足,人 員配置マネジメントの欠如に伴う,非効率な人員投入, 組織間のアンバランスな負担,非効率な応援受援などが 発生している. 例えば,非効率な人員投入については,避難所運営, 物資業務など,自治体が必ずしもノウハウを持たない業 務に多くの人員が取られる結果,復旧・復興に本当に必 要な業務への投入が薄くなる事例が報告されている(例 えば,宮古市1),益城町2)など).本来ならば,被害認定 調査を早期に実施した後に罹災証明を発行し,みなし仮 設住宅を含めた仮設住宅の建設・入居が進むことで,避 難所から避難者が減り,避難所運営における人的コスト が減り,ひいては災害対策本部の閉鎖へと至り,本格的 な復旧・復興へと移行できる.しかし,多くのケースで は全体最適の視点からの人員配置ではなく,必ずしも自 治体自身がやらなくてよい業務も含め,目の前の業務に 人員を多く配置することで,復旧・復興への移行が遅れ てしまう状況が発生している. また,紅谷ら3)が指摘している通り,不眠不休で働い ている部署がある一方,定時で仕事を終える部署がある など,組織間でアンバランスな負担が発生している.こ の背景には,自治体における硬直的な人員配置が一因と して挙げられる.多くの自治体では,平時業務と似た種 類の災害対応業務を各部署の事務分掌として設定してい るが,多くの場合,そこで量的な検討は行われていない. 通常の部署人数は通常業務を実施する上で最適化された ものであるので,災害対応上の人数配置は当然最適なも のではなく,得てして負担の多い部局/少ない部局が発 生してしまう.首長のリーダーシップの下で業務や人員 の平滑化が行われる場合もあるが,多くの場合は災害発 生後の混乱時に柔軟な人員配置を再検討することは難し い. 加えて,人員配置マネジメントの欠如は非効率な応 援・受援にもつながっていると考えられる.例えば,鍵 屋4)は熊本地震において発生した事象として,「全国市 長会が被災自治体に必要な応援人数を問い合わせても (中略)被災自治体は目前の業務に追われ」るため, 「どの業務に何人程度という数字は出てこない」とし, 現在の自治体間相互応援協定等は「観点的,抽象的」で あり,「現場での実効性には乏しい」としている.また, 応援人員に関しては,他にも応援職員の適正と実際の作 業内容にミスマッチが生じていることなども指摘されて

地域安全学会論文集

No.37, 2020.11

8 を行った.これにより防災部局職員が少ない自治体では 防災部局内での研修実施と県外で行われている研修への 派遣が少ない傾向にあるが,県内で行われている研修に は派遣していることが明らかになった.またこれらの派 遣傾向から,県内で行う研修について自治体から期待さ れている知識的な研修だけでなく,基礎自治体が内部の 研修の実施で期待している組織間連携に寄与する研修実 施の必要性を示した. 具体的な研修の内容については引き続き検討する必要 があるが,受講者が自治体内に持ち帰って展開できるこ とが有効だと想定される.本研究において,防災部局が 部局内で研修・訓練を行っていないのに対し,自治体内 研修・訓練は比較的行われていた.その多くは非常参集 訓練や災害対策本部訓練といった訓練形式のものである. それでもこれらの実行の必要性が庁内で認識されており, こういった機会を利用して内外の組織間連携を向上させ る手法の提示などが考えられよう. 最後に研究上の課題を述べる.今回は防災部局が実施 及び派遣している研修について調査・分析を行った.行 政組織としての災害対応を考えると,防災部局以外の人 材育成についても明らかにする必要がある.また今回は 政令市である名古屋市を除外して分析を行った.他府県 の政令市も対象としながら研修のあり方を示していきた い. 補 注 (1) 静岡県地震防災センターの地域防災力強化人材育成研修, みえ防災・減災センターの市町村防災担当職員研修,岩手 大学地域防災研究センターの防災・危機管理エキスパート 養成講座,四国防災共同研究センターの四国防災・危機管 理プログラムなどがある.この他広域を対象とした東京大 学の災害対策トレーニングセンターがある. (2) 2018 年 9 月に,みえ防災・減災センター,清流の国ぎふ防 災・減災センターに対してヒアリングを行った. (3) 名古屋大学減災連携研究センターには 2019 年度末時点で20 名の自治体職員が受託研究員として派遣されている. (4) ** は 1%水準で有意 (両側) ,* は 5%水準で有意 (両側) を示す. (5) 愛知県,名古屋市,名古屋大学の共同により 2017 年 6 月に 設置され,愛知県内中核 3 市,各種公共団体,産業団体の 協 力 の も と 運 営 さ れ て い る . http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/kyoso/about.html (6) 以前は愛知県が研修を実施していたが,なごや・あいち強 靭化共創センターに移管されるにあたり,研修内容が拡充 している. 謝辞 アンケート調査にご協力いただいた自治体職員の皆様,並び に取り組み状況をお教えいただいた,みえ防災・減災センター, 清流の国ぎふ防災・減災センターの皆様に心よりお礼申し上げ ます. 参考文献 1) 令和元年台風第 15 号・第 19 号をはじめとした一連の災害に 係る検証チーム:令和元年台風第 15 号・第 19 号をはじめと した一連の災害に係る検証レポート(最終とりまとめ), 2020. 2) 総務省消防庁:地方公共団体の防災に関する職員研修に係る 調査報告, 2012. 3) 坂田朗夫,川本篤志, 伊藤則夫, 白木渡:基礎自治体職員のレ ジリエンス能力評価手法の提案, 土木学会論文集 F6(安全問

題), Vol.72, No.2, pp.I_71-I_76, 2016.

4) 小田切利栄, 中林一樹, 佐藤純一, 松浦直樹,山本太一:自治体 の災害施策充実に寄与する自治体属性・施策属性に関する 研究-自治体の災害施策自己評価をもとにして-, 地域安全 学会論文集, Vol.21, pp.209–218, 2013. 5) 越山健治, 福留邦洋:自治体防災担当者向け研修プログラム の教育効果の検証, 地域安全学会論文集, Vol.8, pp.387–394, 2006. 6) 照本清峰, 越山健治:地方自治体防災担当職員を対象とした 研修プログラムの効果と課題, 地域安全学会論文集, Vol.14, pp.67–77, 2011. 7) 辻岡綾, 川見文紀, 松川杏寧, 立木茂雄:災害対応コンピテン シー・プロファイル検査紙による自治体職員向け災害対策 専門研修事業のインパクト評価, 地域安全学会論文集, Vol.33, pp.291–299, 2018. 8) 鈴木猛康, 宇野真矢:組織間連携機能を有する災害対応管理 システムとその普及展開のための研修プロセスの開発, 災害 情報, No10, 日本災害情報学会, pp.122-133, 2012. 9) 岩原廣彦, 白木渡, 井面仁志, 高橋亨輔, 磯打千雅子:南海トラ フ地震時に四国の災害対応拠点が機能するための各施策と 人材育成の課題と対策~熊本地震における基礎自治体の初 動対応を参考にして~, 土木学会論文集 F6(安全問題),

Vol.72, No.2, pp.I_21-I_28, 2016.

10) 総務省消防庁 HP:地方防災行政の現況. https://www.fdma.go.jp/publication/bousai/(2020.05.06 閲覧) 11) あいち・なごや強靭化共創センターHP:行政人材育成研修 (平成30 年度). http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/kyoso/training_H30.html (2020.05.06 閲覧) (原稿受付 2020.5.16) (登載決定 2020.8.29)

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いる5). 本来ならば,これらの人員配置や応援人員の受け入れ における課題を解決するための計画として,自治体の BCP(業務継続計画)や受援計画が挙げられる.しかし, 例えばBCPの多くは定性的な検討に留まり,「どの業務 に,いつ頃,何人の職員を配置するか」という定量的な 検討,さらにはそれに基づく部署間の人員配置の最適化 に向けた取り組みが為されている事例は少ない.実際に, 全国計78の政令市や中核市の中で,公表されている40自 治体のBCPを調べたところ,公開されている資料を基に 判断した限りでは,必要な職員数を定量的に検討してい る事例は12自治体(千葉市,新潟市,京都市など)存在 するが,その検討を基に部署間の人員配置の改善につい てまで検討されている事例は見当たらない. 受援計画についても,どの業務に応援を受け入れるか, そしてその手順などは掲載されているものの,何人規模 で,どこから受け入れる想定なのかについて,具体的に 事前に計画されたものは数少なく,近年受援計画が策定 された 6自治体(千葉市,堺市,熊本市など)に留まる. 加えて,定量的な検討が為されている計画においても, 想定する被害は基本的に単一であるため,特に東日本大 震災以降「考えうる最大級」を対象に見直しが進められ た今日の被害想定に基づく対応計画は適用性や汎用性が 低いことが懸念される.実際に,大阪府北部地震で被災 した高槻市では,「大規模災害時を想定したBCPであっ たため,今回の地震のような中規模災害を想定していな かった」点が課題として報告されており,策定中の新し いBCPにおいては「大規模災害」と「中規模災害」の2パ ターンを対象としている6)が,このような検討をするた めには,異なる被害量に対して必要な人員投入量を推定 するための情報や根拠が必要であり,被災経験のある自 治体以外は容易ではないと考えられる. 以上の課題を踏まえ,筆者らのグループは,地方自治 体のうち市町村を対象として,災害の被害量を基に必要 人員投入量を計算する予測式の構築8)と,その想定され る必要人員投入量に対する人員配置をシミュレーション する手法の開発に取り組んでいる.本論では,主に後者 にあたる人員配置のシミュレーション手法を対象とし, ある必要人員投入量に対し,部署別配置人数や担当業務 を設定することで,業務別の予想完了日数や,必要応援 職員数を出力する方法,そして部署間の人数配置の最適 化を行う方法について検討を行った.この際,BCP等の 検討に,より反映しやすくするため,職員1人1人を単位 要素とした業務割り当てのシミュレーションではなく, 部署を単位要素とした資源配分のシミュレーションを行 った点に特徴を有する. 本論文の目的は,人員配置シミュレーション手法や最 適化手法の構築を通じて,さまざまな条件の設定に基づ く人員配置の予測や検討や,必要な応援職員数や事前対 策の効果の評価を可能とする環境を提供することにある. それにより,BCPや受援計画のより定量的かつ実践的な 改善と,実災害対応における全体最適の視点での効率的 な人員配置に資することを目指す. 本論文の構成は,2章で既往研究をレビューした上で, 3~5章において人員配置シミュレーションにおける業 務のモデリングと前提条件の整理を行い,シミュレーシ ョンの計算アルゴリズムについて述べる.6章で提案手 法に基づくケーススタディを具体的に示した上で,7章 で本提案手法の活用策を提示し,8章で結論と今後の展 望をまとめる.

2.既往研究

(1) 必要業務量の予測に係る研究 被害量に基づき,発生する必要人員投入量を定量的に 予測した事例として,東日本大震災の被災市町村を対象 とした稲葉ら7)の研究があるが,各被災市町村の業務別 の投入人数割合を,石巻市の投入割合と同じとする仮定 を置くなど,必ずしも十分な精度を有していない.これ を踏まえ,著者らのグループは2016年熊本地震発生後, 計16の市町村を対象に「いつ,どの業務に,何人の職員 を投入したか」を把握するための「災害対応投入量調査」 を実施し,この結果を基に,被害量から必要人員投入量 を求める予測式を構築している8) (2) 災害対応のスケジューリングや人員配置に係る研究 災害対応に関するスケジューリングに関する研究とし ては,これまで主に道路やライフラインなど,ネットワ ーク系のインフラの復旧を対象とした研究が行われてい る例えば9,10).これらは,主にネットワーク分析の観点から, どの順番で復旧を行い,そのために人員をどのように配 置するかという分析が行われている.この点,自治体の 災害対応のように,同時並行で発生する複数業務に対す る人員配置やスケジューリングとは性質が異なるもので ある. 複数業務に対する,職員を単位要素とした業務割り当 てのシミュレーションを行った事例として,目黒ら11) 沼田ら12)の研究が挙げられる.前者は,救援物資業務に 着目し,リアルタイムの人材配置モニタリングによる人 材運用と適度な休憩によって業務効率が改善する効果を 示し,後者は,医療救護業務に着目し,クリティカルパ スにおけるボトルネックとなる工程に優先的に配置する こと,柔軟な人材運用によって災害対応の終了日が短縮 されることを示している.これらは,職員を単位要素と し,また災害対応における一部の業務を対象としている 点で,市町村のBCPの検討に直接資するものではない. 一方,部署を単位要素とした資源配分のシミュレーシ ョンを行った事例として,稲葉ら7)は東日本大震災の石 巻市における業務量の予測式を基に,災害対応期間の推 定を行っているが,この研究では人員配置のアルゴリズ ム等は検討されておらず,石巻市の人員配置の実績値を そのまま入力する形となっている.そのため,人員配置 の実績が得られた石巻市を対象とした再現シミュレーシ ョンに留まっており,他自治体へのシミュレーションや, さまざまな条件を変更したシミュレーションは実現され ていない.また,業務の開始における依存関係は考慮さ れている一方で,終了における依存関係は考慮されてい ないため,多くの人員が投入されれば短期間で業務が終 了するという設定になっている.これは災害対策本部や 避難所運営など,終了時期が投入人数ではなく外的要因 に左右されると考えられる業務についてはそぐわない. 以上の先行研究に比した,本研究の新規性を以下に挙 げる. ・市町村全体(但し,独立性が高い消防等は除いている) の災害対応業務のプロセスをモデル化し,その際,災 害対応業務をその特性から「①総投入量達成型業務」 「②日別投入量必要型業務」「i) 課別実施型業務」 「ii) 全庁実施型業務」の4象限にタイプ分けを行った こと. ・部署ごとに担当業務の設定や通常業務実施率の設定を 制約条件とした人員配置シミュレーションを行うこと で,担当業務の設定や配置人数の違いによる効果を計

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算可能としたこと. ・必要な応援職員数を推計する手法や,最適な部署間配 置人数の近似解を求める手法を提案したこと. ・事前の準備や訓練等の災害対応条件をパラメータとし て組み込んだ他,被害量によるパラメトリックスタデ ィを可能としたことで,事前対策が事後対応にもたら す効果を定量的に表現したこと. なお,3点目の人員配置の最適化については,これまで 経営学や工学の分野で研究が行われている.例えば,複 数業務に対する組織内人員の配置に関する研究として, 満行ら13)は複数の設計プロジェクトを対象とした人員配 置に関するシミュレーションを行い,配置のちがいによ って終了時間がどれほど変わるのかについて,遺伝的ア ルゴリズムを用いた検討を行っている.しかし,遺伝的 アルゴリズムを用いた手法は計算時間がかかること等も 考慮し,自治体が実際の災害の現場で活用する観点から, 本稿では簡略化した計算に基づき,最適な部署間配置人 数の近似解を求める手法を提案している. 本提案手法によって,市町村の災害対応における効率 的・効果的な人員配置マネジメントに向けた検討を可能 とし,ひいては速やかな復旧・復興への移行を支援する ことが期待される.

3.災害対応業務の定義と依存関係のモデリング

人員配置シミュレーションを行うにあたり,災害対応 業務の定義とその依存関係のモデリングを行う. なお,以降の計算において,内閣府の「大規模災害発 生時における地方公共団体の業務継続の手引き」14)の区 分けに準じ,応急対応を表1に示す6つのフェーズに分け ている.このようなフェーズを設定することで,計算結 果を市町村が策定する業務継続計画(BCP)に反映しや すくすることを意図したものである. また,本提案手法が対象とするのは「応急対応が終了 するまで」とし,その目安として「避難所の多くが閉鎖 し,災害対策本部が閉鎖されるまで」としている.その 背景として,復旧・復興に向けた災害対応のクリティカ ルパスである「建物被害認定調査の実施→罹災証明の発 行→避難所の人数減少→避難所の閉鎖→災害対策本部の 閉鎖」という道筋を表現するという意図を込めている. それに伴い,本シミュレーションにおいて,例えばイン フラの応急的な対応や復旧は対象とするが,本復旧につ いては対象外として扱うものとする. 表 1 本提案手法におけるフェーズの設定 フェーズ 該当期間 フェーズ 1 当日 フェーズ 2 翌日~3日間 フェーズ 3 4日~1週間 フェーズ 4 1週間~2週間 フェーズ 5 2週間~1ヶ月 フェーズ 6 1ヶ月以降 (1) 災害対応業務分類の定義 市町村の災害対応における人員配置をシミュレーショ ンするため,まずは自治体の災害対応業務を定義・分類 する必要がある.そこで,本研究では,沼田らが提唱す る47の災害対応業務分類15,16)を用いた上で,(2),(3)で後 述する通り,「業務タイプ」「開始終了条件」を設定し た. (2) 災害対応業務分類の特徴に基づく業務タイプ分け (1)で挙げた災害対応業務分類について,その業務の実 施上の特性を表現するため,表2に示す通り,「①総投入 量達成型業務」と「②日別投入量必要型業務」,「i) 課 別実施業務」と「ii) 全庁実施業務」の4象限にタイプ分 けを行った. 「①総投入量達成型業務」(以下,「総量達成型業務」 とする)は,特定の目標を達成するために必要な人工を 投入したら終了する業務であり,人数を増やすことで終 了時期が短くなると見なせる(逆に人数を減らすと終了 時期は長くなる)ものである.例えば,道路,水道等の インフラの応急復旧,建物被害認定調査やり災証明の発 行等がこれにあたる. 一方,「②日別投入量必要型業務」(以下,「日別必 要型業務」とする)は,災害対応の実施や機能維持のた めに,一定の規模の人数が継続的に投入される業務であ り,人数を増やしても終了期間は変わらない(即ち,終 了時期が外的要因に左右される)業務である.例えば, 災害対策本部や避難所の運営等がこれにあたる. また,「i) 課別実施業務」は事務分掌に基づいて特定 の課で対応する業務であるのに対し,「ii) 全庁実施業務」 はその性質上,全庁的な対応が求められる業務である. 本研究では,過去の災害対応において多くの人手が割か れ,他の災害対応業務を圧迫するボトルネックとなって いる,「避難所運営業務」「救援物資業務」「被害認定 調査」「り災証明発行業務」の4つを「ii) 全庁実施業務」 として設定している. 表 2 本提案手法における業務タイプ ①総量達成型業務 ②日別必要型業務 i) 課別実施型業務 例)インフラの復旧, 応急危険度判定など 例)災害対策本部運 営, 人員管理, 相談窓 口など ii) 全庁実施型業務 被害認定調査とり災 証明発行の2種類 避難所運営と物資業 務の2種類 (3) 業務開始・終了時期と業務間依存関係の設定 各業務の開始・終了時期の前提条件として,熊本地震 被災市町村の危機管理担当の方々と共に設定した,災害 対応業務分類と業務種別,それぞれの業務開始・終了時 期と業務間依存関係の設定の一覧を表3に示す. 開始条件については,多くの業務は発災直後から開始 としている一方,「19 ボランティア」や「36 応急仮設住 宅」「38 生活再建支援」「40 復旧・復興」など発災後一 定期間後に業務を開始すると考えられるものは,フェー ズ2以降の開始と設定している.但し,これらは熊本地震 の実績を基に設定したものであり,災害の規模によって はフェーズが早まる,または遅くなることも考えられ, 今後更に分析をしていく必要がある.また,「35 り災証 明発行」は「34 被害認定調査」が一定程度進展しないと 発行できないと考えられることから,「34 被害認定調査」 の必要人数に対して2割の人員が投入された段階で開始で きると仮定している.また,終了条件については,①総 量達成型業務については,必要投入量と同じ人数が投入 された段階で終了するとしている.また,②日別必要型 業務の多くは,「35 り災証明発行」等の①総量達成型業 務の達成を終了条件としている.これは,災害対応のク リティカルパスに基づき,り災証明の発行と共に避難所 が閉鎖し,その後災害対策本部が閉鎖され,その他関連 する応急対応の業務も終了するということをモデル化し ている. なお,実際の災害対応においては,業務分類は更に細

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かい工程に分解でき,工程間の相互依存関係が生じると 考えられるが,本稿では研究の端緒として,上記の通り, 業務分類レベルに単純化したモデルでの検討を行う. 表3 業務分類と本モデルにおける開始終了条件 業務名称 業務タイプ 開始条件 終了条件 1 災害対策 本部 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 2 ⼈員管理 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 3 要⼈対応 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 2 から 開始 1.災害対策本部の終了 4 通信確保 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 5 被害情報 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 フェーズ 3 で終了 6 ハザード 情報 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 フェーズ 2 で終了 7 避難・安否 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 8 相互応援 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 フェーズ 3 で終了 9 ⾃衛隊・航空消防防災 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 10 広報・マスメディア ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 11 相談窓⼝・電話 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 12 救急・救助 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 13 医療・衛⽣・⼼理 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 14 遺体の処理 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 15 避難所 ⽇別必要 全庁実施 発災直後に開始 35.り災証明発⾏の 終了 16 要援護者 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 17 ⽂教 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 18 物資の調達,供給 ⽇別必要 全庁実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 19 ボランティ ⽇別必要 課別実施 フェーズ 2 から 開始 フェーズ 3 で終了 20 ⾃主防災 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 21 道路 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 22 警備・交通 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 23 鉄道 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 24 農地農業 施設 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 25 上⽔道 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 26 下⽔道 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 27 電⼒・ガス・通信 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 28 河川・海岸 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 29 公共建物・施設 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 30 危険物 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 31 障害物 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 フェーズ 3 で終了 32 応急危険度判定 総量達成 課別実施 発災直後に開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 33 住居修理・解体 総量達成 課別実施 34 被害認定調査の2 割投⼊後 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 34 被害認定 調査 総量達成 全庁実施 フェーズ 4 から 開始 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 35 罹災証明 発⾏ 総量達成 全庁実施 34 被害認定調査の2 割投⼊後 必要投⼊量と同量の⼈員を投⼊ 36 応急仮設 住宅 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 2 から開 35.り災証明発⾏の 終了 37 義援⾦ ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 35.り災証明発⾏の 終了 38 ⽣活再建 ⽀援 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 2 から 開始 35.り災証明発⾏の 終了 39 ⼟地利⽤ ⽇別必要 課別実施 フェーズ 5 から 開始 35.り災証明発⾏の 終了 40 復旧・復興 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 4 から 開始 35.り災証明発⾏の 終了 41 企業 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 4 から 開始 35.り災証明発⾏の 終了 42 廃棄物 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 15.避難所の終了 43 財政・⾦融 ⽇別必要 課別実施 発災直後に開始 1.災害対策本部の終了 44 防災教育・訓練 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 4 から 開始 1.災害対策本部の終了 45 財源・基⾦ ⽇別必要 課別実施 フェーズ 3 から 開始 1.災害対策本部の終了 46 出納 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 3 から 開始 1.災害対策本部の終了 47 法令 ⽇別必要 課別実施 フェーズ 3 から 開始 1.災害対策本部の終了

4.シミュレーションにおける条件設定

(1) 被害量に基づく必要人員投入量の推定に係る条件設 定 前項で定義した各業務分類に対し,被害量に基づき必 要人員投入量の推計を行うための条件設定を行う. 文献8)では,前述の47業務分類を対象として,「いつ, どの業務に,何人の職員を配置したか」(以下,「投入 量」と呼ぶ)に関する実績のアンケート調査を熊本地震 の被災市町村を対象として実施し,16市町村からの回答 を得ており,その結果から被害量に基づく必要人員投入 量の予測式を構築している.その特徴は,第3章で述べた 「①総投入量達成型」「②日別投入量必要型」それぞれ の業務タイプの特性に応じた予測式を構築したことにあ る. 「① 総投入量達成型業務」については,総人員投入量 は被害量(全壊棟数と半壊棟数の合計)に比例するとし, 目標達成に必要な総人員投入量を求める予測式の傾きと 切片を表4のように設定した.即ち,被害量を代入するこ とで,当該業務の目標達成(=応急対応の終了)までに 必要な人員投入量(単位=人・日)が求められる.なお, 文献8)において,「死者数」「全壊棟数」「(全壊+半 壊)棟数」の3つの説明変数で検証した結果,「(全壊 +半壊)棟数」が最も相関が高いことが示されているこ とから,以降の検討もこの数字を用いて行う. 表 4 総投入量達成型業務の予測式におけるパラメータ8) 業務名称 傾き 切片 4 通信確保 0.05 0 21 道路 1.44 0 24 農地農業施設 0.32 12.7 25 上水道 1.03 0 26 下水道 0.43 0 28 河川・海岸 0.03 58.4 29 公共建物・施設 0.49 0 30 危険物 0.01 0 32 応急危険度判定 0.25 0 33 住居修理・解体 0.29 0 34 被害認定調査 1.57 0 35 罹災証明発行 1.63 0 一方,「②日別投入量必要型業務」は,自治体の規模 との相関がある他,被害規模の大小によって差はあるが, 被害量との比例関係はなく,概ね日々一定の人数投入が 必要となる業務である.このことから,熊本地震の投入 量調査の結果を基に,日別投入量必要型業務の実施に必 要なフェーズ別の職員割合(日別の必要投入量(人/日) に関する全職員数に対する割合)を,建物被害率の大小 に応じて2種類,予測式として導いた.このうち,建物全 半壊率が5%以上のケースにおける予測式の抜粋を表5に 示す.即ち,日別投入量必要型については,市町村の総 職員数を乗じることで,フェーズ別に平均的に必要とさ れる日別の投入量の目安(単位=人/日)が求められる. なお,日別投入量必要型業務の予測式については,前 述の投入量調査の限られたデータにおいて,統計的に有 意な回帰が得られなかったため,上述の通り建物被害率 の大小に応じた2種類を設定しているが,今後,更なるデ ータを得ることで,自治体の規模等の要因も含めた回帰 を検討することが課題として挙げられる.また,以上の 必要人員投入量予測式は,限られた量・質のアンケート 調査に基づくものであるため,必ずしも十分な精度を有 しているとは言い難く,引き続きアップデートが必要で

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はある.しかし,おおよその人員投入量を予測する際に 活用できるものと考えられるため,本提案手法ではこの 数字を用いてシミュレーションを実施する. 表5 日別投入量必要型業務の主な予測式における パラメータ(建物被害率5%以上) 8) 業務名称 フェーズ 1 2 3 4 5 6 1 災害対策 本部 7.1% 6.1% 5.9% 5.6% 4.3% 3.5% 5 被害情報 4.7% 2.3% 0.8% 0.6% 0.5% 0.4% 11 相談窓口 5.0% 4.5% 4.8% 4.5% 3.5% 3.5% 13 医療・衛 生・心理 0.3% 0.7% 1.2% 1.8% 1.9% 1.7% 15 避難所 30.8% 31.7% 50.0% 48.0% 30.2% 16.4% 16 要援護者 1.1% 1.7% 1.6% 1.6% 1.5% 1.4% 17 文教 2.0% 1.5% 1.1% 1.0% 0.9% 1.3% 18 物資の調 達,供給 2.1% 5.8% 6.5% 5.2% 1.5% 0.7% 36 応急仮設 住宅 0.3% 0.2% 0.5% 0.6% 1.0% 1.1% 37 義援金 0.0% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 38 生活再建 支援 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% 0.7% 40 復旧・復興 0.0% 0.0% 0.1% 0.0% 0.2% 0.3% 41 企業 0.2% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.3% 42 廃棄物 4.8% 3.8% 4.9% 6.2% 7.8% 6.1% 45 財源・基金 0.0% 0.0% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 47 法令 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% (2) 部署別・フェーズ別災害対応可能人数の設定 前項で設定した災害対応業務に対して,災害対応を実 施する,部署別・フェーズ別の災害対応可能人数を本項 で設定する. a) 部署別職員数の設定 部署別職員数の設定については,市町村毎に異なる個 別部署の職員数を細かく設定することも可能であるが, 本稿では,設定・計算を簡易にするため,総務省が毎年 公開している「地方公共団体定員管理調査結果」におけ る市町村の部門別の職員数を用いた 17).同調査における 部門を,災害対応の観点から13 部署(総務・企画,財政, 防災,民生・福祉,衛生(廃棄物以外),衛生(廃棄 物),労働・商工,農林水産,建設,都市,上水,下水, 教育)に再整理を行った.ここで,学校,警察,消防, 病院,交通の部門については,市町村の災害対応におい て独立性・専門性が高いため,対象外としている. b) 参集率・通常業務実施率の設定 特に時間外発災においては,職員が自宅から庁舎に参 集するため,発災直後はごく限られた職員数で対応を行 う必要がある.また,中長期的には,職員の被災(家屋 の損壊,自身や家族の死傷など)によって,災害対応を 行うリソースが限られる恐れがある.他方,市町村は災 害対応業務だけでなく,災害時でも最低限の行政サービ スを維持する必要がある. このような制約を反映するため,参集率と,通常業務 実施率(全職員中,通常業務に割かなければならない割 合)のパラメータを設けている.本稿の初期値として, 前者は熊本市が実態調査を行った,熊本地震の前震(平 成28 年 4 月 14 日)の実績を踏まえた数値18),後者は文8)の調査において,回答市町村全体の平均値を求めた 値を表6 の通り採用している. c) 災害対応可能人数の計算 以上の a)~b)を基に,フェーズ別・部署別の災害対応 可能人数を次のように設定する. フェーズ別・部署別災害対応可能人数= 部署別職員数×(参集率-通常業務実施率)…式[1] 表 6 参集率・通常業務実施率の初期値 フェーズ 参集率 通常業務 実施率 フェーズ 1(当日) 86% 35% フェーズ 2(翌日~3 日間) 86% 39%(**) フェーズ 3(4 日~1 週間) 89% 43% フェーズ 4(1 週間~2 週間) 90% 50% フェーズ 5(2 週間~1 ヶ月) 93% 56% フェーズ 6(1 ヶ月以降) 93%(*) 58% (*) 熊本市の実績データでは,1 ヶ月以降のデータは示されてい ないため,2 週間~1 ヶ月と同等として扱う (**) 熊本地震におけるフェーズ 2 は土曜・日曜日にあたるため, フェーズ1 とフェーズ 3 の線形補間を取った. (3) 技術的制約を考慮した部署別担当業務の設定 (2) で再整理した 13 部署に対し,災害対応における担 当業務を設定する.本手法では,各部署において,主担 当業務 1 つと,副担当業務を最大 8 つ設定すると共に, 避難所運営業務をはじめとする全庁実施型業務を担当す るか否かについて設定を設けている.これらの条件は, 後の計算における人員配置の優先順位に反映すると共に, 特定の業務が持つ技術的制約(資格条件等含む)を表現 している. 本稿では,初期条件として,表 7 のように担当業務を 設定している.ここで,地域防災計画の事務分掌等に基 づく設定も考えられるが,熊本地震の実際の対応では事 前に計画で定めた事務分掌を超えた対応・分担が為され ていたことから,熊本地震における被災市町村職員への ヒアリングを基に業務分担を設定した. (4) 災害対応条件の設定 同じ投入人数であっても,事前の災害対応準備,訓練, 災害対応の実施方法,必要なリソース・場所の確保など によって,その開始時期や業務実施効率は異なる. このことを表現するため,実際に過去の災害の課題・ 教訓を基に,災害対応条件として,以下の5つのパラメ ータを設定した.個々の設定の数値は,被災自治体から のヒアリング等により定めたもので,現時点では個別に 明確に根拠があるものではない.しかしながら,このよ うな設定パラメータを設けることにより,事前対策の効 果を,シミュレーションによって業務期間の短縮や必要 応援人員の削減という形で定量的に示す意義は非常に大 きいものと考えられる.今後,検証等を踏まえてこれら のパラメータを修正・更新していくことが求められる. 1:住民による自主的な避難所運営が可能か? →自主運営100%の場合は必要投入量が 1/2.(本部での 調整業務が増えるが,現場作業に伴う人員が圧倒的 に減ることが見込まれるため,仮に1/2 としている) 2: 物資業務の外部委託しているか? →業者へ委託を行っている場合は必要投入量が 1/2. (前項と同様,一部の調整業務が増えるが,現場作業 に伴う人員が圧倒的に減ることが見込まれるため) 3: り災証明発行に向けたシステム整備を行っているか? →事前のシステム整備,発行に関する訓練を行ってい ない場合は,り災証明関連業務の開始が1 週間後. 4: 災害廃棄物仮置き場の候補を事前に設定しているか? →事前に設定していない場合は,災害廃棄物の業務実 施開始が1週間遅れる. 5: 被害に対して新規仮設住宅を建設する必要があるか?

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→新規仮設住宅を建設する必要がある場合,仮設住宅 業務に最低45 日間の対応が発生するとし,そうでは ない場合,仮設住宅業務がり災証明発行完了と共に 終了. 表 7 本手法における部署別担当業務の初期値 部署 課別担当業務の割り当て 全庁業務の担当割り当て有無 主担当 副担当 15.避難 所運営 18. 物資 34.被害 調査 35.罹災 証明 1 2 3 4 5 6 7 8 総務・企画 4.通信確保 10.広報・ マスコミ 2.人員管理 5.被害情報 3.要人対応 1.災害対策 本部 8.相互応援 9.自衛隊・ 消防 47.法令 ○ ○ ○ ○ 財政 43.財政・ 金融 45.財源・ 基金 46.出納 38.生活再建 支援 37.義援金 1.災害対策 本部 33.住居修理 ・解体 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○ 防災 1.災害対策 本部 6.ハザード 情報 5.被害情報 8.相互応援 9.自衛隊・ 消防 10.広報・ マスコミ 40.復旧・ 復興 20.自主防災 44.防災教育 ・訓練 民生・福祉 16.要援護者 13.医療・ 衛生 7.避難・安 否 19.ボラン ティア 38.生活再建 支援 1.災害対策 本部 12.救急・ 救助 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○ 衛生(廃棄 物以外) 13.医療・ 衛生 14.遺体の 処理 12.救急・ 救助 30.危険物 11.相談窓口 ・電話 29.公共建物 ・施設 4.通信確保 ○ ○ ○ ○ 衛生 (廃棄物) 42.廃棄物 30.危険物 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○ 労働・商工 41.企業 38.生活再建 支援 27.電力ガス 通信 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○ 農林水産 24.農地農業 施設 38.生活再建 支援 11.相談窓口 ・電話 28.河川 ・海岸 ○ ○ ○ ○ 建設 21.道路 36.応急仮設 住宅 28.河川 ・海岸 22.警備 ・交通 30.危険物 31.障害物 23.鉄道 32.応急危険 度判定 ○ ○ ○ ○ 都市 32.応急危険度判定 29.公共建物 ・施設 33.住居修理 ・解体 30.危険物 31.障害物 23.鉄道 39.土地利用 ○ ○ ○ ○ 上水 25.上水道 30.危険物 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○ 下水 26.下水道 42.廃棄物 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○ 教育 17.文教 16.要援護者 11.相談窓口 ・電話 ○ ○ ○ ○

5.本提案手法の計算アルゴリズム

(1) 「バケツ – コップモデル」の概要 本提案手法における人員配置シミュレーションのベー スとしている「バケツ‐コップモデル」のイメージを図 1 に示す.本手法は,バケツの容積を各災害対応業務の 必要投入量を,コップに入っている水の量は対応する各 部署の職員数に見立て,決まった容積(=必要投入量) のバケツに,部署毎のコップの水(職員数)を注いで満 たしていくイメージである. 図 1 提案手法のイメージ なお,水文学で広く使われているタンクモデルは,複 数のタンクを連結し,降水,貯留,流出,浸透をモデル 化したものであるが,「バケツ – コップモデル」は人員 配置における業務への職員の配分と業務の充足率,達成 率をモデル化している.これによって,災害対応業務に よって異なる大きさの47 のバケツに対し,部署によって 異なる量の13 のコップの水(対応する職員数)を日々ど のように配分するかという問題に置き換えている. ここで,各コップ(部署)は4.(3)の担当業務の設 定に基づき,ある特定のバケツのみに注ぐ(人員配置) ことができるものとし,また,その注ぐ順番は,主担当 業務→副担当業務→全庁対応業務としている.この順番 の意味するところは,各部署において,まず自部署の主 担当業務に人を配置し,さらに余った職員を副担当業務 に配置,その上で余った職員を全員全庁業務に配置する という人員配置を表現している.実際の災害対応におい ては,未配置職員が発生する可能性があるが,本シミュ レーションでは,このルールに基づくことによって極力 未配置職員を出さないようにしている.なお,後述する 通り,ある業務を複数の部署で担当している場合,担当 部署の職員数に応じて投入人数を按分することとしてい る. また,シミュレーションの全体像と,4章で設定した 日別必要型業務,総量達成型業務の関係を表したイメー ジ図を図2 に示す. ここで,日別必要型業務は,前述で定義した通り,運 営のために日々一定の規模の人数が投入される業務であ り,総量達成型業務は,特定の目標を達成するために必 要な人員を投入したら終了する業務である.このことか ら,本シミュレーションにおいて,日別必要型業務のバ ケツは,日々必要とされる人員投入量を表し,その充足 率は,必要量に対してどれだけの職員が配置できている か,すなわちサービスの質(あるいは担当職員にかかる 負担)を表現している.それに対し,総量達成型業務の バケツは,目標達成に必要とされる人員投入量を表し, その充足率は目標に対する達成率となり,100%となった 時点でその業務が終了(達成)する. また,本シミュレーションでは,(事前に設定した条 件に基づき)総量達成型業務の終了に伴って日別必要型 業務が終了する.そして,全業務が終了した時点で,全 ・・・ 総務・企画 財政 防災 教育 日別・部署別対応可能人数 対応可能人数 a 人 対応可能人数 b 人 対応可能人数 c 人 対応可能人数 n 人 主担当業務 必要人数 A 人 副担当業務1 必要人数 B 人 ・・・ ・・・ 全庁業務 必要人数 X 人 決まった容量(=必要人 数)のバケツを職員で 満たしていくイメージ バケツが一杯 になったら次 の業務へ 全庁業務を担当余った職員は 例:総務・企画部署の人員投入 業務分担を共有して いる場合は、対応可 能人数に応じて投 入人数を按分

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災害応急業務の完了としている.すなわち,日別必要型 業務をいかにコンパクトかつサービスの質を落とさない ようにしながら,どれだけ多くの職員を(応急対応の終 了期間に直接的な影響を与える)総投入量達成型業務に 配分できるかという観点をシミュレーションで表現して いる.これは,実際の災害対応においても,できるだけ 早く復旧・復興へと移っていくために重要となる観点で ある. 図 2 シミュレーションの全体像 (2) 計算ステップ 本提案手法では,その目的に応じて3つのステップの 計算方法を設けている. ① ステップ1:自自治体のみ(応援なし)の人員配置計算 被災自治体のみ(応援なし)で災害対応を行った場合 の人員配置シミュレーションを行い,全応急対応の予想 完了日数や(日別必要型業務の)人員不足数,職員充足 率を予測する.3.の条件設定(例えば,通常業務実施 率,参集率,部署別担当業務等)を変更し,新しい条件 下でシミュレーションを実施することで,自らの自治体 の人員配置を見直すと共に,災害対応条件の変更に伴う 効果を見積もることが可能となっている. ② ステップ2:部署間人員配置の最適化計算 1.において述べた通り,通常の部署人数は通常業務 を実施する上で最適化されたものであるので,災害対応 上の人数配置は当然最適なものではなっておらず,結果 として,各災害対応業務の終了時期はバラバラになって しまう.本ステップは,全総量達成型業務を概ね同じ時 期に終わらせるための最適な部署別人員配置の近似解を 計算する. なお,既往研究13)等,複数業務のシミュレーションと 最適配置を扱った事例では,プロジェクトが終了する時 刻の最小化を目的とし,各時刻における業務への割り当 てが最適化されている.それに対し,本研究では,主に BCP における各部署間の人員配置の是正化と改善を目的 としていることから,業務への割り当て自体はあくまで 前述の人員配置アルゴリズムに基づくものとし,部署の 所属人数を最適化の対象としたことに特徴を有している. ③ ステップ3:応援ありの人員配置計算 自治体としての完了目標日を設定し,その達成のため に必要な応援職員数を予測する. (3) 計算アルゴリズム 発 災 後 の 経 過日 d(d=1,2,3,…),業務分類 w(w=1,2,3, …,47), 部署 g(g=1,2,3,…,13), 各部署の担当業務𝑤𝑤���とし た場合の主な変数を次に示す. ・業務別総必要投入量(総量達成型) 𝑉𝑉�𝑤𝑤� ・業務別残投入量(総量達成型)(ステップ 1 のみ) 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (d=1 において,𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� = 𝑉𝑉��𝑤𝑤�) ・d 日目における業務別必要投入量(総量達成型) 𝑁𝑁���𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (※ステップ 2), 𝑁𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (※ステップ 3) ・d 日目における業務別必要投入量(日別必要型) 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� ・d 日目における部署別投入可能人数 𝑆𝑆�𝑑𝑑, �� d 日目における業務別不足職員数 ��𝑑𝑑, �� 図 3 本提案手法の計算フロー 1) d 日目における総量達成型業務の残投入量𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (※ステップ 1),業務別必要投入量𝑁𝑁���𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (※ステ ップ2) ,𝑁𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (※ステップ 3) ,日別必要型業務 の必要投入量𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤�,部署別投入可能人数𝑆𝑆�𝑑𝑑, �� を計算 2) 課別実施型業務→全庁実施型業務の順に,業務 w=w’ について3)の繰り返し計算を実施 3) 担当業務レベルℓ(主担当業務, 副担当業務 1, 副担当 業務2, … , 副担当業務 8)の順番で,業務 w’につい3-1) ~ 3-3) の繰り返し計算を実施 3-1) 事前に設定した担当業務の設定に基づき,担当 レベルℓにおいて業務分類w’を担当する部署別投 入可能人数の合計𝑆𝑆� ∑ 𝑆𝑆�𝑑𝑑, �� ���� を求める 3-2) 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (又は𝑁𝑁���𝑑𝑑, 𝑤𝑤�,𝑁𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤�,𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤�, 日別必要型 業務B 日別必要型 業務A 総量達成型 業務A 総量達成型 業務B ・・ ・ ・・ ・ 1日目 2日目 3日目 4日目 x日目 ・・・ ・・・ 終了 終了 災 害 応 急 業 務 の 完 了 x+1日目 日別必要型業務は (設定条件に基づき) 総量達成型業務と共に終了 総量達成型業務は 必要業務量分の人員を配置 したら業務終了 全業務が終了した時点で 災害応急業務は完了 発災 ループ d =1,2,3,… ループ ℓ =1,2,3,…, 8 (ℓ : 担当業務レベル) ループ t ループℓ 応急対応終了 ループ w’ =1,2,3, … , 47 (w’ : 業務分類) レベルℓ で業務w’を 担当する部署の有無 ループ t =1,2 (t : 業務タイプ) ループw’ ※ステップ1の時 t=1: 単独業務型 t=2: 全庁業務型 ※ステップ2, 3の時 t=1: 総量達成型 t=2: 日別必要型 該当する担当部署から 全職員を投入 該当部署から残人数に応じ 按分し、業務別不足人数分 を投入 レベルℓ で業務w’ を担当する 部署の投入可能人数の合計 S’を計算 業務実施判定 サブルーチン 業務実施 業務開始前or完了後 Yes No Yes No ループ d 業務実施判定 サブルーチン 全業務完了 未完了業務あり 発災からの 経過日のループ 業務タイプの ループ 担当業務レベルの ループ 業務分類の ループ S’ < 𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤 d日目における部署別投入 可能人数 を計算 ��𝑑𝑑, �� d日目における業務量 を計算 𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤 ,𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤 ,𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� 該当部署の投入可能人数 ( → 0)、必要業務量 を更新 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� 𝑆𝑆�𝑑𝑑, �� 該当部署の投入可能人数 、必要業務量 ( → 0)を更新 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� 𝑆𝑆�𝑑𝑑, �� 残業務量を不足(応援)職員 数 として計上

(8)

以下同様)に対し,業務分類 w’の担当部署の部 署別投入可能人数𝑆𝑆𝑆の合計が多ければ,担当部署𝑆𝑆�𝑑𝑑, 𝑔𝑔� の 一 部 を 投 入 す る . こ れ に 伴 い , 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤�を𝑆𝑆�𝑑𝑑, 𝑔𝑔�に応じて按分した人数を差し引 くことで𝑆𝑆�𝑑𝑑, 𝑔𝑔�を更新し,𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤�を更新する (→0) 3-3) 𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤� (又は𝑁𝑁���𝑑𝑑, 𝑤𝑤�,𝑁𝑁𝑆��𝑑𝑑, 𝑤𝑤�,𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤�) に対し,業務分類 w’の担当部署の部署別投入可 能人数𝑆𝑆𝑆の合計が多ければ,担当部署の𝑆𝑆�𝑑𝑑, 𝑔𝑔�の 全部を投入する.これに伴い,𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤�を更新= 𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤� � 𝑆𝑆𝑆)し,担当部署の𝑆𝑆�𝑑𝑑, 𝑔𝑔�を更新 する(→0) 4) d 日目の計算の最後に,残った日別必要型業務の必 要投入量 𝑁𝑁�𝑑𝑑, 𝑤𝑤�を業務別不足職員数��𝑑𝑑, 𝑔𝑔�として 計上.(ステップ3においては,𝑁𝑁𝑆�𝑑𝑑, 𝑤𝑤�を業務別 必要応援職員数として計上) 5) 全業務に対して業務実施判定を行い,全業務が完了 していたら計算を終了し,その日を応急業務終了日 とする. 6) 全業務が完了していない場合,d <- d + 1 とし,次の 日に移る. <ステップ2:最適配置> 全総量達成型業務の終了日をおおよそ同じ時期にする ために,ステップ1の結果を基に,各部署の(通常組織 をベースとした)配置人数𝑃𝑃�𝑔𝑔�に対し,最適な配置人数 𝑃𝑃��𝑔𝑔�の近似解を求めることを考える. そこで,図 4 にイメージを示す通り,各部署における 総量達成型業務への(1 日あたり)平均投入人数𝐼𝐼�𝑔𝑔�を求 め,その合計∑ 𝐼𝐼�𝑔𝑔�によって総量達成型業務の全必要投 入量∑ 𝑁𝑁�𝑤𝑤�を除することで,最適配置時の終了予測日𝑑𝑑� が求められる.そして,𝐼𝐼�𝑔𝑔�を𝑑𝑑�で除する事で,その時 の各部署が総量達成型業務に配置すべき平均投入人数 𝐼𝐼���𝑔𝑔�が求められる.この時,𝐼𝐼���𝑔𝑔� � 𝐼𝐼��𝑔𝑔�が最適配置後 の(総量達成型業務に投入すべき)各部署の人員増減で ある. 図 4 部署間の人員配置最適化のイメージ 但し,各部署の(通常組織をベースとした)配置総人 数𝑃𝑃�𝑔𝑔�に対し,通常業務の実施や,日別必要型業務への 投入によって,実際に総量達成型業務に配置された職員 数は𝐼𝐼�𝑔𝑔�であることを考慮し,部署全体の配置人数の増𝑃𝑃�𝑔𝑔� � 𝑃𝑃�𝑔𝑔�は式[2]のように計算される. 𝑃𝑃��𝑔𝑔� � 𝑃𝑃�𝑔𝑔� � �𝐼𝐼� ��𝑔𝑔� � 𝐼𝐼��𝑔𝑔�� �������� …式[2] さらに,計13 部署全体の最適化に伴う増減を 0 にする ための正規化項を加えると,最適化に伴う部署全体の配 置人数は式[3]のように求められる. 𝑃𝑃��𝑔𝑔� � 𝑃𝑃�𝑔𝑔� � �𝑃𝑃��𝑔𝑔� � 𝑃𝑃�𝑔𝑔�� ��� � ∑�� �𝑃𝑃��𝑔𝑔� � 𝑃𝑃�𝑔𝑔�� ��� …式[3] ステップ2のシミュレーションでは,この人数配置の 下,最適化時の終了予測日𝑑𝑑�に対して,総量達成型業務1 日あたりの必要投入量𝑁𝑁��𝑑𝑑, 𝑤𝑤��� ��𝑤𝑤�/𝑑𝑑��を算出し, 総量達成型業務に優先的に投入することで,最適化時の 人員配置のシミュレーションを実施する.これによって, ステップ1における通常業務に投入する人数を大きく変 えることなく,総量達成型業務の人員配置の見直しによ る災害対応期間の短縮化が可能となる. なお,本最適化手法は,ある総量達成型業務について, 担当業務として設定されている部署以外にも,対応でき る職員が相当数いることを前提としている.一般に市町 村では数年おきに部署移動が行われており,例えば上水 道業務を実施できる職員は,上水道部署以外にも一定数 はいると考えられるためである.しかし,最適化に伴う 部署間の人員調整が極端に多くなる場合は,この条件を 満たさず,本手法が適用できない恐れがある. <ステップ3:応援あり> 設定した目標終了日𝑑𝑑𝑆に対して,総量達成型業務の 1 日あたりの必要投入量𝑁𝑁� ��𝑑𝑑, 𝑤𝑤��� ���𝑤𝑤�/𝑑𝑑𝑆�を算出し, 総量達成型業務に優先的に投入した上で,不足人員数を そのまま必要応援職員数として計上する.

6.ケーススタディ

(1) 条件設定 提案手法に基づくシミュレーションを,条件を変えた 計7ケースで実施し,その違いを検証する. 基準ケース(ケース1)として,熊本地震で被災したと ある基礎自治体を対象とし,表8に示す条件に基づいて人 員配置シミュレーションを実施した. また,ケース2~ケース7では表9に示す通り,「職員 配置」,「避難所の自主運営有無」,「通常業務実施 率」,「他自治体の応援」の4つについて条件を変えた シミュレーションを実施した. ケース2,3は,基準ケースをベースとしつつ,ケー ス2では避難者自身による避難所の自主運営が可能とな り,避難所運営に係る負担が半減したとした場合,ケー ス3では通常業務実施率を全フェーズにおいて10%低減 し,その分災害対応に投入する職員数が増えた場合のシ ミュレーションを実施した.また,ケース4では,基準 ケースをベースとしつつ,部署間の人員配置を最適化し, 総量達成型業務の終了日を揃えた場合のシミュレーショ ンを実施し,ケース5,6は,ケース4をベースとした 上で,ケース2,ケース3で適用した避難所運営の負担 軽減,通常業務実施率の低減を行った場合の計算を実施 した.最後に,ケース7として,ケース4の最適化ケー スをベースとしつつ,他自治体からの応援を前提とし, 特定の目標終了日を設定した上でシミュレーションを実 施した. 表 8 基準ケースの設定条件 設定条件 ケース1設定値 全壊棟数 40棟 半壊棟数 600棟 職員数 286人 職員配置 通常配置 参集率・通常業務実施率 表6の通り 避難所自主運営 不可 他自治体の応援 無 部署C 部署B 部署A 担当する総量達成型業務の終了日 総 量 達 成 型 業 務 へ の 平 均 投 入 人 数

da(A) da(B) da(C)

担当する総量達成型業務の終了日

da(A) da(B) da(C)

部署A 部署B 部署C ステップ1の計算結果 最適配置の実施 𝐼𝐼����� 𝐼𝐼����� 𝐼𝐼����� 𝐼𝐼���� 𝐼𝐼���� 𝐼𝐼���� 𝑑𝑑�

(9)

表 9 各ケースの設定条件 設定条件 ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 ケース6 ケース7 職員配置 通常配置 通常配置 通常配置 最適化 最適化 最適化 最適化 通常業務実施率 実績値 実績値 実績値-10% 実績値 実績値 実績値-10% 実績値 避難所自主運営 無 有 無 無 有 無 無 他自治体応援有無 無 無 無 無 無 無 有 表 10 各ケースの計算結果 ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 ケース6 ケース7 災害対策本部 閉鎖日数 133日 94日 90日 141日 108日 98日 90日 全応急対応完了日数 216日 216日 162日 141日 108日 98日 90日 日別必要型業務の充 足率 52% 68% 69% 57% 61% 61% 100% 不足職員数(*) ※ケース7のみ応援 職員数 74人/日 46人/日 59人/日 76人/日 39人/日 52人/日 合計6,505人 (平均73人/日) (*) ケース 1~6 は 1 日平均の不足職員数.日別必要型業務の充足に必要な応援職員数を表す. ケース7 は必要応援職員数を示す (2) 各ケースのシミュレーション結果 a) ステップ1:被災自治体のみ(応援なし) 各ケースの計算結果を表10 に示す.また,主な業務別 の完了日数を図5 に示す. 図 5 主要業務の終了予測日数(ケース 1~3) 基準ケースでは,災害対策本部の閉鎖までにかかる予 測日数は133日だったが,避難所自主運営による負担軽減 (ケース2),通常業務実施率の低減(ケース3)によっ て,それぞれ94日,90日に短縮され,日別必要型業務の 充足率も52%からそれぞれ68%,69%に上昇するなど, 避難所の自主運営,通常業務実施率の低減等の対策によ って災害対応が改善された結果を示している. 一方,図5に示す主要業務の終了予測日数を見ると,ケ ース2では,災害対策本部等の終了日が短くなっている 一方,上水道や,下水道等,独立性・技術性の高い部署 の業務はほとんど短くなっていない.これらの部署は, 元々それぞれの課別担当業務に多くの人数を割いており, 避難所運営にほとんどの人数を配置していないことから, 避難所運営の負担が軽減したとしても,課別担当業務へ の配置人数がさほど増えないことを示している.一方で, ケース3では,通常業務実施率が軽減し,これらの部署 が災害対応業務に配置できる人数が増えることから,上 水道・下水道等を含む応急対応全体の終了日が短くなる と推定された結果を示している. b) ステップ2:最適配置 続いて,主な業務別の完了日数を図6に示す. この結果から,部署間の配置人数を改善することで, 全災害対応の完了日数が短縮されることが示された.但 し,ケース4のみ,総量達成型業務に多くの人数を割くこ とで,ケース1と比べて災害対策本部の閉鎖日数は延びて いる. 図6 主要業務の終了予測日数(ケース1+ケース4~6) また,最適化前後の部署別配置人数の差を表11に示す. このように,応援を受けることなく,部署間の負担を平 滑化することで,災害対応全体のバランス化が図られた ことを示している. 0 30 60 90 120 150 180 全応急対応 災害対策本部 避難所 道路 農地農業施設 上水道 下水道 河川・海岸 応急危険度判定 住居修理・解体 被害認定調査 罹災証明発行 ケース1 ケース2 ケース3 0 30 60 90 120 150 180 全応急対応 災害対策本部 避難所 道路 農地農業施設 上水道 下水道 河川・海岸 応急危険度判定 住居修理・解体 被害認定調査 罹災証明発行 ケース1 ケース4 ケース5 ケース6

(10)

表11 最適化前後の部署別配置人数 部署 最適化前 最適化後 差 総務・企画 90 86 -4 財政 31 30 -1 防災 6 6 0 民生・福祉 35 34 -1 衛生(廃棄物以外) 21 21 0 衛生(廃棄物) 1 1 0 労働・商工 8 8 0 農林水産 14 14 0 建設 20 20 0 都市 10 10 0 上水 9 15 6 下水 6 7 1 教育 35 34 -1 計 286 286 0 なお,ケース6では,最適配置を行った上で通常業務 実施率を全フェーズにおいて10%減じたが,同様に初期 値から5%ずつ増減した他,被害量を1/4倍,1/2倍,2倍, 4倍,8倍した場合の終了予測日の変化を図7に示す. 一般に,通常業務と災害対応業務の実施はトレードオ フの関係にある中で,自治体の首長にとっては,通常業 務をどれくらい休止すべきかについての根拠を持った判 断を下すのは難しい.しかし,図7のような試算に基づく ことで,自自治体がどれくらいの被害まで耐えられるの かを把握すると共に,目標とする終了日数から逆算して 通常業務実施率を設定する等,根拠を持った意思決定を 下すことが可能となる. 図 7 通常業務実施率の変化に伴う予測終了日の変化 c) ステップ3:応援あり 他自治体からの応援を前提として,完了日数を90日と した場合(ケース7)における,主な受援業務と時期別の 必要応援人数を示した結果を図8に示す. 図 8 業務別・必要応援職員数の推移(ケース 7) このように,いつ頃,どの業務に,何人くらいの応援 職員数が必要かを推定することで,受援計画において定 量的な検討を行うことや,発災時において先読みでの応 援要請が可能になることが期待される.

7.本提案手法の活用策と期待される効果

本提案手法の活用策と期待される効果を述べる. (1) 市町村における活用方策 a) 平時 平時においては,繰り返しシミュレーションを実施す ることにより,地域防災計画や BCP(業務継続計画)に おける業務担当分担,人員配置,通常業務実施率等の策 定,見直しに活用することが可能である.また,必要応 援人員の見積もり結果は受援計画への活用が期待される. 加えて,被害の規模に応じた複数の災害対応シナリオ (人員配置計画,受援計画など)を効率的に準備するこ とが期待される. 特に,BCP において想定する被災シナリオや被害数量 は基本的に単一だが,本手法を用いることで被災規模に 応じた非常時優先業務の検討が可能となる.これによっ て,被災レベルに応じた,より柔軟なBCP や受援計画の 策定と運用が可能となることが期待できる(図9). 図 9 被災レベルに応じた人員運用イメージ また,建物の耐震化等の被害抑止や,関係機関との協 力,避難所の自主運営等の事前の備えが災害対応に与え る効果を定量的に評価・把握することで,事前の備え・ 対策を後押しすることにつながると考えられる. b) 発災後 被害の詳細情報が把握できない発災直後においては, 被害規模の早期推計値(全壊棟数の概数等)を基に必要 応援職員数の概数をシミュレーションし,対応目標の設 定,災害対応の全体像の把握,人員配置計画の立案,応 援人員の早期要請等に活用することが可能となる. また,被害の状況や職員の参集状況が把握される数日 後においては,余震等も含めた被害の詳細情報・職員の 参集状況に基づき,再度シミュレーションを行い,詳細 の人員配置計画,応援要請・配置計画を作成・更新する と共に,日々の投入実績に応じた計画の修正を行うこと が期待できる. (2) 都道府県における活用方策 a) 平時 平時においては,例えば年に1回各市町村からの計算 0 60 120 180 240 300 360 -40% -35% -30% -25% -20% -15% -10% -5 % 初期値 +5 % +10% +15% +20% +25% 応 急 対 応 終 了 予 測 日 数 通常業務実施率の増減値 1/4倍 1/2倍 1倍 2倍 4倍 8倍 被害量 0 20 40 60 80 100 120 140 160 1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 必 要 応 援 職 員 数 (人 ) 発災後経過日数(日)

表 9  各ケースの設定条件 設定条件  ケース1  ケース2  ケース3  ケース4  ケース5  ケース6  ケース7  職員配置  通常配置  通常配置  通常配置  最適化  最適化  最適化  最適化  通常業務実施率  実績値  実績値  実績値-10%  実績値  実績値  実績値-10%  実績値  避難所自主運営  無  有  無  無  有  無  無  他自治体応援有無  無  無  無  無  無  無  有  表 10  各ケースの計算結果 ケース1  ケース2  ケース3  ケー

参照

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