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高速飛翔体衝突に対する繊維補強PFCⓇパネルの防護性能 Protection Performance of Fiber Reinforced PFCⓇPanels Against Fast Collision of Missiles

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Academic year: 2021

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(1)

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* 中央研究所 第2研究部 高機能コンクリートチーム リーダー

Manager, Multi-Function Concrete Team, R&D Department Ⅱ, Central Research Laboratory ** 防衛大学校 National Defense Academy

*** 中央研究所 第2研究部 高機能コンクリートチーム

Multi-Function Concrete Team, R&D Department Ⅱ, Central Research Laboratory **** 中央研究所 企画管理部 研究推進チーム

Research Management Team, Planning & Administration Department, Central Research Laboratory ***** 東北支店 技術部 Technical Support Department, Tohoku Branch

◇論 文◇

高速飛翔体衝突に対する繊維補強 PFC

パネルの防護性能

Protection Performance of Fiber Reinforced PFC

Panels Against Fast Collision of Missiles

河 野 克 哉*, 別 府 万寿博**, 岸 良 竜***,

溝 口 愛 実***, 落 合 昴 雄****, 小 亀 大 佑*****

KONO,Katsuya*; BEPPU,Masuhiro**; KISHIRA,Ryo***;

MIZOGUCHI,Manami***; OCHIAI,Takao****; KOGAME,Daisuke*****

要 旨

本研究では, 400 N/mm2程度の圧縮強度を発現する無孔性コンクリート(PFC)の高速衝撃に 対する防護性能を評価するため, 鋼繊維混入率と衝突速度を変化させた PFC パネルの飛翔体衝 突実験を行った. また, コンクリートの種類が耐衝撃挙動に及ぼす影響を検討する目的で, 圧 縮強度 30N/mm2程度の普通コンクリートを用いた鉄筋コンクリートパネルの実験も実施した. この実験的研究から以下の結果を得た. 1) 鋼繊維を混入した PFC パネルの防護性能は, 普通 RC パネルの場合よりも大幅に向上する. 2) 繊維補強 PFC を防護パネルに適用することで, 薄肉化 や軽量化が可能となり, 設置コストの低減を図ることができる. キーワード:無孔性コンクリート(PFC), 超高強度, 鋼繊維補強, 耐衝撃性, 高速飛翔体衝突

(2)

ABSTRACT

The purpose of this study was to investigate the performance of steel fiber reinforced porosity free concrete (PFCⓇ), a newly developed ultra-high-strength concrete with a compressive strength of about 400 N/mm2, in protection against fast collision. Missile

collision tests were conducted on the PFC panels, taking the mixing ratio of steel fibers and the impact speed as variables. The same tests were also conducted using ordinary reinforced concrete (RC) panels with a compressive strength of about 30 N/mm2 to

investigate the effects of compressive strength on the impact resistance behavior of concrete panels. The following findings were obtained from this experimental study: 1) impact resistance capacity of the steel fiber reinforced PFC panels was significantly higher than that of the RC panels; and, 2) the application of the steel fiber reinforced PFC to protection panels provides reduction in size, weight and constriction cost.

Keywords:Porosity free concrete(PFC), Ultra high strength, Steel fiber reinforced, Impact resistance, Fast collision of missiles

1.は じ め に

1.1 コンクリート構造物の衝撃問題 コンクリートの耐衝撃性に関する研究は, 1930 年 代ごろから欧米諸国を中心として, 戦時における耐 爆・耐弾構造物を設計することを目的に実験的な検 討が行われてきた経緯がある. 砲弾や小火器弾など のように比較的質量が小さい物体が高い速度で衝突 する場合には, Fig.1 に示すようにコンクリートに 表面破壊・貫入・裏面剥離・貫通などの局所破壊を ともなうことが特徴である. 一方で, 落石・土石流・ 雪崩などの自然災害のように比較的質量が大きい物 体が低い速度で衝突する場合は, コンクリートに曲 げ破壊やせん断破壊などの大変形をともなう全体破 壊が生じることになる. Fig.2 は, 土木・建築分野において対象となる衝 撃外乱とその作用速度, および実験の方法と装置の 載荷方式についてまとめたものである1). 土木・建 築分野では, 衝撃外乱は荷重の作用速度でおおむね 数 m/s から数百 m/s が対象となっており, その中で も研究事例が多いのは衝突速度が数 m/s から数十 m/s の小さい場合である. 一方で, 衝突速度が数十 m/s から数百 m/s に達するような大きい場合には, 台風・竜巻による飛来物衝突などの自然災害だけで

Fig. 1 Division of local failure (局所破壊の区分)

(3)

なく, 爆発事故による破片等の飛散物衝突や故障・ 操縦ミス等による航空機衝突などの人為的災害に起 因するものも多くなる. 例えば, 原子力発電施設などの重要コンクリート 構造物では, このような作用速度が大きい衝撃外乱 からも防護できるような耐衝撃設計が求められてい る. 高速衝突を受けるコンクリート部材に生じる局 部破壊は, 曲げやせん断による全体破壊とはまった く様相が異なっており, 衝突を受けて支点反力が発 生する前にはすでに破壊を生じていることが多く, 飛翔体の質量・速度・材質・形状のほか, コンクリ ート部材の材料・配合・強度などでも破壊モードが 大きく変化する. 1.2 PFC の特徴と防護パネルへの適用

PFCⓇ(Porosity Free Concrete, 無孔性コンクリ ート)は, 通常の型枠に流し込んで成型することで 圧縮強度 400 N/mm2以上の硬化マトリクスが得られ るもので, 2015 年に開発された新材料である2). PFC は, 最密粒度となる結合材を使用し, 脱型直後の強 制吸水処理とその後の2段階の熱養生によって, マ トリクス中に存在するミクロ空隙を消失させている (顕微観察による空隙1vol.% 未満). PFC 技術は, Fig.3 に示すように, ⅰ)結合材を構 成する多成分粉体の粒度分布を考慮したシミュレー ションにて混合粉体中の未充填となる空間を最小化 する設計を採用していること, ⅱ)流し込んだ型枠 を脱型した直後に密閉容器中で煮沸による吸水ある いは開放容器中で煮沸による吸水に供して内部に水 分を含ませる処理を行うこと, ⅲ)含んだ水分と最 密粒度結合材の反応を 90 ℃ 程度となる高温の蒸気 養生にて促進させること, ⅳ)反応に使用されずに 残存した内部の水分は常圧下で 180℃ 程度の熱養生 に供して逸散させて超強度を発現させること, を特 徴としている. また PFC は, その硬化マトリクスの強度発現を最 大限に発揮できるように粗骨材を使用しておらず, そのために生じる脆性破壊の抑制には繊維によるマ トリクス補強を基本としている. なお, 繊維を練り 混ぜることで気泡が混入し, マトリクス中には硬化 後もマクロ空隙が残ることから, 鋼繊維で補強した PFC の圧縮強度は最高でも 380N/mm2程度となってい る. これまで, PFC は, 北海道の黄金道路(国道 336 号 線)において, 斜面崩落で海中に落下した礫が波浪 で運ばれて衝突することで激しい浸食を受けた海岸 コンクリート擁壁の補修パネルとして適用している3)4). また, PFC パネルの重錘落下衝撃試験を行い, 耐衝 撃性に優れることを検証している5). しかしながら, これらは低・中速程度の耐衝撃性を検証したもので あり, 高速衝突に対する PFC の破壊性状は明らかに なっていない. このため, 飛翔体が高速で衝突する Fig. 2 Impact problem and its experimental method in the civil engineering and construction

(土木・建設分野における衝撃問題とその実験法)

Waves, Earthquake motion Vehicle crash

Ship collision Heavies fall

Missile crash Debris flow, Rock fall

Plain fall and crash Occurrence of

impact disturbance

Acting velocity of impact disturbance

Experimental method and loading system of experimental equipment

Experimental purpose

Loading test Impact (crash / explosion) test Static Quasi-static Rapidly

Low-speedMedium- High- Super-high speed

0 100 101 102 103(m/s)

• Oil pressure / Gear

• Spring

• Free falling mass • Using rubber elasticity • High pressure gas

• Airgun • Gasgun • Explosion

Examination of mechanical properties

of member / material Examination of impact response phenomena speed speedLow-speedMedium-High-speed speed

(4)

PFC パネルの局部破壊を実験的に検討し, 高速衝突 リスクがあるような施設の防護パネルとして適用で きるかどうかを評価した.

2.実 験 方 法

2.1 試験体パネルの概要 (1) 材料 Table 1 は, 試験体パネルに用いた PFC の材料を 示したものである. 結合材(以下, B)は, 最大粒子 の低熱ポルトランドセメント(比表面積 3500 cm2/g) と最小粒子のシリカフューム(比表面積 20 m2/g)に 対して, 中間粒子として SiO2系微粉末を添加した も のである. この結合材は, 鈴木らの多成分粒子ラン ダム充填シミュレーション6)にて算出される各粒子 混合物の空間率が最小となるように, 粒子径と粒度 分布を調整した SiO2 系微粉末を調整したうえで, さらに各粒子の混合割合が最密粒度となるように処 方したプレミックス粉体である. 細骨材(以下, S) は高強度砂(以下, Sh)とし, 混和剤(以下, Ad)には いずれも専用の高性能減水剤(以下, SP)と消泡剤 (以下, DF)を併用した. PFC に組み合わせる短繊維 (以下, F)は, 高強度な材質として高炭素鋼繊維 (以下, STE)とした. Table 2 は, 試験体パネルに用いた普通コンクリ ート(以下,NC)の材料を示したものである. Bは普

Fig. 3 Outline of PFC technology ( PFC 技術の概要)

Table 1 Materials (使用材料)

Material Type Symbol Characteristics

Binder (B) PFC premix powder Bpfc Newly-developed closest packing powder, Density: 2.97g/cm3 Fine aggregate (S) High strength sand Sh Maximum particle size: 0.3mm, Density: 2.61g/cm3

Reinforced short fiber

(F) Steel fiber STE

Diameter: 0.2mm, Length: 15mm, Density: 7.84g/cm3, Tensile strength: 2800N/mm2, Tensile modulus: 200kN/mm2 Chemical admixture

(Ad)

PFC superplasticizer SP Polycarboxylic type PFC deforming agent DF Polyalklene glycol type

(5)

通ポルトランドセメント(以下, C)のみとし, Sは 山砂(以下, Sl)を, 粗骨材(以下, G)には普通砕石 を用いた. また, Adには AE 減水剤(以下, WRA)な らびに AE 剤(以下, AE)を使用した. (2) 配合 Table 3 は, PFC の配合を示したものである. 水 結合材比(以下, W/B)を 15% ならびにSの絶対容積 を 355L/m3とし, 鋼繊維の体積混入率(以下, Vf)は 2.0 ならびに 3.5% (コンクリート体積に対して外割) の2水準とした. フロー(落下振動無し)は, SP の 添加量を調整することで, Table 3 中に併記したよ うに, Vf= 2.0% の場合は 261 mmで, Vf= 3.5% の場 合には 209 mm となった. Table 4 は, NC の配合を示したものである. 水セ メント比(以下, W/C)を 60 % とし,細骨材率(以下, s/a)を 47 % とした. WRAならびにAEの添加量を 調整することで, Table 4 中に併記したように, ス ランプは 11.0 cm, 空気量は 4.2% となった. なお, NC の場合には, 鋼繊維を混入せず, 後述するよう に異形鉄筋を内部に配置することで補強している. (3) 練混ぜならびに養生 PFC の場合は, オムニミキサ(容量 30L)内に材料 ならびに水(以下, W)を投入して8分間ほど練り混 ぜ, さらに繊維を投入してから2分間ほど練り混ぜ た(計 10 分間の練混ぜ). その後, 所定の型枠に打 ち込んで, 封緘養生(20 ℃ )を行い, 材齢 48h で脱 型した. PFCは脱型後, 以下に述べるように, ⅰ)脱 気吸水処理, ⅱ)蒸気養生, ⅲ)加熱養生を順次実施 し, NC の場合には, 湿布で覆う形で湿潤養生のみ を実施した. Table 2 Materials (使用材料)

Material Type Symbol Characteristics

Binder (B) Ordinary Portland cement C Density: 3.16g/cm3, Specific surface area: 3070cm2/g Fine aggregate (S) Land sand Sl

Density of saturated surface-dry condition: 2.58g/cm3, Water absorption: 2.01%, Fineness modulus: 2.74 Coarse aggregate Crushed stone G Density of saturated surface-dry condition: 2.66g/cm

3, Water absorption: 0.43%, Maximin size: 20mm Chemical admixture

(Ad)

Water reducing agent WRA Lignosulfonate type AE agent AE Alkylether type

Table 3 Mix proportion of steel fiber reinforced PFC (鋼繊維で補強した PFC の配合) W/B (%) Vf (%) Unit weight (kg/m3) Flow (mm) Air content (%) f’c (N/mm2) No. Name W B S F Ad * STE SP DF 1 PFC2.0 15 2.0 199 1325 927 157 B×2.50% B×0.02% 261 2.5 350 2 PFC3.5 3.5 275 B×2.50% B×0.02% 209 2.2 357

* Replacement as a part of unit water content, and addition to mixing water.

Table 4 Mix proportion of normal concrete (普通コンクリートの配合) W/C (%) s/a (%) Unit weight (kg/m3) Slump (cm) Air content (%) f’c (N/mm2) No. Name W C S G Ad * WRA AE 1 NC 60 47 160 267 862 996 C×1.60% C×0.002% 11.0 4.2 28

(6)

ⅰ) 脱気吸水処理:密閉容器中で真空まで脱気した 後, 水を滴下して完全に水没させてから 30 分間ほ ど外部の水を供試体内部に補給した. ⅱ) 蒸気養生:昇温・降温速度 15 ℃/h, 最高温度 90 ℃, 最高温度保持時間 48h, 1気圧の条件とした. ⅲ) 加熱養生:昇温・降温速度 60 ℃/h, 最高温度 180 ℃, 最高温度保持時間 48h, 1気圧の条件とし た. NC の場合は, 一軸強制ミキサ(容量 50L, パン型) 内に材料ならびにWを投入して3分間ほど練り混 ぜた. その後, 所定の型枠に打ち込んで材齢 24h で脱型し, その後は水中養生(20 ℃)に供した. (4) 試験体パネルの概要 Fig.4(a)ならびに(b)は, 繊維補強 PFC ならびに NC の試験体パネルの形状を示したものであり, い ずれのコンクリートの場合においても縦 500mm×横 500 mm の正方形パネルとした. 繊維補強 PFC を用い た場合は, 厚さを 40, 50 および 60 mmに変化させて, 内部には鉄筋を配置しなかった(以下, PFC パネル). 一方, 比較用として NC を用いた場合には, パネル 厚さを 100 mm として, Fig.4(b)に示すように内部に は異形鉄筋を格子状に配置した(以下, RC パネル). なお, 試験体パネルに用いた各コンクリートの圧 縮強度は, PFC パネルの場合に Table 3 に示すよう に鋼繊維混入率 2.0vol.% で 350 N/mm2ならびに鋼繊 維混入率 3.5v ol.%で 357N/mm2となり, RC パネルの 場合には Table 4 に示すように 28N/mm2となった. 2.2 飛翔体衝突実験の概要 Fig.5 に示すような飛翔体(鋼製, 質量 300g, 先 端部の直径 25 mm)を繊維補強 PFC パネルならびに RC パネルに対し, Fig.6 に示した高圧空気式発射装置 を用いて衝突させる実験を行った. この装置では長 さ 1 2 m の 管内 を 加 速しな が ら 通過し た 飛 翔体が Fig.7 のように設置したパネルに衝突することで局 部破壊を与える仕組みとなっている. なお, 繊維補 強 PFC パネルの場合にはパネル厚さ 40~60 mm に対

(a) Fiber reinforced PFC panel b) Normal reinforced concrete panel

(繊維補強PFC パネル) (普通鉄筋コンクリートパネル)

Fig. 4 Dimensions of panel specimen (試験体パネルの寸法)

Fig. 5 Shape of missile (飛翔体の形状)

(7)

して 50~240 m/s の速度で衝突させ, RC パネルの場 合 は パ ネ ル 厚 さ 100 mm に 対 し て 飛 翔 体 を 150 ~ 240 m/s の速度で衝突させた. ここで, Table 5 には, 以下で述べる結果ならびに考察の中で挙げた実験ケ ースならびにその略称を示している.

3.実験結果ならびに考察

3.1 パネルの破壊性状 Fig.8 は, 約150 m/s の速度で飛翔体の衝突を受け た各パネルの破壊性状を示したものであり, 各図中 の赤い線はパネルに生じたひび割れを示している. 実験ケース RC-100-1 の場合, パネル断面に生じた 斜めひび割れがパネル裏面にまで進展しているもの の, パネル裏面に生じたひび割れはわずか1本であ ったため, 破壊モードはちょうど「裏面剥離限界」 といえる. これに対して, 実験ケース PFC 2.0-60-1 の場合は, パネル断面中に多数の斜めひび割れを生 じており, パネルの裏面には赤線で示したように円 形につながったひび割れが認められることから, 破 壊モードは「裏面剥離」である. さらに, 実験ケー ス PFC3.5-60-1 の場合には, パネル断面中に明瞭な 斜めひび割れが生じているものの, パネル裏面には きわめて微小なひび割れしか発生しておらず, 破壊 モードは「表面破壊」となっている. すなわち, 約 150 m/s の速度で飛翔体の衝突を受けるとき, 鋼繊 維 3.5 vol.% で補強した厚さ 60 mm の PFC パネルは, 厚さ100mmの RC パネルよりも明らかに破壊しにくい ことがわかる. Fig.9 は, 約180 m/s の速度で飛翔体の衝突を受け た各パネルの破壊性状を示したものである. 実験ケ Fig. 6 Outline of high pressure air type launcher for missile

(高圧空気式発射装置の概要)

Table 5 Example of experimental case (実験ケースの例)

Symbol Type of Matrix Vf (%) Thickness of panel (mm) f’c (N/mm2) Impact speed (m/s) PFC2.0-60-1 PFC 2.0 60 350 150.2 PFC2.0-60-2 PFC 2,0 60 350 184.7 PFC3.5-60-1 PFC 3.5 60 357 153.0 PFC3.5-60-2 PFC 3.5 60 357 179.2 RC-100-1 NC - 100 28 151.4 RC-100-2 NC - 100 28 181.4

Fig. 7 Setting of panel specimen (試験体パネルの設置)

(8)

Fig. 9 Fracture condition of panel specimen for missile collision (Impact speed of about 180m/s) (飛翔体衝突を受けた試験体パネルの破壊状況 (衝突速度 180m/s 程度))

Fig. 8 Fracture condition of panel specimen for missile collision (Impact speed of about 150m/s) (飛翔体衝突を受けた試験体パネルの破壊状況 (衝突速度 150m/s 程度))

(9)

ース RC-100-2 の場合, パネル断面にひび割れが分 散することなく斜めひび割れが生じて, パネル裏面 のコンクリート塊が飛散しており, 破壊モードは 「裏面剥離」となった. これに対して, 実験ケース PFC2.0-60-2 の場合は, パネル断面に複数のひび割 れが発生して, パネル裏面には剥離とともに中央部 に貫通孔が生じていることから, 破壊モードはちょ うど「貫通限界」といえる. さらに, 実験ケース PFC3.5-60-2 の場合には, パネル断面には衝突部か ら裏面にかけて斜めひび割れが発生してひび割れが 大きく開口しているものの, 繊維の架橋効果により 剥離片の飛散が抑制されていることから, 破壊モー ドはちょうど「裏面剥離限界」となっている. この ように PFC を用いた場合には, パネル断面に多数の ひび割れが分散することで飛翔体衝突時のエネルギ ーを消費し, 鋼繊維の混入量を増加させることで, このひび割れ分散効果が高まっており, ほぼ同じ 350 N/mm2程度の圧縮強度であってもパネル裏面に おける剥離の抑制に違いを生じている. (a) PFC panel (Vf=2.0%) (b) PFC panel (Vf=3.5%)

Fig. 10 Calculation results of PFC panel thickness for rear surface spalling limits and penetration limits

(10)

3.2 パネルの裏面剥離限界厚さならびに貫通限界 厚さの算定 Fig.10 は, 修正 NDRC 式7)にて PFC の裏面剥離限界 ならびに貫通限界に対するパネル厚さをそれぞれ計 算した結果である. なお, 図中には, 鋼繊維混入率 が異なる PFC パネルの実験結果にそれぞれ適合する ように, 修正 NDRC 式にて算出した RC の裏面剥離限 界パネル厚さならびに貫通限界パネル厚さに対して それぞれ低減係数 α および β を乗じた限界パネル 厚さを示した. Fig.10(a)より, 鋼繊維混入率が 2.0vol.% の PFC の場合, 裏面剥離限界パネル厚さに関する低減係数 α ならびに貫通限界パネル厚さに関する低減係数 βは, それぞれ 0.65 ならびに 0.70 となっているこ とがわかる. すなわち, RC の場合と比較すると, 鋼 繊維を 2.0vol.% 混入した PFC では 裏面剥離限界パ ネル厚さならびに貫通限界パネル厚さを, それぞれ 35 ならび に 30% ほど低減できることになる. さらに Fig.10(b)より, 鋼繊維混入率が 3.5 vol.% の PFC の場合には, 裏面剥離限界パネル厚さ に関する低減係数αならびに貫通限界パネル厚さに 関する低減係数βは, それぞれ 0.55 ならびに0.65 となっていることがわかる. すなわち, RC の場合と 比較すると, 鋼繊維を 3.5vol.% 混入した PFC では 裏面剥離限界パネル厚さならびに貫通限界パネル厚 さを, それぞれ 45 ならび に 35 % ほど低減できるこ とになる. このように, 圧縮強度がきわめて高い繊維補強 PFC パネルでは, 高速衝突に対する耐衝撃性が同等 となるような普通鉄筋コンクリートパネルにくらべ て, 薄肉化や軽量化が図れることがわかった. また, PFC 中の鋼繊維の混入量を増加させることで, 高速 衝突に対する防護性能を大幅に向上できることもわ かった. このため, 繊維補強 PFC を防護パネルに適 用することで, その設置・施工において省力化が可 能となり, 同一時間内で設置できるパネルの施工枚 数が増加して工期が短縮し, 全体的な建設コストが 低減できるものと考える.

4.ま と め

鋼繊維で補強した PFC の高速衝突に対する防護性 能を検討する目的で, 試験体パネルの飛翔体衝突実 験を行った. 本研究によって得られた結果をまとめ ると以下のとおりである. (1) 繊維補強 PFC パネルが受ける局部破壊の損傷程 度を普通鉄筋コンクリートパネルの場合とくら べて,飛躍的に抑制できる. (2) 修正 NDRC 式に乗じる低減係数から勘案すると, 鋼繊維を 2.0vol.% 混入した PFC の破壊限界パ ネル厚さは, 普通鉄筋コンクリートの場合にく らべて, 裏面剥離ならびに貫通に対し, それぞ れ 35 ならびに 30% ほど低減できる. (3) 修正 NDRC 式に乗じる低減係数から勘案すると, 鋼繊維を 3.5vol.% 混入した PFC の破壊限界パ ネル厚さは, 普通鉄筋コンクリートの場合にく らべて, 裏面剥離ならびに貫通に対し, それぞ れ 45 ならびに 35% ほど低減できる. (4) 繊維補強 PFC を用いたパネルは, 普通鉄筋コン クリートを用いた場合と同等の耐衝撃性を有す る場合にパネルの薄肉化・軽量化が図れる. こ のため, 繊維補強 PFC を適用した防護パネルで は, その設置や施工において省力化や工期短縮 などが可能になるものと考える.

参 考 文 献

1) 土木学会.衝撃実験・解析の基礎と応用(構造工 学シリーズ,15). 2004,p.9. 2) 河野克哉,中山莉沙,多田克彦. Development of the World’s Highest Strength Cementitious Material. 太平洋セメント研究報告. 2015,169, p.20-29. 3) 河野克哉,森 香奈子,安田瑛紀,多田克彦. 海岸 擁壁の補修工事に適用した繊維補強 PFC パネル の製造と性能. 太平洋セメント研究報告. 2017, 172,p.30-39. 4) 河野克哉,安田瑛紀,小亀大佑,牛渡裕二,川瀬 良司. 各種繊維で補強した無孔性コンクリート (PFC®)の海岸擁壁補修パネルへの適用. 太平洋 セメント研究報告. 2019,177,p.23-32. 5) 河 野 克 哉 , 曽 根 涼 太 , 栗 橋 祐 介 , 小 室 雅 人 , 岸 徳光,小亀大佑,安田瑛紀. 鋼繊維で補強した PFC®(無孔性コンクリート)パネルの耐衝撃性能. 太平洋セメント研究報告. 2020,178,p.12-23. 6) 鈴木道隆,市場久貴,長谷川 勇,大島敏男. 粒度 分布のある多成分粒子ランダム充填層の空間率. 化学工学論文集. 1985,11(4),p.438-443. 7) R.P.Kennedy. A review of procedures for the

analysis and design of concrete structures to resist missile impact effects. Nuclear Engineering and Design.1976,37(2),p.183-203.

Fig. 1    Division of local failure  (局所破壊の区分)
Table 1    Materials (使用材料)
Table 3    Mix proportion of steel fiber reinforced PFC  (鋼繊維で補強した PFC の配合)  W/B  (%)  V f (%)  Unit weight (kg/m 3 ) Flow  (mm)  Air    content (%)  f’ c (N/mm 2 )No
Fig. 5    Shape of missile  (飛翔体の形状)
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