智 山学報 第四十七輯
『
i
甦咽耶 経 』 蔵
・漢 訳
テ
キ
ス
ト研
究
(
1
)
智
山
勧
学
会
共 同研 究 報 告
金
本 拓 士
・伊 藤 堯
貫
研 究目的本 研 究で取 り上 げる
『
蘿 泗 耶経』
は 、不 空三蔵
によっ て漢
訳 さ れ た もの で あ る。 ま た、 チ ベ ッ ト大蔵経
に は、 チベ ッ ト名 『
r
邑 閃囃 旧 胴 鹽5「雪餠
函
「鵬 噂r々甎 』
サ ン ス ク リッ ト名
『sarvamaajalasamAnyavidhinaguhyatantra
』
(一切 曼荼羅共 通儀 軌
の秘密
タ ン トラ)
と して翻訳 さ れてい る。こ の 題 名か ら察せ ら れ る とお り、この 経は所作 ・行 ・瑜 伽 ・無上瑜伽 すべ て の 曼荼羅造壇に 関 して通 用 す る 規則が説か れ た もの である。 こ の こ とはチベ ッ ト仏 教ゲル ク派 開祖ツ ォ ン カバ も
「『
莚
咽耶経』
は、 …所作
タン トラとマ ン ダラー般
として共通
して必要
な、 しかも他
の[
上 の]
三 タ ン トラ[
の マ ンダ ラ]
に も共 通 して必 要な[
観]
地の儀軌の諸の方 法 を広 く示 して い る」
(1) と解
説 し、 さ らに亀 山隆雄 氏の研 究 〔2}に よ れ ば 、 この経 典は大 日経 疏 に おい ては 『瞿 醯 経』
と して 、三十箇 所 あ ま り引用 されて い るこ とか らも察
せ ら れ る。この よ うに 中 国 、チベ ッ トにおい て 重要視 されてい る本 経ではある が、 今 日 にい た る まで 充分な研 究が な されてい る とは言 え なかっ た。 最 近で は、
高
田仁
覚 博 士、 福田亮 成博 士、 大塚 伸 夫 氏 (3〕が本経
の全体像
に関する研究
成 果 を発
表
さ れてい る が、チベ ッ ト訳全 体を通 した研 究はまだ始 まっ た ばか りと言っ て よい だろ う。そ こ で 、
本
研 究は こ の 経 典の チベ ッ ト訳を中心 と し、 その 校訂テ キス トを提『薙咽 耶 経』蔵 ・漢訳テキス ト研 究(1) 研 究 方法
『莚ロ四耶経
』
は、 また『
玉 咽 耶経 』と も記さ れ、 サ ン ス ク リッ ト語の “guhya
” を音 写 した もの であ り、 『瞿
醯 壇怛 羅経』
、『
瞿 醯経』
とも称さ れてい る。漢
訳 は不 空 三 蔵によっ て746
年 か ら776 年
に か けて訳 され た と され、 全体
を 長行文
の形式
で書
か れて い る。しか しなが ら、 チベ ッ ト訳で 見る限りにおい て は、 偈 頌の 形
式
に なっ て お り、 また最 近発表
された 、桜 井氏の 研 究 成 果で ある『
イン ド密 教 儀礼研 究 』に おい て 、 無上 タン トラの サ ン ス ク リッ ト写本
か ら、麹 四耶 経の サ ン ス クリッ ト語 文がい くつ か回収 さ れてい るが、 その サ ン ス ク リッ トも偈 頌の 形となっ て お り、 どうや ら原文は偈 頌の 形式で 書か れて い るも
の と予想
で きる。さて 、 近 年、 密 教研
究
は、 イン ド ・チベ ッ ト文 献 を 中心 と して、多
くの 成果 が発表
されて きてい る。 そ して こ こ数 年は図像 研 究か ら灌頂 儀礼研 究へ と研 究 対 象が移行 して い る感
が あ る。 イン ド ・チベ ッ ト密 教 文献の 整理 、研 究が なさ れる こ と に よっ て、 真 言 宗 が行 っ てい る事相
、特
に灌頂
関係
の儀礼
の源流
が明
確
に されて くる の はまちがい ない 。 実 際、 森口光俊 氏、 桜 井宗
信 氏等
の文献
研 究によっ て 、あ るい は北 村太 道氏の チベ ッ ト密 教 儀 礼の実地 研 究等
に よ っ て、 こ れ まで以 上 に密教 儀 礼の 内容
が明ら かに されて きて い る。 〔 4)しか しなが ら 日本 密 教にお ける儀 礼の研 究は 十分な さ れて い る と は言 えな い 。 そこ で本研
究
は、 日本密教
灌頂儀礼
に お ける根本資料
で ある『
麹
四耶経』
の チベ ッ ト訳テキス トの校 訂本を作成
する こ とを、 まず第
一の作業
と し、次
に それ と対 応 する漢訳を併 記 するこ とに よっ て、『
莚咽 耶経 』研 究のた めの基礎資
料 を提 示 する こ と を主 眼 とした。次
にその テキス ト校
訂作業
をする 中で得
られ た試 訳 を も同 じく記 載 する こ と に し た。尚
、本
論 文は漢 訳の序
品か ら揀
地相 品まで を掲 載 する。使
用テ キス トにつ い て智山学報第四十七輯
チベ ッ ト語テキス トは 、 デ ル ゲ版 を
底本
とし校
訂 に際 して は、 以下の諸 版 を使 用 した。D
.:デル ゲ版 No
.806
:台 北版P
.:北 京版
No
.429
:影 印
北京版
N
.:ナル タン版No
.721
大正大 学 所 蔵C
.:チ ョ ー ネ版No
.434
東洋 文 庫所蔵L
.:ラサ版No
.762
東 京 大学 所 蔵T
.: トクパ レ ス版
Vo1
.109
,No
.755
,C
.Namgya1
Taruseegar
Leh
,1
Laakh
1978
G
.:河口慧 海将来
写本
Rgyud
vol
.Il4
−60No
.753
東 洋 文 庫所 蔵次
に漢訳の 章 立て にそっ て 、 チベ ッ ト各版
の 位 置 を掲
げてお く。漢 訳名
P
. D , N . L , C , T . G ,1
序 品202a4
一 141a1一 71b2 一 177a6一 231b8 一 283al 一 256a1 一2
阿闍梨相 品202a7
一 141a3一 71b6 一 177b3 一 232a3一283a5
一256b2
一3
揀地 相品202b2
一 141a7一 72a3一 178a2一 232a7一 283b2 . 256b7 一4
浄地品205a3
一 144a2一 76b2一 182a7一 235a3一287a3
一260a7
一5
召請 品205b2
一 144b2一 77a3一 183a3一 235b3 一 287b4 一 260b8 一6
揀 択 弟子 品 206a3 一145a2
一77b6
一184a2
一236a4
一288bI
一261b5
一7
摩 訶 曼荼羅 品208b4
一 147b5一 81a5一 188bl一 239a2 一 291b6 一 265a7 一8
奉 請供 養 品 214a6 一 154a2一 90a1一 198b7一 245b5 一 299b6 一 273bl 一9
分 別印相品219a4
一159b6
一98a5
.208a9
一252b3
一306b7
一280b3
一 10 分別護摩品221b8
一 162a3一 101a5一 211b5 一 253b8 一 309b2 一 283a5一11
補 闕 品224a8
一164b5
一104b3
.215b3
一256b2
一312b5
一286a7
一漢訳 大正新脩大蔵経 第
18
巻897
番 (本文で は、 大蔵経の体裁に従っ て掲 載し た。〉最
後
に本研究
の チ ベ ッ ト訳テキ ス ト校訂
を進め る動機
となっ たの は、 パ ソ コ『莚囗四耶経 』蔵 ・漢訳テキス ト研 究(1)
パ ソ コ ンで チベ ッ ト
文字
が打
て るソ フ ト 「Tibetan
・on・the・KOA
・Techno
・Mate
・OS
/
2」
が開
発 され た。 この ソ フ トに よっ て誰で も きれい な チベ ッ ト文字に よ る テキス トが作
成 する こ とがで きる ようになっ た。そ して我々 が所 属 してい る智 山
伝法 院
におい ても
、 この ソ フ トが導
入さ れる こと となっ た。そこで 、 わ れ わ れ は 、『莚咽 経
』
の テ キス ト校訂作 業 を始め る こ と に した。チベ ッ ト文字が
表
現で きるソ フ トは、
「
Tibetan
on theKOA
Techno
Mate
OS
/
2
」
の ものが唯
一であ
っ た た め、当然
そ れによっ て テ キス ト作
成 を始
め たが、た だ こ のソ フ トの欠
点
は、 ソ フ トを動かす
た めのOS
(
operation system)
が 、OS
/
2
を使用 し てい た た め 、MS
−DOS
方 式等のパ ソ コ ン を使 っ てい る もの に とっては汎用性が な かっ た。 つ ま り、 こ の ソ フ トを使 用 する た め には、 そ れ用の パ
ソ コ ン を持たなけれ ばならなかっ たの で ある。
しか しな が ら、 最 近
「
ACIP
toSambhota
」
というWindows
なら びにMac
−OS
に対 応 し、 しか も驚 くほ どに
簡
単に チベ ッ ト文 字が 入力で きるソ フ トが発売
さ れた。これ は、 ワ ープロ ソ フ ト
「
MsWord 」
で簡単に入力で き 、 また廉 価 な値 段で あ る こ とか ら、わ れ わ れはす ぐ に方針
を変
更 して、この ソ フ トに よっ て チベ ッ トテ キス トを作成 す るこ とに した。 そ れ が 、今回掲 載す るこ とになっ たチ ベ ッ ト校訂
テ キス トである。な お、 パ ソ コ ン を利 用
す
る こ との もう
一つ の メ リ ッ トは、語句
の検索機能
に ある。 すな わち検 索 機 能を使 用 する こ とに よっ て 、 ある程 度簡
単 に索 引 を作成
でき
る こ とにある。今 後、 こ の テ キ ス ト校 訂が完 成 した後に、索 引を付 記 して 、 諸研 究 者の利 便を は か りたい と考えてい る。参考資料
大 日経 大 毘 廬遮那 成佛神 変加 持 経 大正蔵 第18
巻848
番蘇悉
地経
大日経 疏[
MM
.K
]
[
Divy
.]
[
高
田仁 覚1970
]
智山学報第四十七輯蘇悉
地羯
羅経 大
正蔵 第 18
巻893 番
大 毘廬 遮那 成佛 経 疏大 正蔵
第
39
巻1796
番
P
・LVaidya
:mafijugrfmtilakalpa
,rPahayanasatrasarPgraha
part2
,Darbhanga
,1964
P
.LVaidya
:Divy5vad
巨na,Darbhanga
,1959
,高田仁 覚
『
曼荼 羅(
maNDala)
の 通 則につ い て一 とくに麹 四 経を中心 と して一』高野山大学論 叢 第5
巻 高野 山大学1970
年3
月[
高田仁 覚1978]
[
大塚 伸夫
1996A
]
[大塚 伸 夫1996B
][
福
田亮
成1996]
[
矢
野道雄 1995]
[
引田弘道1997
]
[
桜 井 宗 信1996]
高田仁覚
『イン ド ・チベ ッ ト真
言 密 教の 研 究』
密教 学術 振 興
会
昭 和53 年
3
月1
日 大塚 伸夫校
註『
蘿
咽経』新国
訳大蔵経
密
教部
7
大蔵
出版 株 式 会社1996
年9
月30
日 大 塚 伸 夫 『莚咽 耶経 』の曼 荼 羅行につ い て実 数学研 究28
号 平成8
年福
田亮
成 『グフ ヤ タ ン トラ の諸問
題』宗教研究 307 号
1996
ヴァ ラーハ ミヒ ラ『
占術大集成 古代
イ ン ドの前
兆占
い』
矢野道 雄 ・杉田瑞 枝訳 注 東 洋文 庫589
平 凡 社1995
.6
.9
引田弘道 『ヒン ドゥータン トリズム の研 究』
山喜 房 佛 書 林
1997
.2
.28
桜 井 宗信『
イン ド密 教儀 礼研 究一後期 イン ド密 教の潅 頂 次第
一』
法蔵館
1996
.2
.20
註 (1)[
高田仁 覚1978
]
225
頁『莚泗 耶経』蔵 ・漢訳テ キス ト研 究(1) (
4
}森
口光俊 『acaryakriyasamuccya
一潅 頂 (品 )テ キス トと和 訳 (1
−1
)一』
牧 尾 良海 博 士喜 寿 記念、儒 仏 道三教 思想 論 攻 記 念論 集 山喜 房書 林 平成3
年
、『
acatyakriyfisamuccya
一潅頂 (
品)
テ キス トと和訳 (
1
−2
)
一略 出経 「
法式次第」解義
一』智 山学 報 第41輯平 成
4
年等
、[
桜 井 宗 信1996]
、北
村太
道 『潅頂
、 『チベ ッ ト密教
の研究
一西チベ ッ ト ・ラ ダッ ク の ラマ 教文 化につ い て一
』 』
永田分 昌 堂昭和
57
年、『
チベ ッ ト密 教の潅頂儀式』
密教学
研究第
23
号
平成
3
年等
智 山学報 第四十 七輯
【D:WAI41a1 】[
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:TSA
202a3
】【L:TSA177a6
]pN
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71b2
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・『莚咽 耶経』蔵 ・漢 訳テキス ト研 究(1)
760
頁
下i
莚咽 耶 經 卷上 亦 名 玉咽耶經*
大唐大
興善寺
開府
儀 同三司り
試鴻 臚 卿三 藏和 尚奉
詔
譯
*蘖 本作 大唐大 興善 寺 開府儀同 三司特進試 鴻臚三藏不 空奉 詔譯 序 品 第一 我 今 當説 通攝
一切 。作 曼荼
羅祕密次第
。廣
略 大小 總在
之 經。 於 諸 佛 部 曼荼 羅 中。 無 能 勝 明 王 曼荼 羅 者 而爲上首。 於蓮 華部 曼
荼 羅 中。 善住明王 曼 荼羅 者 而爲
上 首。 於 金剛部曼荼羅中
。除
避明
王曼荼羅者而爲
上首
。我今都
説彼等
三千五百曼荼
羅 中次 第
之法
。 是 故應 當 要此 經 法。 而 作一切諸 曼 荼羅 門。 イ ン ド語でsarvamaOqatas5minyavidhina (1〕
guhyatantra
チベ ッ ト語
で一切
曼茶羅
共通儀軌
の秘密
タ ン トラ 一切智者
に帰依
い た します
。序
品第
一さて、 こ れ か ら、 諸の 曼荼 羅 すべ て に共通 する広 大な儀 軌で ある秘
密
タ ン トラをまとめて 解 説 し よう。[1
−1
]
無 能 勝 明王 (2)は じめ とする もの は 、
如来 (
部)
の曼荼
羅(
に属 する)
。 善 住 明王 は じめ とす る もの は、 蓮華 部の 曼荼 羅 (3) と説 明さ れる 。[
1
−2
]
諸 世 間を慈 しむ が故に、 わ た し は勇猛 明王 を は じめ とする もの 、 (それ ら合 わ せ て
)
三千五 百の曼 荼羅 を解 説 する。 [1
−3
]
そ れ ら
曼荼
羅に共
通す
るこの 儀 軌を わ た しは解 説 する。 そ れ故 に、 この儀軌
に よっ て、 あ らゆ る曼荼羅
は描 か れるべ きである。[
1
−4
]
智 山学報 第四十七 輯
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’『莚咽 耶 経』 蔵 ・漢 訳テキス ト研究(1) 阿闍梨 相品
第
二 我今
當 説 阿 闍梨 相。 廣 解 諸 法具
戒 正直
慈悲能忍淨信
正念加有威徳
。 不懼非
人。 辯才
無礙 處 衆 無 畏。聰
明智
惠善解方法
。 調伏
諸根
能 覆歸 者。 復 有 善 巧 深 信 大乘
。愛慕經典
普
學 祕 密 眞言行 門。 並明 一 切曼荼羅法
。善
知 分量。及
知弟子好
悪 之相
。普誦眞言
及持
都法
。先蒙阿閣梨
及與傳法
二種
灌頂。少
欲 知 足常 行 念 誦。 普於 一 切 阿 闍梨 所。 皆 請學
問。 於諸 曼荼 羅 法決 擇 無 疑。 恒樂供 養一切 諸 尊及與 師僧。 惠施 一切貧窮
困苦
。 明解 大手印等
一切 諸印
。 及 善解 晝 曼荼 羅 法。 又 明念 誦 及供 養 法。具
如 是等
一切法事
。學 内
外 明 己作曼
荼 羅 阿 闍梨 相 品第二 (4)阿
闍梨
とは、 あ らゆる経論
に通じ、戒
を保
ち、慈
悲 ある者な り。 正直
で あ り、 忍 耐があっ て、 浄らかである。信
心と正念
を持
ち、活力あ
るもの である。(
2
−1
)
弁舌巧
みであ り
、 恐れを為
さず、 忍耐強 く、 衆芸に巧み であ り、 明晰である。見
目麗 しく、 同様
に、 尊敬に値し、 (自身
を)
制御
し、 よく理解
するもの (5}である 。(
2
−2
)常
に 正法
を楽
しみ、 大 乗に信 解 し、 真 言行 を習学 する。 (また)諸 曼荼羅 の 違い を知っ てい る。(
2
−3
)
弟 子た ちの性 質を よく知 り、 ま た 同
様
に真言
タン トラを受
持 する。 許可 を受
け、 灌頂 を受 けて満足 し、 念 誦 する こ と に専 心 する。(
2
−4
)
阿 闍 梨に相 応 しい
者
たちに承仕
し、 あらゆ る曼荼 羅を理 解す る。 すべ ての 真 言と師匠
と 、 同様
に偶
来の 客人 (6) を も供 養 する 。 (2
−5
)印
契等
を結び、 曼荼 羅 を描 く事
業 と 、真
言行
の供養
に関して阿 闍 梨は巧みに為
され る。(
2
−6
)
智 山学 報第 四十七輯
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『蘿魎 耶経』蔵 ・漢訳テキ ス ト硬 究(1)
揀
擇 地 相 品第
三761
頁
上 我 今 次 説 地相 善 悪。應
作 不應
作 曼 荼羅 處。謂於高
下及有荊棘碎
髑髏
片。 近 崖坑坎
枯 井枯 池。 饒 有 樹 根 及 有 蟲棄鹹 謙 炭灰饒
石瓦 礫。 自然乾 土 # 髪 蟲饒 如 是等
地。 應 可遠離於
一切事
。 諸曼荼
羅於
平正地。 *清
淨 潤 澤離 如 前 過。於東
北 方 其地少
下。如
是等
處作曼荼
羅。 *又爲吉祥
。先掘其
地深量 一 肘。 還以其土而填
其處。 土若 餘剰 當 知 好 處。 必 得 成就。 若 反此 者 及有 前 過。 即 不 應作。 若 強作者
。非但
不成亦損
己身
。 *大 正蔵「噺 」をf
清 」とする *大正蔵「入」を「又j
と す る揀擇
地相 品第
三さて 、また
解
説 する こ と に は 、土 地の方
位 と(
その)特徴
、 地面が どの よう
に良い か悪い か を説 明 する。(
3
−1
)
(
その地が)
で こぼ こ であ り、 い ば らがあ り、砂利
、 瓦片
があ り、水
た ま り、 骨、倒 木
があ
る。蟻
塚や灰や塩地であ
る とこ ろ。(
3
−2
)
小 石、 石 と埃 と髪の毛が ある とこ ろ。 虫、 蟻
等
が た くさんい る、 その よう
な 土 地で は 、 賢者は あら ゆ る作 業につ い て 放 棄せ よ。 (3
−3
)
( 71F平坦であ り、 清 浄で潤 沢で あ り、悪 しき障
害
物 を完 全に除 き、東
と北 に 下 が っ た 土 地 は、 すべ て の 諸作業
は吉祥
であ る。(
3
−4
)
(s)まず 膝 を降ろ した程 度に堀 り、 その土に よっ て (再び)盛るべ し。 もし
余
れ るならば、 諸悉
地がある と解釈
せ よ。(
3
−5
)
[9・;そ れ と反対 とな る な らば、 成就 者に よっ て
事
業は始め るな。 強い て始める な らば、 苦 を受 け、 幸い なる こ とも得 られず。 (3
−6
)
智 山学報第四十七輯
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17
)
凡冠
『莚咽 耶経』 蔵 ・漢訳テ キス ト研究(1)
復 有其
地無
有如前過
。周邊有水
速得 成就。 無 水不吉
。或有
處 所 地無前
過。 周 邊有樹
豐 足花 菓。 枝 葉 欝 茂 足有
乳樹
。 作 曼 荼羅 亦 爲 吉祥。 地具諸 徳周
邊 有樹。 近有
流水
此 地最勝
。若作息 災
。當
白色 地作 曼荼
羅。若作
増益
。 於 赤黄
地作曼
荼羅
。若作
降伏。 於 黒 色地作
曼荼羅。 於 山頂 上 或牛
居之處
。或於
制底 或有佛 堂或有舎
利 者。 如 是 等處 即 作 息 災曼荼
羅法
。於恒
河邊或 於蓮池。 或 於 壇埠上或 於 海邊。 應 作 増益 曼荼羅事
。於其塚
間。或於諸
魔 跨 羅 天祠。 或 空閑處或於空室
。或
於 荒穢 之 處。 應作降伏 曼荼
羅事
。曼荼羅 を
(
造 壇 す る)地所が(
先 述 した条件
をすべ て)
満たされてい る中で、(
な お かつ)
近 所に水辺がある こ とは吉
祥な る土 地であ り、悉
地 を得
る。水
が 少 ない とこ ろ は、賢者
に よっ て咎め られ る。 (3
−7
)周 辺には
様
々樹 木
があ り、 水 と果実と葉
が 生い 茂 り、 乳 木 もある とこ ろは、 曼荼
羅を造 壇 する の に吉 祥である。 (3
−8
)周辺 に樹 木が あ り、(また)地 面 にすべ て の功 徳があっ て 、
(
さ らに)
近 くに 水辺があるなら ば、 曼荼 羅 (造 壇 )におい て、 その 地 は吉
祥な り。 (3
−9
)
息 災の
事業
で 地 面 は、白
色 と見 なすべ し。 増 益の た めに は、 赤黄
色 とす る。 調伏
に おい て は、 黒 色 が 最 善である。(
3
−10)
川 岸、 蓮 華の ある
池
、 海の近 く、 中洲となっ てい る とこ ろ、 その喜ば しきと こ ろで 息災曼荼羅 を描 くべ し。 (3
−11
)母 天 衆 [1° ) の い る場 所、 墓場 、寂しき処 、空 き家、 不
快
な場所となる とこ ろ、 そ れ らの場 所こ ろ調伏 (
曼荼 羅 )を描 け。 (3
−12
)智山学報第四十 七輯
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『薙咽 耶経 』蔵 ・漢訳テ キ ス ト研 究〔1) 於八大 塔及與 聖迹 或 意
樂處
。或於清 淨
之 處。 或 於 山頂。如
是等處
應作
上成就曼荼羅
。或於開敷
蓮 華 池 中。 鵝 雁遊 戲 側 近 之處。 應作 求財 及餘富貴
。 諸 吉祥
成就 曼荼 羅。 於 高 山上。 或 於 山側或於
山 谷。 或 於 山峯或於巖窟
。如
是 等 處。 爲 成 入修羅宮故
。應作
下等
金剛曼荼
羅。 於 龍 池 邊或
於 山 峯或於神
廟。如
是 之處
。爲
欲 碎 伏 所 著761
頁中 鬼魅 之者。 應作 金 剛鉤 曼荼羅。 於 大 道 衢上。 或 於制底 或 於執
金 剛前。 如 是 等 處。 爲 辟 除著 毘 那夜 迦者故
。應作
軍荼利
忿 怒 曼荼羅
。山頂、 牧 場 (11) 、 制 底、 仏 堂、 そ れ らの あた りで 、 増 益 曼 荼羅 を描 け。
(
3
−13
)
大 きな制
底
と安楽
処、大変
静か な場 所 と大 き な山の頂上で は、 成就 され る曼
荼羅を描 く
べ し 。(
3
−14)
山
頂
と山 と山腹 “2} と岩窟
におい ては阿修羅
た ちが好
むとこ ろ故に 、 地 下に 属 する金 剛曼
荼羅 〔13) を描 け 。(
3
−15)
蓮 華が満 開の 園、
白鳥
たちが鳴 くどこ ろ で 、支 配を望み 、 ある い は宝を望む もの た ちは、 すべ て吉 祥な る曼荼
羅 を描 きなさい 。(
3
−16
)母天の い る
場所
と山頂
と、 諸神
の(
住む)
場 所におい て、 魔 を降
し、克
服 す る ものは金剛
鉤の曼荼
羅 を描 き なさい 。(
3
−17
)大 きな四 ッ辻 と、 制
底
、 金剛手
の前
で、 成就者
に よっ て 、 毘 那夜 迦 を克 服 す る忿 怒曼荼羅
を描 きなさい 。 (3
−18
)智山学報第四十七輯
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『茲咽 耶 経』 蔵 ・漢訳テキス ト研 究(1)
於八大 塔 及
大
聖迹
。 應作
佛部
中無 能 勝 等。 諸勝上 曼荼 羅。 於 蓮華 池邊。 應作蓮華 部 中善住等
。 諸 勝 上曼
荼羅。 於 山頂上。 應 作金 剛 部 避縛等
。 諸勝
上曼荼羅
。 已廣分別如
是等處
。 亦須 分 別三種
差別。或若
不獲如是勝
處。 即 應隨得之處作
曼荼 羅。 難得 具 足勝上 之處。 是故 但 應於
平正潤 澤。 於 東北 畭 側 近 水 饒。 及 有樹 林 意 所 樂處。如 来の曼荼羅は、 す ばら しい
場
所 とする。 かつ また、 賢 者に よっ て特
に、 す べ て(
の 曼荼 羅)
を描
くべ きもの とす
る 。(
3
−19
)
善
住(
明 王)
等の すべ ての 曼荼 羅は、 賢 者によっ て こ そ特
に、蓮華
池の 岸辺 におい て、儀軌の とお りに描 くべ し。 (3
−20
)山の 頂上 にあ っ て 、
賢
者は経 典よ り作ら れ た儀 軌に従っ て、 勇猛等
の すべ て の曼
荼 羅 を特 別に描 くべ し。(
3
−21
)
この
決定
された場 所 こ そ、 個々別に説か れ る。努力
して、 あらゆ る こ とにお い て 、(
曼荼 羅造壇
すべ き)
場所
を3
種
に区分する。 (3
−22)
総 じ て、 平坦で あ り、 潤 沢であ り、
東
に下 が っ てい るの を求め な さい 。 (そ こ は) 水が豊 富 にある処であ り、 すば ら しい 木々 で飾
られて い る。(
3
−24)
智 山学報第四十七輯
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『莚 咽耶経』蔵 ・漢訳テキス ト研 究(1)
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其
地過亦無 障
難。 如 是 之處 作 曼荼
羅。皆得
成就。 若 於 聖 迹牛所居
處。 於 巌窟 中及 山頂上。 先 所 淨 地。 亦於窟
上并與
石 上。 或 制底 邊 及於
壇埠
上 諸 江 河邊。如
是之處作 曼荼羅
者。 不 須掘 地 及以治打
。 勿 疑 高下等
過。隨其
地勢掃治
灑 水。手按其
地及誦眞
言。 即 成 清 淨。或
於 作 曼荼羅處
。有
其 地過 不 得 除者
。但
以 眞言 而 作 清淨
。 亦得 成 就。自身の見た 目もよ く、 心 地 よ く、 障
害無 く
、刺
を捨て る こ と は、 曼荼 羅 処と して吉 祥で あ り、 人の悉
地 がすべ て得られ る。(
3
−25
)
聖跡 と
牛
小屋 、 洞穴と山頂 との 、整 地 され た とこ ろは相応 し く、 屋 上 と、穴 を穿っ た とこ ろと。(
3
−26
)制
底
の 近 く、 川の 中州
、湖畔
にあっ ては、 一生懸命
に 地面 を清め た り 、 よく検討
した りする必 要は ない 。(
3
−27
)
そ こで は、
障害
を除 く必 要は ない 。 そ こ をしっ か りと整 地 する必 要はない 。 で こ ぼ こ等
の 諸々 の 過失 もま た、 そ こ で は、 心 配する 必要はない 。 (3
−28
)
(
その)何 も手
を加 えない 地 面の上 で、 きれい に掃 除 をする場 合 に、手に よっ て清めて、 真 言を誦す とい う、それ が (地 面 )を清める こ とで ある。 (3
−29
)すべ て の悪 しき障害 物が 、 もし除 くことが で き な け れ ば、 そ こ で は
真
言だけ で よ く清 浄 となる だろ う。 (3
−30
)
智 山学報 第四十七 輯
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酬 囓『莚 咽 耶経』 蔵 ・漢 訳テ キス ト研 究(1)
若作
急 速 之事
作 曼荼
羅。 及作辟
除鬼 魅所著
。并與 自身灌頂 曼
荼 羅 者。 勿須細揀其
地 隨宜 而 作。都
以枳利枳利忿
怒 眞 言。 持 誦 香水
洗灑其 地。 及灑亦淨
以爲
淨
地。 若 作佛 部 中無
能勝等 曼
荼 羅 者。 應以 最勝佛頂 眞言
。作淨
地法
。 若作
蓮華
部曼
荼羅者
。 應 以吉 祥 明。或悉
以濕 囀
引縛
卜訶 明。 作 淨地法
。若
作 金 剛部 曼荼
羅者
。應
以軍
薬利
忿 怒 眞 言。 作 淨地法
。其
最勝 佛 頂。 濕縛 去縛上訶。 及軍荼利。 此 等 三 尊。 各爲於本 部呪
。 是 其 能 辨 諸事
。 是故於
一切事
用 此 眞 言 。761
頁
下 一切事
者 。謂 淨
地法
及 以護 身
。急 速に為 す 諸
事
業と 、鬼魅 を全 滅させ る こ と等 と、 調 伏法
につ い て も、 地こ そ検
討 する他は ない 。 (3
−31
)
曼荼羅
地儀 軌におい て、 枳 利枳 利 忿怒 (
真言)
を、 牛の 五 種(
の 浄化物 )
{14) におい て 、 誦して 洒 水 するなら ば、清
め ら れる だろ う。(
3
−32
)無 能勝 等 (の曼荼 羅 )は、 勝佛 頂 CL5) に よ っ て清め、 蓮
華手
の すべ て の 曼荼 羅 も、 地を清め る には、 (3
−33
)
寂 留 明 菩薩 c16) と言わ れ る ものは 、 吉 祥明菩 薩の儀 軌と 同様 に清め よ。 金剛
手
の曼
荼 羅は、 特 別に、 忿怒尊
で清
め よ。(
3
−34
)すべ ての事 業の所 作 もま た、 こ の儀 軌の 通 りに な し、
佛
頂尊
と寂 留 明菩 薩 と 大 力 忿怒 と言わ れ る もの に よっ て行 え。(
3
−35
)
こ の 三部 族は 三
(
真
言)
を伴っ て、 諸事
業 すべ て と相
応 し、浄
地 と、護 身
と、 弟 子の準 備 儀礼と。(
3
−36
)
智山学報第四十 七輯
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『莚 四 耶経』蔵 ・漢訳テキス ト研究(1)
加被
弟子辟
除諸
難。清
淨香等
。於
此等事悉皆
通 用。或依
本 法 所 説。 應 當用 之。 從 迦喇
提 迦 月。 毘舍
迦滿月
。於其 中間如法作曼荼
羅。若欲作辟
除鬼魅
。 及避毘
那夜迦
。或得本尊進
止。令
作 成 就。如
是等事
假使
雨時
。 應作
此等 曼荼羅
。若
作
灌頂 弟 子 曼 荼羅 許。 及 傳 法 并三摩 耶。 及 與増益
最上成 就。 如 是 等 曼 荼 羅。即
依彼
時。 七箇 月 内而作法事
。或觀其國
及以時節
。并
有
利 益。或
觀 其 時 無諸 障難。 具種 種 徳。 及 弟 子渇
仰 之 心。 縱於
雨時。 亦 通 許作 曼荼 羅。除障と、 香 花の真 言供 養、 それ ら等のすべ ての
事業
をしっ か り保
ち、清
め る べ きであ
る。(
3
−37
)
そ れ ぞ れの タン トラ に おける
事
業と、 真 言 と を説 明 するな らば、(
3
−38
)
アー シュ ヴィ ナ月
(
10
月頃)
の満月 か ら、 ヴァ イ シャ ー カ月(
5
月 頃)の満 月 まで、 こ の(
期 間の)
中で賢
者は、曼荼羅
を儀軌
の とお りに描
け。 (3
−39
) (17}障
害
を取
り除
く曼荼
羅、 同様
に成 就 すべ き曼 荼羅は、 不 測の雨で あっ て も、賢
者は時期に従っ て(
曼荼 羅を)
描 くべ きである。(
3
−40 )
弟子
の灌頂
のために、曼荼
羅 を説 明す
れば、(
それ は)
許 可の曼荼羅
とい う ものがあ り
、 三昧
耶 曼薬
羅 という
ものが あ り、(
3
−41 )
増 益の た めに成就 する もの があ り、大 曼荼 羅とい うもの が あ る。 そ れ ら 一 切 を賢 者に よっ て七 カ月の 間に なせ 。
(
3
−42 )
場 所 と時期と
弟子
と所有
さ れ る功徳
を知
っ て、賢
者は雨であっ て も曼奈羅
の事業
を儀軌
通り
に画 け。(
3
−43
)智 山学報 第四十 七輯
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『莚咽 耶経』蔵 ・漢訳テキ ス ト研究(1>
作法
之時
。 塗香 及焼香飮 食燈 明護摩
。如 是
六種
。 縱 不獲
辧自
餘等
物。 必 不 應闕
此六種
物。若
闕却
損。 相違上 日及以 悪時。 并以悪 國 不 依其 法。 必 不 應作 曼荼 羅法
。若
強作者當
損無疑
。如
上所説
七箇
月 中。當於黒 白
十五 日及 十三 日。或 白
月十一 日十日一 日五 日 七日三 日。 於此 十種 吉祥 之 日。 應作 勝上曼 荼羅。 縱於 黒 月十五 日及十 三 日。 亦 通作 勝 上曼荼 羅。若
作 佛 部 曼荼 羅 者。 應 用 白月 十 五 日。 若作 蓮 華 部曼
荼羅者
。 應 用白
月五 日 *七 日及十
五 日。*大正蔵「十日」を チベ ッ ト訳に よ り 「七 日」とす る
塗 香 と華 と焼
香
と、護摩の供 物な どの諸事業
は、困窮
して も欠
かすべ か ら ず。 欠い た な ら ば、 確 実に死 滅 する であろ う。(
3
− 44)
悪い 日と適切 な
時 間
と場所
で なけ
れば、儀軌
に適
わ ない か ら、 賢 者は曼 荼羅 を画 くべ きで ない 。(
そ れ を無視
して)
画 くなら ば 、 まちがい な く死滅 する。 (3
−45
)
賢
者は説か れる と お りに、 白月に おい て 、満 月、あ るい は13
日、8
日 目、14
日、 (3
−46
)10
日ある い は11
日、あ
るい は白
月の初 日、5
日 、7
日、 あるい は、3
日 目 も許さ れ る。(
3
−47
)こ れ ら
10種
の 日に こ だ わっ て 、曼茶
羅を画 け。 黒 月の 時か ら始め て も、 曼荼
羅を画 くの は間違い で ない 。 (3
−48
)5
日、7
日、 あるい は、満 月につ い て は、 特に蓮 華 手 曼荼 羅の 諸 儀 軌を為す こ とが吉 祥で ある。 (3
−49
)智 山学報 第四十七輯
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