ネ
ル
ー
と
﹁
イ
ン
ド
の
發
見
﹂
大
類
純
最 も 彊 靱 な る ﹁新 ﹂ を 築 き 上 げ る 爲 に こ そ、 現 在 に 繋 が る ﹁ 古 ﹂ も し の 世 界 を 掘 り 下 げ る 一 途 の 生 き を 考 え た い し、 古 い も の が 常 に 新 た な 血 脈 の 中 に 力 と 希 望 を も た ら し、 傳 統 の 正 し い 力 強 さ が 新 し い 息 吹 き と な つ て ﹁ 今 日 ﹂ を 作 り 上 げ る 生 命 の 推 進 力 と な つ て い る 事 が 翻 取 さ れ ね ば な ら な い。 西 紀 前 約 二 五 〇 〇 年 の イ ソ ダ ス 河 文 明 以 來、 前 一 五 〇 〇 年 頃 を 中 心 に す る ヴ エ ー ダ 時 代 よ り 古 典 期 を 経 て 現 在 に 及 ぶ 四 千 年 以 上 に 亘 る 間、 瞬 時 竜 中 ・断 す る 事 な く 宇 宙 原 理 へ の 思 索 と 人 間 存 在 の 探 求 を た ゆ み な く 跡 づ け て 來 た イ ン ド の 姿 を 仔 紬 に 襯 察 す る 時 に、 現 代 に 果 し つ 玉 あ る イ ソ ド の 世 界 史 的 意 義 は 想 い 牛 ば に 過 ぐ る も の が あ る で あ ろ う。 新 に 走 り、 華 を 求 め、 世 上 や 鼓 も す れ ば 怠 慢 な 無 識 と 等 閑 の 裡 に 閑 却、 同 避 さ れ が ち で あ つ た こ の 國 の 理 解 を 求 め る 爲 に、 又 深 め る 爲 に、 こ の 書 は い み じ く も 放 た れ た 獄 中 の ネ ル ー の 頂 門 の 一 針 と も 見 ら れ よ う。 特 に 隣 邦 イ ン ド を 識 り、 學 ぴ、 相 携 え る 事 の 最 緊 不 可 敏 な 我 が 國 の 人 々 に と つ て。 こ の 書 は、 ネ ル ー に よ つ て 費 も も し も も も も も も見
さ
れ
た
祀
國
イ
ソ
ド
が、
限
り
な
い
愛
情
を
竜
つ
て
先
史
時
代
か
ら
現
代
に
至
る
迄
徹
頭
徹
尾
語
ら
れ
て
い
る。
浩
瓢翻
な
る
イ
ソ
ド
の
鳥
轍
圖
が、
彼
を
貫
く
冷
徹
な
る
合
理
精
神
に
從
つ
て
一
望
の
下
に
實
謹
的
に
展
開
さ
れ、
説
き
來
り 読 き 去 る こ よ な い 熱 情 と 博 識 と は、 一 護 巻 を 措 く 能 わ し め ざ る も の が あ る が、 先 づ 以 て そ れ が 獄 中 に あ つ て 然 竜 僅 々 五 ヶ 月 間 ( -九 四 四 年 四 月 -九 月 ) に 書 き あ げ ら れ た 事 は ま さ に 瞳 目 驚 嘆 に 値 す る ( a h a r la -N e h ru T h e D is co v e ry o f Hn d ia. T h e J o h n D a y C omp a n y, N e w Y o rk, 1 9 4 6 )。 今 同 邦 課 上 梓 さ れ た 上 巻 ( 辻 直 四 郎 ・ 飯 塚 浩 二 ・ 蟻 山 芳 郎 共 繹 ﹁ イ ソ ド の 發 見 ﹂ 上。 岩 波 書 店。 昭 廿 入 年 十 丹。 ) 中、 最 初 の 三 章 は、 執 筆 に 到 つ た 動 機 と も 云 う べ ぎ 序 論 で、 眞 理 と 自 由 の 爲 に 人 聞 性 の 平 等 な る 解 放 を 信 じ て 疑 わ な いネ ル の 政 治 的 信 念 と 人 間 襯 の 勇 氣 が、 獄 窓 の 静 思 と 沈 吟 の 中 に 吐 露 さ れ て い る 事 を く ま な く 感 じ と る 事 が 出 來 る し、 國 際 政 局 の 動 き と 世 界 の 歩 み に あ て た 透 徹 し た 彼 の 射 光 が 正 鵠 を 射 た 豫 言 で あ つ た 事 は 感 慨 に 耐 え な い。 ﹃ ソ ヴ ィ エ ー ト 革 命 が 人 間 杜 會 に 一 大 躍 進 を も た ら し、 浴 す こ と の で き な い 明 る い 焔 を 黙 じ た と い う こ と、 そ し て 世 界 が そ れ に 向 つ て 前 進 し て ゆ く と 思 わ れ る ﹁ 新 し い 文 明 ﹂ の た め に 基 礎 を き ず い た も の で あ る こ と を 疑 わ な い ﹄ と 同 時 に、 ﹃ 固 定 し た 學 読 の 枠 ﹄ と ﹃ 非 論 理 的 ﹄ な 全 膿 主 義 を 排 し、 ﹃ 個 人 的 お よ び 杜 會 的 生 活 の 問 題、 調 和 的 な 暮 し 方、 個 人 の 内 的 お よ び 外 的 な 生 活 に 正 し い 均 衡 を 保 つ こ と、 個 人 ネ ル ー ・と ﹁ イ ン ド の 襲 見 ﹂ ( 大 類 ) 三 一 七-670-ネ ル ー ・と ﹁ イ ン ド の 發 見 ﹂ ( 大 類 ) 三 一 八
間
と
團
膿
聞
の
諸
關
係
の
調
整、
絶
え
ず、
よ
り
よ
い、
よ
り
高
い
何
も
の
か
に
な
ろ
う
と
す
る
こ
と、
杜
會
の
發
展、
人
類
の
止
む
こ
と
の
な
い
冒
瞼、
な
ど
の
問
題
﹄
が
彼
に
と
つ
て
常
に
本
當
の
問
題
で
あ
つ
た
事
は、
そ
れ
自
身
の
内
包
す
る
矛
盾
論
は
暫
く
措
き、
﹁
二
つ
の
世
界
﹂
が
覗
聴
を
集
め
て
論
議
の
的
で
あ
る
現
在、
第
三
勢
力
地
域
を
保
持、
-鑛
大
し
つ
&
平
和
を
強
力
に
途
行
せ
ん
と
す
る
彼
の
態
度、
政
策
が
生
來
の
不
動
の
信
念
で
あ
つ
た
事
が
覗
わ
れ、
我
が
國
民
に
と
つ
て
も
至
甚
の
示
唆
を
提
示
す
る
で
あ
ろ
う。
第
三
章
第
五
節
に
於
て
述
べ
ら
れ
て、
い
る、
彼
が
常
に
民
衆
に
説
き
民
衆
と
共
に
あ
つ
た
バ
τ
し も も も も も ラ ッ ト ・ マ ー タ ー ( 母 な る 租 國 イ ソ ド ) は、 畢 寛 イ ソ ド の 人 聞 を 措 い て 外 に な く、 イ ソ ド の 勝 利 と は、 こ れ ら 入 民 の 勝 利 を 意 味 す る と 読 く 箇 所 は、 往 時 幾 多 の 話 題 を 投 與 し た カ サ リ ソ ・ メ イ ヨ ウ の ﹃ 母 な る イ ン ド ﹄ ( K h e ri n e Ma y o: M o th e r I n d ia, L o n d o n, 1927; V o lu m e Two, Lo n don, 19 31 ) を 吾 人 に 想 い 起 さ せ る が、 そ の 著 の イ ン ド 肚 會 の 後 進 性 を 誹 諺 し た か の 如 ぎ 受 け 取 り 難 い 印 象 と 饗 比 し て、 一 入 感 銘 深 き を 禁 じ 得 な い。 第 四、 五 章 は 豊 穰 な イ ソ ド 文 化 史 を 廣 範、 各 野 に 亘 つ て 論 じ て い る が、 冠 絶 し た 自 國 文 化 に 野 す る 誇 り を 昂 揚 す る と 同 時 に、 錯 叢 し た 光 線 の 中 に ﹃ 山 高 き が 故 に の み 貴 か ら ず ﹄ 事 を 知 悉 し、 徒 ら な る 傳 統、 因 習 の 重 視 と 盲 從 は 精 瀞 の 澗 燥 と 逞 滞 を の み 招 ず る 事 を 戒 め、 揺 ぎ な い 發 展 の た め に は 常 に 確 乎 た る ﹁ 謄 ﹂ と 融 通 無 碍 な る ﹁作 用 ﹂ の 調 和、 相 關 の 相 が 展 開 さ れ ね ば な ら ぬ 事、 永 遽 の 若 さ と 前 進 は そ の ﹁作 用 ﹂ に 由 來 し、 一 貫 し た 定 着 性 は 秘 め ら れ た そ の ﹁ 騰 ﹂ に 基 因 す る も の で あ る 事 を 余 纏 な く 述 べ て い る。 第 六 章 に は ﹃ 新 し い 諸 問 題 ﹄ と し て、 漸 次 巽 外 關 係 の 堀 場 の 中 に 導 入 紛 璽 を 鹸 儀 な く さ れ る イ ン ド 中 ・ 近 世 史 の 宿 命 と 幾 攣 韓 の 端 緒 を 指 論 し、 東 イ ソ ド 會 肚 の 進 出 に よ つ て 辿 る 近 代 イ ン ド の 悲 劇 的 後 進 性 の 同 想 に は 吾 人 の 胸 を う つ も の が あ る。 .績 刊 を 鶴 首 さ れ る 下 魅 に は、 第 七、 入、 九 章 と 時 代 を 追 う て 何 れ も ﹃ 最 近 の 局 面 ﹄ と し て イ ギ リ ス の イ ソ ド 統 治 と そ の 植 民 政 策 の 強 化、 そ れ に 俘 う イ ン ド 國 力、 産 業、 文 化 の 衰 路 及 び そ れ に 饗 峙 す る イ ン ド 國 民 蓮 動 の 勃 興 と 發 展 が 生 き 生 き と 語 ら れ、 併 せ て 近 代 イ ン ド 教 の 諸 改 '革、 ガ ソ デ イ 竃 の 興 起 と そ の. 不 服 從。 非 暴 力 岡 事、 イ ギ ヅリ
ス
帝
國
主
義
の
分
析、
イ
ソ
ド
・
ナ
シ
ヨ
ナ
リ
ズ
ム
の
論
圓
・
閲
明、
二
つ
の
世
界
大
職
と
猷
米
の
封
イ
ソ
ド
政
策
(
チ
ヤ
ー
チ
ル
の
暗
躍
)
が
縦
横
に
語
ら
れ、
員
珠
灘
開
職
以
降
の
國
際
緊
張
裡
に
潜
行
飛
翔
す
る
微
妙
な
イ
ン
ド
の
役
割
と
ガ
ソ
デ
イ
ー
の
主
唱
す
る
動
向
は、
長
い
混
迷
と
暴
墜
の
極
楷
か
ら
途
に
囑
立
を
か
ち
と
つ
た
イ
ソ
ド
の
這
般
の
消
息
を
解
明
し
て
絵
り
あ
り、
そ
の
衝
に
あ
つ
て
暉
堅
に
屈
せ
ず
要
路
を
歴
歩
し
た
ネ
ル
ー
自
身
の
語
る
悲
憤
の
筆
勢
に
は
息
を
呑
ま
し
め
る
竜
の
が
あ
り、
吾
人
の
史
眼
に
資
す
る
所
薫
皿
き
な
い。
後
世
史
家
に
よ
る
記
述
と
異
り、
歴
史
の
参
與
者
自
ら
に
よ
つ
て
語
ら
れ
た
貴
重
な
る
膿
瞼
記
録、
偉
大
な
る
人
間
記
録
と
し
て
の
得
難
い
債
値
を
こ
の
書
が
包
藏
す
る
所
以
で
あ
る。
第
十
章
に
て
ネ
ル
ー
は
再
び
ア
フ
マ
ッ
ド
ナ
ガ
ル
要
塞
の
獄
舎
に
自
ら
蹄
納
し、
峻
嚴
な
る
イ
ン
ド
現
状
の
分
析、
功
罪
に
想
い
を
馳
せ、
打
開
革
新
す
べ
ぎ
山
積
し
た
國
内
問
題、
四
圃
に
幡
鋸
蝟
集
す
る
外
國
勢
力
に
當
面
す
る
彩
多
の
根
本
問
題
を
詳
論
し
て
い
る。
そ
の
行
間
に
は、
正
義
の
巡
禮
と
し
て、
人
聞
的
秩
序
の
地
上
支
配
が
到
來
せ
ぬ
限
り
吾
人
は
須
斐
も
や
す
ら
ぎ
を
持
ち
得
ぬ
事、
星
の
見
え
難
い
夜
で
は
あ
る
が、
そ
の
彼
方
に
は
曉
の
輝
く
夜
明
け
の
聞
近
い
事
が
確
信
と
な
つ
て
滲
み
出
て
い
る。
我
々
は
永
遠
に
歩
み
綾
け
ね
ば
な
ら
な
い
が、
イ
ン
ド
は
見
事
に
た
ゆ
み
な
く
歩
を
進
め
て
い
る
事
が、
歴
史
に
よ
つ
て
嚴
粛
に
六貫
謹
さ
れ
る
で
あ
ろ
う。
共
澤
に
あ
た
ら
れ
た
斯
界
の
権
威
た
る
三
先
生
が
そ
れ
ぞ
れ
の
專
門
別
に
各
-671-章 を 分 櫨 さ れ た 事 は こ の 繹 業 を 完 壁 な も の た ら し め き 繹 文 ま た 流 麗 適 格、 名 文 を 以 て 鳴 る ネ ル ー の そ れ を さ な が ら に 傳 え て い る。 簡 に し て 精 を 蓋 し た 辻 教 授 の ﹁課 者 ま え が ぎ ﹂ は 熟 讃 さ る べ き 竜 の。 又 原 本 に な い 附 録 と し て 歎 葉 の 地 圖 と 雀 末 の 比 較 年 表 が 高 田 修 氏 の 苦 心 の 成 果 と し て 挿 入 さ れ て 居 り、 特 に 後 者 は 深 く 感 謝 さ る べ き 利 便 を 備 え て い る。 イ ン ド を 知 ら ん と す る 風 潮 と み に 高 い 近 時、 本 邦 讃 書 界 に こ の 邦 課 を 添 え た 事 は 望 外 の 欣 び で あ る が、 少 く も 印 度 學 に 携 わ る 者 す べ て の 必 讃 の 書 と 云 う べ く、 現 下 イ ン ド 國 内 に 於 て も あ ま ね く 讃 ま れ て い る 事 が 傳 え ら れ て い る ( 佐 々 木 四 郎 著 ﹁ 私 の イ ソ ド 紀 行 ﹂、 昭 廿 入、 や m 5。 藤 井 松 男 ﹁ イ ソ ド 讃 書 界 便 り ﹂、 昭 廿 九 ・ 二 ・ 一、 日 本 讃 書 新 聞 )。 叉、 密 接 な 繋 が り を も つ て 併 せ 讃 ま る べ き も の と し て、 一 九 三 〇 ・ 一 〇 ・ 二 六 ー 三 三 ・ 入 ・ 九 の 間 同 じ く 獄 中 に 於 て 執 筆 さ れ て、 愛 す る 一 人 娘 イ ソ デ イ ラ へ 書 簡 鐙 と し て 一 九 六 同 に 亘 つ て 書 き 逡 ら れ た 世 界 史 G m se s o w o r d H is t o ry ( 邦 謬、 大 山 聰 ﹁ 父 が 子 に 語 る 世 界. 歴 史 ﹂ 全 六 朋、 昭 廿 九 1 ) 及 び 一 九 三 四 ・ 六 ー 三 五 ・ 二 の 八 ヶ 月 間 に こ れ 又 獄 中 で 書 か れ た 自 叙 傳 ( 同 時 に イ ン ド の 民 族、 肚 會、 文 化、 政 治 を あ ら ゆ る 角 度 か ら 同 顧、 解 明 し た も の ) J. N e h ru : A n A u to b io g rsp h y ( 邦 繹、 磯 野 勇 三 ﹁ ネ ー ル 自 傳 ﹂ 上 巻、 昭 十 入。 竹 村 和 夫、 伊 與 木 茂 美 ﹁ ネ ー ル 自 叙 傳 ー 印 度 の 最 近 の 事 象 に 關 す る 冥 想 ! ﹂ 上 下 二 雀、 昭 十 八 ) が あ り、 イ ン ド 研 究 上 の 貴 重 な る 文 献 で あ る。 灘 思 は 覺 醒 を 呼 び、 不 退 韓 の、 彫 身 鑓 骨 の 努 力 と 探 求 の 無 い 所 に は 何 等 の 生 命 も 存 し て い な い 事 が、 無 定 見 な る 時 流 の 彼 方 に 横 た わ る 確 乎 た る 匿 が 把 握 さ れ ね ば な ら ぬ 事 が、 廣 荘 た る イ ソ ド の 歴 史 と 現 實 に 立 脚 し て 語 ら れ て い る。 ネ ル ー 關 係 の 邦 課、 邦 著 と し て ー 松 本 愼 一 繹 ﹁ イ ン ド の 統 一 ﹂、