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あとがき
本報告書は,「アダプテッド・スポーツに関する全国大会および大学開設科目の現状と展 望」と題し,ちょうど21世紀の幕開けの年から始まった全国障害者スポーツ大会および体育・
スポーツ系大学・学部への視察・実地調査を主体としたものである。
立正大学社会福祉学研究所では,2004年に埼玉県で開催された第 4 回全国障害者スポーツ 大会を機にプロジェクト研究「障害者スポーツに関する基礎的研究」を実施し,成果報告を 行った。今回の研究はその後続に位置づけられる。前回のプロジェクトでは,「障害者スポー ツ」とはいかなるものか,「百聞は一見に如かず」の通り,実際に出向いて視察し比較的入手 が容易な文献・情報を検索・分析して,ともかく,その基本を理解しておこうというのが主 眼であった。それは,地元埼玉県で開催され,「まごころパートナー」として300名を超える 学生がボランティアとして参加することになっていたため,それへ対応を意味するものでも あった。
プロジェクトを進める中で,学界でも急速に制度的な整備が進行していることが窺えた。
すなわち,プロジェクト研究が開始される 1 年前の2003年には専門誌「障害者スポーツ科学」
がアジア障害者体育・スポーツ学会(1986年設立)日本支部(1997年設立)から刊行された。
この学会の会員の一部が医療体育研究会と合同で研究大会を開催していたのだが,2006年に は「日本アダプテッド体育・スポーツ学会」として晴れて学会を設立し独自の活動を開始し た。その後,どのような展開が見られたのか,動向はどのようであるのか,把握しておきた いところである。
また,障害者スポーツに対する学生の関心も衰えていないように感じられる。前回の報告 書以降の立正大学社会福祉学部提出の卒業論文で主題的にそれを取り上げた題目を掲げると 以下のようである。
・2005年度:
知的障害者スポーツの歴史
・2006年度:
障害者とスポーツ―「障害者スポーツ」による意識の変化
・2007年度:
該当なし
・2008年度:
スポーツの力―スポーツがもたらすもの―
誰もがスポーツを楽しむことができる環境づくり
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立正大学社会福祉研究所年報 第16号(2014)
・2009年度:
障害者とスポーツ
・2010年度:
障害者スポーツの意義と今後の課題―歴史的分析を中心に―
・2011年度:
該当なし
・2012年度:
スポーツと特別支援教育 障害者スポーツの現状と課題 アダプテッドスポーツの現状と歴史 障害者スポーツについて
障害者とスポーツについて
呼称としては,前回から 8 年を経過しているがほとんどが「障害者スポーツ」としている。
しかし,2012年に入り論題に初めて「アダプテッドスポーツ」が取り入れたものがみられた。
これらの中で「該当なし」とした年でも,たとえば,2007年度では「高齢者のレクリエーショ ン支援の必要性とその効果」や「障害者の余暇活動」。2011年度では,「幼児期の蹴動作発達 に関する研究」や「スポーツにおける身体の準備とリズム―音楽的リズムの視点から」など はアダプテッドスポーツの範囲に含められないこともない程度の内容がみれるものであった。
こうした雰囲気の中での今回のプロジェクト研究であった。長谷川は2012年度の第14回全 国障害者スポーツ大会「ぎふ清流大会」を視察し報告したが,そこでも車いすバケットに注 目し,車椅子の性能が競技に反映される印象を述べている。溝口は,社会における障害者ス ポーツ,アダプテッド・スポーツの最近の光景を記し,体育・スポーツ系大学・学部へ山西 と共に視察をした結果やインターネット上から収集し整理した福祉系大学・学部における障 害者スポーツ関係の設置科目の開設状況とその分析を述べた。また,山西の国立大学付属養 護学校勤務時代,画期的といえる生徒のホノルルマラソン参加への貴重な体験を復元させて いる。その記録自体,価値をもつものであろう。
本報告の内容は,2014年 1 月の立正大学社会福祉研究所所員会議において発表した。その 際,山口忠利所長のコメントにあった今後,障害者スポーツといかに向き合うかがまさに社 会福祉系大学・学部が問われているのである。福祉系,体育・スポーツ系大学・学部ともに 独自性を呈示し,地域・社会への貢献,さらに高校生へ将来性ある魅力的な領域とアピール ができる有力な素材が障害者スポーツ・アダプテッドスポーツと思うのである。
溝 口 元