宮城県 追補
著者 上野 雄規
雑誌名 植物地理・分類研究
巻 60
号 2
ページ 5
発行年 2013‑03‑01
URL http://doi.org/10.24517/00053493
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上野雄規(〒989-0232 白石市福岡長袋字陣場が丘 5-27 [email protected])
4.宮城県 追補
(A) 植物誌
『 宮 城 県 植 物 目 録2000』( 宮 城 植 物 の 会 ほ か
2001)を発展させた植物誌の 2016
年発行を目標として宮城県植物誌編集委員会(宮城植物の会内)
が
2012
年1
月に発足した。46
名で植物目録データ ベースの作成が進められ,8
月現在で進捗率28.3
%(入力済種類数/県産種類数),入力件数
3.5
万件と なっている。この編集の基礎資料として『宮城県維 管束植物目録』(上野2008
)と『宮城県維管束植 物チェックリスト2011』(上野 2011)が活用され ている。仙台市・(財)仙台市公園緑地協会は
2008
年4
月 から2010
年3
月に仙台市の植物相調査事業を実施 し,この成果として169
科2177
種類(含種内分類 群)を収録した『標本に基づいた仙台市野生植物目 録』(仙台市の植物相調査委員会2010
)(図)を発 行した。東北地方北部では日本海側と太平洋側のフロラが 異なっていることに着目し,分布図の作成を目指し た『北東北維管束植物チェックリスト』(藤原ほか
2008
初版, 2012
第3
版)が発行された。秋田県と 岩手県が中心だが,宮城県と青森県の一部も含まれ ている。(B) 研究機関
東北大学大学院理学研究科附属植物園は
2005
年 に東北大学植物園と,続く2006
年には東北大学学 術資源研究公開センター植物園と組織替えされた。通常は東北大学植物園と称され,近年,ガイドブッ ク『植物園の歩き方』(東北大学植物園
2010
)が 発行された。東北植物学会は
2010
年に日本植物学会東北支部 会の組織替えで設立され,事務局は東北大学大学院 生命科学研究科内に置かれている。東北植物研究会は
2011
年に創立30
周年記念とし て「標本室への理解を深め,東北地方におけるフロ ラ研究を発展させるために」のシンポジウムを行っ た。また『東北植物研究第16
号』を発行し,別冊『東 北植物研究第1
号~第16
号総索引』には4,401
の種 および種内分類群が収録されている。宮城植物の会 は2004-2009
年に「宮城のおし葉標本展」を開き 標本資料の蓄積に努め,また,県内のフロラに関す る報告を収録した『宮城の植物』は第37
号まで発 行されている。(C) 標本庫
東北大学植物園記念館(
TUS, TUSG, TUSw
&TUS-K
)には約43
万点の維管束植物,コケ植物及 び材の整理済み標本が所蔵されている。2011年3 月の東日本大震災と4月のその余震では標本戸棚が
大きく移動したり標本が落下するなどの被害を受け た。その復元は国内の研究者はじめ記念館ゆかりの 研究者,学生及びボランテイアの協力によって行わ れた。宮城県農業短期大学が
2005
年に宮城大学食産業 学部に継承されるに伴い,標本戸棚3
ケースに保存 されていた標本がボランテイアによって整理され,目録が整えられた後,東北大学植物園記念館に移管 された。
仙台市野草園には,開園
50
周年目の2008
年,野 草館の新築に伴って小さな標本室が設置された。前 述した調査事業での収集品と市民や児童生徒から 寄贈された標本2.5
万点を所蔵している。2011
年に『仙台市維管束植物目録2011』(仙台市野草園)を 発行した。
(D) レッドデータブック
2008
年,『宮城県の希少な野生動植物』(宮城県2001
)を改訂するために宮城県RDB
改訂調査会が 発足し,植物分科会は2009
-2010
年に現地調査を 実施した。2011
年は東日本大震災のため中止され たが,2012
年は津波被害のあった海岸域を中心に 調査中である。この成果は2015年にRDBとして発
行される予定である。(E) 植物群落
石巻市の金華山島と牡鹿半島ではニホンジカによ る植物の食害が近年,激しくなりブナ林,モミ林そ してコナラ林などへの影響が拡がっている。
宮城県では
1995
-2011
年に金華山島保全対策検 討委員会を置いて,哺乳類の食害から自然を維持・保全するための検討を続けた。具体策として防鹿 柵を設置している。柵内では林が回復しつつある が,ほとんどの面積を占める柵外では森林の天然更 新が阻まれて草原化が進んで
いる。牡鹿半島でも林床植生 の単純化が進行し,また,採 食の対象となっている草本 の矮性化が報告されている。
2008
年,宮城県は牡鹿半島 ニホンジカ保護管理計画を策 定し,頭数の適正な管理やシ カを含めた生態系の保全を目 指した事業を進めている。-
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-March 2013 J. Phytogeogr. Taxon. Vol. 60. No. 2