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当院における生体臓器移植検査への取り組み

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Academic year: 2021

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<原 著>  第 48 回 日本赤十字社医学会総会 優秀演題

当院における生体臓器移植検査への取り組み

福岡赤十字病院 検査部 移植・輸血検査課1) 病理診断科2) 移植外科3) 事務部4)

橋口 裕樹

1)

  金本 人美

1)

  野原 圭子

1)

  西中 優子

1)

  宗像 幹男

1) 2)

中島  豊

1) 2)

  本山健太郎

3)

  山本 恵美

3)

  古澤 智久

4)

  寺坂 禮治

3) 4)

Approach to living organ transplant Examination in our hospital

Hiroki HASHIGUCHI, et al

Clinical Laboratory, Japanese Red Cross Fukuoka Hospital

Key words:移植医療、生体臓器移植検査、HLA

はじめに

 日本における臓器の移植に関する法律は、平 成9年に施行され、平成 22 年7月に改正臓器 移植法が施行された。これに伴い、家族承諾で の脳死下移植提供が増加した事、小児への移植 の道が開けた事など効果の表れた一面もある。

しかし移植数は、脳死下での移植数が増加をし たものの、心停止下での移植数は逆に減少し、

これらの合計数は法改正前後を比較すると1年 間で 110 名前後と大きな変化はない(Fig. 1)。

 日本においては根本的なドナー不足は解消さ れておらず、このような状況下、臓器移植の多 くは生体間での移植である。生体臓器移植は腎 臓をはじめとして肝臓、肺と多岐にわたり、多 くの施設で移植をされている。当院では日本臓 器移植ネットワークの特定移植検査センターと して脳死、献腎移植で培った技術を、生体移植 検査にも応用し院外からの受託検査を本格的に 稼働させ、九州沖縄地区の多くの移植施設から 検査を受けることになった。今回、この取り組 みについて報告する。

 福岡赤十字病院(509 床)は福岡県福岡市に あり、検査部は 35 名の臨床検査技師が所属し、

検査部内は5課に業務を分掌している。その中 の移植・輸血検査課では、兼任4名で 24 時間 365 日脳死・献腎検査に対応している。実際の 脳死・献腎移植では、限られた時間内に正確な 検査結果を報告しなければならず、再検査等の

時間的猶予もない。また検査に関わる人員も、

検査内容が特殊な為に人数も限られており、人 員不足等の問題もある。これは当院だけでな く、全国の移植検査に関わる検査施設でも同様 の話をよく耳にする。脳死・献腎移植は、いつ ドナー(臓器提供者)が発生するか予測は出来 ず、人員確保が難しい。この予測できない事が 災いし、検査施設では人員確保、機器整備に苦 慮するという負のスパイラルに陥ってしまう。

そこで当院では、この負のスパイラルから脱却 する為に、病院全体の協力のもと、生体臓器移 植検査を外部の移植施設より、積極的に受託し 安定した検査数を確保する方向に向かった。ま ずは多くの検査に対応する為に数年を掛けて必 要なハード面の充実を図るために機器の整備を 行った(Fig. 2)。

Fig. 1 臓器移植法 改正前後の脳死・献腎移植数 0

20 40 60 80 100 120

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2012ᐕ㧔⒖ᬀᴺᡷᱜᓟ㧕 2009ᐕ㧔⒖ᬀᴺᡷᱜ೨㧕

  日赤医学 第 64 巻 第2号 437-438 2013   437

(2)

 フローサイトメーターの導入でドナーリンパ 球をT細胞、B細胞に分けて、レシピエント 血清と反応させるクロスマッチ検査を感度の高 い方法で実施可能となった。蛍光ビーズアレイ は HLA 抗原、抗体検査を多量検体処理する事 が可能になり、抗体関連拒絶の判断に大きく貢 献している。これらの高額の機器整備は、事務 部門と連携し計画的に導入出来た事により、検 査受託数のキャパシティが大幅に増え、実際の 検査数増加にもつながった。また、機器整備と 同時に、技術的な検査データの精度管理と教 育を目的とした、関連学会主催の QC(Quality Control)ワークショップや移植関連学会参加 し、そこで年間 10~15 程度の演題発表、講演 会を積極的に行った。これはソフト面(人の教 育)の充実を目的に当初は考えていたが、実は これらの学会での演題発表抄録や講演会文献が ネット上の検索サイトで、例えば “HLA 検査 九州” 等のキーワードを入力することにより、

上位に病院名がヒットするようなった。そこか ら病院ホームページを見て、受託を受けるきっ かけになった施設もあり、思わぬ広告効果が あった。

 このようにハード、ソフト面の両方から移植

検査の取り組みを本格化させ、2年目の平成 23 年度は初年度の約8倍近い、190 組の生体移 植検査や、抗体関連拒絶検査を受け受託合計数 は倍増した(Fig. 3)。また今年度はさらに新た な施設の依頼を受け、検査数も更に増加傾向で ある。

ま と め

 今回、生体移植に関わる検査受託の拡充を 行った。これは検査部単独では到底達成はでき ず、臨床部門、事務部門等の部門を超えた協力 体制があり、病院全体としても理解があったこ とが成功の要因であると考える。数の予測が出 来ない脳死・献腎移植検査だけでは赤字になる ところに、安定した数の予測が可能な生体移植 検査を取り入れ、試薬や検査方法の効率化も図 れ、わずかではあるが収益としても病院にも貢 献出来つつある。

 今後もさらにこの動きを継続し、微力ではあ るが、九州・沖縄地区の移植医療の発展はもと より、当院の理念である “地域とともに世界を 視野に信頼される最善の医療を” 目指して行き たいと考える。

Fig. 3 移植検査の受託数の推移

分  類 メーカー/機種名 用  途

フローサイトメーター BD 社 FACS Calibur クロスマッチ検査 免疫自動分析器 SIEMENS 社 DIMENSION 免疫抑制剤測定 輸血全自動分析器 IMMUCOR 社 ECHO 血液型測定 PCR 増幅装置 Gene Amp PCR9700 DNA 増幅

蛍光ビーズアレイ Luminex200 HLA 抗原、抗体検査 Fig. 2 移植検査で必要な機器

0 100 200 300 400 500 600

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438 橋口 裕樹・金本 人美・野原 圭子・西中 優子・宗像 幹男・中島  豊・本山健太郎・山本 恵美・古澤 智久・寺坂 禮治

参照

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長嶋真祐美 1) ,荒木みどり 2) ,峯  秀樹 2) ,白井 秀和 3) ,瀧川 陽子 3) ,石野あさ美 4) , 葛西真樹子 5) ,大浦真奈美 5) , 高本 知里

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