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トイ犬種の橈尺骨骨折後癒合不全に対する

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Academic year: 2021

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第 92 回麻布獣医学会講演要旨 65

トイ犬種の橈尺骨骨折後癒合不全に対する 凍結同種保存骨移植の有用性

○宗像 俊太郎

1,2

,室井 謙宏

2

,神野 信夫

2

,原田 恭治

2

,原 康

2

1

あさか台動物病院,

2

日本獣医生命科学大学・獣医外科学研究室

【背景】小動物整形外科領域において,癒合不全

(Nonunion:NU)とは骨折の治癒過程が停止した状 態と定義され,骨折治療に伴い発現する深刻な合併 症である。犬におけるNUの好発部位として,橈尺骨

(60%),脛骨(25%),大腿骨(15%)と報告されてい る。臨床的にはNUは特にトイ犬種の橈尺骨骨折に続 発する危険性が高いことが認識されており,これに はトイ犬種の橈骨遠位骨幹端の血管網の発達が悪い ことが一つの要因として考えられており,その治療 に際しては骨折断端のデブリードメントを行う必要 があるため,骨欠損の範囲が大きくなり,受傷骨の 骨長は短縮する。その場合骨欠損部の再建が要求さ れ,再建法の1つとして凍結同種保存骨移植(Frozen cortical allograft:FCAG)が報告されている。

【 目 的 】今 回 我 々 は 橈 尺 骨 骨 折 後 のNUに 対 す る FCAGの有用性について,回顧的検討を行ったので その概要について報告する。

【方法】1994年から2016年に本学付属動物医療セン ターに来院し,橈尺骨骨折後NUに対してFCAGお よび自己海綿骨移植を受けた15症例(4犬種,性別:

8頭・ 雌7頭, 年 齢:32±20カ 月, 体 重:2.5±

0.8kg)を対象とした。なお,凍結保存骨は安楽死さ れた健常ビーグル犬より無菌的に採取した(学内承 認番号:27-J)。これらの症例の診療録を回顧的に検 討し,Fernandes, MBC ら (2014)の報告による放射 線学的骨治癒スコア(Radiographic parameter scores, RPS)及びC反応性タンパク(C-reactive protein, CRP)

を指標として症例の評価を行った。

【結果】近位,遠位の骨接合部及び保存骨における RPSは,観察期間である術後12ヶ月間,経時的に上 昇した。FCAGを使用したNU治療後の術後Follow- up期間は431,113日(平均496日),電話連絡によ る現在までのFollow-up期間は8754,209日(平均

2,125日)であり,FCAGを用いた骨再建術の長期成

績は大変良好であった。また感染を伴った橈尺骨NU に対してFCAGにより治療を行い,術後評価を行っ たところ,患部において感染組織のデブリードメン トと洗浄をしっかり行い,移植骨を内固定すること,

そして薬剤感受性試験の結果に基づいて適切な抗生 物質を選択し投与することにより,同種骨を除去す ることなく全症例で解剖学的整復がなされ,調査期 間中合併症の所見は認められず,十分に肢機能は回 復した。

【考察】凍結同種保存骨移植は移植床において優れた 強度によって荷重部位でも破綻することなく,また 宿主骨により経時的に再構築を受けることにより骨 癒合に至り,その後も長期的に機能することを示唆 しているものと考えられ,脚短によって機能障害を 続発する危険性のある癒合不全受傷症例に対して極 めて有効な治療法であることが示された。特にトイ 犬種の橈尺骨骨折は術後に癒合不全を続発するリス クが高く,この様な合併症に対して,凍結同種保存 骨移植を利用した骨再建術は長期成績においても優 れた手術法であると考えられた。

92

回麻布獣医学会 一般学術演題

1

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Yoshinobu Hattorit, Seisaku Kamibayashi', Hirofumi Satoh2,Michihisa Kojima,r, Toru Watanabe3 and Kenji Omura3 uKijima Hospital 2Department of Surgery, Yokohama Sakae Kyosai

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