知的障害養護学校の自閉性障害児教育に関する研究 −全国実態調査からみた現状と課題−
著者 森下 勇, 大久保 哲夫, 玉村 公二彦, 越野 和之
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 48
号 1
ページ 179‑198
発行年 1999‑11‑10
その他のタイトル National Survey of Educational Approach for Autistic Students in Special Schools for Mentally Retarded
URL http://hdl.handle.net/10105/1478
Bull Nara Unil,. Educ,1'ol.48, No KCult. & Soc), 1999
知的障害養護学校の自閉性障害児教育に関する研究
‑全国実態調査からみた現状と課題‑
森 下 勇ヰ・大久保 哲 夫・玉 村 公二彦・越 野 和 之
(奈良教育大学障害児教育教室) (平成11年4月30日受理) キーワード: 自閉性障害児、教育、実態調査
1 問 題 意 識
わが国における自閉性障害児・者の処遇の歴史は、
「第一期一輸入期(1950年代)、第二期‑7&癖へのとりく みの時期(1960年代)、第二期一学校教育でのとりくみ の時期(1970年代)、第四期‑自閉性障害児の青年期教 育へのとりくみの時期(1980年代)」いなどと区分されて いる。今R、第三期から第四期において学校教育をうけ た子どもたちが青年・成人期に達し、社会の中での処遇 と問題か議論されるという、新たな段階に至っているJ、。
就学前から青年・成人期までのライフサイクルのrtlで、
自閉性障害児・者の問題をとらえることが。摘巨になって きたのである。このような視野の広がりの中で、成人に 達した自閉性障害者の諸問題を通して、遡及的に過去の 学校教育を問いrLl、現在から将来に向けての自閉性障害 児の学校教育のあり方を検討する課題が提起されている。
自閉性障害児を対象とした学校教育は、 1969年、東京 都杉並区に通級制情緒障害児学級が設置された時期に始 まり、 1979年、養護学校教育の義務制施行に前後して、
多くの自閉性障害児か入学するようになり、本格的なと りくみの時代をむかえた。現在では通常学級、障害児学 級、養護学校など受けとめる場も広がり、自閉性障害児 に対する教育指導がさまざまにとりくまれている。
知的障害養護学校でも、 1979年養護学校教育義務制施 行に前後し、多くの自閉性障害児が入学し、いくつかの 報告において、在籍児童・生徒の約20%前後を占めるこ とが明らかにされている1、うl。多くの自閉性障害児をう けとめる中で、その教育も試行錯誤の歴史を経ながら、
一定の実践経験を蓄積してきているといわれているhl。
ところで、 30年余の自閉性障害児教育の歴史は、先行 する精神医学、心理学など関連近接領域における研究動 向に影響をうけてきた歴史でもある7JL。精神医学や心理
* 現在奈良教育大学大学院研究生
学領域における研究は、障害の解明や発達の理解などに 関して農重な知見を蓄積してきており、教育がその成果 から学ぶものも少なくはない。原因論における環境的要 因から器質的要因への転換の中で、治療教育の方法も、
精神分析的な解釈にもとづく受容中心の心理療法から、
オペラント技法による行動療法、感覚統合訓練、動作法 など請訓練技法か、 「障害への配慮」と「障害を改善す る」ことを目標にして、指導の中にとりいれられ、それ らの研究や実践報告かなされているH。また、発達段階 論の枠組みから自閉性障害児の障害と発達の特徴を解明 し、教育指導に生かす提起などもおこなわれている。l。
さらに近年、 TEACCHプログラムにもとづく教育研究 や実践が報告されはじめ、今後さらに広まる様相をみせ ている1(1,il。また、そうした動向と密接に関わるものと して、 「個別指導計画」や「個別指導」など、 「個別化」
が強調される状況も強まっている12'。
一万、日間性障害児教育の現状に即してみれば、著し くアンバランスな様相をもつ発達、人との共感的な関わ りのもちにくさ、コミュニケーションなど、その障害に 関する基本的理解や、同一性保持、常同行動、パニック、
多動、白傷、他傷など、 「問題行動」といわれる貝体的 問題の理解と、その解決の方途も含む教育全般に関する 共通理解を未だ十分に持ち得ていないように思われる13'。
こうした問題は、単に指導方法の問題のみならず、対象 理解、目標、内容論も含む課題であり、教育学的検討、
解明をしなければならない課題である。
しかし、そうした現状に対して、 「自閉症児の発達と 教育についての教育学的研究が行われているかというと、
かならずLもそうは言えない」 「自閉症児の教育にたい して教育学のノヾ‑スペクティブをもって理論化にいどん だ研究はそれほど多くない」1'Iという指摘もあるように、
自閉性障害児の教育に関して、教育学独自の研究はいま
だ十分ではな<151、教育実践に即した研究をすすめるこ とが求められている。
自閉性障害児の教育に関してどのような主張、議論が なされているか、みてみることにするO
自閉性障害児の教育目標に関して、小林重雄は「自閉 症児とはかぎらず、心身障害児の教育におけるもっとも 大切な目標は障害児が一般社会において自立していける ように援助することである。」 「自閉症児の場合、彼らの 示す自閉症状を消去することが目標となる」lG,としてい る。また上岡も「どんなに、重度で、大変な子どもであっ ても、 『社会的自立をさせる』という目標を、 (中略)決 して放棄してはならない」17ノと主張している。 「社会的自 立」を第一義の目標に、内容とLて、上岡は「教科学習 などといった目先の指導に振り回されたり、心情論で指 導方針を決めたりするのではなく、常に将来の自立を考 えた指導、すなわち実社会に役立っ力を根気よく身につ けるようにLなければならない」1ボ,とし、小林は、種々 の能力形成と「問題行動」の消去を「行動療法」によっ て達成することを主張しているo そうLた目標、内容論 と関連しながら、既述のような「指導の個別化」l'l'の方 向も出されているのであるG それに対して窪島は、 「こ れはいわば、障害中心、症状対策的な内容であって、子 どもの人格的発達を中心的課題とする教子手とは次元か違」
うと批判L∠い、 「認知機能や行動など特定の分野の発達 の指導ではなく(これらは発達というより学習といった 方か適tJJである)、子どもの人格的な機能の発達を中心、
において、学習についてもその中に通じ肌こ位置づける理 論的な枠組みである」Jl発達保障をすすめる立場から教 育実践を展開することを主張している。
こうした議論は、 Jjjに、従来の障害児教育の」封宗か ら、 「社会的自立」をその教育目標に、 「社会的に有用な 能力を育てる」内容を設定し、方法としては、自閉性障 害の特性もふまえながら、行動療法など、訓練手法も用 いて指導をするという主張と実践があり、他方、そうし た教育への批判も含め、発達保障をすすめる立場から、
教育の目標として人格発達を第一義におき、講能力の発 達と障害の軽減・克服という課題も、統一的に位置づけ てとりくむことの必要性を強調する論かあると概括でき る。自閉性障害児教育をめぐる議論の現状は、このよう に概括できるが、これらの議論は、教育学的研究か少な いことなどもあり、十分かみあう状況になってはいない。
このような自閉性障害児.教育の現状は、 60年代から70 年代にかけての知的障害児教育の状況と共通している感 がある。当時と比較すると「社会適応」は「社会自立」
に、 「適応能力」が「生活、社会スキ′レ」という語に変 わってはいるが、基本的な様相は変わらず、 「訓練主義、
個別化教育」2jlかより強められる方向にあるようである。
見方を変えると、自閉性障害児の教育は、困惑と試行錯
誤の歴史を経て、従来の障害児教育の体系に位置づけら れはじめている段階であるのかもしれない。
以上のような現状の中で、人格発達を実現する自閉性 障害児教育のあり方が問われていると考える。それは、
障害諭、発達理解の課題も含み、教育の目標、内容、方 法などが、どのような内的構造をもって構想され、実践 されるのかを解明する課題であり、その課題は、教育実 践の現状に即した教育研究にとりくむ中でこそ、明らか にしうる課題である。
2 本稿の課題と研究の方法 1)本稿の課題と研究の方法
以上のような問題意識にもとづいて、本稿では、知的 障害養護学校における自閉性障害児の実態と教育の現状 を把握すること、とりわけ、知的障害養護学校における 自閉性障害児の状況、その集団編成、障害に視点をあて た特別な指導、配慮などに関する分析、考察をとおして、
その問題点と課題を明らかにし、自閉性障害児教育のあ り方を検討する端緒とする。
研究の方法として、全国の知的障害養護学校(「精肢 併置」養護学校も含む)を対象に、自閉性障害児の実態 と教育に関する調査を実施し、その結果を先行する調査 研究との比較検討も含めて分析、検討する。
なお本稿で「知的障害養護学校における自閉性障害児 教育」と限定するのは、知的障害養護学校は、 5人に1 人は自閉性障害児であるといわれていることに加えて、
そのL恒こは、話し言葉を持たない重度の自閉性障害児が かなり含まれLl、その指導の問題は重要かっ切実な課題 と考えられること、また、養護学校は系統的、組織的に 指導を展開てきる体制と実践の一定の蓄積もあり、障害、
発達段階、生活年齢も多様な申ての実践経験は、他の学 校の自閉性障害児教育に対しても示唆を与えると考えら れるなどの理由からである,。
2)知的障害養護学校における自閉性障害児教育に関す る先行研究
自閉性障害児教育の全国的な現状と課題に関する研究 はきわめて少ない。その中で、全国的規模の調査、研究 として向井京子・窪島務の研究 がある。以下、本節で は向井らの研究について検討する。
向井らは、全国の知的障害養護学校における自閉惟障 害児の教育について、主に教育課程の現状・実態を調査 し、考察している。結果、養護学校在籍児のほぼ5人に 1人が自閉性障害児であり、発達状況では、特に小学部 において発達年齢1歳半以下、話し言葉のない、障害の 重い子どもたちか多い実態を明らかにした。集団編成に ついて、学級編成、課題別グループ編成で自閉惟障害児
独自の集団編成をしているのは少数であるが、教育課程 全体の「fjで検討する必要性を指摘している。教育課程に ついての知的障害児教育との異同については「違いがな い」が三分の二以上を占め、その点に関して向井らは
「まだ自閉症児に対する教育課程・指導法が確立してい るわけではない」 (P153)という現状認識をしている。
一方「知的障害児の教育課程と違いあり」とした学校の 中で、自閉性障害児の教育方法として個別指導をあげて いる学校が二分のIA.以上.あり、 1989年に吾示された学習 指導要領の中で「個別指導の重視」か強調されたことと 関連して注目すると指摘している。向井らは、自閉性障 害児独自のとりくみが少ないとしても「それか由ちに問 題であるとはいえす、さらに今後その必要性や異体的な 内容についても検討か必要」 (P154)としている∴まと めで「今回の調査て明らかになったことは、大きな方向 としては発達遅滞に対する教育をベースにして、自閉症 児固有の課題に迫るという方法かとられているといえる。
(中略)しかしその当否の問題はまだまったく明らかに なっていない,。批、相加こみれば、それは経験的な試行錯 誤の過程にあるのであり、また自閉症という障害の特性 か「分理解されていないからであるともいえる。,」と結 論づけている,J 「自閉症という障害の特性の理解」とい う課題は、医学、心理学分野からの研究成果からも学ひ なから、教育、あるいは教育実践をすすめるという立場 に規定された理解かなされなければならない。つまり、
目標としてuj人格論を前提としなから、教育の内容、方 1/去、評価のあり方との関連てたえす明らかにされなけれ はならない課題であるD しかし、この課題はまた ‑'Aな 検討かおこなわれていない̲ 自閉性障書は教育的にはど う理解さjlるのかなど、具体的な内容論と方法論か問わ れているということでもある:̀ll二㌦
向井tl,の調査は、知的障害養護学校における自閉性障 害児の実態を全国的に把握Lようとしたはじめての試み であり、教育実践という、より現場に接近した視点をもっ た研究として、さらに90年代初めの自閉性障害児教育の 現状を明らかにしたという点て評価される&蝣。 Lかし、
その内容は、適切な調査項目数との関連もあるのであろ うが、より具体的、詳細に把握しきれていない面は否め ない,一,たとえば、教育課程における知的障害児教育との 異同は、 「教育課程編成の上で(あるいは教育内呑て工 自閉症児とちえおくれリ山こ違いがありますか。,」という 全般的な設問であり、結果、傾向は明らかにされている が、目標、内容、方法、あるいは、 H'岳の指導の中での 自閉性障害児に対する独自の配慮の有無と内容など、よ り具体的な点については、まだ十分明らかにされていな い。さらに、序章でもふれたように、「個別化」や「訓 練技法」の導入なども関連した、自閉性障害児の教育の 変化を思わせる動きもある。そのような動向の把捉も舎
めて、今後の自閉性障害児の教育を展望するためにも、
向井らの研究の迫研究としての性格も含みながら、現状 を把握し、その課題か明らかにされなければならない。
3)調査の概要と回収の状況 (1)調査の概要
「養護学校における自閉症児の教育に関する調査」
(以F調査とする)は「全国養護学校実態調査」 (平成9 年版.全国精神薄弱養護学校長会他)にもとづき、あわ せて1998年4月に開校した養護学校も含め、全回の知的 障害養護学校小学部、中学部、高等部(分校・分教室を 含む)および「精肢併置」養護学校の該当学部を対象と しておこなった。調査は学校単位の郵送による質問紙法 でおこない、実施期間は1998年6月中旬からT月中旬と したD 調査対象児は、医療機関などで「自閉症」 「自閉 的傾向」と診断されている子ともをはしめ、診断はされ ていないが「相互的社会的関係の質的な障害、コミュケ‑
ションにおける質的な障害、限局Lた反復的な行動」な どの特徴かあり、学校現場で「自閉的傾向を肯する」と 判断されている子どもたちも含めた。このように幅広い 対象とLたのは、自閉性障害児教育の課題は、こうした 子どもたちも含んでJ)課題と考えたからである。調禿て は「自閉症」という用語を使用したが、本稿ではDSM‑
IVの「Autistle DisorLler」の訳語としての「自閉性障 吾(児)」という語を統一・して用いたJリ。
調香内容は、向井らの凋杏項目も参考に、知的障書養 護学校における自閉性障害児のしめる位置、その教育の 現状、知的障害児教育とLD異同、障害に応Lた指導の内 容と方法などを明らかにするという視点で構成した。項 FlのL封本的構成は、学校用で、児童・生徒数、学校規模、
教職員数を問い、学部用は、 I.自閉性障害児の実態、
2.教育課程、 3. 「養・訓」、 i.実践上の課題、とい う内容で構成した。 ,fr学部、高等部用で進路実態の項目 を付加した以外は、 3学部とも同じ項目てある。記入者 については特に限定していないか、 「学校、学部全体の 自閉症児の実態とその指導の現状か把握できる方(『養 護・訓練』専任教員、教務部、研究部など)」と依頼L
m
なお、 「養・訓」の聞題については、本稿ではとりあ けず、別の機会に検討する予定である。
(2 a答状況
562校(小学部199学部、中学部502学部、高等部431学 部、計1432学部)に調査票を送付し、 373校(小学部335'芋 部、中学部328学部、高等部286学部、計949学部)から 有効回答を得たD 部ク拍勺であれ、処押しうる回答があっ
た場合は有効回答とした(表1)。その他、 「閉鎖」 2校、
回答拒否、白紙回答か8校あった。また自閉性障害児が 在籍していない学部が小学部20、中学部22、高等部13、
計55学部、自閉性障害児の数が記入されていない学部が 小学部2、中学部1、高等部1あったが、これらはその 他の項目への回答があるかぎり、すべて有効回答として 処理した。
表1 回収状況
発 送 数 l"l
本 校 分校 計 本 校 分 校 計 F 回収 率 国立
都 道 府 県 立 市 区町 村 立 私 立
42 376 65
I lo 10 50 0 %
汁 H Iバ 69 562 330 43 373 ! 66 .4 %
学校種別による回答状況は、知的障害養護学校834学 部(小学都291、中学部286、高等部257)、 87.9P6、 「精 肢併置」養護学校115学部(小学部44、中学部42、高等 部29)、 12.1%であった。高等部単独養護学校は30校で ある。 Lp]収率は、学校単位では66.4%(小学部67.1%、
申学部65.3%、高等部66.3^、計66.2%)、内訳は国立大 学付属養護学校92.9%、都道府県立66.9‑‑b、市区町村立 48.5%、私立50.0%であったC
3 知的障害養護学校の状況と自閉性障害児の実態 本章では、 1998年、知的障害養護学校を対象に実施し た「養護学校における自閉症児の教育に関する調査」結 果から明らかになった全「tiIの知的障害養護学校の状況と、
その中での自閉性障害児の実態についてみていくことに する0
1 )知的障害養護学校の状況
回答のあった養護学校の児童・生徒数からみた学校規 模は、 100名未満が過半数で、 100名台38.1‑t、 200名台 3.8%、 300名超1.1%という状況であった(衣2)。ブロッ ク別では関東、近畿で100名以上の規模が過半数をこえ、
300名以上の養護学校の所在は4校とも【い部、近畿プロッ 表2 学校規模
学校規模 10名未満 10名〜49名 50名〜99名 loo宅‑149名 150名 ‑199名
数
描
1芸に昔
学校規模
‑‑:‑.‑ll +上覧Z:芸二Z芸芸19 19
300名‑349名 350名以上 不明
4 1 1
J⊥定
(訪問部生を除く)
クであった。
2)知的障害養護学校における自閉性障害児の実態 (1)自閉性障害児の数と男女比
回答のあった知的障害養護学校に在籍する自閉性障害 児の数は、小学部3403名(32 1%)、中学部2083名(25.
7%)、高等部2931名(17.2%)、計8417名(23.7%)で あった(表3)。この結果を向井・窪島の調査(以F91 調査と略す)と比較してみると、小学部の自閉性障害児 数が1136名増(150.1%)、率で98ポイント高くなって いるという結果であったo 全体でも1246名(J17.4%〕
多く、率でも2.6ポイント高くなっている。 LRJ答数の増 減を考慮しても、知的障害養護学校の自閉性障害児の数
は、この7年間で、特に小学部をしい心に増加の傾向かう かがえる。男女比は全体で42: 1で、 91調査と同じ比 率であった。
表3 自閉性障害児の数、男女比、割合
小学都\313 小芋部N327
rll学部N305 1658' 125I 32聖上当」̲
㌫
忠l
‑
808
LN聖堅̲ ⊥聖上聖421 i7171
9796 7921 8901 16351
割合 329%
23 】Oo
下3T
, 23.0%
下露占(「
14397 19 5%
占諒 243‑こ
33094 21 7%
̲ ̲L ̲
(下段は9 1謂杏)
(2)自閉性障害児の発達状況 廿発達レベルからみた発達状況
次に自閉性障害児の発達の状況をみてみよう。認識の 領域を中心に、発達年齢を5つに区分し、それぞれ該当 する人数の記入を求めた。記入があったのは小学部301、
中学部293、高等部255、計849学部であり、その結果は 表4のようになった。
小学部で、発達年齢4歳未満の、障害の重い子どもた ちが多く、中学部、高等部へと移行するにともない、そ の比率か下かっているのか特徴的である。発達年齢4歳 以上の子どもたちの比率は学齢が高くなるほど多くなり、
高等部では全体の64.7'石を占めているD この結果を91調 香と比較してみる。今回の調査と区分か違うが、基本的 枠組みは同じであり、比較は可能である。小学部では、
4歳未満が2.2ポイント減少し、 「4歳〜8歳」が2.2ポ イント増加しているが、ほとんど変化していない。中学 部では4歳未満か計12.1ポイント減少し、 「4歳〜8歳」
が13ポイント増加しているO高等部も4歳未満が減少し、
「4歳〜8歳」で9.4ポイント、 「9歳以上」 1.7ポイント いずれも増加している。全体でも4歳以上の発達年齢の 高い子ども達の増加傾向がみられる。
表4 発達の状況一認識の領域を中心にみた発達年齢
112、,ことばの発達からみた発達状況
ことはの面からみた発達状況についても「ことはなし」
「ことはあり、コミュニケーションに使えない」rことは あり、コミュニケーションに使える」 「文字を意味のあ るものとして、読み書きできる」のLlつのカテコり‑て 分類し、回答を求めたO 2つのカテゴリーに重複して記 入されている場合は、発達年齢なども考慮し、 1つのカ テゴリ‑に処理しうるものは可能なかぎり処押し、不明 の場合はそのまま延べ人数として算出した。回答数は小 学部3(〕6、中学部301、高等部267、計874学部で、回答数 が発達年齢区分よりも25学部多かった。
結果は表5のとおりである。小学郡てほ「ことばなL」
が約半数、 「ことはあり、コミュニケーションに使えな い」をあわせると全体の約700石を占めているO 中学都は
「ことばあり、コミュニケーションに使える」と「文字 を意味のあるもLDとLて読み書きできる」が半数以上に なり、高等部でその比率は58.1%になる。全体的な傾向 として、生活年齢か高くなるにともない、 「ことばなし」
か少なくなり、逆に「読み書き可」か多くなるという特
表5 ことはからみた発達状況
年型生⊥堅塑型jL
5訂石.loT応 五品高
)
ことばなし
1456 ′蝣158V 739 232%
1169 4a
477 187%¥ 215 8i% 25s′11016 405‑0 796 333% 610 25.(う 564 23.6%
高 57220.6%. 574207%
汁
795 286%
753 256%
207% 2542 300?o
1965 24 9%11794 22.7‑0
381152‑0 417175%2507 2387
837 30 l‑0 2778
1
945 321% 2947
i石 音示高京
1577 200%
徴がある。しかし高等部でも「ことばなし」 「ことばあ り、コミュニケ‑ションに使えない」生徒が41.3%在籍 していることも注目しなければならない。 91調査と比較 すると、「ことばあり、コミュニケーション可」が小学 部4.3ポイント、中学郭16.9ポイント、高等部5.9ポイン ト増加し、高等部は「読み書き可」が9.8ポイント多く なっている。 「発達年齢からとらえた発達の状況」と同 様、軽度の子どもたちの増加傾向が認められるが、同時 に、 「ことばなし」の自閉性障害児か依然として30%を 超える割合で在籍していることも指摘しておかなければ ならない。
(3)他機関への定期的通所と連携の問題
外部の療育・相談機関に定期的に適所し、療育や発達 相談などをうけている児童・生徒は、小学部が539名、
158%と最も多く、高等部は小学部の約四分の‑という 状況である。全体でも自閉性障害児の10人に1人が適所
しているという結果であった。 「不明」か152学部あり、
そのうち66学部は「機関名」 「連携の状況」の項目に回 答があり、それらを含めると定期的に適所している児童・
生徒の数はさらに増えると推測される。一つの学部で適 所Lている児童・生徒の最大l由ま、小学部20f, (57 1%、
自閉性障害児の中に占める割合一以卜1司じ)中学部11名 (786%)高等部10名(83.3?,6)であるが、 「16名全員」
「21名中19名」 (小学部) 「1()名全員」 (中学部)、 「10名全 員」 (高等部)など、ほぼ全員か定期的に適所している という学部もあったO
適所機関に関して、全休の半数強か「病院」をあけて いる(表6参照)Ll設問では「医学的診断のためは除く」
としたか、この数値の中にはそうした通院や、今回の調 査では設問として設けなかった「てんかん、その他の疾 病の診断・治療のための通院」も含まれている可能性が ある,I,ついで民間療育機関、公的機関、大学、その他と いう順であるC 「その他」として、就学前の通園施設、
小学校の情緒障害児学級、ことばの教室、他の養護学校、
絵画教室、ピアノ教基、塾などがあったo それらの機関 との連携については、 「ケース会議などをしている」と
「問い合わせ」で全体の'l'1数を超えるが、 「連携できてい ない」も44%という高率である。
長6 主な適所機関(人数と割合) 大学;病院 公的機関
!一一 ! ‑‑
その他
33 198 9とi587 395; 79473I 95.1
中113 : 25221
60 53 33 292 42 372 9 80
高 87 18207 46529
埜1367 76207
204 556
2629.9 26299 669
25 341i14740.1 24 65
4 自閉性障害児の教育課程と集団編成の現状 1)集団編成
(1)学部の学級編成
学部の学級編成の方法を、 「学年別」 「発達段階別」
「学年と発達段階、障害などを考慮して」の3つの選択 肢から1つを選ぶ方法で回答を求めた。全学部で「学年 別に編成」が約三分の二で圧倒的に多く、続いて「学年 と発達段階、障害などを考慮して編成」か三分の一前後、
「発達段階別編成」は少数である。 91調査との比較でみ ると、 「学年別編成」 「発達段階別編成」が減少し、 「学 年と発達段階、障害などを考慮して編成」の大幅な増加 が際だっている。今回調査との質問方法の違い(91調査 は3つの選択肢から複数回答)や、結果的には学年別編 成であるか、編成過程では「発達段階、障害などを考慮 しているJ なども含まれていると考えられることなどか ら、この結果だけで「学級編成の方法が学年別編成から 発達段階、障害などを考慮した編成にかわってきている」
と結論づけることはできない。
全a6ブロックの学級編成の状況をみると、近畿ブロッ クで「発達段階別編成」と「学年と発達段階、障害など を考慮して編成」が半数を超え、有意差(カイ自乗検定
**、以下、統計処理は同し)があったO これは滋賀、
京都、奈良で「発達段階別編成」が過半数、 「学年と発 達段階、障害などを考慮して編成」が、滋賀、京都に加 えて和歌山、兵庫でも半数を超えていることの反映てあ り、その結果、近畿プロソクでは、学年別以外の視点で 学級編成をしている比率か53.6%と、全円的に際だった 特徴をみせている。
(2)自閉性障害児の集団編成
次に、自閉性障害児の集団編成における独白の学級や 学習グル‑ブ編成の有無についてである(表7)r
表7 自閉性障害児の集団編成
2fi3 87 ¥%
290 890‰
2‑ll 886%
211 906^
771 87390
802 906%
3 1{)% 32 106‑0 日
17 52%
27 99%
4 17% ' 6 269‑0 ll 12%
12 1¥%
遡印iDKIK 33 37‑0
M 聖2
10 139‑n 233 113 128U6
45 51‑0
(Gr一課題別グ;]/‑プの略)
各学部とも90%弱が「区別なし」で、なんらかの編成 をしているのは全体で113学部、 12.8%であった。プロッ
ク別では、学級編成と同様、近畿ブロックで、自閉性障 害児の独白の集団編成をしている学部が23.7%あり、他 ブロックとの比較で特徴的な傾向をしめしている。 91調 査との比較では「自閉性障害児だけの学級編成をしてい る」数は変わらないが、 「課題別学習グループ編成をし ている」数、比率が3学部とも増加している。その中に は「学部・学年の実態で偶然」が14学部あり、自閉性障 害児だけの集団編成の問題点を「特に問題はなし」とし たのは2学部のみて、一方、 「子どもどうしの関係がつ くりにくい」 10学部、 「集団の動きかつくりにくい」と、
その問題点を指摘する学部が8学部あった。逆に「他 (集団)の子どもとの関係」 「教師との関係」の困難さを あげる学部はともに1学部のみで、最も少なかった。こ の結果は「他の子どもたちや教師との関係も聞題はなく、
できれは自閉性障害児たけの集団は作りたくない」こと を/」くしていると思われるO 「課題が共通」 「障害に視点を あてた指導内容・方法かくみやすい」 r白閉性障害児が おちっく」など、積極的な意義を見出して編成している 学部もあった。,しかし一方、問題点として「子どもどう Lの関係をつくる困難さ」 「集LIlとしての動きをっくる 困難さ」など、この設問で回答のあった92学部のうち68 学部、 73.9%か、独白の集団編成で指導する実践上のむ ずかしさがあることをあげているO
2)自閉性障害児の指導の重点
自閉性障害児の教育の車で、どのような教科・領域を 重点に指導しているか、小学部の場合は「作業学習、職 業学習」を除く5つ、中学郡、高等部は6つの選択肢の 中から回答を求めた。小学部、中学部は1つを、高等部 では「作業学習、職業学習」か多くなると予測されたの で、複数回答とした。小学部の回答の中にも「その他」
で「作業学習、職業学習」という回答か散見されたので、
集計の段階では小学部についても「作業学習、職業学習」
の項目を設けて処理したO 回答方法の違いを考慮し、小 学部と申学部、高等部それぞれでみていくことにする。
小学部、中学部では「口常生活の指導」が最も多く、
つづいて「その他・全般」 「生活単元学習」の順になっ ている。小学部は次に「養護・訓練」 「教科学習」があ がっているが、中学部では「作業学習、職業学習」 「教 科学習」の順になり、 「養護・訓練」は鼓も少ない。中 学部では「作業学習、職業学習」が14.1%と「その他・
全般」を除き3番目に多い比率でとりくまれている。
91調査は複数回答(順位)方式であり、今回との回答 方法の違いを考慮に入れながらみてみると、 91調査で
「作業学習」を第1にあげたのは11.0%、 33学部で、今 回の調査では14.1%、 41学部とやや多くなっているO な お、回答の中に「1つにはしばれない」という記述があ り、単数Ej]答という回答方法により、 「その他・全般」
が多くなったと考えられる。
高等部では、 「作業学習、職業学習」が72.3%と圧倒 的に多く、高等部における「作業学習、職業学習」の比 重の大きさがあらためて実証されている。しかし91調査 では84.2%、 174学部が「作業学習」をあげているが、
今回の結果では、回答数の増加割合(91調査の高等部Lpl 答数は207)と比較すると30学部少ない結果であり、実 態として「作業学習、職業学習」を最重点にする学部は それほど増えてはいないのかもしれない。以F 「日常生 活の指導」 「教科学習」 「生活単元学習」 「養護・訓練」
の順になっている。複数回答という方法によるものであ ろうが、小学部、中学部と比較すると、「生活単元学習」と ほぼ同程度の割合で「教科学習」をあげている学部がある。
3)知的障害児教育との違い
自閉性障害児教育の独自性がどのように認識されてい るかを明らかにする目的で、知的障害児教育との違いを、
教育目標、内呑、方法について「まったく違う」 「違い もあるが共通点もある」「同じである」の3つから1つ を選択する方法でLgJ答を求めた。さらに、違いについて はその内容の記述を求め、記述されていたすへての回答 を文章で拾い出し、その内容を検討し、共通すると思わ れるいくつかのキーワ‑ドをfill,1宥し、その数を集計した (以F、各調査項Rにおけるキ‑ワード集計も同様の方 法である)。なお、目標、内容の「違い」の異体的内容 に関するキーワード集計は各項目、合計とも全国的な傾 向をみるには回答数か1‑分てはないという点に留意か必 要である。
(1)教育目標の異同
目標は「同じ」とする学部が656学部、 70‑0台でもっ とも多く、次いで「違いも共通点もある」か20%台で20 8学部、 「違う」としたのは中学郡2,高等部1のわずか 3学部であったC 「違う」とした3学部の記述は「集団 適応力が第1の目標になる」 「障害によって区別すると いう考え方にたっていない。一人一人をとらえてその子 に合った指導を心かけている」 (以上、中学部) 「知的レ ベルか比較的高く、人間関係の改善で障害の軽減がてき ることの目標設定が可能」(高等部)というものであった。
違いの川本的記述をみてみよう。学部別では、小学都 では「対人関係」が一番多く、次いで「言語・コミュニ ケ‑ション」、以IIF 「個による違い」 「障害特性」などと なっているっ 中学部は「言語・コミュニケ‑ション」
「対人関係」 「個による違い」さらに「情緒の安定」が続 いている。高等部もやはり「言語・コミュニケーション」
「情緒の安定」 「対人関係」 「個による違い」などである。
全体でも「言語・コミュニケーション」 「対人関係」 「個 による違い」 「情緒の安定」 「障害特性」 「集団参加」と いった川和こなっている。小学部で「対人関係」が一番多
くあげられているのは、障害の特徴であると同時に、教 育の入日における子どもとの基本的関係をまず築くとい う点で重視されていることの反映であろう。その傾向は 中学部でも続くが、高等部になると「対人関係」の比重 は少なくなり、中学部とともに「情緒の安定」が多くな る。中学部、高等部で「情緒の安定」が比較的多くあげ
られているのは、従来からいわれてきた「思春期、青年 期パニック」やそれにともなう「自傷」 「他傷」など、
この年齢段階の自閉性障害児が抱える問題の反映である という見方もできよう。
(2)教育内容の異同
次に教育内容についてである。 「違う」としたのは小 学部1,中学部2,高等部1の計4学部であり、 「目標」
とほとんど変わらない。しかし「同じ」という回答は55 1学部、 64%で、 「目標は同じ」とする回答と比較すると、
数で115学部、 ll.7ポイント減少し、 「違いも共通点もあ る」か306学部、 35.5%、 「同じ」の減少分とほぼ同じ数、
率の増加がみられる。
「違う」とした4学部のうち2学部は記述がなく、高 等部の1学部は「自分の世界にとじこもり、人間関係が スムーズにいかない。周囲の状態を一定に保とうとする 欲求かある」という、教育内容とは直接関わりの薄い記 述てあった。残る1学部は「その子に応じた内容をとり
あげて指導」という具体性のない記述であった。
内容に「違いも共通点もある」とした記述の内容でもっ とも多いのは「言語・コミュニケーション」であるO 具 体的には「コミュニケ‑ションのとり方が指導内容に組 み入れられる」 「コミュニケ‑ションの向上に重点」 (小 学部)、 「コミュニケーションのとり方などを教える必要 かある」 (中学部)、 「コミュニケ‑ション面での指導内 容が必要」 (高等部)などであるC次いで小学部、中学 部では「対人関係」 「個別指導・対応」 「個による違い」
などが続き、高等部では「個による違い」 「問題行動の 改善」の順になっている。いずれも「目標の違い」とほ ほ対応する内容であるが、申学部、高等部で「問題行動 の改善」か多くなっていることが特徴的である,3
(3)指導方法の異同
障害児教育においては、 「教育方法」という概念につ いて、従来からさまざまに議論されてきた歴史的経過が あるn'。今回の調査では「教育方法」という語を主に
「指導方法」 「指導技術」を指すものとして用いた。調査 実施時にその点についての理解の混乱も懸念されたか、
回答内容をみるかぎりでは、その混乱はみられなかったQ より概念を明確にするため、以下では「指導方法」とい う語を用いて結果をみることにする。
指導方法について「回し」とする学部は、全体で36.1 ,00、 311学部になり、 「違う」 16学部、 1.9%、 「違いも共 通点もある」とする学部が64.0%、 535学部と全体の約
三分の二を占め、目標、内容についての結果と比較する と、 「同じ」と「違う」「違いも共通点もある」とする回 答の比率が、かなり異なる結果になっている。
「違う」とした学部の記述は、 「個別指導重視、構造 化重視」、 「知的障害児教育は繰り返し丹念に積み上げて いく。自閉症は行動形成に主眼」、 「視覚に訴え、子ども に合わせた活動用意」 「日課をわかりやすく写真、絵カ‑
ドなどで提示、一定に」 (以上小学部)、 「発達のアンバ ランス、コミュニケ‑ション、こだわりに焦点をあてた 指導法、行動分析的」、 「その子に合わせた指導法」、 「環 境調整」 (以上、中学部)、 「自閉症児の特性を生かした 指導法」 (高等部)などであり、記述されている内容は
「違いも共通点もある」としたグループの回答と変わら ないものであった。
「違いも共通点もある」としたグル‑プのキーワ‑ド 集計の結果は図1のとおりである。巌も多いのは「視覚」
で92件、次いで「個別の配慮」 87件、以下「構造化」
「見通し」 「特性を考慮」などとなっているo これらのキ‑
ワ‑ドを「見通し(日課、見通し、生活リズム、視覚、
構造化)」群、 「障害特性(対人関係、情緒の安定、言語・
コミュニケーション、こだわり、興味・関心、バク‑ン
化、言葉かけ、特性を考慮)」群、 「個別(桐による違い、
個別の配慮、個別指導)」群など、内容的に関連すると 思われる群に大別してみる。 「見通し」群か201件、 ′11.0
%、 「障害特性」群154件、 31.C 、 「個別」群136件、 27.
1%となるO 「違い」についての貝体的記述を象徴的に表 現すると「障害の特性を考慮し、見通L (1 I」LD流れ‑
図1 知的障害児教育との方法の違い
日課、次はどこで何をどうするのかなど)をもちやすく するために、視覚的な手かかりを使ってわかりやすくす るとともに、教室など環境も構造化するという方法を個 別的にとる。」と要約できよう。
(4)概括
以上のような結果から、知的障害養護学校における、
自閉性障害児教育と知的障害児教育との違いについての 認識傾向は、 「目標、内容については『同じ』が約三分 の∴を占めているか、方法では『違う』 『違いも共通点 もある』か三分の一.になり、その比率は運転する」と概 括できる(図2参照)。つまり、知的障害養護学校では、
知的障害児教育と自閉性障害児教育の違いは、主として 指導方法の違いとして認識され、実践されているという
ことである,‑,
もう1点として注目すべき特徴としてr個別化」の問 題がある。 「[]標の違い」の中では、 「個による違い」か 25件、 「内容の違い」の項でも「個による違い」が23件、
「個別指導・対応」 18件、さらに m去の違い」の中で も「個による違い」 14件、 「個別の配慮」 87件、 「個別学 習」 35件と、 「個」 「個別」などの表現で記述している回
答が多くあった。 「『自閉症』とか『知的障害』というこ とで目標や内容、方法が決まるのではない。障害で子ど もをみてはいない。 I一一人一一人『個』はみんな違う,つA人 I一一・人の、個に応じて、必変な目標、内容、方法を決めて
いる。IJという回答に代表される考え方であるLlこうした 考え方か一定の割合で存在するという傾向か指摘できる。, 一一万、障害児を理解する上て、障害とならひもう1つ の重要な視点である「発達」というキー蝣n一トの回答が 非常に少ないことがわかるr, 「目標の違い」の項で、 「発 達のアンバランスの改善」か中学部2件、高等部1件、
「内零の違い」で、 「発達の偏りに応じた指導内容」が小 学部3件、申学部2件、高等部1件、 「方法の違い」で 発達の問題をとりあげた国答は、小学部1件、中学部2 件、その内客は「発達のアンバランスに焦点をあてた指 導法」、 「発達の程度に応じて」というものであるD 「発 達」というキ‑r]‑トかみられる場合でも、それは「発
図2 ケ三「伯勺障害児教育との違い
8 〔′ 70 0 0 5 0 ぎ 4 0 .10
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Ⅰ つ i. 蝣 i t : 十 t + M じ
‑ 目 標 0 3 L7 4
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J E 7 琴 教 一 日 郎 b 7 内 密 眼 下 津 w:
達の偏り」、 「発達のアンバランス」など、どちらかとい えば自閉性障害の「障害の特性」の記述に近いものであ るという特徴がある。今回の調奄結果からみるかぎり、
障害について考慮し、実践を構想することは一定とりく まれてきているが、発達段階など発達の視点も含み込ん で実践をっくっていく作業はまだ十分ではないというこ とが特徴としてあげられるのではないか。
4) 自閉性障害に視点をあてた特別な指導
知的障害児教育との違いをより異体的に把握するため に、自閉性障害児の障害に視点をあてた特別な指導の有 無について、 「R常の指導のLflで配慮」 (以下「配慮」と 略)、 「個別指導をしている」 (以下「個別」と略)、 「特 にしていない」の3っの選択肢から1つを選ぶという方 法でたずねた(表8)。
その結果、 「配慮」 3.7‑石、 「個別」 80%、 「特になし」
25.3%という回答であった。学部別では、中学部が「配 慮」と「個別」計84.8%に対して、高等部では「配慮」
「個別」とも3学部て最も低く、計64.3%、 「特になし」
が357‑′oあり、他学部との問て有意差かあった。 「特に なし」という学部の「特別な指導をしていない理由」で 最も多いのは「必要なし」 103学部である。以ト、 「必要 だと思うができていない」群として「教員の体制」、 「教 員の中て共通理解かできない」、 「専門教員かいない」、
「施設・設備がない」などが続いている。 「必要なし」と する学部を除き、特別な指導をしている学部と「必要だ と恩うかできていない」群をあわせると、自閉性障害児 が在籍Lている898学部中758学部、 84.1%になり、 「必 要」と考えている学部が高率であるという結巣であるQ
表8 障害に視点をあてた特別な指導 日常の配慮. 個別指導
;「T 19i 諒 26前石「
:芸223
154::霊II':誓,
特になL i N
‑‑ ≡≡≡≡巴 ‑‑
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くI有意差 **;・
「特別な指導」としてどのような指導がおこなわれて いるのであろうかO 「「惰'の配慮」と「個別指導」のそ れぞれについて冥体的にみてみようD
(1)日常の指導の中での配慮
まず「R常の配慮」のキ‑ワ‑ド集計からである(凶 3)。回答内容として、前の設問であった、知的障害児 教育との「指導方法の違い」の内容をより異体的にした
ような回答か多くあった。 「その他」を除き一番多くみ られたキ‑ワードは、 「見通し」で146件、次いで「視覚」
134件、 「コミュニケ‑ション」 116件、 「個別」 97件、
「集団」 60件などか続く。 「見通し」と「視覚」に関する 記述内容は、前項「指導方法の違い」でみた内容とほぼ 同じものである。
「コミュニケーション」に関する内容の多くは「コミュ ニケ‑ション手段」の問題で、 「絵、写員、文字、サイ ンなどによるコミュニケーションの促進」か多数であっ た。 「どこでなにをどのようにするか」を、自閉性障害 児にいかに伝えるかという教師側の意図の伝達と、たと えば「トイレ(に行きたい)」、 「水が飲みたい」、 「おね がいします」といった要求表現、伝達を絵、写真、文字 カート、あるいはサインによってできるようにするとい う、子どもの側からの表現、伝達方法に関する内容の両 面を含んでいるものである。「コミュニケーション」に ついての主たる関心は、 「いかに(教師の)意図を伝え るか」と「どのように(子どもから)表現させるか」と いう点に向けられていることがうかがえる。
「集団」についての回答は「集団参加についての配慮」
と「集団の中での個別の配慮」という ‑.っの内容に大別 される。前者は「集団での活動場面を多くもてるよう心 かける」 「集団参加できるよう上夫」 L、そのために
「集団の大きさにも配慮する」などである。一方、後者 は「集団の中での1対1の指導場面設定」、 「集団の中で 個々に声かけ」など、その多くは個別的な配慮であり、
あわせて「集団学習への参加を強要せず、同じ場所にい られることから」、 「集団行動のあとは自由時間を保障」
といったものもあった。
図3 R常の指導での配慮
「個別」の中では「個別の配慮、対応」が多く、同時 に、ここでも「個による違い」が少数あった。 「こだわ り」については、 「こだわりの軽減・改善のための指導」
33件と、 「こだわりを一定許容し、安定して課題に向か えるように配慮する」 14件という、質の異なる内容が含 まれていた。 「その他」の主なものとしては、 「問題行動 の軽減・改善」、 「子どもの興味・関心を生かした指導」、
「声かけ、対応で教師間の共通理解を」、 「音、芦などの 刺激をコントロールする」などがいずれも15件前後記述
されていた。
(2)個別指導
次に個別指導についてである。結果は図4のようになっ た。なお回答数が100学部あり、最初の設問で「個別指 導をしている」という項目回答数69よりも多くなってい るが、これは、 「日常の配慮」と回答した学部で「個別 指導の貝体的内容」の項にも記述かある学部があり、そ れらも集計したことによるものである。回答には、 「時 間、場所、内容を設定しての個別指導」と、 「集団の中 で個別に指導、配慮する」の両者が含まれている。後者 についてはすでに「日常の指導の中で配慮」の項でふれ ているので、ここでは「時間、場所、内容を設定しての 個別指導」に限定し、その内容をみていく。
最も多い「言語・コミュニケーション」に関する内容 は、ただ単に「コミュニケーション(能力jJ とのみの 記述も多くあったが、理解と表出に関する内容で、特に 表出について、あいさつのしかた、表現のしかたや、補 助手段としてのシンボル、サイン(絵、写真、文字、ジェ
スチャー)の理解と使用、それらを含む「スキルの習得」
が記述されていた。
KM 個別指導の内容
コミュニケーショ ン
国語・算数 作業 認知 日常生括の指導 情緒の安定 文字学習
#*)ォ#
ヤード 着着え 集団の中で配慮 その他
次いで「国語、算数(ことば、かず・かたち)の学習」
「認知」 「作業学習」が続いている。 「ドリル学習」、 「形、
色の弁別」、 「ことばと絵カード、具体物、図形、色、シ ンボルと音声などのマッチング」、 「木工」、 「縫い物」な どがその具体的な内容である。全体としては「個別学習」
にとりくんでいるという学部の数も少なく、一般的な傾 向を明らかにするには無理があると思われるが、現状の 一端はうかがえる0
5 )自閉性障害児の教育実践についての課題認識 知的障害養護学校において、自閉性障害児の教育実践 上の課題がどのような内容で認識されているかを把握す
るため、自由記述で回答を求めた。回答数は、小学部22 5学部、中学部185学部、高等部180学部、計590学部であっ た。記述は、障害の問題と指導の困難さ、障害理解、教 育課程、指導体制、教師間の問題、連携の問題など多岐、
多様な内容が記入されていた。そこで、障害と指導に関 する内容を「障害と指導の問題」 (図5)としてくくり、
教育課程、指導体制、教師間および他機関との連携の問 題を「体制などの問題」(図6)と2つに大別し、キ‑
T7‑ド集計方法で結果をまとめた。一つの学部の記述に は複数の内容を含む回答も多くあり、一つの内容ごとに
1件として処理した。
(1)障害と指導の問題
障害と指導に関わる課題でもっとも多くあったのは
「こだわり」で、計171件である。内容として「服」、 「歩 くコ‑ス、物の配置」、 「ゲ‑ム機、自販機」、 「水」など、
図5 日間性障害児教育の課題認識 一障害と指導